JP3005404U - 歯科用タービン駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 技術経費を最小限に抑えることは元よりのこ
と、粒子の逆吸込みを効果的に防止すると共に、タービ
ンのエネルギ供給部には関わりなく機能できるような歯
科用タービン駆動装置を提供する。 【構成】 タービン室１４がタービン翼車３の惰力回転
中には、加工ツール寄りのロータ軸区分４ａの軸線近傍
に配置されていて戻し空気通路１９に接続された流出通
路１８を除き、閉鎖されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ケーシング内に軸支されていて加工ツールを装着するための装着機 構を有しかつ前記ケーシングと相俟ってタービン室を形成するタービン翼車を備 え、前記タービン室を供給通路及び戻し空気通路のいずれにも接続した形式の歯 科用タービン駆動装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

歯科用タービン駆動装置では、駆動空気の遮断後に負圧吸引流の発生に基づい て空気、ひいては又、細菌汚染微粒子がタービン式ハンドピースの直ぐ周辺（患 者の口腔）から該タービン式ハンドピースの内部へ搬送されるという問題がある 。次いで駆動空気を再接続した場合には、前記微粒子は、駆動空気の供給に伴っ て増成される圧力によってハンドピースから再び外部へ搬送されることになる。

【０００３】 この事象は極めて不衛生であり病原体伝染という危険を伴っている。そればか りか特に湿った空気及び極微粒子又はその何れかの侵入によってロータ軸受が損 傷を受けることもある。

【０００４】 前記吸引効果はタービン翼車自体によって発生され、該タービン翼車は、駆動 空気の遮断後にその慣性と高い回転数とに基づいてタービン翼車の惰力回転が終 了つまり静止するに至までに数秒間を要する。この惰力回転期のあいだタービン ケーシング内で惰力回転するタービン翼車はさながら羽根車ポンプのように作用 し、かつ、タービン翼車室内に位置している空気を、半径方向外向きに戻し空気 通路内へ向かって遠心力によって振り払う。しかしながら公知のタービン式ハン ドピースでは前記戻し空気通路はタービン翼車室の外周に配置されている。その 場合ロータ軸の領域では負圧が発生するので、その結果、該負圧発生に追従して 、外部から空気が軸受内に現存するギャップ又はその他の開口を通って流れ込む ことになる。

【０００５】 前記の吸引効果を防止するために、すでに幾多の解決手段が公知になっている 。すなわち： ドイツ連邦共和国特許第１１４７００３号明細書及びドイツ連邦共和国特許第 １１０７８９１号明細書に基づいて、駆動空気の供給遮断後にタービン翼車の静 止まで圧力空気をタービン室内へ吹込むことが公知になっている。この方策はそ れ自体きわめて効果的ではあるが、タービン駆動装置に接続される歯科器械のエ ネルギ供給部に関連している。そればかりか後吹込み制御のための技術経費も可 成りの額に達する。

【０００６】 欧州特許第０２８３４１７号明細書に基づいては、タービン駆動装置では、駆 動空気の遮断後に、タービン翼車に作用する機械的なブレーキによってタービン 翼車を急停止させようとする技術が公知になっている。このようなタービン翼車 急停止装置は、当然のことながら原理的には所望されることではあるが、公知の タービン駆動装置では比較的高い技術経費をかけてしか得ることができない。

【０００７】 また欧州特許第０４７１９１６号明細書に基づいて、加工ツールに近い方の軸 受の手前でロータ軸に遠心円盤を装着した形式のタービン駆動装置が公知になっ ており、前記遠心円盤は、粒子が該遠心円盤に衝突した際に該粒子を半径方向外 向きに振り払うことによって粒子の侵入を防止しようとするものである。このよ うな公知の構成は著しく単純ではあるが、タービン翼車側の吸引効果を排除して いないので、粒子の侵入を申し分なく防止することはできない。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の課題は、技術経費を最小限に抑えることは元よりのこと、粒子の逆吸 込みを効果的に防止すると共に、タービンのエネルギ供給部には関わりなく機能 できるような歯科用タービン駆動装置を提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】 前記課題を解決するための本考案の構成手段は、タービン室がタービン翼車の 惰力回転中には、加工ツール寄りのロータ軸区分の軸線近傍に配置されていて戻 し空気通路に接続された流出通路を除き、閉鎖されている点にある。

【００１０】 以下に説明する３つの実施例は夫々単独に或いは互いに組合せて適用すること ができる。ここで挙げた３つの実施例全てに共通する利点は、本考案の構成手段 をタービン式ハンドピース内に組込むことができ、タービンのエネルギ供給部に は関わりなく確実な機能を保証することができ、かつ最小限の技術経費でもって 実施することを可能にすることである。

【００１１】

【実施例】

次に図面に基づいて本考案による３つの実施例を詳説する。

【００１２】 図１の縦断面図において総体的に符号１で示した歯科用タービン式ハンドピー スのヘッドケーシング２内にタービン翼車３が軸支されている。この軸支のため にロータ軸４はタービン翼車３の両側で玉軸受５，６によって支承されており、 該玉軸受はＯリング７，８を介してヘッドケーシング２内で支持されている。ロ ータ軸４は公知のように加工ツール例えば穿孔ドリルバーを保持するための装着 機構（図示せず）を有している。タービン翼車３には圧力空気源１０から供給通 路１１を介して駆動空気が給圧され、該駆動空気はノズルオリフィス１２を介し てタービン動翼に向かって流れる。駆動空気は弁１３によって供給・遮断するこ とができる。

【００１３】 タービン室１４内における、要するにタービン翼車３への入口とタービン翼車 ３からの出口との間の駆動空気の流動経路は常態では狭い空隙１５，１６，１７ ′によって制限され、該空隙はタービン翼車３と隣接したケーシング周壁及び軸 受周壁とによって形成される。図１に破線で示したように従来技術において加工 ツールに隣接した方のタービン翼車端面に通常設けられている狭い空隙１７′は 、本考案では拡大されて流出室１７を形成しており、該流出室は、ロータ軸区分 ４ａに対して同心的に延びる流出通路１８へ移行しており、該流出通路は本実施 例では殊に有利には環状流出通路として構成されている。該環状流出通路には戻 し空気通路１９が、加工ツール寄りの玉軸受６及びロータ軸区分４ａのすぐ近く で開口している。

【００１４】 タービン翼車３を内包するヘッドケーシング２は、ノズルオリフィス１２及び 戻し空気通路１９へのポート２０以外には、タービン翼車及び玉軸受の周辺領域 で空気を自由に流出させることになるようなその他の通路及びポートを全く有し ていない。このことは取りも直さず、タービン翼車の惰力回転期における駆動空 気の遮断時つまり駆動空気の供給中断時にはタービン室１４が、ロータ軸４の軸 線近傍に延びる環状流出通路１８を除いて閉鎖されていることを意味している。 要するに、惰力回転時にタービン翼車３から遠心作用をもって外向きに振り飛ば される空気は流出することができず、従って空気をロータ軸受の軸受ギャップを 介しての吸引流に追従して吸込むこともない。

【００１５】 図示の実施例から判るように、環状流出通路１８を戻し空気通路１９と連通さ せるポート２０は、タービン翼車３のロータ軸域、要するに回転系の直径が最小 になる部位、に位置している一方、加工ツール寄りの玉軸受６のすぐ近く、要す るに回転系の最大直径域からできるだけ遠く離隔した部位に位置している。この ように構成した場合には顕著な負圧吸引流効果つまり吸込み効果が生じることは ありえない。それというのは戻し空気通路のポート近傍におけるロータ軸の直径 が小さいことによって、空気に対する遠心力は、いずれにしても極めて僅かであ るからであり、また戻し空気通路のポートと玉軸受６の軸受ギャップとが同じ区 域に位置しかつロータ軸区分４ａとも位置的に対応し、従って軸受ギャップにお いて戻し空気通路のポートに対して負圧が生じることはありえないからである。

【００１６】 図２に示した実施例では、加工ツール寄りのロータ軸区分４ａは流れ案内面２ １を有している。該流れ案内面２１は玉軸受６の両側に配置されておりかつター ビン翼車３の回転時に矢印方向に向かう、要するにタービン式ハンドピースの内 部から外部に向かう空気流を発生させるように成形されている。この空気流によ って、ダスト粒子、エーロゾル、細菌などの侵入に付加的に抗する逆通気作用が 発生する。

【００１７】 図３及び図４に示した第３実施例では、ロータ軸４に対して同心的に、しかも やはり加工ツール寄りのロータ軸区分４ａの近くに自動式の弁が設けられており 、該弁は、駆動空気の供給が中断され、つまり駆動空気が遮断されると、戻し空 気通路１９もしくはポート２０を自動的に閉鎖し、また駆動空気の供給中断が解 除され、つまり駆動空気が再接続されると開弁する。こうしてタービン翼車３の 惰力回転中に駆動空気が戻し空気通路１９内へ遠心力で振り飛ばされて玉軸受を 介して追従的に吸引される不都合な事態が効果的に防止される。この弁の調整力 は駆動空気によって直接発生される。図示の実施例では前記弁は、ばね弾性質の 円盤２２から成り、該円盤は例えば皿ばねであってもよく、流出室１７内に、要 するにタービン翼車３と戻し空気通路１９との間の流動経路内に配置されている 。前記円盤２２は本実施例ではタービン翼車に対して同心的にヘッドケーシング ２に取付けられている。駆動空気が遮断されると、要するにタービン翼車の惰力 回転・停止時には、円盤２２の外周リング壁面２２ａが戻し空気通路１９を閉鎖 する（図３）。駆動空気が接続されると円盤２２は圧力増成によってばね力に抗 して押し下げられ、これによって戻し空気通路１９は再び解放される（図４）。

【００１８】 ばね弾性質の円盤２２の配置・構成は種々異なった態様で実施することができ る。例えば円盤をヘッドケーシング壁に取付けずに、ロータ軸に取付けることも 可能である。また円盤を外周リング壁面で固定し、戻し空気通路のポートの開閉 制御を内周リング壁面２２ｂを介して行なわせるようにすることも可能である。

【００１９】 有利な実施態様では円盤は、駆動空気を遮断したのちにタービン翼車を急停止 するための、いわば急停止装置として利用することもできる。加工ツール寄りの タービン翼車端面と、該端面に対応する円盤のリング壁面とを、駆動空気の遮断 後にタービン翼車を制動するように互いに接触させるのが有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】ヘッドケーシング内にロータを軸支した歯科用
タービン式ハンドピース部分の第１実施例の縦断面図で
ある。

【図２】歯科用タービン式ハンドピース部分の第２実施
例の縦断面図である。

【図３】歯科用タービン式ハンドピース部分の第３実施
例を駆動空気の遮断状態で示した縦断面図である。

【図４】図３に示した歯科用タービン式ハンドピース部
分を駆動空気の接続状態で示した縦断面図である。

【符号の説明】

１ タービン式ハンドピース、 ２ ヘッドケーシ
ング、 ３ タービン翼車、 ４ ロータ軸、 ４
ａ ロータ軸区分、 ５，６ 玉軸受、７，８
シールリング、 ９ 加工ツール、 １０ 圧力空
気源、 １１供給通路、 １２ ノズルオリフィス、
１３ 弁、 １４ タービン室、 １５，１６，
１７′ 空隙、 １７ 流出室、 １８ 環状流
出通路、 １９ 戻し空気通路、 ２０ ポート、
２１ 流れ案内面、２２ 円盤、 ２２ａ 外
周リング壁面、 ２２ｂ 内周リング壁面

Claims (12)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシング（２）内に軸支されていて加
   工ツール（９）を装着するための装着機構を有しかつ前
   記ケーシングと相俟ってタービン室（１４）を形成する
   タービン翼車（３）を備え、前記タービン室（１４）を
   供給通路（１１）及び戻し空気通路（１９）のいずれに
   も接続した形式の歯科用タービン駆動装置において、タ
   ービン室（１４）がタービン翼車（３）の惰力回転中に
   は、加工ツール寄りのロータ軸区分（４ａ）の軸線近傍
   に配置されていて戻し空気通路（１９）に接続された流
   出通路（１８）を除き、閉鎖されていることを特徴とす
   る、歯科用タービン駆動装置。
2. 【請求項２】 戻し空気通路（１９）が、加工ツールに
   近い方のロータ軸受（６）及び加工ツール寄りのロータ
   軸区分（４ａ）の近くで流出通路（１８）に開口してい
   る、請求項１記載の歯科用タービン駆動装置。
3. 【請求項３】 流出通路（１８）が、加工ツール寄りの
   ロータ軸区分（４ａ）を同心的に囲む環状通路として構
   成されている、請求項１又は２記載の歯科用タービン駆
   動装置。
4. 【請求項４】 戻し空気通路（１９）が、タービン翼車
   （３）の端面側に設けられた流出室（１７）に開口して
   いる、請求項１記載の歯科用タービン駆動装置。
5. 【請求項５】 流出通路（１８）の開口している戻し空
   気通路（１９）のポート（２０）をタービン翼車（３）
   の惰力回転期に閉鎖する閉鎖部材（２２）が設けられて
   いる、請求項１から４までのいずれか１項記載の歯科用
   タービン駆動装置。
6. 【請求項６】 ロータ軸（４）が加工ツール近傍領域に
   おいてその外周に、流れ案内面（２１）を有し、該流れ
   案内面は、タービン翼車（３）の回転時に外部へ向かっ
   て方位づけられた空気流を発生させるように成形されて
   いる、請求項１記載の歯科用タービン駆動装置。
7. 【請求項７】 流れ案内面（２１）が、加工ツールに近
   い方のロータ軸受（６）の両側でロータ軸（４）に配置
   されている、請求項６記載の歯科用タービン駆動装置。
8. 【請求項８】 流出室（１７）が戻し空気通路（１９）
   と直接連通されており、かつ、閉鎖部材（２２）が前記
   戻し空気通路（１９）のポート（２０）を、駆動空気供
   給の中断後に閉鎖し、該中断の解除後に再度開放する、
   請求項５記載の歯科用タービン駆動装置。
9. 【請求項９】 閉鎖部材（２２）の開閉が、圧力空気の
   供給に関連して自動的に行なわれる、請求項８記載の歯
   科用タービン駆動装置。
10. 【請求項１０】 ばね弾性質の閉鎖部材（２２）が設け
    られている、請求項９記載の歯科用タービン駆動装置。
11. 【請求項１１】 ロータ軸（４）に対して同心的に流出
    室（１７）内にはばね円盤（２２）が配置されており、
    該ばね円盤の一方のリング壁面つまり外周リング壁面
    （２２ａ）又は内周リング壁面（２２ｂ）がケーシング
    （２）又はロータ軸（４）に固着されており、かつ、他
    方のリング壁面（２２ｂ又は２２ａ）でもって戻し空気
    通路（１９）のポート（２０）を開閉する、請求項１０
    記載の歯科用タービン駆動装置。
12. 【請求項１２】 ばね円盤（２２）は、ポート（２０）
    を開閉するリング壁面（２２ａ，２２ｂ）が駆動空気の
    供給中断時にタービン翼車（３）の端面に接触して該タ
    ービン翼車を制動するように構成・配置されている、請
    求項１１記載の歯科用タービン駆動装置。