JP3004946U - 遠心ファン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 円周状に沿って横架列設される多数の羽根に
おいて、吸込側、吐出側での空気抵抗を小さくし、円滑
な空気流を実現して空気特性を良好にし、騒音の発生を
抑制できるようにする。 【構成】 左右の側板相互間に多数の羽根２を横架列設
する。羽根２は、吸込側が肉厚となる非対称のものと
し、吸込側から吐出側へ至る湾曲した背面、腹面を有す
る。また、吸込側端部５、吐出側端部６両者が断面でほ
ぼ半円形状を呈し、吸込側端部５は、吐出側端部６に比
しその曲率半径をほぼ２倍に形成する。 【効果】 形状抵抗が少なく、吸込み空気、吐出し空気
における乱流、剥離が抑制され、騒音を大きく低減でき
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、断面が翼形状をした多数の羽根を有する遠心ファンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、羽根の断面形状が翼の断面形状とほぼ同一なものとされている各種 のターボファン、翼形ファン、ラジアルファン、多翼ファン等の遠心ファンが提 供されている。

【０００３】 それは、例えば特開昭５５−６６６９７号公報、実開昭５７−１５７７８８号 公報、実開昭６３−５４８９２号公報のものである。第１の特開昭５５−６６６ ９７号公報のものは、ブレードにおいての吸込側を内周から外周に向かうにした がって漸次肉厚に形成したものであり、第２の実開昭５７−１５７７８８号公報 のものは、その羽根が翼背面の曲率が翼腹面の曲率の方が小さく、弦長方向につ いて前後対称の上反りの三ケ月断面に形成されたものであり、第３の実開昭６３ −５４８９２号公報のものは、その羽根において、内側端から外側端近傍にかけ て隣合う羽根との間に形成される流路断面の大きさが等しくなるよう徐々に肉厚 にすると共に、外側端近傍から外側端にかけて徐々に肉薄となるよう構成したも のである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、叙上のような従来の第１、第２の断面形状のものは、単に翼断面形 状としたもので、その吸込側、吐出側での空気流に伴なう空気抵抗を考慮したも のではない。また、第３のものは、流路断面においての吸込側と吐出側とがほぼ 一定になるようにしたものであるも、内周側と外周側とでの遠心作用に伴ない異 なる流速を考慮していない。しかも、いずれのものも、吸込側、吐出側の端部は 、空気流との抵抗を減少させるために断面が次第に肉薄になる鋭端に形成されて いる。しかしながら、端部を鋭端に形成すると、かえって乱流が生じ易く、騒音 が大きくなり、また、空気特性も悪くなるものであった。

【０００５】 そこで、本考案は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、 円周状に沿って横架列設される多数の羽根において、その吸込側、吐出側の端部 を断面でほぼ半円形状を呈するように形成し、しかも、内周である吸込側でのそ れを外周である吐出側のそれに比しほぼ２倍の曲率半径とすることにより、吸込 側、吐出側での空気抵抗を小さくし、円滑な空気流を実現して空気特性を良好に し、騒音の発生を抑制できる遠心ファンを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上述した目的を達成するため、本考案にあっては、左右の側板１相互間に多数 の羽根２を横架列設して成る遠心ファンであり、この遠心ファンにおいて、羽根 ２は、吸込側が肉厚となる非対称で、吸込側から吐出側へ至る湾曲した背面、腹 面を有し、吸込側端部５、吐出側端部６両者が断面でほぼ半円形状を呈し、吸込 側端部５は、吐出側端部６に比しその曲率半径をほぼ２倍にしてあることを特徴 とする。

【０００７】

【作用】

この考案に係る遠心ファンにあっては、吸込側端部５の曲率半径は吐出側端部 ６のそれに比し、ほぼ 2倍程度に形成されているから、内周に位置する吸込側端 部５付近における吸込み空気に対する吸込み抵抗を減少させて空気流入を円滑に する。また、吐出される空気は、外周に位置する吐出側端部６において、羽根２ 自体の背面、腹面に沿って流速が増大されながら円滑に流れるため、剥離を容易 にして吐出し時に生じる乱流を減少させ、騒音の発生を抑制する。

【０００８】

【実施例】

以下、図面を参照してこの考案の一実施例を説明するに、図において示される 符号１は、左右で対峙状に配されるほぼ円形状を呈する側板であり、この側板１ の中央部には、所定のファン軸に取り付けるためのボス等が形成されている。

【０００９】 これらの左右の側板１相互間には、その円周状に沿って多数の羽根２が横架状 に取付けられており、羽根２自体は、ファン軸心に対する取付角度、側板１に対 する取付方法、材質をアルミニウム、合成樹脂その他とすること等は従来と異な るところはない。

【００１０】 この羽根２は、第２図に示すような断面形状に形成されており、その背面、腹 面はともに突状の湾曲面を呈する。そして、腹面は、側板１の内周である吸込側 端部５から外周である吐出側端部６に至るまで中心を同一とする連続した同一の 湾曲面となっている。また、背面は、吸込側湾曲面３と吐出側湾曲面４とが連続 した複合湾曲面となっており、吸込側湾曲面３は吐出側湾曲面４のそれに比しや や小さい曲率半径での湾曲面とし、これらの湾曲面３，４は吸込側に位置する連 続部位で羽根２自体を肉厚にするようにして連続している。

【００１１】 このとき、吸込側湾曲面３と吐出側湾曲面４との連続部位は、羽根２自体の直 線状の幅において、吸込側端部５から連続部位に至る長さ aと、吐出側端部６か ら連続部位に至る長さ bとの比率がほぼ 1:3となるようにしてある。

【００１２】 更に、羽根２自体においての吸込側端部５、吐出側端部６はともに断面半円形 状に湾曲しており、前者５の曲率半径は後者６のそれに比し、ほぼ 2倍程度に形 成されていて、緩やかに湾曲されている。

【００１３】

【考案の効果】

本考案は、以上にように構成されているために、吸込側端部５、吐出側端部６ 両者がともに断面でほぼ半円形状を呈するから、形状抵抗が少なく、吸込み空気 、吐出し空気における乱流、剥離が抑制され、騒音を大きく低減できる。

【００１４】 しかも、吸込側端部５の曲率半径は吐出側端部６のそれに比し、ほぼ 2倍程度 に形成されているから、吸込み空気に対する吸込み抵抗を減少させて空気流入を 円滑にし、また、吐出し空気は、吐出側端部６において、その背面、腹面に沿っ て流速が増大されながら円滑に流れ、剥離を容易にして吐出し時に生じる乱流を 減少させる。

【００１５】 したがって、本発明によれば、吸込側、吐出側での空気抵抗を小さくし、円滑 な空気流を実現して空気特性を良好にでき、騒音の低減化に寄与する等の優れた 効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】図面は本考案の一実施例を示す一部切欠側面図
である。

【図２】同じく羽根の断面図である。

【符号の説明】

１…側板 ２…羽根 ３…吸込側湾曲面 ４…吐出側湾曲
面 ５…吸込側端部 ６…吐出側端部 a…吸込側端部から、吸込側湾曲面と吐出側湾曲面との
連続部位に至る長さ b…吐出側端部から、吸込側湾曲面と吐出側湾曲面との
連続部位に至る長さ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右の側板相互間に多数の羽根を横架列
   設して成る遠心ファンにおいて、羽根は、吸込側が肉厚
   となる非対称で、吸込側から吐出側へ至る湾曲した背
   面、腹面を有し、吸込側端部、吐出側端部両者が断面で
   ほぼ半円形状を呈し、吸込側端部は、吐出側端部に比し
   その曲率半径をほぼ２倍にしてあることを特徴とする遠
   心ファン。