JP3003913U - 熱交換器チューブ洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱交換器のチューブ内面の炭酸塩等の付着物
を効率よく洗浄する。 【構成】 洗浄装置３０は、薬液タンク３８の薬液を加
圧、吐出する加圧ポンプ４４、加圧ポンプ４４からの薬
液を噴射する噴射ノズル５２を備えている。また、熱交
換器１０のドレンバルブ２８と薬剤タンク３８との間に
は吸引ポンプ３６が介装されている。加圧ポンプ４４を
稼動させ、噴射ノズル５２から薬液をチューブ２０内に
噴射させる。噴射された薬液は、チューブ２０の内面に
衝突するように接触し、チューブ２０の内面に付着して
いるスライムを吹き飛ばすと共にチューブ２０の内面に
付着している炭酸カルシウム等の炭酸塩類や珪酸塩類を
溶解させ、洗浄する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば吸収式冷凍機の再生器等に使用される熱交換器のチューブ内 面を洗浄する熱交換器チューブ洗浄装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば吸収式冷凍機の再生器のようにチューブ側流体に工業用水や天然水を使 用する熱交換器では、チューブの内面に炭酸塩や珪酸塩等が付着することが知ら れている。

【０００３】 このような炭酸塩等の付着があると熱交換器の熱交換率が低下するために、例 えば１年〜２年毎にチューブの内面を洗浄している。 従来、このようなチューブ内面の洗浄に当たっては、例えばブラシ等をチュー ブ内に挿入して洗浄する方法があり、この方法は軟質スライムの除去は可能であ るが、上述の炭酸塩等の除去は困難であった。特に銅や銅合金のチューブでは、 ブラッシングによって内面に傷がつくおそれがあり、ブラッシング法は採用し難 かった。

【０００４】 このため、炭酸塩等の除去には、チューブ側のインレットノズルから薬液を注 入しアウトレットノズルから回収することにより薬液を循環させて、薬液によっ てチューブ内面の炭酸塩等を溶解させた後、薬液を排出し、さらに水を同様に循 環させてチューブ内面を洗浄する方法が採用されていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上述のように薬液の循環による手法では１基の熱交換器の洗浄 に長時間を要していた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するための手段として、請求項１記載の熱交換器チューブ洗浄 装置は、熱交換器のチューブ内に薬液を噴射して該チューブの内面を洗浄する熱 交換器チューブ洗浄装置であって、 洗浄用の薬液を貯留する薬液タンクと、 該薬液タンクの薬液を加圧して吐出する加圧ポンプと、 該加圧ポンプから吐出された薬液を噴出する噴射ノズルと を設けたことを特徴とする。

【０００７】 次に、請求項２記載の熱交換器チューブ洗浄装置は、請求項１記載の熱交換器 チューブ洗浄装置において、上記噴射ノズルを複数本備えることを特徴とする。 また、請求項３記載の熱交換器チューブ洗浄装置は、請求項１または２記載の 熱交換器チューブ洗浄装置において、上記噴射ノズルから噴出されて熱交換器チ ューブ内を通過した薬液を吸引して上記薬液ポンプに吐出する回収ポンプを設け たことを特徴とする。

【０００８】

【作用】

請求項１記載の熱交換器チューブ洗浄装置においては、まず、加圧ポンプを稼 動させると、加圧ポンプは薬液ポンプから薬液を吸入し、加圧して吐出する。続 いて、加圧ポンプから吐出された薬液を噴射ノズルが噴出する。

【０００９】 例えばシェルアンドチューブ型の熱交換器の一方のチャンネルを取り外してチ ューブシートを露出させておき、この露出しているチューブシート側に開口して いるチューブに噴射ノズルを挿入しておいて、上述のように薬液を噴射させれば 、チューブ内に噴射された薬液は、炭酸塩等のチューブ内面の付着物を溶解する と共に噴射圧でチューブ内面から剥離させる。

【００１０】 このため、チューブ内面の炭酸塩等の付着物は効率よく除去され、チューブ内 面の洗浄は短時間で終了する。 次に、請求項２記載の熱交換器チューブ洗浄装置は、噴射ノズルを複数本備え ているので、同時に複数のチューブを洗浄できる。したがって、洗浄効率は一層 向上し、さらに短時間で洗浄を完了できる。

【００１１】 また、請求項３記載の熱交換器チューブ洗浄装置は、噴射ノズルから噴出され て熱交換器チューブ内を通過した薬液を吸引して薬液ポンプに吐出する回収ポン プを設けているので、噴射した薬液を再度使用できる。少ない量の薬液を繰り返 し使用することによってチューブ内面を洗浄できるので、薬液の総量はきわめて 少量でよい。従来の薬液の循環による手法では、最低でも熱交換器のチューブ側 を満たす量の薬液が必要となり、多量の薬液を使用せざるを得なかったが、請求 項３記載の構成とすれば使用する薬液の量が少なくてすむ。

【００１２】

【実施例】

次に、本考案の実施例を説明する。 図１に示すように、熱交換器１０は、一対のチューブシート１２、１４を円筒 状のシェルバレル１６で連結したシェル１８を備えている。シェル１８内には、 複数のチューブ２０が挿通されており、各チューブ２０の両端部はチューブシー ト１２、１４に設けられているチューブホールに嵌入され、拡管によって固定さ れている。また、チューブシート１４には、チャンネル２２が、ボルト（図示略 ）にて取り付けられている。なお、熱交換器１０の稼動時には他方のチューブシ ート１２にも同様のチャンネルが装着されているが、図示の状態はチューブシー ト１２側のチャンネルは取り外されている。チャンネル２２には、チューブ側流 体の通路となるノズル２４が設けられており、ノズル２４には配管２６が接続さ れている。さらに、チャンネル２２の下部には、チャンネル２２内の流体を排出 可能なドレンバルブ２８が装着されている。

【００１３】 さて、この様な熱交換器１０のチューブ２０の内面を洗浄するための本実施例 の熱交換器チューブ洗浄装置（以下、単に洗浄装置ともいう）３０の構造につい て説明すると、この洗浄装置３０は、連結ホース３２を介してドレンバルブ２８ に接続される。連結ホース３２の他端はフィルタ３４に接続されている。このフ ィルタ３４の出口側は吸引ポンプ３６のサクション側３６ａに接続され、吸引ポ ンプ３６のデリバリ側３６ｂは薬液タンク３８に接続されている。

【００１４】 薬液タンク３８は、例えば界面活性剤や過酸化水素等を主成分とする中性の洗 浄用薬液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリ ウム、過炭酸ナトリウム等を主成分とするアルカリ性の洗浄用薬液、塩酸、リン 酸、フッ酸、硫酸、酢酸、リンゴ酸、ヒドロキシ酢酸等を主成分とする酸性の洗 浄用薬液が貯留される。なお、薬液の濃度は、種類によっても異なるが、塩酸や リン酸の場合、およそ１０〜１５％程度が適当である。

【００１５】 薬液タンク３８内には、先端にストレーナ４０が装着された吸入管４２が挿入 されており、この吸入管４２は加圧ポンプ４４のサクション側４４ａに接続され ている。また、加圧ポンプ４４のデリバリ側４４ｂは、フレキシブルホース４６ を介して噴射ガン４８に接続されている。なお、図示を省略しているが、加圧ポ ンプ４４のデリバリ側４４ｂとサクション側４４ａとの間には２本のバイパスラ インが設けられており、それぞれ安全弁および圧力調整バルブが介装されている 。従って、加圧ポンプ４４を稼動させた際には、デリバリ側４４ｂの圧力は圧力 調整バルブの設定圧に調節される。また、何等かの事情でデリバリ側４４ｂの圧 力が安全弁の設定圧以上になった場合には、安全弁が開弁してデリバリ側４４ｂ の圧力を降圧できる。しかも、これら圧力調整弁および安全弁から排出される薬 液は薬液タンク３８へ戻されるので、薬液が外部に流出するおそれはない。

【００１６】 噴射ガン４８には、ヘッダ５０に固着された複数の噴射ノズル５２が設けられ ており、噴射スイッチ５４によってフレキシブルホース４６側と噴射ノズル５２ との連通を通断操作できる。このため、加圧ポンプ４４から流体を供給された際 には、噴射スイッチ５４の操作に応じて噴射ノズル５２から流体を噴出、停止可 能である。

【００１７】 次に、この洗浄装置３０によるチューブ２０の内面の洗浄作業について説明す る。 まず、図１に示すように、熱交換器１０のチューブシート１２側のチャンネル を撤去し、チューブシート１４側のチャンネル２２のドレンバルブ２８に連結ホ ース３２を接続する。この作業に先だって、またはこの作業と並行して、薬液タ ンク３８には、予め適切な濃度に調製された薬液が投入される。続いて、加圧ポ ンプ４４を稼動させ、併せて吸引ポンプ３６を稼動させる。その後、図２に例示 するように、噴射ガン４８の噴射ノズル５２をチューブ２０内に挿入する。この 状態で噴射スイッチ５４を操作して噴射ノズル５２とフレキシブルホース４６側 とを連通させると、加圧ポンプ４４から吐出された薬液が噴射ノズル５２からチ ューブ２０内に噴射される。

【００１８】 噴射された薬液は、チューブ２０の内面に衝突するように接触し、チューブ２ ０の内面に付着しているスライムを吹き飛ばすと共にチューブ２０の内面に付着 している炭酸カルシウム等の炭酸塩類や珪酸塩類を溶解させる。スライムや溶解 された塩類は噴射される薬液によって洗い流され、薬液と共にチャンネル２２内 に流出する。チューブ２０内に噴射された薬液によって炭酸塩等のチューブ２０ 内面の付着物を溶解すると共に噴射圧でチューブ２０の内面から剥離させるので 、チューブ２０内面の炭酸塩等の付着物は効率よく除去され、チューブ２０内面 の洗浄は短時間となる。しかも、噴射ノズル５２を複数本備えているので、同時 に複数のチューブ２０を洗浄でき、洗浄効率は一層向上される。

【００１９】 チャンネル２２内に流出した薬液は、吸引ポンプ３６によって吸引され、薬液 タンク３８へと回収される。この際、薬液に含まれている固形物はフィルタ３４ にて濾過されるので、このような固形物が吸引ポンプ３６を損傷することはない 。薬液タンク３８に回収された薬液は、再び加圧ポンプ４４に吸入され、噴射ノ ズル５２側へと吐出されることで、循環使用される。この際、ストレーナ４０が 薬液タンク３８内の異物を濾過するので、吸引ポンプ３６の場合と同様に、この ような異物が加圧ポンプ４４を損傷することはない。チューブ２０内を通過した 薬液を回収して再度使用するので、チューブ２０の内面の洗浄に要する薬液の総 量はきわめて少量でよい。

【００２０】 噴射ノズル５２からの薬液の噴射を設定時間継続した後、噴射スイッチ５４を 操作して噴射ノズル５２とフレキシブルホース４６側との連通を遮断して薬液の 噴射を停止する。この薬液噴射時間は、チューブ２０内面の塩類等の付着状態に 応じて設定されるが、通常は約３秒〜５秒程度で十分である。

【００２１】 噴射を停止したまま噴射ノズル５２を他のチューブ２０に挿入し、上述と同様 にして薬液を噴射してチューブ２０の内面を洗浄する。この操作を次々と繰り返 し、全てのチューブ２０を洗浄して洗浄作業を終了する。なお、図２（ａ）に示 すように、チューブ２０の本数が６本に満たない第１列Ｌ１等のチューブ２０で は、本実施例の噴射ノズル５２を挿入できないが、このような列のチューブ２０ については、噴射ノズル５２の本数が例えば１本あるいは２本等の噴射ノズル５ ２の本数の少ない噴射ガン４８を使用すればよい。また、例えば第２列Ｌ２の右 端のチューブ２０のように、半端になるチューブ２０についても同様である。し たがって、フレキシブルホース４６を例えば２分岐しておき、一方のラインに噴 射ノズル５２の数の多い噴射ガン４８を接続し他方のラインに噴射ノズル５２の 数の少ない噴射ガン４８を接続して、両噴射ガン４８を使い分けると効率的であ る。

【００２２】 以上のように、本実施例の洗浄装置３０によれば、チューブ内面の炭酸塩等の 付着物は効率よく除去され、チューブ内面の洗浄は短時間で終了する。しかも、 噴射ノズル５２を複数本備えているので、同時に複数のチューブ２０を洗浄でき 、洗浄効率は一層向上される。

【００２３】 また、チューブ２０内を通過した薬液を回収、再使用するので、洗浄に要する 薬液の総量はきわめて少量でよい。 以上、実施例について説明したが、本考案はこのような実施例に限定されるも のではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できる。

【００２４】 例えば、実施例においては６本の噴射ノズルを備える噴射ガンを例示している が、噴射ノズルの数は６本に限らず１〜５本あるいは７本以上とすることもでき る。また、噴射ノズルの外径はチューブ内に挿入可能であればよく、特に制限は ない。

【００２５】 さらに、上述の例ではチャンネルのドレンから薬液を回収しているが、回収元 はドレンに限らない。また、回収は必須ではなく、回収、再使用しなくともよい が、チューブ洗浄に使用される多くの薬液が劇薬に該当する成分等有害物質を含 むので、回収することが好ましい。

【００２６】

【考案の効果】

以上説明したように、請求項１記載の熱交換器チューブ洗浄装置においては、 チューブに挿入した噴射ノズルから薬液を噴射させ、噴射された薬液によって炭 酸塩等のチューブ内面の付着物を溶解すると共に噴射圧でチューブ内面から剥離 させる。このため、チューブ内面の炭酸塩等の付着物は効率よく除去され、チュ ーブ内面の洗浄は短時間で終了する。

【００２７】 次に、請求項２記載の熱交換器チューブ洗浄装置は、噴射ノズルを複数本備え ているので、同時に複数のチューブを洗浄できる。したがって、洗浄効率は一層 向上し、さらに短時間で洗浄を完了できる。 また、請求項３記載の熱交換器チューブ洗浄装置は、噴射ノズルから噴出され て熱交換器チューブ内を通過した薬液を吸引して薬液ポンプに吐出する回収ポン プを設けているので、噴射した薬液を再度使用できる。少ない量の薬液を繰り返 し使用することによってチューブ内面を洗浄できるので、薬液の総量はきわめて 少量でよい。従来の薬液の循環による手法では、最低でも熱交換器のチューブ側 を満たす量の薬液が必要となり、多量の薬液を使用せざるを得なかったが、請求 項３記載の構成とすれば使用する薬液の量が少なくてすむ。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施例の熱交換器チューブ洗浄装置の構成の
説明図である。

【図２】 実施例の熱交換器チューブ洗浄装置による洗
浄作業に際して噴射ノズルをチューブ内に挿入した状態
の説明図であり、図２（ａ）はチューブ開口側の説明
図、図２（ｂ）はチューブの軸方向に沿った一部断面図
である。

【符号の説明】

１０・・・熱交換器、１２、１４・・・チューブシー
ト、１８・・・シェル、２０・・・チューブ、２８・・
・ドレンバルブ、３０・・・熱交換器チューブ洗浄装
置、３６・・・吸引ポンプ（回収ポンプ）、３８・・・
薬液タンク、４４・・・加圧ポンプ、５２・・・噴射ノ
ズル。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱交換器のチューブ内に薬液を噴射して
   該チューブの内面を洗浄する熱交換器チューブ洗浄装置
   であって、 洗浄用の薬液を貯留する薬液タンクと、 該薬液タンクの薬液を加圧して吐出する加圧ポンプと、 該加圧ポンプから吐出された薬液を噴出する噴射ノズル
   とを設けたことを特徴とする熱交換器チューブ洗浄装
   置。
2. 【請求項２】 上記噴射ノズルを複数本備えることを特
   徴とする請求項１記載の熱交換器チューブ洗浄装置。
3. 【請求項３】 上記噴射ノズルから噴出されて熱交換器
   チューブ内を通過した薬液を吸引して上記薬液ポンプに
   吐出する回収ポンプを設けたことを特徴とする請求項１
   または２記載の熱交換器チューブ洗浄装置。