JP3168863B2 - 金属帯の洗浄方法 - Google Patents

金属帯の洗浄方法

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JP3168863B2 JP05448895A JP5448895A JP3168863B2 JP 3168863 B2 JP3168863 B2 JP 3168863B2 JP 05448895 A JP05448895 A JP 05448895A JP 5448895 A JP5448895 A JP 5448895A JP 3168863 B2 JP3168863 B2 JP 3168863B2
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康治 田中
暁 阪本
龍三 上野
真弘 久保
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Kurita Engineering Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ洗浄液を用い
て金属帯に付着している油分や金属粉などの汚れを除去
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属帯生産工程においては、冷間圧延後
に脱脂洗浄が行われている。この脱脂洗浄は、冷間圧延
した冷延金属帯表面に付着している圧延油分や微粒金属
粉などの汚れを除去して、金属帯表面を清浄にする工程
であり、メッキなどの次工程において品質欠陥が生じな
いように、所定の油分および金属粉付着量以下になるよ
うに洗浄が行われている。
【0003】従来の脱脂洗浄方法として、冷延金属帯表
面を水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液に短時間浸
して脱脂した後、電気分解により微粒金属粉や油分を分
離し、さらにブラシロールにより金属帯表面を払拭また
は研磨して仕上げ洗浄する方法がある。しかし、このよ
うな脱脂洗浄方法は、三工程が必要であり、また広いス
ペースも必要となり、コスト高になるという問題点があ
る。
【0004】特開平5−245526号には、アルカリ
洗浄液を圧延金属材に高圧で噴射して脱脂洗浄する方法
が開示されている。この方法では、洗浄液の衝突エネル
ギーによる物理的洗浄およびアルカリ洗浄液のアルカリ
成分による化学的洗浄により洗浄が行われ、工程を簡素
化することができるが、洗浄力が十分とはいえず、さら
に高い洗浄効果を得る方法が要望されている。
【0005】また特開平6−71233号には、気体を
加圧溶解した洗浄水を被洗浄体に噴射して洗浄する方法
が記載されている。この方法では、洗浄液の衝突エネル
ギーおよび溶存している気体から発生する気泡の破裂エ
ネルギーによる物理的洗浄が行われる。しかし、この方
法は、衝突エネルギーおよび気泡の破裂エネルギーによ
り、被洗浄体に付着している異物を物理的に剥離して除
去するだけであり、十分な洗浄効果は得られず、特に油
分が付着した冷延金属帯に対する脱脂洗浄効果は低い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の問題点を解決するため、簡単な操作により低コス
トで、しかも金属帯表面に付着している油分や金属粉な
どの汚れを高い洗浄力で除去することができる金属帯の
洗浄方法を提案することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、空気を加圧溶
解したアルカリ洗浄液を金属帯に噴射することを特徴と
する金属帯の洗浄方法である。
【0008】本発明の方法は、冷間圧延による金属帯生
産工程における脱脂洗浄方法として好適に利用すること
ができるが、これに限定されず一般の金属帯の洗浄方法
に適用可能である。
【0009】本発明で使用するアルカリ洗浄液として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリ
ウム等のアルカリ水溶液が使用できる。アルカリの濃度
は0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%とす
るのが望ましい。
【0010】アルカリ洗浄液に空気を加圧溶解させるに
は、0.1〜5MPa、好ましくは0.5〜2MPaの
圧力で加圧して溶解させることができる。本発明の方法
では、空気を加圧溶解させたアルカリ洗浄液を使用する
ことが重要であり、エジェクター等により単に空気を混
合したアルカリ洗浄液を用いても十分な洗浄力は得られ
ない。
【0011】金属帯の洗浄は、上記のようなアルカリ洗
浄液を1〜50MPa、好ましくは10〜20MPaの
圧力でノズルから金属帯表面に噴射することにより行う
ことができる。ノズルの形状、大きさ、数量、噴射距
離、洗浄時間などは、対象金属帯に応じて適宜条件を選
択することができる。
【0012】
【作用】空気を加圧溶解したアルカリ洗浄液が金属帯に
噴射されると、アルカリにより油分が部分的に加水分解
されて剥離されやすくなった状態で噴射による衝撃が加
わる。このとき圧力の解放により、洗浄液中に加圧溶解
されている空気が噴射直後に大気圧開放されてコロイダ
ルエア(微細気泡)となる。このコロイダルエアは、ア
ルカリと衝撃により部分的に剥離しかけている油分その
他の汚れのすき間に入り、次第に気泡が成長して金属帯
表面において破裂し、このエネルギーにより洗浄が行わ
れる。このようにアルカリ水溶液のアルカリ成分による
化学的洗浄と噴射洗浄液の衝突エネルギーによる物理的
洗浄とが行われる過程で、微細なコロイダルエアがすき
間に入り込んで気泡の成長、破裂による剥離力が加わる
ため、これらの相剰効果により洗浄力は格段に増強され
る。このため、油分により金属粉が強固に付着している
ような金属帯においても、これらの汚れは十分に除去さ
れる。
【0013】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。図1
は実施例の金属帯の洗浄方法を示すフロー図である。図
において、1は金属帯、2は洗浄装置、3はリンス装
置、4はドライヤーである。
【0014】図1の洗浄方法では、まず空気溶解タンク
5に圧縮空気6を供給し、前記圧力下でアルカリ水溶液
7に空気を溶解させる。このようにしてアルカリ水溶液
7に空気を溶解させたアルカリ洗浄液8をポンプ9によ
り洗浄室10に送液し、スプレーノズル11a、11b
から金属帯1の上面および下面に前記圧力で噴射し、金
属帯1表面に付着している油分および微粒金属粉などの
汚れを除去する。この場合、油分はアルカリにより部分
的に加水分解されて溶解しやすくなった状態で噴射によ
る衝撃がかかるので剥離しやすくなり、また加圧溶解さ
れている空気が、スプレーノズル11a、11bからア
ルカリ洗浄液8が噴射された直後にコロイダルエアとな
り、このコロイダルエアが剥離しかけた油分等の汚れの
すき間に入って成長し、大きな気泡となって金属帯1表
面において破裂する。このようにアルカリ水溶液による
化学的洗浄および衝突エネルギーによる物理的洗浄が行
われる過程で、気泡の成長、破裂による剥離力が加わる
ので、これらの相乗効果により油分によって金属粉が強
固に付着しているような汚れも十分に除去することがで
きる。洗浄後のアルカリ水溶液はろ過器12によりろ過
した後、回収タンク13に回収する。回収したアルカリ
水溶液はポンプ14により空気溶解タンク5に戻し、再
利用する。
【0015】このようにして汚れを除去した金属帯1は
リンガーロール15a、15bによりリンス装置3に送
る。リンス装置3では、温水タンク16中の温水をスプ
レーノズル17a、17bから金属帯1の上面および下
面に高圧で噴射し、アルカリ水溶液7を洗い流す。続い
てリンガーロール18a、18bによりドライヤー4に
送り乾燥する。
【0016】図1の方法では、スプレーノズル11a、
11bは金属帯1の種類や走行速度に応じて、形状、大
きさ、数量などを選択できる。
【0017】次に試験例について説明する。 実施例1 図1の方法により、冷間圧延した冷延金属帯の洗浄を行
った。アルカリ洗浄液としては、1.0重量%の水酸化
ナトリウム水溶液を常時0.5MPaの空気で加圧した
液を用いた。噴射圧力は10MPa、ノズルと金属帯と
の距離は10cmとした。結果を表1に示す。
【0018】比較例1 実施例1において、空気を加圧溶解することなく、アル
カリ水溶液をそのまま洗浄液として用いて洗浄を行っ
た。結果を表1に示す。
【0019】比較例2 比較例1において、洗浄液を金属帯に噴射する際、ノズ
ル部分からエジェクター効果により0.5MPaの空気
を洗浄液に混合して洗浄を行った。噴射圧力は10MP
aとした。結果を表1に示す。
【0020】比較例3 実施例1において、アルカリ洗浄液の代わりに水に空気
を加圧溶解させた洗浄水を用いて洗浄を行った。結果を
表1に示す。
【0021】比較例4 比較例3において、空気を加圧溶解させず、単に水を噴
射して洗浄を行った。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】 *1 洗浄部にセロハンテープを貼って、付着する汚れをみるテスト方法
【0023】表1の結果から、空気を加圧溶解したアル
カリ洗浄液を用いた実施例1では目標の清浄度を得るこ
とができ、洗浄効果に優れていたが、アルカリ水溶液を
噴射する比較例1、空気を混合したアルカリ水溶液を噴
射する比較例2では、いずれも目標値を達成することが
できず、洗浄効果が十分でないことがわかる。また比較
例3における水噴射ではやや改良されるが、洗浄能力は
やや不充分であり、比較例4に至ってはほとんど洗浄効
果は見られない。
【0024】
【発明の効果】本発明の洗浄方法は、空気を加圧溶解し
たアルカリ洗浄液を金属帯に噴射して洗浄するようにし
たので、これらの相乗効果により、簡単な操作により低
コストで、しかも高い洗浄力で油分や金属粉などの汚れ
を除去することができ、優れた洗浄効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の洗浄方法を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 金属帯 2 洗浄装置 3 リンス装置 4 ドライヤー 5 空気溶解タンク 6 圧縮空気 7 アルカリ水溶液 8 アルカリ洗浄液 9、14 ポンプ 10 洗浄室 11a、11b、17a、17b スプレーノズル 12 ろ過器 13 回収タンク 15a、15b、18a、18b リンガーロール 16 温水タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪本 暁 大阪府大阪市中央区北浜二丁目2番22号 栗田エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 上野 龍三 大阪府大阪市中央区北浜二丁目2番22号 栗田エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 久保 真弘 大阪府大阪市中央区北浜二丁目2番22号 栗田エンジニアリング株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23G 1/14 B08B 3/08 B21B 45/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気を加圧溶解したアルカリ洗浄液を金
    属帯に噴射することを特徴とする金属帯の洗浄方法。
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