JP3003387B2 - 高品質ホスフィン酸類の製造方法 - Google Patents

高品質ホスフィン酸類の製造方法

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JP3003387B2
JP3003387B2 JP4116143A JP11614392A JP3003387B2 JP 3003387 B2 JP3003387 B2 JP 3003387B2 JP 4116143 A JP4116143 A JP 4116143A JP 11614392 A JP11614392 A JP 11614392A JP 3003387 B2 JP3003387 B2 JP 3003387B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬、特にアンギオテン
シン変換酵素抑制剤等の中間体として有用な高品質ホス
フィン酸類〔1〕の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】医薬、特
にアンギオテンシン変換酵素抑制剤等の中間体として有
用なホスフィン酸類〔1〕は、例えば対応する亜ホスホ
ン酸類とハロカルボン酸類とを、シリル化剤および溶媒
の存在下に反応させることにより得られ、その精製は、
上記反応後、クロロホルム等の溶液として分離し、さら
に洗浄、乾燥したのち、一旦溶媒を留去した後、エーテ
ル−ヘキサンにて結晶化を行い、さらにエーテル−ヘキ
サンで充分洗浄して該ホスフィン酸類〔1〕を得る方法
が知られている(特開昭60−87292号公報、US
P4602092号公報)。しかしながらこの方法は、
多種の有機溶媒を使用せねばならず、操作上煩雑であ
り、その方法自体も長時間を要し、また大量の溶媒が必
要であり、得られるホスフィン酸類〔1〕の品質は必ず
しも良くない等の欠点があり、工業的な点からは満足な
ものではなかった。
【0003】このようなことから本発明者らはホスフィ
ン酸類〔1〕の製造方法に付き鋭意検討の結果、該ホス
フィン酸類〔1〕の粗生成物を水を主とする溶媒中、p
H4.5以下で無機塩濃度を5重量%以上で結晶化させ
ることにより従来の問題点を解決し、工業的有利にしか
も高品質ホスフィン酸類〔1〕が結晶として得られるこ
とを見いだし本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、一般式
〔1〕 (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立してアルキル基、ア
リール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基また
はシクロアルキルアルキル基を表わし、nは0または1
を表わす。)で示されるホスフィン酸類の粗生成物を、
水を主とする溶媒中、pH4.5以下で無機塩濃度を5
重量%以上で結晶化させることを特徴とする高品質ホス
フィン酸類〔1〕の製造方法に関するものである。以
下、本発明を詳細に説明する。
【0005】一般式〔1〕で示されるホスフィン酸類の
置換基R1 、R2 としては、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、
ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチ
ル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニ
ルペンチル基、フェニルヘキシル基、ナフチルメチル
基、ナフチルエチル基等のアリールアルキル基、シクロ
プロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シ
クロオクチル基等のシクロアルキル基、シクロプロピル
メチル基、シクロプロピルエチル基、シクロプロピルブ
チル基、シクロプロピルヘキシル基、シクロペンチルメ
チル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチ
ル基、シクロペンチルヘキシル基、シクロヘキシルメチ
ル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル
基、シクロヘキシルヘキシル基、シクロオクチルメチル
基、シクロオクチルエチル基、シクロオクチルブチル基
等のシクロアルキルアルキル基等を挙げることができ、
置換基R1 、R2 は炭素12以下であることが好まし
い。ホスフィン酸類〔1〕の具体例としては、例えば、
〔ヒドロキシ(エチル)ホスフィニル〕酢酸、2−〔ヒ
ドロキシ(エチル)ホスフィニル〕シクロペンチル酢
酸、2−〔ヒドロキシ(エチル)ホスフィニル〕シクロ
ヘキシル酪酸、3−〔ヒドロキシ(プロピル)ホスフィ
ニル〕−2−フェニルプロピオン酸、3−〔ヒドロキシ
(ペンチル)ホスフィニル〕酪酸、〔ヒドロキシ(フェ
ニル)ホスフィニル〕酢酸、2−〔ヒドロキシ(p−ト
リル)ホスフィニル〕プロピオン酸、〔ヒドロキシ(ベ
ンジル)ホスフィニル〕酢酸、3−〔ヒドロキシ(2−
フェニルエチル)ホスフィニル〕プロピオン酸、〔ヒド
ロキシ(4−フェニルブチル)ホスフィニル〕酢酸、
[ヒドロキシ〔4−(4−エチルフェニル)メチル〕ホ
スフィニル]酢酸、〔ヒドロキシ(シクロペンチル)ホ
スフィニル〕酢酸、3−〔ヒドロキシ(シクロヘキシ
ル)ホスフィニル〕プロピオン酸、3−〔ヒドロキシ
(シクロペンチル)ホスフィニル〕酪酸、〔ヒドロキシ
(シクロペンチルエチル)ホスフィニル〕酢酸、3−
〔ヒドロキシ(シクロヘキシルエチル)ホスフィニル〕
プロピオン酸、3−〔ヒドロキシ(シクロヘキシルメチ
ル)ホスフィニル〕酪酸等を挙げることができる。
【0006】水を主とする溶媒としては、通常、水が用
いられるが、水と相溶性の有機溶媒を少量添加すること
もできるし、ホスフィン酸類〔1〕の粗生成物の製造に
おいて生成する、例えばメタノール、エタノール等を含
んでいてもよい。溶媒は通常、ホスフィン酸類〔1〕に
対し等重量以上が用いられる。
【0007】溶液のpHは4.5以下とすることが必要
であり、好ましくは0.5〜4、さらに好ましくは1〜
4である。pHが4.5を越えるとホスフィン酸類
〔1〕を結晶化することができない。溶液のpHの調整
は、例えば硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン
酸等の通常の酸を用いて行うことができる。
【0008】使用する無機塩としては、例えば塩化ナト
リウム、硫酸ナトリウム、臭化ナトリウム、沃化ナトリ
ウム、塩化カリウム、臭化カリウム、沃化カリウム、硫
酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化アンモニウム等の
中性塩または弱酸性塩を挙げることができる。無機塩の
濃度は溶液に対し5重量%以上とすることが必要であ
り、上限は使用する無機塩の飽和溶解度により適宜決め
られる。5重量%未満では結晶化効率がよくない。
【0009】結晶化の方法としては、例えば、ホスフィ
ン酸類〔1〕の粗生成物を溶媒に溶解し、pHを調整し
たのち無機塩を添加する方法、ホスフィン酸類〔1〕の
粗生成物、無機塩を溶媒に溶解したのちpHを調整する
方法、予め無機塩を溶媒に溶解しpHを調整した溶液
に、ホスフィン酸類〔1〕の粗生成物またはその水溶液
を添加する方法等、種々の方法を挙げることができる。
予めpHを調整する方法においても、結晶化の途中で酸
を添加する等の方法でpHを調整してもよい。
【0010】また、予め水酸化ナトリウム、炭酸カルシ
ウム等のアルカリ水溶液にホスフィン酸類〔1〕の粗生
成物を溶解させておき、酸でpHを調整することにより
使用する無機塩の一部または全部を生成させることもで
きる。さらにpHを調整するに際し、pH4.5より高
い時点、好ましくはpH5〜7で不純物を除いておけ
ば、ホスフィン酸類〔1〕がより精製されるので有利で
ある。その方法としては、例えば有機溶媒による抽出除
去、セライト等による濾過等を挙げることができる。ま
た、ホスフィン酸類〔1〕の粗生成物が、例えばその製
造において、水を主とする溶媒の溶液として得られる場
合は、特にホスフィン酸類〔1〕の粗生成物を単離せず
に該溶液のまま高品質ホスフィン酸類〔1〕用原料とし
て用いてもよい。結晶化終了後、例えば、濾過、洗浄、
乾燥することにより高品質ホスフィン酸類〔1〕が結晶
として得られる。
【0011】ホスフィン酸類〔1〕の粗生成物は、例え
ば、 一般式〔3〕 (式中、R1 は前記と同じ意味を表わす。)で示される
亜ホスホン酸類と一般式〔4〕 (式中、Xはハロゲン原子を表わし、R2 およびnは前
記と同じ意味を表わす。)で示されるハロカルボン酸類
とを、シリル化剤の存在下に反応させる方法、 亜ホスホン酸類〔3〕と一般式〔5〕 (式中、R3 はアルキル基またはアリールアルキル基を
表わし、X、R2 およびnは前記と同じ意味を表わ
す。)で示されるハロエステル類とを、シリル化剤の存
在下に反応させ、一般式〔2〕 (式中、R1 、R2 、R3 およびnは前記と同じ意味を
表わす。)で示されるホスフィン酸エステル類を得たの
ち、これを加水分解する方法により得ることができる。
【0012】の方法において、ハロカルボン酸類
〔4〕の置換基Xとしては、塩素原子、臭素原子、沃素
原子等を挙げることができる。ハロカルボン酸類〔4〕
の量は、亜ホスホン酸類〔3〕に対し通常、0.1〜2
倍モルである。シリル化剤としては、例えばトリメチル
シリルクロリドおよびトリエチルアミン、モノシリルア
セトアミド、ビスシリルアセトアミド、モノシリルトリ
フルオロアセトアミド、ビスシリルアセトアミド等を挙
げることができる。シリル化剤の量は、亜ホスホン酸類
〔3〕に対し通常、0.2〜10倍モルである。また、
本反応においては必要に応じて例えば、トリエチルアミ
ン、ピリジン、N,N−ジメチルアミン等の有機塩基を
添加してもよい。本反応は通常有機溶媒中で行われ、該
有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、アセトニト
リル、ジクロロメタン、エチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等の不活性溶媒を挙げることができ
る。反応温度は通常、0〜120℃、好ましくは10〜
50℃である。反応終了後、溶媒を留去することによ
り、ホスフィン酸類〔1〕の粗生成物が得られる。
【0013】の方法において、ハロエステル類〔5〕
の置換基Xとしては、塩素原子、臭素原子、沃素原子等
を挙げることができ、R3 としては、例えば、メチル
基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基、
ベンジル基、アルキル置換ベンジル基、アルコキシ置換
ベンジル基、アルカノイル置換ベンジル基、フェニル置
換ベンジル基、ジアルキルアミノ置換ベンジル基等のア
リールアルキル基等を挙げることができる。ハロエステ
ル類〔5〕の量は、亜ホスホン酸類〔3〕に対し通常、
0.1〜2倍モルである。シリル化剤の量は、亜ホスホ
ン酸類〔3〕に対し通常、0.2〜10倍モルである。
また、本反応においては必要に応じて例えば、トリエチ
ルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミン等の有機
塩基を添加してもよい。本反応は通常有機溶媒中で行わ
れ、該有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、アセ
トニトリル、ジクロロメタン、エチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン等の不活性溶媒を挙げること
ができる。反応温度は通常、0〜120℃、好ましくは
10〜50℃である。反応終了後、溶媒を留去すること
により、ホスフィン酸エステル類〔2〕が得られるが、
該反応物を水に溶解させ、pH4〜7に調整して不純物
を除き、さらにpH0.5〜3.5で抽出すれば、ホス
フィン酸エステル類〔2〕を精製することができるので
有利である。pH4〜7で不純物を除く方法としては、
例えば有機溶媒による抽出除去、セライト等による濾過
等を挙げることができる。
【0014】前記により得られるホスフィン酸エステル
類〔2〕は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
等の通常のアルカリ水溶液を用いる通常の加水分解を行
うことによりホスフィン酸類〔1〕の粗生成物へと導く
ことができ、該ホスフィン酸類〔1〕の粗生成物は、必
要により単離することなく加水分解反応終了時の溶液の
まま高品質ホスフィン酸類〔1〕用原料として用いるこ
とができる。
【0015】亜ホスホン酸類〔3〕は、例えば一般式
〔6〕 (式中、R4 およびR5 はそれぞれ独立して水素原子、
アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、シクロ
アルキル基またはシクロアルキルアルキル基を表わ
す。)で示されるオレフィン化合物と次亜リン酸ナトリ
ウムとを過酸化物の存在下に反応させることにより得る
ことができる。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、高品質ホスフィン酸類
〔1〕を、従来に比べ工業的有利に得ることができる。
【0017】
【実施例】
製造例1 4−フェニル−1−ブテン100g、次亜リン酸ナトリ
ウム・一水和物100g、ジオキサン200gおよび水
60g を反応器に仕込み混合し、0℃で攪拌下98%硫酸
76.4gを30分間で滴下する。滴下終了後、室温ま
で昇温し、ベンゾイルペルオキシド6gを添加する。そ
の後100℃まで昇温し、8時間還流させる。その後室
温まで冷却し、クロロホルム300gを加え、攪拌後セ
ライト濾過する。濾液を濃縮する。濃縮物をクロロホル
ム/水で抽出し、有機層を濃縮する。濃縮残渣を、炭酸
カリウムでpH10に調整した水4リットルに溶解す
る。この溶液に35%塩酸を滴下して系内のpHを6ま
で下げる。この時遊離物が析出するのでクロロホルム3
00gを加え抽出し、有機層は除く。さらに水層に35
%塩酸を加え、系内がpH5のとき、およびpH4のと
きにそれぞれクロロホルム300gを加え抽出し有機層
を除く。さらに水層に35%塩酸を加え、系内のpHを
1.0に調整し、酢酸エチル600gを加え抽出する。
得られる有機層を水、飽和塩化ナトリウム水で洗浄後、
無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮してオイル状の(4
−フェニルブチル)ホスフィン酸128g(収率85
%)を得る。 TLC(ジクロロメタン/酢酸/メタノール=20/1
/1) Rf =0.37 1 H-NMR(CDCl3, δ): 1.5-1.8(m, -CH2CH2CH2-), 2.7(t,
-CH2-),6.2 and 8.2(d, P-H), 7.1-7.3(m, C6H5-), 1
0.6(bs, P-OH)
【0018】実施例1 (4−フェニルブチル)ホスフィン酸85gを含むクロ
ロホルム溶液400gを0℃に冷却し攪拌する。この溶
液にトリエチルアミン104.2gを同温度で30分間
で滴下する。次いでトリメチルシリルクロリド95.5
gを同温度で30分間で滴下する。さらに同温度でブロ
モ酢酸エチルエステル71.6gを30分間で滴下す
る。その後室温まで昇温し、5時間攪拌を続ける。その
後、反応液を、10%塩酸水溶液300mlおよび砕い
た氷300g中に注加する。さらにクロロホルム300
gを加え抽出する。水層はさらにジクロロメタン各20
0gを用いて2回抽出する。得られる有機層を併せて飽
和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、濃縮する。この濃縮
物を、炭酸水素ナトリウムでpHを8.5に調整した水
3リットルに溶解させる。35%塩酸を加え、pHを7
まで下げ、クロロホルム200gで抽出し、有機層は除
く。さらに水層に35%塩酸を加え、pHを4.3まで
下げ、クロロホルム200gで抽出し、有機層は除く。
さらに水層に35%塩酸を加えpHを1.5まで下げク
ロロホルム各300gで2回抽出する。有機層を併せて
飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後、濃縮して〔ヒドロキシ(4−フェニルブチ
ル)ホスフィニル〕酢酸エチルエステル110g(収率
90%)を得る。 TLC(ジクロロメタン/酢酸/メタノール=8/1/
1) Rf =0.31 H-NMR(CDCl3, δ): 1.2(t, -CH3), 1.4-1.7(m, -CH2CH
2CH2-), 2.4-2.6(m, Ph-CH2-), 2.8(d, P-CH2-CO-), 4.
0(t, -COO-CH2-), 7.0-7.2(m, C6H5-), 7.7-8.3(bs, P-
OH)
【0019】実施例2 20重量%水酸化ナトリウム水溶液1500gを0℃に
冷却し、攪拌下実施例1で得られた〔ヒドロキシ(4−
フェニルブチル)ホスフィニル〕酢酸エチルエステル1
00gを同温度で30分間で滴下する。その後室温まで
昇温し、8時間攪拌を続け、〔ヒドロキシ(4−フェニ
ルブチル)ホスフィニル〕酢酸の粗生成物溶液を得る。
【0020】実施例3 実施例2で得られる〔ヒドロキシ(4−フェニルブチ
ル)ホスフィニル〕酢酸の粗生成物溶液全量に、内温1
5℃で35%塩酸を加え、pHを7まで下げ、クロロホ
ルム200gで抽出し、有機層は除く。さらに水層に3
5%塩酸を加え、pHを5まで下げ、クロロホルム10
0gで抽出し、有機層は除く。さらに水層に35%塩酸
をpHが4.0になるまで加える。このとき水溶液が白
く濁ってくるので、溶液全体が薄く白くなるときに塩化
ナトリウムを飽和になるまで加える。結晶が析出するに
従ってpHが少しづつ上昇するので、35%塩酸を加
え、pHを3.5まで徐々に下げていく。その後10℃
で30分間攪拌を続けて結晶の析出を完了させる。結晶
を濾過し、エーテル各50mlで2回洗浄する。得られ
る結晶を減圧下に乾燥し、〔ヒドロキシ(4−フェニル
ブチル)ホスフィニル〕酢酸の結晶85.1g〔純度9
9.3%(LC面百値、LC条件:カラム−Zorbax NH2
(5μ)4.6mmφ×15cm, 室温, 検出器−UV 215nm, 液相−
0.2%H3PO4/CH3CN/CH3OH=4/5/1(v/v/v), 1ml/min. )、
収率95%〕を得る。1 H-NMR(CDCl3, δ): 1.5-2.0(m, -CH2CH2CH2-), 2.4-2.
6(bs, Ph- CH2-), 2.9(d, P-CH2-CO-), 6.9-7.3(m, C6H
5-), 8.2-9.2(b, HO-P-CH2-COOH)
【0021】実施例4 (4−フェニルブチル)ホスフィン酸85gを含むクロ
ロホルム溶液400gを0℃に冷却し攪拌する。この溶
液にトリエチルアミン156.3gを同温度で30分間
で滴下する。次いでトリメチルシリルクロリド143.
3gを同温度で30分間で滴下する。さらに同温度でブ
ロモ酢酸59.8gを30分間で滴下する。その後室温
まで昇温し、5時間攪拌を続ける。その後、反応液を、
10%塩酸水溶液500mlおよび砕いた氷300g中
に注加する。さらにクロロホルム400gを加え抽出す
る。水層はさらにジクロロメタン各200gを用いて2
回抽出する。得られる有機層を併せて飽和塩化ナトリウ
ム水溶液で洗浄後、濃縮して〔ヒドロキシ(4−フェニ
ルブチル)ホスフィニル〕酢酸の粗生成物を得る。
【0022】実施例5 実施例4で得られる〔ヒドロキシ(4−フェニルブチ
ル)ホスフィニル〕酢酸の粗生成物全量を、水酸化ナト
リウムでpHを10に調整した水1500gに溶解す
る。35%塩酸を攪拌下加え、pHを7まで下げ、クロ
ロホルム200gで抽出し、有機層は除き水層をセライ
ト濾過する。さらに水層に35%塩酸を加え、pHを5
まで下げ、クロロホルム100gで抽出し、有機層は除
く。さらに水層に35%塩酸をpHが4.0になるまで
加える。このとき水溶液が白く濁ってくるので、溶液全
体が薄く白くなるときに塩化ナトリウムを飽和になるま
で加える。結晶が析出するに従ってpHが少しづつ上昇
するので、35%塩酸を加え、pHを3.5まで徐々に
下げていく。その後10℃で30分間攪拌を続けて結晶
の析出を完了させる。結晶を濾過し、エーテル各50m
lで2回洗浄する。得られる結晶を減圧下に乾燥し、
〔ヒドロキシ(4−フェニルブチル)ホスフィニル〕酢
酸の結晶95.6g〔純度98.9%(LC面百値、L
C条件は実施例3と同一)、収率85%〕を得る。
【0023】比較例1 実施例4で得られる〔ヒドロキシ(4−フェニルブチ
ル)ホスフィニル〕酢酸の粗生成物を5リットルのエー
テルに溶解し、攪拌下ヘキサンを系内が白濁するまで滴
下する。その後室温で終夜静置して結晶を析出させ、さ
らに冷蔵庫の中で12時間0℃で静置する。析出した固
体を濾過し、ヘキサン8.5リットルとエーテル8.5
リットルで該固体を洗浄し、さらに同量のヘキサンとエ
ーテルで洗浄する。固体を減圧乾燥し、〔ヒドロキシ
(4−フェニルブチル)ホスフィニル〕酢酸131g
〔純度68%((LC面百値、LC条件は実施例3と同
一)、収率81%)を得る。
【0024】実施例6 (4−フェニルブチル)ホスフィン酸85gを含むクロ
ロホルム溶液400gを0℃に冷却し攪拌する。この溶
液にトリエチルアミン104.2gを同温度で30分間
で滴下する。次いでトリメチルシリルクロリド95.5
gを同温度で30分間で滴下する。さらに同温度でブロ
モ酢酸ベンジルエステル98.5gを30分間で滴下す
る。その後室温まで昇温し、5時間攪拌を続ける。その
後、反応液を、10%塩酸水溶液300mlおよび砕い
た氷300g中に注加する。さらにクロロホルム300
gを加え抽出する。水層はさらにジクロロメタン各20
0gを用いて2回抽出する。得られる有機層を併せて飽
和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、濃縮する。この濃縮
物を、炭酸水素ナトリウムでpHを8.5に調整した水
4リットルに溶解させる。35%塩酸を加え、pHを7
まで下げ、クロロホルム200gで抽出し、有機層は除
く。さらに水層に35%塩酸を加えpHを1.5まで下
げクロロホルム各300gで2回抽出する。有機層を併
せて飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで乾燥後、濃縮して〔ヒドロキシ(4−フェニル
ブチル)ホスフィニル〕酢酸ベンジルエステル134.
9g(収率90%)を得る。 TLC(ジクロロメタン/酢酸/メタノール=20/1
/1) Rf =0.25 1 H-NMR(CDCl3, δ): 1.2(t, -CH3), 1.4-1.7(m, -CH2CH
2CH2-), 2.4-2.6(m, Ph-CH2-), 2.8(d, P-CH2-CO-), 5.
3(s, -COO-CH2-Ph), 7.0-7.4(m, C6H5- ×2), 7.7-8.3
(bs, P-OH)
【0025】実施例7 実施例6で得られる〔ヒドロキシ(4−フェニルブチ
ル)ホスフィニル〕酢酸ベンジルエステルを用いる以外
は実施例2と同様の操作を行えば、〔ヒドロキシ(4−
フェニルブチル)ホスフィニル〕酢酸の粗生成物溶液が
得られる。
【0026】実施例8 実施例7で得られる〔ヒドロキシ(4−フェニルブチ
ル)ホスフィニル〕酢酸の粗生成物溶液を用いる以外は
実施例3と同様の操作を行えば、〔ヒドロキシ(4−フ
ェニルブチル)ホスフィニル〕酢酸の結晶が得られる。 実施例9 ブロモ酢酸メチルエステル65.8gを用いる以外は実
施例2と同様の操作を行い、〔ヒドロキシ(4−フェニ
ルブチル)ホスフィニル〕酢酸メチルエステル108g
(収率93%)を得る。 TLC(ジクロロメタン/酢酸/メタノール=8/1/
1) Rf =0.251 H-NMR(CDCl3, δ): 1.4-1.7(m, -CH2CH2CH2-), 2.4-2.
6(m, Ph-CH2-), 2.8(d,P-CH2-CO-), 3.8(s, -COO-CH3),
7.0-7.2(m, C6H5-), 7.7-8.3(bs, P-OH)
【0027】実施例10 実施例9で得られる〔ヒドロキシ(4−フェニルブチ
ル)ホスフィニル〕酢酸メチルエステルを用いる以外は
実施例2と同様の操作を行えば、〔ヒドロキシ(4−フ
ェニルブチル)ホスフィニル〕酢酸の粗生成物溶液が得
られる。
【0028】実施例11 実施例10で得られる〔ヒドロキシ(4−フェニルブチ
ル)ホスフィニル〕酢酸の粗生成物溶液を用いる以外は
実施例3と同様の操作を行えば、〔ヒドロキシ(4−フ
ェニルブチル)ホスフィニル〕酢酸の結晶が得られる。
【0029】実施例12 4−フェニル−1−ブテン100g、次亜リン酸ナ
トリウム・一水和物100g、ジオキサン200gおよ
び水60g を反応器に仕込み混合し、0℃で攪拌下98%
硫酸76.4gを30分間で滴下する。滴下終了後、室
温まで昇温し、ベンゾイルペルオキシド6gを添加す
る。その後100℃まで昇温し、8時間還流させる。そ
の後室温まで冷却し、クロロホルム300gを加え、攪
拌後セライト濾過する。濾液を濃縮する。濃縮物をクロ
ロホルム/水で抽出し、有機層を濃縮する。 濃縮残渣をクロロホルム800gに溶解し、0℃に
冷却し攪拌する。この溶液にトリエチルアミン182.
4gを同温度で30分間で滴下する。次いでトリメチル
シリルクロリド167.1gを同温度で30分間で滴下
する。さらに同温度でブロモ酢酸エチルエステル12
5.3gを30分間で滴下する。その後室温まで昇温
し、5時間攪拌を続ける。その後、反応液を、10%塩
酸水溶液600mlおよび砕いた氷600g中に注加す
る。さらにクロロホルム600gを加え抽出する。水層
はさらにジクロロメタン各400gを用いて2回抽出す
る。得られる有機層を併せて飽和塩化ナトリウム水溶液
で洗浄後、濃縮する。 濃縮残渣を、0℃に冷却した20重量%水酸化ナト
リウム水溶液3000gに同温度で滴下する。その後室
温まで昇温し、10時間攪拌を続ける。 次に内温15℃で35%塩酸を加え、pHを7まで
下げ、クロロホルム400gで抽出し、有機層は除く。
さらに水層に35%塩酸を加え、pHを5まで下げ、ク
ロロホルム200gで抽出し、有機層は除く。さらに水
層に35%塩酸をpHが4.0になるまで加える。この
とき水溶液が白く濁ってくるので、溶液全体が薄く白く
なるときに塩化ナトリウムを飽和になるまで加える。結
晶が析出するに従ってpHが少しづつ上昇するので、3
5%塩酸を加え、pHを3.5まで徐々に下げていく。
その後10℃で30分間攪拌を続けて結晶の析出を完了
させる。結晶を濾過し、エーテル各100mlで2回洗
浄する。得られる結晶を減圧下に乾燥し、〔ヒドロキシ
(4−フェニルブチル)ホスフィニル〕酢酸の結晶15
6g〔純度99.5%(LC面百値、LC条件は実施例
3と同一、収率80%〕を得る。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式〔1〕 (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立してアルキル基、ア
    リール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基また
    はシクロアルキルアルキル基を表わし、nは0または1
    を表わす。)で示されるホスフィン酸類の粗生成物を、
    水を主とする溶媒中、pH4.5以下で無機塩濃度を5
    重量%以上で結晶化させることを特徴とする高品質ホス
    フィン酸類〔1〕の製造方法。
  2. 【請求項2】ホスフィン酸類〔1〕の粗生成物が、予め
    ホスフィン酸類の水を主とする溶媒中においてpH5〜
    7で不純物を除いたものである請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】ホスフィン酸類〔1〕の粗生成物が、一般
    式〔3〕 (式中、R1 は前記と同じ意味を表わす。)で示される
    亜ホスホン酸類と一般式〔4〕 (式中、Xはハロゲン原子を表わし、R2 およびnは前
    記と同じ意味を表わす。)で示されるハロカルボン酸類
    とを、シリル化剤の存在下に反応させることにより得ら
    れたものである請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】ホスフィン酸類〔1〕の粗生成物が、亜ホ
    スホン酸類〔3〕と一般式〔5〕 (式中、R3 はアルキル基またはアリールアルキル基を
    表わし、X、R2 およびnは前記と同じ意味を表わ
    す。)で示されるハロエステル類とを、シリル化剤の存
    在下に反応させ、一般式〔2〕 (式中、R1 、R2 、R3 およびnは前記と同じ意味を
    表わす。)で示されるホスフィン酸エステル類を得たの
    ち、これを加水分解することにより得られたものである
    請求項1または2に記載の方法。
  5. 【請求項5】ホスフィン酸エステル類〔2〕が、亜ホス
    ホン酸類〔3〕とハロエステル類〔5〕とを、シリル化
    剤の存在下に反応させたのち、得られる反応物を水に溶
    解し、pH4〜7で不純物を除き、pH0.5〜3.5
    で抽出することにより得られたものである請求項4に記
    載の方法。
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