JP3003366U - マグネシウム合金製ホイール - Google Patents

マグネシウム合金製ホイール

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宣夫 坂手
庄司 平原
幸男 山本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】連続鋳造素材を用いて、アルミニウム溶湯鍛造
部材に匹敵する物性を有するホイールを提供すること。 【構成】 下記のように従来のAZ61合金およびAZ
80合金のほぼ中間の合金組成を選択し、平均結晶粒径
を50μm以下に塑性加工してやると、アルミニウム溶
湯鍛造部材以上の機械的性質および耐食性に優れた自動
車用ホイールを製造することができ、アルミホイールの
2/3の重量とすることができる。 Al: 6.2〜7.6 wt.% Mn: 0.15〜0.5wt.% Zn: 0.4〜0.8wt.% Mg: 残部

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案はマグネシウム合金製ホイールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マグネシウム合金はその比重が約1.8とアルミニウム合金の2/3であり、 各種部材の軽量化のための代替材料として有望視されている。しかしながら、部 品製造の主流はダイカストであるため、その適用部品はほとんどケース、カバー などの低い強度の部品である。従って、安価に鍛造可能なマグネシウム合金が提 供されれば、自動車用ホイールとしてその工業的価値は大きい。
【0003】 現在使用されているマグネシウム合金は一般に鍛造成形性が悪く、その鍛造に は比較的成形性のよいZK60合金が用いられている。しかし、この合金はジル コニウムを合金元素として多く含有させる必要があるため高価であり、かつ耐食 性が悪いという欠点を有し、ホイール用マグネシウム合金としては適当でない。
【0004】 他方、耐食性の良好な鍛造用素材としてAZ80合金の鋳造後押し出しなどの 塑性加工を施した材料などが提供されているが、これらも高価であり、しかも、 ホイールのような部材には大型鍛造部品用の押し出し素材を必要とするが、その 提供は現実的には困難である。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
従って、ホイール等に適用するためには、マグネシウム合金の大型の鍛造用部 品素材が連続鋳造法によって提供される必要があるが、ホイールには靭性(伸び 、衝撃値)が重要であり、アルミニウム鍛造部材と同等の強度を確保するために は厚肉とせざるを得ず、軽量効果が減少とするという状況にある。
【0006】 そこで、本考案は、アルミ合金製ホイールとして有用なAC4C溶湯鍛造材以 上の衝撃値を有するマグネシウム合金製ホイールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案は上記目的を達成すべく、鋭意検討の結果、従来のAZ61合金および AZ80合金のほぼ中間の合金組成を選択し、鋳造してやると、そのままで鍛造 成形性に優れ、アルミ合金鋳造材と同様にそのまま鍛造成形して強度部材として の機械的性質および耐食性に優れた鍛造ホイールを製造することができることを 見い出して完成したもので、 主たる合金元素として、Al: 6.2〜7.6 wt.%、Mn: 0.15 〜0.5wt.%、Zn: 0.4〜0.8wt.%を含有するマグネシウム合 金から製造され、最終製品の金属組織の平均結晶粒径が50μm以下であり、A C4C溶湯鍛造材以上の衝撃値を有するマグネシウム合金製ホイールにある。 特に、上記主たる合金元素が、Al: 6.6〜7.25wt.%、Mn: 0 .15〜0.5wt.%、Zn: 0.4〜0.8wt.%からなるのが衝撃値 の点から好ましい。
【0008】
【作用および効果】
本考案によれば、Al、Mn、Znを主たる合金元素として含有し、Alが6 .2〜7.6 wt.%であるマグネシウム合金の金属組織が50μm以下の平 均結晶粒径を有するため、AC4C溶湯鍛造材以上の衝撃値を有することになる 。したがって、AC4C溶湯鍛造材製ホイールの2/3の重量で、同等以上の衝 撃値を有するマグネシウム合金製ホイールを提供することができる。 さらに、最終形状製品に溶体化処理と人工時効処理を施すことにより、AZ9 1D以上の耐食性を有するマグネシウム合金製ホイールを提供することができる 。
【0009】 このマグネシウム合金製ホイール2はアルミ合金製ホイールに比して耐食性に 劣る。そこで、図22に示すようにその表面に化成皮膜21が形成され、さらに その表面に塗膜層22が被覆されて表面処理が施される。マグネシウム合金の耐 食性をさらに向上させるためである。化成皮膜としては、クロメート処理皮膜等 が挙げられるが、廃液処理の容易性からリン酸亜鉛処理皮膜が好ましい。 塗膜層は、カチオン電着塗装あるいは粉体塗装等により成形することができる 。 他方、鍛造成形が容易であるように、図23では本体2をディスク部2Aとリ ム部2Bとに区分して別体として成形し、ボルトB等にて結合させるようにして もよい。この場合、ディスク部2Aを上記マグネシウム合金製となし、リム部2 Bをアルミ合金等の軽合金製とするのがよい。
【0010】 (合金成分) マグネシウム合金を強度部品に適用する場合、耐食性を考慮するとAl−Zn− Mn系合金が優れている。しかしながら、この合金の結晶粒径と強度特性(引張 強度、伸び、耐食性、衝撃特性)およびAl添加量との間には密接な関係があり、 適性な値を選定する必要がある。そこで、Al添加量を低下させてやると、伸び 、衝撃値は向上する反面、耐食性が低下してくる傾向にある。他方、結晶粒径を 微細にする程、溶体化処理後人工時効処理(例えば、T6処理)によって耐食性 が向上するという新しい知見が得られた。そこで、適性な粒径を選択することで 、強度、耐食性の向上を図ることにした。本考案はAl合金(例えば、JIS規格 AC4Cの溶湯鍛造材、JIS規格6061鍛造材)並の強度特性を有している 必要があるので、アルミ添加量6〜9重量%の範囲でAC4C溶湯鍛造材との引 張強度および伸びとの比較を行った。この結果を図3に示す。図3から引張強度 の点においてはAl6〜8.5重量%までに良好な、すなわちAC4C溶湯鍛造 材以上の引張強度が得られることが分かった。しかしながら、伸びの点において AC4C溶湯鍛造材以上の特性を得るためにはAl6.2重量%以上、8重量% 以下である必要があることが分かった。ここでの特性の比較は通常鍛造において 必要とする据え込み率60%における引張強さおよび伸びの向上特性を考慮した ものである。従って、引張強さおよび伸びの関係からいうと、Al添加量は6. 2重量%以上、8重量%以下が好ましいことが分かる。
【0011】 他方、シャルピー衝撃値を検討すると、図4に示すように、Al添加量が7. 6重量%を越えるとAC4Cアルミニウム溶湯鍛造材以下のシャルピー衝撃値に 急激に落ちることが分かった。従って、アルミニウムの成分範囲は上限はシャル ピー衝撃値により、下限は引張特性により規定するのが望ましいことが分かった 。そこで、Al添加量は6.2重量%以上、7.6重量%以下とした。
【0012】 次に、合金元素Znについてであるが、これはAlと同様にマグネシウム合金に 強度特性を与える元素である。大径の鍛造ビレットを得るためには連続鋳造法に よる鋳造によるしかない。この場合、結晶粒径は冷却速度、微細化剤により調製 することができるが、100μm以下にすることは難しい。そして、通常、大径 連続鋳造材の平均結晶粒径は200μm程度である。このように結晶粒径が比較 的大きい鋳造材を鍛造成形する場合、Znの添加量が成形性に影響してくる。Zn はMgAlZnの化合物として合金中に晶出し、上述したように、マグネシウム合 金の強度向上に寄与するが、多すぎると成形性を悪化し、鍛造加工上好ましくな くなる。そこで、必要な強度を得るために下限は0.4重量%以上とし、上限は 鍛造性を考慮として0.8重量%以下とした。すなわち、表3の化学成分表につ いてZn量を0.25〜1.20重量%の範囲で変化させ、Zn量の変化に伴う限 界据え込み率を考慮すると、図11に示すように、Zn0.8重量%を超えると 限界据え込み率は60%を割ることになるからである。
【0013】 合金元素Mnについては次の通りである。Mnは主にFe分を抑制する作用があ り、素材の耐食性構造に有効であるが、0.15重量%未満では効果はなく、0 .5重量%を超えると鍛造性に影響を与えるからである。 他の元素として微細化剤として添加するSrおよびCaNCNの残留があるが 、特にSrは、添加量の大小に関わらず80%前後が残留する。その残留量が0 .02重量%以上でマグネシウム合金の鋳造組織の微細化効果が現れる一方、0 .5重量%以上ではMg、Al、Zn等と化合物を形成し、鍛造性を悪化させる とともに鍛造後の機械的性質に悪影響を及ぼす。
【0014】 上記の合金成分からなる鋳造素材を塑性加工した後の、材料組織の平均結晶粒 径が100μm以下の場合は、伸び10%以上、引張強度300MPa以上の引 張特性を有するマグネシウム合金部材を提供することができることになるが、特 に、ホイール製品においては材料組織の平均結晶粒径が50μm以下とし、AC 4C溶湯鍛造材以上のシャルピー衝撃値(50J/cm2)を有する必要がある 。
【0015】 上記鍛造部材を製造するにあたっては、上記の合金元素成分からなるマグネシ ウム合金素材を平均結晶粒径200μm以下となるように鋳造し、該鋳造素材を 塑性加工に付し平均結晶粒径50μm以下の組織を有するものとなす。最終製品 形状となした後に溶体化処理とともに人工時効処理、特にT6熱処理を施すと、 AZ91D以上の耐食性を有することになる。なお、塑性加工を350℃以上で 行う場合は最終製品は人工時効処理のみを施せば、同様の効果を得ることができ る。
【0016】 上記鋳造は半溶融状態から行うのが好ましい。鍛造加工後の機械的性質の向上 を図ることができるからである。塑性加工として、鍛造成形を行うにあたっては 、限界据え込み率60%を越える歪み速度が平均結晶粒径200μm近傍では比 較的低速である必要があるため、1回目は低速で、2回目以後の工程を1回目の 工程に比し高速で行うようにするのがよい。
【0017】
【実施例】
試験例1(結晶粒径と鍛造成形性との関係) 下記表1に示す化学成分(重量%)のMg合金を用いて鍛造用素材(H42m m、φ28mm)を鋳造し、図2に示す試験装置により素材温度350℃におい て据え込み加工(歪み速度:低速、10%/sec程度)を施し、結晶粒径と限 界据え込み率(=元の高さH−クラック発生時の高さH’/H×100)との関 係を求めた。結果を図1に示す。 これにより鍛造に必要な限界据え込み率60%を越える鍛造成形性を得るため には結晶粒径200μm以下である必要があることがわかった。
【表1】
【0018】 試験例2(歪み速度と成形性の関係) 下記表2に示す化学成分(重量%)のMg合金を鍛造用素材(H42mm、φ 28mm)を平均結晶粒径200μmに鋳造し、図2に示す試験装置により素材 温度250から400℃において60%の据え込み加工を歪み速度:低速、10 0 %/secと高速103%/secで行い、限界据え込み率の変化を求めた。結 果を図8に示す。この結果から、Mg合金の鍛造成形性は歪み速度(加工速度に 関係)の影響を受け、平均結晶粒径が200μm以下の場合でも高速の場合は成 形性が劣り、鍛造温度などの製造条件が制限されることがわかる。
【0019】 そこで、鍛造温度350℃における平均結晶粒径125μm、200μmおよ び250μmの試料A、B、Cにおいて歪み速度と成形性(限界据え込み率)と の関係を見ると、図9に示す通りである。かかる結果から、平均結晶粒径200 μm近傍では歪み速度を低速にする必要があり、200μmを越えると低速でも 所定の成形性を得ることができず、反対に125μm程度になると、高速でも十 分に所定の成形性(限界据え込み率60%以上)を得ることができる。したがっ て、連続鋳造材を使用して大型鍛造部品を製造しようとする場合は200μmと する必要があることがわかる。
【表2】
【0020】 試験例3(高歪み速度下での結晶粒径と成形性の関係) 上記表2に示す化学成分(重量%)のMg合金を鍛造用素材(H42mm、φ 28mm)を平均結晶粒径50ないし250μmに鋳造し、図2に示す試験装置 により素材温度350℃において据え込み加工を歪み速度:103%/secで 行い、平均結晶粒径と限界据え込み率との関係を求めた。結果を図10に示す。 この結果から、Mg合金の鍛造成形性は高歪み速度においては、平均結晶粒径が 80μm以下の場合で限界据え込み率60%を越えることがわかった。この粒径 は鋳造素材として200μmの素材を使用すると1回の鍛造(約50%の加工率 )で達成しうるものである。
【0021】 試験例4(Zn添加量と成形性との関係) 下記表3に示す化学成分(重量%)のMg合金から鍛造用素材(H42mm、 φ28mm)を平均結晶粒径200μmに鋳造し、図2に示す試験装置により素 材温度350℃において据え込み加工を歪み速度:103%/secで行い、Z n添加量と限界据え込み率との関係を求めた。結果を図11に示す。この結果か ら、Mg合金は0.8重量%を越えると限界据え込み率60%を確保できないの で、0.8重量%以下に抑える必要があることがわかる。
【表3】
【0022】 試験例5 上記表2に示す化学成分(重量%)のMg合金と下記表4に示す従来のAZ8 0合金から鍛造用素材(H42mm、φ28mm)を平均結晶粒径200μmに 鋳造し、図2に示す試験装置により素材温度250℃および350℃において据 え込み加工を歪み速度:48mm/secで行い、歪みと変形抵抗との関係を求 めた。結果を図13に示す。この結果から、本考案Mg合金は従来のAZ80合 金に比し、鍛造荷重が低く、鍛造成形性に優れることがわかる。
【表4】
【0023】 試験例6(Al添加量と機械的性質との関係) 上記表1に示すMg合金Aの鍛造用素材に図2に示す試験装置により素材温度 300℃において据え込み加工(歪み速度:低速、10%/sec程度)を施し 、60%の据え込み率で加工後T6処理(400℃×15時間空冷後、175℃ ×16時間空冷)を施し、Al添加量と据え込み前後の引張強度および伸びの変 化の関係を求めた。結果を図3に示す。 これよりAl6.2重量%から8.0重量%まではAC4C溶湯鍛造材以上の 物性が得られることが判明した。 なお、Al添加量9.0重量%のものは60%までの据え込みが不可能であっ た。
【0024】 試験例7(Al添加量とシャルピー衝撃値との関係) 上記表1に示すMg合金の鍛造用素材に図2に示す試験装置により素材温度3 00℃において据え込み加工(歪み速度:低速、10%/sec程度)を施し、 60%の据え込み率で加工後T6処理(400℃×15時間空冷後、175℃× 16時間空冷)を施し、、T6処理後のMg合金のAl添加用量とシャルピー衝 撃特性との関係を求めると、図4に示す通りであった。 この時の平均結晶粒径は約50μmであるが、AC4C溶湯鍛造材以上のシャ ルピー衝撃値50J/cm2を有するにはAl添加量は7.6重量%以下である 必要があることがわかる。 以上の結果から、Al7.0重量%で引張強度、伸びおよびシャルピー衝撃値 が最高の結果が得られることがわかる。
【0025】 試験例8(結晶粒径と機械的性質との関係) 下記表5に示す化学成分(重量%)のMg合金を鍛造用素材(H42mm、φ 28mm)を鋳造し、図2に示す試験装置により素材温度350℃において60 %の据え込み加工(歪み速度:低速、100%/sec程度)を施し、上記実施 例1と同様のT6処理の施した後、小野式回転曲げ疲労試験に付して回転曲げ疲 労特性を求めた。その結果を図5に示す。これはAC4C溶湯鍛造材を上回るこ とを示す。
【0026】 また、T6処理後の平均結晶粒径と引張強度(MPa)、耐力及び伸び(%) の関係を図6に示す。ここから、AC4C溶湯鍛造材と同等以上の機械的性質を 備えるには、特に耐力の変曲点を考慮すると、平均結晶粒径で100μm以下で ある必要があることがわかる。
【表5】
【0027】 試験例9(結晶粒径とシャルピー衝撃値との関係) 上記表2に示す化学成分(重量%)のMg合金から鍛造用素材(H42mm、 φ28mm)を鋳造し、図2に示す試験装置により素材温度350℃において6 0%の据え込み加工(歪み速度:低速、100%/sec程度)を施し、T6処 理(400℃×10時間空冷後、175℃×16時間空冷)の施した後、平均結 晶粒径(μm)とシャルピー衝撃値(J/cm2)との関係を求めると、図7に 示す通りである。ここから、AC4C溶湯鍛造材以上の衝撃値を得るためには結 晶粒径が50μm以下である必要があることがわかる。
【0028】 試験例10(結晶粒径と耐食性の関係) 上記表2に示すAl添加量上限値Mg合金と下記表6に示すAl添加量下限値 Mg合金から鍛造用素材(H42mm、φ28mm)を鋳造し、図2に示す試験 装置により素材温度350℃において60%の据え込み加工(歪み速度:低速、 100%/sec程度)を施し、T6処理(400℃×10時間空冷後、175 ℃×16時間空冷)の施した後、平均結晶粒径(μm)と耐食性(mills/year) との関係を求めると、図12に示す通りである。ここから、結晶粒径を微細にし ていくと、200μm近傍からマグネシウム合金中最も耐食性が良好とされるA Z91D合金F(無熱処理)材に匹敵する特性が得られることがわかる。
【表6】 ここで、腐食試験は塩水噴霧試験で耐食性を評価した。試験条件は温度35℃ 、試験時間240時間、塩水濃度5重量%で、テストピース形状は表面をエメリ ー♯600研磨した50×90×5mmで、腐食量は下記式により求めた。
【数1】
【0029】 試験例11(鋳造冷却速度、塑性加工率と結晶粒径との関係) 上記表5に示す化学成分のMg合金から鍛造用素材(H42mm、φ28mm )を鋳造するに際し、微細化材CaNCNを0.5重量%添加し、冷却速度と鋳 造素材の平均結晶粒径との関係を求めると、図14に示す通りであった。 次に図2に示す試験装置により素材温度350℃において据え込み加工(歪み 速度:低速、10%/sec程度)を施し、その塑性加工率と結晶粒径の変化 の関係と求めた。結果を図15に示す。塑性加工率が大きくなるほど本考案のM g合金は結晶粒径が小さくなることがわかる。
【0030】 実施例1(鍛造ホイールの製造) 上記表2の化学成分のMg合金を使用して連続鋳造法により柱状のビレットを 製造し、これを図16に示すように荒地鍛造に付する。次にブロッカー鍛造に付 し、さらにフィニッシャー鍛造に付してホイール素材を鍛造し、最後にスピニン グ加工を施してT6処理(400℃×10時間空冷後、175℃×16時間空冷 )に付し、最終製品とする。 その結晶粒度分布を見ると、図17に示す通りであって表面領域に細かい結晶 粒度が分布している。 これに対し、上記スピニング加工を行わず、鍛造のみによって最終製品形状に 成形することもできる。この際に、図19に示すように表面領域に比較的大きい 結晶粒度が分布する場合は予め図18に示すように鍛造用ビレットにローラ加工 などの塑性加工を施しておくのが好ましい。 また、上記ローラ加工の代わりに、鍛造工程における冷却速度を速めることに より表面領域の結晶粒度を微細化するようにしてもよい。 上記最終形状製品2は図22に示すように化成処理により全体に化成皮膜21 を形成した後、塗装処理によりその化成皮膜21を塗膜層22で覆う表面処理が 行われる。
【0031】 実施例2(半溶融鋳造鍛造法) 先ず、図20の(A)〜(G)は本願発明の実施例に係るマグネシウム合金製自動 車部品(ホイール)の鋳造鍛造法による製造方法の各工程を示している。 先ず最初に、るつぼ1内に軽合金材料である上記(表5)の組成のマグネシウム 合金材2を入れてヒータにより周囲から加熱して半溶融状態にし、撹拌プレート 3を有する撹拌棒4をモータ5により回転駆動することによって次の(表7)に示 す製造条件の下で混合撹拌する。
【表7】 この工程における上記るつぼ1内のマグネシウム合金材2に対する加熱および 撹拌は、先ず初期の段階では同材料2が固相(α相)と液相との中間状態となるよ うな温度に加熱する。その後、同状態で撹拌板3により上記(表7)の条件で強制 的に撹拌する(図20のA)。 その結果、樹脂状晶(デンドライト)の固相が破砕されて球状になる。この時の 固相率は、60%以下になるようにすることが好ましい。 次に、上記のようにして固相率60%以下とされたるつぼ1内の半溶融状態の 合金材2をプランジャ9を備えたダイキャスト用のスリーブ8内に図20の(B) から同(C)の状態になるように注入する(図20の(B),(C))。 その後、上記スリーブ8をダイキャスト金型20の注入口に嵌合し、プランジ ャ9を作動させて上記半溶融状態の合金材2をダイキャスト金型20内に注入す ることによって鋳造する(ブランク製造)(図20の(D))。 上記のようにして半溶融鋳造が完了した中間成形品としての合金材2をダイキ ャスト金型20より取り出す(図20の(E))。 上記のようにして鋳造形成された中間成形品たる合金材2を鋳造素材として鍛 造用の下型11上にセットし、上型10との間で鍛造成型(1回)することにより 最終成形するとともに機械的強度を向上させる(図20の(F))。 その後、例えば400℃で4時間の空冷による溶体化処理、180℃で15時 間の空冷による人工時効処理を内容とするJIS.T6熱処理を行った上で治具 12,13に支持させて細部のスピンフォージ(スピニング加工)を実行し、最終 成形品2を得る(図20の(G))。 上記最終形状製品2には実施例1と同様に図22に示すように化成処理により 全体に化成皮膜21を形成した後、塗装処理によりその化成皮膜21を塗膜層2 2で覆う表面処理が行われてよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Mg合金鋳造素材の結晶粒径と限界据え込み
率との関係を示すグラフである。
【図2】 鋳造素材の据え込み試験の説明図である。
【図3】 本考案合金の鍛造品におけるAl添加量と引
張強度および伸びとの関係を示すグラフである。
【図4】 本考案合金の鍛造品におけるAl添加量とシ
ャルピー衝撃値との関係を示すグラフである。
【図5】 本考案合金の鍛造品における回転曲げ疲労特
性を示すグラフである。
【図6】 本考案合金の鍛造品における平均結晶粒径と
引張強度、耐力、伸びとの関係を示すグラフである。
【図7】 本考案合金の鍛造品における平均結晶粒径と
シャルピー衝撃値との関係を示すグラフである。
【図8】 本考案鋳造素材の平均結晶粒径200μmに
おける低速および高速歪み速度の加工による素材加熱温
度と限界据え込み率との関係を示すグラフである。
【図9】 本考案鋳造素材の平均結晶粒径125、20
0、250μmにおける歪み速度と限界据え込み率との
関係を示すグラフである。
【図10】 高歪み速度下での結晶粒径と生計性の関係
を示すグラフである。
【図11】 本考案鋳造素材のZn量と限界据え込み率
との関係を示すグラフである。
【図12】 Mg合金鍛造品の結晶粒径と耐食性との関
係を示すグラフである。
【図13】 本考案鋳造素材と従来のAZ80合金鋳造
素材の歪みと変形抵抗との関係を示すグラフである。
【図14】 本考案鋳造素材の鋳造時における冷却速度
と結晶粒径との関係を示すグラフである。
【図15】 本考案鋳造素材の塑性加工率と結晶粒径と
の関係を示すグラフである。
【図16】 本考案合金の連続鋳造材からホイールを成
形する場合の工程を示す工程図である。
【図17】 図16で製造されたMg合金ホイールの結
晶粒度分布図である。
【図18】 本考案鋳造素材に対して予め塑性加工を施
す場合の1例を示す概略図である。
【図19】 本考案合金を用い、従来方法で成形した場
合のホイールの結晶粒度分布図である。
【図20】 本考案合金を用い、半溶融鍛造法によりホ
イールを製造する場合の工程図である。
【図21】 本考案鍛造品の従来製品との引張強度およ
び伸びとの対比を示すグラフである。
【図22】 本考案に係るホイールの第1実施例の中心
線で切断した場合の端面図である。
【図23】 本考案に係るホイールの第2実施例の中心
線で切断した場合の端面図である。
【符号の説明】
1…るつぼ 2…本考案合金ホイール材 3…撹拌プレート 4…撹拌棒 20…ダイキャスト金型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22F 1/06 C23C 22/00 Z // C25D 13/20 A (72)考案者 山本 幸男 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (6)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる合金元素が、 Al: 6.2〜7.6 wt.% Mn: 0.15〜0.5wt.% Zn: 0.4〜0.8wt.%を含有するマグネシウ
    ム合金から製造され、その最終製品の金属組織の平均結
    晶粒径が50μm以下であり、AC4C溶湯鍛造材以上
    の衝撃値を有するマグネシウム合金製ホイール。
  2. 【請求項2】 主たる合金元素が、 Al: 6.6〜7.25wt.% Mn: 0.15〜0.5wt.% Zn: 0.4〜0.8wt.%を含有するマグネシウ
    ム合金から製造され、その最終製品の金属組織の平均結
    晶粒径が50μm以下であり、AC4C溶湯鍛造材以上
    の衝撃値を有するマグネシウム合金製ホイール。
  3. 【請求項3】 最終形状製品に、溶体化処理と人工時効
    処理を施したAZ91D以上の耐食性を有する請求項1
    または2記載のマグネシウム合金製ホイール。
  4. 【請求項4】 全体重量比がAC4C溶湯鍛造材製ホイ
    ールの2/3である請求項1ないし3のいずれかに記載
    のマグネシウム合金製ホイール。
  5. 【請求項5】 マグネシウム合金製ホイール本体2の表
    面に化成皮膜21が形成され、その表面に塗膜層22が
    被覆されてなる請求項1ないし4のいずれかに記載のマ
    グネシウム合金製ホイール。
  6. 【請求項6】 ホイールのディスク部2Aが上記マグネ
    シウム合金で形成され、リム部2Bが他の軽合金部材に
    より形成されてなるマグネシウム合金製ホイール。
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