JP3003067B2 - 多線条平衡通信線用emcフィルタ - Google Patents

多線条平衡通信線用emcフィルタ

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JP3003067B2
JP3003067B2 JP6133991A JP13399194A JP3003067B2 JP 3003067 B2 JP3003067 B2 JP 3003067B2 JP 6133991 A JP6133991 A JP 6133991A JP 13399194 A JP13399194 A JP 13399194A JP 3003067 B2 JP3003067 B2 JP 3003067B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多数の心線からなる平
衡通信線伝送路を流れるコモンモードノイズ電流を広帯
域に渡って阻止するEMC(電磁適合性)フィルタに関
する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
ISDN方式の普及と共に、標準ホームバス、高速デジ
タルバス、インタフェースケーブル及び内線バス等の多
線条(非シールド)平衡通信線伝送路を経由して機器に
侵入する外来電磁妨害による通信機器の例えば故障や性
能低下等の電磁障害が増加している。これらの電磁障害
の低減化、特に電話機やファクシミリ機器等の非アース
状態で使用されることの多い通信機器の障害防止を図る
には、以下の条件を同時に満足するEMCフィルタが必
要とされる。 (1)種々の高周波妨害電流(コモンモード)に対して
非アース状態での減衰効果が大きいこと、(2)情報信
号(ノーマルモード又はディファレンシャルモード)に
対する伝送損失が小さいこと、(3)多線条通信線の対
線間の漏話が小さいこと。
【0003】多対平衡ケーブルやフラットケーブル等の
多数の心線を有する平衡通信線伝送路において各心線内
を同一方向に流れるコモンモードノイズ電流を抑圧する
ための従来のEMCフィルタとしては、トロイダルコア
又は貫通コアを用いたチョークコイルが知られている。
【0004】図58の(A)及び(B)はトロイダルコ
アを用いた従来のチョークコイルフィルタの概略的な構
成を示す斜視図及び断面図であり、これらの図におい
て、580はリング状のトロイダルコア、581はトロ
イダルコア580に捲回されかつ図示しない通信線伝送
路のn本の線に接続されるn本のコイル、T1 、T2
3 、…、Tn はコイルの入力端子、T1'、T2'、
3'、…、Tn'はコイルの出力端子をそれぞれ示してい
る。このようなチョークコイルのコモンモードノイズ電
流の阻止能力がコイルの自己インダクタンスLによって
定まり、その自己インダクタンスLがコア580に捲回
されたコイル581の巻数Nの2乗に比例することは公
知である。従って巻数Nは、通常はできだけ大きな値に
設定される。
【0005】しかしながら、図58の(B)に示すよう
に、リング状トロイダルコア580の内側開口部を多数
のコイル581が密集して通るため、各巻線の入出力端
子間に浮遊キャパシタンスCsがどうしても発生する。
【0006】図59の(A)及び(B)は図58に示す
チョークコイルの電気的等価回路である。同図の(A)
において、Csは入出力端子間T1 −T1'、T2
2'、T3 −T3'、…、Tn −Tn'の浮遊キャパシタン
ス、Lcはコモンモード電流Icに対するインダクタン
ス(コモンモードインダクタンス)、Reはコイルの実
効抵抗である。また、同図の(B)において、Csは入
出力端子間T1 −T1'、T2 −T2'、T3 −T3'、…、
n −Tn'の浮遊キャパシタンス、Ldはノーマルモー
ド電流Inに対する漏洩インダクタンス、Rwはコイル
の巻線抵抗である。ただしこれらの図においては、隣り
合う巻線間の相互インダクタンスは省略されている。多
線条通信線において信号伝送に関わる対線間の相互イン
ダクタンスをMとすると、上述したコモンモードインダ
クタンスLc及び漏洩インダクタンスLdは、Lc=L
+M及びLd=L−Mでそれぞれ表わされる。
【0007】各線を同相で流れる高周波のコモンモード
電流Icが図58のチョークコイルフィルタの入力端子
1 、T2 、T3 、…、Tn から流入した場合、これら
コモンモード電流Icの高周波成分は、巻線を通らずに
浮遊キャパシタンスCs部分を通過して出力端子T1'、
2'、T3'、…、Tn'に達してしまう。従って、このよ
うなリング状トロイダルコア580は、コイルのインダ
クタンスLcが充分に大きい場合であっても高周波のコ
モンモードノイズ電流Icに対する阻止能力が低いとい
う問題がある。
【0008】多線条通信線の対線を流れる往復の信号電
流In(ノーマルモード電流)が高周波成分を含む電流
である場合、例えば図59の(B)に示す入出力端子間
1−T1'及びT2 −T2'の線からなる対線のごとき、
チョークコイルフィルタの対線における高周波の挿入損
失は、上述した漏洩インダクタンスLdの存在により非
常に大きくなってしまうことがある。このような挿入損
失の増加は、その対線伝送路の信号伝送を困難にするに
みならず、対線に接続された回路を動作不能にしてしま
う恐れもある。
【0009】図60は、例えばフラットケーブル等の多
線条平衡通信線の平面状に配置された線601を囲む平
板状貫通コア600を用いた従来のチョークコイルフィ
ルタの概略的な構成を示す斜視図である。この種の構造
を有するチョークコイルフィルタは、巻線間及び入出力
端子間の浮遊キャパシタンスが図58に示すフィルタの
場合に比して小さい。しかしながら、平板状ループコア
600を通信線伝送路の線601が1回貫通するのみ
(即ち等価巻数が1ターン)であるため、コモンモード
ノイズ電流Icに基づいてこのコア600内を流れる磁
束φ1 、φ2 、φ3 、…、φn によって生じるインダク
タンスLが低周波領域においてかなり小さい値となる。
従って、コモンモードノイズ電流Icを阻止するために
は、平板状ループコア600の断面積を大幅に大きくす
るか又はその軸方向長さlを大幅に長くすることが必要
となる。コア600の軸方向長さlが短い場合には線6
01を多数のコア600に次々に貫通させねばならな
い。
【0010】図61は、例えば多対平衡ケーブル等の円
形断面を備えた多線条平衡通信線の線611を囲む円筒
貫通コア610を用いた従来のチョークコイルフィルタ
の概略的な構成を示す斜視図である。この種の構造のチ
ョークコイルフィルタの問題点も、上述した図60に示
すチョークコイルフィルタの場合と同様である。
【0011】このように、図58に示すリング状トロイ
ダルコア580を用いた従来のチョークコイルフィルタ
は、浮遊キャパシタンスCsによって高周波のコモンモ
ードノイズ電流に対するノイズ阻止能力が低く、巻線の
漏洩インダクタンスLdによって高周波の伝送損失が増
大して信号伝送が妨げられるという問題点を有してい
る。また、図60に示す平板状貫通コア600を用いた
従来のチョークコイルフィルタ及び図61に示す円筒状
貫通コア610を用いた従来のチョークコイルフィルタ
は、低周波領域におけるコモンモードノイズ電流Icの
阻止能力が不充分であり、充分な阻止能力を得るために
は、コアの断面積を大幅に大とするか、コアの軸方向長
さlを著しく長くするか、又は軸方向長さlが短い場合
は多数のコアを連結して用いなければならないという問
題点を有している。
【0012】従って本発明は、多線条平衡通信線を流れ
るコモンモードノイズ電流の阻止能力が広帯域に渡って
優れている多線条平衡通信線用EMCフィルタを提供す
ることを目的としている。
【0013】さらに本発明は、多線条平衡通信線を流れ
る情報信号に対する伝送損失が小さく、これにより高速
伝送線路に適用可能な多線条平衡通信線用EMCフィル
タを提供することを目的としている。
【0014】またさらに本発明は、多線条平衡通信線の
対線間の漏話が小さい多線条平衡通信線用EMCフィル
タを提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明によれ
ば、多線条平衡通信線用EMCフィルタは、閉磁路を構
成する少なくとも1つの第1のコアアーム及び第1のコ
アアームの長さ以下の長さを有する第2のコアアームを
有している扁平形状の閉磁路コアと、少なくとも1対の
線からなる複数のコイルとを備えている。対となる線は
互いに近接して位置しておりかつそれぞれのコイルの対
となる線に同一方向に電流が流れたときに閉磁路内を磁
束が同一方向に流れるように閉磁路コアに捲回されてい
る。さらに、これら線はコイルの信号入力端から信号出
力端へ向かって一方向に進んでいる。
【0016】コイル巻線をコモンモードノイズ電流が流
れると、各コイルによって形成された磁束が閉磁路コア
内で足し合わされるので、非常に大きなインダクタンス
が得られることとなり、ノイズの侵入が阻止される。コ
イル巻線を信号電流(ノーマルモード又はディファレン
シャルモード電流)が流れると、各コイルによって形成
された磁束が閉磁路コア内で互いに打ち消し合うので、
漏洩インダクタンスが非常に小さくなり信号の伝送は妨
げられない。
【0017】本発明によれば、特に、信号を伝送する対
となる線が互いに近接して位置しておりかつ同じ閉磁路
コアに捲回されているので、漏洩磁束が発生しない。こ
のため、高速又は高周波信号の伝送に対する伝送損失が
低く抑えられ、高周波領域における信号伝送が可能とな
る。
【0018】各対となる線が互いに密着した平行な対線
によって構成されていることが好ましい。
【0019】各対となる線が互いに撚り合わされた対線
によって構成されていることも好ましい。撚り線を用い
ることによって、対線間のアンバランスがなくなるの
で、他の対線との間の漏話を非常に小さく抑えることが
可能となる。
【0020】第1のコアアームが第1の区間及び第2の
区間からなっており、各対となる線が第1の区間におい
て隣り合う巻線間にスペースを持たせ分布して捲回され
ていることが好ましい。対となる線を隣り合う巻線間に
スペースを持たせてコアに分布捲回することにより、対
線の巻線間の浮遊キャパシタンスCsを小さくすること
ができ、高周波領域においてもコモンモードノイズ電流
に対する良好な阻止特性を得ることができる。
【0021】各対となる線が第2の区間において隣り合
う巻線間にスペースなしに集中して捲回されていること
が好ましい。対となる線をこのように集中捲回すること
により、巻数を増やして低周波領域における自己インダ
クタンスを増大させることができ、その結果、低周波領
域においてもコモンモードノイズ電流に対する良好な阻
止特性を得ることができる。分布巻線部分と集中巻線部
分の両方を設けることにより、集中巻線部分で浮遊キャ
パシタンスが増加するが分布巻線部分も存在するために
全体としてはさほど大きな浮遊キャパシタンスとはなら
ず、また集中巻線部分による自己インダクタンスの増加
も相まって、広帯域で優れたノイズ抑制能力を得ること
ができる。
【0022】各対となる線が第1のコアアームにおいて
隣り合う巻線間にスペースを持たせ分布して捲回されて
おり、第2のコアアームにおいて隣り合う巻線間にスペ
ースなしに集中して捲回されていてもよい。
【0023】本発明のEMCフィルタは、好ましくは、
信号入力端が第1のコアアームの一方の端に位置すると
共に信号出力端が第1のコアアームの他方の端に位置し
ており、各線が信号入力端から出発して第1のコアアー
ムに捲回してこの第1のコアアームの軸方向に進み信号
出力端に到着するように構成されている。
【0024】本発明のEMCフィルタの第1のコアアー
ムが少なくとも入力側コアアームと出力側コアアームと
からなり、信号入力端が入力側コアアームに沿って位置
していると共に信号出力端が出力側コアアームに沿って
位置しており、各線が信号入力端から出発し入力側コア
アームから出力側コアアームに渡ってこれら入力側コア
アーム及び出力側コアアームで同じ方向に磁束が生じる
ように捲回して信号出力端に到着するように構成されて
いることも好ましい。
【0025】本発明のEMCフィルタの第1のコアアー
ムが少なくとも入力側コアアームと出力側コアアームと
からなり、信号入力端が入力側コアアームの中心部に位
置していると共に信号出力端が出力側コアアームの中心
部に位置しており、各線が信号入力端から出発し入力側
コアアームに捲回してこの入力側コアアームの一方の端
に進み出力側コアアームに渡って出力側コアアームに捲
回してこの出力側コアアームの中心部に進み信号出力端
に到着するように構成されていることも好ましい。
【0026】上述した第2の区間が第1のコアアームの
中心部近傍に位置しておりかつ第1の区間が第2の区間
の両側に位置しているか、又は上述した第1の区間が第
1のコアアームの中心部近傍に位置しておりかつ第2の
区間が第1の区間の両側に位置しているかもしれない。
【0027】閉磁路コアが互いに結合して矩形状ループ
のコアを構成する2つの平行な第1のコアアームと2つ
の平行な第2のコアアームとから構成されてもよい。
【0028】閉磁路コアが互いに結合して略菱形状ルー
プ又は長円(楕円)形状ループのコアを構成する2つの
第1のコアアームと2つの第2のコアアームとから構成
されていてもよい。
【0029】補助閉磁路コアが上述した2つの第1のコ
アアーム間にその第2の区間で掛け渡されており、対線
が第1のコアアームの第2の区間と共通に補助閉磁路コ
アにも捲回されていてもよい。
【0030】閉磁路コアがセンターコアアームとセンタ
ーコアアームの両端に接続された少なくとも2つのサイ
ドコアアームとからなっており、第1のコアアームがセ
ンターコアアームから構成されており第2のコアアーム
がサイドコアアームから構成されていてもよい。
【0031】閉磁路コアが互いに結合して2つの矩形状
ループのコアを構成するセンターコアアームとセンター
コアアームと平行な2つのサイドコアアームとセンター
コアアーム及びサイドコアアームの両端に接続された2
つの平行な第2のコアアームとからなっており、第1の
コアアームがセンターコアアームから構成されていても
よい。
【0032】この場合、補助閉磁路コアがセンターコア
アームの第2の区間を通過して2つのサイドコアアーム
間に掛け渡されており、対線がセンターコアアームの第
2の区間と共通に補助閉磁路コアにも捲回されているか
もしれない。
【0033】
【実施例】以下実施例により本発明を詳細に説明する。
【0034】図1は本発明のEMCフィルタの第1の実
施例の構成を概略的に示す平面図であり、図2は図1に
示すEMCフィルタの電気的等価回路図である。ただ
し、図2の等価回路ではコイルの実効抵抗が省略されて
いる。
【0035】図1において、10は2つの平行な第1の
コアアーム10aと2つの平行な第2のコアアーム10
bとから構成された扁平の閉磁路コアを示している。第
1のコアアーム10aと第2のコアアーム10bとは互
いに結合して(対称な)矩形状ループのコアを構成して
いる。第1のコアアーム10aは第2のコアアーム10
bより長くなっており、これら第1及び第2のコアアー
ム10a及び10bは閉磁路を構成している。この矩形
状ループコア10は、図58に示した従来のトロイダル
コア580の透磁率に等しい実効透磁率μを有してい
る。
【0036】第1のコアアーム10aには、図示しない
多線条平衡通信線の各線にそれぞれ接続される複数のコ
イルを形成する1対以上の線11が捲回されている。な
お、図1さらに以下の図においては、巻線構造を理解し
易くするために1つ又はいくつかの代表する対線のみが
示されている。図1においてこの代表する対線は、例え
ば、Wi 及びWj で示されている。
【0037】これら各となる対の線11は、互いに近接
して配置されている。特に本実施例では、各対となる線
は平行であり互いに密着している。対となるこれら線1
1は、第1のコアアーム10aの回りに、コモンモード
電流が流れたときにこの第1のコアアーム10a内を磁
束が同一方向に流れるような巻き方向で捲回されてい
る。半数の対線11が一方の第1のコアアーム10aに
捲回されており、残りの半数の対線11が他方の第1の
コアアーム10aに捲回されている。これらコイルは第
1のコアアーム10aの一端に信号入力端(入力端子)
1 、T2 、…、Ti 、Tj 、…、Tm 、Tn を有して
おり、第1のコアアーム10aの他端に信号出力端(出
力端子)T1'、T2'、…、Ti'、Tj'、…、Tm'、Tn'
を有している。対線11は、第1のコアアーム10aの
一端の信号入力端T1 、T2 、…、Ti 、Tj 、…、T
m 、Tn から、第1のコアアーム10aの他端の信号出
力端T1'、T2'、…、Ti'、Tj'、…、Tm'、Tn'へ向
かって一方向に(即ち片道のみで)戻ることなしに進ん
でいる。即ち、各対線は信号入力端から出発して第1の
コアアーム10aに捲回してその軸方向に進み信号出力
端に到着するように構成されている。
【0038】第1のコアアーム10aの各々は、その軸
に沿って3つの区間に分けられている。即ち、図1に示
すように、2つの第1の区間Sb及びScと1つの第2
の区間Saである。第2の区間Saの両側に位置する第
1の区間Sb及びScにおいて、各対線11b及び11
cは、隣り合う巻線間にスペースを持たせ分布させて
(粗に)捲回されている。第1のコアアーム10aのほ
ぼ中央に位置する第2の区間Saにおいて、各対線11
aは、隣り合う巻線間にほとんどスペースなしに集中し
て(密に)捲回されている。図1において、これら各区
間Sa、Sb及びScの入出力間浮遊キャパシタンスが
それぞれCsa 、Csb 及びCsc で表されている。こ
のように、分布巻線区間Sb及びScが集中巻線区間S
aより充分長いので、単位長当りの浮遊キャパシタンス
Csa が単位長当りの浮遊キャパシタンスCsb 及びC
c より大きくてもこの小さなCsb 及びCsc の作用
によってこれらCsa 、Csb 及びCsc を直列に合成
したと考えられる全体としての浮遊キャパシタンスCs
の増加は抑えられる。その結果、コモンモードノイズ電
流Icが高周波電流であっても、大きなインダクタンス
Lが有効に作用し、このノイズ電流の侵入を阻止するこ
とができる。
【0039】上述した第1の実施例では、第2の区間
(集中巻線区間)Saが第1のコアアーム10aのほぼ
中央に位置しているが、本発明において、この第2の区
間Saは第1のコアアーム10aのどの位置に設けられ
ていてもよいことは明らかである。
【0040】図3は全巻線区間(Sa、Sb及びSc)
の軸方向の長さ(半長)l0 に対する集中巻線区間Sa
の軸方向の長さ(半長)la の比la /l0 とコイルの
入出力間浮遊キャパシタンスCsの比Cs/Cs0 との
関係を表す図である。ただし、Cs0 はla =l0 の場
合の浮遊キャパシタンスである。この場合、分布巻線区
間Sb(Sc)における隣接巻線間のスペース(コイル
ピッチ)hは一定である(例えばh=0.5mm)。同
図からも明らかのように、la が短いほど入出力間浮遊
キャパシタンス比Cs/Cs0 が小さくなる。例えば、
a /l0 が0.2以下であれば、Cs/Cs0 は1.
2以下に抑圧されることとなる。
【0041】図4の(A)〜(C)は図1の分布巻線区
間Sb(Sc)においてコアに捲回された各対線の巻線
構造を説明する図である。同図の(A)〜(C)に示す
ように、各対となる線は、平行に互いに密着して配置さ
れている。
【0042】図4の(A)の構造においては、各対の互
いに密着して配置された線が、コア10aに単層巻きで
捲回されている。即ち、図示しないスペーサ等を挿入す
ることにより隣接する巻線間にスペースhをあけてW
1 、W2 、…、Wn の順にコア10aに沿って一方の端
から他方の端に向かってこのコア10aに捲回されてお
り(一方向巻き)しかも単層に捲回されている。この単
層一方向巻き構造によれば、浮遊キャパシタンスCsb
及びCsc の増加を防止することができ、しかも対線間
の漏洩インダクタンスを減少させることができる。
【0043】図4の(B)の構造においては、各対の互
いに密着して配置された線が、コア10aに2層巻きで
捲回されている。即ち、対線は、まず、W1 及びW2
示すように2層に2ターン分だけコア10aに捲回さ
れ、次いで、図示しないスペーサ等を挿入することによ
り隣接する巻線間にスペースhをあけて2層に2ターン
分W3 及びW4 だけ捲回する。同様にして、分布巻線区
間の最後の巻線Wn-1 及びWn まで、順にコア10aに
沿って一方の端から他方の端に向かって2層一方向巻き
が行われる。この2層一方向巻き構造によれば、浮遊キ
ャパシタンスCsb 及びCsc の増加をある程度は防止
することができ、しかも対線間の漏洩インダクタンスを
減少させることができる。
【0044】図4の(C)の構造においては、各対の線
が、コア10aに2層巻きでかつ往復して捲回されてい
る(リターン巻き)。即ち、対線は、まず、下側の層に
おいて、図示しないスペーサ等を挿入することにより隣
接する巻線間にスペースhをあけてW1 、W2 、…の順
にコア10aに沿って一方の端から他方の端に向かって
捲回されており、次いで上側の層において、…、W
n-1 、Wn で示すようにコア10aに沿って他方の端か
ら一方の端に向かって逆方向に捲回されている。しかし
ながら、この2層リターン巻き構造によると、浮遊キャ
パシタンスCsb 及びCsc の増加を効果的に抑止する
ことはできない。
【0045】図5は図4の(B)の2層一方向巻き構造
及び図4の(C)の2層リターン巻き構造における分布
巻線区間(Sb)の軸方向の長さlb に対する隣接巻線
対間のスペースhの比h/lb とコイルの入出力間浮遊
キャパシタンスCsの比Cs/Csstとの関係を表す図
である。ただし、Csstはh/lb =0.2の場合の標
準浮遊キャパシタンスである。同図からも明らかのよう
に、一方向巻き構造は、リターン巻き構造に比して、浮
遊キャパシタンスCsの増加に対する非常に優れた抑圧
効果を有しており、しかも一方向巻き構造によるこの抑
圧効果のコイルピッチhに対する依存性はかなり小さ
い。
【0046】従って、一方向巻き構造を用いることによ
り、各対線の巻線間にスペースを設けなくとも、浮遊キ
ャパシタンスCsの増加を阻止することができる。
【0047】図6の(A)及び(B)は対線Wi 及びW
j を流れるコモンモードノイズ電流Ic及び信号電流
(ノーマルモード電流)Inに対する図1の実施例によ
るEMCフィルタの動作を説明する平面図である。
【0048】図6の(A)に示すように、コモンモード
ノイズ電流Icが対線Wi 及びWjを流れると、磁束φ
ci及びφcjが第1のコアアーム10a内を流れる。これ
ら磁束φci及びφcjが閉磁路10内を同一方向に流れる
ことから互いに強め合うので閉磁路10内の磁束は増大
する。実際には、対線Wi 及びWj 以外のコイルを流れ
るコモンモードノイズ電流Icによっても同方向の磁束
が発生するので、全体としてはかなり大きなインダクタ
ンスLとして作用する。図2の等価回路から明らかのよ
うに、コイルの入出力浮遊キャパシタンスCsは浮遊キ
ャパシタンスCsa 、Csb 及びCsc の合成によって
定まる。従って、分布巻線区間Sb及びScが集中巻線
区間Saより充分長ければ、浮遊キャパシタンスCsb
及びCs c が浮遊キャパシタンスCsa に比して小さく
なるため、全体としての浮遊キャパシタンスCsの増加
は抑えられる。その結果、コモンモードノイズ電流Ic
が高周波電流であっても、大きなインダクタンスLが有
効に作用し、このノイズ電流の侵入を阻止することがで
きる。
【0049】図6の(B)に示すように、ノーマルモー
ド電流Inが対線Wi 及びWj を流れると、磁束φni
びφnjが第1のコアアーム10a内を流れる。各対線が
互いに密着した平行線でありかつ同一の磁路に巻かれて
いるため、これら磁束φni及びφnjは互いに等しい値で
あってしかも閉磁路10内を反対方向に流れることから
互いに打ち消し合う。その結果、ノーマルモード電流I
nに対してM≒Lとなって漏洩インダクタンスLdが発
生せず、挿入損失がほとんど生じない。
【0050】図7は図1に示すEMCフィルタのコモン
モード減衰量及びノーマルモード減衰量の周波数特性を
表す図である。同図において、横軸は周波数(MH
z)、縦軸はコモンモード減衰量Ac(dB)及びノー
マルモード減衰量An(dB)をそれぞれ表している。
【0051】この図には、2種類のコモンモード減衰特
性Acc及びAcsと2種類のノーマルモード減衰特性
Anc及びAnsとが示されている。Acc及びAnc
は互いに密着した対の線を巻線に使用した場合の特性、
Acs及びAnsは互いに間隔を置いて配置した対の線
を巻線に使用した場合の特性をそれぞれ示している。同
図から明らかのように、コモンモード減衰特性Ac(A
cc、Acs)は使用する対線の種類に依存しない。即
ち、その対線が互いに密着した対線であるか又は互いに
間隔を置いて配置した対線であるかに依存しない。しか
しながら、ノーマルモード減衰特性An(Anc、An
s)は、使用する対線の種類によって異なる変化を示
す。即ち、漏洩インダクタンスが生じない密着した対線
を使用した場合は、互いに間隔を置いて配置した対線を
使用した場合よりもノーマルモード減衰量Anが極めて
小さくなる。
【0052】図8は本発明のEMCフィルタの第2の実
施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施例に
おいては、閉磁路コア80の構成は図1の第1の実施例
におけるコア10の構成と全く同じである。しかしなが
ら、この実施例では、各対線81が1対の撚り線で構成
されている。撚り線を用いることによって、対線間のア
ンバランスがなくなるので、その多線条平衡通信線の他
の対線との間の漏話を非常に小さく抑えることが可能と
なる。本実施例における巻線構造等のその他の構成及び
作用効果は、図1の第1の実施例の場合と同様である。
【0053】図9は本発明のEMCフィルタの第3の実
施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施例に
おいて、閉磁路コア90の構成は図1の第1の実施例に
おけるコア10の構成と全く同じである。さらに、各対
線91自体の構成も図1の実施例における対線11の構
成と全く同じである。しかしながら、この実施例では、
各対線91が第1の実施例の場合と異なる巻線構造でコ
ア90に捲回されている。即ち、第1のコアアーム90
aの各々は、その軸に沿って3つの区間に分けられてい
る。即ち、1つの第1の区間Saと2つの第2の区間S
b及びScである。第1の区間Saは、第2の区間Sb
及びScの各々よりも長くなっている。第1のコアアー
ム90aの中央側に位置する第1の区間Saにおいて、
各対線91aは隣り合う巻線間にスペースを持たせ分布
させて(粗に)捲回されている。第1のコアアーム90
aに沿って第1の区間Saの両側に位置する第2の区間
Sb及びScにおいて、各対線91b及び91cは隣り
合う巻線間にほとんどスペースなしに集中して(密に)
捲回されている。
【0054】分布巻線区間Saが集中巻線区間Sb及び
Scより充分長いので、単位長当りの浮遊キャパシタン
スCsb 及びCsc が単位長当りの浮遊キャパシタンス
Csa より大きくてもこの小さなCsa の作用によって
全体としての浮遊キャパシタンスCsの増加は抑えられ
る。その結果、コモンモードノイズ電流Icが高周波電
流であっても、大きなインダクタンスLが有効に作用
し、このノイズ電流の侵入を阻止することができる。本
実施例におけるその他の構成及び作用効果は、図1の第
1の実施例の場合と同様である。
【0055】図10は本発明のEMCフィルタの第4の
実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施例
においては、閉磁路コア100の形状及び各対線101
の巻線構造が図1の第1の実施例におけるコア10及び
対線11の場合と異なっている。即ち、この実施例で
は、閉磁路コア100が(対称な)略菱形状ループのコ
アからなっている。このループコアは、2つの第1のコ
アアーム100aとこれら第1のコアアーム100aよ
り短い2つの第2のコアアーム100bとを互いに結合
して形成されている。従って、2つの第1のコアアーム
100a間の距離は、それらの中央部分で最も大きくな
っている。
【0056】第1のコアアーム100aの各々は、その
軸に沿って3つの区間に分けられている。即ち、図10
に示すように、2つの第1の区間Sb及びScと1つの
第2の区間Saである。第2の区間Saの両側に位置す
る第1の区間Sb及びScにおいて、各対線101b及
び101cは、隣り合う巻線間にスペースを持たせ分布
させて(粗に)捲回されている。第1のコアアーム10
0aのほぼ中央に位置する第2の区間Saにおいて、各
対線101aは、隣り合う巻線間にスペースなしに多層
に集中して(密に)捲回されている。第1のコアアーム
100aの中央部分で第1のコアアーム間に充分な距離
が得られるから、この第2の区間Saで対線を多層に多
数ターン捲回することができる。従って、コアサイズが
小さい場合にも、多層に多数ターン捲回できるからイン
ダクタンスを大幅に増大させることができる。本実施例
におけるその他の構成及び作用効果は、図1の第1の実
施例の場合と同様である。
【0057】図11は本発明のEMCフィルタの第5の
実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施例
においては、閉磁路コア110が2つの第1のコアアー
ム110aと2つの第2のコアアーム110bとを互い
に結合して形成された(対称な)長円又は楕円形状ルー
プのコアからなっている点を除いて、例えば対線111
等の構成及び作用効果は、図10の第4の実施例の場合
と同様である。第1のコアアーム110aと第2のコア
アーム110bとの境界は明確ではないが、本明細書に
おいては、長軸とほぼ平行な部分を第1のコアアーム1
10aとし、短軸と平行な部分を第2のコアアーム11
0bとする。
【0058】図12は本発明のEMCフィルタの第6の
実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施例
において、(対称な)矩形形状ループの閉磁路コア12
0は、センターコアアーム(第1のコアアーム)120
cと、このセンターコアアーム120cに平行な2つの
サイドコアアーム120aと、センターコアアーム12
0c及びサイドコアアーム120aの端部に結合した2
つの第2のコアアーム120bとからなっており、これ
ら各アームによって2つの閉磁路が形成されている。セ
ンターコアアーム120c及びサイドコアアーム120
aは、第2のコアアーム120bより長くなるように設
定されている。センターコアアーム120cには、図1
に示す第1の実施例における対線11と同様の巻線構造
で対線121が捲回されている。即ち、センターコアア
ーム120cは、その軸に沿って2つの第1の区間及び
1つの第2の区間からなる3つの区間に分けられてい
る。第2の区間の両側に位置する第1の区間において、
各対線121b及び121cは、隣り合う巻線間にスペ
ースを持たせ分布させて(粗に)捲回されている。セン
ターコアアーム120cのほぼ中央に位置する第2の区
間において、各対線121aは、隣り合う巻線間にほと
んどスペースなしに集中して(密に)捲回されている。
この集中巻線区間は、対線を多層に多数ターン捲回した
コイルで構成することもできる。本実施例におけるその
他の構成及び作用効果は、図1の第1の実施例の場合と
同様である。
【0059】図13は本発明のEMCフィルタの第7の
実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施例
において、(対称な)菱形形状ループの閉磁路コア13
0は、対角線センターコアアーム(第1のコアアーム)
130cと、この対角線センターコアアーム130cの
端部に結合した4つのサイドコアアーム(第2のコアア
ーム)130bとからなっており、2つの閉磁路が形成
されている。対角線センターコアアーム130cは、サ
イドコアアーム130bより長くなるように設定されて
いる。対角線センターコアアーム130cには、図10
に示す第4の実施例における対線101と同様に対線1
31が捲回されている。即ち、センターコアアーム13
0cは、その軸に沿って2つの第1の区間及び1つの第
2の区間からなる3つの区間に分けられている。第2の
区間の両側に位置する第1の区間において、各対線13
1b及び131cは、隣り合う巻線間にスペースを持た
せ分布させて(粗に)捲回されている。センターコアア
ーム130cのほぼ中央に位置する第2の区間におい
て、各対線131aは、隣り合う巻線間にスペースなし
に多層に集中して(密に)捲回されている。本実施例に
おけるその他の構成及び作用効果は、図1及び図10の
第1及び第4の実施例の場合と同様である。
【0060】図14は本発明のEMCフィルタの第8の
実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施例
において、(非対称な)三角形状ループ(矩形ループの
半分)の閉磁路コア140は、1つのサイドコアアーム
(第1のコアアーム)140aと、このサイドコアアー
ム140aより短い2つのサイドコアアーム(第2のコ
アアーム)140bとからなっている。サイドコアアー
ム140aには、図1に示す第1の実施例における対線
11と同様に対線141が捲回されている。即ち、サイ
ドコアアーム140aは、その軸に沿って2つの第1の
区間及び1つの第2の区間からなる3つの区間に分けら
れている。第2の区間の両側に位置する第1の区間にお
いて、各対線141b及び141cは、隣り合う巻線間
にスペースを持たせ分布させて(粗に)捲回されてい
る。サイドコアアーム140aのほぼ中央に位置する第
2の区間において、各対線141aは、隣り合う巻線間
にほとんどスペースなしに集中して(密に)捲回されて
いる。コア140が非対称であることを除いて、本実施
例におけるその他の構成及び作用効果は、図1の第1の
実施例の場合と同様である。
【0061】図15は本発明のEMCフィルタの第9の
実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施例
においては、閉磁路コア150の構成は図14の第8の
実施例におけるコア140の構成と全く同じである。し
かしながら、この実施例では、各対線151が1対の撚
り線で構成されている。撚り線を用いることによって、
対線間のアンバランスがなくなるので、その多線条平衡
通信線の他の対線との間の漏話を非常に小さく抑えるこ
とが可能となる。本実施例における巻線構造等のその他
の構成及び作用効果は、図14の第8の実施例の場合と
同様である。
【0062】図16は本発明のEMCフィルタの第10
の実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施
例において、2つの平行な第1のコアアーム160a及
び2つの平行な第2のコアアーム160bを有する閉磁
路コア160の構成は図1の第1の実施例におけるコア
10の構成と全く同じである。さらに、各対線161自
体の構成も図1の実施例における対線11の構成と全く
同じである。しかしながら、この実施例では、各対線1
61が第1の実施例の場合と異なる巻線構造でコア16
0に捲回されている。即ち、各対線161aが、第1の
コアアーム160aの各々の全長に渡って、隣り合う巻
線間にスペースを持たせ分布させて(粗に)捲回されて
おり、第2のコアアーム160bの各々に、各対線16
1bが隣り合う巻線間にほとんどスペースなしに多層構
造で集中して(密に)捲回されている。
【0063】第2のコアアーム160b間に充分な距離
が得られるから、対線を多層に多数ターン捲回すること
ができる。従って、コアサイズが小さい場合にも、多層
に多数ターン捲回できるからインダクタンスを大幅に増
大させることができる。また、分布巻線区間(第1のコ
アアーム)が集中巻線区間(第2のコアアームの一部)
より充分長いので、全体としての浮遊キャパシタンスの
増加を抑えられる。その結果、コモンモードノイズ電流
Icが高周波電流であっても、大きなインダクタンスL
が有効に作用し、このノイズ電流の侵入を阻止すること
ができる。本実施例におけるその他の構成及び作用効果
は、図1の第1の実施例の場合と同様である。
【0064】図17は本発明のEMCフィルタの第11
の実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施
例において、2つの平行な第1のコアアーム170a及
び2つの平行な第2のコアアーム170bを有する閉磁
路コア170の構成は図1の第1の実施例におけるコア
10の構成と全く同じである。さらに、第1のコアアー
ム170aの分布巻線区間(171b及び171c)並
びに集中巻線区間(171a)における各対線171の
巻線構造も図1の実施例における対線11の巻線構造と
全く同じである。しかしながら、この実施例では、矩形
形状ループの補助閉磁路コア172が2つの第1のコア
アーム170a間にその中央部(集中巻線区間)で掛け
渡されており、集中巻線区間の対線171aが第1のコ
アアーム170aと共通に補助閉磁路コア172にも捲
回されている。
【0065】共通巻線区間における大きな浮遊キャパシ
タンスにもかかわらず全体としての浮遊キャパシタンス
の増加が小さく、しかも適切な透磁率の補助コア172
を用いることによって低域におけるコモンモードインダ
クタンスを必要とする値まで高めることができるので、
高域特性の低下も少なく全体としてコモンモードノイズ
電流に対する阻止能力をさらに広帯域化することができ
る。本実施例におけるその他の構成及び作用効果は、図
1の第1の実施例の場合と同様である。
【0066】図18は本発明のEMCフィルタの第12
の実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施
例において、2つの第1のコアアーム180a及び2つ
の第2のコアアーム180bを有する閉磁路コア180
の構成は図10の第4の実施例におけるコア100の構
成と全く同じである。さらに、第1のコアアーム180
aの分布巻線区間(181b及び181c)並びに集中
巻線区間(181a)における各対線181の巻線構造
も図10の実施例における対線101の巻線構造と全く
同じである。しかしながら、この実施例では、矩形形状
ループの補助閉磁路コア182が2つの第1のコアアー
ム180a間にその中央部(集中巻線区間)で掛け渡さ
れており、集中巻線区間の対線181aが第1のコアア
ーム180aと共通に補助閉磁路コア182にも捲回さ
れている。
【0067】共通巻線区間における大きな浮遊キャパシ
タンスにもかかわらず全体としての浮遊キャパシタンス
の増加が小さく、しかも適切な透磁率の補助コア182
を用いることによって低域におけるコモンモードインダ
クタンスを必要とする値まで高めることができるので、
高域特性の低下も少なく全体としてコモンモードノイズ
電流に対する阻止能力をさらに広帯域化することができ
る。本実施例におけるその他の構成及び作用効果は、図
10の第4の実施例の場合と同様である。
【0068】図19は本発明のEMCフィルタの第13
の実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施
例において、センターコアアーム190c、2つのサイ
ドコアアーム190a及び2つ第2のコアアーム190
bを有する閉磁路コア190の構成は図12の第6の実
施例におけるコア120の構成と全く同じである。さら
に、センターコアアーム190cの分布巻線区間(19
1b及び191c)並びに集中巻線区間(191a)に
おける各対線191の巻線構造もこの実施例では集中巻
線191aが多層構造であることを除いて図12の実施
例における対線121の巻線構造と全く同じである。し
かしながら、この実施例では、センターアームを有する
矩形形状ループの補助閉磁路コア192が2つのサイド
コアアーム190a間にセンターコアアーム190cの
中央部(集中巻線区間)を通って掛け渡されており、集
中巻線区間の対線191aがセンターコアアーム190
cと共通に補助閉磁路コア192のセンターアームにも
捲回されている。
【0069】共通巻線区間における大きな浮遊キャパシ
タンスにもかかわらず全体としての浮遊キャパシタンス
の増加が小さく、しかも適切な透磁率の補助コア192
を用いることによって低域におけるコモンモードインダ
クタンスを必要とする値まで高めることができるので、
高域特性の低下も少なく全体としてコモンモードノイズ
電流に対する阻止能力をさらに広帯域化することができ
る。本実施例におけるその他の構成及び作用効果は、図
12の第6の実施例の場合と同様である。
【0070】図20は本発明のEMCフィルタの第14
の実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施
例において、2つの平行な第1のコアアーム200a及
び2つの平行な第2のコアアーム200bを有する閉磁
路コア200の構成は図16の第10の実施例における
コア160の構成と全く同じである。さらに、第1のコ
アアーム200aに分布巻きされ(201a)かつ第2
のコアアーム200bに集中巻きされた(201b)各
対線201の巻線構造も図16の実施例における対線1
61の巻線構造と全く同じである。しかしながら、この
実施例では、矩形形状ループの2つの補助閉磁路コア2
02が2つの第1のコアアーム200a間にその両端部
(集中巻線区間)でそれぞれ掛け渡されており、集中巻
線区間の対線201bが第2のコアアーム200bと共
通に補助閉磁路コア202にもそれぞれ捲回されてい
る。
【0071】共通巻線区間における大きな浮遊キャパシ
タンスにもかかわらず全体としての浮遊キャパシタンス
の増加が小さく、しかも適切な透磁率の補助コア202
を用いることによって低域におけるコモンモードインダ
クタンスを必要とする値まで高めることができるので、
高域特性の低下も少なく全体としてコモンモードノイズ
電流に対する阻止能力をさらに広帯域化することができ
る。本実施例におけるその他の構成及び作用効果は、図
16の第10の実施例の場合と同様である。
【0072】図21は本発明のEMCフィルタの第15
の実施例の構成を概略的に示す斜視図であり、図22は
この第15の実施例をより具体化した分解斜視図であ
る。
【0073】図21において、210は2つの平行な第
1のコアアーム210a1 及び210a2 と2つの平行
な第2のコアアーム210bとから構成された扁平の閉
磁路コアを示している。第1のコアアーム210a1
び210a2 と第2のコアアーム210bとは互いに結
合して(対称な)矩形状ループのコアを構成している。
第1のコアアーム210a1 及び210a2 は第2のコ
アアーム210bより長く設定されており、これら第1
のコアアーム210a1 及び210a2 並びに第2のコ
アアーム210bは閉磁路を構成している。この矩形状
ループコア210は、図58に示した従来のトロイダル
コア580の透磁率に等しい実効透磁率μを有してい
る。
【0074】第1のコアアーム210a1 及び210a
2 には、図示しない多線条平衡通信線の各線にそれぞれ
接続される複数のコイルを形成する1対以上の線211
が捲回されている。なお、図21及び図22さらに以下
の図においては、巻線構造を理解し易くするために1つ
又はいくつかの代表する対線のみが示されている。図2
1及び図22においてこの代表する対線は、例えば、W
i 及びWj で示されている。各対線(Wi 及びWj
は、コモンモード電流が流れたときに閉磁路コア210
内を磁束が同一方向に流れるように、第1のコアアーム
210a1 及び210a2 の一方にはある巻き方向で捲
回されており、他方にはこれと逆の巻き方向で捲回され
ている。
【0075】これら各対の線211は、互いに近接して
配置されている。特に本実施例では、各対の線は平行で
あり互いに密着している。これら対線からなるコイル
は、一方の第1のコアアーム(入力側コアアーム)21
0a1 の外側に信号入力端(入力端子)T1 、T2
…、Ti 、Tj 、…、Tm 、Tn を有しており、他方の
第1のコアアーム(出力側コアアーム)210a2 の反
対外側に信号出力端(出力端子)T1'、T2'、…、
i'、Tj'、…、Tm'、Tn'を有している。対線211
は、入力側コアアーム210a1 における信号入力端T
1 、T2 、…、Ti 、Tj 、…、Tm 、Tn から、出力
側コアアーム210a2 における信号出力端T1'、
2'、…、Ti'、Tj'、…、Tm'、Tn'へ向かって一方
向(片道)に戻ることなしに進んでいる。即ち、各対
線、例えば対線Wi 及びWj は、信号入力端Ti及びTj
から出発し、入力側コアアーム210a1 にその第1
の軸方向に向かって進みかつ隣り合う巻線間にスペース
を持たせて分布するように(粗に)捲回され、出力側コ
アアーム210a2 に渡り、その出力側コアアーム21
0a2 に第1の軸方向と逆の第2の軸方向に向かって進
みかつ隣り合う巻線間にスペースを持たせて分布するよ
うに(粗に)捲回され、次いで信号出力端Ti'及びTj'
に到着するように構成されている。このように入出力端
子に対して閉磁路コアが横方向に長く伸長しているEM
Cフィルタを用いると、線数の多い多線条通信線に対し
てもこのEMCフィルタを収納する接続手段等のハウジ
ングをさほど大きくすることなく接続手段等の小型化を
図ることができる。
【0076】図22に示すように、対線Wi 及びWj
は、一方のコイルボビン213a1 の巻線区間にある巻
き方向で捲回されており、他方のコイルボビン213a
2 の巻線区間にこれと逆の巻き方向で捲回されている。
各コイルボビンに捲回された対線Wi 及びWj の一端
は、これらコイルボビン213a1 及び213a2 それ
ぞれの巻線区間を形成するための分離板215a1 及び
215a2 に取り付けられた端子214a1 及び214
2 にそれぞれ電気的に接続されている。各コイルボビ
ンに捲回された対線Wi 及びWj の他端は、他方の分離
板215b1 及び215b2 に取り付けられた端子21
4b1 及び214b2 にそれぞれ電気的に接続されてい
る。端子214b1 及び214b2 は、互いに電気的に
接続されている。これによって、両方のコイルボビン2
13a1 及び213a2 に順次捲回された対線Wi 及び
j が形成されることとなる。他の対線も同様にコイル
ボビンに捲回される。このようにコイルボビン213a
1 及び213a2 にコイルが捲回された後、分割されて
いる第1のコアアーム210a1 及び210a2 がこれ
らコイルボビン213a1 及び213a2 内に挿入され
て固定される。
【0077】図23の(A)及び(B)は対線Wi 及び
j を流れるコモンモードノイズ電流Ic及び信号電流
(ノーマルモード電流)Inに対する図21及び図22
の実施例によるEMCフィルタの動作を説明する平面図
である。これらの図において対線が互いに離れて表わさ
れているが、これら対線Wi 及びWj は互いに密着した
平行線である。
【0078】図23の(A)に示すように、コモンモー
ドノイズ電流Icが対線Wi 及びWj を流れると、磁束
φci及びφcjが第1のコアアーム210a1 及び210
2内を流れる。これら磁束φci及びφcjが閉磁路21
0内を同一方向に流れることから互いに強め合うので閉
磁路210内の磁束は増大する。実際には、対線Wi
びWj 以外のコイルを流れるコモンモードノイズ電流I
cによっても同方向の磁束が発生するので、全体として
はかなり大きなインダクタンスLとして作用する。図2
1及び図22から明らかのように、各対線が2つの第1
のコアアーム210a1 及び210a2 に分布してかつ
分離して捲回されているので、入出力端間の浮遊キャパ
シタンスは全体として増加が抑えられる。その結果、コ
モンモードノイズ電流Icが高周波電流であっても、大
きなインダクタンスLが有効に作用し、このノイズ電流
の侵入を阻止することができる。
【0079】図23の(B)に示すように、ノーマルモ
ード電流Inが対線Wi 及びWj を流れると、磁束φni
及びφnjが第1のコアアーム210a1 及び210a2
内を流れる。各対線が互いに密着した平行線でありかつ
同一の磁路に巻かれているため、これら磁束φni及びφ
njは互いに等しい値であってしかも閉磁路210内を反
対方向に流れることから互いに打ち消し合う。その結
果、ノーマルモード電流Inに対してM≒Lとなって漏
洩インダクタンスLdが発生せず、挿入損失がほとんど
生じない。本実施例におけるその他の構成及び作用効果
は、図1の第1の実施例の場合と同様である。
【0080】図24は本発明のEMCフィルタの第16
の実施例の構成を概略的に示す斜視図である。この実施
例において、閉磁路コア240の構成は図21及び図2
2の第15の実施例におけるコア210の構成と全く同
じである。さらに、各対線241自体の構成も第15の
実施例における対線211の構成と全く同じである。し
かしながら、この実施例では、各対線241が第15の
実施例の場合と異なる巻線構造で第1のコアアーム24
0a1 及び240a2 に捲回されている。即ち、第1の
コアアーム240a1 及び240a2 の各々は、その軸
に沿って3つの区間に分けられている。即ち、2つの第
1の区間Sb及びScと1つの第2の区間Saとであ
る。第1の区間Sb及びScの各々は、第2の区間Sa
よりも長くなっている。第1のコアアーム240a1
び240a2 の各巻線区間の中央側に位置する第2の区
間Saにおいて、各対線241aは隣り合う巻線間にほ
とんどスペースなしに集中して(密に)捲回されてい
る。第1のコアアーム240a1 及び240a2 に沿っ
て各巻線区間の第2の区間Saの両側に位置する第1の
区間Sb及びScにおいて、各対線241b及び241
cは隣り合う巻線間にスペースを持たせ分布させて(粗
に)捲回されている。
【0081】分布巻線区間Sb及びScが集中巻線区間
Saより充分長いので、単位長当りの浮遊キャパシタン
スCsa が単位長当りの浮遊キャパシタンスCsb 及び
Cs c より大きくてもこの小さなCsb 及びCsc の作
用によって全体としての浮遊キャパシタンスCsの増加
は抑えられる。その結果、コモンモードノイズ電流Ic
が高周波電流であっても、大きなインダクタンスLが有
効に作用し、このノイズ電流の侵入を阻止することがで
きる。本実施例におけるその他の構成及び作用効果は、
図21及び図22の第15の実施例の場合と同様であ
る。
【0082】図25は本発明のEMCフィルタの第17
の実施例の構成を概略的に示す斜視図である。この実施
例においては、閉磁路コア250の構成は図24の第1
6の実施例におけるコア240の構成と全く同じであ
る。しかしながら、この実施例では、各対線251が1
対の撚り線で構成されている。撚り線を用いることによ
って、対線間のアンバランスがなくなるので、その多線
条平衡通信線の他の対線との間の漏話を非常に小さく抑
えることが可能となる。本実施例における巻線構造等の
その他の構成及び作用効果は、図24の第16の実施例
の場合と同様である。
【0083】図26は本発明のEMCフィルタの第18
の実施例の構成を概略的に示す斜視図である。この実施
例において、(対称な)矩形形状ループの閉磁路コア2
60は、センターコアアーム(第1のコアアーム)26
0a2 と、このセンターコアアーム260a2 に平行な
2つのサイドコアアーム260a1 及び260a3 (第
1のコアアーム)と、センターコアアーム260a2
びサイドコアアーム260a1 及び260a3 の端部に
結合した2つの第2のコアアーム260bとからなって
おり、これら各アームによって2つの閉磁路が形成され
ている。センターコアアーム260a2 及びサイドコア
アーム260a1 及び260a3 は、第2のコアアーム
260bより長くなるように設定されている。サイドコ
アアーム260a1 、センターコアアーム260a2
びサイドコアアーム260a3 には、図21及び図22
に示す第15の実施例における対線211と同様に対線
261が捲回されている。即ち、各対線、例えば対線W
i 及びWj は、信号入力端Ti 及びTj から出発し、入
力側サイドコアアーム260a1 にその第1の軸方向に
向かって進みかつ隣り合う巻線間にスペースを持たせて
分布するように(粗に)捲回され、センターコアアーム
260a2 に渡り、そのセンターコアアーム260a2
に第1の軸方向と逆の第2の軸方向に向かって進みかつ
隣り合う巻線間にスペースを持たせて分布するように
(粗に)捲回され、出力側サイドコアアーム260a3
に渡り、その出力側サイドコアアーム260a3 に第1
の軸方向に向かって進みかつ隣り合う巻線間にスペース
を持たせて分布するように(粗に)捲回され、次いで信
号出力端Ti'及びTj'に到着するように構成されてい
る。
【0084】図27の(A)及び(B)は対線Wi 及び
j を流れるコモンモードノイズ電流Ic及び信号電流
(ノーマルモード電流)Inに対する図26の実施例に
よるEMCフィルタの動作を説明する平面図である。こ
れらの図において対線が互いに離れて表わされている
が、これら対線Wi 及びWj は互いに密着した平行線で
ある。
【0085】図27の(A)に示すように、コモンモー
ドノイズ電流Icが対線Wi 及びWj を流れると、磁束
φci及びφcjがサイドコアアーム260a1 内を、磁束
φci' 及びφcj' がセンターコアアーム260a2
を、磁束φci''及びφcj''がサイドコアアーム260a
3 内をそれぞれ流れる。これら磁束φci、φcj
φci'、φcj' 、φci''及びφcj''が閉磁路260の各
ループ内を同一方向に流れることから互いに強め合うの
で閉磁路260内の磁束は増大する。実際には、対線W
i 及びWj 以外のコイルを流れるコモンモードノイズ電
流Icによっても同方向の磁束が発生するので、全体と
してはかなり大きなインダクタンスLとして作用する。
図26から明らかのように、各対線が3つのコアアーム
260a1 、260a2 及び260a3 に分布してかつ
分離して捲回されているので、入出力端間の浮遊キャパ
シタンスは全体として増加が抑えられる。その結果、コ
モンモードノイズ電流Icが高周波電流であっても、大
きなインダクタンスLが有効に作用し、このノイズ電流
の侵入を阻止することができる。
【0086】図27の(B)に示すように、ノーマルモ
ード電流Inが対線Wi 及びWj を流れると、磁束φni
及びφnjがサイドコアアーム260a1 内を、磁束
φni' 及びφnj' がセンターコアアーム260a2
を、及び磁束φni''及びφnj''がサイドコアアーム26
0a3 内をそれぞれ流れる。各対線が互いに密着した平
行線でありかつ同一の磁路に巻かれているため、これら
磁束φni及びφnj、磁束φni' 及びφnj' 及び磁束
φni''及びφnj''は互いに等しい値であってしかも閉磁
路260内を反対方向に流れることから互いに打ち消し
合う。その結果、ノーマルモード電流Inに対してM≒
Lとなって漏洩インダクタンスLdが発生せず、挿入損
失がほとんど生じない。本実施例におけるその他の構成
及び作用効果は、図21及び図22の第15の実施例の
場合と同様である。
【0087】図28は本発明のEMCフィルタの第19
の実施例の構成を概略的に示す斜視図である。この実施
例において、矩形形状ループを組み合わせた(非対称
な)立体の閉磁路コア280は、コーナーコアアーム
(第1のコアアーム)280a2と、このコーナーコア
アーム280a2 に平行な2つのサイドコアアーム28
0a1 及び280a3 (第1のコアアーム)と、コーナ
ーコアアーム280a2 及びサイドコアアーム280a
1 及び280a3 の端部に結合した2つの第2のコアア
ーム280bとからなっており、これら各アームによっ
て2つの閉磁路が形成されている。サイドコアアーム2
80a1 及びコーナーコアアーム280a2を含む平面
とコーナーコアアーム280a2 及びサイドコアアーム
280a3 を含む平面との角度は、これら平面の断面が
L字状となるように直角(90°)をなしている。コー
ナーコアアーム280a2 及びサイドコアアーム280
1 及び280a3 は、第2のコアアーム280bより
長くなるように設定されている。サイドコアアーム28
0a1 、コーナーコアアーム280a2 及びサイドコア
アーム280a3 には、図26に示す第18の実施例に
おける対線261と同様に対線281が捲回されてい
る。即ち、各対線、例えば対線Wi 及びWj は、信号入
力端Ti 及びTj から出発し、入力側サイドコアアーム
280a1 にその第1の軸方向に向かって進みかつ隣り
合う巻線間にスペースを持たせて分布するように(粗
に)捲回され、コーナーコアアーム280a2 に渡り、
そのコーナーコアアーム280a2 に第1の軸方向と逆
の第2の軸方向に向かって進みかつ隣り合う巻線間にス
ペースを持たせて分布するように(粗に)捲回され、出
力側サイドコアアーム280a3 に渡り、その出力側サ
イドコアアーム280a3 に第1の軸方向に向かって進
みかつ隣り合う巻線間にスペースを持たせて分布するよ
うに(粗に)捲回され、次いで信号出力端Ti'及びTj'
に到着するように構成されている。本実施例におけるそ
の他の構成及び作用効果は、図26の第18の実施例の
場合と同様である。
【0088】図29は本発明のEMCフィルタの第20
の実施例の構成を概略的に示す斜視図である。この実施
例において、矩形形状ループを組み合わせた(非対称
な)立体の閉磁路コア290は、3つのコーナーコアア
ーム(第1のコアアーム)290a2 、290a3 及び
290a4 と、これらコーナーコアアーム290a2
290a3 及び290a4 に平行な2つのサイドコアア
ーム290a1 及び290a5 (第1のコアアーム)
と、コーナーコアアーム290a2 、290a3 及び2
90a4 並びにサイドコアアーム290a1 及び290
5 の端部に結合した2つの第2のコアアーム290b
とからなっており、これら各アームによって4つの閉磁
路が形成されている。サイドコアアーム290a1 及び
コーナーコアアーム290a2 を含む平面とコーナーコ
アアーム290a2 及びコーナーコアアーム290a3
を含む平面との角度は直角(90°)をなしている。コ
ーナーコアアーム290a2 及びコーナーコアアーム2
90a3 を含む平面とコーナーコアアーム290a3
び290a4 を含む平面との角度は直角(90°)をな
している。コーナーコアアーム290a3 及び290a
4 を含む平面とコーナーコアアーム290a4 及びサイ
ドコアアーム290a5 を含む平面との角度は直角(9
0°)をなしている。従ってこれら4つの平面の断面は
W字状をなしている。即ち、この実施例の閉磁路コア2
90は、図28の実施例の閉磁路コア280を2つ結合
した形態となっている。
【0089】サイドコアアーム290a1 、コーナーコ
アアーム290a2 、コーナーコアアーム290a3
コーナーコアアーム290a4 及びサイドコアアーム2
90a5 には、図28に示す第19の実施例の対線28
1と同様に対線291が捲回されている。即ち、各対
線、例えば対線Wi 及びWj は、信号入力端Ti 及びT
j から出発し、入力側サイドコアアーム290a1 にそ
の第1の軸方向に向かって進みかつ隣り合う巻線間にス
ペースを持たせて分布するように(粗に)捲回され、コ
ーナーコアアーム290a2 に渡り、そのコーナーコア
アーム290a2に第1の軸方向と逆の第2の軸方向に
向かって進みかつ隣り合う巻線間にスペースを持たせて
分布するように(粗に)捲回され、コーナーコアアーム
290a3に渡り、そのコーナーコアアーム290a3
に第1の軸方向に向かって進みかつ隣り合う巻線間にス
ペースを持たせて分布するように(粗に)捲回され、コ
ーナーコアアーム290a4 に渡り、そのコーナーコア
アーム290a4 に第1の軸方向と逆の第2の軸方向に
向かって進みかつ隣り合う巻線間にスペースを持たせて
分布するように(粗に)捲回され、出力側サイドコアア
ーム290a5 に渡り、その出力側サイドコアアーム2
90a5 に第1の軸方向に向かって進みかつ隣り合う巻
線間にスペースを持たせて分布するように(粗に)捲回
され、次いで信号出力端Ti'及びTj'に到着するように
構成されている。本実施例におけるその他の構成及び作
用効果は、図28の第19の実施例の場合と同様であ
る。
【0090】図30は本発明のEMCフィルタの第21
の実施例の構成を概略的に示す断面図である。この実施
例は以下の点を除いて図29の第20の実施例の場合と
同様の構成及び作用効果を有している。即ち、本実施例
においては、サイドコアアーム300a1 及びコーナー
コアアーム300a2 を含む平面とコーナーコアアーム
300a2 及びコーナーコアアーム300a3 を含む平
面との角度θが直角より小さい角度となっており、コー
ナーコアアーム300a2 及びコーナーコアアーム30
0a3 を含む平面とコーナーコアアーム300a3 及び
300a4 を含む平面との角度θが直角より小さい角度
となっており、コーナーコアアーム300a3 及び30
0a4 を含む平面とコーナーコアアーム300a4 及び
サイドコアアーム300a5 を含む平面との角度θが直
角より小さい角度となっている。閉磁路コア300のこ
のような構造によれば、EMCフィルタのサイドコアア
ーム300a1 及び300a5 間の長さdを短くしてフ
ィルタ全体の寸法を小さくすることができ、しかもコモ
ンモードノイズ電流に対するインダクタンスの増大化を
図り、その結果、コモンモードノイズ電流の阻止能力を
向上させることができる。
【0091】図31は本発明のEMCフィルタの第22
の実施例の構成を概略的に示す平面図である。同図にお
いて、310は2つの平行な第1のコアアーム310a
1 及び310a2 と2つの平行な第2のコアアーム31
0bとから構成された扁平の閉磁路コアを示している。
第1のコアアーム310a1 及び310a2 と第2のコ
アアーム310bとは互いに結合して(対称な)矩形状
ループのコアを構成している。第1のコアアーム310
1 及び310a2 は第2のコアアーム310bより長
くなっており、これら第1及び第2のコアアーム310
1 及び310a2 並びに310bは閉磁路を構成して
いる。この矩形状ループコア310は、図58に示した
従来のトロイダルコア580の透磁率に等しい実効透磁
率μを有している。
【0092】第1のコアアーム310a1 及び310a
2 には、図示しない多線条平衡通信線の各線にそれぞれ
接続される複数のコイルを形成する1対以上の線311
が捲回されている。なお、図31さらに以下の図におい
ては、巻線構造を理解し易くするために1つ又はいくつ
かの代表する対線のみが示されている。各対線311
は、コモンモード電流が流れたときに閉磁路コア310
内を磁束が同一方向に流れるような巻き方向で第1のコ
アアーム310a1 及び310a2 に捲回されている。
【0093】第1のコアアーム310a1 及び310a
2 の各々は、その軸に沿って3つの区間に分けられてい
る。即ち、2つの第1の区間Sb及びScと1つの第2
の区間Saとである。第1の区間Sb及びScの各々
は、第2の区間Saよりも長くなっている。第1のコア
アーム310a1 及び310a2 の各巻線区間の中央側
に位置する第2の区間Saにおいて、各対線311aは
隣り合う巻線間にスペースなしに多層構造で集中して
(密に)捲回されている。第1のコアアーム310a1
及び310a2 に沿って各巻線区間の第2の区間Saの
両側に位置する第1の区間Sb及びScにおいて、各対
線311b及び311cは隣り合う巻線間にスペースを
持たせ分布させて(粗に)捲回されている。第1のコア
アーム310a1 及び310a2 に巻かれる対線のうち
の半数は、集中巻線区間Saから一方の分布巻線区間S
bに渡って巻かれており、残りの半数は集中巻線区間S
aから他方の分布巻線区間Scに渡って巻かれている。
【0094】これら対線からなるコイルは、入力側第1
のコアアーム310a1 の中心部に位置する集中巻線区
間Saの線に接続された信号入力端(入力端子)T1
2、…、Tm 、Tn を有しており、他方の第1のコア
アーム310a2 の中心部に位置する集中巻線区間Sa
の線に接続された信号出力端(出力端子)T1'、T2'、
…、Tm'、Tn'を有している。対線311は、入力側第
1のコアアーム310a1 における信号入力端T1 、T
2 、…、Tm 、Tn から、出力側第1のコアアーム31
0a2 における信号出力端T1'、T2'、…、Tm'、Tn'
へ向かって片道方向に戻ることなしに進んでいる。即
ち、各対線は、信号入力端T1 、T2 、…、Tm 、Tn
から出発し、入力側第1のコアアーム310a1 の集中
巻線区間Saで隣り合う巻線間にスペースなしに多層構
造で集中して(密に)捲回され、次いで分布巻線区間S
b(Sc)で隣り合う巻線間にスペースを持たせて分布
するように(粗に)捲回されて入力側第1のコアアーム
310a1 の一端に向かって進み、出力側第1のコアア
ーム310a2 に渡り、その出力側第1のコアアーム3
10a2 の分布巻線区間Sb(Sc)で隣り合う巻線間
にスペースを持たせて分布するように(粗に)捲回さ
れ、次いで集中巻線区間Saで隣り合う巻線間にスペー
スなしに多層構造で集中して(密に)捲回され入力側第
1のコアアーム310a1 の中央部に向かって進み、そ
の後、信号出力端T1'、T2'、…、Tm'、Tn'に到着す
るように構成されている。
【0095】このように入出力端子に対して閉磁路コア
が横方向に長く伸長しているEMCフィルタを用いる
と、線数の多い多線条通信線に対してもこのEMCフィ
ルタを収納する接続手段等のハウジングをさほど大きく
することなく接続手段等の小型化を図ることができる。
なお、各対の線311は、互いに近接して配置されてい
る。特に本実施例では、各対の線は互いに密着した平行
線である。
【0096】コモンモードノイズ電流が対線を流れる
と、磁束が第1のコアアーム310内を同一方向に流れ
ることから互いに強め合うので閉磁路310内の磁束は
増大する。実際には、図31に示されていないコイルを
流れるコモンモードノイズ電流によっても同方向の磁束
が発生するので、全体としてはかなり大きなインダクタ
ンスとして作用する。図31から明らかのように、各対
線が区間Sb及びScで分布巻きされておりしかも2つ
の第1のコアアーム310a1 及び310a2 に分離し
て捲回されているので、その入出力端間の浮遊キャパシ
タンス(Csa 、Csb 及びCsc の合成キャパシタン
ス)は全体として増加が抑えられる。その結果、コモン
モードノイズ電流が高周波電流であっても、大きなイン
ダクタンスが有効に作用し、このノイズ電流の侵入を阻
止することができる。
【0097】ノーマルモード電流が対線を流れると、互
いに逆方向の磁束が第1のコアアーム310a1 及び3
10a2 内を流れる。各対線が互いに密着した平行線で
ありかつ同一の磁路に巻かれているため、これら磁束は
互いに等しい値であってしかも閉磁路310内を反対方
向に流れることから互いに打ち消し合う。その結果、ノ
ーマルモード電流Inに対してM≒Lとなって漏洩イン
ダクタンスLdが発生せず、挿入損失がほとんど生じな
い。さらにこの実施例では、全ての対線が第1のコアア
ーム310a1 及び310a2 の中央に対して対称に捲
回されているので、漏話が効果的に低減せしめられる。
本実施例におけるその他の構成及び作用効果は、図1の
第1の実施例の場合と同様である。
【0098】図32は本発明のEMCフィルタの第23
の実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施
例においては、閉磁路コア320の形状が図31の実施
例におけるコア310の場合と異なっている。即ち、こ
の実施例では、閉磁路コア320が(対称な)略菱形状
ループのコアからなっている。このループコアは、2つ
の第1のコアアーム320aとこれら第1のコアアーム
320aより短い2つの第2のコアアーム320bとを
互いに結合して形成されている。従って、2つの第1の
コアアーム320a間の距離は、それらの中央部分で最
も大きくなっている。このように第1のコアアーム32
0aの中央部分でそれらの間に充分な距離が得られるか
ら、この部分で対線を多層に多数ターン捲回することが
できる。従って、コアサイズが小さい場合にも、多層に
多数ターン捲回できるからインダクタンスを大幅に増大
させることができる。本実施例におけるその他の構成及
び作用効果は、図31の第22の実施例の場合と同様で
ある。
【0099】図33は本発明のEMCフィルタの第24
の実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施
例においては、閉磁路コア330が2つの第1のコアア
ーム330aと2つの第2のコアアーム330bとを互
いに結合して形成された(対称な)長円又は楕円形状ル
ープのコアからなっている点を除いて、例えば対線33
1等の構成及び作用効果は、図32の第23の実施例の
場合と全く同様である。
【0100】図34は本発明のEMCフィルタの第25
の実施例の構成を概略的に示す平面図である。この実施
例において、2つの平行な第1のコアアーム340a及
び2つの平行な第2のコアアーム340bを有する閉磁
路コア340の構成は図31の第22の実施例における
コア310の構成と全く同じである。さらに、各対線3
41自体の構成も図31の実施例における対線311の
構成と全く同じである。しかしながら、この実施例で
は、各対線341が第22の実施例の場合と異なる巻線
構造でコア340に捲回されている。即ち、各対線34
1aが、第1のコアアーム340aの各々の全長に渡っ
て、隣り合う巻線間にスペースを持たせ分布させて(粗
に)捲回されており、第2のコアアーム340bの各々
に、各対線341bが多層に隣り合う巻線間にほとんど
スペースなしに集中して(密に)捲回されている。
【0101】第2のコアアーム340b間に充分な距離
が得られるから、対線を多層に多数ターン捲回すること
ができる。従って、コアサイズが小さい場合にも、多層
に多数ターン捲回できるからインダクタンスを大幅に増
大させることができる。また、分布巻線区間(第1のコ
アアーム)が集中巻線区間(第2のコアアームの一部)
より充分長いので、全体としての浮遊キャパシタンスの
増加を抑えられる。その結果、コモンモードノイズ電流
が高周波電流であっても、大きなインダクタンスが有効
に作用し、このノイズ電流の侵入を阻止することができ
る。本実施例におけるその他の構成及び作用効果は、図
31の第22の実施例の場合と同様である。
【0102】図35は本発明のEMCフィルタの第26
の実施例の構成を概略的に示す斜視図である。この実施
例において、2つの平行な第1のコアアーム350a及
び2つの平行な第2のコアアーム350bを有する閉磁
路コア350の構成は図31の第22の実施例における
コア310の構成と全く同じである。さらに、第1のコ
アアーム350aの分布巻線区間(351b及び351
c)並びに集中巻線区間(351a)における各対線3
51の巻線構造も図31の実施例における対線311の
巻線構造と全く同じである。しかしながら、この実施例
では、矩形形状ループの補助閉磁路コア352が2つの
第1のコアアーム350a間にその中央部(集中巻線区
間)で掛け渡されており、集中巻線区間の対線351a
が第1のコアアーム350aと共通に補助閉磁路コア3
52にも捲回されている。
【0103】共通巻線区間における大きな浮遊キャパシ
タンスにもかかわらず全体としての浮遊キャパシタンス
の増加が小さく、しかも適切な透磁率の補助コア352
を用いることによって低域におけるコモンモードインダ
クタンスを必要とする値まで高めることができるので、
高域特性の低下も少なく全体としてコモンモードノイズ
電流に対する阻止能力をさらに広帯域化することができ
る。本実施例におけるその他の構成及び作用効果は、図
31の第22の実施例の場合と同様である。
【0104】図36は本発明のEMCフィルタの第27
の実施例の構成を概略的に示す斜視図である。この実施
例において、2つの第1のコアアーム360a及び2つ
の第2のコアアーム360bを有する閉磁路コア360
の構成は図32の第23の実施例におけるコア320の
構成と全く同じである。さらに、第1のコアアーム36
0aの分布巻線区間(361b及び361c)並びに集
中巻線区間(361a)における各対線361の巻線構
造も図32の実施例における対線321の巻線構造と全
く同じである。しかしながら、この実施例では、矩形形
状ループの補助閉磁路コア362が2つの第1のコアア
ーム360a間にその中央部(集中巻線区間)で掛け渡
されており、集中巻線区間の対線361aが第1のコア
アーム360aと共通に補助閉磁路コア362にも捲回
されている。
【0105】共通巻線区間における大きな浮遊キャパシ
タンスにもかかわらず全体としての浮遊キャパシタンス
の増加が小さく、しかも適切な透磁率の補助コア362
を用いることによって低域におけるコモンモードインダ
クタンスを必要とする値まで高めることができるので、
高域特性の低下も少なく全体としてコモンモードノイズ
電流に対する阻止能力をさらに広帯域化することができ
る。本実施例におけるその他の構成及び作用効果は、図
32の第23の実施例の場合と同様である。
【0106】図37は本発明のEMCフィルタの第28
の実施例の構成を概略的に示す斜視図である。この実施
例において、2つの第1のコアアーム370a及び2つ
の第2のコアアーム370bを有する楕円又は長円形状
ループの閉磁路コア370の構成は図33の第24の実
施例におけるコア330の構成と全く同じである。さら
に、対線371の巻線構造も図33の実施例における対
線331の巻線構造と全く同じである。しかしながら、
この実施例では、円リング形状ループの補助閉磁路コア
372が2つの第1のコアアーム370a間にその中央
部(集中巻線区間)で掛け渡されており、集中巻線区間
の対線371が第1のコアアーム370aと共通に補助
閉磁路コア372にも捲回されている。
【0107】共通巻線区間における大きな浮遊キャパシ
タンスにもかかわらず全体としての浮遊キャパシタンス
の増加が小さく、しかも適切な透磁率の補助コア372
を用いることによって低域におけるコモンモードインダ
クタンスを必要とする値まで高めることができるので、
高域特性の低下も少なく全体としてコモンモードノイズ
電流に対する阻止能力をさらに広帯域化することができ
る。本実施例におけるその他の構成及び作用効果は、図
33の第24の実施例の場合と同様である。
【0108】図38は本発明のEMCフィルタの第29
の実施例の構成を概略的に示す斜視図である。この実施
例において、2つの平行な第1のコアアーム380a及
び2つの平行な第2のコアアーム380bを有する閉磁
路コア380の構成は図34の第25の実施例における
コア340の構成と全く同じである。さらに、第1のコ
アアーム380aの各々の全長に渡って設けられた分布
巻線(381a)、及び第2のコアアーム380bの各
々に多層に設けられた集中巻線(381b)からなる各
対線381の巻線構造も図34の実施例における対線3
41の巻線構造と全く同じである。しかしながら、この
実施例では、矩形形状ループの2つの補助閉磁路コア3
82が2つの第1のコアアーム380a間にその端部位
置、即ち第2のコアアーム380b(集中巻線区間)の
位置で掛け渡されており、集中巻線区間の対線381b
が第2のコアアーム380bと共通に補助閉磁路コア3
82にも捲回されている。
【0109】共通巻線区間における大きな浮遊キャパシ
タンスにもかかわらず全体としての浮遊キャパシタンス
の増加が小さく、しかも適切な透磁率の補助コア382
を用いることによって低域におけるコモンモードインダ
クタンスを必要とする値まで高めることができるので、
高域特性の低下も少なく全体としてコモンモードノイズ
電流に対する阻止能力をさらに広帯域化することができ
る。本実施例におけるその他の構成及び作用効果は、図
34の第25の実施例の場合と同様である。
【0110】図39は図8に示す第2の実施例によるE
MCフィルタのコモンモードノイズ電流減衰量及びノー
マルモード電流減衰量(Aで示されている)の対周波数
特性を図58に示すリング状トロイダルコアを用いた従
来のEMCフィルタによるそれら減衰量特性(Bで示さ
れている)と比較して表わした図である。この図からも
明らかのように、本発明によるEMCフィルタは、高周
波コモンモードノイズ電流に対して優れた阻止特性を有
すると共にノーマルモード電流に対しては非常に小さな
伝送損失を有している。
【0111】図40は図8に示す第2の実施例によるE
MCフィルタの漏話減衰量(Aで示されている)の対周
波数特性を図58に示すリング状トロイダルコアを用い
た従来のEMCフィルタによる漏話減衰量特性(Bで示
されている)と比較して表わした図である。この図から
も明らかのように、本発明によるEMCフィルタは、漏
話に対しても優れた阻止特性を有している。
【0112】以上の実施例では、各対線を密着した平行
線か又は撚り線で構成しているが、撚り線による対線を
まとめてさらに撚り線化することにより対線相互のアン
バランスがなくなり、漏話減衰特性をさらに向上させる
ことができる。
【0113】なお、本発明のEMCフィルタが、上述し
た各実施例の一部を互いに任意に組み合わせて構成でき
ることは明らかである。
【0114】以下、上述した本発明のEMCフィルタの
種々の適用例について詳しく説明する。
【0115】図41は従来のモジュラープラグ及び従来
のモジュラージャックの外観斜視図である。同図に示す
ように、多対通信線410に接続されるモジュラープラ
グは、プラグハウジング411とプラグコンタクト溝4
12とロックバー413とを有しており、モジュラージ
ャックは、ジャックハウジング414とモジュラープラ
グを受容する開口部415とモジュラープラグが結合さ
れているときにプラグコンタクト溝412と係合するス
プリングコンタクト溝416とを有している。
【0116】図42は本発明によるEMCフィルタの第
1の適用例の構成を概略的に示す斜視図である。この例
において、EMCフィルタ423は、ISDN、標準ホ
ームバス、デジタルバス、アナログ通信線又はTRコー
ド等の多線条平衡通信線に接続されるモジュラージャッ
クのハウジング424内に組み込まれている。モジュラ
ージャックハウジング424は、EMCフィルタ423
を取り付けるための内部スペースが存在している点を除
いて図41に示すハウジング414と同様の構成を有し
ている。即ち、EMCフィルタ423は、モジュラージ
ャックのハウジング424内の背面側(モジュラープラ
グを受容する開口部と反対側)に設けられている。この
EMCフィルタ423自体は、集中巻きされた対線42
1aがそのセンターコアアーム420cの一端部に位置
するように、図12に示す第6の実施例のEMCフィル
タの構造を多少変更した構成となっている。この例で
は、EMCフィルタ423がモジュラージャックハウジ
ング424内の背面側に設けられているので、ハウジン
グ424の高さ及び幅を増大させることなくEMCフィ
ルタの組み込みを行うことができる。
【0117】図43及び図44は図42の第1の適用例
の構造をより具体的に示す斜視図及び分解斜視図であ
る。これらの図に示すように、この例のモジュラージャ
ックは、ハウジングベース424a及びハウジングカバ
ー424bを具備している。ハウジングベース424a
には、スプリング端子アセンブリ425と分割されたコ
ア426a及び426b、コイルボビン427及び図示
しないコイルからなるEMCフィルタとが組み込まれて
いる。スプリング端子アセンブリ425は、接続される
べき多線条平衡通信線の線数と同数のスプリングコンタ
クト端子428を備えている。コイルボビン427は、
コイル巻線部427a、スプリングコンタクト端子接続
用端子427b及びプリント配線板接続用端子427c
を備えている。図示しない各コイルの両端は、端子42
7b及び427cにそれぞれ電気的に接続される。端子
427bは、スプリングコンタクト端子428にそれぞ
れ電気的に接続される。モジュラージャックを組み立て
る場合、スプリング端子アセンブリ425がまずハウジ
ングベース424aに組み込まれる。次いで、スプリン
グ端子428に電気的に接続されたEMCフィルタ42
3がハウジングの背面側に組み込まれる。その後、ハウ
ジングカバー424bが取り付けられ、モジュラージャ
ックを例えばプリント板に固定する固定ピン429が打
ち込まれ固定される。
【0118】図45は本発明によるEMCフィルタの第
2の適用例の構成を概略的に示す斜視図である。この例
において、EMCフィルタ453は、その背面側のみな
らず頂面側にもこのEMCフィルタを取り付ける内部ス
ペースを有している点を除いて図42に示すハウジング
424と同様の構成を有するモジュラージャックハウジ
ング454内に組み込まれている。即ち、EMCフィル
タ453は、モジュラージャックのハウジング454内
の背面側(モジュラープラグを受容する開口部と反対
側)及び頂面側に設けられている。このEMCフィルタ
453自体は、センターコアアーム450c及びサイド
コアアーム450aが折り曲げられてL字状の断面を有
しておりかつ集中巻きされた対線451aがそのセンタ
ーコアアーム450cの折り曲げ部に位置するように、
図12に示す第6の実施例のEMCフィルタの構造を多
少変更した構成となっている。この例によれば、EMC
フィルタ453がモジュラージャックハウジング454
内の背面及び頂面側に設けられているので、ハウジング
454の幅を増大させることなくEMCフィルタの組み
込みを行うことができる。
【0119】図46の(A)及び(B)は本発明による
EMCフィルタの第3の適用例の構成を概略的に示す斜
視図及び断面図である。この例において、EMCフィル
タ463は、図42に示すハウジング424と同様の構
成を有するモジュラージャックハウジング464内に組
み込まれている。即ち、EMCフィルタ463は、モジ
ュラージャックのハウジング464内の背面側(モジュ
ラープラグを受容する開口部と反対側)及び背頂面コー
ナーに設けられている。このEMCフィルタ463自体
は、センターコアアーム460c及びサイドコアアーム
460aが折り曲げられてL字状の断面を有しておりか
つ集中巻きされた対線461a及び補助閉磁路コア46
2がそのセンターコアアーム460cの折り曲げ部に位
置するように、図17に示す第11の実施例のEMCフ
ィルタの構造を多少変更した構成となっている。この例
によれば、EMCフィルタ463の主要部がモジュラー
ジャックハウジング464内の背頂面コーナーを利用し
て設けられているので、デッドスペースを有効に用いる
ことができハウジング464の寸法を増大させることな
くEMCフィルタの組み込みを行うことができる。
【0120】図47の(A)及び(B)は本発明による
EMCフィルタの第4の適用例の構成を概略的に示す斜
視図及び断面図である。この例において、EMCフィル
タ473は、このモジュラージャックが接続されるべき
多線条平衡通信線の線数と同数のサージバイパス経路用
端子479を付加的に備えている点を除いて図42に示
すハウジング424と同様の構成を有するモジュラージ
ャックハウジング474内に組み込まれている。
【0121】EMCフィルタ473の各対線コイル47
1の一端及び各サージバイパス経路用端子479は、各
スプリングコンタクト端子478に接続されている。各
対線コイル471の他端は、図示してないプリント配線
板の各入力端子に接続される各プリント配線板接続用端
子477に接続されている。各サージバイパス経路用端
子479は、プリント配線板上に設けられたバリスタ等
の図示されてないサージ吸収素子に接続されている。こ
のような構成によれば、スプリングコンタクト端子47
8を介して侵入した高周波コモンモードノイズ電流はE
MCフィルタ473で阻止され、スプリングコンタクト
端子478を介して流入したサージ電流はEMCフィル
タのコイルに印加されることなくサージバイパス経路用
端子479を通ってバイパスされる。従って、大きなサ
ージ電流が印加された場合にもコイルの焼損が防止でき
ることとなり、妨害波及びサージ電流の両方に対して同
時に防護することが可能となる。サージバイパス経路用
端子479は、必ずしも全ての対線に対して設ける必要
はなく、サージ電流の到来し易い又はサージ電流から保
護する必要のある対線に対してのみ設けてもよい。これ
によってモジュラージャックハウジングを小型化するこ
とができる。
【0122】EMCフィルタ473は、モジュラージャ
ックのハウジング474内の背面側(モジュラープラグ
を受容する開口部と反対側)に設けられている。このE
MCフィルタ473自体は、集中巻きされた対線471
aがそのセンターコアアーム470cの一端部に位置す
るように、図12に示す第6の実施例のEMCフィルタ
の構造を多少変更した構成となっている。
【0123】図48は本発明によるEMCフィルタの第
5の適用例の構成を概略的に示すと共にEMCフィルタ
が見えるようにその一部を破断した斜視図である。この
例において、EMCフィルタ483は、その頂面側にこ
のEMCフィルタを取り付ける内部スペースを有してい
る点を除いて図42に示すハウジング424と同様の構
成を有するモジュラージャックハウジング484内に組
み込まれている。即ち、EMCフィルタ483は、モジ
ュラージャックのハウジング484内の頂面側に設けら
れている。このEMCフィルタ483自体は、図21及
び図22に示す第15の実施例のEMCフィルタと全く
同じ構成となっている。このように入出力端子に対して
コアが横方向に長く伸長しているEMCフィルタを用い
ると、線数の多い多線条通信線に対してもハウジングを
さほど大きくすることなく小型化することができる。
【0124】図49は本発明によるEMCフィルタの第
6の適用例の構成を概略的に示すと共にEMCフィルタ
が見えるようにその一部を破断した斜視図である。この
例において、EMCフィルタ493は、その背面側のみ
ならず頂面側にもこのEMCフィルタを取り付ける内部
スペースを有している点を除いて図42に示すハウジン
グ424と同様の構成を有するモジュラージャックハウ
ジング494内に組み込まれている。即ち、EMCフィ
ルタ493は、モジュラージャックのハウジング494
内の背面側(モジュラープラグを受容する開口部と反対
側)及び頂面側に設けられている。このEMCフィルタ
493自体は、図28に示す第19の実施例のL字状の
断面を有するEMCフィルタと同じ構成となっている。
【0125】図50は本発明によるEMCフィルタの第
7の適用例の構成を概略的に示すと共にEMCフィルタ
が見えるようにその一部を破断した斜視図である。この
例において、EMCフィルタ503は、このEMCフィ
ルタを取り付ける内部スペースを有している点を除いて
図41に示すハウジング411と同様の構成を有するモ
ジュラープラグハウジング501内に組み込まれてい
る。このEMCフィルタ503自体は、図21及び図2
2に示す第15の実施例のEMCフィルタと全く同じ構
成となっている。
【0126】図51は本発明によるEMCフィルタの第
8の適用例の構成を概略的に示すと共にEMCフィルタ
が見えるようにその一部を破断した斜視図である。この
例において、EMCフィルタ513は、RS−232D
等の多線条(この例では4本)の平衡通信線(非アー
ス)に接続されるフラットコネクタのハウジング514
内に組み込まれている。このEMCフィルタ513自体
は、集中巻きされた対線511aがそのセンターコアア
ーム510cの一端部に位置するように、図12に示す
第6の実施例のEMCフィルタの構造を多少変更した構
成となっている。
【0127】図52は本発明によるEMCフィルタの第
9の適用例の構成を概略的に示すと共にEMCフィルタ
が見えるようにその一部を破断した斜視図である。この
例において、EMCフィルタ523は、RS−232D
等の多線条(この例では4本)の平衡通信線(非アー
ス)に接続されるフラットコネクタのハウジング524
内に組み込まれている。このEMCフィルタ523自体
は、図21及び図22に示す第15の実施例のEMCフ
ィルタと同じ構成となっている。
【0128】図53は本発明によるEMCフィルタの第
10の適用例の構成を概略的に示すと共にEMCフィル
タが見えるようにその一部を破断した斜視図である。こ
の例において、EMCフィルタ533は、RS−232
C、GP−IB又はセントロニクス仕様ケーブル等の多
線条平衡インタフェースケーブル(非アース)に接続さ
れるD型サブコネクタのハウジング534内に組み込ま
れている。このEMCフィルタ533自体は、図21及
び図22に示す第15の実施例のEMCフィルタと同じ
構成となっている。
【0129】図54は本発明によるEMCフィルタの第
11の適用例の構成を概略的に示すと共にEMCフィル
タが見えるようにその一部を破断した斜視図である。こ
の例において、EMCフィルタ543は、IC又はLS
Iチップ等のハウジング544内に組み込まれている。
このEMCフィルタ543自体は、図21及び図22に
示す第15の実施例のEMCフィルタと同じ構成となっ
ている。
【0130】図55は本発明によるEMCフィルタの第
12の適用例の構成を概略的に示すと共にEMCフィル
タが見えるようにその一部を破断した斜視図である。こ
の例において、EMCフィルタ553は、プリント配線
板実装用等に用いられる多端子コネクタのハウジング5
54内に組み込まれている。同図において、555はプ
リント配線板挿入時等のU字状又はUスリット接続端子
を示しており、556は外部接続用端子を示している。
このEMCフィルタ553自体は、図21及び図22に
示す第15の実施例のEMCフィルタと同じ構成となっ
ている。
【0131】図56の(A)及び(B)は本発明による
EMCフィルタの第13の適用例の構成を概略的に示す
と共にEMCフィルタが見えるようにその一部を破断し
た斜視図及び断面図である。この例において、薄いEM
Cフィルタ563は、プリント配線板564内に直接的
に組み込まれている。これにより、プリント配線板56
4の伝送路を流れるコモンモードノイズ電流をこのプリ
ント配線板の厚みを増大させることなしに阻止すること
ができる。このEMCフィルタ563自体は、図21及
び図22に示す第15の実施例のEMCフィルタと同じ
構成となっている。
【0132】図57の(A)及び(B)は本発明による
EMCフィルタの第14の適用例の構成を概略的に示す
と共にEMCフィルタが見えるようにその一部を破断し
た斜視図及び断面図である。この例において、薄いEM
Cフィルタ573は、フラットケーブル574内に直接
的に組み込まれている。これにより、このフラットケー
ブル574内を流れるコモンモードノイズ電流は、EM
Cフィルタ用の特別のコネクタを用意することなしに阻
止することができる。これらの図において、575はケ
ーブル574の心線を示しており、576はケーブルの
被覆を示している。このEMCフィルタ573自体は、
図21及び図22に示す第15の実施例のEMCフィル
タと同じ構成となっている。
【0133】本発明のEMCフィルタに関する上述した
適用例においては、特定の実施例によるEMCフィルタ
が、モジュラージャック、モジュラープラグ、フラット
コネクタ、D型サブコネクタ、IC(LSI)チップ、
多端子コネクタ、プリント配線板、又はフラットケーブ
ル内に組み込まれているが、上述したいかなる実施例の
EMCフィルタをこれら構成部品のいずれに組み込んで
もよいことは明らかである。
【0134】以上述べたように、本発明のEMCフィル
タは通信線等の接続手段内に、各種構成部品のハウジン
グ内に、又は構成部品内に直接的に組み込むことによっ
てコモンモードノイズ電流の侵入を効果的に阻止するこ
とが可能となる。特に、従来シールド部材等によってア
ースを施してノイズ防止を行っていたものについて、本
発明のEMCフィルタによれば、非アース状態であって
も容易にノイズ阻止を図ることができる。
【0135】以上述べた実施例は全て本発明を例示的に
示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は
他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができ
る。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等
範囲によってのみ規定されるものである。
【0136】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば、多線条平衡通信線用EMCフィルタは、閉磁路を構
成する少なくとも1つの第1のコアアーム及び第1のコ
アアームの長さ以下の長さを有する第2のコアアームを
有している扁平形状の閉磁路コアと、少なくとも1対の
線からなる複数のコイルとを備えている。対となる線は
互いに近接して位置しておりかつそれぞれのコイルの対
となる線に同一方向に電流が流れたときに閉磁路内を磁
束が同一方向に流れるように閉磁路コアに捲回されてい
る。さらに、これら線はコイルの信号入力端から信号出
力端へ向かって一方向に進んでいる。従って、本発明に
よれば、信号を伝送する対となる線が互いに近接して位
置しておりかつ同じ閉磁路コアに捲回されているので、
漏洩磁束が発生しない。このため、高速又は高周波信号
の伝送に対する伝送損失が低く抑えられ、高周波領域に
おける信号伝送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のEMCフィルタの第1の実施例の概略
構成を示す平面図である。
【図2】図1に示すEMCフィルタの電気的等価回路図
である。
【図3】集中巻線区間の長さの比la /l0 と浮遊キャ
パシタンスの比Cs/Cs0 との関係を表す図である。
【図4】図1の分布巻線区間においてコアに捲回された
各対線の巻線構造を説明する図である。
【図5】一方向巻き構造及びリターン巻き構造における
隣接巻線間スペース比h/lbと浮遊キャパシタンスの
比Cs/Csstとの関係を表す図である。
【図6】コモンモードノイズ電流Ic及びノーマルモー
ド電流Inに対する図1の実施例によるEMCフィルタ
の動作を説明する平面図である。
【図7】図1に示すEMCフィルタのコモンモード減衰
量及びノーマルモード減衰量の周波数特性を表す図であ
る。
【図8】本発明のEMCフィルタの第2の実施例の概略
構成を示す平面図である。
【図9】本発明のEMCフィルタの第3の実施例の概略
構成を示す平面図である。
【図10】本発明のEMCフィルタの第4の実施例の概
略構成を示す平面図である。
【図11】本発明のEMCフィルタの第5の実施例の概
略構成を示す平面図である。
【図12】本発明のEMCフィルタの第6の実施例の概
略構成を示す平面図である。
【図13】本発明のEMCフィルタの第7の実施例の概
略構成を示す平面図である。
【図14】本発明のEMCフィルタの第8の実施例の概
略構成を示す平面図である。
【図15】本発明のEMCフィルタの第9の実施例の概
略構成を示す平面図である。
【図16】本発明のEMCフィルタの第10の実施例の
概略構成を示す平面図である。
【図17】本発明のEMCフィルタの第11の実施例の
概略構成を示す平面図である。
【図18】本発明のEMCフィルタの第12の実施例の
概略構成を示す平面図である。
【図19】本発明のEMCフィルタの第13の実施例の
概略構成を示す平面図である。
【図20】本発明のEMCフィルタの第14の実施例の
概略構成を示す平面図である。
【図21】本発明のEMCフィルタの第15の実施例の
概略構成を示す斜視図である。
【図22】図21の第15の実施例をより具体的に示す
分解斜視図である。
【図23】コモンモードノイズ電流Ic及びノーマルモ
ード電流Inに対する図21の実施例によるEMCフィ
ルタの動作を説明する平面図である。
【図24】本発明のEMCフィルタの第16の実施例の
概略構成を示す斜視図である。
【図25】本発明のEMCフィルタの第17の実施例の
概略構成を示す斜視図である。
【図26】本発明のEMCフィルタの第18の実施例の
概略構成を示す斜視図である。
【図27】コモンモードノイズ電流Ic及びノーマルモ
ード電流Inに対する図26の実施例によるEMCフィ
ルタの動作を説明する平面図である。
【図28】本発明のEMCフィルタの第19の実施例の
概略構成を示す斜視図である。
【図29】本発明のEMCフィルタの第20の実施例の
概略構成を示す斜視図である。
【図30】本発明のEMCフィルタの第21の実施例の
概略構成を示す断面図である。
【図31】本発明のEMCフィルタの第22の実施例の
概略構成を示す平面図である。
【図32】本発明のEMCフィルタの第23の実施例の
概略構成を示す平面図である。
【図33】本発明のEMCフィルタの第24の実施例の
概略構成を示す平面図である。
【図34】本発明のEMCフィルタの第25の実施例の
概略構成を示す平面図である。
【図35】本発明のEMCフィルタの第26の実施例の
概略構成を示す斜視図である。
【図36】本発明のEMCフィルタの第27の実施例の
概略構成を示す平面図である。
【図37】本発明のEMCフィルタの第28の実施例の
概略構成を示す平面図である。
【図38】本発明のEMCフィルタの第29の実施例の
概略構成を示す平面図である。
【図39】図8に示す実施例によるEMCフィルタ及び
従来のEMCフィルタのコモンモードノイズ電流減衰量
及びノーマルモード電流減衰量の対周波数特性を表わし
た図である。
【図40】図8に示す実施例によるEMCフィルタ及び
従来のEMCフィルタの漏話減衰量の対周波数特性を表
わした図である。
【図41】従来のモジュラープラグ及び従来のモジュラ
ージャックの外観斜視図である。
【図42】本発明によるEMCフィルタの第1の適用例
の概略構成を示す斜視図である。
【図43】図42の第1の適用例の構造をより具体的に
示す斜視図である。
【図44】図42の第1の適用例の構造をより具体的に
示す分解斜視図である。
【図45】本発明によるEMCフィルタの第2の適用例
の概略構成を示す斜視図である。
【図46】本発明によるEMCフィルタの第3の適用例
の概略構成を示す斜視図及び断面図である。
【図47】本発明によるEMCフィルタの第4の適用例
の概略構成を示す斜視図及び断面図である。
【図48】本発明によるEMCフィルタの第5の適用例
の概略構成を示す一部破断斜視図である。
【図49】本発明によるEMCフィルタの第6の適用例
の概略構成を示す一部破断斜視図である。
【図50】本発明によるEMCフィルタの第7の適用例
の概略構成を示す一部破断斜視図である。
【図51】本発明によるEMCフィルタの第8の適用例
の概略構成を示す一部破断斜視図である。
【図52】本発明によるEMCフィルタの第9の適用例
の概略構成を示す一部破断斜視図である。
【図53】本発明によるEMCフィルタの第10の適用
例の概略構成を示す一部破断斜視図である。
【図54】本発明によるEMCフィルタの第11の適用
例の概略構成を示す一部破断斜視図である。
【図55】本発明によるEMCフィルタの第12の適用
例の概略構成を示す一部破断斜視図である。
【図56】本発明によるEMCフィルタの第13の適用
例の概略構成を示す一部破断斜視図及び断面図である。
【図57】本発明によるEMCフィルタの第14の適用
例の概略構成を示す一部破断斜視図及び断面図である。
【図58】トロイダルコアを用いた従来のチョークコイ
ルフィルタの概略的な構成を示す斜視図及び断面図であ
る。
【図59】図58に示すチョークコイルの電気的等価回
路である。
【図60】平板状貫通コアを用いた従来のチョークコイ
ルフィルタの概略的な構成を示す斜視図である。
【図61】円筒貫通コアを用いた従来のチョークコイル
フィルタの概略的な構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 閉磁路コア 10a 第1のコアアーム 10b 第2のコアアーム 11、11a、11b、11c 対線 T1 、T2 、…、Ti 、Tj 、…、Tm 、Tn 信号入
力端 T1'、T2'、…、Ti'、Tj'、…、Tm'、Tn' 信号出
力端
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−47909(JP,A) 特開 平2−132806(JP,A) 特開 昭63−38220(JP,A) 実開 昭62−91417(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 17/06 H01F 19/06

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 閉磁路を構成する少なくとも1つの第1
    のコアアーム及び前記第1のコアアームの長さ以下の長
    さを有する第2のコアアームを有している扁平形状の閉
    磁路コアと、少なくとも1対の線からなる複数のコイル
    とを備えており、前記対となる線は互いに近接して位置
    しておりかつそれぞれのコイルの該対となる線に同一方
    向に電流が流れたときに前記閉磁路内を磁束が同一方向
    に流れるように前記閉磁路コアに捲回されており、さら
    に、前記線は前記コイルの信号入力端から信号出力端へ
    向かって一方向に進んでいることを特徴とする多線条平
    衡通信線用EMCフィルタ。
  2. 【請求項2】 前記信号入力端が前記第1のコアアーム
    の一方の端に位置すると共に前記信号出力端が前記第1
    のコアアームの他方の端に位置しており、前記各線が前
    記信号入力端から出発して前記第1のコアアームに捲回
    して該第1のコアアームの軸方向に進み前記信号出力端
    に到着するように構成されていることを特徴とする請求
    項1に記載の多線条平衡通信線用EMCフィルタ。
  3. 【請求項3】 前記第1のコアアームが少なくとも入力
    側コアアームと出力側コアアームとからなり、前記信号
    入力端が前記入力側コアアームに沿って位置していると
    共に前記信号出力端が前記出力側コアアームに沿って位
    置しており、前記各線が前記信号入力端から出発し前記
    入力側コアアームから前記出力側コアアームに渡って該
    入力側コアアーム及び該出力側コアアームで同じ方向に
    磁束が生じるように捲回して前記信号出力端に到着する
    ように構成されていることを特徴とする請求項1に記載
    の多線条平衡通信線用EMCフィルタ。
  4. 【請求項4】 前記第1のコアアームが少なくとも入力
    側コアアームと出力側コアアームとからなり、前記信号
    入力端が前記入力側コアアームの中心部に位置している
    と共に前記信号出力端が前記出力側コアアームの中心部
    に位置しており、前記各線が前記信号入力端から出発し
    前記入力側コアアームに捲回して該入力側コアアームの
    一方の端に進み前記出力側コアアームに渡って該出力側
    コアアームに捲回して該出力側コアアームの中心部に進
    み前記信号出力端に到着するように構成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の多線条平衡通信線用EM
    Cフィルタ。
  5. 【請求項5】 前記各対となる線が互いに密着した平行
    な対線によって構成されていることを特徴とする請求項
    1から4のいずれか1項に記載の多線条平衡通信線用E
    MCフィルタ。
  6. 【請求項6】 前記各対となる線が互いに撚り合わされ
    た対線によって構成されていることを特徴とする請求項
    1から4のいずれか1項に記載の多線条平衡通信線用E
    MCフィルタ。
  7. 【請求項7】 前記第1のコアアームが第1の区間及び
    第2の区間からなっており、前記各対となる線は前記第
    1の区間において隣り合う巻線間にスペースを持たせ分
    布して捲回されていることを特徴とする請求項1から6
    のいずれか1項に記載の多線条平衡通信線用EMCフィ
    ルタ。
  8. 【請求項8】 前記各対となる線は前記第2の区間にお
    いて隣り合う巻線間にスペースなしに集中して捲回され
    ていることを特徴とする請求項7に記載の多線条平衡通
    信線用EMCフィルタ。
  9. 【請求項9】 前記各対となる線は前記第1のコアアー
    ムにおいて隣り合う巻線間にスペースを持たせ分布して
    捲回されており、前記第2のコアアームにおいて隣り合
    う巻線間にスペースなしに集中して捲回されていること
    を特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の多
    線条平衡通信線用EMCフィルタ。
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