JP3002738B2 - マルチバンドレーダの信号処理方法 - Google Patents

マルチバンドレーダの信号処理方法

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JP3002738B2
JP3002738B2 JP5126082A JP12608293A JP3002738B2 JP 3002738 B2 JP3002738 B2 JP 3002738B2 JP 5126082 A JP5126082 A JP 5126082A JP 12608293 A JP12608293 A JP 12608293A JP 3002738 B2 JP3002738 B2 JP 3002738B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の周波数帯域を使
用するレーダ、すなわちマルチバンドレーダに関し、特
にその信号処理方式に関する。
【0002】
【従来の技術】図10には、レーダ受信機の一般的な構
成が示されている。この図には、RF増幅器10、ミキ
サ12、IF増幅器14、検波器16、STC回路1
8、AD変換器20及び表示器22が示されている。
【0003】周囲に存在する物標をレーダにより捕捉し
ようとする場合、まず、図示しないレーダ送信機から出
力される高周波(RF)信号がアンテナから無線送信さ
れる。送信されたRF信号は物標等により反射され、反
射波がアンテナにより受信される。アンテナにより受信
された反射信号、すなわち図10における受信入力は、
RF増幅器10によって増幅された後、ミキサ12によ
り参照信号と混合され、中間周波数(IF)信号に変換
される。IF増幅器14はこれを増幅し、検波器16は
検波する。STC回路18は、検波器16から出力され
る信号に、従来周知のSTC(sensitivity time contr
ol)処理を施す。AD変換器20は、STC処理された
信号をディジタルデータに変換する。このディジタルデ
ータについては、座標変換処理等、所定の処理が施され
た上で、映像信号として表示器22に供給される。表示
器22の画面上には、所定の表示モード及びレンジで、
レーダ映像が表示される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような構成を有す
る従来のレーダ装置では、例えばレーダ装置を船舶等の
移動体に搭載した場合、海面によるマルチパス(ロービ
ング)のため、レーダ装置の近距離において、反射信号
強度が低下するエリア(ロービングエリア)が発生す
る。その結果、物標の欠落が生じてしまい、当該移動体
の安全な運行に支障となる。
【0005】また、物標の形状によっては、反射信号強
度が変動する。すなわち、RF信号の高周波位相特性に
起因して、反射信号強度が変動する。すると、受信した
信号から当該物標が欠落することとなる。この点も、搭
載に係る船舶等の安全運行には不都合である。
【0006】本発明は、このような問題を解決すること
を課題としてなされたものであり、複数の相異なる周波
数帯域でレーダ送受信を実行するマルチバンドレーダの
技術を応用し、かつ変形することにより、ロービングエ
リアの影響を解消しかつ形状に起因した物標の欠落を防
止するとともに、複数の周波数帯域それぞれに固有の利
点を併せ実現できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の信号処理方法は、移動体への搭載に
適し、互いに異なる周波数帯域に属する複数種類の信号
を送信し反射波を受信して複数種類のレーダ信号を得る
マルチバンドレーダの信号処理方法において、上記複数
種類のレーダ信号のうち少なくとも2種類を振幅加算す
る第1のステップと、上記複数種類のレーダ信号のうち
少なくとも2種類を振幅乗算する第2のステップと、こ
れら振幅加算及び振幅乗算の結果を振幅加算することに
より合成レーダ信号を生成する第3のステップと、を有
することを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明の信号処理方法においては、まず、第1
のステップにより、異なる周波数帯域を使用して得た複
数種類のレーダ信号のうち、少なくとも2種類が振幅
算される。また、第2のステップにより、上記複数種類
のレーダ信号のうち少なくとも2種類が振幅乗算され
る。さらに、第3のステップにより、これら振幅加算及
振幅乗算の結果を振幅加算することにより、合成レー
ダ信号が生成される。従って、本発明においては、単一
の周波数帯域を使用したレーダ装置における問題点のう
ち、ロービングエリアや物標形状等に起因した物標の欠
落が生じない。また、上記複数の周波数帯域それぞれに
固有の作用が併せ生じる。
【0009】まず、ロービングエリアは送信周波数に依
存しつつ発生する。従って、マルチバンドレーダにおい
ては、使用する各周波数毎にロービングエリアが発生す
る。ロービングエリアにおいては、レーダ信号にエコー
(反射波を示す情報)は現れない。一方で、本発明にお
いては、第1のステップにおいて振幅加算の対象とされ
るレーダ信号のうち一方に何らかのエコーが現れている
限り、合成レーダ信号に何らかのエコーが現れる。すな
わち、エコーが現れていない状態をレーダ信号値=0と
表したとすると、第1のステップにおいて振幅加算の対
象とされたレーダ信号が共に0とならない限り、合成レ
ーダ信号は0とならない。従って、本発明においては、
第1のステップにおいて振幅加算の対象とされるレーダ
信号のロービングエリアが重複しない限り、合成レーダ
信号からは、ロービングエリアに起因して物標が消失す
ることはない。従って、ロービングエリアに起因した物
標の消失が、著しく抑制・防止される。
【0010】次に、物標の形状に起因した物標の欠落に
ついても、同様の議論が成り立つ。すなわち、本発明の
第1のステップにおいて振幅加算の対象とされたレーダ
信号が共に0となる確率が著しく低いから、物標の形状
に起因して合成レーダ信号から物標が欠落する可能性は
著しく低くなる。
【0011】さらに、本発明の第2のステップにおいて
は送信周波数が異なる複数種類のレーダ信号を振幅乗算
している。従って、レーダの性能を示す諸元のうち方位
又は仰角確度(分解能、精度)や距離確度(分解能、精
度)のように振幅乗算により強調し合う諸元について
は、振幅乗算の対象となる複数種類のレーダ信号のうち
好ましい特性を示す送信周波数に係るレーダ信号の性能
が現れ、あるいはより優れた性能が現れる。具体的に
は、より高周波の帯域で良好となる方位若しくは仰角確
度(分解能、精度)及び距離確度(分解能、精度)は、
比較的高い送信周波数に係る性能よりよい性能となる。
【0012】また、本発明の第1のステップにおいては
送信周波数が異なる複数種類のレーダ信号を振幅加算し
ている。これらのレーダ信号の間の相関は、例えばレー
ダ信号と雑音(クラッタ等を含む)との相関に比べ十分
強いから、シークラッタやウェザークラッタ等に対し、
強いレーダが実現される。この作用は、第2のステップ
による振幅乗算項によっても強調される。例えば本発明
において使用する周波数帯域がXバンド及びSバンドで
ある場合、第1のステップにおける振幅加算のみならず
第2のステップにおける振幅乗算により、Sバンドで得
られる以上のシークラッタ抑圧特性が実現される。ま
た、これらの周波数帯域は雨滴等に比べ波長が十分短い
周波数帯域であるため、周波数が高いほどウェザークラ
ッタが強くなるという関係が成立する。従って、本発明
においては、第1のステップにおける振幅加算のみなら
ず第2のステップにおける振幅乗算により、Sバンドで
得られる以上のウェザークラッタ抑圧特性が実現され
る。
【0013】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について図面に
基づき説明する。なお、図10に示される従来例と同様
の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0014】図1及び図2には、本発明の第1及び第2
実施例に係るレーダ受信機の構成が示されている。第1
実施例は本発明の特徴に係る信号処理をアナログ段階で
実行する構成の例であり、第2実施例はディジタル段階
で実行する構成の例である。
【0015】これらいずれの実施例においても、RF増
幅器10〜STC回路18が2系統設けられている。こ
れらのうち一方の系統はXバンド受信入力に係る系統で
あり、他方の系統はSバンド受信出力に係る系統であ
る。すなわち、図示しないレーダ送信機はXバンド及び
Sバンドで送信を行い、図1又は図2のレーダ受信機は
図示しないアンテナを介してXバンド及びSバンドの反
射波を入力する。第1実施例においては2個のSTC回
路18の出力がフィルタ24を介してAD変換器20に
接続されている。第2実施例においてはAD変換器20
も2個設けられており、これらのAD変換器20の出力
がフィルタ26を介して表示器22に接続されている。
【0016】本発明の特徴とするところは、これらの実
施例において採用されているフィルタ24又は26であ
る。より正確には、これらのフィルタ24又は26にお
いて実行されている信号処理である。従って、本発明
は、フィルタに限定されるものではなく、実質的に、以
下に説明する処理機能を実現していれば足りる。例え
ば、ROM化されたソフトウエア等を用い、パーソナル
コンピュータ等にレーダビデオ出力を送信して処理を行
うような装置構成でも構わない。また、従来からクラッ
タ抑圧に用いられていたFTC(frequency time contr
ol)回路をSTC回路18より後段に併せて設けるよう
にしても構わない。
【0017】図3には、フィルタ24又は26の機能が
示されている。また、図4には、図3の機能を実時間処
理で実現する場合の回路構成の一例が示されている。
【0018】図3に示されるXバンドレーダ出力R
X (t)は、図1又は図2のXバンド受信入力につい
て、RF増幅〜STC処理(及びAD変換)を施した信
号列である。また、Sバンドレーダ出力RS (t)は、
図1又は図2のSバンド受信入力について、RF増幅〜
STC処理又はAD変換を施した信号列である。この図
においては、Xバンドレーダ出力RX (t)及びSバン
ドレーダ出力RS (t)が乗ぜられRX (t)×R
S (t)が生成される一方で、Xバンドレーダ出力RX
(t)及びSバンドレーダ出力RS (t)が加算されR
X (t)+RS (t)が生成されている。さらに、これ
らを加算した信号{RX (t)×RS (t)}+{RX
(t)+RS (t)}が生成され、この信号が合成レー
ダ信号RXS(t)として出力されている。合成レーダ信
号RXS(t)は、図1であればAD変換器20に、図2
であれば表示器22に、供給される。
【0019】図4においては、RX (t)×RS (t)
を生成する機能が乗積器28により、RX (t)+RS
(t)を生成する機能が加算器30により、RXS(t)
={RX (t)×RS (t)}+{RX (t)+R
S (t)}を生成する機能が加算器32により、それぞ
れ実現されている。乗積器28、加算器30及び32に
は、それぞれ出力制御回路27、29及び31が前置さ
れている。これらの出力制御回路27、29及び31
は、その後段にある乗積器28、加算器30又は32の
入力信号に係数を乗ずるための回路である。これらの出
力制御回路27、29及び31により、係数を手動設定
し又は自動制御することができる。
【0020】このような信号処理により、方位又は仰角
確度(分解能、精度)及び距離確度(分解能、精度)を
Xバンド単一使用のレーダに比べても向上させることが
できる。また、シークラッタやウェザークラッタの抑圧
特性をSバンド単一使用のレーダに比べても向上させる
ことができる。さらに、単一バンド使用のレーダで生じ
ていたロービングエリアや物標形状に起因した物標欠落
といった問題点を解決できる。
【0021】まず、XバンドレーダとSバンドレーダの
物標探知能力を比較した場合、原理的又は経験的に、方
位又は仰角確度(分解能、精度)及び距離確度(分解
能、精度)についてはXバンドレーダが優れ、シークラ
ッタやウェザークラッタの抑圧特性についてはSバンド
レーダが優れていることが、知られている。
【0022】方位又は仰角確度(分解能、精度)δθ
は、 δθ=k・θH /{(S0 /N0 n 1/2 但し、方位又は仰角方向のビーム幅:θH =約70λ/
D k:定数 n:パルスヒット数 (S0 /N0 n :必要な探知確率をn個のパルスによ
り得るためのS/N λ:波長 D:アンテナ開口 と表される。従って、アンテナ寸法が等しい場合、周波
数の高いXバンドの方が、方位又は仰角確度(分解能、
精度)δθが3倍程度良好になる。
【0023】図3の処理においては、方位又は仰角確度
(分解能、精度)δθが、Xバンドレーダに比べても向
上する。図5は、横軸を方位(仰角)として表した指向
性パタンを示しており、θX はXバンドレーダの、θS
はSバンドレーダの、ビーム幅である。図3においては
X (t)×RS (t)をRX (t)+RS (t)と加
算することにより合成レーダ信号RXS(t)が生成され
ているから、合成レーダ信号RXS(t)における方位
(又は仰角)確度(分解能、精度)δθは、図5(a)
に示されるRX (t)×RS (t)の方位(又は仰角)
確度(分解能、精度)と、図5(b)に示されるR
X (t)+RS (t)の方位(又は仰角)確度(分解
能、精度)と、により、図5(c)に示されるようにな
る。ここに、図5(a)に示されるRX (t)×R
S (t)の項が、方位(又は仰角)確度(分解能、精
度)δθを向上させる方向に作用するから、Xバンドレ
ーダにおける良好な方位(又は仰角)確度(分解能、精
度)が、保存されあるいはさらに向上することがわか
る。
【0024】次に、距離確度(分解能、精度)δRは、 δR=k・c・τ/{(S0 /N0 n 1/2 但し、τ:パルス幅 c:光速 となる。従って、距離確度(分解能、精度)δRはパル
ス幅τが狭いほど良好である。一般に、立上がりが早く
幅の狭いパルスは、より高周波のレーダ送信機で得るこ
とができるから、XバンドレーダとSバンドレーダの間
で比較した場合、Xバンドの方が良好な距離確度(分解
能、精度)δRとなる。
【0025】図3の処理においては、距離確度(分解
能、精度)δRも、Xバンドレーダと同程度に保存され
乃至向上する。図6は、送信パルス波形を示しており、
C及びDは、それぞれXバンドレーダ又はSバンドレー
ダのパルス幅である。合成レーダ信号RXS(t)におけ
る距離確度(分解能、精度)δRは、図6(a)に示さ
れるRX (t)×RS (t)の距離確度(分解能、精
度)と、図6(b)に示されるRX (t)+RS (t)
の距離確度(分解能、精度)と、により、図6(c)に
示されるようになる。ここに、図6(a)に示されるR
X (t)×RS (t)の項が、距離確度(分解能、精
度)δRを向上させる方向に作用するから、Xバンドレ
ーダにおける良好な距離確度(分解能、精度)が、保存
されあるいはさらに向上することがわかる。
【0026】さらに、シークラッタ抑圧特性について
は、従来から、SバンドレーダがXバンドレーダより優
れていることが知られている。表1には、シークラッタ
抑圧特性に関し、図3の処理のうちRX (t)+R
S (t)の処理により生じる効果が示されている。
【0027】
【表1】 この表に“シークラッタ”として示されるのは、Xバン
ド(9.36GHz)及びSバンド(3GHz)におけ
る海面の平均的なレーダー・クロスセクションσ0 であ
る。この値は、例えば、Ruck,Barrick,Stuart & Krichb
aun:Radar Cross Section Handbook,Vol.2,PP769,Plenu
m Publishing CO., に示されている値である。この表に
示されるように、レーダー・クロスセクションσ0 は海
面の状態や接地角等により異なっているが、一見して明
らかなようにSバンドの方が小さい(良好である)。ま
た、シークラッタの等価有効断面積σseffは σseff=σ0 ・A 但し、A=θH ・R・(c・τ/2) R:距離 と表される。
【0028】従って、図3の処理によれば、RX (t)
+RS (t)の処理によって表中最右欄に示されるよう
な改善効果が得られる。この効果は、Xバンドレーダに
比べ、平均的には8dB/m2 程度である。また、Xバ
ンドレーダにより得られる受信信号とSバンドレーダに
より得られる受信信号との相関は、Xバンド又はSバン
ドレーダにより得られる受信信号とシークラッタとの相
関に比べ十分強い。従って、図3に示されるRX (t)
×RS (t)の処理によって、シークラッタ抑圧特性は
さらに改善される。
【0029】ウェザークラッタ抑圧特性に関しては、図
7に示されるような関係が知られている。この関係は、
雨滴(雪片、霧滴等を含む)の直径に比べ十分短い波長
を用いた場合に成立する。Sバンド(λ=10cm)と
Xバンド(λ=3cm)を比べた場合、後方散乱断面積
に図のような差があるため、ウェザークラッタ抑圧特性
は前者が後者より20dB/m3 程度、優れている。こ
の図は、例えばSkolnik:Introduction to Radar Syste
m,PP542,McGraw-Hill Ltd.,に開示されている。なお、
雨滴の有効反射断面積σreffは σreff=(Σσ0 )V 但し、V=(θH ・R)・(c・τ/2) で与えられる。
【0030】図3の処理においては、RX (t)+RS
(t)の処理によってSバンドと同程度のウェザークラ
ッタ抑圧特性を確保することができる。また、R
X (t)×RS (t)の処理によって、この特性はさら
に改善される。
【0031】次に、単一バンド使用のレーダで生じてい
た問題点のうちロービングエリアに起因した物標欠落に
ついては、Xバンドに係るロービングエリアとSバンド
に係るロービングエリアの相違により、解決できる。す
なわち、ロービングエリアは周波数に応じて異なる箇所
に生じるから、複数の周波数帯域、すなわちXバンドと
Sバンドを用いている図1乃至図4の構成では、Xバン
ドに係るロービングエリアとSバンドに係るロービング
エリアが同じ箇所に生じない限り、物標を検出できる。
前者は、より周波数の低い後者に比べ多くの(3倍程度
の)ロービングエリアを発生させるが、ロービングエリ
アが同じエリアに発生しないように周波数を設定すれ
ば、ロービングエリアに起因した物標の欠落という問題
は概ね生じなくなる。すなわち、RX (t)+R
S (t)の処理を実行しているから、ロービングエリア
によって0となるのがRX (t)及びRS (t)の一方
であるよう、周波数を設定すればよい。これにより、R
X (t)及びRS (t)の一方により、他方のロービン
グエリア上の物標を検出できる。
【0032】図8に海面によるマルチパスがある場合の
受信電力の計算例を示す。ただし、レーダ・アンテナの
高さ15m、物標の高さを2m、Xバンドレーダの周波
数を9,410MHz、Sバンドレーダの周波数を3,
050MHzとしている。図8からわかるように、2周
波ダイバシティ効果により海面によるマルチパスの影響
が大幅に軽減され、物標探知能力が向上する。
【0033】そして、物標形状に起因した物標欠落につ
いても、図3の処理により解決できる。この欠落の原因
は、レーダ電波の高周波位相特性であるが、Xバンドと
Sバンドを共に使用した場合、RX (t)及びR
S (t)の双方から同時に物標が欠落する可能性は著し
く低くなる。従って、RX (t)+RS (t)が0とな
ることはほとんどなく、物標形状に起因した物標欠落は
概ね生じなくなる。
【0034】2つの等しいレーダ・クロスセクション
(Radar Cross Section,以下RCSと略称する)がσ0
である等方性反射体(球)が2波長(3.2cm×2)
だけ離れて存在するような物標モデルについて、物標の
向きθを変えた場合の合成受信RCSσ1 の変動比σ1
/σ0 を計算した一例を図9に示す。図9からわかるよ
うに、物標の向きθによってσ1 /σ0 はかなり変動し
ているが、2周波ダイバシティレーダの受信RCSはX
バンドレーダより十分大きいため物標探知能力は向上す
る。さらに、σ1 /σ0 が0の近傍、すなわち、信号が
検出できないような領域が、Xバンドレーダの場合8方
向であるのに対し、2周波ダイバシティレーダの場合2
方向に改善されることも示している。すなわち、4倍改
善されることになる。
【0035】なお、以上の説明はXバンド及びSバンド
の2バンドについて行ったが、他のバンドでもよく、3
個以上のバンドでもよい。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
異なる周波数帯域を使用して得た複数種類のレーダ信号
のうち少なくとも2種類を振幅加算する一方で、少なく
とも2種類を振幅乗算し、さらにこれら振幅加算及び
乗算の結果を振幅加算することにより合成レーダ信号
を生成するようにしたため、ロービングエリアや物標形
状に起因した物標の欠落等、単一の周波数帯域を使用し
たレーダ装置における問題点を解消できる。さらに、上
記複数の周波数帯域それぞれにおいて得られる効果が、
互いに損なわれることなく得られ、あるいはより強調さ
れる。例えば、方位又は仰角確度(分解能、精度)や距
離確度(分解能、精度)としては、比較的高い送信周波
数に係る性能が保存されあるいはより改善される。ま
た、シークラッタやウェザークラッタ等に対し、強いレ
ーダが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るレーダ受信機の構成
を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施例に係るレーダ受信機の構成
を示すブロック図である。
【図3】本発明において2種類の周波数を用いる場合の
信号処理方式を示す図である。
【図4】図3の処理方式を実時間処理で実現した場合の
回路構成例を示すブロック図である。
【図5】方位精度及び分解能に関する効果を示す図であ
る。
【図6】距離精度及び分解能に関する効果を示す図であ
る。
【図7】ウェザークラッタに関する効果を示す図であ
る。
【図8】海面によるマルチパスの影響に対する効果を示
す図である。
【図9】物標探知能力に関する効果を示す図である。
【図10】一従来例に係るレーダ受信機の構成を示すブ
ロック図である。
【符号の説明】
24,26 フィルタ 28 乗積器 30,32 加算器 RX (t) Xバンドレーダ出力 RS (t) Sバンドレーダ出力 θX Xバンドレーダのビーム幅 θS Sバンドレーダのビーム幅 C Xバンドレーダのパルス幅 D Sバンドレーダのパルス幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須藤 正則 東京都三鷹市下連雀五丁目1番1号 日 本無線株式会社内 合議体 審判長 鈴木 康仁 審判官 鈴木 朗 審判官 清水 稔 (56)参考文献 特開 昭62−153785(JP,A) 特開 平4−22888(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動体への搭載に適し、互いに異なる周
    波数帯域に属する複数種類の信号を送信し反射波を受信
    して複数種類のレーダ信号を得るマルチバンドレーダ
    信号処理方法において、 上記複数種類のレーダ信号のうち少なくとも2種類を
    加算する第1のステップと、 上記複数種類のレーダ信号のうち少なくとも2種類を
    乗算する第2のステップと、 これら振幅加算及び振幅乗算の結果を振幅加算すること
    により合成レーダ信号を生成する第3のステップと、 を有することを特徴とする信号処理方法。
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