JP3001718B2 - フェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents
フェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造方法Info
- Publication number
- JP3001718B2 JP3001718B2 JP4098180A JP9818092A JP3001718B2 JP 3001718 B2 JP3001718 B2 JP 3001718B2 JP 4098180 A JP4098180 A JP 4098180A JP 9818092 A JP9818092 A JP 9818092A JP 3001718 B2 JP3001718 B2 JP 3001718B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- stainless steel
- slab
- ferritic stainless
- cast
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Continuous Casting (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフェライト系ステンレス
鋼薄肉鋳片の製造方法に関する。
鋼薄肉鋳片の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、急冷凝固による薄帯鋳造方法を用
いて靱性の優れたフェライト系ステンレス鋼を製造する
技術として特開昭64−4458号公報が開示されてい
る。特にNbを含有するフェライト系ステンレス鋼の鋳
片は靱性が乏しく、冷間圧延中に割れが生じる処より、
上記技術はフェライト系ステンレス鋼の成分の内、特に
靱性に悪影響を及ぼすC,Nをそれぞれ0.03%以下
に抑え、かつその急冷凝固組織を鋳造時の注湯温度等を
制御して柱状晶の割合が70%以上によるように調整し
て靱性の向上を図ったものである。
いて靱性の優れたフェライト系ステンレス鋼を製造する
技術として特開昭64−4458号公報が開示されてい
る。特にNbを含有するフェライト系ステンレス鋼の鋳
片は靱性が乏しく、冷間圧延中に割れが生じる処より、
上記技術はフェライト系ステンレス鋼の成分の内、特に
靱性に悪影響を及ぼすC,Nをそれぞれ0.03%以下
に抑え、かつその急冷凝固組織を鋳造時の注湯温度等を
制御して柱状晶の割合が70%以上によるように調整し
て靱性の向上を図ったものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Nb含
有のフェライト系ステンレス鋼の薄肉鋳片の靱性を向上
するためにその凝固組織のほとんどを柱状晶組織にする
ことは本発明者らの知見では必ずしも有利でなく、又柱
状晶を70%以上にする調整手段は生産性上の問題を生
ずる。
有のフェライト系ステンレス鋼の薄肉鋳片の靱性を向上
するためにその凝固組織のほとんどを柱状晶組織にする
ことは本発明者らの知見では必ずしも有利でなく、又柱
状晶を70%以上にする調整手段は生産性上の問題を生
ずる。
【0004】本発明の目的はかゝる従来技術の問題点を
解決して、より確実に、かつ生産性上有利な状態で達成
できる方法を提供するところにある。
解決して、より確実に、かつ生産性上有利な状態で達成
できる方法を提供するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はNb含有のフェ
ライト系ステンレス鋼の薄肉鋳片の靱性に及ぼす要因と
して該鋳片にFeNb,Fe2 Nb,Fe3 Nb3 C等
のラーベース相の析出が重要な役割を果していることを
見出したところより成されたものである。すなわち、本
発明は先ず、化学成分としてガンマポテンシャル(以下
γ′p と称す)の値を0%以下に規制することにより鋳
片の冷却中にマルテンサイトが生成することを防止して
鋳片の靱性を向上せしめるとともに、更に鋳片の凝固温
度より少くとも700℃までの温度範囲を冷却し、次い
で700〜200℃の温度範囲で該鋳片を巻取ることに
よってラーベース相の析出を防止することを特徴とす
る。
ライト系ステンレス鋼の薄肉鋳片の靱性に及ぼす要因と
して該鋳片にFeNb,Fe2 Nb,Fe3 Nb3 C等
のラーベース相の析出が重要な役割を果していることを
見出したところより成されたものである。すなわち、本
発明は先ず、化学成分としてガンマポテンシャル(以下
γ′p と称す)の値を0%以下に規制することにより鋳
片の冷却中にマルテンサイトが生成することを防止して
鋳片の靱性を向上せしめるとともに、更に鋳片の凝固温
度より少くとも700℃までの温度範囲を冷却し、次い
で700〜200℃の温度範囲で該鋳片を巻取ることに
よってラーベース相の析出を防止することを特徴とす
る。
【0006】すなわち本発明は重量%で、C:0.03
%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、
P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:
10.0〜35.0%,Nb:0.1〜1.0%及び
N:0.03%以下を含有し、必要によりNi:0.3
〜5.0%,Mo:0.1〜5.0%,Cu:0.2〜
1.0%,Ti:0.1〜1.0%,Al:0.05〜
1.0%,V:0.1〜1.0%及びB:0.0003
〜0.0030%の1種又は2種以上を含み、残部Fe
及び不可避的不純物からなり、かつ、 γ′P =420C%+470N%+23Ni%+9Cu%+7Mn% −11.5Cr%−11.5Si%−12Mo%−23V% −47Nb%−49Ti%−52Al%+179≦0 を満足するフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造し、鋳
造後の鋳片を凝固温度から少くとも700℃まで冷却
し、次いで該鋳片を700〜200℃の温度範囲で巻取
ることにより、靱性の優れたフェライト系ステンレス鋼
薄肉鋳片を製造する方法を提供するものである。
%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、
P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:
10.0〜35.0%,Nb:0.1〜1.0%及び
N:0.03%以下を含有し、必要によりNi:0.3
〜5.0%,Mo:0.1〜5.0%,Cu:0.2〜
1.0%,Ti:0.1〜1.0%,Al:0.05〜
1.0%,V:0.1〜1.0%及びB:0.0003
〜0.0030%の1種又は2種以上を含み、残部Fe
及び不可避的不純物からなり、かつ、 γ′P =420C%+470N%+23Ni%+9Cu%+7Mn% −11.5Cr%−11.5Si%−12Mo%−23V% −47Nb%−49Ti%−52Al%+179≦0 を満足するフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造し、鋳
造後の鋳片を凝固温度から少くとも700℃まで冷却
し、次いで該鋳片を700〜200℃の温度範囲で巻取
ることにより、靱性の優れたフェライト系ステンレス鋼
薄肉鋳片を製造する方法を提供するものである。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
【作用】先ず、本発明において、鋼の化学成分を上記の
ように限定した理由を説明する。Cは、鋼の加工性、靱
性に悪影響を及ぼすので、含有量を0.03%以下とす
る。
ように限定した理由を説明する。Cは、鋼の加工性、靱
性に悪影響を及ぼすので、含有量を0.03%以下とす
る。
【0009】Si,Mnは鋼の脱酸剤として有効なの
で、それぞれ1.0%以下含有する。1%を超えると機
械的性質が劣化する。Crは耐食性及び耐高温酸化性の
向上のため最低限10.0%を必要とし、又35%を超
すと靱性が劣化し、製造が極めて困難になるので10〜
35%をその範囲とする。
で、それぞれ1.0%以下含有する。1%を超えると機
械的性質が劣化する。Crは耐食性及び耐高温酸化性の
向上のため最低限10.0%を必要とし、又35%を超
すと靱性が劣化し、製造が極めて困難になるので10〜
35%をその範囲とする。
【0010】NbはC,Nと結合してCr炭化物の粒界
析出を防止し耐粒界腐食性を向上する特性を有するが、
その含有量が0.1%未満では上記特性が得られず、又
1.0%を超えると上記特性が飽和する上に加工性が劣
化する。従って0.1〜1.0%をその範囲とする。N
はCと同様に鋼の加工性、靱性を劣化せしめるので、含
有量の上限を0.03%とする。
析出を防止し耐粒界腐食性を向上する特性を有するが、
その含有量が0.1%未満では上記特性が得られず、又
1.0%を超えると上記特性が飽和する上に加工性が劣
化する。従って0.1〜1.0%をその範囲とする。N
はCと同様に鋼の加工性、靱性を劣化せしめるので、含
有量の上限を0.03%とする。
【0011】さらに靱性、耐食性、加工性等の特性を向
上させる場合には、上記化学成分以外に、下記成分より
適宜選んで含有させる。高Cr材の靱性向上にはNiが
有効であるが、その含有量が0.3%未満ではその特性
がなくなり、又5.0%を超えると高温域でガンマ
(γ)が生成して靱性を劣化し、又耐応力腐食性を劣化
するので、0.3〜5.0%の範囲とする。
上させる場合には、上記化学成分以外に、下記成分より
適宜選んで含有させる。高Cr材の靱性向上にはNiが
有効であるが、その含有量が0.3%未満ではその特性
がなくなり、又5.0%を超えると高温域でガンマ
(γ)が生成して靱性を劣化し、又耐応力腐食性を劣化
するので、0.3〜5.0%の範囲とする。
【0012】耐食性の向上にはMo,Cu,Ti,A
l,Vが有効であり、1種または2種以上を選んで含有
させる。すなわち、Moは耐食性を向上する顕著な効果
を有するので、0.1〜5.0%の範囲で含有させる。
上限を超えると加工性が劣化しコストアップとなる。C
uは耐食性を向上せしめるため0.2〜1.0%の範囲
で含有させる。上限を超えると高温域でγが生成して靱
性を劣化する。
l,Vが有効であり、1種または2種以上を選んで含有
させる。すなわち、Moは耐食性を向上する顕著な効果
を有するので、0.1〜5.0%の範囲で含有させる。
上限を超えると加工性が劣化しコストアップとなる。C
uは耐食性を向上せしめるため0.2〜1.0%の範囲
で含有させる。上限を超えると高温域でγが生成して靱
性を劣化する。
【0013】Tiは耐粒界腐食性の向上とともにプレス
性も向上するが、0.1%未満ではその特性が得られ
ず、又1.0%超ではこれらの特性が飽和し、加工性が
劣化する。AlはTiと同様な特性を有するので0.0
5〜1.0%の範囲で含有させる。
性も向上するが、0.1%未満ではその特性が得られ
ず、又1.0%超ではこれらの特性が飽和し、加工性が
劣化する。AlはTiと同様な特性を有するので0.0
5〜1.0%の範囲で含有させる。
【0014】VはTiと同様な特性を有するので0.1
〜1.0%の範囲で含有させる。熱間及び冷間加工での
粒界割れ性を向上するにはBが有効であるが、0.00
03%未満ではその特性が得られなく、又0.0030
%を越えると特性が飽和するとともに熱間加工性が劣化
する。従ってその含有範囲を0.0003〜0.003
0%とする。
〜1.0%の範囲で含有させる。熱間及び冷間加工での
粒界割れ性を向上するにはBが有効であるが、0.00
03%未満ではその特性が得られなく、又0.0030
%を越えると特性が飽和するとともに熱間加工性が劣化
する。従ってその含有範囲を0.0003〜0.003
0%とする。
【0015】本発明では以上の化学成分を更に次式で示
されるγ′pの値が0%以下になるように規制した。す
なわち、 γ′p=420C%+470N%+23Ni%+9Cu%+7Mn% −11.5Cr%−11.5Si%−12Mo%−23V% −47Nb−49Ti%−52Al%+179≦0 とすると、鋳片の冷却中にマルテンサイトが生成するこ
とを阻止して鋳片の靱性を向上することができる。γ′
pとは、フェライト系ステンレス鋼中に生成するオース
テナイト相(γ相)の最大生成量を記述する式である。
すなわち、高温の(α+γ)2相共存領域で生成するγ
相の量に及ぼす各元素の影響を1100℃加熱時に生成
し得するオーステナイト量の最大値として実験的に求め
定式化したのがγ′pの式である。 本願発明のγ′p≦
0が意味するのは、γ相が析出しない金属組織すなわち
フェライト単相組織であることを意味している。従っ
て、γ′p≦0に規制することにより、高温でのγ相の
生成がないので、鋳片冷却中のγ相のマルテンサイトへ
の変態が回避される。マルテンサイト生成が防止され、
鋳片の靱性が向上するのである。
されるγ′pの値が0%以下になるように規制した。す
なわち、 γ′p=420C%+470N%+23Ni%+9Cu%+7Mn% −11.5Cr%−11.5Si%−12Mo%−23V% −47Nb−49Ti%−52Al%+179≦0 とすると、鋳片の冷却中にマルテンサイトが生成するこ
とを阻止して鋳片の靱性を向上することができる。γ′
pとは、フェライト系ステンレス鋼中に生成するオース
テナイト相(γ相)の最大生成量を記述する式である。
すなわち、高温の(α+γ)2相共存領域で生成するγ
相の量に及ぼす各元素の影響を1100℃加熱時に生成
し得するオーステナイト量の最大値として実験的に求め
定式化したのがγ′pの式である。 本願発明のγ′p≦
0が意味するのは、γ相が析出しない金属組織すなわち
フェライト単相組織であることを意味している。従っ
て、γ′p≦0に規制することにより、高温でのγ相の
生成がないので、鋳片冷却中のγ相のマルテンサイトへ
の変態が回避される。マルテンサイト生成が防止され、
鋳片の靱性が向上するのである。
【0016】次に、本発明の他の特徴である巻取温度に
ついて説明する。本発明者等が鋳片の靱性に及ぼす要因
について種々検討したところ、Nb含有フェライト系ス
テンレス鋼ではこの鋼種特有のラーベース相(FeN
b,Fe2 Nb,Fe3 Nb3C等のFe−Nb系析出
相)が冷却途中、特に高温で巻取られたコイル状鋳片の
冷却途中に析出し、この析出相が該靱性を劣化せしめて
いることを究明した。
ついて説明する。本発明者等が鋳片の靱性に及ぼす要因
について種々検討したところ、Nb含有フェライト系ス
テンレス鋼ではこの鋼種特有のラーベース相(FeN
b,Fe2 Nb,Fe3 Nb3C等のFe−Nb系析出
相)が冷却途中、特に高温で巻取られたコイル状鋳片の
冷却途中に析出し、この析出相が該靱性を劣化せしめて
いることを究明した。
【0017】そして、上記ラーベース相が上記鋳片の凝
固温度(約1500℃)から700℃の温度範囲で析出
することが判り、この析出を阻止するには、この温度範
囲を急冷して700℃以下で巻取ればよいことが判明し
た。巻取り温度は低い方が好ましいが、200℃未満で
は設備的に困難となる。従って、700℃から200℃
までの温度範囲で巻取れば良い。
固温度(約1500℃)から700℃の温度範囲で析出
することが判り、この析出を阻止するには、この温度範
囲を急冷して700℃以下で巻取ればよいことが判明し
た。巻取り温度は低い方が好ましいが、200℃未満で
は設備的に困難となる。従って、700℃から200℃
までの温度範囲で巻取れば良い。
【0018】巻取り温度を700℃以下にするために
は、例えば双ドラム式鋳造方式においては冷却ドラムと
巻取機の間に空冷式あるいは水冷式の冷却装置を設置し
て、必要に応じて強制冷却を行えばよい。こゝで、巻取
温度と靱性を表わす20℃シャルピー衝撃値(kgfm/cm
2 )との関係を図1に示す。
は、例えば双ドラム式鋳造方式においては冷却ドラムと
巻取機の間に空冷式あるいは水冷式の冷却装置を設置し
て、必要に応じて強制冷却を行えばよい。こゝで、巻取
温度と靱性を表わす20℃シャルピー衝撃値(kgfm/cm
2 )との関係を図1に示す。
【0019】図1は次の実験によって得られたものであ
る。 化学成分:C 0.013%,Si 0.49%,Mn
0.26%,P 0.024%,S 0.001%,
Ni 0.27%,Cr 19.15%,Cu0.44
%,Nb 0.50%,Al 0.003%,N 0.
0185%、残部Fe及び不可避的不純物よりなり、か
つγ′P =−44.4%に規制した溶鋼から双ドラム式
鋳造方法により3.0mmの厚さの鋳片を鋳造した。
る。 化学成分:C 0.013%,Si 0.49%,Mn
0.26%,P 0.024%,S 0.001%,
Ni 0.27%,Cr 19.15%,Cu0.44
%,Nb 0.50%,Al 0.003%,N 0.
0185%、残部Fe及び不可避的不純物よりなり、か
つγ′P =−44.4%に規制した溶鋼から双ドラム式
鋳造方法により3.0mmの厚さの鋳片を鋳造した。
【0020】鋳造した鋳片を巻取温度を200〜100
0℃の間で変化して巻取った。そして、各巻取温度にお
ける20℃でのシャルピー衝撃値を測定し、これを図1
に表示した。かゝる鋳片をそれぞれ酸洗して、室温で
0.5mm厚まで冷間圧延した。その結果、700℃〜2
00℃の温度で巻取った鋳片はいずれも圧延中割れが発
生しなかったが、800〜1000℃で巻取った鋳片は
いずれも冷間圧延可否の目安としている20℃のシャル
ピー衝撃値が5kgfm/cm2 以下となり、冷間圧延中破断
した。
0℃の間で変化して巻取った。そして、各巻取温度にお
ける20℃でのシャルピー衝撃値を測定し、これを図1
に表示した。かゝる鋳片をそれぞれ酸洗して、室温で
0.5mm厚まで冷間圧延した。その結果、700℃〜2
00℃の温度で巻取った鋳片はいずれも圧延中割れが発
生しなかったが、800〜1000℃で巻取った鋳片は
いずれも冷間圧延可否の目安としている20℃のシャル
ピー衝撃値が5kgfm/cm2 以下となり、冷間圧延中破断
した。
【0021】すなわち、700℃超で巻取ると鋳片中に
ラーベース相が多量に析出し、靱性を劣化させているこ
とが確認された。以上のように、鋳造直後の鋳片内のマ
ルテンサイトの生成を阻止するとともにラーベース相の
析出を抑えることにより、フェライト系ステンレス鋼薄
鋳片の靱性を向上せしめ、これにより冷間圧延前に焼鈍
を施さなくても安定状態で所定厚みまで圧延することが
できる。
ラーベース相が多量に析出し、靱性を劣化させているこ
とが確認された。以上のように、鋳造直後の鋳片内のマ
ルテンサイトの生成を阻止するとともにラーベース相の
析出を抑えることにより、フェライト系ステンレス鋼薄
鋳片の靱性を向上せしめ、これにより冷間圧延前に焼鈍
を施さなくても安定状態で所定厚みまで圧延することが
できる。
【0022】
【実施例】表1に示す化学成分を有するフェライト系ス
テンレス鋼を溶製し、双ドラム法で厚さ3.0mmの薄肉
鋳片に鋳造し、450〜900℃の所定温度で巻取っ
た。しかる後該コイルをショットブラストと硫酸酸洗に
より脱スケールし、0.5mmまで冷間圧延し、950℃
で30秒間保定する最終焼鈍を施して酸洗(ソルト+硝
酸電解)し、2B仕上げの製品板とした。
テンレス鋼を溶製し、双ドラム法で厚さ3.0mmの薄肉
鋳片に鋳造し、450〜900℃の所定温度で巻取っ
た。しかる後該コイルをショットブラストと硫酸酸洗に
より脱スケールし、0.5mmまで冷間圧延し、950℃
で30秒間保定する最終焼鈍を施して酸洗(ソルト+硝
酸電解)し、2B仕上げの製品板とした。
【0023】本発明例ではいずれも圧延中の割れがなく
製品板を得ることができたが、試料No.11はマルテン
サイトの生成のため衝撃値が低くて冷延中に破断が生
じ、試料 No.12及び No.13は巻取温度が900℃及
び800℃と高いため両者とも衝撃値が低く冷延中に割
れが生じて製品板にならなかった。
製品板を得ることができたが、試料No.11はマルテン
サイトの生成のため衝撃値が低くて冷延中に破断が生
じ、試料 No.12及び No.13は巻取温度が900℃及
び800℃と高いため両者とも衝撃値が低く冷延中に割
れが生じて製品板にならなかった。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により得ら
れたフェライト系ステンレス鋼薄鋳片は熱間圧延及び熱
延板焼鈍を省略しても、圧延割れの恐れなく冷間圧延を
行うことができるので、産業上裨益するところが大であ
る。
れたフェライト系ステンレス鋼薄鋳片は熱間圧延及び熱
延板焼鈍を省略しても、圧延割れの恐れなく冷間圧延を
行うことができるので、産業上裨益するところが大であ
る。
【図1】フェライト系ステンレス鋼の連続鋳造薄鋳片の
巻取温度と20℃のシャルピー衝撃値との関係を示す図
である。
巻取温度と20℃のシャルピー衝撃値との関係を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新井 貴士 山口県光市大字島田3434番地 新日本製 鐵株式会社光製鐵所内 (72)発明者 井上 周一 山口県光市大字島田3434番地 新日本製 鐵株式会社光製鐵所内 (56)参考文献 特開 平1−197046(JP,A) 特開 昭57−146456(JP,A) 特開 昭64−4458(JP,A) 特開 昭60−2628(JP,A) 特開 平3−277744(JP,A) 特公 平2−37424(JP,B2) 米国特許2851384(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/00 B22D 11/06 330 B22D 11/124 C22C 38/00 302 C22C 38/26
Claims (7)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.03%以下、Si:
1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%
以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜35.
0%,Nb:0.1〜1.0%及びN:0.03%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、更
に、 γ′P =420C%+470N%+23Ni%+9Cu%+7Mn% −11.5Cr%−11.5Si%−12Mo%−23V% −47Nb%−49Ti%−52Al%+179≦0 を満足するフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造し、次
いで該鋳片を700〜200℃の温度範囲で巻取ること
を特徴とするフェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造
方法。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.03%以下、Si:
1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%
以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜35.
0%,Nb:0.1〜1.0%,N:0.03%以下及
びNi:0.3〜5.0%を含み、残部Fe及び不可避
的不純物からなり、かつ、 γ′P =420C%+470N%+23Ni%+9Cu%+7Mn% −11.5Cr%−11.5Si%−12Mo%−23V% −47Nb%−49Ti%−52Al%+179≦0 を満足するフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造し、次
いで該鋳片を700〜200℃の温度範囲で巻取ること
を特徴とするフェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造
方法。 - 【請求項3】 重量%で、C:0.03%以下、Si:
1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%
以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜35.
0%,Nb:0.1〜1.0%及びN:0.03%以下
を含有し、更にMo:0.1〜5.0%,Cu:0.2
〜1.0%,Ti:0.1〜1.0%,Al:0.05
〜1.0%、およびV:0.1〜1.0%の1種又は2
種以上を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなり、
かつ、 γ′P =420C%+470N%+23Ni%+9Cu%+7Mn% −11.5Cr%−11.5Si%−12Mo%−23V% −47Nb%−49Ti%−52Al%+179≦0 を満足するフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造し、次
いで該鋳片を700〜200℃の温度範囲で巻取ること
を特徴とするフェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造
方法。 - 【請求項4】 重量%で、C:0.03%以下、Si:
1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%
以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜35.
0%,Nb:0.1〜1.0%,N:0.03%以下及
びNi:0.3〜5.0%を含有し、更にMo:0.1
〜5.0%,Cu:0.2〜1.0%,Ti:0.1〜
1.0%,Al:0.05〜1.0%及びV:0.1〜
1.0%の1種又は2種以上を含み、残部Fe及び不可
避的不純物からなり、かつ、 γ′P =420C%+470N%+23Ni%+9Cu%+7Mn% −11.5Cr%−11.5Si%−12Mo%−23V% −47Nb%−49Ti%−52Al%+179≦0 を満足するフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造し、次
いで該鋳片を700〜200℃の温度範囲で巻取ること
を特徴とするフェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造
方法。 - 【請求項5】 重量%で、C:0.03%以下、Si:
1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%
以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜35.
0%,Nb:0.1〜1.0%,N:0.03%以下及
びB:0.0003〜0.0030%を含み、残部Fe
及び不可避的不純物からなり、かつ、 γ′P =420C%+470N%+23Ni%+9Cu%+7Mn% −11.5Cr%−11.5Si%−12Mo%−23V% −47Nb%−49Ti%−52Al%+179≦0 を満足するフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造し、次
いで該鋳片を700〜200℃の温度範囲で巻取ること
を特徴とするフェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造
方法。 - 【請求項6】 重量%で、C:0.03%以下、Si:
1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%
以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜35.
0%,Nb:0.1〜1.0%,N:0.03%以下、
Ni:0.3〜5.0%及びB:0.0003〜0.0
030%を含み、残部Fe及び不可避的不純物からな
り、かつ、 γ′P =420C%+470N%+23Ni%+9Cu%+7Mn% −11.5Cr%−11.5Si%−12Mo%−23V% −47Nb%−49Ti%−52Al%+179≦0 を満足するフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造し、次
いで該鋳片を700〜200℃の温度範囲で巻取ること
を特徴とするフェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造
方法。 - 【請求項7】 重量%で、C:0.03%以下、Si:
1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%
以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜35.
0%,Nb:0.1〜1.0%,N:0.03%以下、
Ni:0.3〜5.0%及びB:0.0003〜0.0
030%を含有し、更にMo:0.1〜5.0%,C
u:0.2〜1.0%,Ti:0.1〜1.0%,A
l:0.05〜1.0%及びV:0.1〜1.0%の1
種又は2種以上を含み、残部Fe及び不可避的不純物か
らなり、かつ、 γ′P =420C%+470N%+23Ni%+9Cu%+7Mn% −11.5Cr%−11.5Si%−12Mo%−23V% −47Nb%−49Ti%−52Al%+179≦0 を満足するフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造し、次
いで該鋳片を700〜200℃の温度範囲で巻取ること
を特徴とするフェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4098180A JP3001718B2 (ja) | 1992-04-17 | 1992-04-17 | フェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4098180A JP3001718B2 (ja) | 1992-04-17 | 1992-04-17 | フェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05293595A JPH05293595A (ja) | 1993-11-09 |
JP3001718B2 true JP3001718B2 (ja) | 2000-01-24 |
Family
ID=14212829
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4098180A Expired - Fee Related JP3001718B2 (ja) | 1992-04-17 | 1992-04-17 | フェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3001718B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2763960B1 (fr) * | 1997-05-29 | 1999-07-16 | Usinor | Procede de fabrication de bandes minces d'acier inoxydable ferritique, et bandes minces ainsi obtenues |
FR2798394B1 (fr) * | 1999-09-09 | 2001-10-26 | Ugine Sa | Acier ferritique a 14% de chrome stabilise au niobium et son utilisation dans le domaine de l'automobile |
PL2133436T3 (pl) | 2007-04-05 | 2019-04-30 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | Sposób wyżarzania ciągłego taśmy stalowej mającej temperaturę Curie oraz urządzenie do jej wyżarzania ciągłego |
ES2927078T3 (es) * | 2018-12-21 | 2022-11-02 | Outokumpu Oy | Acero inoxidable ferrítico |
-
1992
- 1992-04-17 JP JP4098180A patent/JP3001718B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05293595A (ja) | 1993-11-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4880467B2 (ja) | 無方向性電磁鋼板の改善された製造方法 | |
KR100614558B1 (ko) | 페라이트계 크롬 합금강과 크롬 합금강 제조 방법 및 페라이트계 크롬 합금 강판 | |
JPH06220545A (ja) | 靱性の優れたCr系ステンレス鋼薄帯の製造方法 | |
US9816163B2 (en) | Cost-effective ferritic stainless steel | |
JP3001718B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造方法 | |
CN109295289B (zh) | 一种减轻抗硫化氢腐蚀用薄钢板带状组织的方法 | |
JPH0717946B2 (ja) | 耐濃硫酸腐食性に優れた二相ステンレス鋼の製造方法 | |
JP4545335B2 (ja) | 耐リジング性に優れたFe−Cr系鋼板およびその製造法 | |
JP2792834B2 (ja) | 薄鋳帯からの強度500MPa 以下の炭素鋼薄鋼帯の製造方法 | |
JPH0555215B2 (ja) | ||
JP2004137554A (ja) | 加工性に優れた鋼板及びその製造方法 | |
JP2637013B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片の製造方法 | |
JP3067892B2 (ja) | 表面性状と深絞り性の優れたフェライト系ステンレス鋼薄板の製造方法 | |
JP2838468B2 (ja) | 熱間圧延での割れを防止するCr−Ni系ステンレス合金の製造方法 | |
JPH057457B2 (ja) | ||
JPH0717988B2 (ja) | 靱性および耐食性がともに優れるフェライト系ステンレス鋼 | |
JPH0742552B2 (ja) | 耐食性に優れる高Ni合金薄板帯及びその製造方法 | |
JPS63176427A (ja) | 一方向性高珪素鋼板の製造方法 | |
JPH06158233A (ja) | 靱性の優れたフェライト系ステンレス鋼薄肉鋳片及びこの薄肉鋳片によるフェライト系ステンレス鋼帯の製造方法 | |
EP4249623A1 (en) | High-strength austenitic stainless steel having excellent hot workability | |
KR20180069605A (ko) | 크랙발생이 저감된 고강도 듀플렉스 스테인리스 강 및 그 제조방법 | |
JP3026232B2 (ja) | 耐食性と加工性に優れるステンレス鋼薄鋳片の製造方法 | |
JP2823220B2 (ja) | 溶接継手靭性の良い鋼板の製造法 | |
JPS6364516B2 (ja) | ||
JP4258039B2 (ja) | 耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼熱延板、冷延板およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19991005 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |