JP3001290B2 - ホブ及びホブ素材の研削方法 - Google Patents

ホブ及びホブ素材の研削方法

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JP3001290B2
JP3001290B2 JP3143517A JP14351791A JP3001290B2 JP 3001290 B2 JP3001290 B2 JP 3001290B2 JP 3143517 A JP3143517 A JP 3143517A JP 14351791 A JP14351791 A JP 14351791A JP 3001290 B2 JP3001290 B2 JP 3001290B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は歯車素材に歯を形成する
ためのホブに関する。
【0002】
【従来技術】ホブは多年にわたって知られている。ホブ
は、一連の歯の形態のねじを有しており、上記歯は、こ
れら歯が互いに関して軸方向にかつ角度的に隔置される
ように、ホブ本体に沿ってその周囲を螺旋状に伸延して
いる。従って、歯は略軸方向に伸長すると共に略円周方
向に隔置された複数の列として配列されており、各々の
列の歯は互いに略軸方向に隔置されている。
【0003】各々の歯は、先行するすくい面と、一対の
側部フランクと、外側のチップと、歯元とを有してい
る。刃は、すくい面のフランク及びチップとの接合部に
沿って形成されている。フランク及びチップは、刃に対
する切削クリアランスを提供するために、適宜に逃げ角
を付けられている。切削の間の過度の摩耗を避けるため
には、大きなクリアランス角度とすることが望ましい。
【0004】現在商業的に使用されているホブは、刃が
摩耗した後にすくい面を研ぎ直しするようになされてい
る。従って、元々製造された刃は、ホブがその後に研ぎ
直された時に、各々の刃が適正な切削形態を維持するよ
うな形状になされている。
【0005】通常のホブを製造する際には、刃を加工し
次にこの刃をバックオフさせて必要な切削クリアランス
を形成する。その後ホブを焼入れして仕上げ研削を行
う。仕上げ研削操作の間に、ホブを、回転する砥石車と
相対的に回転させる。砥石車は、歯のチップ、フランク
及び歯元がアルキメデス螺旋の形状となるように、ホブ
に対して送り出される。この研削手順においては、後に
この歯を同一の逃げ角を維持しながら研ぎ直すことを可
能とするような歯の形状にする。
【0006】通常のホブの研削においては、逃げ角と、
有効な歯の長さと、砥石車の直径の間での妥協が行われ
る。上述のように、大きな逃げ角は、自由な切削及び高
性能とするために望ましい。通常のホブにおいて、歯の
有効長さを長くして歯の研ぎ直しを何回も行うことがで
きるようにすることが重要である。また、大きな直径の
砥石車を用いて砥石車の摩耗を低減すると共に砥石車を
装着する頻度を極力少なくすることが望ましい。しかし
ながら、砥石車の直径は、この砥石車が研削している歯
に円周方向において隣接する歯と干渉してはならないた
めに制限される。砥石車の直径及び逃げ角が増加する
と、歯の有効長を減少させなければならない。従って、
ホブの設計においてはこれらの要素の間で妥協しなけれ
ばならない。
【0007】歯車切削工具の研ぎ直しは時間がかかりま
た高精度で行う必要がある。研ぎ直し操作を行う必要性
を排除するために、本件出願人は使い捨て型の歯車切削
工具を開発した。そのような工具はHaugの米国特許
第4,576,527号に開示されており、この工具
は、歯車研ぎカッタの一部を構成する薄い切削ウエーハ
の形態を有している。多くの場合において、通常の成形
カッタを研ぎ直すよりも、摩耗したウエーハを単に捨て
てその摩耗したウエーハを新しいウエーハと交換するこ
とがより経済的である。
【0008】上記事柄に鑑み、研ぎ直し操作に経費をか
けるよりも、摩耗したホブを単に捨てることの方がより
経済的であろうことが予期される。しかしながら、これ
を達成するためにはホブを非常に経済的に製造してホブ
交換のイニシャルコストをかなり安くする必要がある。
また、ホブのコストを適性にするために十分に高い生産
性を達成するようにホブを設計する必要がある。すなわ
ち、ホブの使い捨てを商業的に可能とするためには、通
常の研ぎ直し可能なホブを使用することにより達成され
る全費用便益よりも高い全費用便益を生みだすホブとす
る必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の一般的な目的
は、使い捨て可能なホブを提供することであり、このホ
ブは非常に経済的に製造可能であり、またこの使い捨て
可能なホブを購入して用いる場合の総コストが通常の研
ぎ直し可能なホブの使用に伴うコストよりも低くなるよ
うな高い生産性を達成可能とするものである。
【0010】本発明の更に詳細な目的は、大きな歯の逃
げ角でもって比較的経済的に研削可能なホブを提供する
ことであり、この研削は比較的大きな直径の砥石車によ
り行われ、また該ホブは任意の直径の本体上に多数の歯
を有しており、これによりホブの高い生産性を達成す
る。
【0011】また更に詳細に言えば、本発明は位置的な
研削モードでホブを研削する方法を提供し、この方法に
おいては、ホブを研削の間に静止して保持すると共に、
砥石車をホブに対して、ホブの設計基準に合致する極力
大きな砥石車を用いることができるような位置に位置決
めする。
【0012】また、本発明の特徴は、円周方向に沿って
凹面形状をなす外側チップと、円周方向に沿って凹面形
状をなす側部フランクと、円周方向に沿って凹面形状を
なす歯元とを有するホブを提供することである。
【0013】本発明の上記及び他の目的および効果は、
図面及び以下の記載から明らかとなろう。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、中心軸
線を有すると共に略軸方向に伸長しかつ略円周方向に沿
って隔置された歯の列を備えた本体から成るホブであっ
て、各々の列の歯は互いに略軸方向に沿って隔置されて
おり、各々の歯は、円周方向に沿って凹面形状をなし且
つ略半径方向を向いた外側チップと、円周方向に沿って
凹面形状で略軸方向を向いた一対の側部フランクとを有
しており、軸方向に隣接して隔置された上記歯の各対間
の間隙部の底部は円周方向に沿って凹面形状をなしてい
るホブが提供される。
【0015】また本発明によれば、中心軸線を有すると
共に略軸方向に伸長しかつ略円周方向に沿って隔置され
た複数の溝の列を有する粗形成された略円筒形状のホブ
素材であって、上記各々の溝は前方面を有し、該前方面
が上記素材の半径方向に伸長する第1の線上に存在する
第1の点を含む外側縁部を有している上記ホブ素材を研
削するための方法であって、軸方向に沿って隔置されか
つ円周方向に沿って凸面形状をなす2つの肩部と、これ
ら肩部の間に位置すると共に該肩部から半径方向に突出
する断面略台形状の環状のリブとにより画成されるよう
形成された周縁部を有する略円形の砥石車を用意する段
階と、上記砥石車を、ホブ素材の中心軸線から上記砥石
車の軸中心に位置する第2の点まで伸長する第2の線が
上記第1の線から角度的に後方に位置するように位置決
めされた第2の軸線の周囲で回転するように、位置決め
する段階と、上記砥石車の周縁部が前記溝の1つに係合
しておりまた上記素材が静止している状態で上記砥石車
を上記第2の軸線の周囲で回転させることにより、上記
リブにより上記1つの溝の係合部分を研削して円周方向
に沿って凹面形状をなす底部と、円周方向に沿って凹面
形状をなすフランクとにより画成される空間を形成する
と共に、上記肩部により上記空間の両側に隣接する外側
チップを研削し該外側チップ上に円周方向に沿って凹面
形状をなす面を形成する段階とを備えて成るホブ素材の
研削方法が提供される。
【0016】
【実施例】本発明を説明するために、加工物素材すなわ
ちブランク(図示せず)に歯を形成するためのホブ20
として具体化された本発明を図示してある。このホブ
は、軸線22を有する略円筒形状の胴体21を備え、該
胴体にはホブをホブ盤(図示せず)に取り付けるための
縮径のシャンク端23が形成されている。
【0017】ホブ20は、胴体21にねじ山が形成され
このねじ山が所定のリード角A(図12)をなして胴体
に沿いかつこの胴体の周囲を螺旋状に延在している限り
においては、通常のものである。軸方向に伸長しかつ円
周方向において隔置される複数の刃溝24(図1)がね
じ山に刻設され、この刃溝24により各ねじ山の周回部
が略円周方向に隔置された一連の歯25に分割されてい
る。ねじ山のリード角により、各周回部の歯は各々隣接
する周回部の歯から略軸方向において隔置されている。
換言すれば、ホブ20は、略軸方向に伸長すると共に略
円周方向において隔置された複数の歯の列を有し、これ
ら各々の列の歯は互いに略軸方向において隔置されてい
る。
【0018】図2及び図3に示すように、各々の歯25
は、リードすくい面26と、外側チップ27と、一対の
側方フランク28と、歯元29とを有している。刃30
は、すくい面26が外側チップ27及び側方フランク2
8と接合する部分に沿って画成されている。
【0019】ここまでに説明したホブ20は、従来のホ
ブを形成するのと同様の手順で形成することができる。
すなわち、胴体21にねじ山を切り、次にフライス削り
により刃溝24を刻設する。また、胴体を深く削って角
度方向に隔置された溝を形成し、次にねじ山を切ること
もできる。通常のホブにおいては、ねじ山及び刃溝を形
成する作業の次に、通常のバックオフ機械によりいわゆ
るバックオフ操作(切削工具を工作物から離す操作)を
行う。このバックオフ機械は歯にフォームレリーフされ
た形状を刻設する。通常のホブを次に焼入して仕上げ研
削する。
【0020】従来のホブ20’の軸方向において隣接す
る2つの歯25’が図4に示されている。従来のホブ2
0’の各々の歯25’の外側チップ27’、側方フラン
ク28’、及び歯元29’は、それぞれ円周方向におい
て総て凸面形状をなしており、各面はアルキメデスの螺
旋形状をなしている。このような凸面形状を有する結果
及び上記面がアルキメデス螺旋の形状になされる結果、
すくい面26’を研削することにより刃30’を研いで
再生した場合には、歯の輪郭は同一に維持される。従っ
て、刃30’を再生する必要がある時には、従来のホブ
20’の歯25を何回も研ぐことができる。
【0021】図6及び図7は、砥石車35’により従来
のホブ20’を仕上げ研削している状態を示している。
砥石車は、略円形状であると共に、2つの軸方向に隔置
された円筒形の肩部36’により一部が画成された成形
された周縁部を有している。肩部36’の間に設けられ
ているのは円形のディスク37’である。
【0022】従来のホブ20’の研削操作を実行する場
合には、ホブ及び砥石車35’を同時に回転させ、これ
らが回転している間に砥石車をホブの中へ半径方向に送
り込む。この送り込みの際には、各々の歯25’のチッ
プ27’、側方フランク28’及び歯元29’がアルキ
メデス螺旋に沿って延在する形状になるようにする。各
歯間の研削が終わると、砥石車を半径方向に迅速に引き
出す。このようなプロセスは、ダイナミック操作あるい
は全成形研削操作と呼ばれ、この操作においては、研削
を行っている間にホブ及び砥石車は回転している。
【0023】従来のホブ20’の設計に際しては、幾つ
かのファクタが作用する。各々の歯25’に長い有効長
さL’(図7)をもたせ、これにより歯を何回も再研削
できるようにすることが望ましい。高い性能及び自由な
切削を達成するために、歯の外側チップ27’における
逃げ角Y’を高くするのが望ましい。比較的小さな直径
の胴体21’の周囲に、円周方向に隔置されたかなり多
数の歯25’を形成し、これにより生産量を高め、また
ホブを形成するのに必要とされる材料の体積を減少さ
せ、更にホブにより形成される最終歯車上に正確な所望
のインボリュートを形成することができるようにするこ
とが望ましい。他の重要なファクタは、大きな直径の砥
石車35’を用い、これにより砥石車の摩耗を減少させ
ると共に砥石車を手入れする頻度を減少させる必要があ
ることである。従来のホブにおいては、これら種々のフ
ァクタはホブの設計において互いに矛盾するものであ
る。その理由は、歯の再研削を行いこの歯の再研削を行
った場合に歯の形状を同一に維持する必要があることを
設計において考慮しなければならないからである。一旦
ホブの設計が完了すると、砥石車35’の直径をを十分
に小さくし、これにより、研削されている歯のすぐ後に
ある歯25’の歯元29’の先端に位置する点P’(図
7)において、砥石車とホブ20’が干渉しないように
する必要がある。
【0024】本発明は、経済的に製造することができ、
また上述の如き高い生産量を得ることができ、更に耐久
性があり従って再研削に経費をかけるのではなく単に摩
耗したホブを捨てることをコスト的に可能とするホブ2
0を提供することを意図している。これはホブ20を主
に以下のように設計することにより達成される。
【0025】(1)円周方向に隔置された比較的多数の
歯25を比較的小さな直径の胴体21の周囲に形成す
る。
【0026】(2)高性能の切削のために逃げ角を大き
くする。
【0027】(3)比較的大きな直径の砥石車35を用
い、通常のバックオフ操作を行うことなく、歯25の最
初の輪郭を形成する。
【0028】(4)摩耗による歯の寿命を長くする。
【0029】本発明のホブ20に用いられる砥石車35
を図8乃至図12に示す。このような砥石車35は略円
形状で、2つの軸方向に隔置された円形の肩部36によ
って一部が画成される成形された周縁部を有している。
各々の肩部は円周方向に沿って凸面形状をなしている
が、軸方向に沿ってはほぼ直線的である。肩部の間には
環状リブ37が設けられており、この環状リブ37は軸
方向の断面において(図8及び図10参照)略台形状を
なしている。リブは、円錐形状になされて反対方向に傾
斜する2つの側面38を有しており、これら各々の側面
は円周方向に沿っては凸面形状をなし半径方向に沿って
は略直線的である。リブの最外方の周縁部39は、円周
方向に沿っては凸面形状をなしているが、軸方向に沿っ
ては直線状あるいは凸面状をなすものとすることができ
る。
【0030】砥石車35を用いてホブ20の歯25の輪
郭を形成する際には、動力により回転されるスピンドル
40(図11及び図12)上に砥石車を支持し、この砥
石車の軸線に一致する軸線41の周囲で回転させる。ス
ピンドル40はホブ20に対して、砥石車の軸線41及
びホブの軸線22が平行な平面(図11)に延在するよ
うに配設される。しかしながら、砥石車35の軸線41
は、ホブの軸線22に対して、ピッチ円直径にあるホブ
のねじ山のリード角Aに一致する鋭角B(図12)をな
して傾斜しており、これにより砥石車はリード角に合致
しかつこれを受け入れるように配設される。
【0031】ホブ20及び砥石車35を上述のように位
置決めすると、砥石車が回転しておりまたホブが回転方
向において静止している間に、砥石車をホブの中へ(あ
るいはその反対にホブを砥石車の中へ)送り込む。この
送り込みにより、リブ37の外縁部39が、軸方向にお
いて隔置された隣接する歯25の間の歯元29の底部を
研削し、リブ37の側面38が上記歯の隣接する側方フ
ランク28を研削し、肩部36の一方が1つの歯のチッ
プ27の軸方向の長さの2分の1よりも僅かに大きい長
さを研削し、更に他方の肩部36が軸方向において隣接
する歯25のチップ27の軸方向の長さの2分の1より
も僅かに多い長さを研削する。このような研削の結果、
歯元29の輪郭は、円周方向に沿って凹面形状をなし、
軸方向に沿っては直線状かあるいは凹面形状をなし、ま
た各々の側方フランク28の輪郭は、円周方向に沿って
凹面形状をなし半径方向に沿っては直線状の形状とな
る。次に、砥石車は次の軸方向の空所に作用し、肩部3
6の一方で第1の歯のチップ27の残りの半分を研削す
る。チップ27は、このチップが完全に研削されると、
円周方向に沿って凹面形状をなし、軸方向において直線
状となる。上記凹面形状により、頂部の逃げ角D(図1
3)が歯のチップ27に沿って確立されるが、この逃げ
角は、(1)チップ27の刃30上の点45におけるホ
ブに対する接線平面と、(2)砥石車35の一方の肩部
36に対する点45における接線平面との間の角度であ
る。
【0032】本発明の実施に際して、砥石車35を、任
意の設計のホブに対して可能な最大直径の砥石車を用い
ることができるように、ホブ20に対して位置決めす
る。すなわち、砥石車が最も深い位置にある時に、砥石
車の軸方向の中心線に位置する点46(図10及び図1
3)が、ホブの軸線22から研削されているチップ27
の刃30上の点45を通ってホブの半径方向に伸びる線
L−1から後方(研削されている歯25のすくい面26
に対して)に偏位するように、砥石車を位置させる。こ
の関係は、図13を参照しかつ以下のことを考慮すれば
より明らかとなる。
【0033】すなわち、 D = 設計により選定されかつ最適とされた頂部の逃
げ角(上に定義したように)であり、 E = (180°/N)で与えられる値の角度を有
し、ここにおいてNは刃溝24の数すなわちホブ上の歯
25の列の数であり、 F = 砥石車35の係合角(すなわち、(i)砥石車
の軸中心46から半径方向に伸び、研削されている歯2
5上の点45と、該歯にすぐ後続するチップにおける点
Pとの間を二等分する線L−2と、(ii)砥石車の軸中
心46から点45に向かって半径方向に伸長する線L−
3との間の角度)であり、 r = ホブ20の外側半径であり、 Rm= 肩部36が、研削されている歯のすぐ次の歯の
先端における点Pと干渉するのを避けるための、砥石車
35の肩部の最大許容半径である。
【0034】上記定義に従い、また図13を参照する
と、明らかに次式が成立する。
【0035】 D = E + F (1) (1)式を変形して、 F = D − E (2) また、 rSinE = RmSinF (3) であり、従って、次式が成立する。
【0036】 Rm= rSinE/SinF = rSin(180°/N)/Sin(D−180°/N) (4) 従って、任意の外側半径r,任意の歯の列数N及び任意
の頂角Dを有するホブを設計することにより、歯車係合
角Fが確立され、またRmすなわち砥石車35の肩部3
6の許容最大半径、さらに歯車の外縁部39の最大半
径、を計算することができる。
【0037】特定の例として、0.787インチ(20
mm)の半径rを有し、18.0°の頂角Dを有し、1
6の刃溝すなわち歯列数(N)を有し、更に14の直径
ピッチを有するホブを製造する場合を考えてみる。これ
らパラメータを用いると、 E=180°/N =180°/16 =11.25° (5) であり、従って、 F=D−E=18.0°−11.25°=6.75° (6) となり、また、 Rm=0.787Sin11.25°/Sin6.75° =1.306インチ(33.2mm) (7) となる。これにより、最大2.612インチ(66.3
mm)の直径を有する肩部36を備えた砥石車35は、
隣接する直後の歯に干渉することなくそれぞれの歯を研
削するために用いることができる。
【0038】総括すると、砥石車35が最も深い位置
(高歯状態)にある場合には、歯車の軸方向の中心46
は線L−2よりも角度Eだけ線L−1の後方の角度位置
にある。これにより、砥石車の肩部36の半径を値(r
SinE/SinF)まで大きくして、ホブを研削する
ために用いる砥石車の直径を極力大きくすることができ
る。
【0039】ホブ20の歯25の摩耗を少なくして歯が
鈍るまでの時間を長くするために、歯を研削した後にこ
の歯を窒化チタンの薄いフィルムで被覆する。このよう
な被覆により歯の有効な使用寿命が大幅に向上する。
【0040】上述の事柄から、本発明は当業界に新規か
つ改善されたホブ20をもたらし、このホブは最終的に
歯が鈍った時に廃棄できるように設計されていることは
明らかであろう。本発明の使い捨て可能なホブは、幾つ
かの要因により従来の研ぎ直し可能なホブと十分に競合
することができる。第1に、使い捨て可能なホブにおい
ては、切削面26の後方の歯の形状は、この形状が切削
の間に干渉を生じない限りにおいて何等重要ではなく、
従って、歯25を高性能を示すように最適の逃げ角とし
て設計するこができ、また比較的大きな砥石車で研削し
て効率的な製造を行うことができる。バックオフを行い
その後に仕上げ研削を行う必要のある従来のホブとは対
照的に、使い捨て可能なホブの歯の輪郭及び所望の空隙
の研削を焼入れ後の一回の工程で行うことができる。
【0041】使い捨て可能なホブ20の元々の切削面2
6の後方の歯の部分を研ぎ直ししないために、各々の歯
の円周方向の寸法は、それぞれの歯が切削の間にこれら
歯に作用する荷重に耐えるに必要な強度をもつように、
十分大きくするだけで良い。この結果、円周方向におい
て短い歯を用いて、比較的大きい歯列数を相対的に小さ
な直径のホブ本体21の周囲に形成することができる。
多くの歯列を有する小さな直径のホブは高速で回転して
大きな生産速度を達成すると同時に、ホブを形成するた
めの材料の量が比較的少なくて済む。更に、廃棄可能な
ホブは厳密に同一の直径に製造かつ研削することがで
き、従って、ホブ盤の状態を常に一定に設定しておくこ
とができ、従来のホブにおける研ぎ直しの度に必要とさ
れる再調節を行う必要がない。
【0042】上述の研削方法は歯25の歯元29におけ
るよりも歯の先端27においてより大きな逃げ角を提供
する。この構成は、一般に必要とされ特に突出部がある
場合に必要とされる。また上述のように、位置的な研削
モードにより、より大きな直径の砥石車を用いることが
でき、このことは砥石車の装着の頻度を極力少なくする
ために重要であるばかりではなく、歯の形状が、バック
オフ操作ではなく、研削操作により形成されるために、
砥石車の摩耗が低減されるために、重要である。
【0043】以上の開示においては、研削操作を行う前
にホブ素材に歯を荒形成することを意図している。しか
しながら、半径方向の短い歯を有するホブを刃溝を形成
した素材から形成することができ、この場合においては
最初に歯を上述の研削操作により溝に形成することは理
解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の特異な特徴を備えた新規かつ改善され
たホブの側面図である。
【図2】図1に示すホブの軸方向において隣接する2つ
の歯の拡大斜視図である。
【図3】図2の線3−3にほぼ沿って取った断面図であ
り、本発明のホブの歯の1つを示している。
【図4】図2と同様の図であるが、通常の従来技術のホ
ブの軸方向において隣接する2つの歯を示している。
【図5】図4の線5−5にほぼ沿って取った断面図であ
り、従来技術のホブの歯の1つを示している。
【図6】従来技術のホブの隣接する歯に作用してこれら
歯を研いでいる砥石車を概略的に示す斜視図である。
【図7】図6の線7−7にほぼ沿って取った断面図であ
る。
【図8】本発明のホブの隣接する歯に作用してこれら歯
を研いでいる砥石車を概略的に示す斜視図である。
【図9】図8の線9−9にほぼ沿って取った断面図であ
る。
【図10】図8に示す砥石車の立面図である。
【図11】本発明のホブと、砥石車のスピンドルとの間
の関係を示す平面図である。
【図12】本発明のホブと、砥石車のスピンドルとの間
の関係を示す立面図である。
【図13】図9と同様の拡大図であって、砥石車が最も
深い位置にある時の、本発明のホブと、砥石車との間の
位置的な関係を概略的に示している。
【符号の説明】
20 ホブ 21 ホブ胴体 22 中心軸線 25 歯 27 チップ 28 側方フラン
ク 29 歯元
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−58916(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23F 21/16

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心軸線を有すると共に略軸方向に伸長
    しかつ略円周方向に沿って隔置された歯の列を備えた本
    体から成るホブであって、各々の列の歯は互いに略軸方
    向に沿って隔置されており、各々の歯は、円周方向に沿
    って凹面形状をなし且つ略半径方向を向いた外側チップ
    と、円周方向に沿って凹面形状で略軸方向を向いた一対
    の側部フランクとを有しており、軸方向に隣接して隔置
    された前記歯の各対間の間隙部の底部は円周方向に沿っ
    て凹面形状をなしていることを特徴とするホブ。
  2. 【請求項2】 請求項1のホブにおいて、各々の歯の各
    側部フランクは半径方向に沿って直線的に延びているこ
    とを特徴とするホブ。
  3. 【請求項3】 請求項1のホブにおいて、各々の歯の歯
    元は軸方向に沿って直線的に延びていることを特徴とす
    るホブ。
  4. 【請求項4】 請求項2のホブにおいて、各々の歯の歯
    元は軸方向に沿って凹面形状をなしていることを特徴と
    するホブ。
  5. 【請求項5】 請求項3のホブにおいて、各々の歯のチ
    ップは軸方向に沿って直線的に延びていることを特徴と
    するホブ。
  6. 【請求項6】 請求項4のホブにおいて、各々の歯のチ
    ップは軸方向に沿って直線的に延びていることを特徴と
    するホブ。
  7. 【請求項7】 中心軸線を有すると共に略軸方向に伸長
    しかつ略円周方向に沿って隔置された複数の溝の列を有
    する粗形成された略円筒形状のホブ素材であって、前記
    各々の溝は前方面を有し、該前方面が前記素材の半径方
    向に伸長する第1の線上に存在する第1の点を含む外側
    縁部を有している前記ホブ素材を研削するための方法で
    あって、軸方向に沿って隔置されかつ円周方向に沿って
    凸面形状をなす2つの肩部と、これら肩部の間に位置す
    ると共に該肩部から半径方向に突出する断面略台形状の
    環状のリブとにより画成されるよう形成された周縁部を
    有する略円形の砥石車を用意する段階と、前記砥石車
    を、ホブ素材の中心軸線から前記砥石車の軸中心に位置
    する第2の点まで伸長する第2の線が前記第1の線から
    角度的に後方に位置するように位置決めされた第2の軸
    線の周囲で回転するように、位置決めする段階と、前記
    砥石車の周縁部が前記溝の1つに係合しておりまた前記
    素材が静止している状態で前記砥石車を前記第2の軸線
    の周囲で回転させることにより、前記リブにより前記1
    つの溝の係合部分を研削して円周方向に沿って凹面形状
    をなす底部と、円周方向に沿って凹面形状をなすフラン
    クとにより画成される空間を形成すると共に、前記肩部
    により前記空間の両側に隣接する外側チップを研削し該
    外側チップ上に円周方向に沿って凹面形状をなす面を形
    成する段階とを備えて成るホブ素材の研削方法。
  8. 【請求項8】 請求項7の方法において、前記第2の線
    が前記第1の線から角度Eだけ角度的に後方に位置して
    おり、前記Eが180°/Nに実質的に等しく、Nが軸
    方向に伸長する溝の列の数であることを特徴とする方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項8の方法において、前記肩部の各
    々の半径Rは略(rSinE/SinFの値に等しくか
    つこの値を越えることがなく、前記rは前記ホブの軸線
    から伸長する半径の長さであり、また前記Fは、前記第
    2の線と、前記第1の点から前記第2の点へ伸びる第3
    の線との間の角度であることを特徴とする方法。
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