JP3000187B2 - 生体分解性強膜プラグ - Google Patents

生体分解性強膜プラグ

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JP3000187B2
JP3000187B2 JP6025191A JP2519194A JP3000187B2 JP 3000187 B2 JP3000187 B2 JP 3000187B2 JP 6025191 A JP6025191 A JP 6025191A JP 2519194 A JP2519194 A JP 2519194A JP 3000187 B2 JP3000187 B2 JP 3000187B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体分解性強膜プラグ
およびその強膜プラグに薬物を含有させ、薬物の硝子体
への徐放効果を達成する技術、さらには薬物の徐放作用
を利用した網膜疾患の治療または予防および硝子体手術
後の治癒促進のための強膜プラグを提供するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】硝子体は、眼球内部組織の一種であり、
その大部分は水であるが主にコラーゲン線維とヒアルロ
ン酸からなる固形成分を含み、粘度の高い透明のゲル様
組織である。網膜は、その硝子体を包む形で硝子体に接
触している眼の最内層組織である。網膜の疾患は一般的
に難治性のものが多く、種々の原因による網膜出血、新
生血管や網膜細胞の増殖性変化を伴った増殖性硝子体網
膜症、網膜剥離、網膜芽細胞腫等があり、疾患によって
は硝子体の混濁を伴う。
【0003】眼疾患に対しては、薬物の点眼投与により
治療するのが最も一般的であるが、網膜あるいは硝子体
へは薬物はほとんど移行しない。また、静脈投与など全
身投与により治療しようとしても、血液房水柵のため通
常有効濃度になるほど移行しない。硝子体に直接薬物を
注入する方法も考えられるが、高濃度のものを一時に注
入すると眼内組織に障害をもたらし、また、頻回の注入
は感染の危険性や手技の煩わしさにより実際的でない。
このような中で、一部の疾患に対しては手術による治療
が行なわれている。例えば、硝子体出血に対しては、出
血により混濁した硝子体を切除し、また、増殖性硝子体
網膜症に対しては、硝子体を切除するとともに増殖組織
を切除している。網膜剥離に対しては、硝子体を切除し
シリコン等の代用硝子体を用いて網膜を押えつけること
もある。硝子体手術においては、眼球壁である強膜に3
箇所小切開を加え、生理的灌流液を眼内に灌流させる部
位、眼内を照射するためのガイドを挿入する部位および
硝子体切除のためのカッター等の器具類を挿入する部位
としている。器具類の眼内への出し入れに際しては暫定
的に金属製の強膜プラグを使用することもあるが( Am.
J. Ophthalmol. 91, 797(1981) )、最終的には小切開
部を縫合して手術を終了している。網膜、硝子体疾患に
対する薬物療法としては、硝子体内に薬物を直接注入す
る方法が現在とられているが、薬物をゆっくり放出させ
るために、マイクロスフェアーやリポゾームを用いる方
法が研究されている(Invt. Ophthalmol. Vis. Sci. 3
2, 1785(1991) )。近年、乳酸を用いたポリマーが、生
体内分解性ポリマーとして研究されてきている。例え
ば、骨接合部材に用いる方法(特開平3−2966
3)、手術用縫合糸に用いる方法(特開平4−5011
09)、眼内埋め込み用材に用いる方法(特開昭63−
22516)等である。また、ポリ乳酸の薬物徐放性効
果についても研究されている( J. Med. Chem. 16, 897
(1973)) 。さらに、低分子量ポリ乳酸を用いた徐放性眼
内埋め込み用製剤についても報告されている(特開平5
−17370)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】硝子体内に薬物を徐放
させる方法として、マイクロスフェアーやリポゾームを
用い硝子体内に注入する方法が知られているが、より簡
便でかつ長期間にわたって薬物の放出をコントロールで
きる技術の開発が望まれていた。そこで本発明者等は、
硝子体手術において開口部を暫定的にふさぐのに使用さ
れている上記金属製強膜プラグに着目し、課題の解決を
はかった。本発明が解決しようとする課題は、基本的に
次の課題である。まず、硝子体手術における開口部を効
果的にふさぎ、術後取り外す必要のない強膜プラグを開
発することである。次に、薬物の移行が極めて困難であ
る眼内組織に対し、長期間にわたって薬物を徐々に放出
させることにより、安全かつ効果的な投与を可能とする
ことである。さらに、硝子体手術時に作成された強膜創
を利用するなどして、簡便で臨床上適用可能な投与方法
を見出すことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】まず、手術後に取り外す
必要のない強膜プラグの材質を研究した結果、乳酸共重
合体を用いると、眼組織によって徐々に分解をうけて吸
収され、非常に感受性の高い組織である眼組織に対して
も安全性の高いプラグが得られることを見い出した。し
かし、強膜プラグにおいてはさらに要求される諸条件が
ある。すなわち、必要とされる時間は強膜開口部をふさ
ぐ機能をもち、適切な時間内に分解吸収されること、手
術時における取扱が容易であること等である。これらの
条件を満たすため、乳酸共重合体の分子量および乳酸単
位の組成率を検討した結果、共重合体の重量平均分子量
は1万−100万、乳酸単位の組成率は50−100モ
ル%が好ましいことを見い出した。次に強膜プラグの形
状について研究した結果、プラグが眼内に落ち込むのを
阻止するヘッド部分と、強膜開口部に挿入されるシャフ
ト部分とからなる釘状のものものが好ましく、特にシャ
フト部分の先端部は刺入時に合併症を起こしにくくする
ため角錐または円錐のような鋭角状の錐形となっている
のが好ましいことを見い出した。
【0006】次に、薬物を硝子体内に徐放させる方法を
研究した結果、乳酸共重合体を用いた強膜プラグに薬物
を含有させて、プラグを強膜開口部に挿入し、その先端
部を硝子体内に刺入することにより目的が達成できるこ
とを見い出した。尚、強膜プラグの強膜開口部への挿入
および先端部の硝子体内への刺入は、通常、毛様体扁平
部の部位にて行なわれる。この強膜プラグにおいて、乳
酸共重合体の分子量、乳酸単位の組成率等を変えること
により所望の期間、薬物を放出できるように設計するこ
とが可能である。しかも、本発明の強膜プラグは生体内
分解性のポリマーからなるので、薬物の放出が終了して
も取り除く必要がなく、極めて効果的に目的が達成され
ることを見い出した。さらに、本発明の強膜プラグは簡
単に強膜を通して硝子体に刺入できるので、硝子体手術
時の開口部より刺入することの他、直接強膜に微小孔を
あけ硝子体に刺入できることを見い出した。すなわち、
硝子体手術を行なわない場合でも本発明の強膜プラグは
網膜疾患の治療または予防に応用でき、また、薬物の放
出が非常に長期間必要とされる場合には追加して刺入可
能であり、さらに薬物の高い濃度が必要とされる場合に
は複数本同時に刺入して用いることが可能であることを
見い出した。
【0007】
【発明の構成】本発明は、乳酸共重合体製強膜プラグ、
および薬物を含有し、薬物を硝子体内へ徐々に放出させ
るように設計した強膜プラグ、ならびに薬物の徐放作用
を利用した網膜疾患の治療または予防および硝子体手術
後の治癒促進のための強膜プラグに関する。乳酸共重合
体とは、乳酸およびグリコール酸を主単位成分とした共
重合体を示すが、グリコール酸の代わりにリンゴ酸、グ
リセリン酸、酒石酸等を用いることができる。本発明で
いう乳酸共重合体とは、乳酸単位の組成率が100%の
もの、すなわちポリ乳酸をも含むことを意味する。尚、
乳酸単位成分としてはL体、D体またはDL体を用いる
ことができる。
【0008】強膜プラグは、手術中に鑷子で操作しても
折れたり欠けたりしない程度の強度を持つとともに、治
療等に必要な期間は薬物を徐放する機能を持ち、その後
は分解吸収される特性が必要となる。これらの特性は、
乳酸単位とグリコール酸単位等との組成比率(以下、特
記なき限り組成比率はモル比で示す)や重量平均分子量
等によって決められる。以下説明を簡単にするため乳酸
単位とグリコール酸単位からなる共重合体を例にとって
説明する。共重合体の分解性は主にその結晶化度および
吸水性に依存する。乳酸単位の組成比率またはグリコー
ル酸単位の組成比率のどちらか一方が高くなるにつれて
結晶化度が上がり、分解速度が遅くなる。夫々の組成比
率が50/50の場合に最も分解が速くなる。また、ポ
リグリコール酸はポリ乳酸に比べて親水性が高く、共重
合体中のグリコール酸単位組成率が高くなるとポリグリ
コール酸の性質が表れ親水性が増し、吸水性が高くなる
ので分解が速くなる。さらに、プラグを作成するのには
有機溶媒を用いるが、グリコール酸単位組成率が50%
を越えると通常の有機溶媒に溶解しにくくなるためプラ
グの作成が困難となる。以上のようなグリコール酸の特
性を考慮するとグリコール酸単位の組成率は50%以下
であることが好ましい。
【0009】また、共重合体の重量平均分子量とプラグ
の分解速度は比例関係にあり、分子量が大きくなればな
るほど分解速度は遅くなる。プラグの作成においてはこ
れらの特性とプラグに要求される機能とを考え合わせ
て、乳酸単位とグリコール酸単位の組成率および共重合
体の分子量を選択することができる。本発明の強膜プラ
グにおける乳酸単位の組成率は50−100モル%が好
ましく、グリコール酸単位の組成率は0−50モル%が
好ましい。また、共重合体の分子量はプラグの強度にも
影響を及ぼし、分子量が大きくなればなるほど強度が増
す傾向がある。前述のプラグに必要とされる強度も考慮
すると分子量は1万以上が好ましい。しかし、分子量が
大きくなりすぎるとプラグの分解速度が遅くなり、また
成型がしにくくなるため、その分子量は100万以下が
好ましい。すなわち、その重量平均分子量としては1万
−100万の範囲が好ましく強膜プラグの使用目的に応
じて適宜分子量を選択することができる。
【0010】乳酸単位とグリコール酸単位との組成比率
および共重合体の重量平均分子量は主として求められる
薬物の有効濃度維持期間に基づいて選択される。また、
薬物の有効濃度維持期間、すなわち必要とされる放出期
間は主として疾患の種類、症状および薬物の効果に基づ
いて選択される。本発明の強膜プラグが好適に使用でき
るものとしては、種々の網膜疾患、硝子体手術後の治癒
促進などがあるが、例を挙げると増殖性硝子体網膜症、
ウイルス感染症、術後炎症、術後感染症である。薬物の
放出期間は、分子量や組成率を適宜選択することにより
1週間から6ケ月程度に調整することができる。
【0011】1−2週間程度の比較的短い期間の放出を
必要とする場合は、1万−10万程度の分子量を、好ま
しくは1万−5万程度、より好ましくは2万−4万程度
の分子量のものを選択することができる。2週間−1ケ
月程度の期間放出を必要とする場合は、1万−20万程
度の分子量を、好ましくは2万−10万程度、より好ま
しくは2万−5万程度の分子量のものを選択することが
できる。1ケ月以上、例えば1ケ月−6ケ月の長期間放
出を必要とする場合は、1万−100万程度の分子量
を、好ましくは2万−40万程度、より好ましくは4万
−20万程度の分子量のものを選択することができる。
【0012】薬物の放出期間は前記のように乳酸単位と
グリコール酸単位の組成比率を変えることによってもコ
ントロールすることができる。すなわち、薬物の放出期
間およびプラグの分解性を考慮し、適した分子量および
組成比率を選択する。その組成比率の範囲は乳酸単位/
グリコール酸単位のモル比として100/0−50/5
0である。
【0013】より具体的に説明すると、症状によって異
なるものの、増殖性硝子体網膜症に用いることができる
塩酸ドキソルビシンの場合には、通常2週間−1ケ月程
度の放出期間が好ましく、その強膜プラグとしては、分
子量1万−20万程度、好ましくは2万−10万程度、
より好ましくは2万−5万程度のものを用い、乳酸単位
とグリコール酸単位の組成比率は、100/0−50/
50、好ましくは80/20−50/50、より好まし
くは80/20−70/30程度のものを用いる。ウイ
ルス感染症に用いることができるガンシクロビルの場合
には、1ケ月以上、例えば1ケ月−6ケ月、通常4ケ月
−6ケ月程度の放出期間が好ましく、その強膜プラグと
しては分子量1万−100万程度、好ましくは2万−4
0万程度、より好ましくは4万−20万程度のものを用
い、乳酸単位とグリコール酸単位の組成比率は、100
/0−50/50、好ましくは80/20−50/5
0、より好ましくは80/20−70/30程度のもの
を用いる。
【0014】本発明の強膜プラグは複数本同時に使用す
ることもでき、また追加して使用することもできる。従
って、治療上の必要性から薬物をより高い濃度で放出さ
せることが要求される場合には複数本同時に使用し、ま
た薬物の放出期間をさらに延長することが要求される場
合には追加して使用することができる。1本の強膜プラ
グに薬物を所望の量含有させることが困難な場合であっ
ても、強膜プラグを複数本同時に使用するか、または追
加使用することによって、この困難性が克服できる。
【0015】特開平5−17370の徐放性眼内埋め込
み用製剤においてはポリ乳酸を用いているものの、平均
分子量が約7000までの低分子量ポリ乳酸であり、こ
の様な低分子量のものでは、前述のようにプラグとして
必要な特性は得られず、強膜プラグとしては使用できな
い。
【0016】強膜プラグの形状は、プラグが眼内に落ち
込むのを阻止するヘッド部分と、強膜開口部に挿入され
るシャフト部分とからなる釘状のものものが好ましく、
特にシャフト部分の先端部は刺入時に合併症を起こしに
くくするため角錐または円錐のような鋭角状の錐形とな
っているのが好ましい。好ましくは、ヘッド部分は半球
状、円板状、六角板のような多角板状などに形成され、
シャフト部分は四角柱のような角柱状、円柱状などに形
成されている。プラグの形態を理解しやすくするため、
プラグのサイズについて説明すると、通常6mm程度の
長さを有し、そのヘッド部分の直径は2mm程度であ
り、シャフト部分の直径ないしは幅は1mm程度であ
り、さらにプラグ全体の重量は9mg程度である。無論
このサイズは含有させる薬物の量等によって適宜変える
ことができるものである。薬物の硝子体内への放出は、
強膜プラグの加水分解を伴う拡散によって達成される。
強膜プラグは分解吸収されるので、改めて取り除く必要
はない。網膜は、高濃度の薬物に触れると障害を起こし
やすく、薬物の放出量は網膜障害を起こさない程度で、
かつ薬物の有効濃度が保たれるように設計される。この
放出量は、薬物の含有量、共重合体の分子量や乳酸単位
とグリコール酸単位の組成比率によってコントロールで
きる。プラグに含有させる薬物量は、必要とされる疾患
の種類、症状、薬物の作用、特性等に基づく薬物の有効
濃度維持期間に基づき適宜選択されるが、通常1週間−
6ケ月程度である。例えば増殖性硝子体網膜症の治療に
用いられる塩酸ドキソルビシン等の抗腫瘍剤の場合は2
週間−1ケ月程度、ウイルス感染症の治療に用いられる
ガンシクロビル等の抗ウイルス剤の場合には1ケ月以
上、例えば1ケ月−6ケ月程度、術後炎症の治療に用い
られるステロイド等の抗炎症剤の場合は2週間−1ケ月
程度、術後感染症の治療に用いられる抗生物質の場合に
は1週間−2週間程度、真菌感染症の治療に用いられる
抗真菌剤の場合には1ケ月以上、例えば1ケ月−2ケ月
程度が目安となる。薬物としては、網膜の種々の疾患の
治療、予防、また硝子体手術後の治癒促進に有用な薬物
を使用することができる。本発明は、生体内分解性の乳
酸共重合体を用いるところに特徴があり、薬物の種類に
よって限定されるものではなく、抗腫瘍剤、抗生物質、
抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤等各種領域の薬物が
適用される。
【0017】プラグの一般的な製造方法は、公知の方法
に準じて合成した乳酸共重合体を塩化メチレン、アセト
ニトリル、酢酸等の有機溶媒に溶解し、薬物を加え、溶
媒を除去し、得られた粉末からプラグを成型するもので
ある。乳酸共重合体は、例えば、オクチル酸スズとラウ
リルアルコ−ルのような触媒系の存在下に、乳酸もしく
はその環状二量体とグリコール酸等のコモノマーもしく
はその環状二量体とを重合することにより調製される。
重合方法はバルク重合が好ましいが、これに限定されな
い。
【0018】下記実施例において、薬物の例として増殖
性硝子体網膜症に有用な塩酸ドキソルビシンまたはウイ
ルス感染症に有用なガンシクロビルを用いた薬物徐放性
強膜プラグの製造例を示すが、これらの製造例は本発明
をよりよく理解するためのものであって、発明の範囲を
限定するものではない。
【0019】
【実施例】
製造例1 まず、共重合体組成比が75/25(モル)であるL−
乳酸/グリコール酸共重合体を、オクチル酸スズとラウ
リルアルコ−ルからなる触媒系の存在下でのバルク開環
重合により、合成した。得られた共重合体の重量平均分
子量は3万8千であった。この共重合体198mgを2
mlの塩化メチレンに溶解した後、この溶液に塩酸ドキ
ソルビシン2mgを撹拌分散させ、得られた分散液をテ
フロンシート上にキャストし、塩酸ドキソルビシン含有
L−乳酸/グリコール酸共重合体シートを作成した。次
いで、このシートから切削加工により図1に示す強膜プ
ラグを形成した。
【0020】この強膜プラグ(4) は、円板状のヘッド部
分(1) と四角柱状のシャフト部分(3) からなる釘状に形
成され、シャフト部分(3) の先端部(2) は四角錐状にな
っている。
【0021】製造例2 製造例1と同様にして合成した共重合体(L−乳酸/グ
リコール酸:75/25(モル)、重量平均分子量4
万)1000mgおよび塩酸ドキソルビシン5mgをア
セトニトリル・水(9:1)5mlに溶解し、この溶液
から凍結乾燥により溶媒を除去した。得られた粉末を加
熱下に強膜プラグに成型した。こうして図2に示す強膜
プラグを得た。
【0022】この強膜プラグ(14)は、半球状のヘッド部
分(11)と円柱状のシャフト部分(13)からなる釘状に形成
され、シャフト部分(13)の先端部(12)は円錐状になって
いる。
【0023】上記手法と同様にして重量平均分子量約1
万、2万、5万、7万、10万、20万、L−乳酸/グ
リコール酸のモル比50/50、70/30、80/2
0、塩酸ドキソルビシンの含有率0.1%、0.3%、
0.5%、1%、2%の強膜プラグを得ることができ
る。尚、L−乳酸の代わりにD−またはDL−乳酸を使
用しても同様な強膜プラグを得ることができる。
【0024】製造例3 製造例1と同様にして合成した共重合体(DL−乳酸/
グリコール酸:75/25(モル)、重量平均分子量1
2万2千)900mgおよびガンシクロビル100mg
を酢酸15mlに溶解し凍結乾燥した。得られた粉末を
加熱下強膜プラグに成型加工した。
【0025】上記手法と同様にして重量平均分子量約1
万、2万、4万、20万、40万、100万、DL−乳
酸/グリコール酸のモル比50/50、70/30、8
0/20、ガンシクロビルの含有率1%、2%、5%、
10%、15%、20%の強膜プラグを得ることができ
る。尚、DL−乳酸の代わりにL−またはD−乳酸を使
用しても同様な強膜プラグを得ることができる。
【0026】製造例4 L−ポリ乳酸(重量平均分子量9万5千)900mgお
よびガンシクロビル100mgを酢酸15mlに溶解し
凍結乾燥した。得られた粉末を加熱下強膜プラグに成型
加工した。
【0027】上記手法と同様にして重量平均分子量約1
万、2万、4万、20万、ガンシクロビルの含有率1
%、2%、5%、10%、15%、20%の強膜プラグ
を得ることができる。尚、L−ポリ乳酸の代わりにDL
−またはD−ポリ乳酸を使用しても同様な強膜プラグを
得ることができる。
【0028】
【発明の効果】薬物の例として塩酸ドキソルビシンを用
いて、薬物の徐放効果、強膜プラグの安全性および分解
性を調べた。
【0029】塩酸ドキソルビシンを含有する強膜プラグ
として製造例1のものを用いた。
【0030】1)試験管内(In Vitro)試験 強膜プラグを等張のpH7.4リン酸緩衝液に入れ、同
液を37℃に保ち、1日、3日、7日、14日、21日
および28日後に塩酸ドキソルビシンの溶出量を蛍光分
光光度計で測定した。結果を表1に示す。表1におい
て、溶出量は塩酸ドキソルビシンの強膜プラグ中に含ま
れる全量を100%とし、溶出された量を重量%で示し
た。なお、数値は3例の平均値である。
【0031】
【表1】 表1に示されるように、塩酸ドキソルビシンは4週間に
わたって徐々に溶出され、本発明の薬物徐放効果を裏付
けている。
【0032】なお、この間プラグの崩壊は見られなかっ
た。
【0033】2)生体内(In Vivo) 試験 有色家兎(10羽)の片眼に硝子体手術を施し、2週間
後強膜創より強膜プラグを刺入し結膜で覆った。刺入後
1日、3日、5日、14日および28日目に硝子体腔よ
り0.2mlの房水を採取し、−80℃で保存した。房
水中の塩酸ドキソルビシンの濃度を高速液体クロマトグ
ラフィー法で測定した。結果を表2に示す。
【0034】
【表2】 表2に示されるように、塩酸ドキソルビシンは4週間に
わたって徐々に硝子体内に放出され、各測定日において
有効濃度(2−10ng/ml)を保っていた。また、
一時的に高濃度になることもなく、さらに薬物の硝子体
内における蓄積も見られず、本発明の薬物徐放効果とと
もに安全性も確認された。
【0035】3)毒性試験 組織の変化 有色家兎の強膜創より強膜プラグを刺入し結膜で覆っ
た。1ケ月および3ケ月後に眼球を摘出し、眼内の組織
変化を光学顕微鏡で観察したところ、組織変化は見られ
ず、安全性が確認された。なお、眼球摘出後に強膜プラ
グの状態を観察したところ、強膜プラグの分解が観察さ
れ、本発明の強膜プラグが生体内で徐々に分解すること
も確認された。
【0036】網膜機能の変化 有色家兎(2羽)の片眼に硝子体手術を施し、強膜創よ
り強膜プラグを刺入し結膜で覆った。1ケ月後に網膜電
図をとり、術前の網膜電図と比較した。同時に、硝子体
手術を施していないもう一方の眼の網膜電図とも比較し
た。その結果、いずれにおいても、b波に変化が見られ
ず、本発明の強膜プラグは網膜機能に影響を与えないこ
とが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1で得られた強膜プラグを示す斜視図で
ある。
【図2】製造例2で得られた強膜プラグを示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
(1) (11):ヘッド部分 (2) (12):先端部 (3) (13):シャフト部分 (4) (14):強膜プラグ

Claims (28)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳酸共重合体で形成した強膜プラグ。
  2. 【請求項2】 乳酸共重合体の組成が乳酸単位とグリコ
    ール酸単位である請求項1記載の強膜プラグ。
  3. 【請求項3】 乳酸共重合体の重量平均分子量が1万−
    100万である請求項1記載の強膜プラグ。
  4. 【請求項4】 乳酸単位とグリコール酸単位との組成モ
    ル比が50/50−100/0である請求項1−3記載
    の強膜プラグ。
  5. 【請求項5】 ヘッド部分とシャフト部分からなる釘状
    に形成され、シャフト部分の先端部が鋭角状になってい
    る乳酸共重合体製強膜プラグ。
  6. 【請求項6】 乳酸単位とグリコール酸単位からなる共
    重合体で形成した強膜プラグであって、その共重合体の
    重量平均分子量が1万−100万であり、乳酸単位とグ
    リコール酸単位との組成モル比が50/50−100/
    0であり、ヘッド部分とシャフト部分からなる釘状に形
    成され、シャフト部分の先端部が鋭角状になっている乳
    酸共重合体製強膜プラグ。
  7. 【請求項7】 薬物を含有した乳酸共重合体製強膜プラ
    グであって、該薬物が硝子体内に徐々に放出されること
    を特徴とする乳酸共重合体製強膜プラグ。
  8. 【請求項8】 乳酸共重合体の組成が乳酸単位とグリコ
    ール酸単位である請求項7記載の強膜プラグ。
  9. 【請求項9】 乳酸共重合体の重量平均分子量が1万−
    100万である請求項7記載の強膜プラグ。
  10. 【請求項10】 乳酸共重合体の重量平均分子量が1万
    −10万であり、薬物の有効濃度維持期間を1週間−2
    週間程度に設定してある請求項7記載の強膜プラグ。
  11. 【請求項11】 乳酸共重合体の重量平均分子量が2万
    −4万であり、薬物の有効濃度維持期間を1週間−2週
    間程度に設定してある請求項7記載の強膜プラグ。
  12. 【請求項12】 乳酸共重合体の重量平均分子量が1万
    −20万であり、薬物の有効濃度維持期間を2週間−1
    ケ月程度に設定してある請求項7記載の強膜プラグ。
  13. 【請求項13】 乳酸共重合体の重量平均分子量が2万
    −5万であり、薬物の有効濃度維持期間を2週間−1ケ
    月程度に設定してある請求項7記載の強膜プラグ。
  14. 【請求項14】 乳酸共重合体の重量平均分子量が1万
    −100万であり、薬物の有効濃度維持期間を1ケ月以
    上に設定してある請求項7記載の強膜プラグ。
  15. 【請求項15】 乳酸共重合体の重量平均分子量が4万
    −20万であり、薬物の有効濃度維持期間を1ケ月以上
    に設定してある請求項7記載の強膜プラグ。
  16. 【請求項16】 乳酸単位とグリコール酸単位との組成
    モル比が50/50−100/0である請求項7−15
    記載の強膜プラグ。
  17. 【請求項17】 乳酸単位とグリコール酸単位との組成
    モル比が50/50−80/20である請求項7−15
    記載の強膜プラグ。
  18. 【請求項18】 乳酸単位とグリコール酸単位との組成
    モル比が70/30−80/20である請求項7−15
    記載の強膜プラグ。
  19. 【請求項19】 薬物を含有する強膜プラグであって、
    ヘッド部分とシャフト部分からなる釘状に形成され、シ
    ャフト部分の先端部が鋭角状になっている乳酸共重合体
    製強膜プラグ。
  20. 【請求項20】 乳酸単位とグリコール酸単位からなる
    共重合体で形成した、薬物を含有する強膜プラグであっ
    て、乳酸共重合体の重量平均分子量が1万−100万で
    あり、乳酸単位とグリコール酸単位との組成モル比が5
    0/50−100/0であり、ヘッド部分とシャフト部
    分からなる釘状に形成され、シャフト部分の先端部が鋭
    角状になっている乳酸共重合体製強膜プラグ。
  21. 【請求項21】 薬物を含有した乳酸共重合体製強膜プ
    ラグであって、該薬物が硝子体内に徐々に放出されるこ
    とを特徴とする網膜疾患治療または予防用乳酸共重合体
    製強膜プラグ。
  22. 【請求項22】 薬物を含有した乳酸共重合体製強膜プ
    ラグであって、該薬物が硝子体内に徐々に放出されるこ
    とを特徴とする硝子体手術後の治癒促進用乳酸共重合体
    製強膜プラグ。
  23. 【請求項23】 乳酸単位成分がL体、D体またはDL
    体である請求項1〜22記載の強膜プラグ。
  24. 【請求項24】 薬物が抗腫瘍剤である請求項12また
    は13記載の強膜プラグ。
  25. 【請求項25】 薬物が抗ウイルス剤である請求項14
    または15記載の強膜プラグ。
  26. 【請求項26】 薬物が抗炎症剤である請求項12また
    は13記載の強膜プラグ。
  27. 【請求項27】 薬物が抗生物質である請求項10また
    は11記載の強膜プラグ。
  28. 【請求項28】 薬物が抗真菌剤である請求項14また
    は15記載の強膜プラグ。
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