JP3000101U - 船舶及び船底保護膜 - Google Patents

船舶及び船底保護膜

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JP3000101U
JP3000101U JP45094U JP45094U JP3000101U JP 3000101 U JP3000101 U JP 3000101U JP 45094 U JP45094 U JP 45094U JP 45094 U JP45094 U JP 45094U JP 3000101 U JP3000101 U JP 3000101U
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将昭 島田
嘉代子 島田
美保 島田
徹昭 島田
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将昭 島田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 貝や海草等からの着生から保護し、かつ、船
底面の防錆・防蝕に有用な船舶及び船底保護膜を提供す
ることを目的とする。 【構成】 船底保護膜が、表て面6a側が銅層に形成さ
れたシート状体6と、シート状体6の裏面6bに付設さ
れた貼着層7と、を備える。船底保護膜を船底面5に貼
着して、船舶を構成する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は船舶及び船底保護膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、船舶の船底面は、トリブチルティン───以下TBTと略記する─── を含む船底塗料で塗装され、このTBTの毒性で、船底面に貝等が付着するのを 防止していた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、上記船底塗料のTBTが海水中に溶出するに従って、その効力が落ち 、船底面に貝等の付着が多くなって船足が遅くなったり、TBTの毒性によって 環境が汚染される問題があった。
【0004】 しかも、定期的に、付着した貝等を除去して船底面を再塗装しなければならな いため煩雑であり、また、船底面の塗装時の溶剤臭等により作業環境が悪いとい う問題があった。
【0005】 そこで、本考案は従来のこのような問題点を解決して、環境を汚染せずに船底 面への貝、有殻類、無殻類、藻類等の着生から保護し、かつ、船底面の防錆・防 蝕に有用な船舶を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案の船舶は、撥水性を有するシリコンゴムを 船底面に所定厚みで付設して構成したものである。
【0007】 また、撥水性を有するシリコンゴムからなるシート状体を、船底面に貼着して 構成したものである。
【0008】 また、銅箔からなるシート状体を、船底面に貼着して構成したものである。
【0009】 また、表て面側が銅層に形成されたシート状体の裏面側を、船底面に貼着して 構成したものである。
【0010】 さらに、シート状体を、防錆・防蝕性を有する貼着層を介して、船底面に貼着 して構成したものである。
【0011】 また、本考案の船底保護膜は、銅箔からなるシート状体を、備えたものである 。
【0012】 また、表て面側が銅層に形成されたシート状体を、備えたものである。
【0013】 また、撥水性を有するシリコンゴムからなるシート状体を、備えたものである 。
【0014】 さらに、シート状体の裏面に、防錆・防蝕性を有する貼着層を付設したもので ある。
【0015】
【作用】
シリコンゴムは、撥水性があって非常に柔らかく、かつ、その分子間の隙間が 小さいため、該シリコンゴムへの貝、有殻類、無殻類、藻類等の付着及び成育が 妨げられる。従って、シリコンゴムを船底面に付設、又はシリコンゴムをシート 状体として船底面に貼着すれば、貝等の着生から船底面が保護されて船足が落ち ず、しかも、環境汚染の心配がない。
【0016】 銅箔からなるシート状体及び表て面側が銅層に形成されたシート状体では、銅 層から海水等へ放出される銅イオンにより、該銅層への貝、有殻類、無殻類、藻 類等の付着及び成育が妨げられる。このシート状体を船底面に貼着すれば、貝等 の着生から船底面が保護されて船足が落ちず、しかも、環境汚染の心配がない。
【0017】 さらに、シリコンゴムからなるシート状体、銅箔からなるシート状体及び銅層 が形成されたシート状体では、ドック内で、物理的に船底面に貼着するだけで使 用できるので、溶剤臭等の悪影響がなく、作業環境が改善される。しかも、シー ト状体の上記貝等の着生防止効果は、長期間にわたって持続するので、定期的に 貼り替える必要がなく、シート状体が破損又は剥離した場合も、部分的に貼り替 えるだけでよく、手間がかからない。
【0018】 また、防錆・防蝕性を有する貼着層を介して、シリコンゴムからなるシート状 体、銅箔からなるシート状体及び銅層が形成されたシート状体を、船底面に貼着 すれば、船底面の錆及び腐蝕を確実に防止でき、船舶の耐久性が向上する。
【0019】
【実施例】
以下実施例を示す図面に基づいて本考案を詳説する。
【0020】 図1に於て、1は本考案に係る船舶、2は本考案に係る船底保護膜であって、 船舶1が、川や湖あるいは海3等に浮かんだ状態を示している。
【0021】 しかして、図1と図2に示すように、船舶1は、船舶本体4の船底面5に船底 保護膜2を貼着して構成される。
【0022】 具体的には、図2と図3に示すように、船底保護膜2は、シート状体6と、シ ート状体6の裏面6bに付設された貼着層7と、を備えている。
【0023】 シート状体6は、銅箔等の銅層9と、ポリエステルフィルム等の樹脂層8を、 積層・一体化してなり、シート状体6の表て面6a側に銅層9が形成され、シー ト状体6の裏面6b側に樹脂層8が形成される。
【0024】 このシート状体6の裏面6b側を貼着層7を介して船底面5に貼着して、船舶 1を構成し、海3等に浮かべれば、銅層9から水中若しくは海水中等に銅イオン が放出されて、銅層9への貝、有殻類、無殻類、藻類等の着生が、確実に阻止さ れ、船底面5が保護される。
【0025】 銅層9は、所要の使用年数の期間、海水等との接触による腐蝕に耐えるだけの 厚みTに設定する。あるいは、銅層9として、耐蝕性に優れ、貝、有殻類、無殻 類、藻類等の着生防止に十分な量の銅イオンの放出が長期間持続可能なグレード のものを用いる。
【0026】 なお、図示省略するが、樹脂層8を省略して、銅箔のみからなるシート状体6 とし、貼着層7を介して、船底面5にシート状体6を貼着して、船舶1を構成し てもよい。しかも、この場合に、貼着層7を省略して、銅箔からなるシート状体 6のみで船底保護膜2を構成してもよく、さらに、このシート状体6のみの船底 保護膜2を、船底面5へ貼着して船舶1を構成してもよい。
【0027】 次に、貼着層7は、防錆・防蝕性を有する粘着剤又は接着剤からなる。この貼 着層7としての粘着剤の具体例を下記表1に示し、この表1にあげた重量比率で 各原料を混練すれば、防錆・防蝕効果に優れた粘着剤を、作ることができる。
【0028】
【表1】
【0029】 このように、防錆・防蝕性を有する貼着層7を介して、シート状体6を、船底 面5に貼着すれば、船底面5の錆及び腐蝕を確実に防止でき、船舶1の耐久性が 向上する。
【0030】 次に、図4は、他の実施例で、船底保護膜2が、撥水性を有するシリコンゴム からなるシート状体6と、シート状体6の裏面6b側に付設された防錆・防蝕性 を有する貼着層7と、を備えた場合を示している。このシート状体6の裏面6b 側を、貼着層7を介して、船底面5に貼着して船舶1を構成する。
【0031】 なお、図示省略するが、貼着層7を省略し、撥水性を有するシリコンゴムを、 船底面5に所定厚みで、塗布等により付設して、船舶1を構成してもよい。
【0032】 シリコンゴムは、撥水性があって非常に柔らかく(いわゆる「ブヨブヨ」した 状態)、かつその分子間の隙間が(撥水性を有する他の樹脂例えばテトラフルオ ロエチレン等よりも)小さいため、シート状体6への貝、有殻類、無殻類、藻類 等の着生が、確実に阻止され、船底面5が保護される。
【0033】 しかして、下記表2は、本考案品の船底保護膜2の試料A,B、比較品の試料 C、従来品の試料Dを用いて、次に説明する実験を行った結果を示している。
【0034】
【表2】
【0035】 ここで、試料Aは、厚み9μmの銅箔からなる銅層9と、厚み12μmのポリエ ステルフィルムからなる樹脂層8を、接着剤で貼着してシート状体6を構成した もので、試料Bは、シート状体6として厚み0.1mm のシリコンゴムシート〔呉羽 ゴム工業(株)のSW950 〕を用いたものである。即ち、試料Aは図3の実施例 に対応し、試料Bは図4の実施例に対応するものである。
【0036】 また、試料Cは、シート状体6として厚み0.1mm のチタンシート〔日鉱商事( 株)のJIS1種TR28C〕を用いたもので、試料Dは、従来の有機錫亜酸化銅 系船底塗料を塗布した金属板である。
【0037】 この各試料A〜Dを、100cm ×200cm の外形寸法に切断し、フジツボ等の活動 が大となる水温23℃以上の夏期(7月末より2カ月間)、水深1.5 mの海水中に 浸漬し、貝等の着生状況を調べた。
【0038】 その結果、本考案品の試料A,Bと、従来品の試料Dでは、有殻類、無殻類、 藻類、フジツボ、メンボラ、アオサ等の付着及び成育が全くなかったが、比較品 の試料Cでは、有殻類、無殻類、藻類、フジツボ、メンボラ、アオサ等の付着が 多数認められた。
【0039】 このように、本考案では、船底保護膜2への貝等の着生防止について従来の船 底塗料と同等の効果があることが、上記実験により確認された。その上、本考案 では、毒性のあるTBTの溶出による環境汚染の心配が無く、しかも、シート状 体6は、ドック内で、物理的に船底面に貼着するだけで使用できるので、溶剤臭 等の悪影響がなく、船底塗料の代替品以上の効果がある。
【0040】 さらに、上記貝等の着生防止効果は、長期間にわたって持続するので、シート 状体6を定期的に貼り替える必要がなく、シート状体6が破損又は剥離した場合 も、部分的に貼り替えるだけでよく、手間がかからない。
【0041】 なお、本考案は上述の実施例に限定されず、本考案の要旨を逸脱しない範囲で 設計変更自由である。
【0042】 例えば、図3と図4に示すように、船底面5への貼着前のシート状体6に予め 貼着層7を付設しておいて、該貼着層7の裏面に、(仮想線で示した)剥離紙10 を別途付設するも好ましい。さらに、船底面5への貼着直前に、シート状体6に 粘着剤又は接着剤を塗布するも自由である。
【0043】 また、図3と図4の実施例において、船底保護膜2は、貼着層7を省略してシ ート状体6のみで構成してもよく、さらに、このシート状体6のみの船底保護膜 2を、船底面5へ貼着して船舶1を構成してもよい。
【0044】
【考案の効果】
本考案は上述の如く構成されているので、次に記載するような著大な効果を奏 する。
【0045】 請求項1〜9記載の考案では、 船底面5への貝等の着生を長期にわたって確実に阻止できて、船足が落ちる ことがない。 毒性のある船底塗料の使用が不要となり、環境を汚染しない。 船底塗装時の溶剤臭等の悪影響がなく、作業環境が改善される。
【0046】 請求項2〜9記載の考案では、さらに、 シート状体6を短期間で貼り替える必要がなく、シート状体6の破損又は剥 離にも容易に対応できる。
【0047】 請求項5,9記載の考案では、さらに、 船底面5が防錆・防蝕され、船舶1の耐久性が向上する。 貼着層7を付設したシート状体6をロール状とすれば、それを繰り出しなが ら、建築用壁紙の施工要領で、船底面5にローラー等にて圧接して貼着でき、そ の作業の自動化も可能であるので、作業効率が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す全体簡略図である。
【図2】要部断面図である。
【図3】船底保護膜の要部拡大断面図である。
【図4】他の実施例を示す船底保護膜の要部拡大断面図
である。
【符号の説明】
5 船底面 6 シート状体 6a 表て面 6b 裏面 7 貼着層 9 銅層

Claims (9)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撥水性を有するシリコンゴムを船底面5
    に所定厚みで付設して構成したことを特徴とする船舶。
  2. 【請求項2】 撥水性を有するシリコンゴムからなるシ
    ート状体6を、船底面5に貼着して構成したことを特徴
    とする船舶。
  3. 【請求項3】 銅箔からなるシート状体6を、船底面5
    に貼着して構成したことを特徴とする船舶。
  4. 【請求項4】 表て面6a側が銅層9に形成されたシー
    ト状体6の裏面6b側を、船底面5に貼着して構成した
    ことを特徴とする船舶。
  5. 【請求項5】 シート状体6を、防錆・防蝕性を有する
    貼着層7を介して、船底面5に貼着して構成した請求項
    2,請求項3又は請求項4記載の船舶。
  6. 【請求項6】 銅箔からなるシート状体6を、備えたこ
    とを特徴とする船底保護膜。
  7. 【請求項7】 表て面6a側が銅層9に形成されたシー
    ト状体6を、備えたことを特徴とする船底保護膜。
  8. 【請求項8】 撥水性を有するシリコンゴムからなるシ
    ート状体6を、備えたことを特徴とする船底保護膜。
  9. 【請求項9】 シート状体6の裏面6bに、防錆・防蝕
    性を有する貼着層7を付設した請求項6,請求項7又は
    請求項8記載の船底保護膜。
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