JP2999645B2 - ウェハ冷却装置及び半導体処理装置 - Google Patents

ウェハ冷却装置及び半導体処理装置

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JP2999645B2
JP2999645B2 JP4007093A JP4007093A JP2999645B2 JP 2999645 B2 JP2999645 B2 JP 2999645B2 JP 4007093 A JP4007093 A JP 4007093A JP 4007093 A JP4007093 A JP 4007093A JP 2999645 B2 JP2999645 B2 JP 2999645B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオン打込装置、イオ
ンエッチング装置、イオンミリング装置等などの真空中
でウェハに熱量の投入の伴う処理を行う半導体処理装置
のウェハ冷却装置及びその半導体処理装置に係わり、特
に、回転円板にウェハを遠心力で押付けて保持したり、
回転円板とイオンビームとを回転円板の半径方向に周期
的に走査させる場合のように、ウェハ面内に温度分布が
生じるような状況でウェハの処理を行う半導体処理装置
のウェハ冷却装置及びその半導体処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ウェハの電気的特性を変える手段として
例えばイオン打込装置がLSI製造工程で用いられてい
る。このイオン打込装置では、イオンを真空中で加速し
ウェハに打込むため、ウェハに多大なエネルギーが投入
され、ウェハ自身が加熱される。その結果、ウェハの温
度上昇による問題が発生してきた。特に、ウェハ表面に
レジスト膜が塗布されている場合にウェハの温度が10
0℃以上に上昇すると、耐熱性の問題によりレジスト膜
の損傷が発生していた。また近年、イオン打込時の温度
がデバイス歩留まり上大きな問題となり、室温以下での
注入が求められている。
【0003】しかし、真空雰囲気中での処理プロセスで
は、ウェハ表面(イオンを打込む側)からの放熱は期待
できず、例えば特開昭62−229948号公報、特開
昭63−193450号公報等に記載のように、ウェハ
裏面に冷却面であるヒートシンク材を配置しウェハ裏面
からの熱伝導により冷却する方式が用いられている。
【0004】また、イオン打込装置の中でもバッチ処理
式のものでは、上記特開昭62−229948号公報に
記載のように、回転円板の冷却面上に多数のウェハを円
周状に並べ、回転円板を回転させながらイオンビームを
照射している。またバッチ処理式では、一般に、回転円
板又はイオンビームを回転円板の半径方向に走査させ、
ウェハ全面に均一にイオンを打込むようにしている。
【0005】一方、回転円板にウェハを取付ける方法と
しては、一般には上記特開昭62−229948号公
報、特開昭63−193450号公報等に記載のように
ウェハの周辺部を固定リングで押付ける方式が用いられ
ているが、回転円板の外周部分を円錐状に傾斜させ、ウ
ェハに作用する遠心力でウェハを回転円板の冷却面に押
付ける方式もある。この方式は、例えば「電子材料」
(1985年12月)の132頁〜138頁に記載され
ている。このような遠心力でウェハを取付ける方式は、
冷却面に押付けようとする力がウェハ全面に作用し回転
円板の冷却面との接触状態が良好となるため、冷却性能
上有利であるとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術には次のような問題がある。遠心力でウェハを回
転円板の冷却面に取付ける場合は、ウェハと冷却面であ
るヒートシンク材の密着性は遠心力に依存し、回転軸か
らの距離に依存しているので、回転円板の外周部では密
着性が高く、逆に内部では密着性が低下する。このた
め、回転円板の半径方向にヒートシンク材による冷却能
力に差が生じ、イオンビームの打込時にウェハ面内に温
度分布が生じる。
【0007】また、回転円板又はイオンビームを回転円
板の半径方向に走査させ、ウェハ全面に均一にイオンを
打込む場合は、ウェハの位置によってビーム入射周期が
異なりウェハ面内でのビーム入射周期に依存した加熱条
件が存在するため、同様にウェハ面内で温度分布が生じ
る。
【0008】上記特開昭62−229948号公報、特
開昭63−193450号公報等に記載の従来技術で
は、いずれも冷却能力の向上を目的として種々の工夫を
しているが、ウェハ位置による冷却能力の差や加熱条件
の差による温度分布の発生については配慮がされておら
ず、ウェハ面内の温度分布を一様にしウェハ温度をウェ
ハ面内で均一にすることができない。
【0009】特に、近年、ウェハの大口径化により8i
nch等のウェハが使用されるようになり、ウェハ面内
の温度分布は広がる傾向にあるので、ウェハ面内の温度
分布の発生は今後プロセス上でも重要な問題となること
が予想される。
【0010】本発明の目的は、ウェハ位置による冷却能
力の差や加熱条件の差に係わらずウェハ面内の温度分布
を一様にし均一な温度面を実現することのできる半導体
処理装置のウェハ冷却装置及びその半導体処理装置を提
供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、ウェハが接触配置されるヒートシンク層
を有し、そのウェハを真空中で処理する際に投入された
熱量を前記ヒートシンク層に逃がすことによりウェハを
冷却する半導体処理装置のウェハ冷却装置において、前
記ウェハに投入された熱量と前記ヒートシンク層へ逃が
す熱量とがウェハ上の各位置でほぼ同一となるようにヒ
ートシンク層の位置によってヒートシンク層の表面粗さ
を変えることにより前記ウェハとヒートシンク層との接
触面積を変えてヒートシンク層の熱伝達構造を変えウェ
ハとヒートシンク層との熱抵抗値を補正するものであ
る。
【0012】
【0013】
【0014】また、上記目的を達成するために、本発明
は、円周方向に配列され遠心力でウェハを保持する複数
のウェハ保持領域を有する回転円板と、真空中で前記ウ
ェハにビームを入射し熱量の投入の伴う処理を行うビー
ム入射手段と、前記複数のウェハ保持領域に設けられ、
前記ウェハが接触配置されるヒートシンク層とを有し、
前記ウェハを遠心力で前記ヒートシンク層に密着させウ
ェハに投入された熱量を前記ヒートシンク層に逃がすこ
とによりウェハを冷却する半導体処理装置において、前
記遠心力に係わらず前記ウェハに投入された熱量と前記
ヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置で同
一となるように前記回転円板の半径方向にヒートシンク
層の熱伝達構造を変えウェハとヒートシンク層との熱抵
抗値を補正するものである。
【0015】上記半導体処理装置において、好ましく
は、前記回転円板と前記ビームとを相対的に移動させ前
記ビームを前記ウェハに周期的に入射させる手段をさら
に有し、前記ヒートシンク層の熱伝達構造は、前記遠心
力と前記ビームの入射周期に係わらず前記ウェハに投入
された熱量とヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上
の各位置で同一となるように前記回転円板の半径方向に
変えられ、前記熱抵抗値が補正されている。
【0016】さらに、上記目的を達成するために、本発
明は、円周方向に配列されウェハを保持する複数のウェ
ハ保持領域を有する回転円板と、真空中で前記ウェハに
ビームを入射し熱量の投入の伴う処理を行うビーム入射
手段と、前記回転円板と前記ビームとを相対的に移動さ
せ前記ビームを前記ウェハに周期的に入射させる手段
と、前記複数のウェハ保持領域に設けられ、前記ウェハ
が接触配置されるヒートシンク層とを有し、前記ウェハ
に投入された熱量をヒートシンク層に逃がすことにより
ウェハを冷却する半導体処理装置において、前記ビーム
の入射周期に係わらず前記ウェハに投入された熱量と前
記ヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置で
同一となるように前記回転円板の半径方向にヒートシン
ク層の熱伝達構造を変えウェハとヒートシンク層との熱
抵抗値を補正するものである。
【0017】
【作用】以上のように構成した本発明においては、ウェ
ハに投入された熱量とヒートシンク層へ逃がす熱量とが
ウェハ上の各位置でほぼ同一となるようにヒートシンク
層の位置によってヒートシンク層の熱伝達構造を変え熱
抵抗値を補正することにより、ウェハ面内の温度分布が
一様となり均一な温度面が得られる。ウェハとヒートシ
ンク層との熱抵抗値はウェハとヒートシンク層との接触
面積に反比例する。したがって、ウェハとヒートシンク
層との接触面積を変えることによりヒートシンク層の熱
伝達構造が変えられ、熱抵抗値が補正される。また、そ
の接触面積の大きさはヒートシンク層の表面粗さに反比
例する。したがって、ヒートシンク層の表面粗さを変え
ることにより当該接触面積が変えられる。
【0018】
【0019】次に、以上の概念を基本とし、本発明を遠
心力でウェハを保持する方式や、イオンビーム又は回転
円板を円板の半径方向に走査させ、ウェハ全面に均一に
イオンを打込む方式の半導体処理装置に適用する場合に
ついて説明する。
【0020】遠心力でウェハを保持する方式では、回転
円板上のウェハは、回転の中心軸と垂直な平面からθの
角度で保持されるので、ウェハは遠心力F=mrω2
余除成分であるFsinθ=mrω2 sinθの分力で
ヒートシンク層に密着される。打込時のウェハは、イオ
ンビームのパワーWにより加熱される一方でヒートシン
ク層との熱伝導により冷却される。この時のウェハ温度
W は、ウェハ熱容量をC、ウェハとヒートシンク層と
の熱抵抗をRとすると、 C*dTW /dt=W−(1/R)(TW −TD ) で示される。ここで、ビーム入射状態が一定としたとき
には定常状態dT/dt=0であるのでW=1/R(T
W −TD )となり、ウェハの温度TW は、 TW =WR+TD となる。
【0021】上式の熱抵抗Rは、真空中の場合、ヒート
シンク層の密着性により支配される。したがって密着性
は、ヒートシンク層の材質と遠心力に依存するため、一
様な材質の場合は、回転中心からの距離rに依存し、 TW =W/αmrω2 +TD となる。したがって、ウェハ上の各位置でαの値とし
て、1/rに比例した材質構造及び接触面積を確保する
ようにヒートシンク層の熱伝達構造を変え、熱抵抗Rを
補正することにより、ウェハ面内の温度分布を一様にし
均一な温度面を実現することが可能である。
【0022】また、イオンビーム又は回転円板を円板の
半径方向に走査させ、ウェハ全面に均一にイオンを打込
む方式では、ウェハ面内でのビーム入射周期に依存した
加熱条件が存在するため、ウェハ面内で温度分布を非定
常状態として考慮する必要がある。ウェハが十分に薄い
として横方向の伝熱を無視すると、ウェハ上の各位置に
おいて上記のC*dTW /dt=W−(1/R)(TW
−TD )を計算することにより近似解が得られる。
【0023】上式を加熱時(ビーム入射時)t=0、T
W =Tcとして解くと、 TW =WR{1−exp(−1/RC*t)}+Tc となり、ビーム入射時のウェハ上の各位置での温度上昇
が分かる。一方、ビームがウェハを通過した後の冷却時
にはW=0となるので、ウェハ上の各位置での温度はそ
の位置での最高温度をThとすると、 TW =Th*exp(−1/RC*t) で減衰することが分かる。ビーム又は回転円板を円板の
半径方向に走査させる走査時間により、ビーム入射周期
に依存した加熱条件からTc/Th(又はTcとThの
温度差)に違いが生じ温度分布が発生する。
【0024】Tc/Thはビーム入射周期に依存して変
化し、入射周期の短い、走査方向のウェハ両端でTc/
Thは高くなりTcとThの温度差が大きくなるので、
具体的には横方向の伝熱を考慮し計算することにより求
めた加熱条件からTcとThの温度差を小さくするよう
にヒートシンク層の熱伝達構造を変え、熱抵抗値Rを補
正することにより、ウェハ面内の温度分布を一様とし均
一な温度面を実現することが可能である。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明す
る。これらの実施例は本発明をイオン打込装置に適用し
たものである。まず、本発明の第1の実施例によるイオ
ン打込装置を図1〜図10により説明する。図2は本実
施例のイオン打込装置の全体構成を示すもので、イオン
打込装置はイオンビームを発生するイオン発生源50、
装置内部を真空に引くための真空排気系51、イオン打
込室52、イオン打込室52内に配置されウェハ1が取
付けられる回転円板2、加速電圧53及び質量分離磁石
54を備えている。イオン発生源50で発生したイオン
は加速電極53により高電圧の電界で加速され、質量分
離磁石54によって特定のイオンだけを分離されて、イ
オン打込室52で回転円板2上のウェハ1に打込まれ
る。イオンビームの照射による投入される熱量は、加速
のための電圧と打込まれるイオンビーム21の電流によ
って決まる。
【0026】図3〜図6にイオン打込室52及び回転円
板2の詳細を示す。イオン打込室52は真空に保持され
るので、回転円板2は真空シール3を介して可動支持板
4に取付けられた回転軸5に連結されている。回転軸5
はイオン打込室52の外側でモータ6と接続されてお
り、高速に回転する。このときの回転数は数百rpm〜
数千rpmである。高速に回転する回転円板2上の外周
部分にはウェハ保持領域7が設けられている。ウェハ保
持領域7は、ウェハ1を遠心力で保持密着させるため数
度の角度をもってコーン状に形成されている。回転円板
2が高速に回転することにより、コーン状のウェハ保持
領域7にはウェハ1を回転円板2に押えつける方向の遠
心力が働く。回転円板2は良熱伝導性の材料、例えばア
ルミニウム合金でできている。
【0027】回転軸5は中空のパイプであり、回転軸5
内には図6に示すように冷却水の導入管9が同軸的に挿
入され、回転軸5は冷却水の導出管を兼ねている。回転
円板2内には、図5に示すように、冷却水の導入管9に
連通する半径方向の冷却水路10とヒートシンク材8の
真下に位置する円周方向の冷却水路11とが形成され、
冷却水路11の一端は半径方向の冷却水路10につなが
り、他端は出口ポート12を介して回転円板2の裏面に
反径方向に取付けられた連絡管13の一端に連通してい
る。連絡管13の他端は冷却水の導出管としての回転軸
5に接続され、内部の冷却水路に連通している。冷却水
の導出管としての回転軸5及び冷却水の導入管9には図
4に示すように冷却水導入・導出用の回転継手14に接
続され、回転継手14はさらに冷却水の導入管15及び
導出管16に接続されている。
【0028】可動支持板4はイオン打込室52のハウジ
ングの裏側にOリング17,18を介して回転円板2の
半径方向に移動可能に取付けられている。また、可動支
持板4にはイオン打込室52の外側の上記回転軸5、モ
ータ6、回転継手14等が収納される可動ハウジング1
9が取付けられ、可動ハウジング19は図示しない走査
機構により回転円板2の半径方向に周期的に走査され、
これにより図3に示すように、回転円板2自身がイオン
ビーム20に対して半径方向に周期的に走査され、ウェ
ハ全面に均一にイオンが打込まれる。
【0029】ウェハ1は回転円板2上のウェハ保持領域
7に等間隔で配置されるが、このとき、回転円板2に効
率良く熱を伝えるために、良熱伝導性の材料、例えばシ
リコン系ゴムからなるヒートシンク層8がウェハ保持領
域7に設置されている。
【0030】ヒートシンク層8は、図1に拡大して示す
ように、回転円板2の半径方向にウェハ1との接触面積
が異なるように一定幅の隙間21をあけて並べられた複
数のヒートシンク材8a,8b,8c,8d,8eから
なり、回転円板2の半径方向に熱伝達構造が変えられて
いる。複数のヒートシンク材8a〜8eの半径方向の寸
法及び間隔21のピッチは以下のことを考慮して決めら
れる。
【0031】本実施例では、ウェハ1は上記のように遠
心力で回転円板2の冷却面であるヒートシンク層8に保
持される。この場合は、作用の項で説明したように、ウ
ェハ1とヒートシンク層8の密着性は遠心力に依存し、
回転中心からの距離rに依存しているので、回転円板2
の外周部では密着性が高く、逆に内周部では密着性が低
下する。このため、均一な熱伝達構造を持つヒートシン
ク材を用いた場合は、回転円板2の半径方向にヒートシ
ンク層の冷却能力に差が生じ、イオンビームの打込時に
ウェハ面内の半径方向に温度分布が生じる。
【0032】また、本実施例では、ウェハ全面に均一に
イオンを打込むため、回転円板2をイオンビーム20に
対し回転円板2の半径方向に走査させている。この場合
は、作用の項で説明したように、イオンビームの入射周
期に依存した加熱条件があるため、ウェハ面内の走査方
向(半径方向)に温度分布が生じる。この様子を図7に
示す。図7において、ウェハ1の中央位置にあるA点と
外周位置にあるB点とではイオンビーム20の入射周期
が異なり、均一な面圧及び均一な熱伝達構造を持つヒー
トシンク材を用いた場合は、ウェハ面内の走査方向(半
径方向)に最高温度の温度分布が生じる。
【0033】すなわち、図7において、中央位置にある
A点ではイオンビームの入射周期が一定しており、熱投
入量とウェハ温度も一定の周期で変化する。これに対
し、外周位置にあるB点ではイオンビームの入射周期が
一定でなく長い周期と短い周期が交互に現れ、熱投入量
とウェハ温度も同様の周期で変化する。このため、B点
での最高温度Th(B)及び最低温度Tc(B)はA点
での最高温度Th(A)及び最低温度Tc(A)に対し
て、 Th(B)>Th(A) Tc(B)<Tc(A) となり、ウェハ面内で走査方向(半径方向)に最高温度
の不均一な温度分布が生じる。
【0034】図8に上記遠心力によるウェハ面内での温
度分布とイオンビームの入射周期によるウェハ面内での
温度分布をそれぞれ曲線25,26で示す。ウェハ面内
ではこの2つの温度分布が合成して現れる。この2つの
温度分布を合成したものが曲線27である。この合成温
度分布を一様にするためには、ウェハ1とヒートシンク
層8との熱抵抗値を合成温度分布27と逆の関係にある
曲線28で示すように補正すれば良い。
【0035】ところで、ウェハ1とヒートシンク層8と
の熱抵抗値はウェハ1とヒートシンク層8との接触面積
に反比例し、ヒートシンク層8に一定幅の隙間を設ける
場合その接触面積は隙間ピッチに比例する。したがっ
て、熱抵抗値を大きくするためには隙間ピッチを小さく
すれば良いし、熱抵抗値を小さくするためには隙間ピッ
チを大きくすれば良い。
【0036】本実施例において、複数のヒートシンク材
8a〜8eの半径方向の寸法及び隙間21のピッチは、
回転中心からの距離rに依存して曲線28で示す熱抵抗
値が得られるように設定されている。このようにヒート
シンク材8a〜8eの寸法及び隙間ピッチを設定するこ
とにより、回転円板2の半径方向における冷却能力の差
や加熱条件の差に係わらず、ウェハ1に投入された熱量
とヒートシンク層8へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置
でほぼ同一となり、ウェハ面内の温度分布を一様として
均一な温度面を得ることができる。
【0037】したがって、本実施例によれば、イオン打
込時のウェーハ温度をウェハ面内で均一に制御すること
ができるので、デバイスの微細化にともなう新たなプロ
セスニーズにも対応することができ、イオン打込時の生
産歩留まりを向上させることができる。
【0038】上記第1の実施例の変形例を図9及び図1
0により説明する。第1の実施例では、ウェハ1とヒー
トシンク層8との接触面積を変えるのにヒートシンク材
8a〜8eの半径方向の寸法及び隙間21のピッチを変
えたが、それ以外の方法で接触面積を変えてもよい。図
9はその一例を示すもので、ヒートシンク層25は半径
方向に並べられた表面粗さの異なる複数のヒートシンク
材25a,25b,25c,25dからなり、ヒートシ
ンク材25a〜25cの表面粗さを変えることでウェハ
1との接触面積を変えている。ウェハ1とヒートシンク
材との接触面積とヒートシンク層の表面粗さとは反比例
の関係にあり、表面粗さが大きくなれば接触面積は小さ
くなり、表面粗さが小さくなれば接触面積は大きくな
る。図9においては、ヒートシンク材25a〜25dの
表面粗さをそれぞれS1〜S4とすると、図8の曲線2
8で示す熱抵抗値を得るため、S1<S2<S4<S3
となるように調整されている。このように表面粗さを変
えることによっても、ウェハ1とヒートシンク層との熱
抵抗値が補正され、ウェハ面内の温度分布を一様にし均
一な温度面を得ることができる。
【0039】また、以上の実施例では、ウェハ1とヒー
トシンク層との熱抵抗値を補正するのにウェハ1とヒー
トシンク層8との接触面積を変えた。しかし、ウェハ1
とヒートシンク層との熱抵抗値はそれ以外の方法によっ
ても補正することができる。図10はその一例を示すも
ので、ヒートシンク層26は半径方向に並べられた複数
のヒートシンク材26a,26b,26c,26dから
なり、ヒートシンク材26a〜26cを熱伝達係数の異
なる材質で作ることでウェハ1とヒートシンク層との熱
抵抗値を変えている。ヒートシンク材の熱伝達係数と当
該熱抵抗値とは反比例の関係にあり、熱伝達係数が大き
くなれば熱抵抗値は小さくなり、熱伝達係数が小さくな
れば熱抵抗値は大きくなる。図10においては、ヒート
シンク材26a〜26dの熱伝達係数をそれぞれT1〜
T4とすると、図8の曲線28で示す熱抵抗値を得るた
め、T1>T2>T4>T3となるように調整されてい
る。このような異なる熱伝達係数はシリコン系ゴムの組
成を変えることによって実現することができる。このよ
うに熱伝達係数を変えることによっても、ウェハ1とヒ
ートシンク層との熱抵抗値が補正され、ウェハ面内の温
度分布を一様にし均一な温度面を得ることができる。
【0040】本発明の第2の実施例を図11により説明
する。本実施例は、ウェハ1を遠心力で回転円板2に保
持する方式で、回転円板2をイオンビーム20に対し回
転円板2の半径方向に走査させない方式のイオン打込装
置に本発明を適用したものである。
【0041】ウェハ1を遠心力で回転円板2の冷却面で
あるヒートシンク層に保持する方式では、前述したよう
にウェハ1とヒートシンク層の密着性は遠心力に依存
し、均一な熱伝達構造を持つヒートシンク材を用いた場
合は、回転円板2の半径方向にヒートシンク層の冷却能
力に差が生じ、イオンビームの打込時に図11(A)に
曲線25で示すようにウェハ面内に温度分布が生じる。
この温度分布を一様にするためには、図11(B)に曲
線30で示すように、ウェハ1とヒートシンク層との熱
抵抗値を温度分布25と逆の関係になるように補正すれ
ばよい。
【0042】本実施例において、ヒートシンク層31
は、回転円板の半径方向にウェハ1との接触面積が異な
るように隙間32をあけて並べられた複数のヒートシン
ク材31a,31b,31c,31d,31e,31
f,31gからなっている。複数のヒートシンク材31
a〜31gの半径方向の寸法及び間隔32のピッチは、
回転中心からの距離rに依存して曲線30で示す熱抵抗
値が得られるように設定されている。このようにヒート
シンク材の寸法及び隙間ピッチを設定することにより、
回転円板の半径方向における冷却能力の差に係わらず、
ウェハ1に投入された熱量とヒートシンク層31へ逃が
す熱量とがウェハ上の各位置でほぼ同一となり、ウェハ
面内の温度分布を一様とし均一な温度面を得ることがで
きる。
【0043】本発明の第3の実施例を図12及び図13
により説明する。本実施例は回転円板2をイオンビーム
20に対し回転円板2の半径方向に走査させる方式で、
ウェハ1を遠心力以外の手段で回転円板2に保持する方
式のイオン打込装置に本発明を適用したものである。
【0044】図12において、回転円板40は平板状で
あり、外周部分にはウェハ保持領域41が設けられてい
る。ウェハ1はウェハ保持領域41に等間隔で配置さ
れ、図示しないクランプ装置により保持されるが、この
とき、回転円板2に効率良く熱を伝えるために、ウェハ
保持領域41には良熱伝導性の材料、例えばシリコン系
ゴムで作られたヒートシンク層42(図13参照)が設
置されている。
【0045】回転円板40は回転軸5に連結され、回転
軸5は可動ハウジング19内のモータにより駆動され、
高速に回転する。可動ハウジング19には回転円板40
の半径方向に伸びる走査軸43が取付けられ、この走査
軸43を図示しない走査機構により周期的に走査するこ
とにより、回転円板40はイオンビーム20に対して半
径方向に周期的に走査され、ウェハ全面に均一にイオン
が打込まれる。
【0046】回転円板40をイオンビーム20に対して
半径方向に周期的に走査する方式では、前述したよう
に、図13(A)に示すウェハ1の中央位置にあるA点
と外周位置にあるB点とではウェハ面内でのビーム入射
周期に依存した加熱条件が存在するため、均一な面圧及
び均一な熱伝達構造を持つヒートシンク材を用いた場合
は、走査方向(半径方向)に曲線26で示すような最高
温度の温度分布が生じる。この温度分布を一様にするた
めには、図13(B)に曲線44で示すように、ウェハ
1とヒートシンク層との熱抵抗値を温度分布25と逆の
関係となるように補正すればよい。
【0047】本実施例において、ヒートシンク層42
は、回転円板の半径方向(走査方向)にウェハ1との接
触面積が異なるように隙間45をあけて並べられた複数
のヒートシンク材4a〜42fからなっている。複数の
ヒートシンク材41a〜42fの半径方向の寸法及び間
隔45のピッチは、回転中心からの距離rに依存して曲
線44で示す熱抵抗値が得られるように設定されてい
る。このようにヒートシンク材の寸法及び隙間ピッチを
設定することにより、回転円板の半径方向(走査方向)
における加熱条件の差に係わらず、ウェハ1に投入され
た熱量とヒートシンク層42へ逃がす熱量とがウェハ上
の各位置でほぼ同一となり、ウェハ面内の温度分布を一
様として均一な温度面を得ることができる。
【0048】なお、上記第2及び第3の実施例において
も、図9及び図10で説明したのと同様に、ヒートシン
ク層の表面粗さを変えることにより接触面積を変え、ウ
ェハ1とヒートシンク層との熱抵抗値を補正してもよい
し、ヒートシンク層の材質を変え、ウェハ1とヒートシ
ンク層との熱抵抗値を補正しても良い。
【0049】また、上記実施例は本発明をイオン打込装
置に適用した場合について説明したが、イオンエッチン
グ装置、イオンミリング装置、スパッタリング装置な
ど、同様の問題を生じるそれ以外の半導体処理装置に本
発明を適用しても同様の効果が得られる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、イオン打込時のウェー
ハ温度をウェハ面内で均一に制御することができるの
で、デバイスの微細化にともなう新たなプロセスニーズ
にも対応することができ、イオン打込時の生産歩留まり
を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1実施例によるイオン打込
装置のヒートシンク層の平面図であり、(B)は(A)
のIB−IB線断面図である。
【図2】本発明の第1実施例によるイオン打込装置全体
の概略図である。
【図3】図2に示すイオン打込装置の回転円板の部分欠
損斜視図である。
【図4】図2に示すイオン打込装置のイオン打込室の断
面図である。
【図5】図3に示す回転円板の平面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】(A)はイオンビームに対する回転円板の走査
状況を示す図であり、(B)はウェハの中央位置にある
A点での熱投入量とウェハ温度の変化を示す図であり、
(C)はウェハの周辺位置にあるB点での熱投入量とウ
ェハ温度の変化を示す図である。
【図8】ビーム入射周期による温度分布、遠心力による
温度分布、それらの合成温度分布及びその合成温度分布
を一様にするための熱抵抗値と、その熱抵抗値を実現す
るヒートシンク層の構造を示す図である。
【図9】(A)は表面粗さを変えることで熱抵抗値を補
正した第1の実施例の変形例によるヒートシンク層の平
面図であり、(B)は(A)のIXB−IXB線断面図
である。
【図10】(A)は熱伝達係数を変えることで熱抵抗値
を補正した第1の実施例の他の変形例によるヒートシン
ク層の平面図であり、(B)は(A)のXB−XB線断
面図である。
【図11】本発明の第2の実施例によるイオン打込装置
を説明するための図であり、(A)は遠心力によるウェ
ハ温度分布を示し、(B)はその温度分布を一様にする
ための熱抵抗値とその熱抵抗値を実現するヒートシンク
層の構造を示す。
【図12】本発明の第3実施例によるイオン打込装置の
要部の斜視図である。
【図13】(A)はビーム入射周期によるウェハ温度分
布を示し、(B)はその温度分布を一様にするための熱
抵抗値と、その熱抵抗値を実現するヒートシンク層の構
造を示す。
【符号の説明】
1 ウェハ 2 回転円板 3 真空シール 5 回転軸 7 ウェハ保持領域 8 ヒートシンク層 8a〜8e ヒートシンク材 10,11 冷却水路 20 イオンビーム 21 隙間 25 ヒートシンク層 25a〜25d ヒートシンク材 26 ヒートシンク層 26a〜26 ヒートシンク材 31 ヒートシンク層 31a〜31g ヒートシンク材 40 回転円板 42 ヒートシンク層 42a〜42i ヒートシンク材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/265 H01J 37/317

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウェハが接触配置されるヒートシンク層
    を有し、そのウェハを真空中で処理する際に投入された
    熱量を前記ヒートシンク層に逃がすことによりウェハを
    冷却する半導体処理装置のウェハ冷却装置において、 前記ウェハに投入された熱量と前記ヒートシンク層へ逃
    がす熱量とがウェハ上の各位置でほぼ同一となるように
    ヒートシンク層の位置によってヒートシンク層の表面粗
    さを変えることにより前記ウェハとヒートシンク層との
    接触面積を変えてヒートシンク層の熱伝達構造を変えウ
    ェハとヒートシンク層との熱抵抗値を補正したことを特
    徴とするウェハ冷却装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のウェハ冷却装置を備えた
    半導体処理装置。
  3. 【請求項3】 円周方向に配列され遠心力でウェハを保
    持する複数のウェハ保持領域を有する回転円板と、真空
    中で前記ウェハにビームを入射し熱量の投入の伴う処理
    を行うビーム入射手段と、前記複数のウェハ保持領域に
    設けられ、前記ウェハが接触配置されるヒートシンク層
    とを有し、前記ウェハを遠心力で前記ヒートシンク層に
    密着させウェハに投入された熱量を前記ヒートシンク層
    に逃がすことによりウェハを冷却する半導体処理装置に
    おいて、 前記遠心力に係わらず前記ウェハに投入された熱量と前
    記ヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各位置で
    同一となるように前記回転円板の半径方向にヒートシン
    ク層の熱伝達構造を変えウェハとヒートシンク層との熱
    抵抗値を補正したことを特徴とする半導体処理装置。
  4. 【請求項4】 請求項記載の半導体処理装置におい
    て、前記回転円板と前記ビームとを相対的に移動させ前
    記ビームを前記ウェハに周期的に入射させる手段をさら
    に有し、前記ヒートシンク層の熱伝達構造は、前記遠心
    力と前記ビームの入射周期に係わらず前記ウェハに投入
    された熱量とヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上
    の各位置で同一となるように前記回転円板の半径方向に
    変えられ、前記熱抵抗値が補正されていることを特徴と
    する半導体処理装置。
  5. 【請求項5】 請求項又は記載の半導体処理装置に
    おいて、前記回転円板の半径方向に前記ウェハとヒート
    シンク層との接触面積を変えることにより前記ヒートシ
    ンク層の熱伝達構造を変え前記熱抵抗値を補正したこと
    を特徴とする半導体処理装置。
  6. 【請求項6】 請求項記載の半導体処理装置におい
    て、前記ヒートシンク層に複数の隙間を設け、前記回転
    円板の半径方向にその隙間のピッチを変えることにより
    前記接触面積を変えたことを特徴とする半導体処理装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項記載の半導体処理装置におい
    て、前記回転円板の半径方向にヒートシンク層の表面粗
    さを変えることにより前記接触面積を変えたことを特徴
    とする半導体処理装置。
  8. 【請求項8】 請求項又は記載の半導体処理装置に
    おいて、前記回転円板の半径方向にヒートシンク層の材
    質を変えることにより前記ヒートシンク層の熱伝達構造
    を変え前記熱抵抗値を補正したことを特徴とする半導体
    処理装置。
  9. 【請求項9】 円周方向に配列されウェハを保持する複
    数のウェハ保持領域を有する回転円板と、真空中で前記
    ウェハにビームを入射し熱量の投入の伴う処理を行うビ
    ーム入射手段と、前記回転円板と前記ビームとを相対的
    に移動させ前記ビームを前記ウェハに周期的に入射させ
    る手段と、前記複数のウェハ保持領域に設けられ、前記
    ウェハが接触配置されるヒートシンク層とを有し、前記
    ウェハに投入された熱量をヒートシンク層に逃がすこと
    によりウェハを冷却する半導体処理装置において、前記
    ビームの入射周期に係わらず前記ウェハに投入された熱
    量と前記ヒートシンク層へ逃がす熱量とがウェハ上の各
    位置で同一となるように前記回転円板の半径方向にヒー
    トシンク層の熱伝達構造を変えウェハとヒートシンク層
    との熱抵抗値を補正したことを特徴とする半導体処理装
    置。
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