JP2997303B2 - 褐変防止剤 - Google Patents

褐変防止剤

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、褐変防止方法に関するものである。従っ
て、褐変現象が問題になる食品業界、化牲品業界、医薬
品業界、その他の業界がその利用分野である。
〔従来の技術〕
一般に、食品や医薬品、化粧品などでは、その加工や
保存の過程で褐変して、品質の低下をきたすことが多
い。それらの多くは、天然物成分の褐変によるものであ
る。これらの褐変の原因に関しては、まだ解明されてな
い点が多いが、主として酵素的褐変と非酵素的褐変があ
る。酵素的褐変としては、果物や野菜等の切断面を空気
に曝すと急速に起こる褐変がある。この例としては、リ
ンゴ、ナシ、モモなどの褐変があげられる。また、非酵
素的褐変としては、還元糖とアミノ酸とのアミノ−カル
ボニル反応(メイラード反応)が代表的である。この例
としては、イカ、タラの褐変等がある。食品、医薬品、
化粧品などの色調は、重要な品質特性であり、その防止
技術の必要性は高い。
褐変防止剤として従来から一般に使用されているもの
にアスコルビン酸、またはその誘導体があり、酵素的或
いは、非酵素的な種々の褐変防止に利用されている。
しかしながら、アスコルビン酸のみの使用では、逆
に、褐変が生じたり、あるいは褐変を促進したりするこ
とがあり、その使用方法に制限があった。なお、すでに
この発明の特許出願人が、アスコルビン酸のエンジオー
ル型酸化物による食品の褐変防止方法を特許出願(特願
平1−99719)しているが、これは何等、本発明につい
て示唆を与えるものでもないし、また、制限を加えるも
のでもない。
〔発明の解決しようとする課題〕
本発明は、褐変防止剤としてアスコルビン酸を使用す
る際に生じる、上記の問題点を解決すべくなされたもの
であり、食品その他の広い範囲で有効な、褐変防止剤に
関するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、食品その他の褐変防止方法について研
究を重ねた結果、アスコルビン酸単独と比べ、効果の高
い褐変防止剤を発明するに至った。即ち、アスコルビン
酸またはその誘導体に、フラボノイド配糖体を配合する
ことによって、より高い効果を示す褐変防止剤となるこ
とを見出した。
アスコルビン酸にフラボノイド配糖体を同量、または
同量以下加えることによって、本発明の褐変防止剤を得
ることができる。一般にアスコルビン酸の濃度は0.1〜3
0%(重量%、以下同じ)の範囲でよく、また、フラボ
ノイド配糖体の濃度は0.05〜30%の範囲でよい。本発明
に用いるアスコルビン酸は、遊離の酸の他、Na等との塩
類、脂肪酸等とのエステル体、糖等とのエーテル体のよ
うなアスコルビン酸の誘導体でも良い。本発明で使用さ
れるフラボノイド配糖体としては、ルチン、ケルシトリ
ン、イソケルセチン、ペルタトシド、ヒペロシドなどの
他、これらのフラボノイド配糖体の1種もしくは2種以
上の混合物にガラクトース残基転移作用を有する酵素ま
たはグルコース残基転移作用を有する酵素、もしくはガ
ラクトース残基転移作用を有する酵素とグルコース残基
転移作用を有する酵素との混合物を作用させることによ
って得られる水易溶性フラボノイド配糖体が挙げられ
る。これらのフラボノイド配糖体は単品で使用してもよ
いし、2種以上の混合物で使用してもよい。水易溶性フ
ラボノイド配糖体は、この発明の特許出願人がすでに特
許出願した特開平1−213293の水易溶性フラボノール配
糖体の製法、同出願人が平成2年7月6日特許出願した
水易溶性フラボノール配糖体の製造法、同じく平成2年
7月6日特許出願の水溶性フラボノール配糖体、同じく
平成2年7月6日特許出願の水易溶性フラボノール配糖
体の製法、同じく平成2年7月6日特許出願のフラボノ
ール配糖体の改質法などの方法によるのが有利である。
以下に水易溶性フラボノイド配糖体の参考例を示す。
参考例1 ルチン10gを水2に分散させ、ナリンギナーゼ製剤
(天野製薬株式会製、商品名ナリンギナーゼ“アマ
ノ”)1gを加えて24時間、60℃で保持した。この系のpH
は6であった。これを10℃以下に冷却し、イソケルセチ
ンからなる析出物6gを得た。この析出物5gとコーンスタ
ーチ30gをpH6.7の0.01Mリン酸水素二ナトリウム−リン
酸二水素ナトリウム緩衝液5に加えて均質にし、これ
にシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ製剤
(天野製薬株式会社製、商品名コンチザイム)2mlを加
えて55℃で2時間保持した。このものを濃縮乾固して、
黄色の固型物36gを得た(以下、参考例1で得られたフ
ラボノイド配糖体を配糖体Aと略す)。
参考例2 参考例1の方法で調整した配糖体A20g、乳糖200gを0.
1Mリン酸緩衝液(pH7.0)100mlに溶かせ、大和化成株式
会社製バチルスサーキュランス由来のβ−ガラクトシダ
ーゼ(酵素力価20,000単位)1gを加えて60℃で4時間攪
拌した。反応終了後混合物を水1で希釈し、スチレン
−ジビニールベンゼン共重合体からなるポーラスポリマ
ー1000mlを充填したカラムに1時間で通液し、次いでイ
オン交換水5を1.5時間で通液した。次いで、40V/V%
メタノール2を1時間で通液して吸着物を溶出した。
このメタノール液を濃縮乾燥して、黄色の固形物25gを
得た(以下、参考例2で得たフラボノイド配糖体を配糖
体Bと略す)。
本発明の褐変防止剤は任意の剤型で利用してよく、例
えば、粉末状、顆粒状、液状、乳液状、ペースト状、そ
の他適宜の剤型であることができる。例えばアラビアガ
ム、デキストリンなどを添加して粉末状にしてもよく、
また例えばエタノール、プロピレングリコール、グリセ
リン、あるいはこれらの混合物に溶解して液状剤型とし
て使用することもできる。また、一般にアスコルビン酸
の安定化に寄与するといわれているメタリン酸、ジカル
ボン酸、トリカルボン酸、EDTA、フィチン酸等の化合物
との併用も、これを妨げるものではない。
以下、実施例を挙げ、詳細に説明する。
実施例1 ルチン1.5部(重量部、以下同じ)に対し熱エタノー
ル225部、グリセリン75部を加え溶解したのち、アスコ
ルビン酸2.25部、イオン交換水75部を加えよく混合し液
状褐変防止剤Aを得る。
実施例2 参考例1で得られた配糖体A15部に対し、アスコルビ
ン酸20部、イオン交換水35部、エタノール30部をよく混
合し、液状褐変防止剤Bを得る。
実施例3 参考例2で得られた配糖体B15部、アスコルビン酸20
部、デキストリン65部をイオン交換水120部によく混和
後、噴霧乾燥して、粉末状褐変防止剤Cを95g得る。
次に、本発明の褐変防止剤については実施例をもって
その効果を証明する。
実施例1 リンゴ35部、グラニュー糖40部、ペクチン0.6部、ク
エン酸0.4部、イオン交換水24部にアスコルビン酸Naま
たは実施例1または実施例2で得られた褐変防止剤を加
え、ジャムを常法にて作成した。容器に充填後90℃で20
分殺菌する。その後、25℃、35℃保存して実験に供し
た。ジャムの褐変度は、実験開始2週間後及び4週間後
に褐変防止剤無添加のものと比較して、下に示す4段階
で官能的に評価した。結果は第1表に示す。
褐変防止効果の評価の基準 − :効果なし、 + :やや効果あり ++:効果あり、 +++:高い効果あり 実施例2 果糖ブドウ糖液糖20部、グラニュー糖5部、ゲル化剤
1部、ピーチピューレ18部、イオン交換水56部にアスコ
ルビン酸Naまたは実施例3で得られた褐変防止剤Cを加
え、ゼリーを常法にて作成した。クエン酸でpHは3.6に
調整した。容器に充填後80℃、30分加熱殺菌後水冷し、
25℃、35℃で保存して実験に供した。ゼリーの褐変防止
効果は、実験開始2週間後、4週間後に褐変防止剤無添
加のものと比較して、実施例1と同様な4段階で官能的
に評価した。結果は第2表に示す。
〔発明の効果〕 上記の実施例、実施例で明らかなように、本発明はア
スコルビン酸とフラボノイド配糖体を配合することを特
徴とする効果の高い褐変防止剤に関するものである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アスコルビン酸またはその誘導体とフラボ
    ノイド配糖体を含有することを特徴とする褐変防止剤。
  2. 【請求項2】フラボノイド配糖体が、ルチン、ケルシト
    リン、イソケルセチン、ペルタトシド、ヒペロシドの1
    種もしくは2種以上の混合物である特許請求の範囲第1
    項記載の褐変防止剤。
  3. 【請求項3】フラボノイド配糖体が、ルチン、ケルシト
    リン、イソケルセチン、ペルタトシド、ヒペロシドの1
    種もしくは2種以上の混合物に乳糖またはガラクトオリ
    ゴ糖および/または澱粉質の存在下で、糖転移作用を有
    する酵素を作用させることによって得られる水易溶性配
    糖体である特許請求の範囲第1項記載の褐変防止剤。
  4. 【請求項4】糖転移作用を有する酵素が、ガラクトース
    残基転移作用を有する酵素またはグルコース残基転移作
    用を有する酵素、もしくはガラクトース残基転移作用を
    有する酵素とグルコース残基転移作用を有する酵素との
    混合物である特許請求の範囲第3項記載の褐変防止剤。
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