JP2995983B2 - 液体燃料供給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は石油ファンヒータなどの
燃焼部に燃料を供給する液体燃料供給装置に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の液体燃料供給装置は、図
８、図９に示すように液体燃料を保有するタンク３０上
部に電磁ポンプ３１を配設し、この電磁ポンプ３１でタ
ンク３０内の液体燃料を吸い上げ、送油パイプ３２を介
して燃焼部３３に供給し燃焼させるようになっている。
そしてその電磁ポンプは図１０に示すようにプランジャ
３４の上下動に応じて吐出弁３５と吸入弁３６を駆動し
て、タンク３０から燃料を吸引し燃焼部３３へ供給する
ようになっている。

【０００３】

【発明が解決しょうとする課題】しかしながら、上記従
来の構成では電磁ポンプ３１によって燃焼部３３に供給
される液体燃料は、消火時電磁ポンプ３１が停止した後
においても送油パイプ３２やこれに接続されていて図９
に示すような燃焼部３３の気化部３７内に臨んでいるノ
ズル３８等の温度上昇によって膨張し、この膨張油量分
が燃焼部３３に供給されて臭気等を発生してしまう。

【０００４】例えば燃焼時には、燃焼部３３近傍の送油
パイプ３２やノズル３８は高温雰囲気に臨んでいるが、
電磁ポンプ３１で吸い上げ供給されるタンク３０内の液
体燃料により、送油パイプ３２やノズル３８は冷却され
た状態となっている。ところが、燃焼を停止して液体燃
料の供給を止めると、この液体燃料による冷却効果がな
くなり、送油パイプ３２やノズル３８内で液体燃料は急
激に温度上昇しその膨張油量分が燃焼部３３に若干遅れ
て供給される。その供給された膨張油量分は、燃焼部３
３の気化部３７で気化され多量の未燃ガスやきつい臭気
そしてタール生成などの原因となる。

【０００５】この現象は電磁ポンプ停止直後の送油パイ
プ３２やノズル３８が最も温度上昇するときに顕著に現
れ、使用者に不快感を与える。

【０００６】また点火時においても同様で、送油パイプ
３２やノズル３８内の液体燃料が点火開始前の気化部３
７の温度上昇によって膨張し、この気化部３７で気化さ
れ多量の未燃ガスや臭気そしてタール生成などの原因と
なる。

【０００７】本発明は上記課題を解決するもので、消火
後や点火前の不用な液体燃料の供給をなくして、臭気や
タール生成を低減させることを目的としたものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明はまず消火時の課
題を解決するため、燃料を保有するタンクと、このタン
クから燃焼部の気化部へ送油パイプを介して燃料を供給
する電磁ポンプと、上記燃料供給用電磁ポンプのソレノ
イドへの通電ＯＮ／ＯＦＦによってプランジャーを往復
動させ、前記プランジャーの一方向移動時に吐出弁を開
き、反対方向移動時に吐出弁を閉じるようにして燃料を
吸引・吐出させるポンプ駆動制御部とを備え、上記燃料
供給用電磁ポンプは吐出弁を開成させる手段を有すると
ともに、上記ポンプ駆動制御部は燃焼停止指令時に上記
燃料供給用電磁ポンプのプランジャーを緩やかに移動さ
せて燃料の吐出を制限しつつ、吐出弁を開成した状態で
一時的に保持させた後、通電を停止してプランジャーを
停止位置に戻す構成としてあり、また、点火時の課題を
解決するため、燃料を保有するタンクと、このタンクか
ら燃焼部の気化部へ送油パイプを介して燃料を供給する
電磁ポンプと、上記燃料供給用電磁ポンプのソレノイド
への通電ＯＮ／ＯＦＦによってプランジャーを往復動さ
せ、前記プランジャーの一方向移動時に吐出弁を開き、
反対方向移動時に吐出弁を閉じるようにして燃料を吸引
・吐出させるポンプ駆動制御部と、燃焼指示指令を出力
するとともに、燃焼開始前に気化部を所定温度まで加熱
するように制御する燃焼制御部とを備え、上記燃料供給
用電磁ポンプは吐出弁を開成させる手段を有するととも
に、上記ポンプ駆動制御部は燃焼開始前にプランジャー
を緩やかに移動させて燃料の吐出を制限しつつ駆動させ
るとともに、吐出弁を強制的に開成した状態で一時的に
保持させるように構成してある。

【０００９】

【作用】本発明は上記構成によって、燃料供給用の電磁
ポンプ自体を利用して消火時あるいは点火時に送油パイ
プやノズルの温度上昇によって生じる膨張油量分を電磁
ポンプあるいはタンク内に回収することができる。そし
て、不用な液体燃料は燃焼部に供給されなくなり、膨張
油量分が燃焼部で気化されて生じる多量の未燃ガスの発
生やきつい臭気そしてタール生成などの問題を生じなく
なる。

【００１０】

【実施例】以下本発明の実施例を添付図面に基づいて説
明する。まず図２において、１は本体ケース、２は本体
ケース１の側部に配設した液体燃料を保有するタンク
で、その上部に着脱自在なカートリッジタンク３が配設
してある。４はタンク２の上面に配設した電磁ポンプ、
５は送油パイプ、６は電磁ポンプ４によって供給される
液体燃料を気化して燃焼させる燃焼部で、図７に示す従
来と同様の構成となっており、その周囲には燃焼排ガス
を上方へ導く燃焼筒７が設けてある。９は上記燃焼筒７
を覆い後方へ配設した対流用送風機８からの室内空気流
と上述の燃焼排ガスとを混合して温風にするダクトであ
る。

【００１１】次に液体燃料を供給する電磁ポンプについ
て説明すると、図１において、１０は上記電磁ポンプ４
内に液体燃料の流通経路を形成している管柱で、その先
端に送油パイプ５を結合する吐出結合部１１が接続され
ている。１２は上記吐出結合部１１内に設けた吐出弁座
で、吐出口１２ａを有する。１３はこの吐出口１２ａを
開閉する吐出弁で、磁性体で形成してあり、液体燃料の
吐出時に開き、吸入時に吐出バネ１４で閉じる。

【００１２】１５は上記吐出弁座１２の下部に位置する
プランジャーで、上下動し、下方に行くときに吸入弁１
６を開いて吐出弁座１２との間に液体燃料を吸入し、上
方へ行くときに吸入バネ１７で吸入弁１６を閉じて液体
燃料を上方へ押し上げる吸入弁部１８をその中に有して
おり、バネ１９、２０で支えられている。

【００１３】２１は上記管柱１０の下端に配設した吸入
パイプで、その下端にゴミなどを濾過して中に入らない
ようにする網状のフィルター２２を装着してある。２３
は上記管柱１０の周囲に配設したソレノイドで、吐出弁
１３を開成させ且つプランジャー１５を上下動させるも
ので、上記管柱１０との間にはソレノイド２３からの磁
力線を伝え吐出弁１３を上方へ引き上げる上磁路２４と
プランジャー部１５を上方へ引き上げる中磁路２５と、
その下部に離れて磁力線を伝える下磁路２６を配設して
いる。

【００１４】２７は上記ソレノイド２３への通電を制御
するポンプ駆動制御部で、図３に示すように燃焼制御部
２８からの出力を受けて動作するようになっている。な
お、この燃焼制御部２８は運転スイッチ２９からの運転
開始指令に基づいて動作し、予め定められたプログラム
にしたがってポンプ駆動制御部２７へ燃焼指示指令を出
し、燃焼を開始させるようになっている。

【００１５】上記構成において、まず燃料はカートリッ
ジタンク３よりタンク２内に一定油面高さを保つように
供給され、そのタンク２から電磁ポンプ４によって送油
パイプ５を介し燃焼部６へ吸い上げ供給される。そして
燃焼部６で燃焼され、その燃焼排ガスは燃焼筒７上方へ
流れていき、ダクト９で対流用送風機８からの室内空気
流と混合され、温風として排出され暖房に利用される。

【００１６】次に液体燃料の供給について説明すると、
燃焼制御部２８から燃焼指示指令が出されると図４のフ
ローチャートに示すようにソレノイド２３に通電し、こ
れを駆動して燃焼を開始させる。すなわち、ソレノイド
２３に通電すると、ソレノイド２３から上磁路２４を介
して吐出弁１３、中磁路２５、プランジャー１５、下磁
路２６そしてソレノイド２３へという磁界を生じ、吐出
弁１３は上昇して開成しプランジャー１５は上方へ引き
上げられる。

【００１７】このとき吸入弁１６は閉じられ、吐出弁座
１２とプランジャー１５の間の空間にある液体燃料は吐
出弁座１２の吐出口１２ａを介して吐出結合部１１に結
合した送油パイプ５へ吐出する。またソレノイド２３の
通電を停止すると、吐出弁１３はバネ１４で閉じ、プラ
ンジャー１５はバネ１９、２０によって元の位置へ下が
る。

【００１８】このとき吸入弁１６は開かれ、吐出弁座１
２とプランジャー１５の間に下方の吸入パイプ２１を介
して液体燃料を吸引する。そしてこのソレノイド２３へ
のＯＮ／ＯＦＦの通電の繰り返しでタンク２内の液体燃
料は、フィルター２２を通過して吸入パイプ２１から吸
い込まれ、送油パイプ５を介して燃焼部６に供給され
る。

【００１９】次に燃焼停止の指令があると、ソレノイド
２３への通電を一旦ＯＦＦし燃焼を停止した後、再びソ
レノイド２３の通電を行なう。その際プランジャー１５
を緩やかに上動させて、燃料の吐出を制限しつつ吐出弁
１３を強制的に開成するように電磁ポンプのソレノイド
２３への通電電圧を徐々に上げる。そしてこの状態で所
定時間（数秒間）保持し吐出弁１３を開成しプランジャ
ー１５を引き上げたままとする。その結果、この間はサ
イホンの原理で送油パイプ５の先端よりタンク２内の液
体燃料の油面落差分だけ液体燃料はリターンされ、送油
パイプ５内の液体燃料を膨張油量以上に電磁ポンプ４あ
るいはタンク２内にリターンさせる。

【００２０】そして所定時間過ぎると通電をＯＦＦす
る。これによりプランジャー１５は基の位置に下がると
同時に、吐出弁１３も閉じ、吐出口１２ａを介して送油
パイプ５内の液体燃料は更に吸引されリターンされる。

【００２１】また、図５は同様に消火時における課題を
解決するもので、構成的にはすでに説明したものと同じ
であるが、燃焼制御部２８及びポンプ駆動制御部２７の
動作が異なるので同図のフローチャートを用いて異なる
部分のみを説明する。

【００２２】燃焼停止の指令があると、そのままソレノ
イド２３への通電をＯＦＦすることなくＯＮにしたまま
の状態で所定時間（数秒間）保持し吐出弁１３を開成し
プランジャーを引き上げたままとする。すなわちプラン
ジャー１５は最後に上動して引き上げられたままとなる
ので液体燃料の吐出は停止し、吐出弁１３は開成したま
ま所定時間保持され、その間サイホンの原理で送油パイ
プ５の先端よりタンク２内の液体燃料の油面落差分だけ
液体燃料はリターンされ、送油パイプ５内の液体燃料を
膨張油量以上に電磁ポンプ４あるいはタンク２内にリタ
ーンさせる。

【００２３】そして所定時間過ぎると通電をＯＦＦす
る。これによりプランジャー１５は基の位置に下がると
同時に、吐出弁１３も閉じ、吐出口１２ａを介して送油
パイプ５内の液体燃料は更に吸引されリターンされる。

【００２４】したがって、前者及び後者に於いても、燃
焼停止時に送油パイプ５やノズルの温度上昇によって生
じる液体燃料の膨張油量分が燃焼部６に供給されること
がなくなり、多量の未燃ガスの発生やきつい臭気そして
タール生成などの不良を低減することができ、長期に渡
って良好な燃焼を行わせることができる。

【００２５】図６は点火時における課題を解決するもの
で、構成的にはすでに説明したものと同じであるが、燃
焼制御部２８及びポンプ駆動制御部２７の動作が異なる
ので同図のフローチャートを用いて説明する。

【００２６】まず燃焼指示指令が発せられると燃焼制御
部２８はこれをポンプ駆動制御部２７へ出し、ポンプ駆
動制御部２７はソレノイド２３の通電を行なう。その際
プランジャー１５を緩やかに上動させて燃料の吐出を制
限しつつ吐出弁１３を強制的に開成するように電磁ポン
プのソレノイド２３への通電電圧を徐々に上げる。そし
てこの状態で所定時間（数秒間）保持し、吐出弁１３を
開成しプランジャー１５を引き上げたままとする。

【００２７】すなわちプランジャー１５は最後に上動し
て引き上げられたままとなるので液体燃料の吐出は停止
し、吐出弁１３は開成したまま所定時間保持され、その
間サイホンの原理で送油パイプ５の先端よりタンク２内
の液体燃料の油面落差分だけ液体燃料はリターンされ、
送油パイプ５内の液体燃料を膨張油量以上に電磁ポンプ
４あるいはタンク２内にリターンさせる。

【００２８】その後燃焼制御部２８は気化部の加熱を開
始し、気化部が所定温度に達するとソレノイド２３にＯ
Ｎ／ＯＦＦの通電を繰り返して燃焼を開始させる。

【００２９】ここで上記燃焼開始前に気化部の温度上昇
とともに送油パイプ５やノズルが温度上昇してもこのノ
ズル等の内部の燃料は先に説明した例と同様電磁ポンプ
４やタンク２内にリターンしているので燃焼部６へ膨出
することがなく、多量の未燃ガスの発生や臭気そしてタ
ール生成などの不良を低減することができ、長期に渡っ
て良好な燃焼を行わせることができる。

【００３０】また、図７は同様に点火時における課題を
解決するもので、構成的にはすでに説明したものと同じ
であるが、この場合はプランジャー１５を引き上げたま
ま所定時間経過すると一旦ソレノイド２３への通電を停
止してプランジャー１５を下降させ強制的に送油パイプ
５内の燃料を吸引した後燃焼を開始させるようになって
おり、より確実に燃料を吸引して臭気等の発生を抑制す
ることができる。

【００３１】なお上記説明では点火時ならびに消火時の
課題をそれぞれ別々に解決するだけのものを例にした
が、これらを組み合わせて点火、消火両方の課題を同時
に解決するようにしてもよく、またその他の構成も本発
明の目的を達成する範囲内であればどの様に構成しても
よいものである。

【００３２】さらにまた、本発明の電磁ポンプの構成
は、吐出弁１３の開成とプランジャー部１５の上下動を
ひとつのソレノイド２３で行って構成の簡素化を図った
が、これは吐出弁１３開成専用のソレノイドと磁路を設
けてもよく、またその他の構成も本発明の目的を達成す
る範囲内であればどの様に構成してもよいものである。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したように本発明の液体燃料供
給装置は、消火時あるいは点火時に送油パイプ内の液体
燃料を電磁ポンプ内あるいはタンク内に回収し、消火後
あるいは点火前の電磁ポンプ停止時の送油パイプやノズ
ルの温度上昇によって生じる燃焼部への不用な燃料の供
給をなくし、その不用な液体燃料の膨張油量分が燃焼部
で気化されて生じる多量の未燃ガスの発生やきつい臭気
など使用者に与える不快感を低減することができ、しか
もタールの生成も低減して長期に渡って良好な燃焼を行
わせることができるようになる。また、上記消火時ある
いは点火時の液体燃料の回収は燃料供給用の電磁ポンプ
自体を利用して行なうので別途燃料回収用のポンプ等を
必要とせず、構成の簡素化が図れるとともに、コスト、
コンパクト化等にメリットがある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における液体燃料供給装置と
その主要部をなす電磁ポンプの要部断面図

【図２】同装置を用いた温風暖房機の要部断面図

【図３】同装置の制御部を示すブロック図

【図４】同制御部の消火時の動作を示すフローチャート

【図５】同消火時の他の例における動作を示すフローチ
ャート

【図６】同制御部の点火時の動作を示すフローチャート

【図７】同点火時の他の例における動作を示すフローチ
ャート

【図８】従来の燃料供給装置を用いた温風暖房機の要部
断面図

【図９】従来の燃料供給装置を用いた温風暖房機の燃焼
部の断面図

【図１０】従来の電磁ポンプの断面図

【符号の説明】

２ タンク ４ 電磁ポンプ ５ 送油パイプ ６ 燃焼部 １３ 吐出弁 １５ プランジャー ２３ ソレノイド ２７ ポンプ駆動制御部 ２８ 燃焼制御部

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料を保有するタンクと、このタンクから
   燃焼部の気化部へ送油パイプを介して燃料を供給する電
   磁ポンプと、上記燃料供給用電磁ポンプのソレノイドへ
   の通電ＯＮ／ＯＦＦによってプランジャーを往復動さ
   せ、前記プランジャーの一方向移動時に吐出弁を開き、
   反対方向移動時に吐出弁を閉じるようにして燃料を吸引
   ・吐出させるポンプ駆動制御部とを備え、上記燃料供給
   用電磁ポンプは吐出弁を開成させる手段を有するととも
   に、上記ポンプ駆動制御部は燃焼停止指令時に上記燃料
   供給用電磁ポンプのプランジャーを緩やかに移動させて
   燃料の吐出を制限しつつ、吐出弁を開成した状態で一時
   的に保持させた後、通電を停止してプランジャーを停止
   位置に戻す構成とした液体燃料供給装置。
2. 【請求項２】燃料を保有するタンクと、このタンクから
   燃焼部の気化部へ送油パイプを介して燃料を供給する電
   磁ポンプと、上記燃料供給用電磁ポンプのソレノイドへ
   の通電ＯＮ／ＯＦＦによってプランジャーを往復動さ
   せ、前記プランジャーの一方向移動時に吐出弁を開き、
   反対方向移動時に吐出弁を閉じるようにして燃料を吸引
   ・吐出させるポンプ駆動制御部と、燃焼指示指令を出力
   するとともに、燃焼開始前に気化部を所定温度まで加熱
   するように制御する燃焼制御部とを備え、上記燃料供給
   用電磁ポンプは吐出弁を開成させる手段を有するととも
   に、上記ポンプ駆動制御部は燃焼開始前にプランジャー
   を緩やかに移動させて燃料の吐出を制限しつつ駆動させ
   るとともに、吐出弁を開成した状態で一時的に保持させ
   るように構成した液体燃料供給装置。
3. 【請求項３】吐出弁を開成させる手段はプランジャーの
   駆動用のソレノイドによって開成する構成とした請求項
   １または２記載の液体燃料供給装置。
4. 【請求項４】ポンプ駆動制御部は燃焼開始前に一旦ソレ
   ノイドの通電をＯＦＦしてプランジャーを移動させるこ
   とによって生じる吸引作用で燃料をリターンさせるよう
   に構成した請求項２記載の液体燃料燃焼装置。