JP2995403B2 - 硫酸化物の製造装置 - Google Patents

硫酸化物の製造装置

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JP2995403B2
JP2995403B2 JP10122461A JP12246198A JP2995403B2 JP 2995403 B2 JP2995403 B2 JP 2995403B2 JP 10122461 A JP10122461 A JP 10122461A JP 12246198 A JP12246198 A JP 12246198A JP 2995403 B2 JP2995403 B2 JP 2995403B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原料化合物とSO
3 ガスとの反応により得られる硫酸化物の製造方法及び
それに好適に用いられる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、原料化合物をSO3 ガスによ
り硫酸化させて、その硫酸化物を得る製造方法におい
て、高品質な硫酸化物を安定的に生産するために、SO
3 ガスと原料化合物との間に不活性ガスを介して両者を
反応させる製造方法が検討されている。例えば、米国特
許第3931273号明細書(1976年)に開示され
た硫酸化物の製造装置が挙げられる。
【0003】しかしながら、この硫酸化物の製造装置で
は、原料化合物が反応管上部の原料化合物供給管から直
接反応管内へ吐出されるため、反応を停止した場合、原
料化合物の供給ラインの残液が反応器内へ漏れ出してし
まい、反応管内壁を汚すという欠点がある。さらに、こ
のような原料化合物の漏出により、反応管に残存するS
3 ガスが該供給ライン内へ流入するため、該供給ライ
ンに設けられたベンチュリ計等が汚染される恐れがあ
る。
【0004】なお、従来より用いられているスリット方
式では、スリット部が液分配を実質的に行っているオリ
フィスの役目を果たし、同時にフィルム状液膜を形成さ
せる効果も果たしていることから、効率的ではある。し
かしながら、反応終了後、原料供給を停止するとスリッ
ト部の原料液が漏出してしまい、反応器内部に残存する
SO3 ガスにより、該スリット部が汚染され、液分配を
良好に行えなくなる可能性が高かった。
【0005】また、このような硫酸化物の製造装置で
は、原料液が液膜を形成する部分のクリアランスが一様
でないと、円周状に均一な厚みの液膜が形成されず、品
質を損なう恐れがあり、さらに、このクリアランスを一
様に調整することは装置製造上、非常に難しいという欠
点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、原料化合物
が反応管内でSO3 ガスと効率よく反応し、反応管以外
の製造装置各部でSO3 ガスによる汚染がなく、さらに
操作性よく硫酸化物を製造することができる硫酸化物の
製造方法及びその製造装置を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 SO3 ガスと反応して硫酸化物を与える化合物
(以下、原料化合物)の薄膜流とSO3 ガス流を並流接
触させて反応させるに際し、該薄膜流と該SO3ガス流
の間に不活性ガスを供給する硫酸化物の製造方法であっ
て、前記原料化合物の供給を原料化合物の滞留した滞留
部から反応管内壁へオーバーフローさせて行う硫酸化物
の製造方法、及び〔2〕 原料化合物の薄膜流とSO3
ガス流を並流接触させて反応させる反応管と、原料化合
物を反応管内壁へ供給する原料化合物供給部と、反応管
内にSO3ガスを供給するSO3 ガス供給部と、該薄膜
流と該SO3 ガス流の間に不活性ガスを供給する不活性
ガス供給部とを備えた硫酸化物の製造装置であって、前
記原料化合物供給部が原料化合物のオーバーフローによ
る反応管内壁への供給を可能とするオーバーフロー機構
を有する硫酸化物の製造装置、に関する。なお、本発明
において、「硫酸化」とは、硫酸エステル化だけでな
く、いわゆるスルホン化も含む。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において、原料化合物をそ
の滞留部より反応管内壁へオーバーフローさせることに
より、原料化合物の均一なフィルム状になった液膜を形
成することができ、その結果、色相の良好な硫酸化物を
得ることができる。
【0009】ここで、原料化合物としては、アルキルア
リール炭化水素、オレフィン炭化水素、脂肪族アルコー
ル、アルキルフェノール、それらのエトキシレート及び
その他の硫酸化し得る有機化合物を使用することができ
る。本発明の製造方法は、特にポリオキシエチレンアル
キルエーテル硫酸化物の製造に有用であり、該化合物を
アルカリ金属水酸化物、アミン、アルカノールアミン等
の一般的な塩基性化合物で中和することにより、活性剤
化合物を調製することができる。
【0010】本発明におけるSO3 ガスは、一般的に
は、SO3 を空気、窒素、SO3 と反応しない他のガス
等で希釈して好適な濃度で使用される。
【0011】原料化合物の薄膜流とSO3 ガス流の間に
供給される不活性ガスとしては、空気、除湿を行った乾
燥空気、窒素等のSO3 ガスと原料化合物のいずれとも
化学反応しないガスを用いることができ、コストの面か
ら空気が好ましく、芒硝等の副反応物低減の目的から、
除湿した乾燥空気がさらに好ましい。また、SO3 ガス
を希釈する上記のガスの一部を用いてもなんら差し支え
ない。
【0012】本発明の製造方法によって、原料化合物の
硫酸化を行うに際しては、例えば図1〜6に示されるよ
うな製造装置を用いることができる。
【0013】図1は、原料化合物、不活性ガス、SO3
ガスが供給され、各供給物が接触し、反応を起こす硫酸
化物の製造装置の反応管2上部付近(反応器主要部1と
いう)の好適な装置図を示す。
【0014】反応管2は、SO3 ガスと原料化合物との
反応を不活性ガスを介して行う反応領域を形成するため
に設けられており、反応管2において原料化合物の薄膜
流とSO3 ガス流との並流接触により両者の反応が起こ
る。反応管2は、反応領域が形成できれば形状に制限は
ないが、製作上及び器材の入手のしやすさからパイプ形
状が好ましい。かかるパイプの軸垂直断面形状として
は、例えば、三角形、四角形等の多角形、楕円形、円形
等が挙げられる。これらの形状の中では、円形状である
ことが好ましい。
【0015】また、反応管2の寸法は、例えば、反応管
2がパイプ形状である場合、パイプの内径は圧力損失を
防ぎ、エネルギーロスを抑える観点から、8mm以上、
好ましくは12mm以上であることが望ましく、反応を
終了するのに必要な管長を短くし、装置コストを抑える
観点から、80mm以下、好ましくは40mm以下であ
ることが望ましい。また、その場合のパイプの長さは、
反応を促進させ、未反応原料を低減させたり、反応熱の
除去を効率的に行う観点から、1m以上、好ましくは2
m以上であることが望ましく、圧力損失軽減による設備
負荷低減や装置コスト低減の観点から、15m以下、好
ましくは10m以下であることが望ましい。
【0016】反応管2の材質としては、特に制限はない
が、例えばステンレス鋼、チタン、その他の合金材、フ
ッ素樹脂、ガラス等が挙げられる。
【0017】また、反応管2は、該反応管2内壁に原料
化合物を流下できるように設置されていればよく、どの
ような配置をとってもよいが、例えば、水平面に対して
垂直に立てられていることが好ましい。
【0018】反応管2の最上部は、不活性ガスの流れを
乱さず、SO3 ガスの流線がゆっくりと広がるようにす
る観点から、図1に示すように内側にSO3 ガスの流れ
方向に沿って流線が広がるようなテーパが付けられてい
ることが好ましい。
【0019】反応管2の上部付近には、原料化合物をオ
ーバーフローさせて反応管2の内壁への供給を可能とす
るオーバーフロー機構が原料化合物供給部5に設けられ
ている。
【0020】かかるオーバーフロー機構を設けることに
より、原料化合物の供給を停止した際に原料化合物の原
料化合物供給部5からの流失を防ぐと同時に、原料化合
物供給部5のSO3 ガスによる汚染を防ぐ。
【0021】この場合において、原料化合物供給部5が
原料化合物の滞留部3と該滞留部3へ通じる原料化合物
供給通路4を備えてなり、オーバーフローによる反応管
2内壁への供給を可能とするオーバーフロー機構が設置
されているものが装置の製作のし易さの観点からより好
ましい。
【0022】オーバーフロー機構は、原料化合物をオー
バーフローさせることができる構成を有していればよ
く、具体例としては、図1に示すように、原料化合物の
滞留部3と滞留部3へ通じる原料化合物供給通路4を有
する原料化合物供給部5が挙げられる。この場合、原料
化合物は滞留部3の頂部(オーバーフロー位置6)から
オーバーフローされる。
【0023】また、原料化合物をオーバーフローさせる
観点から、オーバーフロー位置6は、原料化合物供給通
路4の位置と同じ、又はより高い位置に配置されている
ことが好ましい。後者の場合、オーバーフロー位置6と
原料化合物供給通路4の位置との高さの差は、20cm
以下が好ましく、5cm以下がより好ましい。
【0024】原料化合物供給部5は、原料化合物を反応
管2内壁へ供給するために設けられており、反応管2内
壁に原料化合物をオーバーフローさせながら、均一な厚
みの原料化合物の液膜を反応管2内壁で形成させ得る形
状であればよく、その形状、大きさ等には特に制限はな
く、例えば、反応管2に軸垂直断面形状が円形状である
パイプ形状を採用した場合には、滞留部3は環状構造で
あることが好ましい。
【0025】滞留部3が環状構造の場合、滞留部3を形
成する間隙としては、特に制限はなく、例えば、微細な
ゴミ、金属片等による閉塞を防止する観点から、0.5
mm以上、好ましくは1mm以上であることが望まし
く、装置の大きさをコンパクトにする観点から、8mm
以下、好ましくは5mm以下であることが望ましい。こ
のように、本発明においては、かかる間隙の自由度を比
較的高くすることができる。
【0026】SO3 ガス供給部7は、反応管2の反応領
域に向けてSO3 ガスを供給するために設けられてお
り、SO3 ガスが供給できるように形成されていれば、
形状、寸法に制限はないが、具体的には、図1に示すよ
うにSO3 ガス供給部7を形成している管の軸方向が、
反応管2の軸方向と一致するようにSO3 ガス供給部7
を反応管2内に配置していることが好ましく、さらに、
SO3 ガス供給部7と反応管2との各中心軸が一致する
ように配置していることがより好ましい。
【0027】不活性ガス供給部8は、不活性ガスをSO
3 ガス流と原料化合物の薄膜流との間に供給するために
設けられており、不活性ガスが供給できるように形成さ
れていれば、形状、寸法に制限はないが、具体的には、
図1に示すようにSO3 ガス供給部7を形成している管
の外側を包むような外管を設置することで形成されてい
ることが好ましい。
【0028】なお、反応器主要部1のX−X断面で該反
応器主要部1を切断した時の硫酸化物の製造装置の横断
面を上から見た概略説明図を図2に示す。また、図3
は、本発明の好適な製造装置の全体図を示す。
【0029】原料化合物を上から下へ流下させる具体的
な硫酸化物の製造装置9は、図1に示す反応器主要部1
を反応管2上部に配し、原料化合物供給口10、不活性
ガス供給口11、SO3 ガスの供給口12が具備されて
いる。さらに、下方にのびる反応管2は外部から冷却で
きる構造(冷却装置13)を有しており、反応管2の末
端に硫酸化物と排ガスを分離する気液分離器(サイクロ
ン)14が装備されている。本形態は2段の冷却装置1
3を有しているが、合成する硫酸化物の品質に応じて1
段でもよいし、3段以上の構造としてもよい。
【0030】本発明を工業的規模で行うにあたっては、
複数本の反応管を組み合わせた多管型製造装置を用いる
ことが好ましく、その場合の好適な製造装置を図4〜6
に示す。
【0031】図4は、多管型製造装置の反応管2上部付
近(反応器主要部15)の概略説明図を示し、図1の反
応器主要部1に相当するものである。
【0032】反応器主要部15には、原料化合物を各反
応管2へ均等に分配する目的で、原料化合物供給部5内
にオリフィス16が設置されており、具体的には、原料
化合物供給通路4内には、オリフィス16が1以上直列
に配設されていることが好ましい。
【0033】原料化合物の供給を停止しても、オーバー
フロー位置6で原料化合物の流出が止まり、液分配を支
配しているオリフィス16がSO3 ガスにより汚染され
ることがないため、非常に好適である。
【0034】本形態では、オリフィス16を2段に重ね
たものを2系列に配しており、各反応管に各4個のオリ
フィス16を具備している。これにより、オリフィス1
6孔径の加工フレを4個のオリフィス16を用いること
により打ち消し、反応管2に供給される原料化合物の流
量をより均等に分配することができ、均一にオーバーフ
ローさせることができる。その結果、原料化合物が反応
管2内部に供給された際に、反応管2内壁上に均一な厚
さを有するフィルム状になった液膜を形成することがで
き、高品質な硫酸化物を得られる。
【0035】反応終了物の色相をあまり重視しない場合
には、オリフィス16は1個でもよく、色相を重視する
場合には、2段重ねを3段重ね、4段重ねと増やすこと
が、各反応管への原料化合物分配精度を向上させる観点
から好ましい。また、反応管1本当たりの原料化合物流
量により、2系列を3系列、4系列と増やしてもよい。
また、オリフィス16の孔径や長さは、反応管1本当た
りの原料化合物の流量や粘度、温度等といった因子によ
り、自由に選択することができる。
【0036】また、オリフィス16の孔以外の経路から
の原料化合物供給を防止する目的で、図4に示すように
原料液をシールするOリング17をオリフィス16の上
下に配置したり、オリフィス16の目詰まりを防止する
目的でフィルター18をOリング17上に配置すること
が好ましい。
【0037】図4に示す反応器主要部15において、オ
リフィス16を通った原料化合物はオリフィス16下部
の原料化合物供給通路4を通って、滞留部3を満たしな
がら、オーバーフロー位置6から均一にオーバーフロー
しながら、反応管2内部に供給される。その結果、反応
管2内部へはきれいなフィルム状になった液膜が形成さ
れながら供給されるため、色相のより良好な硫酸化物を
得ることができる。
【0038】図5は、図4における反応器主要部15の
Y−Y断面で反応器主要部15を切断した時の多管型製
造装置全体の横断面を上から見た概略を示す斜視図であ
る。多管型製造装置19は、3重の同心円周上に配置さ
れた48本の反応管から構成されているが、反応管2の
本数は、製造装置の生産能力に応じた数量でよく、その
配置も同心円周上に配置される必要はなく、装置の製作
が容易になるように行えばよい。なお、原料化合物は、
原料化合物供給口10から入り、多管型製造装置19の
周囲を循環しながら接続した原料化合物供給口20から
原料化合物チャンバー(図示せず。図5では多管型製造
装置19上の平面部分である。)に供給される。その際
に原料化合物は全て原料化合物チャンバー内に供給され
ず、残余の原料化合物は原料化合物排出口22から排出
されるようになっている。
【0039】図6は、本発明の好適な多管型製造装置2
3の概略説明図を示しており、図4に示す反応器主要部
15と同じ構成を有する原料化合物供給部24が配置さ
れている。
【0040】反応管2の下部の外周には冷却装置13が
設けられており、冷却装置13は冷却水入口25、冷却
部26、冷却水出口27で構成される。本形態では、冷
却装置13が上下2ゾーンに配置されているが、その数
は反応条件や硫酸化物の融点等の条件によって、一概に
は規定されない。また、本形態では2重管構造(ジャケ
ット構造)になっており、各反応管2を効率よく冷却で
きるように工夫されているが、反応温度の影響を受け難
い硫酸化物の場合ではshell−tubeタイプの冷
却装置でもよく、構造の形態は制限されない。なお、s
hell−tubeタイプの冷却装置の場合、図のよう
にF2(冷却水出口27)、F3(冷却部26)及びF
4(冷却水入口25)の3層構造にする必要はない。
【0041】多管型製造装置23において、原料化合物
は、原料化合物供給口10から供給され、原料化合物チ
ャンバー21から原料化合物供給部24を経由し、反応
管2内に供給される。
【0042】SO3 ガスは、多管型製造装置23上部の
SO3 ガス供給口12からSO3 ガスチャンバー28に
供給され、各SO3 ガス供給部7へ送られる。
【0043】不活性ガスは、不活性ガス供給口11から
不活性ガスチャンバー29に供給され、各不活性ガス供
給部8へ送られる。
【0044】前記のようにして供給された原料化合物、
SO3 ガス及び不活性ガスは、反応後、硫酸化物と排ガ
スとして、各反応管2から製造装置下部の反応終了物チ
ャンバー30で集約され、排出口34から排出される。
【0045】反応器主要部の配置されたフランジ部(図
示せず)と冷却装置13上部のフランジ部(図示せず)
との間(F1)には、温水やスチームを供給できる供給
口31と温水やドレン水や冷却装置13からの冷却水の
漏れ込み水を排出する排出口32が具備されており、反
応器主要部を予熱したり、漏れ込み水を排出する役目を
する。
【0046】また、冷却装置13下部のフランジ部(図
示せず)と反応終了部チャンバー30の間(F8)に
は、冷却装置13からの冷却水の漏れ込み水を排出する
排出口33が具備されており、漏れ込み水を排出する役
目をする。
【0047】本発明において、図1〜6に示す硫酸化物
の製造装置を用いる場合、原料化合物の流量は、反応管
の内径によっても異なるが、反応管内壁で一様な厚みを
有する液膜を形成する観点から、浸辺長流量が50kg
/mHr以上、好ましくは100kg/mHr以上であ
ることが望ましく、反応熱を十分に除去し、色相のよい
高品質の生成物を得る観点から、800kg/mHr以
下、好ましくは600kg/mHr以下であることが望
ましい。なお、浸辺長流量は、反応管円周の単位長さ当
たりの原料化合物流量を示し、以下の式で求めることが
できる。
【0048】
【数1】
【0049】原料化合物の温度は、融点あるいは濁り点
以上の温度であればよく、安定的に運転する観点から、
製造装置へ供給する前に、一般的な手段により一定温度
で供給することが望ましい。
【0050】SO3 ガス量は、SO3 と原料化合物のモ
ル比により規定される。例えば、生成物がポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸化物である場合、SO3
原料化合物のモル比が0.95以上、1.3以下となる
ように、SO3 ガス量を調整することが好ましい。
【0051】SO3 ガス量の流速としては、特に制限は
ないが、例えば、30Nm/s以上、好ましくは40N
m/s以上であることが望ましく、150Nm/s以
下、好ましくは125Nm/s以下であることが望まし
い。
【0052】なお、SO3 ガスにおける、SO3 濃度
は、上記の条件を満足するように希釈して使用すればよ
い。一般的には1.0体積%以上、10体積%以下の濃
度で使用されることが好ましい。
【0053】不活性ガスの流速は、9Nm/s以上、好
ましくは12Nm/s以上であることが望ましく、18
0Nm/s以下、好ましくは150Nm/s以下である
ことが望ましい。
【0054】また、SO3 ガスと不活性ガスとの合計ガ
ス流速は、反応領域において均一で適当な膜厚を得る観
点から、10Nm/s以上、好ましくは15Nm/s以
上であることが望ましく、圧力損失を保ち、エネルギー
消費を抑える観点から、90Nm/s以下、好ましくは
60Nm/s以下であることが望ましい。なお、上述の
硫酸化物の製造装置は、原料化合物が反応管内壁を流下
するもので説明したが、SO3 ガスと不活性ガスを反応
管下部から供給し、反応管内壁へオーバーフローする原
料化合物が反応管内壁を流上するものとしてもよい。
【0055】かくして得られる硫酸化物を、公知の方法
により中和することにより硫酸化物の中和物を得ること
ができる。かかる硫酸化物の中和物は、色相等の品質が
大幅に改善された界面活性剤として、液体洗浄剤、シャ
ンプー、医薬品、化粧品、化学品等に好適に用いられる
ものである。
【0056】
【実施例】実施例1〜6 実施例においては、図4〜6に示したような構成を有す
る多管型製造装置(全長:8.7m)を用いた。多管型
製造装置には、冷却装置を具備した48本の反応管(内
径16mmφ、長さ5m)、気体チャンバー(高さ:
1.8m、直径:0.9m)、反応終了物チャンバー
(高さ:1.7m、直径:0.9m)が設けられてい
る。また、滞留部として、ケーシング(80mmφ、高
さ:67mm)を有し、原料化合物供給通路に4個のオ
リフィス(2段、2系列、オリフィス径1mmφ、オリ
フィス長さ15mm)が具備されている。
【0057】かかる硫酸化物の製造装置に、原料化合物
(ラウリルアルコールとミリスチルアルコールを75:
25に混合したアルコールに酸化エチレンを常法で2モ
ル付加したアルキルエーテル、平均分子量280、流
量:284kg/Hr)を、4.2体積%のSO3 ガス
(流量:615Nm3 /Hr)を表1に示す乾燥空気
(希釈用エア)で希釈したものを表1に示す流量で、ま
た不活性ガス(乾燥空気)を表1に示す流量でそれぞれ
供給した。なお、硫酸化物の製造装置の排出口のガス流
量が一定になるように希釈用の乾燥空気の量と不活性ガ
ス量を設定した。
【0058】また、F1〜F8で示される、反応管の各
部分については、それぞれ以下のように設定した。 F1(予熱層):何も流さなかった。F2〜F4(冷却
上段層):冷却水として、50℃の冷却水を45m3
Hr流した。F5〜F7(冷却下段層):冷却水とし
て、15℃の冷却水を20m3 /Hr流した。F8(漏
れ込み層):何も流さなかった。
【0059】硫酸化物の製造装置を出た硫酸化物と排ガ
スは気液分離器で分離し、硫酸化物はループ中和器にて
27%水酸化ナトリウム水溶液で中和して、pH6〜8
とし、さらに硫酸化物ナトリウム塩の含有量が25%に
なるようにイオン交換水で希釈した。
【0060】実施例1〜6で得られた硫酸化物につい
て、色相(クレット)を調べてその品質を評価した。結
果を表1に示す。なお、色相は、以下の方法で評価し
た。
【0061】〔色相(クレット)〕実施例1〜6で得ら
れた硫酸化物ナトリウム塩水溶液を活性剤分10%にな
るようにイオン交換水で濃度調節し、10mmセル、波
長420nmにて、測定を行った。なお、色相が20以
下を合格品とする。
【0062】
【表1】
【0063】表1の結果より、実施例1〜6で得られた
硫酸化物(アルキルエーテル硫酸Na塩)は、いずれも
色相に優れるものであることがわかる。また、多管型製
造装置において反応を停止し、7日後に、製造装置の内
部を調べたところ、原料化合物は滞留部に残存し、原料
化合物供給通路、オリフィス等においてSO3 ガスによ
る汚染は見られなかった。
【0064】
【発明の効果】本発明の製造装置を用いることにより、
色相に優れた硫酸化物を操作性よく、容易に製造するこ
とができる。また、本発明の製造装置では、SO3 ガス
が原料化合物供給部に流入しないのでSO3 ガスによる
反応管以外の製造装置各部の汚染が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に用いられる硫酸化物の製造装
置の反応器主要部の一実施態様を示す概略説明図であ
る。
【図2】図2は、図1に示される反応器主要部のX−X
断面で反応器主要部を切断した時の硫酸化物の製造装置
の横断面を上からみた概略説明図である。
【図3】図3は、本発明に用いられる硫酸化物の製造装
置の一実施態様を示す概略説明図である。
【図4】図4は、本発明に用いられる硫酸化物の多管型
製造装置の反応器主要部の一実施態様を示す概略説明図
である。
【図5】図5は、図4に示される反応器主要部のY−Y
断面で反応器主要部を切断した時の硫酸化物の製造装置
全体の横断面を上から見た概略斜視図を示す。
【図6】図6は、硫酸化物の多管型製造装置の一実施態
様を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 反応器主要部 2 反応管 3 滞留部 4 原料化合物供給通路 5 原料化合物供給部 6 オーバーフロー位置 7 SO3 ガス供給部 8 不活性ガス供給部 9 硫酸化物の製造装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片畑 泰任 和歌山市湊1334番地 花王株式会社工場 内 (56)参考文献 特開 昭57−32231(JP,A) 特開 昭50−84527(JP,A) 特開 昭49−124027(JP,A) 特開 昭49−70925(JP,A) 特開 昭49−24915(JP,A) 特開 昭48−99118(JP,A) 特開 平6−128191(JP,A) 米国特許3931273(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 303/00 C07C 305/00 C07C 309/00 C07B 45/02 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SO3 ガスと反応して硫酸化物を与える
    化合物(以下、原料化合物)の薄膜流とSO3 ガス流を
    並流接触させて反応させるに際し、該薄膜流と該SO3
    ガス流の間に不活性ガスを供給する硫酸化物の製造方法
    であって、前記原料化合物の供給を原料化合物の滞留し
    た滞留部から反応管内壁へオーバーフローさせて行う硫
    酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 SO3 ガスと反応して硫酸化物を与える
    化合物(以下、原料化合物)の薄膜流とSO3 ガス流を
    並流接触させて反応させる反応管と、原料化合物を反応
    管内壁へ供給する原料化合物供給部と、反応管内にSO
    3 ガスを供給するSO3 ガス供給部と、該薄膜流と該S
    3 ガス流の間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給
    部とを備えた硫酸化物の製造装置であって、前記原料化
    合物供給部が原料化合物のオーバーフローによる反応管
    内壁への供給を可能とするオーバーフロー機構を有する
    硫酸化物の製造装置。
  3. 【請求項3】 原料化合物供給部が、原料化合物の滞留
    部と該滞留部へ通じる原料化合物の供給通路を備えてな
    り、オーバーフロー機構が原料化合物の該滞留部の頂部
    からのオーバーフローである請求項2記載の製造装置。
  4. 【請求項4】 該滞留部の頂部が該供給通路の位置と同
    じ、又はより高い位置に配置されてなる請求項3記載の
    製造装置。
  5. 【請求項5】 原料化合物を反応管内壁に流下させる請
    求項2〜4いずれか記載の製造装置。
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