JP2995049B1 - 内熱式電気炉用遮熱板 - Google Patents

内熱式電気炉用遮熱板

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JP2995049B1 JP25225498A JP25225498A JP2995049B1 JP 2995049 B1 JP2995049 B1 JP 2995049B1 JP 25225498 A JP25225498 A JP 25225498A JP 25225498 A JP25225498 A JP 25225498A JP 2995049 B1 JP2995049 B1 JP 2995049B1
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Abstract

【要約】 【課題】 割れが生じ難く、耐用期間を長くできるよう
にし、そのためメンテナンスが容易で、運転コストを低
減できるようにする。 【解決手段】 炉体の内部中央に焼結対象物を受け入れ
る焼結空間を有し、焼結空間の側方にヒータが設けら
れ、ヒータを含み焼結空間を取り囲むようにリフレクタ
が設置されて、ヒータからの熱により焼結対象物を焼結
処理する内熱式電気炉において、ヒータの外側のリフレ
クタと炉壁との間に組み込む遮熱板である。遮熱板は、
ほぼ矩形状でその下辺から中央付近にかけて切込み部5
2が形成され縦方向に2分割されているアルミナ薄板5
0を複数枚積層し、その積層体の上端縁で断面コの字型
の耐熱金属製の抑え部材56で挾み込み、抑え部材の部
分で耐熱性のボルト58とナット60によって締結した
構造をなし、切込み部がヒータリード部を通すように内
熱式電気炉に組み込まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炉体内部にヒータ
とリフレクタを設置する形式の内熱式電気炉において、
ヒータ外側の側部リフレクタと炉壁との間に組み込む遮
熱板に関し、更に詳しく述べると、2分割したアルミナ
薄板を複数枚積層し、耐熱金属製の抑え部材とボルト・
ナットによって締結した構造の内熱式電気炉用遮熱板に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種のセラミックス材料等の焼結工程で
使用する焼結炉の一形式として内熱式電気炉がある。そ
の一例を図1に示す。炉体は、その内部中央に焼結対象
物10を受け入れる焼結空間12を有する。焼結空間1
2の両側部にヒータ(抵抗発熱体)14を設ける。そし
てヒータ14を含む前記焼結空間12を取り囲むように
リフレクタ(側部リフレクタ16、下部リフリクタ1
7、及び上部リフレクタ18)を設置し、更にそれらを
取り囲むように炉壁20が設けられている。なお、焼結
対象物10は、支持部材22上の支持台24に載置され
る。雰囲気ガスが必要な場合には、炉体外部から直接焼
結空間に供給できるようにする。炉体内の焼結対象物1
0は、ヒータ14による輻射熱と、各リフレクタ16,
17,18による反射熱によって加熱され、所定の雰囲
気中で焼結される。従って各リフレクタは、ヒータから
の放熱を効率よく反射して焼結対象物を加熱するととも
に、炉壁を保護する機能を果たしており、そのため耐熱
性の金属(例えば、複数層のモリブデン板と複数層のス
テンレス鋼板とからなる板状積層体)からなる。
【0003】このような内熱式電気炉では、炉体内部に
ヒータを設置することから、それに通電するためのリー
ド部30を炉体外部から導く必要がある。しかし、ヒー
タ14の外側(炉壁との間)には金属製(つまり導電
性)の側部リフレクタ16が介在するため、ヒータリー
ド部近傍では側部リフレクタを大きく切り欠いて、大電
流の短絡を防止する必要がある(図1のX部)。そうす
ると、ヒータからの高温の輻射熱が、リフレクタの大き
な切り欠きの部分を通って、炉壁に直接照射することに
なる。そこで、図2(図1のX部の拡大斜視図)に詳細
に示すように、ヒータ14のリード部30を通し且つ側
部リフレクタ16の大きな切り欠き部分32を塞ぐよう
に、電気絶縁性材料からなる遮熱板34を、側部リフレ
クタ16と炉壁20との間に挿入し、炉壁20を保護す
ることが行われている。
【0004】従来用いられていた遮熱板の一例を図5に
示す。この遮熱板40は、全体がほぼ矩形状をなし、そ
の一辺から中央付近にかけて切込み部42を形成した1
枚のアルミナ板で構成されていた。遮熱板40(アルミ
ナ板)の厚さは例えば10mm程度である。形成する切込
み部42の幅は、ヒータリード部の幅よりも若干大きめ
とし、該ヒータリード部を跨ぐように載せて保持し、ヒ
ータからの高温の輻射熱が極力炉壁へ漏れ出ないように
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来の遮熱板は、炉壁を保護することはできるが、一枚
もので大きく且つ厚いため、ヒータからの輻射熱によ
り、内部に大きな応力が発生し、図6に示すような割れ
44が生じ、その割れ44が電気炉の昇温回数の積み重
ねによって伸展する問題があった。また、高温時に電源
断等が発生した場合には、炉内温度の急激な低下によ
り、遮熱板が割れて、炉内に落下することもあった。
【0006】本発明の目的は、割れが生じ難く、耐用期
間を長くできるようにし、そのためメンテナンスが容易
で、運転コストを低減できるようにした内熱式電気炉用
遮熱板を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、炉体の内部中
央に焼結対象物を受け入れる焼結空間を有し、該焼結空
間の側方にヒータが設けられ、該ヒータを含み前記焼結
空間を取り囲むようにリフレクタが設置されて、前記ヒ
ータからの熱により焼結対象物を焼結処理する内熱式電
気炉で、前記ヒータの外側のリフレクタと炉壁との間に
組み込む遮熱板である。ここで本発明の遮熱板は、ほぼ
矩形状でその下辺から中央付近に向かって切込み部が形
成され且つ縦方向に2分割されているアルミナ薄板を複
数枚積層し、その積層体の端縁で耐熱金属製の抑え部材
で挾み込み、該抑え部材の部分で耐熱性の締結具によっ
て締結した構造をなしている。そして、前記切込み部が
ヒータリード部を通すように内熱式電気炉に組み込む。
【0008】遮熱板は、前述のように、側部リフレクタ
の切り欠きから漏れてくるヒータからの高温の輻射熱
が、炉壁に直接照射しないように遮断する機能を果たす
ものである。ヒータに直面している遮熱板の表面側の中
央部分は高温になり大きく伸びるが、側部リフレクタに
より遮熱される表面側の周辺部分及び裏面の温度は低く
伸びは小さい。因に、ヒータの常用使用温度が約170
0℃の時、側部リフレクタの裏側温度は約800℃であ
る。この伸びの差が応力となり、割れの原因となる。従
来技術のように、遮熱板が、大きく且つ厚い1枚のアル
ミナ板からなる場合には、高温部と低温部の伸びの差が
応力となり、割れが縦方向と横方向に発生する。縦横に
発生した割れは、電気炉の昇温回数の積み重ねによって
徐々に伸展する。また電源断等の異常時には、炉内で急
冷現象が発生するとともに、遮熱板内には熱衝撃が発生
するために、割れが急速に伸展し、炉床に落下すると考
えられる。
【0009】それに対して本発明の遮熱板は、アルミナ
薄板を複数枚積層していて、1枚1枚を薄板化すること
により、表裏の温度差が小さくなり、内部で発生する厚
み方向の熱応力も小さくなり、割れが発生し難くなる。
また各アルミナ薄板は、縦方向の割れを先取りした2分
割構造になっているので、縦方向の熱応力も大幅に低減
でき、この点でも割れが発生し難くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の遮熱板で、アルミナ薄板
は非対称的に切込み部の一方のエッジの位置で2分割
し、それを分割位置が異なるように交互に複数枚(例え
ば3枚程度)積層する構成が好ましい。その積層体の上
端縁で断面コの字型の耐熱金属製の抑え部材で挾み込
み、該抑え部材の部分で耐熱金属製のボルトとナットに
よって締結する。アルミナ薄板の材質としては、多孔質
の低密度アルミナが好ましく、抑え部材及びボルトとナ
ットは、例えば金属モリブデン製とする。
【0011】遮熱板に形成する切込み部の幅は、ヒータ
リード部の幅より若干大きめとし、該切込み部がヒータ
リード部を跨ぐように載せた状態で使用する。
【0012】
【実施例】図3は本発明で用いるアルミナ薄板の一例を
示しており、図4はそれを用いた遮熱板の一実施例の説
明図(Aは正面図、Bは側面図)である。ここで用いた
アルミナ薄板50は、縦110mm、横60mm、厚さ3.
5mmのほぼ矩形状で、その下辺から中央付近にかけて切
込み部52が形成され、該切込み部52の一方のエッジ
の位置で縦方向に2分割され、更に上辺付近の2箇所に
2個のボルト貫通穴54が穿設されている構造である。
アルミナ薄板50としては、三次元網状の気孔形状をも
つ低密度多孔質アルミナ(例えば、材質:アルミナコー
ジェライト、気孔径:10〜35μm、気孔率:65〜
75%)を用いた。
【0013】このアルミナ薄板50を3枚、分割位置が
異なるように交互に積層し、その積層体の上端縁で断面
コの字型の耐熱金属製の抑え部材56を被せて挾み込
み、該抑え部材56の部分で耐熱性のボルト58とナッ
ト60によって締結して組み立てた。
【0014】この遮熱板では、アルミナ薄板の使用によ
り、表裏の温度差を約1/3に小さくでき、遮熱板内部
に発生する厚み方向の熱応力も小さくなり、割れが発生
し難くなった。またアルミナ薄板が予め縦方向で分割さ
れているので、縦方向の熱応力を半減できる。更に、分
割位置をずらしているので、ヒータのリード部に載せた
状態で遮熱板を安定させることができるし、隙間からヒ
ータの輻射熱が炉壁に照射されるのを防止できる。ま
た、低密度多孔質のアルミナを用いたことで、熱衝撃に
対する抵抗力の向上が図れる。これは微細気孔が亀裂の
伸展を阻止するためである。
【0015】これらによって、アルミナ薄板に発生する
熱衝撃を大幅に緩和させることができるため、割れの伸
展、割れによる落下を防止することができた。また、遮
熱板の健全性が確保されることにより、炉壁に対するヒ
ータからの輻射熱の直射が遮断されるため、電気炉の安
全運転が確保できた。
【0016】更に、長期間にわたる使用によって、3枚
のアルミナ薄板のうち、どうしてもヒータに面している
内側(リフレクタ側)のほうが損傷を受け易いが、本発
明では損傷が生じたアルミナ薄板のみを交換し、他の損
傷の少ないアルミナ薄板を使用し続けることもできるの
で、更に長寿命化でき、運転コストの低減を図ることが
できる。
【0017】
【発明の効果】本発明に係る内熱式電気炉用の遮熱板
は、上記のように、複数枚のアルミナ薄板を積層した構
造であるので、アルミナ薄板1枚当たりの表裏の温度差
を小さくでき、熱応力の緩和を図ることができる。また
予め縦方向に2分割している構造としたので、この点で
も応力を緩和(半減化)できる。これらの結果、電気炉
の昇温回数が増加しても、割れの発生や伸展が低減で
き、長寿命化を図ることができ、メンテナンスが容易
で、運転コストを低減できると共に、割れによる落下を
防止することができるため電気炉の安全運転を確保でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】内熱式電気炉の一例を示す縦断面図。
【図2】それに遮熱板が組み込まれている状態を示す説
明図。
【図3】本発明で用いるアルミナ薄板の一例を示す説明
図。
【図4】本発明に係る遮熱板の一実施例を示す説明図。
【図5】従来用いられていた遮熱板(アルミナ板)の説
明図。
【図6】その使用中の状態(ひび割れが入った状態)を
示す説明図。
【符号の説明】
50 アルミナ薄板 52 切込み部 56 抑え部材 58 ボルト 60 ナット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F27B 17/00 F27B 9/34 F27D 1/00 F27D 23/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉体の内部中央に焼結対象物を受け入れ
    る焼結空間を有し、該焼結空間の側方にヒータが設けら
    れ、該ヒータを含み前記焼結空間を取り囲むようにリフ
    レクタが設置されて、前記ヒータからの熱により焼結対
    象物を焼結処理する内熱式電気炉で、前記ヒータの外側
    の側部リフレクタと炉壁との間に組み込む遮熱板におい
    て、 ほぼ矩形状でその下辺から中央付近に向かって切込み部
    が形成され且つ縦方向に非対称的に前記切込み部の一方
    のエッジの位置で2分割されているアルミナ薄板を、そ
    の分割位置が異なるように交互に複数枚積層し、その積
    層体の上端縁で断面コの字型の耐熱金属製の抑え部材で
    挾み込み、該抑え部材の部分で耐熱性のボルトとナット
    からなる締結具によって締結し、前記切込み部がヒータ
    リード部を通すように取り付けられることを特徴とする
    内熱式電気炉用遮熱板。
  2. 【請求項2】 アルミナ薄板が多孔質の低密度アルミナ
    からなり、抑え部材及びボルトとナットが金属モリブデ
    ン製である請求項記載の内熱式電気炉用遮熱板。
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