JP2991900B2 - 放射線硬化性ポリウレタンポリマーエマルジョン組成物及びその製造方法 - Google Patents

放射線硬化性ポリウレタンポリマーエマルジョン組成物及びその製造方法

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JP2991900B2 JP5244828A JP24482893A JP2991900B2 JP 2991900 B2 JP2991900 B2 JP 2991900B2 JP 5244828 A JP5244828 A JP 5244828A JP 24482893 A JP24482893 A JP 24482893A JP 2991900 B2 JP2991900 B2 JP 2991900B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、放射線照射により重合
する放射線硬化性ポリウレタンポリマーエマルジョン及
びその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリウレタン樹脂は、接着
剤、塗料、改質剤等に有用な材料として、広範に使用さ
れて来ている。一方、最近、溶剤系で合成された樹脂は
使用に際して溶剤が大気中に飛散し、環境を汚染し人体
に害を及ぼすので、水溶液又は水性エマルジョン系合成
樹脂が各市場で有益視されてきている。ポリウレタン樹
脂においても、従来の有機溶剤を用いた溶剤タイプに代
わり、水溶性又は水性エマルジョンタイプが接着剤、塗
料等の分野で使用されつつあり、その使用検討も急速に
進んでいる。このように、水溶性又は水性エマルジョン
タイプのポリウレタン樹脂は将来に向かって使用拡大の
方向にあるのが現状である。
【0003】これらに使用されている水溶性又は水性エ
マルジョンの一つとして、直鎖状構造を主体とする比較
的高分子量域の熱可塑性ポリウレタンポリマーを用いた
エマルジョンが挙げられる。これらのエマルジョンは、
ウレタン骨格中にアニオン、カチオン、非イオン等の親
水性基を導入して自己乳化若しくは分散させ、又は疎水
性ポリウレタン樹脂に乳化剤を添加して強制的に水中に
分散するものである。
【0004】一方、近年、各種放射線、例えば、紫外
線、電子線等で重合する放射線硬化性樹脂は、省エネル
ギー、低温、短時間で加工できるという利点を有するた
め、特に塗料業界において急速に需要を伸ばしている。
これらの従来の放射線硬化性樹脂の技術では、非水系タ
イプのものが主流を占めている。これらの放射線硬化性
樹脂は上述のように省エネルギー、低温、短時間加工を
指向するため、その構成成分の100%がこれらの樹脂
成分で構成されており、その主流は中分子量域の放射線
硬化性樹脂と、塗工適性を向上させるための粘度調整用
の多量の単量体の低分子成分、即ちいわゆる反応性希釈
剤モノマーとを含有している。反応性希釈剤モノマーと
して、例えば、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、
アルキルアクリルエステル等を挙げることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の水溶性又は水性のポリウレタンポリマーエマ
ルジョンにあっては、以下のような問題点を有してい
る。
【0006】即ち、前記した従来技術のポリウレタンポ
リマーエマルジョンは比較的高分子量の直鎖の熱可塑性
ポリウレタンを用いているため、例えば、耐熱接着性、
耐溶剤性、耐薬品性等の性能が不十分であり、これらの
性能の向上が望まれているのが現状である。更に、これ
らの従来のポリウレタンポリマーエマルジョンの諸欠点
を改良するため、従来よりトリメチロールメラミン等の
メラミン系、エポキシ系、ブロック化イソシアネート系
等の各種架橋剤の配合が試みられている。その結果、あ
る程度の性能の向上は認められているものの、大半は性
能的に未だ不十分である。また、これらの架橋剤を添加
して架橋を行う場合、架橋剤本体の反応基の反応温度以
上の処理温度を必要とするなどの理由により、乾燥に必
要な温度で高いフィルム強度を有する塗膜を形成するこ
とができるという従来のポリウレタンポリマーエマルジ
ョンの利点が損なわれてしまう。また、被着体材料の耐
熱性を考慮すれば加工条件が制約されると共に、適応で
きる範囲が限られてくる。
【0007】従って、未だ満足できる材料が開発されて
いないのが実状である。
【0008】この性能不足は、主として前記従来技術の
ポリウレタンポリマーエマルジョンがこれらの架橋剤と
反応する官能基を有していないことに起因している。即
ち、従来に於けるこれらの架橋剤による改質は、ポリウ
レタン樹脂とこれらの架橋剤の自己重合体との相互侵入
網目(IPN)のようなポリマー分子の絡まりによるも
のと考えられる。
【0009】よって、乾燥程度のエネルギーで高い強度
の塗膜を形成できるという従来技術のポリウレタンポリ
マーエマルジョンの利点を有し、更に、従来技術の諸欠
点を改良する網状構造を形成する機能を有するポリウレ
タンポリマーエマルジョンが切に望まれており、その存
在は有益である。
【0010】一方、従来技術よりなる放射線硬化性樹脂
にあっては、粘度の調整及び膜厚調整用の低分子量の反
応性希釈剤モノマーを20〜70重量部の割合で中分子
量樹脂成分の他に加える必要があるため、この反応性希
釈剤モノマーの添加による安全管理上の問題、即ち、人
体に有害であるという問題と、反応性希釈剤モノマーの
臭気汚染の問題とを生じている。
【0011】更に、これら低分子量の反応性希釈剤モノ
マーを多量に併用して重合した場合、以下のような問題
点がある。
【0012】硬化したフィルム又は被覆物の多くのも
のは、主として反応性希釈剤モノマーに起因する原料樹
脂固有の臭気を有している。この臭気は非常に煩わしい
問題となっている。
【0013】主剤である中分子量領域の放射線硬化性
樹脂を用いて得られる塗膜の優れた可撓性を著しく阻害
し、塗膜が脆くなるという欠点を生じる傾向を生ずる。
【0014】低分子量の反応性希釈剤モノマーの重合
時に発生する硬化収縮が著しいため、塗膜と被着材料と
の接着不良が起こり易いという問題点を有する。
【0015】上記欠点を低減し又は完全に排除するため
には、化学的及び工業的な処置を施すことが重要な課題
となる。この課題を解決する単純な方法としては、水の
添加によって反応性希釈剤モノマー使用量を低減するこ
とがあげられるが、従来技術に於ける放射線硬化性樹脂
は水に不溶性であるため、少量の水の使用や配合はでき
ても多量に配合することはできない。そのため、この問
題点を抜本的に解決することはできない。この問題点を
解決する化学的方法として、放射線硬化性樹脂の水系化
が非常に望まれているのが現状である。
【0016】一方、特公昭62−22816号公報に
は、これらの問題点に視点をおいたアイオノマーウレタ
ンアクリレート及びその製造方法が開示されている。ま
た、特公平3−166216号公報にも同様にアイオノ
マーウレタンアクリレート及びその製造方法が開示され
ている。
【0017】前者では、まず第一段階で、ヒドロキシア
クリレートと有機ジイソシアネートとを反応させ、次
に、残余のイソシアネート基とポリオール化合物とを反
応させる。その後、水中下でアミノカルボン酸を反応さ
せ、その塩に変換し、残余のイソシアネート基を水又は
ジアミンで鎖伸長化反応する製造方法が、提案されてい
る。
【0018】後者では、まず、ポリオール化合物と、カ
ルボキシル基含有ジオールと有機ジイソシアネートとを
反応させ、次に、ヒドロキシアクリレートを反応させ、
更に、カルボキシル基を塩に変換し、残余のイソシアネ
ート基を水又はジアミンで鎖伸長化反応する製造方法が
提案されている。
【0019】これら公報の製造方法による場合、何れの
方法も、使用するヒドロキシアクリレートは1個のヒド
ロキシル基を有しているのみであり、そのため、各々以
下の問題点を有している。
【0020】前者では、先にモノヒドロキシアクリレ
ートと有機ジイソシアネートとを反応させてイソシアネ
ートの部分アクリレートを合成し、その後、ポリオール
と反応させ、イソシアネートを含有するウレタンアクリ
レートを合成している。そのため、イソシアネートを含
有するウレタンアクリレートの末端は全てイソシアネー
ト基に変換されておらず、部分的に二重結合基となって
いる状態が発生し、更にイソシアネート基数も2個以下
となる場合が発生する。
【0021】このため、最終段階で実施されるイソシア
ネート基と水又はジアミンによる鎖伸長反応において理
想的な高分子量化反応が実現出来ない場合がある。ま
た、理想的な高分子量化反応を実現できる場合にも、ウ
レタン構造の範囲がかなり限定されるという問題点があ
る。
【0022】後者も同様にモノヒドロキシアクリレー
トを使用するためウレタンアクリレートの末端が全てイ
ソシアネート基に変換されておらず、部分的に二重結合
となっている状態が発生し、前者と同様な問題を有して
いる。
【0023】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたものであり、本発明の目的は、特にポリウレ
タンポリマー骨格の機能を十分に発現させるべく一層の
改良を加え、ポリウレタンポリマー骨格を十分に形成さ
せることにより塗膜強度の向上を図り得て、しかも二重
結合の重合が可能な放射線硬化性ポリウレタンポリマー
エマルジョン組成物及びその製造方法を提供することで
ある。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明の放射線硬化性ポ
リウレタンポリマーエマルジョン組成物は、(A)活性
水素を2個以上含有する化合物と、(B)アクリロイル
基、メタクリロイル基及びイソプロペニル基からなる群
から選択される少なくとも1個の基と複数のヒドロキシ
基とを含有する二重結合含有ポリオール化合物と、
(C)有機ポリイソシアートとの反応により得られる、
末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー
の水への乳化分散物であって、該乳化分散物中の前記ウ
レタンプレポリマーの末端イソシアネートを、一級アミ
ノ基及び/又は二級アミノ基を含有するポリアミン化合
物、ジアミン及び/又はトリアミンのケチミン化合物、
並びに水からなる群から選択される化合物を用いて高分
子量化反応させて得られることを特徴とする。
【0025】また、本発明の放射線硬化性ポリウレタン
ポリマーエマルジョン組成物の製造方法は、(A)活性
水素を2個以上含有する化合物と、(B)アクリロイル
基、メタクリロイル基及びイソプロペニル基からなる群
から選択される少なくとも1個の基と複数のヒドロキシ
基とを含有する二重結合含有ポリオール化合物と、
(C)有機ポリイソシアートと、の反応により、末端に
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る
工程と、該ウレタンプレポリマーを水に乳化分散する工
程と、該乳化分散体中の前記ウレタンプレポリマーの末
端イソシアネートを、一級アミノ基及び/又は二級アミ
ノ基を含有するポリアミン化合物、ジアミン及び/又は
トリアミンのケチミン化合物、並びに水からなる群から
選択される化合物を用いて高分子量化反応させる工程
と、を包含することを特徴とする。
【0026】本発明に使用するウレタンプレポリマー
は、末端にイソシアネート基を有し且つ分子内及び/又
は側鎖にアクリロイル基、メタクリロイル基又はイソプ
ロペニル基を含有している。
【0027】活性水素を2個以上含有する化合物として
は、末端及び/又は側鎖に複数のヒドロキシル基を有す
るものを挙げることができる。例えば、エチレンオキサ
イド,プロピレンオキサイド,ブチレンオキサイド等の
アルキレンオキサイドの単独又は共重付加より得られる
ポリエーテルポリオール、低分子量グリコール,トリオ
ール等に前記アルキレンオキサイドが重付加されたポリ
エーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカ
ーボネートポリオール、カプロラクトンポリオール、ポ
リブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリ
オール、シリコンポリオール等があげられる。尚、前記
活性水素を2個以上含有する化合物の分子量は、500
〜5,000の範囲であるのが好ましい。
【0028】尚、必要により、低分子量の1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−
1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチ
ロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール等のグリ
コール、トリオール等を使用しても良い。
【0029】前記二重結合含有ポリオール化合物は、
クリロイル基、メタクリロイル基及びイソプロペニル基
からなる群から選択される少なくとも1個の基と複数の
ヒドロキシ基とを含有している。具体的には、グリセロ
ール,トリメチロールプロパン等のトリオールのモノア
クリレート、モノメタクリレートが挙げられる。また、
ペンタエリスリトール等のテトラオールのモノ又はジア
クリレート、モノ又はジメタクリレートが挙げられる。
更に、前記トリオール、テトラオール等のアルキレンオ
キサイド付加物のモノ又はジ−アクリレート若しくはメ
タクリレートが挙げられる。前記の如く、ヒドロキシル
基を少なくとも2個含有するアクリル酸エステル、メタ
アクリル酸エステル誘導体がその一群としてあげられ
る。
【0030】次に例示するならば、ヒドロキシエチルア
クリレート,ヒドロキシエチルメタクリレート,ヒドロ
キシプロピルアクリレート,ヒドロキシプロピルメタク
リレート等のモノヒドロキシアルキルアクリレート,メ
タクリレート類と、ヘキサメチレンジイソシアネート,
キシリレンジイソシアネート,シクロヘキシルメタンジ
イソシアネート,イソホロンジイソシアネート,トリレ
ンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネー
ト,テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のジイ
ソシアネート類と、トリメチロールプロパン,グリセロ
ール,カプロラクトントリオール,ジエタノールアミ
ン,トエタノールアミン等のトリオール,アミノアルコ
ール類との付加反応生成物が挙げられる。
【0031】この場合、各々のモル比は、前記モノヒド
ロキシアルキルアクリレート、メタクリレート類:前記
ジイソシアネート類:前記トリオール、アミノアルコー
ル類=1:1:1〜1.2であることが好ましい。
【0032】その他に、前記モノヒドロキシアルキルア
クリレート,メタクリレート類と、前記ジイソシアネー
ト類のビュレット化、ヌレート化等の3量体であるトリ
イソシアネート類と、エチレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル
−1,5ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、
ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、
モノエタノールアミン等のグリコール、アミノアルコー
ル類との付加反応生成物が挙げられる。
【0033】この場合、各々のモル比は、前記モノヒド
ロキシアクリレート、メタクリエート類:前記トリイソ
シアネート類:前記グリコール、アミノアコール類=
1:1:2〜2.2であることが好ましい。
【0034】これらの付加反応は、前記モノヒドロキシ
アクリレート類と前記イソシアネート類を反応した後、
前記トリオール、アミノアルコールの付加反応を実施す
る。
【0035】反応温度は、20℃〜80℃の範囲で実施
するのが好ましく、二重結合の重合の防止のため、一般
的に用いられるベンゾキノン、ハイドロキノン、ハイド
ロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン等の重合
禁止剤を添加し、必要に応じてヒドロキシル基とイソシ
アネート基の反応を促進する一般的に用いられるジブチ
ルスズジラウレート、スタナスオクトエート、トリエチ
ルアミン等の反応触媒、更には、イソシアネート基と反
応しない有機溶媒を反応に際し、又は、反応終了後に添
加してもよい。これら有機溶媒としては、アセトン、メ
チルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
酢酸エチル等がある。
【0036】以上により、少なくともヒドロキシル基を
2個有するアクリレート、メタクリエートのウレタン化
物であるアクリロイル基、メタクリロイル基含有ポリオ
ール化合物が得られる。
【0037】その他の二重結合含有ポリオール化合物の
例示としては、化2の構造式で示されるm−イソプロペ
ニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、又は
化3の構造式で示されるメタクリロイルイソシアネート
等と、前記トリオール類、ジエタノールアミン、トリエ
タノールアミン等のアミノアルコールとの付加反応生成
物が挙げられる。この場合、各々のモル比は、前記例示
化1〜化3のイソシアネート類:前記トリオール、アミ
ノアルコール類=1:1〜1.2で実施され、これらの
付加反応は、前述記載の反応操作と同様に実施される。
【0038】
【0039】
【化2】
【0040】
【化3】
【0041】次に、本発明に用いられる前記有機ポリイ
ソシアネート化合物としては、従来より慣用されている
芳香族、脂肪族又は脂環族の有機ポリイソシアネートが
使用される。例えば、トリレンジイソシアネート、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、水添加キシリレ
ンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシ
アネート等の有機ポリイソシアネート又はこれらの混合
物があげられる。
【0042】
【0043】これらの活性水素を2個以上含有する化合
物と前記二重結合含有ポリオール化合物と過剰量の前記
有機ポリイソシアネートとの反応は、アクリロイル基、
メタクリロイル基又はイソプロペニル基の二重結合の重
合防止を考慮して50〜80℃の温度条件下で行うのが
好ましい。この際、アクリロイル基又はメタクリロイル
基又はイソプロペニル基の重合を防止するため、ベンゾ
キノン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ
ーテル、フェノチアジンなどの重合禁止剤を用いたり、
乾燥空気を導入しても良い。更に、必要に応じて、ヒド
ロキシル基とイソシアネート基の反応を促進する一般的
に用いられるジブチルスズジラウレート、スタナスオク
トエート、トリエチルアミン等の反応触媒を用いても良
い。
【0044】また、反応系の粘度に応じて、反応系が円
滑に攪拌し得るようにイソシアネート基と反応しない有
溶媒を添加しても良く、これら有機溶媒としては、ア
セトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン、酢酸エチルトルエン等があげられる。
【0045】また、必要に応じて、反応に際し又は反応
終了後に、酸化防止剤等の安定剤を添加することも出来
る。
【0046】ここで得られるウレタンプレポリマーの末
端のイソシアネート基含有量は、5.0〜0.3重量%
が好ましく、4.0〜0.3重量%がより好ましく、
3.0〜1.0重量%が更に好ましい。
【0047】末端イソシアネート基含有量が5.0重量
%より多いと、後述する水又はポリアミン又はケチミン
化合物との反応に際して、乳化破壊してゲル化するか、
又はエマルジョン組成物の安定性及び経時安定性が不良
となる。末端イソシアネート基含有量が0.3重量%よ
り少ないと、後述する水、ポリアミン又はケチミン化合
物との高分子量化反応を実施してもポリウレタンポリマ
ー骨格の大きな塗膜強度、耐薬品性等の物性を発現でき
ず、好ましくない。
【0048】ここで使用される前記二重結合含有ポリオ
ール化合物の使用量は、本発明の放射線硬化性ポリウレ
タンポリマーエマルジョン組成物の大きな塗膜強度、耐
薬品性等の物性を発現するために、また、後述する他の
希釈剤モノマーを併用した場合に大きな塗膜強度、耐薬
品性等の物性を発現するために、少なくとも樹脂固形物
100g当たり臭素価1.0g以上の二重結合数を含有
するように設計することが好ましい。
【0049】臭素価1.0gより低い値となるように前
記二重結合含有ポリオール化合物の二重結合成分量を設
計すると、樹脂自体の硬化物性、即ち硬化後の塗膜の強
度はもちろんのこと、後述する他の希釈剤モノマーと併
用した場合の塗膜強度等の物性も不充分となり、好まし
くない。
【0050】以上により、分子末端にイソシアネート基
を有し且つ分子内及び/又は側鎖にアクリロイル基、メ
タクリロイル基及びイソプロペニル基からなる群から選
択される少なくとも1個の基を含有するウレタンプレポ
リマー(以下、「ウレタンプレポリマー」と称する)が
得られる。
【0051】次に、前記ウレタンプレポリマーは、水中
に乳化、分散される。その方法として以下の方法が採用
できる。
【0052】前述のウレタンプレポリマー調整段階で
予め分子内にカルボキシル基含有のポリオール成分、例
えば、ジメチロールプロピオン酸等と有機ポリイソシア
ネートとの反応によりカルボキシル基を導入しておき、
そのカルボキシル基をトリエチルアミン、トリメチルア
ミン、ジエタノールモノメチルアミン、ジエチルエタノ
ールアミン、苛性ソーダ、水酸化カリウム等の塩基性化
合物で中和してカルボキシル基の塩類に変換する方法。
【0053】前述のウレタンプレポリマー調整段階で
予め分子内に3級アミノ基含有ポリオール成分、例え
ば、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールア
ミン等と有機ポリイソシアネートとの反応により3級ア
ミノ基を導入しておき、その3級アミノ基を、ギ酸、酢
酸等の有機酸、リン酸、塩酸、硫酸等の無機酸、ジエチ
ル硫酸、ハロゲン化アルキル等の四級化剤等を反応さ
せ、3級アミン塩又は四級アミン塩の形に変換する方
法。
【0054】前述のウレタンプレポリマー調整段階
で、予め分子内にオキシエチレン鎖を5〜20重量%含
有させておき、且つ、HLB値6〜18の非イオン活性
剤をウレタンプレポリマー調整後50℃以下で添加混合
する方法。
【0055】但し、この活性剤の使用量は、乳化分散
性、得られる皮膜の耐水性等を考慮して、ウレタンプレ
ポリマーに対して2〜15重量%であることが好まし
い。
【0056】前述のウレタンプレポリマー調整後、末
端イソシアネート基の50〜5%より好ましくは、30
〜5%に相当するアミノエタンスルホン酸、アミノ酢酸
等のナトリウム塩、カリウム塩水溶液を、5〜50℃好
ましくは20〜40℃で、60分間反応させる方法等が
あげられる。
【0057】前記の何れかの操作を実施した
後、水を加え、ホモミキサー、ホモジナイザー等の乳化
分散装置を用いて乳化分散を行う。尚、乳化分散を行う
場合、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基と
水との反応を抑制する意味で、乳化分散温度は低温が好
ましく、5〜40℃、好ましくは5〜30℃の範囲で、
より好ましくは5〜20℃の範囲で実施される。
【0058】次に、分子末端イソシアネート基を有する
前記ウレタンプレポリマーを、エマルジョン中で高分子
量化反応させる。その方法としては、以下の方法が採用
出来る。 末端イソシアネート基と水との反応により尿素結合を
生成しながら、高分子量化反応を実施する方法。 末端イソシアネート基とジアミン、トリアミン等のポ
リアミンとの反応により尿素結合を生成しながら高分子
量化反応を実施する方法。 末端イソシアネート基とケチミン化合物との反応によ
り、尿素結合を生成しながら高分子量化反応を実施する
方法。
【0059】上記の場合、前述の乳化操作を実施した
後、末端イソシアネート基とポリマーエマルジョン組成
物中に含まれる水との反応により尿素結合が生成され
る。この反応は、乳化系温度5〜40℃、好ましくは1
5〜30℃の範囲で、通常30〜120分間行われる。
【0060】上記で使用するポリアミンとしてジアミ
ン及びトリアミン等が挙げられ、具体的には、分内中に
一級アミノ基又は/及び二級アミノ基を2個有するもの
として、例えば、エチレンジアミン、ピペラジン、N−
アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジシク
ロヘキシルジアミン、ヘキサメチレンジアミン、その他
ヒドラジン等が挙げられ、一級アミノ基及び/又は二級
アミノ基を3個有するものとして、例えば、ジエチレン
トリアミン、エチレンイミンよりなる低分子トリアミン
があげられる。
【0061】これらのジアミン、トリアミン化合物は、
(前記ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基の
モル数)/(前記ポリアミン化合物の一級及び/又は二
級アミノ基のモル数)の比=1/1〜1/0.7の割合
となるように使用量を決めるのが好ましい。この比が、
特に1/1より小さい(アミノ基のモル比が大きい)と
有効な高分子量化が阻害される傾向、又は乳化系が破壊
する傾向となり好ましくない。
【0062】ここでの反応は、均一な反応を行うために
ホモミキサー、ホモジナイザー等の乳化、分散装置が用
いられる。また、急激な反応、局部的な反応による乳化
破壊等が原因で生じるゲル化、後の製品安定性、経時安
定性を考慮して、5〜40℃好ましくは、5〜30℃、
より好ましくは5〜20℃の温度範囲で反応が行われ、
通常10〜60分間をかけてジアミン、トリアミンの高
分子量化反応が実施される。
【0063】上記で使用するケチミン化合物として
は、前記例示のジアミン、トリアミンの一級アミノ基と
イソブチルケトン等との間で脱水生成されたケチミン化
合物があげられる。
【0064】これらケチミン化合物の使用量は、加水分
解により生成する一級アミノ基及び含有する二級アミノ
基のモル数と、末端イソシアネート基のモル数とが、前
述のと同様となるように設定される。反応温度、時間
及び操作方法も、前述のと同様に実施される。
【0065】以上の反応により、本発明の放射線硬化性
ポリウレタンポリマーエマルジョン組成物が得られる。
【0066】
【作用】本発明の放射線硬化性ポリウレタンポリマーエ
マルジョン組成物及びその製造方法における特徴は、重
合性二重結合の導入にアクリロイル基、メタクリロイル
基又はイソプロペニル基を含有する二重結合含有ポリオ
ール化合物を使用することにある。活性水素を2個以上
含有する化合物と、重合性二重結合含有ポリオールと、
過剰量の有機ポリイソシアネートとの反応により、前記
重合性二重結合は、ポリウレタン骨格の分子内及び/又
は側鎖に導入されるため、分子末端が全てイソシアネー
ト基となる。従って、モノヒドロキシアルキルアクリレ
ート等を使用する従来技術の問題点である分子末端が二
重結合成分に一部変換され全てイソシアネート基に変換
されないという問題点が生じない。従って、本発明の最
終反応であるイソシアネート基とアミン等による高分子
量化が十分に行われ、ポリウレタン骨格が十分に形成さ
れないことに起因する最終硬化物の強度不足も改良され
る。
【0067】本発明の放射線硬化性ポリウレタンポリマ
ーエマルジョン組成物は水性エマルジョンであるため、
希釈媒体に水を使用することが出来る。従って、粘度管
理及び膜厚調整を容易に行うことができる。即ち、従来
技術よりなる放射線硬化性樹脂が抱えている、粘度管理
及び膜厚調整のため併用されている反応性希釈剤モノマ
ーから起こる硬化後のモノマー固有の臭気の残留の問
題、樹脂硬化収縮に起因する被着材料への接着性不足の
問題等を解決することが可能となる。
【0068】本発明の放射線硬化性ポリウレタンポリマ
ーエマルジョン組成物は、繊維編物、織物、不織布、
木、紙、皮革、金属、プラスチック等に、合浸、コーテ
イング等することにより使用することができ、更に塗料
インキ用ビヒクル等の広範囲の用途に利用出来る。
【0069】また、硬化皮膜の硬度を高める必要がある
場合には、本発明の放射線硬化性ポリウレタンポリマー
エマルジョン組成物に水溶性の反応性希釈剤モノマーを
併用使用することが出来る。水溶性の反応性希釈剤モノ
マーとして、例えばジメチルアクリルアミド、ビニルピ
ロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール
のジアクリレート、低分子ポエチレングリコールのジア
クリレート等を挙げることが出来る。
【0070】また、本発明の放射線硬化性ポリウレタン
ポリマーエマルジョン組成物は、高分子量化が十分に行
われたポリウレタン骨格を含有しているため、乾燥によ
り従来技術の通常のポリウレタンエマルジョンと同程度
の塗膜強度、耐薬品性等の物性を発現する。そのため、
例えば、従来技術の紫外線硬化型塗料のプライマー剤と
して使用することができる。即ち、本発明のエマルジョ
ン組成物を各種基材に塗付し乾燥し、その後、従来技術
の紫外線硬化型塗料を塗付して、紫外線照射により硬化
させることにより、塗膜の接着性向上を図ることができ
る。
【0071】更に、本発明で得られる放射線硬化性ポリ
ウレタンポリマーエマルジョン組成物は、他の水系樹脂
エマルジョンと併用することができる。例えば、一般の
ポリウレタンエマルジョン、酢酸ビニル、エチレン酢ビ
共重合体、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン及び天
然ゴム、SBR、NBR等の合成ゴムラテックスと併用
し改質剤として使用することができる。
【0072】また、本発明で得られる放射線硬化性ポリ
ウレタンポリマーエマルジョン組成物に前記水溶性の反
応性希釈剤モノマーを併用した系を前記他の水系樹脂エ
マルジョンに加え、改質剤として使用することも有用で
ある。
【0073】更に、本発明で得られる放射線硬化性ポリ
ウレタンポリマーエマルジョン組成物は、紫外線照射に
よる硬化以外に、電子線照射による硬化、熱処理による
硬化等にも適応出来る。特に熱処理による硬化において
は、オリゴマーレベルの分子量を有するウレタンアクリ
レート等に比較して、本発明のエマルジョン組成物によ
れば十分な硬化が達成される。これは、本発明組成物が
ポリウレタンポリマー骨格を有するため、乾燥による皮
膜形成に際し、空気(酸素)による二重結合の硬化抑制
が防止されているためと考えられる。
【0074】
【発明の効果】本発明に係る放射線硬化性ポリウレタン
エマルジョン組成物は、以下のような特有の効果を有し
ている。
【0075】水性のエマルジョンであるため、塗付膜
厚等の調整のための粘度調整を水の添加で行うことが可
能となる。
【0076】物性面よりみて、ポリウレタン骨格が十
分に形成され、従って高分子量化が達成されているた
め、乾燥のみで一般的に得られるポリウレタンエマルジ
ョンと同等の塗膜強度、耐薬品性等の物性を発現し、更
に放射線重合により、一層優れた物性を発現するという
特徴を有する。
【0077】従来のヒドロキシアクリレートに代えて
二重結合含有ポリオールを使用するため、ポリウレタン
構造の設計の際の自由度が大きくなり、従って、種々の
用途での性能要求に対応できる。
【0078】本発明の放射線硬化性ポリウレタンポリマ
ーエマルジョン組成物の製造方法は、以下の特徴を有し
ている。即ち、 活性水素を2個以上含有する化合物と、アクリロイル
基、メタクリロイル基、又はイソプロペニル基を含有す
る二重結合含有ポリオール化合物と、有機ポリイソシア
ネートとの反応により、ウレタン分子内及び/又は側鎖
にアクリロイル基、メタクリロイル基、又はイソプロペ
ニル基を含有するウレタンプレポリマーの末端がイソシ
アネート基に全て変換される。これにより、最終工程で
実施される高分子量化を十分に行うことができる。
【0079】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、
後述する実施例、実験例、比較例及び比較実験例中の
「部」及び「%」は、特に断らない限り、各々重量部及
び重量%を示す。
【0080】(実施例1)ポリエーテルポリオール(P
O/EO=90/10、分子量2,000)300部、
トリメチロールプロパン13.0部、ポリエチレングリ
コール(分子量600)35部、ポリエーテルポリオー
ル(PO/EO=30/70、ランダム共重合物、分子
量3,400)35部、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール93部、グリセロールモノメタクリエート(水酸
基価( OH・V) =678,分子量165.4)36
部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.4部
を、酢酸エチル300部に溶解した。温度50℃の条件
下で、イソホロンジイソシアネート310部、ジブチル
スズジラウレート0.08部を添加して、75℃の条件
下で3時間反応を実施し、末端イソシアネート基1.8
%(対固型分)を有するウレタンポリマーを得た。
【0081】次に、系内温度50℃の条件下で非イオン
界面活性剤(ジスチレン化フェノールのエチレンオキサ
イド重付加体、HLB=15)55部を添加混合した
後、ホモミキサー(回転数4,000rpm)中で、攪
拌下イオン交換水1,200部を少しづつ添加して、系
内温度30℃の条件下で乳化を実施した。
【0082】次に系内温度25℃に冷却して、エチレン
ジアミン水溶液97.4部(10%濃度水溶液)を5分
間をかけて滴下し、その後、継続して、ホモミキサーを
用いて4,000rpmでポリマー化と分散操作を60
分間実施した。
【0083】次に、エバポレーターを使用して加温し、
温水60℃の条件下で、使用した酢酸エチル溶剤を90
分かけて減圧回収した。
【0084】以上により、固型分40%の白色液状の放
射線硬化性ポリウレタンポリマーエマルジョン組成物を
得た。この組成物の二重結合量を示す臭素価(Br・
V)は3.90(固形分100g当り換算値)である。
【0085】(実施例2)ポリエーテルポリオール(P
O/EO=90/10、分子量2,000)300部、
トリメチロールプロパン12.9部、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール92.0部、グリセロールモノメタ
クリエート36.0部、及びハイドロキノンモノメチル
エーテル0.38部を、酢酸エチル300部に溶解し
た。系内温度50℃の条件下でイソホロンジイソシアネ
ート、333部とジブチルスズジラウレート0.04部
を添加して、75℃の条件下60分間反応を実施して、
末端イソシアネート基3.8%(対固型分)を有するウ
レタンプレポリマーを得た。
【0086】次に、系内温度50℃の条件下で、ジメチ
ロールプロピオン酸26部、ジブチルスズラウレート
0.04部を添加して、75℃の条件下300分間反応
を実施して、末端イソシアネート基1.60%(対固型
分)を有するウレタンプレポリマーを得た。
【0087】次に、トリエチルアミン19.6部を添加
して、系内温度50℃の条件下で15分間混合して中和
反応を実施した。
【0088】次に、イオン交換水1,100部を添加し
て、ホモミキサーで回転数4,000rpmの攪拌下で
乳化を実施した。
【0089】次に、系内温度20℃の条件下で、エチレ
ンジアミン水溶液96.0部(10%濃度水溶液)を5
分間かけて滴下し、その後、ホモミキサーを用いて40
00rpmでポリマー化と分散操作を60分間実施し
た。
【0090】次に、エバポレーターを使用して加温し、
温水60℃の条件下で、使用した酢酸エチル溶剤を90
分かけて減圧回収した。
【0091】以上により固型分40%、白色液状の放射
線硬化性ポリウレタンポリマーエマルジョン組成物を得
た。組成物の二重結合量を示す臭素価(Br・V)は
4.30(固型分100g当り換算値)である。
【0092】(実施例3)ポリエステルポリオール(ブ
チレンアジペート、分子量2,000)300部、トリ
メチロールプロパン12.9部、ポリエチレングリコー
ル(分子量600)35部、ポリエーテルポリオール
(PO/EO=30/70、ランダム共重合物、分子量
3,400)35部、グリセロールモノメタクリエート
(水酸基価(OH・V) =678、分子量165.4)
80部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.3
部を、酢酸エチル300部に溶解した。次に、50℃の
条件下でヘキサンメチレンジイソシアネート164部、
ジブチルスズジラウレート0.01部を添加した。
【0093】温度75℃の条件下で、180分間反応を
実施し、末端イソシアネート基1.80%(対固型分)
を有するウレタンプレポリマーを得た。
【0094】次に系内50℃の条件下で、非イオン界面
活性剤(ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド
重付加体、HLB=15)50部を添加して15分間混
合した。
【0095】次に、ホモミキサーを用いて4,000r
pmで攪拌下、イオン交換水1,000部を少しづつ加
え、30℃の条件下で、乳化を実施した。
【0096】次に、ヒドラジン水和物7.5部とイオン
交換水63部を混和した水溶液を加え、25℃の条件下
でポリマー化と分散操作を90分間実施した。
【0097】次に、エバポレーターを使用して加温し、
温水60℃の条件下で、使用した酢酸エチル溶剤を90
分間かけて減圧回収した。
【0098】以上により、固型分40%、白色液状の放
射線硬化性ポリウレタンポリマーエマルジョン組成物を
得た。
【0099】尚、この組成物の二重結合量を示す臭素価
(Br・V)は11.5(固型分100g当り換算値)
である。
【0100】(実施例4)ポリエーテルポリオール(P
O/EO=90/10、分子量2,000)300部、
トリメチロールプロパン12.9部、ポリエチレングリ
コール(分子量600)35部、ポリエーテルポリオー
ル(PO/EO=30/70、ランダム共重合物、分子
量3,400)35部、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール92.5部、後述する手順で別途調整したウレタ
ンアクリレートジオール酢酸エチル溶液137部(固型
分60%、水酸基価( OH・V) =176)、及びハイ
ドロキノンモノメチルエーテル0.4部を、酢酸エチル
300部に溶解した。次に、イソホロンジイソシアネー
ト287部、ジブチルスズジラウレート0.08部を添
加して、その後、75℃の条件下で170分間反応を実
施し、末端イソシアネート基1.60%(対固型分)を
有するウレタンプレポリマーを得た。
【0101】次に、50℃の条件下で、非イオン界面活
性剤(ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド重
付加体、HLB=15)59部を添加混合した。
【0102】次に、ホモミキサーを用い、4,000r
pmにて、イオン交換水1,600部を添加して、30
℃の条件下で、乳化を実施した。
【0103】次に、エチレンジアミン水溶液115部
(10%濃度)を20℃の条件下で加え、その後、ホモ
ミキサーを用いて4,000rpmでポリマー化と分散
操作を60分間実施した。
【0104】次に、実施例3と同様に溶剤回収をした。
【0105】以上により、固型分35%、白色液状の放
射線硬化性ポリウレタンポリマーエマルジョン組成物を
得た。この組成物の二重結合量を示す臭素価(Br・
V)は2.23(固型分100g当り換算値)である。
【0106】〈ウレタンアクリレートジオールの調製〉 イソホロンジイソシアネート222部を酢酸エチル42
0部に溶解して、ジブチルスズジラウレート0.03
部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部を
添加した。
【0107】次に、系内温度60℃の条件下で、ヒドロ
キシエチルアクリレート120部を、90分間かけて滴
下した。次に、70℃の条件下で120分間反応を実施
して、末端イソシアネート基12.5%(対固型分)の
ウレタンアクリレートを得た。
【0108】次に、カプロラクトントリオール(分子量
300)310部を添加して、70℃の条件下で反応を
実施して、イソシアネート基が完全に消失したことを確
認した。
【0109】以上により、ウレタンアクリレートポリオ
ールが調整された。得られたウレタンアクリレートポリ
オールの水酸基価( OH・V) は176であった。
【0110】(比較例1)ポリエーテルポリオール(P
O/EO=90/10、分子量2,000)300部、
トリメチロールプロパン12.9部、ポリエチレングリ
コール(分子量600)、ポリエーテルポリオール(P
O/EO=30/70、ランダム共重合物、分子量3,
400)35部、1,4−シクロヘキサンジメタノール
129部、ヒドロキシエチルアクリレート35部、及び
ハイドロキノンモノメチルエーテル0.4部を、酢酸エ
チル300部に溶解した。次にイソホロンジイソシアネ
ート360部、ジブチルスズジラウレート0.08部を
添加して、75℃の条件下で250分間反応を実施し
て、イソシアネート基1.90%(対固型分)を有する
ウレタンプレポリマーを得た。
【0111】次に、50℃の条件下で、非イオン界面活
性剤(ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド重
付加体、HLB=15)61部を添加混合した。
【0112】次に、ホモミキサーを用い、4,000r
pmにて、イオン交換水1,300部を添加して、乳化
を実施した。
【0113】次に、エチレンジアミン水溶液110部
(10%濃度)を25℃の条件下で添加して、その後、
ホモミキサーを用いて4,000rpmでポリマー化と
分散操作を60分間実施した。
【0114】次に、実施例3と同様に溶剤回収をした。
【0115】以上により、従来技術によるヒドロキシエ
チルアクリレートを使用した固型分40%、白色液状の
ポリウレタンアクリレートエマルジョン組成物が得られ
た。
【0116】この組成物の二重結合量の二重結合量を示
す臭素価(Br・V)は3.9(固型分100g当り換
算値)である。
【0117】(実験例1〜10)実施例1〜4で調整し
た放射線硬化性ポリウレタンエマルジョン組成物を用
い、実験例5〜10の場合には化4に示す光増感剤を添
加配合し、塗膜を調整した。各実験例に使用する塗膜
は、テフロン板上に塗布して一夜室温で乾燥し、更に6
0℃で2時間乾燥することにより調製した。実験例5〜
10の場合は、更にその後、高圧水銀燈(照射強度80
W/cm、照点距離8cm)を用いて紫外線照射して光
重合を行った。各塗膜の膜厚は200ミクロンである。
【0118】
【化4】
【0119】硬化後の塗膜の物性を、後述する方法で測
定した。その結果を表1に示す。表1には光増感剤を全
く添加しない場合も示した。なお、光増感剤は、化4に
示す光増感剤/ポリオキシエチレンアリルフェノールエ
ーテル型非イオン界面活性(HLB=15)/水=10
部/8部/82部の配合水溶液として添加した。
【0120】(比較実験例1〜3)比較例1で得られた
従来技術の放射線硬化性ポリウレタンエマルジョンを用
い、比較実験例1の場合は実験例1〜4と同様に、比較
実験例2,3の場合は実験例5〜10と同様に光増感剤
を添加して光重合を実施し、塗膜を得た。硬化後の塗膜
物性を測定し、その物性測定結果を表1に併せて示す。
【0121】
【表1】
【0122】表1に示した物性のうち、強度、伸度、1
00%モジュラス(100%MO)及び200%モジュ
ラス(200%MO)は、JIS−K−6301に従
い、引張り試験機(島津製作所(株)製オートグラフ)
を用い、引っ張り速度100mm/minで測定した。
【0123】耐溶剤性は、酢酸エチル/トルエン=1/
1の溶剤に2×4cmの皮膜片を浸漬し、20℃で24
時間浸漬後の皮膜面積の浸漬前の皮膜面積に対する膨張
率(%)により測定した。膨張率は下記の式(1)によ
って求められる。膨張率の数値が小さいほど耐溶剤性に
優れていることを示す。 皮膜膨張率=100×(浸漬後の面積−初期面積)/
(初期面積)…(1) 耐水性は、70℃の温水に2×4cmの皮膜片を浸漬
し、70℃で24時間浸漬後の皮膜面積の膨張率により
測定した。膨張率は上記の式(1)によって求められ
る。膨張率の数値が小さいほど耐水性に優れていること
を示す。
【0124】以下の結果、上記各実施例の放射線硬化性
ポリウレタンエマルジョン組成物を用い、光増感剤の添
加と光重合を行った実験例5〜10の塗膜は、対応する
実験例1〜4の塗膜と比較し、明らかにフィルム強度、
伸度、モジュラス、耐溶剤性、及び耐水性が向上してい
る。
【0125】更に、光増感剤無添加の実験例1〜4の塗
膜は、一般的なポリウレタンエマルジョンから作製した
比較実験例1の塗膜と同等又はそれ以上の上記物性を発
現している。
【0126】以上の如く、上記各実施例の放射線硬化性
ポリウレタンエマルジョン組成物に含まれるポリウレタ
ンは、高分子量化が十分に行われているため、これを用
いた塗膜は、乾燥のみで一般的なポリウレタンエマルジ
ョンから調製された塗膜と同様な物性を発現し、且つ光
重合により一層優れたフィルム強度等の物性を発現す
る。
【0127】一方、ヒドロキシアクリレートを使用する
従来技術の放射線硬化性ポリウレタンエマルジョンは、
十分に高分子量化が行われていないため、乾燥のみでは
ウレタン皮膜として物性は極めて低い。また、光重合に
よっても物性は向上するものの、明かに低いものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−102917(JP,A) 特開 平2−294320(JP,A) 特開 平3−17113(JP,A) 特開 平4−91162(JP,A) 特開 昭62−22816(JP,A) 特開 平5−155975(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)活性水素を2個以上含有する化合
    物と、(B)アクリロイル基、メタクリロイル基及びイ
    ソプロペニル基からなる群から選択される少なくとも1
    個の基と複数のヒドロキシ基とを含有する二重結合含有
    ポリオール化合物と、(C)有機ポリイソシアネート
    の反応により得られる、末端にイソシアネート基を有し
    該イソシアネート基の含量が3.0〜1.0重量%であ
    ウレタンプレポリマーの水への乳化分散物に対し、 該乳化分散物中の前記ウレタンプレポリマーの末端イソ
    シアネートを、一級アミノ基及び/又は二級アミノ基を
    含有するポリアミン化合物並びにジアミン及び/又はト
    リアミンのケチミン化合物からなる群から選択される化
    合物を用いて高分子量化反応させて得られることを特徴
    とする放射線硬化性ポリウレタンポリマーエマルジョン
    組成物。
  2. 【請求項2】 (A)活性水素を2個以上含有する化合
    物と、(B)アクリロイル基、メタクリロイル基及びイ
    ソプロペニル基からなる群から選択される少なくとも1
    個の基と複数のヒドロキシ基とを含有する二重結合含有
    ポリオール化合物と、(C)有機ポリイソシアネート
    と、の反応により、末端にイソシアネート基を有し該イ
    ソシアネート基の含量が3.0〜1.0重量%である
    レタンプレポリマーを得る工程と、 該ウレタンプレポリマーを水に乳化分散する工程と、該乳化分散物 中の前記ウレタンプレポリマーの末端イソ
    シアネートを、一級アミノ基及び/又は二級アミノ基を
    含有するポリアミン化合物並びにジアミン及び/又はト
    リアミンのケチミン化合物からなる群から選択される化
    合物を用いて高分子量化反応させる工程と、 を包含することを特徴とする放射線硬化性ポリウレタン
    ポリマーエマルジョン組成物の製造方法。
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