JP2991626B2 - 辛味抑制剤及び辛味が抑制された食品 - Google Patents

辛味抑制剤及び辛味が抑制された食品

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JP2991626B2 JP6337319A JP33731994A JP2991626B2 JP 2991626 B2 JP2991626 B2 JP 2991626B2 JP 6337319 A JP6337319 A JP 6337319A JP 33731994 A JP33731994 A JP 33731994A JP 2991626 B2 JP2991626 B2 JP 2991626B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、辛味抑制剤及び辛味が
抑制された食品に関する。特に、本発明は、辛味を有す
る食品に添加することにより辛味を効果的に抑制できる
辛味抑制剤及びこれにより辛味が抑制された食品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】辛味は、特有の刺激や風味をもたらす味
としてうま味などと共に食品には欠かせないものとなっ
ている。一般に辛味成分には、食品に対して例えば、か
らし類の辛味成分のように肉類や魚介類の品質劣化遅
延、腐敗防止効果があったり、また人体に対しては、こ
れを摂取することで食欲を増進させたり、体温を上昇さ
せ、発汗作用を促すなどの生理活性を高めるなどの効果
があることは良く知られている。特に辛味に対する生理
現象については、例えば、辛味成分の摂取による体脂肪
の低下(Kawada,T.,Watanabe,T.,Iwai,K.,et al.,J.Nut
ri.,116,1272,1986,木村繁、香辛料成分の食品機能、光
生館、165,1989)、エネルギー代謝の増大(He
nry,C.K.and Emery,B.,Hum.Num.Clin.Nutr.,40c,165,19
86)など多数の研究が報告されている。このように、辛
味成分は食品全般、またヒトの健康維持に重要な役割を
果たしている。また近年食生活の洋風化、多様化が進
み、又加工食品の増大にともない辛味成分の消費量は年
々増加しており、それに伴い辛味成分の用途も拡大して
いる。
【0003】しかしながら、好ましい風味付けのために
辛味成分を多量に使用する場合や辛味成分の持つ防腐作
用を利用するために通常量より多量の辛味成分を用いる
場合、あるいは健康管理などの生理効果を高める目的で
多量の辛味成分を摂取する場合には、辛味成分自身の強
い刺激は、その使用に際して障害となる。
【0004】わさび、からし類などの辛味を抑制するた
めに、糖類、多価アルコール、サイクロデキストリン、
あるいは食用油(特公昭54−14657号公報、特公
平5−82186号公報)などを用いる方法が提案され
ている。しかしながら、これらのものは一般に辛味抑制
作用は小さく、特に糖類などはその効果を充分に発揮さ
せる程の添加量とするとその食品自体の味を変えてしま
ったり、またサイクロデキストリンなどは辛味成分の本
来有する風味付け、防腐、あるいは生理活性効果などを
も弱めてしまうなどの問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、風味
付け、防腐の目的で辛味成分を食品に多量に添加する場
合や、健康維持、管理などの目的で辛味成分を多量に摂
取する場合などにおいてもその辛味成分の持つ風味付
け、防腐、あるいは生理活性効果などの特性が失われる
ことなく辛味を抑制し、その食品を食べ易くすることが
可能な辛味抑制剤及び辛味の抑制された食品を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸性リン脂質
もしくはそのリゾ体を20重量%以上含有する脂質混合
物からなる辛味抑制剤にある。本発明は、ホスファチジ
ン酸もしくはリゾホスファチジン酸を5重量%以上含有
する脂質混合物からなる辛味抑制剤にもある。
【0007】また本発明は、酸性リン脂質もしくはその
リゾ体が辛味を有する食品にその全量に対して0.00
1〜30重量%添加されて辛味が抑制された食品にもあ
る。
【0008】本発明は、以下の態様であることが好まし
い。 (1)酸性リン脂質及びそのリゾ体が、ホスファチジル
セリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトー
ル、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、及
びこれらのリゾ体からなる群より選ばれるものである。 (2)酸性リン脂質もしくはリゾ体が脂質混合物中に存
在し、その脂質混合物中の中性脂質の存在量が30重量
%以下(更に好ましくは、25重量%以下、特に20重
量%以下)である。
【0009】(3)酸性リン脂質もしくはそのリゾ体が
脂質混合物中に存在し、その脂質混合物中の酸性リン脂
質もしくはそのリゾ体が、その脂質混合物中に20重量
%以上(更に好ましくは40重量%以上、特に60重量
%以上、最も好ましくは70重量%以上)含まれてい
る。 (4)酸性リン脂質もしくはそのリゾ体が、ホスファチ
ジン酸もしくはリゾホスファチジン酸であり、ホスファ
チジン酸及び/又はリゾホスファチジン酸が脂質混合物
中に5重量%以上(更に好ましくは20重量%以上、特
に好ましくは50重量%以上)存在している。 (5)酸性リン脂質もしくはそのリゾ体が脂質混合物中
に存在し、かつ脂質混合物中の中性リン脂質の存在量が
該リン脂質の含有量の2倍以下(更に好ましくは1/2
以下、特に、1/5以下、最も好ましくは1/50以
下)である。
【0010】(6)酸性リン脂質もしくはそのリゾ体
が、辛味を有する食品にその全量に対して0.01〜1
0重量%(更に好ましくは0.05〜1重量%)添加さ
れている。
【0011】以下に、本発明の辛味抑制剤について説明
する。本発明の辛味抑制剤は、酸性リン脂質もしくはそ
のリゾ体を有効成分とするものである。酸性リン脂質と
は、生理的食塩水(pH7.0)中で、総電荷が負に帯
電するものを言う。酸性リン脂質の例としては、ホスフ
ァチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイ
ノシトール、ホスファチジルグリセロール、及びカルジ
オリピンを挙げることができる。またそのリゾ体(すな
わちリゾ酸性リン脂質)の例としては、リゾホスファチ
ジルセリン、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジ
ルイノシトール、及びリゾホスファチジルグリセロール
を挙げることができる。
【0012】本発明の辛味抑制剤で用いる酸性リン脂質
あるいはそのリゾ体は、大豆、卵黄、小麦胚芽を初めと
して、各種の動物臓器及び各種植物組織から抽出、分離
することにより得ることができる。利用できる抽出方法
としては、極性の違いを利用した有機溶媒による抽出を
挙げることができる。また分離方法としては、シリカゲ
ルカラムへ吸着させ、次いで有機溶媒により溶出させる
方法を挙げることができる。
【0013】酸性リン脂質またはそのリゾ体を得るため
には、抽出、分離、精製により分離されたリン脂質類縁
体を、化学修飾及び/又は酵素処理により改質する方法
を利用することもできる。その具体的な方法としては、
油糧種子(特開平2−312552号公報)、キャベ
ツ、米ぬか等の植物由来のホスホリパーゼD、あるいは
微生物(特開平2−312551号公報)が産出するホ
スホリパーゼDを用い、中性リン脂質であるホスファチ
ジルコリンを加水分解し、ホスファチジン酸を得る方法
や、ホスホリパーゼDを用いてリン酸基のエステル交換
を行い、ホスファチジルコリンをホスファチジルグリセ
ロール(特開平3−22991号公報)あるいははホス
ファチジルセリン等へと変換する方法が挙げられる。
【0014】また本発明の辛味抑制剤では、化学的に合
成した酸性リン脂質またはそのリゾ体を用いることもで
きる。具体的な合成法としては、ジグリセリドのリン酸
エステル化、モノグリセリドのリン酸エステル化、グリ
セロリン酸の脂肪酸エステル化、モノグリセリドのリン
酸エステル化、グリセロリン酸の脂肪酸エステル化を挙
げることができる。上記のような化学合成法により得ら
れる酸性リン脂質およびそのリゾ体の例としては、モノ
アシルグリセロモノホスフェート、モノアシルグリセロ
ジホスフェート、ジアシルグリセロモノフォスフェー
ト、ビスホスファチジン酸、ビスホスファチジルモノホ
スファチジン酸、ビスホスファチジルリゾホスファチジ
ン酸等を挙げることができる。また、水素添加酸性リン
脂質、水素添加リゾ酸性リン脂質を用いることもでき
る。
【0015】本発明の辛味抑制剤の有効成分である酸性
リン脂質あるいはそのリゾ体は、上述のように天然物か
ら、あるいは化学合成によって得られる。従って、酸性
リン脂質あるいはそのリゾ体は脂質混合物として得ら
れ、脂質混合物として使用されることが多い。その場合
において、より高い辛味抑制効果を得るためには、酸性
リン脂質またはそのリゾ体の含有量が多いことが好まし
く、具体的には、脂質混合物中に20重量%以上含まれ
ていることが好ましく、40重量%以上含まれてている
ことが更に好ましい。特には60重量%以上、そして7
0重量%以上含まれていることが好ましい。
【0016】なお、酸性リン脂質およびそのリゾ体の中
でも、特にホスファチジン酸及びリゾホスファチジン酸
が強い辛味抑制作用を有することが確認されており、従
って本発明の辛味抑制剤では、ホスファチジン酸または
リゾホスファチジン酸を用いることが好ましく、特にホ
スファチジン酸を用いることが好ましい。ホスファチジ
ン酸またはリゾホスファチジン酸は、脂質混合物中に5
重量%以上存在していることが好ましく、更に好ましく
は20重量%以上、特に好ましくは50重量%以上であ
る。
【0017】脂質混合物中には、通常は酸性リン脂質あ
るいはそのリゾ体の他に、他の脂質成分が含まれてく
る。酸性リン脂質およびそのリゾ体以外の脂質成分とし
ては、例えば、中性リン脂質(例、ホスファチジルコリ
ン、ホスファチジルエタノールアミン、およびこれらの
リゾ体)、中性脂質(例、トリグリセリド、ジグリセリ
ド、モノグリセリド)、脂肪酸、ステロール脂質、そし
て糖脂質等を挙げることができる。
【0018】本発明者の検討では、脂質混合物中の中性
脂質や中性リン脂質の存在量を低減させることによって
辛味抑制効果を更に高められることが判明した。従っ
て、本発明の辛味抑制剤として脂質混合物を用いる場合
には、その脂質混合物中の中性脂質の存在量は30重量
%以下であることが好ましく、更に好ましくは25重量
%以下、特に20重量%以下である。また、脂質混合物
中の中性リン脂質の存在量は、50重量%以下であるこ
とが好ましく、更に好ましくは30重量%以下、特に1
0重量%以下である。
【0019】また、脂質混合物中の中性リン脂質と酸性
リン脂質またはそのリゾ体との比率は、2倍(中性リン
脂質/酸性リン脂質及びそのリゾ体)以下であることが
好ましく、更に好ましくは1/2以下、特に1/5以
下、最も好ましくは1/50以下である。なお、脂質混
合物中の酸性リン脂質及びそのリゾ体の存在量を高め、
かつ中性脂質の存在量を低減させるためには、これらの
成分を含む脂質混合物を酵素分解したり、溶剤分画する
処理をした後、アセトン処理、膜分離などの処理を行な
う方法が利用できる。
【0020】本発明の辛味抑制剤は、その用いる条件に
応じて公知の調製法に従い、粉末状、粒状、顆粒状、細
粒状、ガム状、トローチ状等の固形状、あるいはペース
ト状や、シロップ状等の液状とすることができる。な
お、本発明の辛味抑制剤には、酸化を防止し、安定化さ
せるために抗酸化剤を添加しておくことが好ましい。好
ましい坑酸化剤としては、例えば、トコフェロール、ポ
リフェノールを挙げることができる。
【0021】本発明の辛味の抑制された食品は、辛味を
有する食品(辛味成分を本来的に含有している辛味を有
する食品や辛味成分を添加することで辛味が付与された
食品)に前記辛味抑制剤を添加することにより調製でき
る。辛味成分としては、唐辛子(赤、黒、黄)、胡椒、
山椒、わさび、玉ねぎ、大根、ねぎ、にんにく、生姜な
どから抽出されるものを挙げることができる。具体的に
は、唐辛子由来のカプサイシン、胡椒由来のピペリン、
シャビシン、山椒由来のα−、β−サンショオール、ス
ピラントール、大根、黒辛子、山椒由来のアリールカラ
シ油、シロカラシ由来のシナルビンカラシ油、アブラナ
由来のクロトニルカラシ油、ニオイアラセイトウ由来の
ヘイロリン、オランダカラシ、モクセイソウ由来のフェ
ニルエチルカラシ油、コショウソウ由来のベンジルカラ
シ油、エゾスズシロ由来のエリソリン、ねぎ、にんにく
由来のジアリルジスルフィド、玉ねぎ、にんにく由来の
プロピルアリルジスルフィド、玉ねぎ由来のジアリルス
ルフィド、玉ねぎ由来のジプロピルジスルフィド、にん
にく由来のジアリルトリスルフィド、生姜由来のジンゲ
ロン、ショウガオール、アフリカ産生姜由来のジンゲロ
ール、パラドール、ヤナギタデ由来のタデオナール等を
挙げることができる。更に上記成分を化学合成した辛味
成分を挙げることができる。
【0022】上記のような辛味成分を本来的に含有して
いる辛味を有する食品の例としては、からし粉、わさび
粉、粉山椒、及び胡椒などの固体状(乾燥粉砕物)香辛
料、及び練りからし、練りわさび、練り生姜、及びにん
にくペーストなどのペースト状香辛料、七味唐辛子、カ
レー粉、タバスコ、塩−コショウ、ラー油、辛子味噌、
及びトウバンジャン等の調合香辛料を挙げることができ
る。
【0023】また上記のような辛味成分を添加すること
により、辛味が付与された食品の例としては、スナック
菓子、焼き菓子、麺類(インスタント麺類も含む)、粉
末スープを含むスープ類、味噌汁、カレーのルー、焼き
肉のタレ、焼き肉、明太子、キムチ等の漬物類、塩辛
類、飴、チューインガム、チョコレート、キャンディ
類、野菜ジュース、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、醗
酵茶、半醗酵茶、清涼飲料、機能性飲料、ドレッシン
グ、マヨネーズ等の乳化食品、豆乳、豆腐等の大豆食
品、魚肉、すり身、焼き魚等の水産加工品、ソース、味
噌、醤油、ケチャップ等の調味料、米飯、食用油、パ
ン、ケーキ類、スパゲッティー等のパスタ類、ピーナッ
ツ等のナッツ類、おでん等の煮物類、醗酵食品、健康食
品等を挙げることができる。上記辛味を有する食品に含
まれる辛味成分は、カプサイシン、ピペリン、アリール
カラシ油、α−サンショオール、β−サンショオール、
及びショウガオールからなる群より選ばれるものである
ことが好ましい。
【0024】適用に際しては、辛味を有する食品の形態
が、水溶液、懸濁物、乳化物等の液状又はペースト状の
場合には、本発明の酸性リン脂質もしくはそのリゾ体
(あるいは、それらを含む脂質混合物)を添加し、充分
に攪拌、分散する方法を利用することができる。また辛
味を有する食品の形態が、粉末等の固形物の場合には、
本発明の酸性リン脂質もしくはそのリゾ体(あるいは、
それらを含む脂質混合物)を単に添加、混合する方法を
利用することができる。また酸性リン脂質もしくはその
リゾ体(あるいは、それらを含む脂質混合物)を水等に
分散させ、これと固形物の形態にある辛味を有する食品
等を混合し、均一化した後、脱水する方法を利用しても
良い。なお、上記辛味を有する食品等が、水に難溶性の
辛味成分を有する場合には、ヘキサン等の有機溶剤やエ
タノール等のアルコール類を用い、これらの成分を溶解
させた後、本発明に係るリン脂質を添加することもでき
る。
【0025】本発明の辛味抑制剤を食品に添加する場合
には、その有効成分(酸性リン脂質またはそのリゾ体)
として、該食品の全量に対して通常は0.001〜30
重量%(好ましくは0.01〜10重量%、更に好まし
くは0.05〜1重量%)添加する。
【0026】また本発明の辛味抑制剤を用いる場合に
は、上記のように辛味を有する食品に直接添加して辛味
を抑制する方法以外に、辛味を有する食品の食前、食後
及び/又は食中に本発明の辛味抑制剤を口に含むか、あ
るいは口に含んだ後咀嚼することにより辛味を抑制する
という方法を利用することもできる。例えば、辛味抑制
剤を含む飲料を作成しておき、辛味を有する食品の食
前、食後及び/又は食中にこれを口に含むことにより辛
味を緩和し、口内に残る刺激感を除去することができ
る。
【0027】このような場合に用いる好ましい辛味抑制
剤の形態としては、例えば、チューインガム、飴、キャ
ンディー類、チョコレーチ類、清涼飲料、ジュース類、
醗酵飲料、スープ類、及び茶類に本発明の辛味抑制剤を
含有させた形態を挙げることができる。またこの際の辛
味抑制剤の食品中の含有量も前述と同量を含ませること
ができる。すなわち、辛味抑制剤を、その有効成分(酸
性リン脂質またはそのリゾ体)として、該食品の全量に
対して通常は0.001〜30重量%(好ましくは0.
01〜10重量%、更に好ましくは0.05〜1重量
%)添加する。なお、健康維持、管理の目的で、辛味成
分を多量に摂取する場合においても、辛味成分に本発明
の辛味抑制剤を混合し、辛味物質として用いることがで
きる。そしてこの際の辛味抑制剤も上記の含有量とする
ことができる。
【0028】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
を更に具体的に説明する。なお、以下において、「部」
は「重量部」を、「%」は「重量%」をそれぞれ示す。
【0029】[本発明の酸性リン脂質とそのリゾ体を含
む辛味抑制剤(試料)の調製] (試料1の調製)攪拌装置を備えた500mL容量の4
口フラスコに、市販脱脂レシチン(商品名:SLPW−
SP、ツルーレシチン工業(株)製)20gをとり、
0.1Mトリス・塩酸緩衝液(pH6〜8)125mL
を加え、更にヘキサン/酢酸エチル(2/1、V/V)
340mL加え攪拌した。これに更に塩化カルシウム水
溶液(1M濃度)150mLを加え、次いで微生物起源
のホスホリパーゼD(Streptomyces Chromofuscus 由
来、旭化成工業(株)製)を15ユニットの水溶液で1
50mLを加え、次いで混合物の温度を30℃に保ちな
がら14時間攪拌を続けて反応を実施した。反応後、反
応生成物を静置して溶剤層を分離した。溶剤層を取り出
し、減圧下にて溶剤を留去した。残渣中の脂質混合物成
分の分析は、薄層シリカゲルプレート(Kieselgel:メル
ク社製)を用いて行ない、検出は硫酸発色を利用した。
その結果を表1に示す。
【0030】(試料2の調製)攪拌装置を備えた500
0mL容量の4口フラスコに、市販ホスファチジルコリ
ン(商品名:エピクロルS200、ルーカスマイヤー社
製)150gをとり、ヘキサン/酢酸エチル(2/1、
V/V)1500mLを添加後、攪拌し、これに溶解さ
せた。これに微生物起源のホスホリパーゼD(Streptom
yces Chromofuscus 由来、旭化成工業(株)製)を10
0ユニット含む酢酸塩緩衝液(pH8)1500mLを
加えた後、100gの塩化カルシウムを添加し、温度を
37℃に保ちながら攪拌下、36時間反応を行った。反
応終了後、溶剤層を分離し、減圧下にて溶剤を除去し
て、残渣として脂質混合物約100gを得た。脂質混合
物成分の分析は、同様に薄層シリカゲルプレートを用い
て行ない、硫酸発色を利用して検出した。その結果を表
1に示す。
【0031】(試料3の調製)米国産大豆(シルキービ
ーン)25gを50mM塩化カルシウム入りの0.1M
酢酸塩緩衝液(pH6)150gに加え、これを常温で
湿式粉砕し、遠心分離(3000rpm、10分間)に
より、上清(抽出液)120gを得た。得られた抽出液
を以下の脂質混合物の調製に使用した。
【0032】攪拌装置を備えた500mL容量の4口フ
ラスコに、市販脱脂レシチン(商品名:SLPW−S
P、ツルーレシチン工業(株)製)25gをとり、上記
で調製した大豆破砕物からの抽出液120gを加えた。
混合物を攪拌しながらこれに酢酸エチル(250mL)
を加え、更に水32.5gを加えた後、30℃にて20
時間攪拌して反応させた。反応生成物から酢酸エチル層
を分離し、残りの水層部分をクロロフォルム/メタノー
ル(2/1、V/V)で二回抽出し、その抽出液をフォ
ルチ分配に付した。別に、酢酸エチル層より酢酸エチル
を除去して残渣を得た。これらを併せたのち、クロロフ
ォルム/メタノールを除去して生成物である脂質混合物
を22g得た。得られた脂質混合物成分の分析は、同様
に薄層シリカゲルプレートを用いて行ない、硫酸発色で
検出した。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── 脂質混合物中の成分 試料1(%) 試料2(%) 試料3(%) ──────────────────────────────────── (中性リン脂質) PC 0 0 0 PE 0 0 0 ──────────────────────────────────── (酸性リン脂質) PI 7.8 0 0 PA 54.2 94.0 62.0 PS 0.1 0 0.1 L−PA 0.5 1.0 0.9 ──────────────────────────────────── 中性脂質 18.4 4.0 18.0 糖脂質 19.0 1.0 19.0 ──────────────────────────────────── PC:ホスファチジルコリン PE:ホスファチジルエタノールアミン PI:ホスファチジルイノシトール PA:ホスファチジン酸 PS:ホスファチジルセリン L−PA:リゾホスファチジン酸
【0034】[実施例1]添加対象として、代表的な辛
味成分であるカプセイシンの水溶液に上記で得た辛味抑
制剤(試料3)を最終濃度が1%(重量比)となるよう
に添加し、攪拌後、試料2の添加効果を評価した。添加
効果の評価は、20代から40才代の男女10名からな
る被検者パネルによる官能評価で行ない、下記の6段階
による基準で評価した。表2に、その評価結果を平均値
で示した。 辛味の強さ6:強烈な辛味を感じる。 辛味の強さ5:強い辛味を感じる。 辛味の強さ4:強くはないが、辛味を感じる。 辛味の強さ3:わずかに辛味を感じる。 辛味の強さ2:辛味を知覚できる程度感じる。 辛味の強さ1:辛味を全く感じない。 なお、比較例として試料3の代わりに、中性脂質である
トリアシルグリセロールとしてコーン油を添加した場
合、及び対照例として試料3を添加しない場合の辛味強
度も同様な方法で評価した。
【0035】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── サンプル 辛味強度(平均値) ──────────────────────────────────── カプサイシン0.05ppm水溶液 4.2 上記水溶液に試料3を0.1重量%添加したもの 2.2 上記水溶液に試料3を1.0重量%添加したもの 1.2 上記水溶液にコーン油を0.1重量%添加したもの 4.0 上記水溶液にコーン油を1.0重量%添加したもの 3.7 ────────────────────────────────────
【0036】表2の結果から、本発明に従う辛味抑制剤
(試料3)を添加することにより辛味を顕著に低減でき
ることがわかる。
【0037】[実施例2]添加対象食品として、市販の
レトルトカレー(辛口)を用い、辛味抑制剤(試料2)
を用いた以外は、上記実施例1と同様な方法で辛味の強
度を評価した。また、対照例として試料2を添加しない
場合についても同様な方法で評価した。結果を下記の表
3に示す。
【0038】
【表3】 表3 ──────────────────────────────────── サンプル 辛味強度(平均値) ──────────────────────────────────── 市販レトルトカレーA(辛口) 3.7 市販レトルトカレーA(辛口)に試料2を0.1%添加したもの 2.4 市販レトルトカレーA(辛口)に試料2を1.0%添加したもの 1.3 ──────────────────────────────────── 市販レトルトカレーB(辛口) 3.5 市販レトルトカレーB(辛口)に試料2を0.1%添加したもの 2.3 市販レトルトカレーB(辛口)に試料2を1.0%添加したもの 1.1 ────────────────────────────────────
【0039】表3の結果から、本発明に従う試料2を添
加することによりカレーの辛味を顕著に低減できること
が確認された。
【0040】[実施例3]添加対象食品として市販の中
華スープに、七味唐辛子又は胡椒を添加したものをそれ
ぞれ用意し、これらの溶液に辛味抑制剤(試料3)を添
加し、上記実施例1と同様な方法で辛味の強度を評価し
た。また、対照例として試料3を添加しない場合につい
ても同様な方法で評価した。結果を下記の表4に示す。
【0041】
【表4】 表4 ──────────────────────────────────── サンプル 辛味強度(平均値) ──────────────────────────────────── 唐辛子を添加した中華スープ 5.9 唐辛子を添加した中華スープに試料3を0.5%添加したもの 3.8 唐辛子を添加した中華スープに試料3を1.5%添加したもの 2.9 ──────────────────────────────────── 胡椒を添加した中華スープ 5.8 胡椒を添加した中華スープに試料3を0.3%添加したもの 3.9 胡椒を添加した中華スープに試料3を1.5%添加したもの 2.4 ────────────────────────────────────
【0042】表4の結果から、本発明に従う試料3を添
加することにより辛味を顕著に低減できることが確認さ
れた。また通常では、辛味が強過ぎて食べることができ
ない食品でも本発明の辛味抑制剤を添加することで適度
な辛味となり、また良好な風味も増して非常に食べ易く
なった。
【0043】[実施例4]辛口カレーを食べる際に、口
中の辛味感を除去する目的で、辛味抑制剤(試料1)を
最終濃度が0.1重量%になるように水に分散させ、辛
味抑制液を作成した。10名の被験者には、辛口カレー
を大さじのスプーンで2杯口に入れ、良く味わった後、
上記辛味抑制剤を飲むように指示した。そして辛味抑制
剤を飲んだ後の口中の後味について評価させた。また対
照として辛味抑制液の代わりに水を用い、同様の方法に
て評価させた。結果を下記の表5に示す。
【0044】
【表5】 表5 ──────────────────────────────────── 後味の評価 辛味抑制剤 水 ──────────────────────────────────── 口中がさっぱりしたと感じたもの 9名 1名 辛味が抑えられたと感じたもの 10名 0名 後味が悪いと感じたもの 7名 3名 ────────────────────────────────────
【0045】表5の結果から、本発明に従う試料1を含
む抑制液を辛味成分を食べた後に飲むことにより、後味
がすっきりとし、後に残る辛味もなく口中が非常にさっ
ぱりとすることがわかる。
【0046】[実施例5]辛い中華料理の代表であるエ
ビのチリソースを食べるときに、飲み物として本発明に
従う辛味抑制剤(試料2)を最終濃度が0.3重量%に
なるように分散させた水溶液(辛味抑制液)を用意し、
これを飲みながらチリソースを食べ、口に残る辛味の評
価を行った。また比較として辛味抑制液の代わりにウー
ロン茶にて同様な評価を行った。その結果、本発明に従
う辛味抑制液を飲みながらチリソースを食べると、辛味
の抑制が顕著に現れ、適度な辛さでおいしく食べること
ができた。一方、水のみでは、辛味は充分抑制されず、
いつまでも辛味が口に残った。
【0047】
【発明の効果】本発明に従う辛味抑制剤は優れた辛味抑
制作用を示すため、これを用いることによって適度な辛
さに抑えることができる。従って食品に多量に添加した
場合でも非常に食べ易くなる。またこのように辛味を抑
制しても辛味成分自身の持つ風味や防腐効果などは殆ど
低下することはない。更に健康維持、管理などの目的で
辛味成分を多量に摂取する場合などにおいても本発明に
従う辛味抑制剤を使用することで、辛味は適度に抑制す
ることができるから飲み易く、かつ辛味成分の生理活性
効果も弱められることはない。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性リン脂質もしくはそのリゾ体を20
    重量%以上含有する脂質混合物からなる辛味抑制剤。
  2. 【請求項2】 脂質混合物中に含まれる中性脂質が30
    重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の辛
    味抑制剤。
  3. 【請求項3】 脂質混合物中に含まれる中性脂質の含有
    量が、酸性リン脂質もしくはそのリゾ体の含有量の2倍
    以下であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載
    の辛味抑制剤。
  4. 【請求項4】 ホスファチジン酸もしくはリゾホスファ
    チジン酸を5重量%以上含有する脂質混合物からなる辛
    味抑制剤。
  5. 【請求項5】 脂質混合物中に含まれる中性脂質が30
    重量%以下であることを特徴とする請求項4に記載の辛
    味抑制剤。
  6. 【請求項6】 脂質混合物中に含まれる中性脂質の含有
    量が、酸性リン脂質もしくはそのリゾ体の含有量の2倍
    以下であることを特徴とする請求項4もしくは5に記載
    の辛味抑制剤。
  7. 【請求項7】 酸性リン脂質もしくはそのリゾ体が辛味
    を有する食品に対して0.001〜30重量%添加され
    てなる辛味が抑制された食品。
  8. 【請求項8】 辛味を有する食品に含まれる辛味成分
    が、カプサイシン、ピペリン、アリールカラシ油、α−
    サンショオール、β−サンショオール、およびショウガ
    オールからなる群より選ばれる成分であることを特徴と
    する請求項7に記載の食品。
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