JP4427022B2 - 苦味抑制剤 - Google Patents

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本発明は、苦味抑制剤に関し、特に、苦味を有する医薬品、医薬部外品、又は食品に添加するための苦味抑制剤に関する。
苦味物質を含有する医薬品、医薬部外品(以下両者を含むものとして「医薬品等」と表す)、あるいは食品(「飲料」も含む。以下同じ)は数多くある。特に、医薬品等においては、その殆どが苦味物質を有しており、経口摂取に際して苦痛を伴うものである。従って、医薬品等における苦味の低減は製剤上の大きな課題となっている。従来、医薬品等の苦味を低減する方法としては、例えば、医薬品等にアスパルテーム等の甘味剤及び香料剤を添加する方法(特許文献1)、マイクロカプセル化、及び胃溶性コーティング剤による粉末コーティング剤を用いる方法(特許文献2)、薬物を化学修飾する方法(特許文献3)、サイクロデキストリンによりクエン酸カルペタペンタンを包接する方法(特許文献4)等、様々な方法が挙げられる。また、上記の方法の他に、苦味のある医薬品等にレシチン又はケファリンの単独又は混合物を添加する方法(特許文献5)、苦味性薬物と賦形剤との配合物にレシチン又はレシチン類似物を添加する方法(特許文献6)も提案されている。
食品においても、蛋白質分解物から得られるアミノ酸、ペプチドの有する苦味や、果汁中に存在する苦味、添加フレーバーに由来する苦味などの様々な苦味物質が含まれる場合があり、これらの苦味物質の存在は、食品の風味等の品質を低下させることが多い。食品中の苦味を除去する方法としては、例えば、植物源木質吸着剤によりタンパク質加水分解物の苦味を除去する方法(特許文献7)、サイクロデキストリンによりトリプトファンを包接する方法(特許文献8)、及び甘味剤を添加する方法(特許文献9)等が知られている。
近年、医薬品等や食品に、酸性リン脂質もしくはそのリゾ体を有効成分とする苦味低減化剤を添加する方法が知られており(特許文献10〜13)、特にホスファチジン酸を有効成分とするものが苦味低減化効果に優れることが開示されている。
特開平2−56416号公報 特開平4−187630号公報 特開昭61−200998号公報 特開平3−236316号公報 特公昭55−8966号公報 特開昭62−265234号公報 特開昭55−108254号公報 特開昭61−40260号公報 特公昭60−9774号公報 特許第2717509号公報 特許第2717511号公報 特許第3419957号公報 特開平10−150929号公報
前記のホスファチジン酸以外の添加剤や苦味成分除去方法は、限られた苦味成分にしか用いることができず、また苦味を十分に抑えることができないという欠点を有するのに対し、前記ホスファチジン酸は汎用性が高く、食品に使用した場合にも味の質を変化させることなく、十分に苦味低減効果を有するという特長を有する。一方、ホスファチジン酸の性状は非常に高粘性でハンドリング性が悪いため、製剤化するためには、油脂あるいは賦形剤等を配合するか、煩雑な工程によりハンドリングの良い成分を分別するという方法が採られていた。しかし、前者の方法によればホスファチジン酸含量を低下させるため苦味低減化効果が犠牲となり、後者の方法によれば高コストとなり好ましくない。現在までのところ、ハンドリング性が良く、かつ低コストの同製剤は見出されていなかった。
本発明の目的は、苦味物質を含有した医薬品等、あるいは食品の苦味の低減に有効であって、安全で、食品に対してはその味を変えることなく使用でき、かつハンドリング性に優れ、低コストの苦味抑制剤を提供することにある。
本発明者は、ホスファチジン酸を含有しつつハンドリング性の良い苦味抑制剤について、組成面、製造面等について検討を行ったところ、ホスファチジン酸とホスファチジルイノシトールを特定の比率で含有することで、優れた苦味抑制効果を有しつつ、ハンドリング性の良い製剤が得られることを見出した。
即ち、本発明は、ホスファチジン酸(以下「PA」と記載)及びホスファチジルイノシトール(以下「PI」と記載)を含有する苦味抑制剤であって、PA及びPIの苦味抑制剤中の質量比率をそれぞれMPA及びMPIとしたとき、MPA/(MPA+MPI)が0.55〜0.82の範囲である苦味抑制剤を提供するものである。
本発明の苦味抑制剤は、苦味物質を含有した医薬品等、あるいは食品に使用すると、苦味の低減に有効であって、安全で、食品に対してはその味を変えることなく使用でき、かつハンドリング性に優れ、低コストで製造することができる。
本発明における苦味抑制剤は、酸性リン脂質であるPA及びPIを含有する。PA及びPIは、大豆、卵黄、小麦胚芽を初めとして、各種の動物臓器及び各種植物組織から抽出、分離することにより得ることができる。抽出方法としては、極性の違いを利用した有機溶媒による抽出を挙げることができる。分離方法としては、シリカゲルカラムへ吸着させ、次いで有機溶媒により溶出させる方法を挙げることができる。また、抽出、分離、精製後、更に化学修飾及び/又は酵素処理により改質する方法を利用することもできる。
本発明の苦味抑制剤の有効成分であるPA及びPIは、上述のように天然物から、あるいは化学合成によって得られる。この場合、PA及びPIは脂質混合物として得られ、脂質混合物のまま使用されることが多い。苦味抑制剤としてより高い効果を得るためには、PA及びPIの含有量が多いことが好ましく、具体的には、苦味抑制剤中にPA及びPI合計で20質量%(以下単に「%」と記載)以上(即ち、MPA+MPIが0.2以上)含まれていることが好ましく、より好ましくは30%以上(同0.3以上)、更に40%以上(同0.4以上)、特に45〜80%(同0.45〜0.8)、殊更50〜70%(同0.5〜0.7)含まれていることが苦味低減効果が高く、ハンドリング性に優れる点から好ましい。
PA及びPIを含む脂質混合物中には、通常はPA及びPIの他に、他の脂質成分が含まれる。具体的には、中性リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、及び/又はこれらのリゾ体)、中性脂質(例えば、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド)、脂肪酸、ステロール脂質、そして糖脂質等を挙げることができる。
本発明の苦味抑制剤においては、苦味抑制剤中のPAとPIの質量比率をそれぞれMPA及びMPIとしたとき、MPA/(MPA+MPI)が0.55〜0.82であることが必要である。この値は更に好ましくは0.6〜0.81、特に0.65〜0.8、殊更0.7〜0.8であることが苦味低減効果が高く、ハンドリング性に優れる点から好ましい。0.55未満では苦味抑制効果が弱く、0.82を超えると、粘度が高くハンドリング性が非常に悪くなる。なお、PAとPIを好ましい質量比率に調製するには、例えば、大豆レシチンを酵素処理することによりPA含量を高めた後、PI含量が比較的高い分別レシチンを混合することによる方法が挙げられる。
本発明においては、苦味抑制剤中の中性リン脂質や中性脂質等の含有量を低減させることによって、更に苦味抑制効果を高めることができることが判明した。従って、本発明の苦味抑制剤として脂質混合物を用いる場合には、苦味抑制剤中の中性リン脂質の含有量は60%以下となるように配合することが好ましく、更に55%以下、特に50%以下とすることが好ましい。また、苦味抑制剤中の中性脂質の含有量は20%以下とすることが好ましく、更に15%以下、特に10%以下とすることが好ましい。
なお、苦味抑制剤中のPA及びPIの含有量を高め、かつ中性脂質の含有量を低減させるためには、これらの成分を含む脂質混合物を酵素分解したり、溶剤分画する処理をした後、アセトン処理、膜分離などの処理を行なう方法が利用できる。
本発明の苦味抑制剤は、その用いる条件に応じて公知の調製法に従い、粉末状、顆粒状又は粒子状の固形物とすることができる。なお、本発明の苦味抑制剤には、酸化を防止し、保存安定性を高めるために抗酸化剤を添加しておくことが好ましい。好ましい抗酸化剤としては、例えば、トコフェロール、ポリフェノールを挙げることができる。
苦味を有する医薬品等、又は食品の苦味を抑制する方法としては、本発明の苦味抑制剤を、苦味を有する医薬品等、又は食品に添加する、あるいは連続して又は同時に摂取する等により、その苦味を抑制することができる。苦味を有する医薬品等、又は食品が、水溶液、懸濁物、乳化物等の液状物である場合には、通常、PA及びPIを含有する苦味抑制剤を、その液状物である苦味を有する医薬品等、又は食品100質量部(以下単に「部」と記載)に対して、PA及びPI合計量として0.01〜100部、更に0.1〜20部となるように添加することが好ましい。苦味を有する医薬品等、又は食品がペースト状又は固形物である場合には、通常、PA及びPIを含有する苦味抑制剤を、そのペースト状又は固形状の苦味を有する医薬品等、又は食品100部に対して、PA及びPI合計量として0.01〜100部、更に0.1〜20部添加することが好ましい。本発明の苦味抑制剤を苦味を有する医薬品等、又は食品に添加することにより、他の呈味成分の呈味が抑制されることなく、その苦味を特異的に抑制することができる。
次に、本発明の苦味抑制剤の添加対象について詳しく説明する。本発明の苦味抑制剤は、苦味を有する医薬品等、又は食品(飲料も含む)に好ましく適用することができる。適用する苦味を有する医薬品等 又は食品(以下、単に食品等と称する場合がある)の形態は、水溶液、懸濁物、乳化物等の液状又はペースト状、あるいは粉末状、顆粒状、粒子状等の固形物のいずれでも良い。適用に際しては、これらの形態が、水溶液、懸濁物、乳化物等の液状又はペースト状の場合には、本発明のPA及びPIを含有する苦味抑制剤を添加し、充分に攪拌、分散する方法を利用することができる。攪拌、分散には、均一化装置、乳化機、超音波処理装置等を用いることができる。得られた分散物は、噴霧乾燥あるいは凍結乾燥等により乾燥後、粉末状、顆粒状あるいは粒子状等の固形物としても良い。苦味を有する医薬品等、食品の形態が、粉末等の固形物の場合には、本発明の苦味抑制剤を単に添加、混合する方法を利用することができる。また、PA及びPIを含有する苦味抑制剤を水等に分散させ、当該分散物と固形物の形態にある苦味を有する食品等を混合し、均一化した後、脱水する方法を利用しても良い。なお、上記苦味を有する食品等が、水に難溶性の苦味成分を有する場合には、ヘキサン、エタノール等の有機溶剤を上記苦味を有する食品等に添加し、これらの成分を溶解させた後、本発明の苦味抑制剤を添加し、その後有機溶剤を除去することにより使用することもできる。
本発明の苦味抑制剤の使用に際しては、例えば、当該苦味抑制剤の水溶液を調製し、これを予め口腔に含み、その後に苦味を有する食品等を経口摂取等する方法、又は当該苦味抑制剤の水溶液と苦味を有する食品等を同時に経口摂取等する方法を利用することもできる。この場合、水溶液中の本発明の苦味抑制剤の濃度はPA及びPI合計量として0.02〜20%、更に0.05〜10%、特に0.1〜5%であることが、苦味低減効果、食品等の風味等を変化させない点から好ましい。
本発明の苦味抑制剤の適用対象とできる苦味を有する食品の例としては、次のものを挙げることができる。グレープフルーツ、オレンジ、レモン等の柑橘類、及び/又はこれらから得られる果汁;トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニンジン、ジャガイモ、アスパラガス等の野菜、及び/又はこれらから得られる野菜汁、又は野菜ジュース;ソース、醤油、味噌、うま味調味料、又は唐辛子等の調味料;豆乳、豆乳等の大豆食品;クリーム、ドレッシング、マヨネーズ、又はマーガリン等の乳化食品;魚肉、すり身、又は魚卵等の水産加工食品;ピーナツ等のナッツ類;納豆等の発酵商品;肉類、又は食肉加工品;ビール、コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、発酵茶、半発酵茶、清涼飲料、又は機能性飲料等の飲料;漬物類;めん類;粉末スープを含むスープ類;チーズ、牛乳等の乳製品類;パン・ケーキ類;スナック菓子、チューインガム、チョコレート等の菓子類;キャンディー類;健康食品等。食品の苦味を低減する方法のうち、苦味抑制剤を添加する場合には、食品に用いられるフレーバーに予め本発明の苦味抑制剤を添加した後、このフレーバーを食品に添加する方法等が挙げられる。更に、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン等の苦味を有するアミノ酸、ペプチド、又はオリゴ糖等に、前記方法により添加する、あるいは連続又は同時摂取する等により苦味を低減することができる。更に、同様の方法により、たばこ等の苦味抑制に利用することもできる。
本発明の苦味抑制剤を食品に添加する場合には、該食品100部に対して、PA及びPI合計量として通常は0.05〜30部添加することが好ましく、より好ましくは0.1〜20部、更に0.5〜15部、特に1〜10部、殊更1〜5部添加することが、苦味抑制効果が高く、食品の風味に影響を与えない点から好ましい。
次に、苦味を有する医薬品としては、従来から医薬品として用いられている各種の苦味を呈する薬物を挙げることができる。本発明の苦味抑制剤は、特に塩基性薬物(例えば、ストリキネーネ、キニーネ、パパベリン、ベルベリン、ブロメタジン、ブルシン、プロプラノロール、クロルプロマジンなど)の酸付加塩の苦味抑制に有効である。上記塩基性薬物の酸付加塩の例としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、炭酸塩等の鉱酸塩及び有機酸塩を挙げることができる。
本発明の苦味抑制剤の添加対象の医薬品の剤型には特に制限はなく、種々の剤型を利用することができる。例えば、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、錠剤、トローチ剤及びドライシロップ等の固形製剤、液剤、エキス剤、エリキシル剤、酒精剤、シロップ剤、芳香水剤、リモナーデ剤、及び流エキス剤等の液状製剤を挙げることができる。
本発明の苦味抑制剤を含む医薬品の製剤化に際しては、公知の方法が利用できる。従って、製剤化に際しては、従来から使用されている添加剤を一種又は二種以上組み合わせて使用できる。添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、コーティング剤、矯味剤、マスク化剤、香料、及び抗酸化剤を挙げることができる。また、製剤工程で用いる造粒機の例としては、プラネタリーミキサー、攪拌造粒機、高速混合造粒機、押し出し造粒機、流動層造粒機、遠心転動流動造粒機、ローラーコンパクター等が挙げられる。
本発明の苦味抑制剤を苦味を有する医薬品に添加する場合には、該医薬品100部に対して、PA及びPI合計量として通常0.01〜60部、より好ましくは0.01〜50部、更に0.1〜30部、特に0.5〜20部、殊更1〜10部添加するのが好ましい。また、医薬品の薬効成分である主剤が苦味を有する場合には、その主剤1部に対して、PA及びPI合計量として一般的には0.01〜1000部、更に0.1〜100部の含有量となるように、本発明の苦味抑制剤を添加することが好ましい。なお、苦味を有する薬効成分が医薬品中に二種以上存在する場合には、総質量を1部とする。
苦味を有する医薬部外品の例としては、口腔に用いられる医薬部外品が挙げられる。例えば、歯磨き、マウスウオッシュ、マウスリンス等が挙げられる。このような苦味を有する医薬部外品中の苦味を呈する成分としては、例えば、アルキル硫酸ナトリウム、モノアルキルリン酸ナトリウム等の界面活性剤、メントール、リナロール、フェニルエチルアルコール、ゲラニオール等の香料、メチルパラベン、プロピルパラベン等の殺菌剤等が挙げられる。
本発明の苦味抑制剤を苦味を有する医薬部外品に添加する場合には、該医薬部外品100部に対して、通常0.01〜30部、より好ましくは0.05〜20部、更に0.1〜15部、特に0.5〜10部、殊更1〜5部添加するのが好ましい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
〔苦味抑制剤(本発明品1〜4)及び比較品4の調製〕
表1に示す配合量に従い、まず酵素分解レシチン製剤(商品名:ベネコートBMI−40L 花王(株))に分別レシチン(商品名:SLP−PIパウダー 辻製油(株))を均一混合したスラリー状の混合物を得た。当該混合物を、0℃のアセトン750g中にホモミキサー(特殊機化工業(株))8000rpmで分散処理しながら添加した。添加終了後、更に5分間ホモミキサーによる分散処理を続けた後、30分静置して溶媒層を分離除去及びろ過を行い、ケークを取り出した。得られたケークに、更に、このアセトン処理を2回繰り返して得られたケークを、60℃、10hPaで24時間減圧乾燥したものを試料1〜3とした。試料の外観観察による性状及び高速液体クロマトグラフ(HPLC)によるPA及びPIの定量を行った。結果を表1に示す。
〔比較品1〜3の調製〕
表1に示す配合量に従い、酵素分解レシチン製剤(商品名:ベネコートBMI−40L 花王(株))150gを、0℃のアセトン750g中にホモミキサー(特殊機化工業(株))8000rpmで分散処理しながら添加した。添加終了後、更に5分間ホモミキサーによる分散処理を続けた後、30分静置して溶媒層を分離除去及びろ過を行い、ケークを取り出した。得られたケークに、更に、このアセトン処理を2回繰り返して得られたケークを、60℃、10hPaで24時間減圧乾燥したものを比較品1とした。また、分別レシチン(商品名:SLP−PIパウダー 辻製油(株))を比較品2、酵素分解レシチン製剤(商品名:ベネコートBMI−40 花王(株))を比較品3とした。本発明品同様、PA及びPIの定量を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004427022
〔性状の評価〕
試料調製の結果、本発明品1〜4、比較品2及び3は、ハンドリング性に問題のない粒状の固体であったが、比較品1及び4は高粘性のペースト状でべとつきがひどく、ハンドリング性において著しく劣るものであった。
試験例1(食品の苦味抑制効果)
添加対象食品として、グレープフルーツ果汁及びインスタントコーヒーを選んだ。これらの食品に上記で得た本発明品1〜4、比較品2及び3を、食品100部に対して0.1部となるように各々添加し、攪拌後、それぞれについて添加効果を評価した。添加効果の評価は、男女10名からなる被検者パネルによる官能評価で行ない、下記の5段階による基準で評価した。また、対照例として本発明品、比較品の何れも添加しない食品を用意し、それらの苦味強度も同様な方法で評価した。各評価の平均値を評価結果とした。結果を表2に示す。
〔苦味の評価基準〕
5:強い苦味を感じる。
4:強くはないが、苦味を感じる。
3:わずかに苦味を感じる。
2:苦味を知覚できる程度感じる。
1:苦味を全く感じない。
Figure 0004427022
表2の結果、本発明品1〜4は、比較品2、3に比べて、グレープフルーツ果汁やコーヒーのような苦味成分のある食品の苦味抑制効果に優れることが分かった。
試験例2(医薬品の苦味抑制効果)
添加対象医薬品として、強い苦味を有する塩酸キニーネを選び、その水溶液(0.5mM)に、本発明品1〜4、比較品2、3をその最終濃度が1.0%となるように添加した液剤を調製した。得られた各液剤の苦味の強度を、正常な味覚を有する健常人男女10〜15名を選んで被検者とし、そのパネルにより下記の等価濃度試験法を利用して評価した。結果を表3に示す。
〔等価濃度試験法〕
等価濃度試験法とは、予め苦味の強さが等間隔になるように基準液を作成しておき、この基準液と上記で作成した液剤とを被検者の官能評価により比較し、相当する苦味の強度をその平均値で表す方法である。ここでは、基準液として、代表的な苦味物質である硫酸キニーネにて苦味の強さを10段階に調整したものを用いた(表4)。なお、味覚などの感覚強度は、濃度の対数に比例するため、濃度間隔は一定ではないが、感じる苦味の強さは等間隔である。
Figure 0004427022
Figure 0004427022
表4の結果から、本発明品1〜4を添加することにより、医薬品の苦味を顕著に低減できることが分かった。

Claims (4)

  1. ホスファチジン酸(PA)及びホスファチジルイノシトール(PI)を含有する苦味抑制剤であって、PA及びPIの苦味抑制剤中の質量比率をそれぞれMPA及びMPIとしたとき、 PA +M PI が0.4以上であり、PA/(MPA+MPI)が0.55〜0.82の範囲である苦味抑制剤。
  2. 形態が粉末状、顆粒状又は粒子状の固体物である請求項に記載の苦味抑制剤。
  3. 請求項1又は2に記載の苦味抑制剤を含有する医薬品、医薬部外品又は食品。
  4. 請求項1又は2に記載の苦味抑制剤を用いることによる、苦味を有する医薬品、医薬部外品又は食品の苦味を抑制する方法。
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