JP2990262B2 - チタン系合金の表面硬化方法 - Google Patents

チタン系合金の表面硬化方法

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一典 重松
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チタン系材料の表
面硬化方法に関するものであり、さらに詳しくは、本発
明は、チタン系材料の強度等の機械的特性を可及的に損
なうことなく、特に、チタン系材料の表面において、生
産性よく、優れた特性を有する表面硬化層を形成しうる
チタン系材料の表面硬化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、チタン系材料にあっては、そ
の比強度が高く、また耐食性にも優れていることから、
様々な分野において、各種構造部材への応用が検討さ
れ、実施されてきている〔例えば、「日本のチタン産業
とその技術」草道英武著、アグネ技術センター刊(19
96)〕。しかし、その反面、チタン系材料は、耐磨耗
性に劣るという欠点があることから、機械装置等におけ
る摺動部や他金属との接触部に使用される際には、多く
の場合において、耐磨耗性を向上させるための表面硬化
処理が、それら摺動部や接触部に相当する部分に必要と
なる。
【0003】そして、そのようなチタン系材料の表面硬
化処理として、Crメッキに代表される湿式メッキ、C
VD、PVD、イオン注入等の多様な表面処理法が、従
来より採用されてきている。しかし、それらの表面処理
法にあっては、Cr等の高価な原料が必要であったり、
また、イオン注入装置等の多大な設備投資が必要であっ
たり、さらにはメッキ処理等の工程において、作業員に
高度の技能が要求される等の問題点を内在していた。
【0004】一方、上記のごとき表面処理法よりも簡便
なガス窒化法を用いたチタン系材料の表面硬化処理も、
従来より採用されてきている。これは、チタン系材料
を、窒素雰囲気下において、加熱、保持せしめることに
よって、かかる材料の表面に、硬度の高い窒化物層を形
成して、該材料の表面の耐磨耗性を向上させる方法であ
る〔高村昭:日本金属学会誌,24,(1960)56
5〕。
【0005】ところが、このようなガス窒化法にあって
も、チタン系材料全体を高温下において加熱、保持する
ところから、表面硬化処理後における該材料の強度等の
機械的特性を損なわないようにするためには、そのよう
な加熱、保持は、チタン系材料の変態温度(約850
℃)以下の温度において実施されなければならず、従っ
て、充分な窒化物層を得るためには、非常に長時間の保
持(例えば、850℃で10〜20時間)が必要であ
り、甚だ生産性が悪く、また、高価な高純度窒素ガスを
大量に消費するため、処理コストが高いという問題点を
有していた。
【0006】これらのことから、チタン系合金の表面硬
化処理のコストは非常に高いものになり、このことが合
金部材の高コスト化に繋がり、各種構造用部材への適用
を阻害する要因の一つになっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記問題を
解消しうる新しいチタン系材料の表面硬化法を開発する
ことを目的として鋭意研究を積み重ねた結果、チタン系
合金部材等のチタン系材料をシリコン粉末中で加熱熱処
理し、表面にシリコン粉末粒子を付着させた後、さら
に、該チタン系材料の表面にレーザービームを照射する
ことにより所期の目的を達成しうることを見出し、本発
明を完成するに至った。すなわち、本発明は、かかる事
情を背景にして為されたものであって、その解決課題と
するところは、チタン系材料の強度等の機械的特性を可
及的に損なうことなく、かつ所定の表面部位のみに、生
産性よく、優れた特性を有する表面硬化層を形成しうる
表面硬化方法を提供することにある。本発明は、チタン
系材料の表面に優れた特性を有する硬化層を形成するこ
とが可能な新規な表面硬化方法を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】そして、かかる課題を解
決するために、本発明では、以下の技術的手段が採用さ
れる。 (1)チタン系合金部材等のチタン系材料をシリコン粉
末中で不活性ガス雰囲気下において加熱処理し、表面に
シリコン粉末粒子を付着させた後、さらに、該チタン系
材料の表面に不活性ガス雰囲気中でレーザービームを照
射することにより、かかるレーザーのエネルギーにてチ
タンとシリコン粉末の反応を誘起させて、該チタン系材
料の表面に高硬度の珪化物を形成せしめることを特徴と
するチタン系材料の表面硬化方法。 (2)チタン系材料をシリコン粉末中に埋没させ、不活
性ガス雰囲気中で700〜900℃で熱処理を行う上記
(1)のチタン系材料の表面硬化方法。 (3)チタン系材料が、チタン、チタン系合金、又はチ
タン系金属間化合物である上記(1)のチタン系材料の
表面硬化方法。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明は、チタン系材料をシリコン粉末中
に埋没させ、不活性ガス雰囲気中で熱処理を行うことに
より、該チタン系材料の表面にシリコン粉末を付着さ
せ、かかる後レーザービームを照射することによりシリ
コン粉末とチタンを反応させて、該チタン系材料の表面
に高硬度の珪化物を形成せしめることを特徴とするチタ
ン系材料の表面硬化方法を、その要旨とするものであ
る。
【0010】このような本発明に関わるチタン系材料の
表面硬化方法に従えば、レーザービームを該チタン系材
料の表面に照射するところから、レーザービームの照射
された部分及びその近傍のみが、局所的に、該チタン系
材料の変態温度以上の高温に加熱されて、そこにおい
て、チタンとシリコンとの反応が速やかに進行すること
となる一方、それ以外の部分は変態温度以上に加熱され
ることがないことから、極めて短時間に、また、所定の
表面部位のみに、従来の手法に比して、厚くかつ硬度の
高いケイ化物層が形成されると共に、該表面部位以外の
部分においては、チタンの相変態および粒成長が可及的
に抑制されることとなる。
【0011】以下、本発明を更に具体的に明らかにする
ために、図面を参照しつつ、本発明の具体的構成につい
て詳細に説明する。
【0012】図1は、粒径45μmのシリコン粉末中で
熱処理を行った純チタン板の模式図である。シリコン粉
末、は部分的にチタンと反応して金属間化合物を形成
し、板状に固着している。
【0013】本発明に従って、かかる表面硬化方法を実
施しうるチタン系材料としては、公知の各種の材質のも
のが対象とされ、例えば、純チタン、Ti−Al−V等
のα+β型チタン合金、Ti−V−Cr−Al等のβ型
チタン合金、さらには、TiAlやTi3 Al等の金属
間化合物を挙げることができる。また、シリコン粉末と
しては、純度99.99%程度で、粒径は50μm以下
の細かいものが望ましい。本発明においては、上記チタ
ン系材料をシリコン粉末中で加熱熱処理し、表面にシリ
コン粉末粒子を付着させるが、この工程は、チタン系材
料をシリコン粉末中に埋没させ、不活性ガス雰囲気中で
熱処理を行うことにより実施される。
【0014】このとき、熱処理温度としては約700〜
900度前後が適当である。これは、上記範囲よりも低
すぎた場合には、シリコン粉末とチタン間で充分な反応
層を形成せず、シリコン粉末が脱落してしまうためであ
り、また、上記範囲よりも高すぎる場合には、チタンの
相変態、結晶粒の成長等による機械的特性の劣化を招く
ためである。同様の理由から、熱処理時間についても約
30分から1時間程度が望ましい。
【0015】また、そのようなチタン系材料の表面に照
射され、チタンとシリコンとの反応を誘起せしめるレー
ザーとしては、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー、エ
キシマレーザー等を挙げることができ、そのような各種
レーザーを発生させる公知のレーザー装置が適宜に採用
される。そして、本発明にあっては、そのような各種の
レーザ装置を単独で用いてもよく、また、複数のレーザ
を併用してもよい。
【0016】また、レーザを照射する際には、シリコ
ン、チタン系材料の酸化反応を防止するためにアルゴン
ガス等の不活性ガスを照射部近傍に流すか、照射そのも
のを不活性雰囲気に制御された容器中で行うことが必要
である。
【0017】図2は、本発明により処理を施したチタン
の断面の模式図である。表面から深さ約600μmにわ
たって硬化層が形成されている。
【0018】図3は、後記する実施例について、そのよ
うな硬化層の硬度分布を測定した結果である。硬度は約
10GPaに達しており、他金属との接触部への使用に
充分耐えうるレベルに達している。本発明により処理を
施したチタン系材料は、優れた特性を有する表面硬化層
を持つことから、機械装置等における摺動部や他金属と
の接触部に好適に使用される。
【0019】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。 実施例1 純チタン板を45μmのシリコン粉末中に埋没させ、不
活性ガス雰囲気中で850℃で60分間加熱処理し、表
面にシリコン粉末粒子を付着させた後、さらに、該チタ
ン板の表面にアルゴンガスを流しながらNC制御装置を
用いて炭酸ガスレーザービームを照射することにより、
かかるレーザーのエネルギーにてチタンとシリコン粉末
の反応を誘起させて、該チタン板の表面に高硬度の珪化
物層を形成させた。得られた硬化層の硬度分布を測定し
た結果を図3に示す。図3から明らかなように、表面か
ら深さ約600μmにわたって硬化層が形成され、硬度
は約10GPaに達していることが分かった。
【0020】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、チタン
系材料をシリコン粉末中に埋没させ、不活性ガス雰囲気
中で熱処理を行うことにより、該チタン系材料の表面に
シリコン粉末を付着させ、かかる後レーザービームを照
射することによりシリコン粉末とチタンを反応させて、
該チタン系材料の表面に高硬度の珪化物を形成せしめる
ことを特徴とするチタン系材料の表面硬化方法を、その
要旨とするものであり、本発明によれば、次のような効
果が得られる。 (1)チタン系材料の表面において、生産性よく、優れ
た特性を有する表面硬化層を形成することができる。 (2)従来の手法に比べて、チタン系材料の表面に、厚
くかつ硬度の高い珪化物層を形成することができる。 (3)メッキやイオン注入装置等の特殊設備を用いるこ
となく、また、従来の窒素雰囲気炉を用いたガス窒化法
に比べて極めて短時間かつ簡便に、チタン系材料の表面
に、高硬度の珪化物層を形成することができる。 (4)チタン系材料の耐摩耗性を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコン粉末中で熱処理を行った純チタン板の
模式図を示す。
【図2】本発明により処理を施したチタンの断面の模式
図を示す。
【図3】本発明により処理を施したチタンの硬化層の硬
度分布を測定した結果を示す説明図である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン系合金部材等のチタン系材料をシ
    リコン粉末中で不活性ガス雰囲気下において加熱処理
    し、表面にシリコン粉末粒子を付着させた後、さらに、
    該チタン系材料の表面に不活性ガス雰囲気中でレーザー
    ビームを照射することにより、かかるレーザーのエネル
    ギーにてチタンとシリコン粉末の反応を誘起させて、該
    チタン系材料の表面に高硬度の珪化物を形成せしめるこ
    とを特徴とするチタン系材料の表面硬化方法。
  2. 【請求項2】 チタン系材料をシリコン粉末中に埋没さ
    せ、不活性ガス雰囲気中で700〜900℃で熱処理を
    行う請求項1記載のチタン系材料の表面硬化方法。
  3. 【請求項3】 チタン系材料が、チタン、チタン系合
    金、又はチタン系金属間化合物である請求項1記載のチ
    タン系材料の表面硬化方法。
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