JP2987921B2 - 気体濃縮測定方法およびその装置 - Google Patents

気体濃縮測定方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、化学分析用試料の前処理に使用される気体
濃縮測定方法およびその装置に関し、特に、大気中の有
機溶剤成分を高感度で簡易に測定する気体濃縮測定方法
およびその装置に関する。
[従来の技術] 従来、大気中の微量の有機溶剤を高感度で分析する方
法としては、吸着剤を充填した充填管に一定量の大気
を通し、有機溶剤を捕集、濃縮した後、これをガスクロ
マトグラフのガス流路系に直接接続し、充填管を加熱し
て有機溶剤を脱着してガスクロマトグラフに送入し、測
定する方法や、冷却したステンレスなどからなる細管
に一定量の大気を通して有機溶剤を捕集濃縮したのち、
前記のの方法と同様にガスクロマトグラフのガス流路
系に接続して測定する方法などがあった。
[発明が解決しようとする課題] 上記従来の捕集濃縮測定方法には下記の課題がある。
ガスクロマトグラフ測定における保持時間を正確に知
るために、標準試料についても、測定試料と同様の操作
を行って濃縮管に捕集し、これを測定することが必要と
なるが、標準試料を直接ガスクロマトグラフに導入する
場合に比較して、その都度濃縮管に入れ、これを測定す
る等、操作が繁雑で、安定した一定の回収率を得るに
は、ある程度手慣れる必要がある等、ルーチン分析など
にはやや不向きである。
測定試料を捕集濃縮した充填管あるいはステンレス細
管を加熱して、脱着した測定試料をガスクロマトグラフ
に送り込む操作において、全ての量が瞬時に脱着され
ず、一定の時間を要することから、測定データで、1つ
1つの成分のピークはブロードとなり、このため分離能
が低く、精度および感度が低い。
本発明は、このような課題に鑑みて創案されたもの
で、操作が簡便で熟練度を要せず、感度および精度両方
に優れた気体濃縮測定方法およびその装置を提供するこ
とを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、大気中に含まれる被測定物質の定性および
定量分析を行う気体濃縮測定方法であって、吸着剤に所
定量の測定対象大気を通過させて測定物質を濃縮捕集
し、該吸着剤を充填した充填管の一端に真空シリンジを
接続し、前記充填管を加熱することで測定物質を脱着す
ると共に、前記充填管の他の一端から清浄気体を送気
し、測定物質を前記シリンジ内へ送り込み、大気圧にし
た後、シリンジ内の気体の全量を一度にガスクロマトグ
ラフに送入し、分析することを特徴とする気体濃縮測定
方法である。
またこの方法に用いられる気体濃縮測定装置は、大気
中に含まれる被測定物質の定性および定量分析に使用さ
れる気体濃縮測定装置であって、吸着剤を充填され、該
吸着剤の加熱手段と両端部の開閉コックとを配設された
管体と、気体導入用の接続孔を1ヶ所または1ヶ所以上
穿設されたシリンジと、先端がガスクロマトグラフ注入
口のゴム栓内に挿入される注射針とを備え、それらが直
列に接続されていることを特徴とする。
[作用] 本発明に係る気体濃縮測定方法は、まず吸着剤を充填
した充填管中に測定対象大気の一定量を通過させて測定
物質を濃縮捕集する。次いでこの充填管の一端に、予め
真空にしたシリンジを接続し、充填管を加熱して濃縮し
た測定物質を脱着すると共に、充填管の他の一端から清
浄気体を送気してシリンジ内へ測定物質を送り込んで大
気圧とする。その後、シリンジ内の気体全員を一度にガ
スクロマトグラフに注入して分析し、測定物質の定性お
よび定量分析を行う方法である。
また、本発明に係る気体濃縮測定装置は、吸着剤を充
填し両端に開閉コックを設けた管体と、少なくとも1ヶ
所以上に気体導入用の接続孔を設けた注射筒と、その先
端がガスクロマトグラフ注入口のゴム栓内に挿入された
注射針とを、順次直列に接続したものである。
この方法および装置によれば、測定物質はシリンジ内
に貯溜され、一時にガスクロマトグラフに注入される。
従って、標準ガスについても、別のシリンジから一時に
ガスクロマトグラフに注入するだけでよく操作が簡便に
行える。また測定物質は濃縮管から直接加熱によってガ
スクロマトグラフに送られるのではなく、一旦シリンジ
内に貯溜されるので、濃縮管の加熱を含む操作上の条件
が保持時間等に影響を及ぼすことがなく、クリアで安定
した保持時間を得ることができ、精度,感度が向上す
る。
[実施例] 以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に
説明する。
第1図は、本発明の一実施例を示す断面図である。同
図において、まずステンレス等でなるガス濃縮管1に活
性炭、ガスクロマトグラフ用カラム充填剤などのガス捕
集剤1aを充填し、両端に開閉コック1b,1cおよび接続部1
d,1eを設け、該ガス濃縮管1に、予め測定しようとする
大気の一定量を通過させ、測定物質を捕集濃縮した後、
接続部1dとガラスなどからなるシリンジ2の一部に設け
た脱着ガスの導入管2aとを密着させて接続する。シリン
ジ2の気体出口2bに密着させた注射針2cの先端部2dは、
ガスクロマトグラフ3のガス注入口3aに設けたゴム栓3b
のゴム栓中心部3cに挿入される。また、シリンジ2には
気体押し出し用のテフロンなどからなるシリンダ2eを配
設し、このシリンダ2eの押し出し用握り手2fを固定する
ための係合自在なストッパ4を設ける。
ガス濃縮管1の周囲は、加熱用のヒータ5で覆い、ヒ
ータ5の温度を自由に調節できるスライダック6を介し
て電源7に接続する。
一方で、ガス濃縮管1の他の接続部1eは、純窒素等の
不活性ガス8bを充填したバッグ8からの接続管8aと密着
して接続する。
次に、本発明に係る気体濃縮測定方法について説明す
る。第1図に示すように、先ず測定物質を捕集濃縮して
接続したガス濃縮管1の両端の開閉コック1b,1cは当初
閉じたままにしておく。ここで、シリンジ2のシリンダ
2eをシリンジ2のガス導入口2gを通過して上方に引く抜
いた状態の位置2iにして、ストッパ4で固定し、シリン
ジ2内を真空にする。
次に、開閉コック1bを開にし、ヒータ5によりガス捕
集剤1aを加熱し、捕集ガスを脱着すると共に、開閉コッ
ク1cを開にして、不活性純ガス8bを前記捕集ガスと共
に、シリンジ2内に送り込む。シリンジ2内がほぼ大気
圧となった状態で開閉コック1b,1cを閉じた後、ストッ
パ4を取り外し、さらに注射針2cの先端部2dがゴム栓3b
を突き抜けてカラム上部のガス注入口3aに至るまで押し
下げる。シリンジ2および接続している他の部分も同じ
く、下方に押し下げた状態となった後、シリンダ2eをシ
リンジ入口2iの位置からシリンジ底部2jの位置まで、速
やかに押し下げてシリンジ2内の捕集ガスをガスクロマ
トグラフ3内に送り込み、測定する。
送入・測定後は、再び注射針先端部2dをゴム栓中心部
3cの位置に戻しておく。
一方、標準ガスの測定を行う場合は、一旦注射針2cを
ゴム栓3bから抜き取り、別のシリンジ(図示せず)を用
いて標準ガスをガスクロマトグラフ3に注入して測定す
る。
またガス濃縮管1内の捕集ガスが十分脱着されている
かどうか確認するために、上記の測定操作を2回以上繰
り返し、測定を行って残留量を調べる。
第2図は、ガス濃縮管1内の脱着した捕集ガスをシリ
ンジ2内に導入する装置としてシリンダ2eの握り手2fが
導入管を兼ねる一例を示す。このような構造とすれば、
シリンジの側面に第1図に示したガス導入管2aを設ける
必要がないので、シリンジ2の加工が容易であり、ガス
濃縮管1の接続部1dとガス導入管を兼ねる握り手2fは、
両者共、ステンレスなどからなる金属で製作できるた
め、第1図に示したように接続部にガスを吸収し易いゴ
ムパッキン2hを使用する必要がなく、着脱も容易とな
る。
なお、ガス濃縮管1は、例示したガス捕集剤を充填し
た型のもの以外に、ステンレス細管などを用いることも
できることは、もちろんである。
[発明の効果] 以上説明したように、ガスクロマトグラフ測定におい
ては、必ず標準試料を同時に測定し、これとの比較によ
り同一の保持時間を確認したうえで定性分析および定量
分析を行う必要があるが、従来は、標準試料も測定試料
と同様に測定の都度、濃縮操作を経る必要があったもの
を、本発明の方法では、一旦シリンジに貯溜してからこ
れを一時に測定するため、並行して、別のシリンジで標
準ガスの別のシリンジで送入するだけで定性定量分析が
可能になり、通常の分析方法と同様の簡便さで測定でき
る。また、従来の濃縮管あるいはステンレス細管を加熱
して脱着測定する方法では、クリアで一定した保持時間
のクロマトグラムを得るには操作に十分な手慣れを必要
とするが、本発明の方法によれば簡易にクリアで安定し
た保持時間を得ることができるので、精度および感度が
一層高くなるなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の断面図、第2図は本発明の
別の一実施例の断面図である。 1……ガス濃縮管、1a……ガス捕集剤 1b,1c……開閉コック 1d,1e……接続部 2……シリンジ、2a……ガス導入管 2b……気体出口、2c……注射針 2d……注射針先端部、2e……シリンダ 2f……握り手、2g……ガス導入口 2h……ゴムパッキン、2i……シリンジ入口 2j……シリンジ底部 3……ガスクロマトグラフ 3a……ガス注入口、3b……ゴム栓 3c……ゴム栓中心部、4……ストッパ 5……ヒータ、6……スライダック 7……電源、8……バッグ 8a……接続管、8b……不活性ガス

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大気中に含まれる被測定物質の定性および
    定量分析を行う気体濃縮測定方法であって、吸着剤に所
    定量の測定対象大気を通過させて測定物質を濃縮捕集
    し、該吸着剤を充填した充填管の一端に真空シリンジを
    接続し、前記充填管を加熱することで測定物質を脱着す
    ると共に、前記充填管の他の一端から清浄気体を送気
    し、測定物質を前記シリンジ内へ送り込み、大気圧にし
    た後、シリンジ内の気体の全量を一度にガスクロマトグ
    ラフに送入し、分析することを特徴とする気体濃縮測定
    方法。
  2. 【請求項2】大気中に含まれる被測定物質の定性および
    定量分析に使用される気体濃縮測定装置であって、吸着
    剤を充填され、該吸着剤の加熱手段と両端部の開閉コッ
    クとを配設された管体と、気体導入用の接続孔を1ヶ所
    または1ヶ所以上穿設されたシリンジと、先端がガスク
    ロマトグラフ注入口のゴム栓内に挿入される注射針とを
    備え、それらが直列に接続されていることを特徴とする
    気体濃縮測定装置。
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