JP2986514B2 - 下水汚泥の溶融処理法 - Google Patents

下水汚泥の溶融処理法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、下水処理場で発生する下水汚泥を溶融処理
する方法に関する。
〔従来の技術〕
従来、下水処理場夫々に溶融処理設備を設けて、個別
に下水汚泥を溶融処理していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、下水処理場が個別に溶融処理設備を有しかつ
個別に溶融処理すると、全体として溶融処理のための設
備費及び処理経費が膨大になる欠点があった。
しかも、下水汚泥には種々の組成のものが混入してい
て、溶融処理を行う場合に安定的に操業することが必ず
しも容易ではなかった。又、たとえ塩基度調整剤を用い
るにしても直接溶融炉に投入するようにしていた為、塩
基度調整剤が不均一なままに混在し、必ずしも溶融点及
び粘性の低下をもたらさず安定的な溶融処理操業ができ
るものではなかった。
本発明の目的は、複数箇所の下水処理場で発生する汚
水汚泥を、設備非及び処理経費を大幅に節減した状態で
溶融処理できるようにし、しかも、複数種類の下水汚泥
の性状が季節変動などによって大きく相違したとして
も、容易に、かつ燃料経費少なく安定的に溶融処理でき
るようにする点にある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明にかかる下水汚泥の
溶融処理法の特徴構成は、複数箇所の下水処理場から1
箇所の汚泥溶融処理場に複数種類の下水汚泥脱水ケーキ
を搬入し、前記複数種類の下水汚泥脱水ケーキをほぼ一
定の割合で一括して焼却又は乾燥処理し、その焼却又は
乾燥処理で得た熱処理物を混合処理し、その混合物に塩
基度調整剤を添加して混合するとともに、さらに下水汚
泥脱水ケーキを混練して、それら3者を混練状態で加熱
溶融処理することにあり、その作用・効果は次の通りで
ある。
〔作 用〕
複数箇所の下水処理場で発生する下水汚泥を1箇所の
汚泥溶融処理場に搬入して集中溶融処理することによっ
て、前述従来技術のように下水処理場で個別に溶融処理
するよるも、全体としての溶融処理のための設備費及び
処理経費を大幅に節減できると共に、エネルギー効率の
面においても無駄が少ない。
そして、集めた複数の種類の異なる下水汚泥脱水ケー
キをほぼ一定の割合で一括して焼却又は乾燥処理し、そ
の後で均一混合しやすい乾燥微粉状の熱処理物を混合処
理することによって、たとえ下水処理場による処理方式
の違い、あるいは季節変動などにより下水汚泥の性状が
大きく相違していても、溶融処理する混合物の性状を十
分に、かつ確実に一定化でき、塩基度調整剤の添加によ
る塩基度調整を所望通りに容易確実に実現できる。つま
り、従来技術のように塩基度調整剤を直接溶融炉に投入
する場合に比べて、均一配合された塩基度調整剤の投入
による十分な融点降下と粘性の低下を容易確実に実現で
きるので、良好な溶融処理を容易に、かつ燃料経費を十
分に節減して実行できる。
さらに、熱処理物の混合物に、塩基度調整剤を添加し
て混合し、これらと下水汚泥脱水ケーキを混練して、加
熱溶融処理に回すことにより、加熱溶融処理時に下水汚
泥脱水ケーキをバインダーとして作用させることがで
き、加熱溶融処理時に於ける熱処理物や塩基度調整剤の
飛散を防止することができる。
〔発明の効果〕
その結果、複数箇所の下水処理場で発生する下水汚泥
の溶融処理を、設備費及び処理経費を十分に節減して、
かつ、塩基度調整剤の添加量管理を容易にして実行で
き、経済性及び作業性において一段と優れた下水汚泥の
溶融処理法を確立できた。
〔実施例〕
本発明にかかる下水汚泥の溶融処理法の実施例を、図
面を参照して詳細に説明する。
複数箇所の下水処理場(A1),(A2),‥(An)夫々
において、発生する下水汚泥を脱水機(1)による処理
で脱水ケーキにする。
複数箇所の下水処理場(A1),(A2),‥(An)から
1箇所の汚泥溶融処理場(B)に複数種の下水汚泥脱水
ケーキを搬入し、汚泥溶融処理場(B)において下水汚
泥脱水ケーキを以下の手順で説明する。
複数のピット(C1),(C2),‥(Cn)に各別に貯留
された複数種類の下水汚泥脱水ケーキを、クラブバケッ
トなどによりほぼ設定量づつ熱処理炉(2)に投入し、
熱処理炉(2)において複数種類の下水汚泥脱水ケーキ
をほぼ一定の割合で一括して焼却又は乾燥処理する。
その焼却又は乾燥処理で得た乾燥微粉状の熱処理物、
及び、微粉砕した石材などからなる塩基度調整剤を、混
合機(3)で均一混合処理する。
尚、塩基度調整剤は、SiO2源として砕石、珪石、ロー
石、シラスなどを用い、CaO源として石灰岩などを用い
る。又、熱処理物の塩基度(CaO/SiO2)を予め調べ、調
整後の塩基度が0.5〜1.5程度になるように、塩基度調整
剤の種類と添加量を定める。特に、塩基度が0.5以下に
なると粘性が低下せず好ましくない。
混合処理で得た混合物、及び、ピット(C1)からの下
水汚泥脱水ケーキを、混合物に対して水分が10%程度に
なるように、定量フィーダ等により混練成型機(4)に
供給して処理する。
混練成型処理で得た成型混合物を、溶融炉(5)にお
いてコークス等の炭素系可燃物質により形成した高温炉
床で加熱溶融処理する。
この時、下水汚泥脱水ケーキがバインダーとして有効
に作用し、十分に強い成型品が得られ、微細な熱処理物
や塩基度調整剤の溶融炉(5)での飛散が十分に抑制さ
れ、十分な融点降下が得られるように調整した塩基度を
確実に維持できる。
更に、塩基度調整剤を成型品と共に溶融炉(5)に投
入するようにしてもよい。このようにすれば、一層塩基
度を確実に維持できて都合がよい。
対象とする下水処理場(A1),(A2),‥(An)の数
は適当に選定でき、また、下水処理場(A1),(A2),
‥(An)夫々において使用される脱水機(1)は公知の
ものから適当に選定できる。
搬入された複数種類の下水汚泥脱水ケーキをいかなる
状態又は設備で貯留するかは適当に選定でき、例えば1
個のピットに場所を相違させて貯留したり、定量フィー
ダ付のピットやホッパに各別に貯留してもよい。
熱処理炉(2)は公知のものから適当に選定でき、連
続処理型式又はバッチ処理型式のいずれでもよい。
混合機(3)は公知のものから適当に選定でき、例え
ば空気攪拌方式や機械攪拌方式など適当な攪拌方式のも
のを利用でき、また、連続処理型式又はバッチ処理型式
のいずれでもよい。
混練成型機(4)に供給する下水汚泥脱水ケーキはい
ずれの下水処理場(A1),(A2),‥(An)からのもの
でよく、また、混練成型機(4)は、ペレット成型機、
スクリュー式押出し成型機など公知のものから適当に選
定でき、連続処理型式又はバッチ処理型式のいずれでも
よい。そして、成型混合物の形状や寸法などは適当に変
更できる。
尚、混練成型工程を省略してもよく、その場合、粒状
や小塊状の塩基度調整剤を溶融炉(5)に投入しても良
い。
溶融炉(5)の型式は公知のものから適当に選定で
き、例えば流体燃料をバーナで燃焼させるタイプのもの
でも良い。
溶融炉(5)からのスラグをいかに処置するかは不問
である。次に、実際の操業例について説明する。
(操業例1) A1〜A7の各処理場から発生した、表1に示すような性
状の異なる汚染汚泥を脱水機(1)で脱水して表2のよ
うな組成の脱水ケーキとし、これらを汚泥溶融処理場に
搬入して、夫々C1〜C7の各ピットに貯留した。このよう
にして集められた汚泥の灰分%は、水分を除いた固形分
全体の中での存在割合として示してあり、CaO,SiO2%は
それぞれ灰分を100%とした場合の存在割合を示す。
これらC1〜C7の各ピットに貯留された汚泥を、クラブ
バケットにて1箇所の熱処理炉(2)に投入し加熱乾燥
処理した。そして、乾燥された汚泥を、表3に示す組成
の塩基度調整剤と共に混合機(3)に投入し、十分に混
合した。
又、A1の汚泥を脱水機(1)によって脱水処理した脱
水ケーキ(脱水後の組成を表4に示す)を、混練成型機
(4)にバインダーとして添加した。得られた成型混合
物の組成を表5に示す。
以上の結果、塩基度1.0の成型混合物が得られ、コー
クス炉による操業については、成型混合物の融点を十分
に低く押されることができて、短い時間で確実にこれを
溶融処理することができ、又粘性は約10ポアズと低く、
流動性のよいスラグを得るこができた。
(操業例2) 操業例1と同様な方法で行った別操業例である。
即ち、表6に示す汚泥を脱水処理して表7に示す脱水
ケーキを得た。これらを熱処理炉に投入し乾燥した後、
これを表8に示す組成の塩基度調整剤と共に混合機
(3)に投入し、十分に混合した。その後、これを、バ
インダーであるA1汚泥の脱水ケーキ(脱水後の組成を表
9に示す)と共に混練成型機(4)に添加した。得られ
た成型混合物の組成を表10に示す。
この場合も、操業例1と同様に塩基度1.0の成型混合
物が得られ、コークス炉による操業については短い時間
で確実にこれを溶融処理することができ、又粘性につい
ても約10ポアズと低くて流動性のよいスラグを得ること
ができた。
【図面の簡単な説明】 図面は本発明の実施例で示すフローシートである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−12927(JP,A) 特開 昭55−121900(JP,A) 特開 昭52−123304(JP,A) 特開 昭62−212260(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C02F 11/00 - 11/20 F23G 7/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数箇所の下水処理場から1箇所の汚泥溶
    融処理場に複数種類の下水汚泥脱水ケーキを搬入し、 前記複数種類の下水汚泥脱水ケーキをほぼ一定の割合で
    一括して焼却又は乾燥処理し、 その焼却又は乾燥処理で得た熱処理物を混合処理し、そ
    の混合物に塩基度調整剤を添加して混合するとともに、
    下水汚泥脱水ケーキを混練して、それら3者を混練状態
    で加熱溶融処理する下水汚泥の溶融処理法。
  2. 【請求項2】前記3者を混練成形処理した後、加熱溶融
    処理する請求項1記載の下水汚泥の溶融処理方法。
  3. 【請求項3】上記添加する下水汚泥脱水ケーキは、混合
    物全体の水分が10%程度となる量である請求項2の下水
    汚泥の溶融処理法。
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