JP2986272B2 - Va菌根菌接種物の製造方法 - Google Patents
Va菌根菌接種物の製造方法Info
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Description
有用なVA菌根菌接種物の製造方法に関し、詳しくはV
A菌根菌の胞子密度が高く、しかも活性を安定に保持す
ることのできるVA菌根菌接種物の製造方法に関する。
根菌( Vesicular Arbuscular Mycorrhizae ) は、植物
と共生し、これに感染した植物の生長を促進したり、耐
病性を向上させる働きがあることが知られており(小林
紀彦著,「VA菌根菌と土壌病害への利用,植物防
疫」,第42巻;259〜266頁, 1988年)、この
ように自然の力を利用した植物の栽培が要望されてい
る。
菌根菌接種物を製造する方法が種々提案されている。例
えば、土壌などで増やしたVA菌根菌の胞子を分離・回
収し、その胞子をバーミキュライト,アタパルジャイ
ト,珪藻土などの担体に、カルボキシメチルセルロース
などの接着物と共に混ぜ、粒状化させる方法(特開平1
−165369号公報)や炭との混合物を用いる方法
(特開平3−103124号公報)が提案されている。
しかしながら、この方法においては、VA菌根菌の胞子
を分離する過程や粒状化させる過程で、VA菌根菌の胞
子に損傷が与えられ、しかも粒状化させる過程で強制的
に乾燥させるため、高頻度で胞子が死滅してしまい、良
質の接種物を得ることは困難であった。炭との混合物に
おいても同様であり、乾燥処理等での死滅も多いものと
考えられる。
15号公報,特開平3−76572号公報)、発泡させ
た粘土,軽石などの多孔質構造を有する物を用いたり
(特開昭60−237987号公報,特開昭55−11
8390号公報)、多孔性の両イオン交換体を含む培土
を用いたり(特開昭63−87973号公報)して、植
物根とVA菌根菌とを共生させて増殖させ、これら担体
に付着したVA菌根菌をそのまま接種物として使用する
方法が提案されている。しかしながら、これらの方法に
おいては、まず天然の土壌を使用した場合には病原菌に
よる汚染が問題となる。また、発泡させた粘土,軽石な
どの多孔質構造を有する物を用いる方法の場合には、高
密度のVA菌根菌接種物を得ることができない。さら
に、多孔性の両イオン交換体を含む培土を用いる方法の
場合には、宿主植物がイモ類に限定されると共に、担体
自体がDEAE−セルロースなど、高価なため実用的で
ない。
し、VA菌根菌の胞子密度が高く、しかも活性を安定に
保持することのできるVA菌根菌接種物の製造方法を提
供することを目的とするものである。
ムス( Glomus) 属に属するVA菌根菌に感染した植物
を、焼成アタパルジャイトを含む培地で栽培し、VA菌
根菌を増殖させることを特徴とするVA菌根菌接種物の
製造方法を提供するものである。
種であり、その菌糸が様々な植物の根について菌根を形
成し、両者が共生することが知られている。本発明にお
いて用いるVA菌根菌は、グロムス( Glomus ) 属に属
するものであり、他の属に属するものを用いても本発明
の目的を達成することはできない。
) 属に属するVA菌根菌としては、より具体的には、
例えば、グロムス・ファシキュレータム( Glomus fas
ciculatum ),グロムス・モセアエ( Glomus mosseae
) ,グロムス・エツニカタム(Glomus etunicatum
),グロムス・イントララディセス( Glomus intrar
adicies ),グロムス・カレドニウム( Glomus caledo
nium ) などを挙げることができる。
A菌根菌は、天然界から集める(鈴木達彦,VA菌根に
関する諸問題5,農業および園芸,第62巻,第3号,
p28〜33,1987年)他、栄養薄膜培養法(特開
昭55−118390号公報)や器官培養した根を使用
する方法(特公昭62−49037号公報)等により増
殖させたものを用いることができる。
植物、すなわちVA菌根菌増殖のための宿主植物として
は、生長が速く、根がよく張る植物であって、かつ、V
A菌根菌が感染しやすい植物であれば特に制限はなく、
例えば実生苗、播種して育苗後、移植して栽培するも
の、栄養繁殖させるもの、挿し芽,挿し木,接ぎ木,球
根等により増殖,栽培されるものがある。VA菌根菌増
殖のための宿主植物として具体的には、例えばトウモロ
コシ,メヒシバ,ソルゴー(別名ソルガム又はモロコ
シ),ムギ,芝草等のイネ科植物、ナス,トマト,ピー
マン,シシトウ等のナス科植物、大豆,カラスノエンド
ウ等の豆科植物、ネギ,玉ネギ等のユリ科植物などが挙
げられる。
前、或いは発根後に、培地に施用すればよい。VA菌根
菌の宿主植物への感染は、既知の方法により行なえばよ
く、例えば温度5〜60℃、好ましくは10〜45℃、
pH4〜9.5、好ましくは4.5〜7.5の条件で行
なわれる。
( Glomus ) 属に属するVA菌根菌に感染した植物を、
焼成アタパルジャイトを含む培地で栽培することを特徴
とする。なお、本発明においては、少なくともVA菌根
菌に感染した植物を、焼成アタパルジャイトを含む培地
で栽培すればよく、必要に応じてVA菌根菌の感染の際
には別異の培地を用いてもよい。
トとしては、アタパルジャイトを200〜1300℃、
好ましくは300〜1000℃の温度で焼成したものが
用いられる。なお、必要に応じて、粉状アタパルジャイ
トを、アルミナ,ベーマイトゲルなどのバインダーを用
いて造粒したアタパルジャイトを使用することもできる
が、焼成後、pHを5.5〜7.5の範囲となるように
調整することが好ましい。この焼成アタパルジャイトの
粒径は0.25〜10mm、好ましくは粒径1〜5mm
のものである。本発明においては、培地として、上記焼
成アタパルジャイトを単独で用いてもよいが、他の培地
成分、例えば(焼成)モンモリロナイト,ゼオライト,
パーライト,バーミキュライト,(焼成)珪藻土,軽石
などの一種以上と併用してもよい。なお、焼成アタパル
ジャイトと他の培地成分との混合割合は、前者:後者
が、1:0〜1:1(v/v)の割合、好ましくは1:
0.1〜1:1(v/v)の割合、より好ましくは1:
1/6〜1:1/2(v/v)の割合とする。ここで他
の培地成分としては軽石が好ましく、この軽石として
は、粒径が0.5〜10mm、好ましくは粒径が1〜5
mmの範囲のものが用いられる。
するが、通常、2〜5ケ月程度経過して、宿主植物が充
分に生育したところで,水などの供給を絶ち、暫く放置
すると、VA菌根菌は胞子を形成する。なお、宿主植物
の栽培は通常の条件で行なえばよく、温度は通常、5〜
60℃であり、必要に応じて灌水したり、肥料を与えれ
ばよい。以上のようにして形成したVA菌根菌胞子の付
着した培地(VA菌根菌接種物)を回収すればよい。こ
のようにして目的とするVA菌根菌接種物を得ることが
できる。
き3mmの篩を通過し、目開き1mmの篩に残った焼成
アタパルジャイト(540℃で焼成したもの)(粒径1
〜3mm)を敷き詰めた。その中央にVA菌根菌〔グロ
ムス・ファシキュレータム( Glomus fasciculatum
)〕(なお、本菌は工業技術院微生物工業技術研究所
において受託拒否された。)の胞子320個を、深さ3
cmのところに胞子が水と共に下へ流れないように、テ
ィッシュペーパーで包んで置いた。次いで、その上1c
mのところにトウモロコシ(ゴールデンテントDK64
9、カネコ種苗)の種子を2粒置いた。次に、中鉢の中
の焼成アタパルジャイト,VA菌根菌及びトウモロコシ
を充分に濡らした後、ビニールで覆い、ガラス温室内に
移した。ガラス温室内を20〜25℃に維持しながら、
1週間水をからさないようにして栽培した。生育した苗
のうち、健全な苗を残し、その他の苗を除去した。その
後、同様にガラス温室内で、毎日灌水を行ないながら栽
培した。栽培してから1ケ月後より、週1回ピータース
液肥(N:P:K=20:10:20)の1000倍液
を散布し、栽培した。この操作を繰り返し、さらに2.
5ケ月間栽培した。その後、水と液肥の散布を中止し、
30日間放置した。
とVA菌根菌を含む焼成アタパルジャイトを、ビニール
シートの上へ広げた。トウモロコシの太い根を除去し、
そのまま15℃の暗所で乾燥させた。このようにして得
られた培地(トウモロコシの根とVA菌根菌を含む焼成
アタパルジャイト)を、5ケ所から無作為に1gのサン
プルを採り、付着している胞子数を計測し、その平均値
を、培地に付着した胞子数(個/g)として、第1表に
示した。
代わりに、焼成アタパルジャイト6部に、軽石1部の割
合で混ぜた混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様
の操作を行ない、培地に付着している胞子数を計測し、
その平均値を、培地に付着した胞子数として、第1表に
示した。
代わりに、発泡粘土(ブレー粘土、レカダン社製、登録
商標:レカダン)を砕いて、粒径1〜3mmの範囲のも
のにしたものを用いたこと以外は、実施例1と同様の操
作を行ない、培地に付着している胞子数を計測し、その
平均値を、培地に付着した胞子数として、第1表に示し
た。
代わりに、臭化メチルで殺菌後、充分にガス抜きをした
粒径2〜4mmの赤玉土を用いたこと以外は、実施例1
と同様の操作を行ない、培地に付着している胞子数を計
測し、その平均値を、培地に付着した胞子数として、第
1表に示した。
シキュレータム( Glomus fasciculatum )の胞子32
0個の代わりに、グロムス・カレドニウム( Glomus ca
ledonium )(なお、本菌は工業技術院微生物工業技術
研究所において受託拒否された。)の胞子40個を用い
たこと以外は、実施例1と同様の操作を行ない、培地に
付着している胞子数を計測し、その平均値を、培地に付
着した胞子数として、第2表に示した。
シキュレータム( Glomus fasciculatum )の胞子32
0個の代わりに、グロムス・モセアエ( Glomus mossea
e )(なお、本菌は工業技術院微生物工業技術研究所に
おいて受託拒否された。)の胞子40個を用いたこと以
外は、実施例1と同様の操作を行ない、培地に付着して
いる胞子数を計測し、その平均値を、培地に付着した胞
子数として、第2表に示した。
シキュレータム( Glomus fasciculatum )の胞子32
0個の代わりに、スカテロスポラ・グレガリア( Scute
llospora gregaria )(なお、本菌は工業技術院微生物
工業技術研究所において受託拒否された。)の胞子40
個を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行な
い、培地に付着している胞子数を計測し、その平均値
を、培地に付着した胞子数として、第2表に示した。
子密度が高く、しかも活性を安定に保持することのでき
るVA菌根菌接種物を安価に製造することができる。し
たがって、本発明の方法は広く農業,園芸,造園,種苗
産業等の分野において貢献することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 グロムス( Glomus )属に属するVA菌
根菌に感染した植物を、焼成アタパルジャイトを含む培
地で栽培し、VA菌根菌を増殖させることを特徴とする
VA菌根菌接種物の製造方法。 - 【請求項2】 培地として、焼成アタパルジャイトと軽
石を、10:1〜1:1(v/v)の割合で混合したも
のを用いる請求項1記載の製造方法。
Priority Applications (6)
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---|---|---|---|
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1991
- 1991-11-28 JP JP33789291A patent/JP2986272B2/ja not_active Expired - Lifetime
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