JP2985627B2 - 分散補償ファイバ及びその製造方法 - Google Patents

分散補償ファイバ及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低損失の分散補償ファ
イバ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】信号光の波長1.3μm帯として開発さ
れた光通信システムを波長1.55μm帯に変更して伝
送速度の高速化を図りたいという要望がある。これに伴
う伝送上の問題としては波長分散が増大する点であり、
その対策としてはコアとクラッドとの屈折率差を大きく
した分散補償ファイバを従来の回線の間に挿入する方式
が開発がされている(ECOC ´93WeC8.5,
357−360頁)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように屈折率差を
大きくした分散補償ファイバは、より大きい負の波長分
散を得ることができるが、コアに高濃度のGeO2を添
加すること によりGeの欠陥に起因すると考えられて
いる散乱損失が増大し、GeO2の添 加量に伴って伝送
損失が増加するという問題があった。しかるに分散補償
ファイバは、従来の回線に新たに挿入して分散を補償す
るものであるから伝送損失はできる限り小さいことが必
要がある。そこで本発明は、かかる問題点を解決した分
散補償ファイバ及びその製造方法を提供することを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる分散補償
ファイバは、コア外径が1〜4μmであり、コアガラス
として石英ガラスにGeO2 が10mol%以上の所定
量添加され、クラッドガラスとして石英ガラスにフッ素
が0.5〜1.2wt%添加されたことを特徴とする。
【0005】また、本発明に係わる他の分散補償ファイ
バは、コア外径が1〜4μmであり、コアガラスとして
石英ガラスにGeO2 が10mol%以上30mol%
以下の所定量添加され、クラッドガラスとして石英ガラ
スにフッ素が0.5〜1.2wt%添加されたことを特
徴とする。また、本発明に係わる他の分散補償ファイバ
は、コア外径が1〜4μmであり、コアガラスとして石
英ガラスにGeO2 が20mol%以上30mol%以
下の所定量添加され、クラッドガラスとして石英ガラス
にフッ素が0.5〜1.2wt%添加されたことを特徴
とする。
【0006】さらに、本発明に係わる分散補償ファイバ
の製造方法は、コア外径が1〜4μmであり、コアガラ
スとして石英ガラスにGeO2 が10mol%以上添加
され、クラッドガラスとして石英ガラスにフッ素が0.
5〜1.2wt%添加された分散補償ファイバ用ガラス
母材を準備し、純石英クラッドの場合に比べて低温で該
母材を加熱溶融して、8kg/mm2 以上の張力で線引
することを特徴とする。
【0007】
【作用】上記の構成によれば、通常クラッド径(ファイ
バ外径)は125μmであり、コア径はクラッド径に比
べて十分小さいので線引き温度は殆どクラッドの融点で
決まる。従って、クラッドにフッ素をドープすると純石
英クラッドの場合に比べて融点が下がり、低温で線引き
することができ、コアにおけるGe欠陥の発生が減少す
るので伝送損失が低減する。また、コア及びクラッドに
添加されるドーパントの量が同じでも母材を加熱する温
度を下げ、張力の大きいところで線引きすることによっ
てGe欠陥の発生を抑えることができるので伝送損失を
低減することができる。上記のように添加するフッ素の
量を増加すると伝送損失を低減することができるが、一
定値以上添加するとフッ素による散乱損失が増加するこ
とになる。従って、フッ素の添加量には限界があり、
0.5〜1.2wt%の範囲が最適である。
【0008】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例を
説明する。図1はVAD法によって光ファイバ母材を作
成し、これを線引きして得られた本実施例に係わる分散
補償ファイバの屈折率分布を示す。中心から周辺に向か
って屈折率が2〜5乗又はステップ状で減少するように
GeO2の添加量を 調整した石英ガラスからなる円柱状
のコア部材を形成した。
【0009】また、均一にフッ素をドープした石英ガラ
スからなる円柱状のクラッド部材を形成し、その中心に
孔をあけて前記コア部材を挿入し、これらを加熱して光
ファイバ母材を形成した。次いで、この母材を線引きし
て分散補償ファイバを作成した。この分散補償ファイバ
のクラッド外径は125μmであり、コア外径はクラッ
ド外径に対して1〜3%とした。従来の1.3μm帯の
単一モードファイバのコア外径はクラッド外径(125
μm)に対して略10%であるが、分散補償ファイバに
おいてコア外径を細くしているのは、負の分散が効果的
に得られるからである。
【0010】図2は図1に示したファイバのコア部にG
eO2を20及び30mol%添加した分散補償ファイ
バについて、線引張力を変えたときの波長1.55μm
における伝送損失を示す。いずれの場合も張力が略8k
g/mm2までは張力に反比例して伝送損失が減少し、
さらに張力を増加しても一定である。この傾向は線引張
力を増加するために温度を下げるのでコア部のGe欠陥
の発生が抑制されるためである。
【0011】図3は図1に示したファイバのクラッド部
にフッ素を零及び1wt%添加し、コアに添加するGe
2をパラメータとした分散補償ファイバについて、波
長1.55μmにおける伝送損失を示す。線引張力はい
ずれも8kg/mm2以上で行なった。コアに添加され
たGeO2が少ないときは伝送損失に差は認められない
が10mol%を越えるとフッ素を添加した方が小さく
なる。クラッドにフッ素をドープすると線引温度が低く
なり、Ge欠陥の発生が抑えられるからである。GeO
2が少ないときはこの効果は少ないので差は現われな
い。
【0012】図4は図1に示したファイバのコア部にG
eO2を20及び30mol%添加し、クラッドに添加
したフッ素をパラメータとした分散補償ファイバについ
て、波長1.55μmにおける伝送損失を示す。線引張
力はいずれも8kg/mm2以上で行なった。フッ素の
添加量が0〜0.5wt%までの伝送損失は減少し(z
one1)、0.5〜1.2wt%の間は略最小値を示
し(zone2)、1.2wt%以上では上昇の傾向
(zone3)を示す。zone1ではフッ素をドープ
するに従って線引温度が低下するのでGe欠陥の発生が
減少し、zone3ではフッ素の量が多くなり過ぎて、
フッ素による散乱損失のため伝送損失が上昇する。従っ
て、フッ素の添加量は0.5〜1.2wt%の範囲が最
適である。
【0013】因みに本実施例における屈折率差は、Ge
2を30mol%添加 することによって+3.0%、
クラッドにフッ素1.2wt%添加することによって−
0.37%となり、屈折率差が3.37%の分散補償フ
ァイバが得られ、また、伝送損失は0.7dB/km、
波長分散は−117ps/nm/kmであった。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
コア径はクラッド径に比べて十分小さいので線引き温度
は殆どクラッドの融点で決まる。従って、クラッドにフ
ッ素をドープすると純石英クラッドの場合に比べて融点
が下がり、低温で線引きすることができ、コアにおける
Ge欠陥の発生が減少するので伝送損失が低減する。ま
た、コア及びクラッドに添加されるドーパントの量が同
じでも母材を加熱する温度を下げ、張力の大きいところ
で線引きすることによってGe欠陥の発生を抑えること
ができるので伝送損失を低減することができる。上記の
ように添加するフッ素の量を増加すると伝送損失を低減
することができるが、一定値以上添加するとフッ素によ
る散乱損失が増加することになる。従って、フッ素の添
加量には限界があり、0.5〜1.2wt%の範囲が最
適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係わる分散補償ファイバの屈折率分
布を示す図である。
【図2】本実施例に係わる分散補償ファイバの線引張力
に対する伝送損失の関係を示す図である。
【図3】本実施例に係わる分散補償ファイバのコアに添
加するGeO2に対する伝送損失の関係を示す図であ
る。
【図4】本実施例に係わる分散補償ファイバのクラッド
に添加するフッ素に対する伝送損失の関係を示す図であ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−30805(JP,A) 特開 平1−295207(JP,A) 特開 平2−133333(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 6/00 G02B 6/10 G02B 6/16 - 6/22

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア外径が1〜4μmであり、コアガラ
    スとして石英ガラスにGeO2 が10mol%以上の所
    定量添加され、クラッドガラスとして石英ガラスにフッ
    素が0.5〜1.2wt%添加されたことを特徴とする
    分散補償ファイバ。
  2. 【請求項2】 コア外径が1〜4μmであり、コアガラ
    スとして石英ガラスにGeO2 が10mol%以上30
    mol%以下の所定量添加され、クラッドガラスとして
    石英ガラスにフッ素が0.5〜1.2wt%添加された
    ことを特徴とする分散補償ファイバ。
  3. 【請求項3】 コア外径が1〜4μmであり、コアガラ
    スとして石英ガラスにGeO2 が20mol%以上30
    mol%以下の所定量添加され、クラッドガラスとして
    石英ガラスにフッ素が0.5〜1.2wt%添加された
    ことを特徴とする分散補償ファイバ。
  4. 【請求項4】 コア外径が1〜4μmであり、コアガラ
    スとして石英ガラスにGeO2 が10mol%以上添加
    され、クラッドガラスとして石英ガラスにフッ素が0.
    5〜1.2wt%添加された分散補償ファイバ用ガラス
    母材を準備し、純石英クラッドの場合に比べて低温で該
    母材を加熱溶融して、8kg/mm2以上の張力で線引
    することを特徴とする分散補償ファイバの製造方法。
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