JP2984179B2 - 無機絶縁膜を有するヒータ及びブラウン管の製法 - Google Patents

無機絶縁膜を有するヒータ及びブラウン管の製法

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JP2984179B2
JP2984179B2 JP6023571A JP2357194A JP2984179B2 JP 2984179 B2 JP2984179 B2 JP 2984179B2 JP 6023571 A JP6023571 A JP 6023571A JP 2357194 A JP2357194 A JP 2357194A JP 2984179 B2 JP2984179 B2 JP 2984179B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無機絶縁物で保護され
たヒータの製法に係り、特にブラウン管陰極加熱用ヒー
タとして優れた特性を有するヒータ及びブラウン管の製
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ブラウン管には、無機物の多孔
質膜からなる絶縁層を有するヒータが用いられている。
これらのブラウン管の陰極加熱用ヒータを図2に示す。
図2において、金属線コイル1、絶縁層2及びダーク層
3からなり、コイルドコイル形状を有している。絶縁膜
2はAl2 3 等を主成分とする無機絶縁粒子からな
り、金属線表面に密着して形成されている。ダーク層3
は絶縁膜2上に形成される。ヒータはスリーブ4に挿入
し頂部に陰極ペレット5を配している。図1は絶縁膜形
成後のヒータ断面の模式図である。コイル状の金属線1
は断面図においてMo芯線を溶解除去した後の空洞6の
周囲に位置している。その外側に絶縁膜2、ダーク層3
がある。絶縁膜形成時に特に均一付着・分布を要求され
るのは、コイル状の隣り合う金属線間7の箇所である。
【0003】従来のヒータでは陰極ペレット5を約11
00℃以上で加熱、作動させると、短期間で絶縁不良を
発生する。そのため、特開平3−37988号公報で
は、電気泳動法(以下電着)で膜形成を行なっており、
電着に用いる電解質が形成される膜形態に影響を及ぼす
現象を利用し、コイル状の隣り合う金属線間に充填率4
5〜75%(断面充填率)の無機絶縁膜を有する第1膜
(電解質:Al(NO33 と、第1膜上に第1膜と同
等以上の充填率を持つ第2膜(電解質:Al(NO3
3 +Mg(NO3 2 ・6H2 O)を形成し、絶縁膜の
膜充填率を均一にして、絶縁膜の強度及び絶縁特性を向
上させ、絶縁膜のクラック発生を防止し長寿命ヒータを
得ている。絶縁膜の膜充填率を均一にする方法として、
特開平4−127022号公報では、パルス電着と積層
電着を連続して行ない、コイル状の隣り合う金属線間に
均一に分布するようにセラミック粒子を付着させてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術で作製した
場合、高充填絶縁膜が得られるものの、粒子充填具合に
よっては部分的に低密度箇所が生じる場合があった。こ
の低密度箇所の形状が帯状の場合は、ヒータ動作の熱で
低密度箇所周囲の絶縁膜の焼結が進行すると内在するク
ラックとして作用し、絶縁膜の剥離、絶縁不良を引き起
こす原因になる。本発明の目的は、1100〜1400
℃の高温で動作するヒータが、安定して長時間使用に耐
えうる無機絶縁膜を有するヒータの製法、及びその用途
である該加熱用ヒータを用いたブラウン管の製法を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、金属線をコイルドコイル形状に成形
し、該金属線を被覆する無機物の多孔質膜から成る絶縁
膜を電気泳動法(電着)によって形成するヒータの製法
において、前記電気泳動法における前記絶縁膜形成電圧
を低電圧から高電圧へと段階的又は連続的に変化させな
がら通電することにより、前記絶縁膜無機絶縁粒子
填率45〜75%となるようにすることとしたもの
である。前記ヒータの製法において、ヒータ断面は、
金属線が楕円円周上に配置され、該金属線を取り囲むよ
うに絶縁膜が形成されているものである。
【0006】また、本発明金属線をコイルドコイル形
状に成形し、該金属線を電気泳動法によって被覆する工
程で作製された無機絶縁膜を有するヒータの製法におい
、該金属線を被覆する電気泳動法の工程が電流又は
電圧の制御の仕方により、コイル状の隣り合う金属線間
に無機絶縁粒子が均一に付着・分布する膜形成工程と、
無機絶縁膜の膜厚を調節する工程とからなり、前記膜形
成工程は、膜形成電圧を0から120Vの範囲で一定、
又は低電圧から高電圧へ段階的又は連続的に変化させな
がら、通電を断続的に行なうのがよく、また、前記無機
絶縁膜の膜厚を調整する工程は、膜形成電圧を0から1
20Vの範囲で低電圧から高電圧へ段階的又は連続的に
変化させながら、通電を断続的に行なうのがよい。
【0007】更に、前記膜形成工程が、定電流制御でか
つ、電流値はヒータの浸漬面積に応じて0.5mA/m
2以下にして作製するのがよく、その場合無機絶縁膜
の膜厚を調整する工程は、定電圧制御で行なうか、膜形
成電流を0.05〜1.5Aの範囲で一定又は連続的に
変化させて行なうのがよい。また、本発明では、蛍光面
と、該蛍光面に対向して設けられた電子銃、該電子銃は
スリーブ、該スリーブ先端に配設された陰極ペレットと
該スリーブ内に装着された陰極加熱用ヒータを備え、該
ヒータは金属線をコイルドコイル形状に成形しコイル
状の隣り合う金属線間及び金属線表面に無機絶縁物を被
覆した陰極加熱用ヒータであるブラウン管の製法におい
て、陰極加熱用ヒータは、無機絶縁膜を電気泳動法に
よって形成し、該電気泳動法における絶縁膜形成電圧を
低電圧から高電圧へと段階的又は連続的に変化させなが
ら通電することにより、前記絶縁膜の無機絶縁粒子の充
填率を45〜75%となるようにして製造することとし
たものである。
【0008】上記のように、本発明の無機絶縁膜を有す
るヒータは、通電を断続的に行い電着する方法(以下パ
ルス電着法)、及び定電流かつ低電流で電着する(以下
低・定電流電着法)方法により、粒子を均一に付着・分
布させて均一絶縁膜を形成することにより得られる。電
着は絶縁粒子と電解質を分散した分散媒にヒータと電極
を浸漬し、ヒータと電極間に電圧をかけると、絶縁粒子
が分散媒中を移動して、ヒータを覆い膜を形成する方法
である。パルス電着だけでは、均一な膜が形成されるも
のの、充分な膜厚が得られないため、何らかの後工程が
必要となる。引き続き、定電圧で電着を行った所、材料
の組み合わせによっては、パルス電着で形成した膜が剥
離するという現象が見られた。そこで、電着条件を検討
した結果、パルス電着で粒子が均一付着・分布している
膜を形成した後の膜厚調整工程は電着電圧を低い電圧か
ら高い電圧に変化させながら行なうと良好な結果が得ら
れた。
【0009】また、定電流制御でかつ電流値を規定して
電着を行なうと、コイル状の隣り合う金属線間に均一に
粒子が付着した膜が得られることを見いだした。図3に
低・定電流電着時のヒータの単位浸漬面積当たりの電流
値とコイル状の隣り合う金属線間の充填率を示す。ヒー
タの単位浸漬面積当たりの電流値を0.5mA/mm2
以下に規定すれば均一に粒子が付着した膜が得られる。
図2のヒータは電着時においては芯線(Moなどの高融
点金属で作製)に金属コイルを巻き付けた状態である。
この芯線はヒータ焼成工程後に酸溶解除去する。従っ
て、電着時のヒータの浸漬面積は図2のヒータ形状の場
合、電着液中に浸したコイル状の金属線と金属芯線の表
面面積の合計である。低・定電流電着で均一膜形成後、
膜厚調整工程を経て所定の膜厚を得る。低・定電流電着
後の膜厚調整工程はパルス電着の場合と違い、電圧を徐
々に上げる必要はなく、定電圧制御、定電流制御のいず
れの方法でも膜形成できる。
【0010】パルス電着法と低・定電流電着法の両者は
均一付着・分布した膜形成を可能にする。パルス電着+
電圧を低電圧から高電圧へ変化させた膜厚調整工程、低
・定電流電着+電圧制御又は電流制御の膜厚調整工程の
膜形成方法によって、粒子が均一付着・分布した高充填
の膜を得られ、かつ絶縁粒子に囲まれた空隙も円形に換
算して直径20μm以下にできる。空隙部の直径と充填
率の検証方法は、絶縁膜を有するヒータを樹脂などに埋
め込み、図1のような膜断面が露出するまで研磨する。
断面を画像解析し、絶縁粒子部と空隙部(樹脂)に分離
する。個々の空隙部の面積を計測し、円相当直径に換算
する。充填率は絶縁粒子部の面積を計測し解析面積を占
める絶縁粒子部の面積割合を算出する。
【0011】
【作用】粒子を均一に付着・分布させるため通電を断続
的に行うパルス電着、電圧を低電圧から高電圧へ変化さ
せて所定の膜厚まで絶縁膜を形成する膜厚調整工程の役
割を以下に示す。パルス電着膜はコイル状の隣り合う金
属線間を均一に充填する。膜厚調整工程は電着時にパル
ス電着膜が剥がれないように始めは低い電圧で膜を形成
し、徐々に厚い膜を形成する。その後、一定電圧で電着
を行い所定の膜厚にまで粒子を充填させる。ただし、電
着に使用する分散液に浸漬したまま、回路の切り替えで
電圧を変えているので、W線に付着しているだけの絶縁
粒子は、電圧を変えての膜形成時に若干の移動するた
め、絶縁膜全体は均一になる。
【0012】又、表1には本発明の製法で作製したヒー
タの膜断面充填率と粒子間の空隙部分の面積を円に換算
した直径を示す。本発明の製法で作製したヒータは、充
填率が高く、空隙部分の面積が小さくなっている。この
ため、クラックが発生しにくい膜構造になっている。電
着の機構は、電着時に電圧を加えると、電気は流れやす
い経路を通るため、ヒータのコイル状に巻かれている金
属線の頂点(凸部)と電極の間が流れやすい。そのた
め、ヒータと電極の間の分散液には電位勾配が生じる。
分散液中の絶縁粒子は、ヒータを構成する金属線と電極
間に生じる電位勾配に沿って移動し、ヒータに付着し膜
を形成する。
【0013】パルス電着は電位勾配が生じ絶縁粒子が移
動しヒータ表面に付着し膜を形成するのに要する時間よ
り短い時間で通電を休止するから、電位勾配に影響され
ずに、均一な膜ができる。そのパルス膜に電圧を加えた
電着を行なうと、膜厚が薄いので急激な電位勾配が生
じ、コイル状の金属線の頂点から膜形成を始める。その
ため、パルス電着膜形成後、電圧を加えて膜を形成する
と剥離が生じる。
【0014】そこでパルス膜を形成した後、始めに低い
電圧を膜形成すると、その後に高い電圧で膜形成しても
急激な電位勾配の部分は始めの低い電圧が既に膜形成し
ているため、膜を剥離させるまでには至らない。また、
電圧を低電圧から高電圧へ変化させる条件を適当な値を
設定することにより、実質的にはその後の高電圧一定で
電着する工程は省略できる。本発明の絶縁膜形成方法
は、膜を形成する電着が1回ですむため絶縁膜形成の工
程を増やすこともない。電圧を変えての電着を行なうの
でヒータに付着した絶縁粒子の移動が起こりヒータ全体
を均一にする効果が期待でき、結果的に空隙部面積を小
さく出来る。電圧を変える作業も専用機を用いれば作業
増加にはならない。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例1 図4は本発明の無機絶縁ヒータの断面模式図である。図
4(a)はパルスの絶縁膜又は低・定電流電着膜8後の
状態、図4(b)は図4(a)の後に膜厚調整工程の電
着膜9とダーク層3を形成した状態を示す模式図であ
る。図4(a)の第1膜の絶縁膜8は、電着によりAl
2 3 粒子をコイル状の金属線1より5μm位高くなる
ように形成した。したがって全体の厚さは35μmであ
る。分散液は電解質成分のAl(NO3 3 、Mg(N
3 2 ・6H2 Oをエタノール水溶液8リットルに溶
解し、無機絶縁粒子として純度99.9%以上の平均粒
径4μmのAl2 3 粒子を9kg配合した。
【0016】この分散液を用いて、直径110μmのM
o金属芯線に直径30μmの3%Re−W線を巻き回し
たコイル状の金属線を負極、アルミニウム電極を正極に
接続し、電圧を80Vで、50ms通電、100ms休
止(1パルス)を10回行ないパルス膜を形成し、その
後、回路を組み替えて電圧0から60Vまで30V/se
c で昇圧し、再度回路を組み替えて60Vで2秒、通電
して膜形成した。電着時間は合計5.5sec であった。
実施例1での電着時間と電圧の関係を図5に示す。膜厚
調整工程初期の電圧は0から60Vに昇圧しているが、
開始電圧が高くなるとパルス膜の剥離が生じやすいので
低い電圧が望ましく、推奨は0から20Vである。
【0017】昇圧速度は、低い方が望ましく、50V/
sec 以下で行なえばパルス膜の剥離を防止できる。ま
た、昇圧速度を低くし、20V/sec で電着時間を3se
c 以上確保できれば、その後の高電圧一定で行う電着を
省略できる。電圧は30〜120Vの範囲で行なえばよ
い。その後、平均粒径1μm、純度99.9%以上のW
粒子を分散懸濁した液で浸漬塗布しダーク層を形成し
た。次いで、これを1600℃の水素雰囲気中で5分間
焼成し、絶縁膜を形成した。焼成後のダーク層を含む絶
縁膜厚は110μmであった。焼成終了後、Mo金属芯
線を硝酸と硫酸との混合液により溶解除去し、水洗い、
乾燥して無機絶縁ヒータを作製した。
【0018】尚、無機絶縁粒子の充填率は、得られたヒ
ータをエポキシ樹脂に埋め込み、硬化後、充填率測定に
必要なヒータ断面を露出するように切断し、最終的に
0.25μmのダイヤモンドスプレーで断面を研磨し、
研磨面の各視野を200から3000倍のSEM顕微鏡
写真を撮影し、画像処理装置(Joyce-Loebel社製 Magis
can 2A) を用いて粒子断面積/解析面積の面積比から充
填率を求めた。また、個々の空隙部を読み込んで空隙部
面積の円相当直径を求めた。表1に測定した膜断面充填
率と粒子間の空隙部分の面積を円に換算した直径を示
す。膜全体としては充填率が60%程度と高く、粒子間
の空隙部分の面積を円に換算した直径が15μm程度で
あった。
【0019】本実施例と比較例のヒータを寿命試験にか
けたときのヒータ電流、リーク電流を図6に示す。両者
の充填率、最大空隙部の円相当直径を表1に示してい
る。寿命試験ではヒータ使用電圧より高い電圧で5分通
電し、15分休止するサイクルを繰り返す。絶縁膜の劣
化やクラックの発生などがあるとリーク電流は増加し、
ヒータ電流は減少する。比較例では寿命試験時間100
0時間以上でリーク電流の増加、ヒータ電流の低下が認
められるの対して実施例では6000時間まで変化がな
い。
【0020】実施例2 実施例1と同じ分散液を使用して電着の膜厚調整工程の
電圧プロフィールを変更して、ヒータ絶縁膜を作製し
た。図7に電着時間−電圧を示す。電圧を80Vで、5
0ms通電、100ms休止(1パルス)を10回行な
いパルス膜を形成し、その後、回路を組み替えて電圧0
から60Vまで20V/sec で昇圧し膜形成した。電着
時間は合計4.5sec であった。その後、ダーク層を浸
漬塗布し、水素雰囲気中1600℃で5分間焼成し絶縁
膜を形成した。焼成後の絶縁膜厚は110μmを得られ
た。表1に断面解析結果を示す。平均充填率57%、円
換算した空隙部の直径は17μmであった。昇圧速度を
低くし電着時間を長くすると高電圧一定の電着を省略し
ても充分な膜厚の絶縁膜を形成できた。
【0021】実施例3 実施例1と同じ分散液を使用して電着の膜厚調整工程の
電圧プロフィールを変更して、パルス的な電圧を加えて
ヒータ絶縁膜を作製した。図8に電着時間一電圧を示
す。電圧を80Vで、50ms通電、100ms休止
(1パルス)を10回行ないパルス膜を形成し、その
後、回路を組み替えて電圧0〜60Vまで昇圧速度10
V/sec にし、パルス的に通電、休止を連続的に変化さ
せ、膜を形成した。電着時間は合計6秒であった。ダー
ク層を塗布して水素雰囲気中で焼成した後の絶縁膜厚は
110μmを得られた。表1に断面解析結果を示す。充
填率62%、円換算した空隙部の直径は14μmであっ
た。パルス電着後の膜厚調整工程の初期電圧を0Vから
始めることにより、パルス的な電圧印加法で絶縁膜を形
成しても充填率が高く、均一な膜を形成することが出来
る。
【0022】実施例4 実施例1と同じ分散液を使用して電着の膜調整工程の電
圧プロフィールを変更して、段階的に高くなる電圧を加
えてヒータ絶縁膜を作製した。図9に実施例4の電着時
間−電圧を示す。電圧を80Vで、50ms通電、10
0ms休止(1パルス)を10回行ないパルス膜を形成
し、その後、回路を組み替えて段階的に電圧昇圧した。
電圧と通電時間は、5Vを0.5s、10Vを0.5
s、20Vを1s、40Vを2s、60Vを1sとし、
膜を形成した。電着時間は合計6.5秒であった。ダー
ク層を塗布して水素雰囲気中で焼成した後の絶縁膜厚は
110μmを得られた。表1に断面解析結果を示す。充
填率55%、円換算した空隙部の直径は19μmであっ
た。パルス電着後の膜厚調整工程の初期電圧を20V以
下から始めて段階的に昇圧する電圧印加方法を用いて絶
縁膜を形成しても充填率が高く、均一な膜を形成するこ
とができる。
【0023】実施例5 実施例1と同じ分散液を使用し、低・定電流電着を行っ
た後、膜厚調整工程は電圧制御でヒータ絶縁膜を形成し
た。図10に実施例5の電着時間−電流及び図11に電
着時間−電圧を示す。試料は線径43μmの3%Re−
W線をダブルコイル状に形成したヒータを使用した。図
10のように、低・定電流電着の条件は電着本数30本
/回(浸漬面積421mm2 )、電流値0.18A、電
圧20V、電着時間5秒である。また、図11のよう
に、膜厚調整工程は電圧を0→60Vに5秒間で連続的
に変化させた。表1に断面解析結果を示す。充填率62
%、円換算した空隙部直径は18μmであった。本実施
例と比較例のヒータを寿命試験にかけたときのヒータ電
流、リーク電流を図6に示す。実施例1と同様に寿命試
験6000時間でもリーク電流の増加及びヒータ電流の
減少は認められず寿命ヒータが得られている。
【0024】実施例6 実施例5と同じ分散液を使用して低・定電流電着を行っ
た後、膜厚調整工程の電圧プロフィールを変更してヒー
タ絶縁膜を作製した。図12に実施例6の電着時間−電
流及び図13に電着時間−電圧を示す。実施例5と同条
件で低・定電流電着で膜形成した後、電圧を100Vで
3秒間で保持した。表1に断面解析結果を示す。充填率
58%、円換算した空隙部直径は18μmであった。低
・定電流電着後の一定電圧の電圧制御の膜厚調整工程を
行い膜形成すると良好な膜が形成できる。
【0025】実施例7 実施例5と同じ分散液を使用して低・定電流電着を行っ
た後、膜厚調整工程は電流制御でヒータ絶縁膜を作製し
た。図14に実施例6の電着時間−電流を示す。実施例
5と同条件で低・定電流電着で膜形成した後、電流を
0.18Aから0.25A/sec の増加率で2秒間行っ
た後、0.68Aで5秒間保持した。表1に断面解析結
果を示す。充填率58%、円換算した空隙部直径は18
μmであった。低・定電流電着後の電流制御の膜厚調整
工程を行い膜形成すると良好な膜が形成できる。尚、低
・定電流電着後の膜厚調整工程は実施例にかかわらず電
圧制御、電流制御いずれでも良好な膜形成ができる。
【0026】
【表1】
【0027】実施例8 図15はブラウン管の断面図である。該ブラウン管は漏
斗状をしたガラス管で、電子銃10と蛍光面11を封入
してある。ガラスバルブは膨らんだコーン部と細い円筒
状にネック部から構成され、コーン部の底に蛍光体(電
子銃照射により蛍光する物質)が塗布されており、高真
空で封入されている。電子銃10は、本発明のヒータで
ある陰極加熱用ヒータ12によって電子を放出する陰極
13、その電子の流束をまとめて電子ビームとして高速
度に加速すると共に、蛍光面上に収束するための円筒電
極(グリッド)14から構成されている。偏向ヨーク1
5、アノードボタン16を備え、ネック部やコーン部の
内面には導電膜17(蛍光面11を覆っているアルミニ
ウム膜)が形成されている。
【0028】
【発明の効果】本発明のヒータは、充填率が高く、絶縁
膜断面の空隙部が小さいブラウン管陰極加熱用ヒータ並
び前述の特徴を持つ無機絶縁膜ヒータを簡便に作製でき
る製造方法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】絶縁膜断面模式図。
【図2】陰極加熱用ヒータの外観模式図。
【図3】ヒータの単位浸漬面積当たりの電流値と金属線
コイル間の充填率の関係を示すグラフ。
【図4】膜形成過程の模式図。
【図5】実施例1の電着電圧波形図。
【図6】実施例と比較例の寿命試験時間とヒータ電流、
リーク電流の変化を示すグラフ。
【図7】実施例2の電着電圧波形図。
【図8】実施例3の電着電圧波形図。
【図9】実施例4の電着電圧波形図。
【図10】実施例5の電着電流波形図。
【図11】実施例5の電着電圧波形図。
【図12】実施例6の電着電流波形図。
【図13】実施例6の電着電圧波形図。
【図14】実施例7の電着電流波形図。
【図15】本発明の加熱用ヒータを用いたブラウン管の
断面図。
【符号の説明】
1…コイル状の金属線、2…Al2 3 膜、3…ダーク
層、4…スリーブ、5…陰極ペレット、6…Mo芯線溶
解後の空洞、7…コイル状の隣り合う金属線間、8…パ
ルス電着又は低・定電流電着で形成した絶縁膜、9…膜
厚調整工程の膜、10…電子銃、11…蛍光面、12…
陰極加熱用ヒータ、13…陰極、14…円筒電極、15
…偏向ヨーク、16…アノードボタン、17…導電膜、
18…ソケットピン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 倫秀 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日 立製作所電子デバイス事業部内 (72)発明者 井崎 直幸 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所 日立研究所内 (56)参考文献 特開 平3−37988(JP,A) 特開 平4−127022(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 1/24 H01J 9/08 H01J 29/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属線をコイルドコイル形状に成形し、
    該金属線を被覆する無機物の多孔質膜から成る絶縁膜を
    電気泳動法によって形成するヒータの製法において、
    記電気泳動法における前記絶縁膜形成電圧を低電圧から
    高電圧へと段階的又は連続的に変化させながら通電する
    ことにより、前記絶縁膜無機絶縁粒子の充填率45
    〜75%となるようにすることを特徴とする無機絶縁膜
    を有するヒータの製法
  2. 【請求項2】 蛍光面と、該蛍光面に対向して設けられ
    た電子銃、該電子銃はスリーブ、該スリーブ先端に配設
    された陰極ペレットと該スリーブ内に装着された陰極加
    熱用ヒータを備え、該ヒータは金属線をコイルドコイル
    形状に成形し、コイル状の隣り合う金属線間及び金属線
    表面に無機絶縁物を被覆した陰極加熱用ヒータであるブ
    ラウン管の製法において、陰極加熱用ヒータは、無機
    絶縁膜を電気泳動法によって形成し、該電気泳動法にお
    ける絶縁膜形成電圧を低電圧から高電圧へと段階的又は
    連続的に変化させながら通電することにより、前記絶縁
    膜の無機絶縁粒子の充填率45〜75%となるように
    製造することを特徴とするブラウン管の製法
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