JP2984014B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔概 要〕 プラズマディスプレイパネル(PDP)の製造方法に関
し、 表示動作の安定化に要する時間を短縮し、生産性の向
上を図ることを目的とし、 少なくとも片側の基板に電極、誘電体層、及び保護用
酸化膜を順次形成した一対の基板を間隙を設けて対向配
置し、両基板の周囲を封止して放電空間を形成したプラ
ズマディスプレイパネルの製造方法において、前記放電
空間に対して還元ガスの充填及び排出を行う工程を含む
ことを特徴として構成される。
〔産業上の利用分野〕
本発明は、PDPの製造方法に関する。
PDPは、薄い奥行きで大型の表示画面を実現できるた
め、各種機器の表示手段として広く利用されつつある。
それ故、生産性の向上による低価格化が要望されてい
る。
〔従来の技術〕
周知のように、PDPは、表示面側及び背面側の一対の
透明基板を放電間隙を設けて対向配置し、少なくとも一
方の透明基板の内側に設けた電極によって画定される放
電セルを選択的に発光可能に構成されている。
例えば、AC(交流)駆動方式の対向電極型PDPの製造
においては、一対のガラス基板のそれぞれの表面に、複
数の帯状の電極、誘電体層、保護膜を順次形成し、各ガ
ラス基板の電極が格子状に対向するように両ガラス基板
を所定の間隙を設けて配置し、封止ガラスによって周囲
を密封する。
保護膜は、誘電体層の劣化を防止するとともに、2次
電子放出により放電開始電圧を下げる作用をもつ。
そして、排気処理によって間隙を真空状態とした後
に、所定の圧力となるように放電用のガスを封入し、PD
Pの組み立てを終える。
その後、従来においては、全ての放電セルを所定時間
だけ発光させる処理、すなわちエージングが行われる。
エージングを実施することにより、内部において各放電
セルの近辺が化学的及び物理的に浄化され、その後の発
光が安定なものとなる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、MgO(酸化マグネシウム)などの酸化
金属膜からなる保護膜を有したPDPに対しては、48時間
以上のエージングが必要であり、PDPの生産性が低いと
いう問題があった。
本発明は、上述の問題に鑑み、表示動作の安定化に要
する時間を短縮し、生産性の向上を図ることを目的とし
ている。
〔課題を解決するための手段〕
請求項1の発明に係る方法は、電極13、誘電体層15、
及び当該誘電体層15を覆う保護用酸化膜21を順次形成し
た基板11と他の基板12とを間隙を設けて対向配置し、両
基板11,12の周囲を封止して形成される放電空間19を有
するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記放電空間19の排気を行い、真空状態の前記放電空間
19に還元ガスを充填して前記保護用酸化膜21から過剰の
酸素を析出させ、再び排気を行った後に前記放電空間19
に放電ガスを充填するものである。
〔作 用〕
放電空間19に対して還元ガスが充填される。
還元ガスは、保護用酸化膜21,22の表層部に存在する
過剰の酸素を放電空間19に析出させ、保護用酸化膜21,2
2を還元する。
これにより、放電特性に影響を与える保護用酸化膜2
1,22の酸化状態が安定なものとなる。
析出された酸素は、還元ガスとともに外部へ排出され
る。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
第3図は本発明の実施例に係る対向放電型PDP1の断面
図である。
PDP1は、表示側のガラス基板11、背面側のガラス基板
12、各ガラス基板11,12の表面に形成されたX電極13及
びY電極14、遮光マスク20、低融点ガラスからなる誘電
体層15,16、酸化マグネシウムからなる保護膜21,22、周
囲を密封する封止ガラス17、及び球状のスペーサ8,8…
などから構成され、スペーサ8によって間隙寸法が規定
された放電空間19には、ネオン(Ne)及びキセノン(X
e)を混合した放電ガスが封入されている。第3図にお
いて、ガラス基板11の上面が表示面となる。
なお、PDP1の製造段階においては、放電空間19を真空
状態とした後に放電ガスを注入するために、封止ガラス
17に図外の通気路が設けられる。
第2図は本発明を実施するための排気装置30の概略の
構成を示す図である。
排気装置30は、封止ガラス17による密封工程を経た段
階の多数のPDP1aを一括して加熱可能なベーキング炉3
1、配管34を介して各PDP1aの放電空間19の内部気体を吸
引する真空ポンプ32、窒素ガスボンベ35、水素ガスボン
ベ37、放電ガスボンベ36、及びPDP1aに対する排気又は
ガスの充填を切り換えるための弁装置33から構成されて
いる。なお、水素ガスボンベ37には、水素の容量比を20
%としたアルゴン(Ar)と水素の混合ガスが充填されて
いる。また、各ガスボンベ35,36,37には、ガス圧を調整
するための調圧弁が設けられている。
第1図は本発明に係る排気処理を示す図である。
第2図をも参照しつつ、まず、多数のPDP1aをベーキ
ング炉31内にてそれぞれ配管34に接続する。そして、各
ボンベ35〜37に至る経路が閉じ、配管34と真空ポンプ32
とが連通するように弁装置33を切り換える。
常温で、PDP1aに対する排気を開始し、放電空間19が1
0-4[Torr]程度の真空状態になった時点t0で、排気を
行いつつベーキング炉31による加熱を始め、PDP1aを昇
温する。
加熱により、放電空間19の残留ガスの運動が活発にな
る。したがって、残留ガスが真空ポンプ32によって吸引
され易くなり、ベーキング炉31内の温度が360[℃]に
達した時点t1で、放電空間19は10-5[Torr]程度の真空
状態になる。
その後、360[℃]の温度を時点t1〜t3までの約4時
間の期間Tにおいて一定に保ち、ベーキングを継続す
る。
本実施例では、ベーキング中の期間Tにおいて、放電
空間19への浄化用ガス(窒素ガス又は水素ガス)の充填
と排気とを30分毎に交互に行う。
すなわち、時点t1で弁装置33を切り換え、まず、放電
空間19の圧力が500〜600[Torr]になるように窒素ガス
(N2)を充填する。
これにより、熱エネルギーを得て放電空間19を活発に
運動するN2(分子)が、保護膜21,22の表面などに吸着
している残留ガス(分子)に衝突し、両分子間で運動エ
ネルギーの交換が起こり、残留ガスが弾き飛ばされるよ
うに吸着状態から解放されて放電空間19で活発に運動す
る。
1回目のN2の充填から30分が経過した時点で、弁装置
33を切り換え、一旦、真空ポンプ32によって放電空間19
の内部気体の吸引を行う。
吸着状態から解放された残留ガスは、N2とともに排気
される。
30分の排気の後に、2回目のN2の充填を行って再び排
気する。3回目のN2の充填及び排気が終了した時点t2で
弁装置33を切り換える。
そして、続いて水素ガス(H2)を放電空間19に充填す
る。
H2は、保護膜21,22の表層部に存在する過剰の酸素を
放電空間19に析出させ、保護膜21,22を還元する。
これにより、従来において実施されていたエージング
の効果と同様に、放電特性に影響を与える保護膜21,22
の酸化状態が安定なものとなる。
H2の充填から30分が経過した時点で、弁装置33を切り
換え、真空ポンプ32によって放電空間19の内部気体の吸
引を行う。これにより、析出された酸素がH2とともに外
部へ排出される。
期間Tが終了すると、排気を続けながら、ベーキング
炉31による保温を停止し、PDP1aを自然冷却する。
その後においては、放電空間19に、放電ガスボンベ36
から放電ガスを500〜600[Torr]の圧力になるように封
入し、PDP1を完成させる。
上述の実施例によれば、水素ガスの充填を含む排気処
理を実施することにより、PDP1の表示動作が安定となる
ので、エージングを省略することができ、PDP1の製造工
数を削減できる。
上述の実施例によれば、残留ガスの内のCOは、N2と分
子量が等しい(ともに分子量は28)ので、N2との運動エ
ネルギーの交換の効率が高く、吸着状態から解放されて
排出され易い。
つまり、分子を衝突させて物理的に残留ガスの吸着状
態を解くために充填するガスをN2とすることにより、特
にPDP1において放電特性や寿命に対する影響が大きい残
留ガスとして知られるCOを効率よく排出することが可能
となり、PDP1の信頼性の向上及び長寿命化を図ることが
できる。
上述の実施例において、排気処理についての設定条件
(排気プロファイル)、すなわち、加熱温度、N2又はH2
の充填圧力、充填期間又は排気期間の長さ、ガスの充填
と排気の繰り返しの回数などは、排気処理の対象に応じ
て適宜設定することができる。
なお、本発明は、対向放電型PDPに限らず面放電型PDP
にも適用可能である。
〔発明の効果〕
本発明によれば、表示動作の安定化に要する時間を短
縮することができ、PDPの生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る排気処理を示す図、 第2図は本発明を実施するための排気装置の概略の構成
を示す図、 第3図は本発明の実施例に係るPDPの断面図である。 図において、 1はPDP(プラズマディスプレイパネル)、 11,12はガラス基板(基板)、 13はX電極(電極)、 14はY電極(電極)、 15,16は誘電体層、 19は放電空間、 21,22は保護膜(保護用酸化膜)である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 9/39 H01J 11/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電極、誘電体層、及び当該誘電体層を覆う
    保護用酸化膜を順次形成した基板と他の基板とを間隙を
    設けて対向配置し、両基板の周囲を封止して形成される
    放電空間を有するプラズマディスプレイパネルの製造方
    法において、 前記放電空間の排気を行い、真空状態の前記放電空間に
    還元ガスを充填して前記保護用酸化膜から過剰の酸素を
    析出させ、再び排気を行った後に前記放電空間に放電ガ
    スを充填する ことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方
    法。
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