JP2983861B2 - 臭気性および成形加工性に優れた熱交換器用アルミニウムフィン材 - Google Patents

臭気性および成形加工性に優れた熱交換器用アルミニウムフィン材

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JP2983861B2 JP6285255A JP28525594A JP2983861B2 JP 2983861 B2 JP2983861 B2 JP 2983861B2 JP 6285255 A JP6285255 A JP 6285255A JP 28525594 A JP28525594 A JP 28525594A JP 2983861 B2 JP2983861 B2 JP 2983861B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレス成形加工性およ
び臭気性に優れた熱交換器用親水性アルミニウム又はア
ルミニウム合金(以下単にアルミニウムと称す)フィン
材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】空調機のエバポレーターやコンデンサー
など熱交換器においては、フィンの表面に結露で水が付
着すると、通風抵抗が増大するために熱交換効率が低下
する。そこで、結露しても水滴になりにくいようにフィ
ン表面の水濡れ性を改善するために、フィン用のアルミ
ニウム薄板にあらかじめ親水性皮膜を形成したプレコー
トフィン材が現在では主流となっており、ケイ酸塩処
理、シリカゾル処理、ベーマイト処理等の無機系処理あ
るいはシリカレスの有機樹脂による有機系処理が行われ
ている。
【0003】アルミニウム薄板をフィンに成形するに
は、通常、条材の状態でフィンプレス機にかけ、高速で
連続的に成形することが行われる。この成形は張出し、
絞り、しごき、打ち抜き、穴拡げ、曲げ、コルゲート加
工、ルーバー加工などが組み合わさったもので非常に高
度の成形性を要する。アルミニウム薄板のフィン成形時
にはプレス油の塗油を行うが、最近は、環境汚染の問題
からフロン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンな
どの塩素系溶剤による洗浄脱脂がいらない揮発性プレス
油が使用されるようになっている。従来から、ケイ酸塩
処理、シリカゾル処理、ベーマイト処理等の無機系処理
では、金型摩耗の問題があり、プレス油の揮発性化に伴
いその問題はさらに顕著になっている。
【0004】また、ケイ酸塩処理、シリカゾル処理、ベ
ーマイト処理等の無機系処理では、熱交換器として組み
上げ中、およびエアコンとして可動中のほこり臭あるい
はシリカ臭とも言われる臭気性が問題となることがあ
る。一方、有機系処理では、成形性, 臭気性は良好であ
るものの、親水性が問題であり、特に親水持続性が無機
系処理と比較して劣り、フィンの表面に結露水が付着し
て通風抵抗が増大し、熱交換効率が低下する恐れがあ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、フィン成形時において揮発性プレス油を使用しても
金型摩耗の問題がなくて成形性が良好であり、しかも熱
交換器として組み上げ中、およびエアコンとして可動中
の臭気性が良好な、親水性に優れるアルミニウムフィン
材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を進めてきた結果、アルミニウム
薄板に、親水性が大変良好なシリカおよびケイ酸塩の内
から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物を含有する
親水性皮膜を形成させ、さらにその上に潤滑性樹脂組成
物の皮膜を被覆すると、親水性能が落ちることなく、プ
レス成形加工性が向上し、しかもその後の臭気性にも優
れることを見出して本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金薄板
の上に、シリカおよびケイ酸塩の内から選ばれた少なく
とも1種のケイ素化合物を含有する親水性皮膜を形成
し、その上に(a)水酸基および/又はカルボキシル基
を有する樹脂100重量部に対し、(b)C鎖が2〜6
のエステルおよび/又は多価アルコールを 1.0〜3
0重量部含有させた樹脂組成物の皮膜を0.1〜5.0
μm形成することを特徴とする臭気性および成形加工性
に優れた熱交換器用アルミニウムフィン材を提供するも
のである。
【0007】本発明において基材として用いられるアル
ミニウム薄板は、純アルミニウムの規格又はアルミニウ
ム合金組成は特に制限はなく、一般にアルミニウムフィ
ン材として使用されるものであれば使用できるが、好ま
しいものとしてJIS A1050、A1100やA3
003あるいはそれらの相当品を挙げることができる。
このアルミニウム薄板の厚さは通常0.1〜0.2mm
であるが、これに制限されるものではない。
【0008】
【作用】熱交換器用アルミニウムフィン材の成形は、ド
ローレス成形が主流となっているが、この方式は、図1
(イ)〜(ホ)に示すように、アルミニウム薄板1に対
するピアスバーリング(ロ),第1アイアニング
(ハ),第2アイアニング(ニ),リフレア(ホ)の工
程からなっている。この場合、(ニ)の第2アイアニン
グポンチ2と第2アイアニングダイス3による第2アイ
アニング工程は成形条件が厳しく、特に前記第2アイア
ニングポンチ2は摩耗を受けやすい。従って、本発明
は、アルミニウム薄板に、親水性が大変良好なシリカお
よびケイ酸塩の内から選ばれた少なくとも1種のケイ素
化合物を含有する親水性皮膜を形成させ、さらにその上
に潤滑性樹脂組成物の皮膜を被覆することにより、親水
性能を落とすことなくプレス成形加工性を向上させたの
である。また、表面を有機樹脂皮膜で被覆することによ
り、ケイ素化合物を含有する親水性皮膜を覆うことにな
り、問題となるほこり臭あるいはシリカ臭の発生を防ぐ
ことができるのである。
【0009】本発明に用いられる潤滑樹脂組成物に使用
するベース樹脂は、水酸基および/又はカルボキシル基
を有する樹脂であるが、このような樹脂としては、例え
ば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポ
キシ樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン
樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。これ
らベース樹脂中に反応促進剤、安定剤、分散剤等の一般
的な添加剤を本発明の目的とする効果を損なわない範囲
で適宜添加することは可能である。
【0010】次に、エステルおよび多価アルコールにつ
いて説明する。エステルおよび多価アルコールは水溶性
の性質を持ち、乳化性とともに潤滑性があることが知ら
れており、圧延油には極圧添加剤として使用されている
ものもある。具体的には、エステルでは、ギ酸メチル,
ギ酸エチル,酢酸メチル,酢酸エチル,アセト酢酸エチ
ル,グリコール酸メチル,シュウ酸ジメチル,マレイン
酸ジメチル,酪酸メチル,吉草酸メチル,カプロン酸メ
チル等が挙げられ、多価アルコールでは、エチレングリ
コール,プロピレングリコール,グリセリン,ジエチレ
ングリコール,トリエチレングリコール,ブタンジオー
ル,ヘキサンジオール,アラビット,ソルビット,マン
ニット等が挙げられる。
【0011】本発明において、エステルおよび/又は多
価アルコールの添加量は、水酸基および/又はカルボキ
シル基を有する樹脂100重量部に対し、1.0〜30
重量部含有させる。1.0重量部未満では潤滑効果が十
分でなく、30重量部を越えると樹脂の凝集力と密着力
が低下するため、加工時に樹脂皮膜の剥離を生じやすく
なる。添加するエステルおよび/又は多価アルコールの
C鎖は、2〜6とする。C鎖とは連続するCの結合にお
けるC数のことを言う。C鎖が7以上のエステルおよび
/又は多価アルコールを添加すると親水性を阻害するか
らである。
【0012】また、このような樹脂組成物の皮膜の膜厚
は0.1〜5.0μmとする。0.1μm未満では潤滑
性が十分ではなく、また、5.0μmを越えると皮膜が
厚くなることによりプレス成形性が低下し、経済的でも
ないからである。このような樹脂組成物の皮膜の下地処
理としてクロメート皮膜を形成させると、密着性が向上
し、プレス成形性はさらに良好となる。また、耐食性も
さらに向上する。クロメート処理としては、塗布型クロ
メート,電解クロメートあるいはリンスタイプのクロム
酸クロメート,りん酸クロメート等があるが、いずれで
も十分な効果が見られる。
【0013】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に
説明する。工業用純アルミニウム(JIS A1100
−H26,厚さ0.10mm)の条材を用いて、その両
面を連続的に脱脂した後、りん酸クロメート処理を行
い、その後、表1および表2に示す材質の親水性処理剤
を塗布し、焼付け後、その上に潤滑性樹脂組成物を塗布
し、焼付けを行った。脱脂は、市販の弱アルカリ性洗剤
を用い、りん酸クロメート処理は、日本ペイント製のア
ルサーフ401−45(商品名)を用いてCr量が20
mg/m2 になるように処理した。親水性処理剤および
潤滑性樹脂組成物は、ロールコーターにてそれぞれ塗布
し、熱風乾燥炉で200℃で15秒間の焼付けを行っ
た。樹脂皮膜の成分組成および被覆量を表1および表2
に併記する。
【0014】なお、クロメート処理後潤滑性樹脂組成物
の樹脂被覆のみ(比較例16)、ケイ酸塩の親水性処理
のみ(比較例17)、いずれの処理も行わなかった無塗
装(比較例18)の場合についても実験を行った。こう
して得られた条材をフィン成形プレスにかけ、揮発性プ
レス油〔出光製AF−2C(商品名)〕を用いて連続5
0万ショットを行った。プレス成形性は、工具の摩耗量
〔図2(b)に示す成形後(50万ショット後)のピア
スポンチ(注1)の端面4のR部径(曲率半径)、R部
径が大きい程摩耗が大である〕と焼付き状況(50万シ
ョット後の第2アイアニングポンチの外観(異常なし:
○、異物付着(焼付きあり):△,異物付着(傷あ
り):×)およびリフレア割れの発生率で評価した。 (注1)ピアスバーリング(図1(ロ)参照)に使用さ
れる。
【0015】親水性は、乾湿10サイクル(1サイク
ル:水道水浸漬8時間−80℃乾燥16時間)後の水と
の接触角で評価した。さらに、成形されたフィンを積層
させ、銅管を挿入、拡管してコアを作成し、そのコアに
霧吹きで水を噴霧し、水溜り、ブリッジの有無でも評価
した(水溜り, ブリッジ無:○,有:×)。 また、そ
のコアに息を吹きかけて臭気性を評価する官能試験を、
5人のパネラーにより5段階評価(無臭:1〜強臭:
5)で行った。以上の結果を表3(本発明例), 表4
(比較例)に示す。
【0016】表2、表4から明らかなように、本発明の
範囲を外れる樹脂組成物を用いるか、又は樹脂組成物の
被覆膜厚が薄すぎた比較例No.11〜13では、リフレ
ア割れの発生率が大きくなり、工具摩耗が大きく、焼付
きも見られる。C鎖が7以上の多価アルコール又はエス
テルを用いた比較例No.14〜15では、接触角が大き
くなり、親水性が悪くなる。また、シリカおよび/又は
ケイ酸塩の親水性処理を行わず、樹脂被覆のみを行った
比較例No.16でも接触角が大きくなり、親水性が悪く
なる。一方、樹脂被覆を行わず、ケイ酸塩の親水性処理
のみを行った比較例No.17は、リフレア割れの発生率
が著しく大きく、工具摩耗も大きく、傷も見られる。ま
た、臭気性も悪い。無塗装材の比較例No.18は、シリ
カおよび/又はケイ酸塩の親水性皮膜がないため、成形
加工性は良好であるが、接触角が大変大きく、霧吹き試
験で水溜り、ブリッジが多数発生した。
【0017】これに対して、表1、表3から明らかなよ
うに、本発明例No.1〜10では、リフレア割れの発生
率が低く、工具摩耗を起こさず、焼付きもなくプレス成
形性が良好である。また、親水性も十分良好であり、臭
気性も大変良好である。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によるアル
ミニウムフィン材は、アルミニウム薄板にシリカおよび
/又はケイ酸塩の親水性皮膜を形成し、その上に潤滑性
樹脂組成物の皮膜を被覆することにより、親水性能を落
とすことなく、プレス成形加工性が向上し、さらに、そ
の後の臭気性にも優れている等工業上顕著な効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウムフィン材のプレス成形工程図であ
る。
【図2】プレス成形前後のピアスポンチの端面の形状を
示す説明図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム薄板 2 第2アイアニングポンチ 3 第2アイアニングダイス 4 ピアスポンチ端面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 26/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金薄板
    の上に、シリカおよびケイ酸塩の内から選ばれた少なく
    とも1種のケイ素化合物を含有する親水性皮膜を形成
    し、その上に(a)水酸基および/又はカルボキシル基
    を有する樹脂100重量部に対し、(b)C鎖が2〜6
    のエステルおよび/又は多価アルコールを 1.0〜3
    0重量部含有させた樹脂組成物の皮膜を0.1〜5.0
    μm形成することを特徴とする臭気性および成形加工性
    に優れた熱交換器用アルミニウムフィン材。
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CN103857974B (zh) * 2012-04-23 2018-03-16 松下电器产业株式会社 翅片管热交换器和其制造方法

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