JP2982231B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

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JP2982231B2 JP2173300A JP17330090A JP2982231B2 JP 2982231 B2 JP2982231 B2 JP 2982231B2 JP 2173300 A JP2173300 A JP 2173300A JP 17330090 A JP17330090 A JP 17330090A JP 2982231 B2 JP2982231 B2 JP 2982231B2
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、耐熱性、耐溶剤性、機械的強度およびノッ
チ付きアイゾット衝撃強度に代表される耐衝撃性に優れ
たポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関するもので
ある。
<従来の技術> ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPSと略す)
はガラス繊維などで補強した強化系において、優れた耐
熱性、耐衝撃性、剛性など結晶性エンジニアリングプラ
スチックとして好適な性質を有しており、射出成形用を
中心として各種用途に使用されている。しかし、ガラス
繊維などで補強していない非強化系のPPSは靭性がない
ため非常に脆い。さらにガラス転移温度が90℃と低いこ
とから耐熱性も十分でなく、各種成形用途に利用するこ
とは困難であるのが現状である。
結晶性熱可塑性樹脂の耐熱性不足を改良する方法とし
てガラス転移温度の高い非晶性熱可塑性樹脂と組合せて
ポリマアロイとすることが有効な手段であることが近年
種々のポリマの組合せで判明している。このような目的
に適した非晶性熱可塑性樹脂の一つにポリフェニレンエ
ーテルが挙げられる。ポリフェニレンエーテル(以下、
PPEと略す)によるPPSの改質についてはすでに数多く提
案されている。
たとえば、特公昭56−34032号公報にはPPSとPPEから
なる成形性、難燃性に優れた樹脂組成物が提案されてい
る。さらに、特開昭58−157859号公報にはPPSとスチレ
ン系ポリマをグラフトしたPPEからなる相溶性の向上し
た樹脂組成物が、特開昭59−164360号公報にはPPSとPPE
およびエポキシ樹脂とからなる相溶性の向上した樹脂組
成物が、特開昭59−213758号公報には、PPS、PPE、ポリ
アミド樹脂およびエポキシ樹脂とからなる相溶性の向上
した樹脂組成物が、特開昭63−205358号公報にはPPSとP
PEおよびマレイミド化合物からなる相溶性の向上した樹
脂組成物が提案されている。
また、特開昭64−31862号公報には、エチレン性二重
結合とカルボキシル基または酸無水物基を有する変性剤
で変性した変性PPEとPPSおよびエポキシ基を少なくとも
2個以上有する有機化合物からなる相溶性の向上した耐
熱、耐溶剤性に優れた樹脂組成物が、特開平1−259060
号公報には、エチレン性二重結合とカルボキシル基、酸
無水物基、水酸基、エポキシ基から選ばれる官能基を有
する変性剤で変性した変性PPEと該変性剤で変性した変
性PPSからなる相溶性の向上した機械的性能、耐熱性、
耐溶剤性に優れた樹脂組成物が、特開平1−266160号公
報には、エチレン性二重結合とカルボキシル基、酸無水
物基、水酸基、エポキシ基から選ばれる官能基を有する
変性剤で変性した変性PPEと該変性剤で変性した変性PPS
および分子中にカルボキシル基、酸無水基、水酸基、ア
ミノ基、エポキシ基、メルカプト基、オキサゾリン基、
イソシアネート基から選ばれる官能基を少なくとも2個
以上有する結合剤からなる相溶性の向上した機械的性
能、耐溶剤性に優れた樹脂組成物が提案されている。
また、さらに特開平1−213359号公報にはPPSとPPEお
よびグリシジル基含有熱可塑性重合体からなる相溶性の
向上した耐熱性、難燃性、耐溶剤性、成形加工性、機械
的強度、耐衝撃性に優れた樹脂組成物が、特開平1−21
3360号公報には酸変性PPSとα,β−不飽和カルボン酸
類で変性した変性PPEからなる相溶性の向上した耐熱
性、難燃性、耐溶剤性、成形加工性、機械的強度、耐衝
撃性に優れた樹脂組成物が、特開平1−213361号公報に
はPPSとPPEおよびグリシジル基含有スチレン系樹脂から
なる相溶性の向上した耐熱性、難燃性、耐溶剤性、成形
加工性、機械的強度、耐衝撃性に優れた樹脂組成物が提
案されている。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら、これらの提案のうち特公昭56−34032
号公報記載のPPSとPPEからなる組成物は、PPE単独の場
合に比べて確かに加工性の優れた樹脂組成物を与えるも
のの比較的低分子量のPPSを用いているため耐衝撃性が
著しく悪い。さらに相溶性も不十分であり層状剥離も著
しい。
特開昭58−157859号公報記載のPPSとスチレン系ポリ
マをグラフトしたPPEからなる樹脂組成物、特開昭59−1
64360号公報記載のPPSとPPEおよびエポキシ樹脂からな
る樹脂組成物、特開昭59−213758号公報記載のPPSとPPE
とポリアミド樹脂およびエポキシ樹脂からなる樹脂組成
物、特開昭63−205358号公報記載のPPSとPPEおよびマレ
イミド化合物からなる樹脂組成物は、それぞれスチレン
系ポリマをグラフトしたPPEを用いること、エポキシ樹
脂を用いること、アミド樹脂とエポキシ樹脂を用いるこ
と、マレイミド化合物を用いることにより、PPSとPPEの
相溶性が向上した樹脂組成物を与えることを目的とした
ものであり、いずれも特公昭56−34032号公報記載のPPS
とPPEからなる組成物と比較して層状剥離の防止には確
かに効果が認められる。しかしこれらの樹脂組成物にお
いて用いられたPPSの重合度、分子量分布については特
に規定はなく、通常のPPSが用いられているために得ら
れた樹脂組成物の耐衝撃性、特にノッチ付きアイゾット
衝撃値には何ら改良が認められていない。また、特開昭
64−31862号公報記載の変性PPEとPPSおよびエポキシ化
合物からなる樹脂組成物、特開平1〜259060号公報記載
の変性PPSと変性PPEからなる樹脂組成物、特開平1−26
6160号公報記載の変性PPSと変性PPEおよび官能基を2個
以上有する化合物からなる樹脂組成物はいずれもPPSお
よび/またはPPEを変性することにより、さらに官能基
を有する化合物を添加することにより、相溶性の向上を
図り、機械的強度、耐溶剤性の向上した樹脂組成物を与
えることを目的としたものであり、層状剥離防止性には
効果が認められるものの、耐衝撃性については何ら記載
がなく、また、これら樹脂組成物において用いられたPP
Sについても重合度、分子量分布についての規定はな
く、通常のPPSが用いられているのみであり、耐衝撃
性、特にノッチ付きアイゾット衝撃値の向上は期待でき
ない。
さらに、特開平1−213359号公報記載のPPSとPPEおよ
びグリシジル基含有重合体からなる樹脂組成物、特開平
1−213360号公報記載の変性PPSと変性PPEからなる樹脂
組成物および特開平1−213361号公報記載のPPSとPPEお
よびグリシジル基含有スチレン系樹脂からなる樹脂組成
物についても用いられたPPSの粘度についての記載はあ
るものの分子量分布、メルトフローレイト値の保持率に
ついては規定がなく、通常のPPSを使用しているため
に、得られた樹脂組成物のノッチ付きアイゾット衝撃値
がいまだ不十分な値であり、さらに耐熱性とのバランス
も悪い。このため成形材料として十分な性能、特に耐熱
性とノッチ付き衝撃値の優れた樹脂組成物が得られてい
ないのが現状である。
そこで本発明者らはPPSとPPEの組合せにおいて耐熱
性、耐溶剤性、機械的強度および耐衝撃性などの実用特
性、特にノッチ付きアイゾット衝撃強度と耐熱性に優れ
た樹脂材料を得るべく鋭意検討した結果、数平均分子
量、重量平均分子量、分子量分布、メルトフローレイト
値およびメルトフローレイト値MF5とMF15の関係を適正
化した特定のPPSとPPEからなる樹脂組成物および該組成
物にさらに熱可塑性エラストマーを添加して得られる樹
脂組成物により上記目標が達成され、成形用途として使
用可能なPPS樹脂組成物が得られることを見出し本発明
に到達した。
<課題を解決するための手段> すなわち本発明は (1)(A)1−クロロナフタレンを溶媒とするゲル浸
透クロマトグラフ法より求められた数平均分子量(▲
▼)が0.9×104以上であり、かつ重量平均分子量(▲
▼)が5.5×104以上である分子量を有し、しかも数
平均分子量と重量平均分子量の比が下記(I)式を満た
す分子量分布を有し、さらにASTM D1238−86に準ずる
方法(315.5℃、5,000g荷重)で測定されたメルトフロ
ーレイト値(MF5)が200g/10min以下であり、メルトフ
ローレイト値MF5とMF15の関係が、下記(II)式を満足
するポリフェニレンスルフィド樹脂90〜10重量%と ▲▼/▲▼<10 (I) 50<(MF5/MF15)×100<120 (II) (ここで、MF5、MF15はそれぞれ滞留時間5分および15
分におけるメルトフローレイト値を表す。) (B)ポリフェニレンエーテル90〜10重量%から構成さ
れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および (2)(A)1−クロロナフタレンを溶媒とするゲル浸
透クロマトグラフ法より求められた数平均分子量(▲
▼)が0.9×104以上であり、かつ重量平均分子量(▲
▼)が5.5×104以上である分子量を有し、しかも数
平均分子量と重量平均分子量の比が下記(I)式を満た
す分子量分布を有し、さらにASTM D1238−86に準ずる
方法(315.5℃、5,000g荷重)で測定されたメルトフロ
ーレイト値(MF5)が200g/10min以下であり、メルトフ
ローレイト値MF5とMF15の関係が、下記(II)式を満足
するポリフェニレンスルフィド樹脂90〜10重量%と ▲▼/▲▼<10 (I) 50<(MF5/MF15)×100<120 (II) (ここで、MF5、MF15はそれぞれ滞留時間5分および15
分におけるメルトフローレイト値を表す。) (B)ポリフェニレンエーテル10〜90重量%から構成さ
れる樹脂組成物100重量部に対して (C)熱可塑性エラストマー1〜50重量部が配合されて
なるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を提供するも
のである。
本発明において使用するPPS(A)は、1−クロロナ
フタレンを溶媒とするゲル浸透クロマトグラフ法より求
められた数平均分子量(▲▼)が0.9×104以上であ
り、かつ重量平均分子量(▲▼)が5.5×104以上で
ある分子量を有し、しかも数平均分子量と重量平均分子
量の比が下記(I)式を満たす分子量分布を有し、さら
にASTM D1238−86に準ずる方法(315.5℃、5,000g荷
重)で測定されたメルトフローレイト値(MF5)が200g/
10min以下であり、メルトフローレイト値MF5とMF15の関
係が、下記(II)式を満足することが本発明の目的を達
成するために極めて重要である。
▲▼/▲▼<10 (I) 50<(MF5/MF15)×100<120 (II) (ここで、MF5、MF15はそれぞれ滞留時間5分および15
分におけるメルトフローレイト値を表す。) かかる条件を満足しないPPSとPPEとからなるPPS樹脂
組成物では、耐熱性、耐溶剤性、機械的強度の向上は認
められるものの、耐衝撃性、特にノッチ付きアイゾット
衝撃値の向上はほとんど得ることができない。
上記の条件を満足するPPS(A)としてはたとえば東
レ・フィリップス・ペトロリウム社から製造販売されて
いるM2088などが挙げられる。
なお、本発明で用いる特定のPPS(A)は分子中にエ
チレン性二重結合とカルボキシル基、酸無水物基、エポ
キシ基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、オキサゾリ
ン基、イソシアネート基などの官能基を同時に有する有
機化合物および/または該官能基を分子中に2個以上有
する有機化合物で、ラジカル開始剤の存在下、非存在下
に変性して用いることも可能である。
次に、本発明において(B)成分として用いられるPP
Eは、結合単位 (ここで、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ水素、ハロゲ
ン、炭化水素または置換炭化水素基からなる群から選択
されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよ
い)からなり、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶
液、30℃測定)が、0.15〜0.70の範囲、より好ましくは
0.20〜0.60の範囲にあるホモ重合体および/または共重
合体が用いられる。具体的な例としてはポリ(2,6−ジ
メチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチ
ル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2−メチル−6−フェニレン−1,4−フェニレンエー
テル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテ
ル)等が挙げられる。さらに、2,6−ジメチルフェノー
ルと他のフェノール類(たとえば、2,3,6−トリメチル
フェノール)との共重合体のごときポリフェニレンエー
テル共重合体なども挙げられる。なかでもポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチル
フェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合
体が好ましく、特にポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レンエーテル)が好ましい。
かかるPPEの製造方法は特に限定されるものではな
く、公知の方法で得られるものを用いることができる。
たとえば、米国特許第3,306,874号明細書記載のHayによ
る第1銅塩とアミノのコンプレックスを触媒として用
い、たとえば2,6−キシレノールを酸化重合することに
より容易に製造できる。
なお、(B)成分として用いられるPPEは、分子中に
エチレン性二重結合とカルボキシル基、酸無水物基、エ
ポキシ基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、オキサゾ
リン基、イソシアネート基などの官能基を同時に有する
有機化合物および/または該官能基を分子中に2個以上
有する有機化合物で、ラジカル開始剤の存在下、非存在
下に変性して用いることも可能である。
本発明のPPS樹脂組成物は特定のPPS(A)とPPE
(B)の2者を配合することにより得られるが、これら
の配合割合はPPS(A)が90〜10重量%、好ましくは80
〜20重量%、PPE(B)が10〜90重量%、好ましくは20
〜80重量%からなる範囲から選択される。ここでPPS
(A)の配合量が10重量%未満では耐溶剤性の極めて悪
い組成物しか得られず、90重量%を越えると耐熱性が低
下するため好ましくない。
また、本発明のPPS樹脂組成物は前記の(A)、
(B)成分の各組合せからなるポリマアロイであるが、
さらに得られる樹脂組成物の耐衝撃性をより一層向上さ
せるために、本発明では(C)成分として熱可塑性エラ
ストマーを添加することができる。
本発明の(C)成分として用いられる熱可塑性エラス
トマーとは、たとえばポリオレフィン系エラストマー、
ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマ
ー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラ
ストマー、フッ素系エラストマーなど公知のものが挙げ
られるが、なかでも、ポリオレフィン系エラストマー、
ポリスチレン系エラストマーが好適に選択できる。
ポリオレフィン系エラストマーとしては、たとえばエ
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−プロ
ピレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン
共重合体およびエチレン−ブテン共重合体の無水マレイ
ン酸変性物などが挙げられる。
次にポリスチレン系エラストマーとしては、たとえば
ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物のブロック共重
合体またはこのブロック共重合体の水素添加剤(以下、
水添ブロック共重合体と略す)が挙げられ、さらに、こ
れらブロック共重合体、水添ブロック共重合体とα,β
−不飽和カルボン酸またはその誘導体の反応による変性
物(変性ポリスチレン系エラストマー)が挙げられる。
これらポリスチレン系エラストマーの例としては、たと
えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
およびこれらブロック共重合体の水素添加物(水添ブロ
ック共重合体)が挙げられ、さらにこれらブロック共重
合体、水添ブロック共重合体の無水マレイン酸変性物が
挙げられる。
これらポリスチレン系エラストマーの具体的な例とし
てたとえば、シェル化学(株)から製造販売されている
“カリフレックスTR"“クレイトンG"シリーズが挙げら
れる。
さらに、これらブロック共重合体、水添ブロック共重
合体とα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とを
ラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶解状
態で80〜350℃の温度下で反応させることにより変性さ
せることも可能である。
この変性の際に用いるα,β−不飽和カルボン酸また
はその誘導体としては、たとえばマレイン酸、無水マイ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、アクリ
ル酸エステル、クロトン酸、マレインイミド化合物など
が挙げられ、なかでも無水マレイン酸が好ましく用いら
れる。α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体は、
ブロック共重合体、水添ブロック共重合体100重量部に
対して0.01〜20重量部の範囲、好ましくは0.1〜10重量
部の範囲で用いられる。
なお、変性ポリスチレン系エラストマーの製造方法は
公知の溶融混練状態、溶液混合状態のいずれでも実施す
ることができ、これらに限定されるものではない。さら
に、これら例示した熱可塑性エラストマーは1種のみな
らず2種以上を併用してもかまわない。
本発明において用いられる熱可塑性エラストマー
(C)は特定のPPS(A)とPPE(B)から構成される樹
脂組成物100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは
3〜40重量部配合される。熱可塑性エラストマー(C)
が50重量部を越えると得られる樹脂組成物の耐熱性が低
下するため好ましくない。
このように本発明のPPS樹脂組成物は(A)、(B)
成分および(C)の各成分から構成されるものである
が、必要に応じて、本発明のPPS樹脂組成物の性質を損
なわない程度にガラス繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素
繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、
金属繊維、炭素繊維などの繊維状強化剤やワラステナイ
ト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナ
イト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの
珪酸塩、アルミナ、塩化ケイ素、酸化マグネシウム、酸
化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属化合物、炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸
塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラ
スビーズ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、シリカなどの非繊
維状強化剤、各種難燃剤、結晶化促進剤(造核剤)、メ
ルカプトシラン、ビニルシラン、アミノシラン、エポキ
シシランなどのシラン系カップリング剤、酸化防止剤、
耐熱安定剤、紫外線吸収剤、着色剤などを加えることも
できる。
本発明のPPS樹脂組成物の調整手段は特に制限なく、
たとえば単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、ブラベン
ダーなどによる加熱溶融混練方法が用いられる。なかで
も単軸または二軸押出機を用いた溶融混練方法が好まし
い。なお、溶融混練温度はPPSの溶融を十分にする点か
ら280℃以上、熱分解を防止する点から340℃以下の範囲
で用いるのが好ましい。
このようにして得られる本発明のPPS樹脂組成物は、
従来より公知の種々の方法、たとえば射出成形、押出成
形、発泡成形などの加工方法が可能である。また、用途
分野としては、自動車、電気・電子、機械などの工業材
料分野で耐熱性、耐衝撃性、難燃性、成形加工性に優れ
た成形素材として、広範囲に使用することができる。
<実施例> 以下、実施例を用いて本発明をさらに詳述する。
本実施例中で用いた%、部および比は特にことわりの
ないかぎり、各々重量%、重量部および重量比を表す。
また、本実施例中のアイゾット衝撃強さ、引張強さ、
熱変型温度、メルトフローレイト、分子量および分子量
分布、耐溶剤性は各々下記の測定法により測定した。
アイゾット衝撃強さ:ASTM D256 引 張 強 さ:ASTM D638 熱 変 型 温 度:ASTM D648 メルトフローレイト:測定温度315.5℃、5,000g荷重と
し、ASTM−D1238−86に準ずる方法で測定した。なお、
滞留時間5分のメルトフローレイト値はプレヒート時間
を5分とし、滞留時間15分のメルトフローレイト値はプ
レヒート時間を15分とすることにより行なった。
分子量および分子量分布の測定:waters社製、ゲル浸透
クロマトグラフ装置を用い、高分子論文集44巻(1987)
2月号139〜141頁に開示された方法にしたがって実施し
た。
耐溶剤性試験:ASTM1号ダンベル試験片を25℃でヘプタン
中に60分間浸漬後、クラック発生の有無を観察した。
参考例1 PPS原末を以下に示す。また、これらの特性値を第1
表に示す。
PPS−1:東レ・フィリップス・ペトロリウム社製M2088 PPS−2:フィリップス・ペトロリウム社製GR−01C PPS−3:フィリップス・ペトロリウム社製P−4 参考例2 PPEの調製 酸素吹込み口を反応器底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応器内部を窒素で
十分に置換した後、臭化第2銅53.6g、ジ−n−ブチル
アミン1,110g、トルエン18、n−ブタノール15、メ
タノール4の混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを
溶解して反応器に仕込んだ。撹拌しながら反応器内部に
酸素を吹込み続け210分間重合を行った。内温を30℃に
保つために、重合中冷却コイルに水を循環させた。重合
終了後、析出したポリマを濾別し、メタノール/塩酸混
合液を添加しポリマ中の残存触媒を分解し、さらにメタ
ノールを用いて十分洗浄した後乾燥し淡黄白色粉末状の
PPE(還元粘度0.59)を得た。
参考例3 本実施例および比較例で使用した熱可塑性エラストマ
ーを以下に示す。
C−1:スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(シェ
ル化学(株))製“カリフレックスTRKX65S") C−2:スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合
体(シェル化学(株))製“クレイトンG1650") C−3:酸変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン
共重合体(シェル化学(株))製“クレイトンFG1901
X") C−4:エチレン−ブテン共重合体(三井石油化学(株)
製“タフマーA−4085") 実施例1〜3 PPS−1と参考例2で調製したPPEを第2表に示す組成
でドライブレンドし、290〜310℃に設定した同方向回転
二軸押出機を用いて、スクリュー回転数100rpmの条件で
溶融混練しペレット化した。このペレットを用いてイン
ラインスクリュー型成形機で射出成形を行い試験片を成
形した(温度条件設定290〜310℃、金型温度140〜150
℃)。得られた試験片について測定したアイゾット衝撃
強さ、引張強さ、熱変形温度、耐溶剤性試験結果を第2
表に示す。
比較例1〜4 PPS−2、PPS−3と参考例2で調製したPPEを第2表
に示す組成でドライブレンドした以外は実施例1と全く
同様にして混練、成形および測定を行った。結果を第2
表に示す。
比較例1では用いたPPSの数平均分子量および重量平
均分子量がともに低く、さらにメルトフローレイト値も
500g/10minと本発明の範囲から外れているために、ノッ
チ付きアイゾット衝撃強さの値が低い。比較例2では用
いたPPSの数平均分子量、分子量分布およびメルトフロ
ーレイト値MF5とMF15の関係が本発明の範囲から外れて
いるために、やはりノッチ付きアイゾット衝撃強さの値
が低い。比較例3ではPPSが90重量%を越えるために熱
変形温度が低く、比較例5ではPPSが10重量%未満のた
め、耐溶剤性試験においてクラックの発生が認められ
る。
実施例4〜7 PPS−1と参考例2で調製したPPEおよび熱可塑性エラ
ストマーを第2表に示す組成でドライブレンドした以外
は実施例1と全く同様にして混練、成形および測定を行
った、結果を第2表に示す。
第2表から明らかなように、本発明の組成物(実施例
1〜7)は、アイゾット衝撃強さ、特にノッチ付きアイ
ゾット衝撃強さに優れ、さらに、引張強さ、熱変形温
度、耐溶剤性の3者も均衡して優れている。
比較例5、6 PPS−1、PPS−2と参考例2で調製したPPEおよび熱
可塑性エラストマーを第2表に示す組成でドライブレン
ドした以外は実施例1と全く同様にして混練成形および
測定を行った。結果を第2表に示す。
比較例5では用いたPPSの数平均分子量、重量平均分
子量およびメルトフローレイト値が本発明の範囲から外
れているために熱可塑性エラストマーを加えた場合にお
いてもノッチ付きアイゾット衝撃値が低い。比較例6で
は熱可塑性エラストマーが特定のPPSとPPEから構成され
る樹脂組成物100重量部に対して50重量部以上であるた
めに耐熱性が低い。
<発明の効果> 本発明のPPS樹脂組成物は、耐熱性と耐衝撃性、特に
ノッチ付きアイゾット衝撃強さに優れ、さらに機械的強
度、耐溶剤性も均衡して優れている。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 81/00 - 81/02 C08L 71/08 - 71/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)1−クロロナフタレンを溶媒とする
    ゲル浸透クロマトグラフ法より求められた数平均分子量
    (▲▼)が0.9×104以上であり、かつ重量平均分子
    量(▲▼)が5.5×104以上である分子量を有し、し
    かも数平均分子量と重量平均分子量の比が下記(I)式
    を満たす分子量分布を有し、さらにASTM D1238−86に
    準ずる方法(315.5℃、5,000g荷重)で測定されたメル
    トフローレイト値(MF5)が200g/10min以下であり、メ
    ルトフローレイト値MF5とMF15の関係が下記(II)式を
    満足するポリフェニレンスルフィド樹脂90〜10重量%と ▲▼/▲▼<10 (I) 50<(MF5/MF15)×100<120 (II) (ここで、MF5、MF15はそれぞれ滞留時間5分および15
    分におけるメルトフローレイト値を表す。) (B)ポリフェニレンエーテル90〜10重量%から構成さ
    れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)1−クロロナフタレンを溶媒とする
    ゲル浸透クロマトグラフ法より求められた数平均分子量
    (▲▼)が0.9×104以上であり、かつ重量平均分子
    量(▲▼)が5.5×104以上である分子量を有し、し
    かも数平均分子量と重量平均分子量の比が下記(I)式
    を満たす分子量分布を有し、さらにASTM D1238−86に
    準ずる方法(315.5℃、5,000g荷重)で測定されたメル
    トフローレイト値(MF5)が200g/10min以下であり、メ
    ルトフローレイト値MF5とMF15の関係が下記(II)式を
    満足するポリフェニレンスルフィド樹脂90〜10重量%と ▲▼/▲▼<10 (I) 50<(MF5/MF15)×100<120 (II) (ここで、MF5、MF15はそれぞれ滞留時間5分および15
    分におけるメルトフローレイト値を表す。) (B)ポリフェニレンエーテル90〜10重量%から構成さ
    れる樹脂組成物100重量部に対して (C)熱可塑性エラストマー1〜50重量部が配合されて
    なるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
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