JP2981461B2 - 再生装置 - Google Patents

再生装置

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JP2981461B2
JP2981461B2 JP10179886A JP17988698A JP2981461B2 JP 2981461 B2 JP2981461 B2 JP 2981461B2 JP 10179886 A JP10179886 A JP 10179886A JP 17988698 A JP17988698 A JP 17988698A JP 2981461 B2 JP2981461 B2 JP 2981461B2
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勝男 和田
悦治 南
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体にエネル
ギーを入射することで、記録媒体から情報を再生する再
生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の記録再生方法としては、磁気記
録媒体上において局所的な所定方向磁化部分を磁気ヘッ
ドによって配列形成して情報の記録を行う一方、上記の
磁化方向の配列パターンを磁気ヘッドにて検出すること
により情報を再生する磁気記録再生方法、記録媒体表
面上に微少な凹凸のピットパターンを形成して記録を行
う一方、この記録媒体表面上に光を照射して反射してく
る光の強度にて上記ピットパターンを検出することによ
り情報を再生する光学的記録再生方法、光磁気記録媒
体上に磁界を印加した状態で光を照射してその熱により
光磁気記録媒体において局所的に保磁力を低下させて上
記磁界により所定方向磁化部分を配列形成して情報の記
録を行う一方、この光磁気記録媒体上に光を照射して反
射してくる光の振動面の角度の相違、例えばKerr効
果によって前記の磁化方向の配列パターンを検出するこ
とにより情報を再生する光磁気記録方法などが提案され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
方法において、例えば、光磁気記録再生方式では、光磁
気記録媒体として、保磁力が低く、残留磁束密度の高い
磁性材料であって、且つ、熱伝導性の低い材料などとい
ったように特定の物性を併せ持つ材料を選ぶ必要があ
り、記録媒体として適する材料が著しく限定されるとい
う欠点がある。また、磁気記録再生方法における情報の
再生時には磁気→電流への変換が必要であり、光学的記
録再生方法における情報の再生時には光→電流への変換
が必要であり、光磁気記録再生方法における情報の再生
時には光→電流への変換が必要となる。従って、再生信
号の処理が複雑となり、信号変換時の雑音の影響を受け
易くなるという問題を招来していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る記録再生
方法は、情報を記録した記録媒体に対して、レーザ光を
照射する照射手段と、前記記録媒体に対して正の電位に
保たれており、前記レーザ光の照射によって前記記録媒
体から放出された電子を検出する検出手段と、を備えて
なることを特徴とするものである。
【0005】請求項2に係る再生装置は、荷電粒子の発
生源と情報を記録した記録媒体との間に第1の電位差を
付与することで、前記記録媒体に荷電粒子ビームを照射
する照射手段と、前記記録媒体に対して第1の電位差の
1/10〜1/100の電位差を有するよう設定され、
前記荷電粒子ビームの照射によって前記記録媒体から放
出された電子を検出する検出手段と、を備えてなるもの
である。
【0006】
【0007】以下、本発明の作用を説明する。
【0008】請求項1に記載の再生装置では、レーザ光
照射により放出される電子に基づき、記録媒体に記録さ
れた情報を再生するため、高密度に記録された情報の再
生が可能となる。また、記録媒体から放出される電子を
直接電流信号として捉えることが可能なため、物理的な
信号変換時に生じがちな雑音の問題を解消することがで
きる。さらに、記録媒体に対して正の電位に保たれた検
出器によって電子を検出するため、検出効率が高くな
る。
【0009】請求項2に記載の再生装置では、荷電粒子
の発生源に印加する電圧の1/10〜1/100に検出
器に印加する電圧を設定するため、荷電粒子ビームの収
束に悪影響を与えることを防止でき、且つ、検出器に荷
電粒子ビームが入ることによる雑音の発生を抑制でき
る。
【0010】
【0011】記録媒体としては、例えば、光、X線、紫
外線などの電磁波、電子ビーム、イオンビームなどの荷
電粒子ビーム、或いは、中性粒子ビームなどの照射を受
けて仕事関数の変化を来すような材料が用いられる。例
えば、Li、Be、B、C、N、O、Al、Si、P、
S、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、
Zn、Y、Nb、Mo、Te、Pd、Ag、Ta、W、
Ir、Pt、Au、Hg、Tb、Dy、Ho、Thなど
の元素を成分として持つ合金、Fe23、TiO、Th
2、MoSi2、SnO2、ZrO2、LiTaO3、Y3
Al58、Y3Fe512、BaTiO3、KTaO3、L
iNbO3、Ba2NaNb515、Bi12GeO20など
を焼結して得られるセラミックス、H、C、N、Oの元
素を基調としてその他の元素、S、P、Cl、Si、
I、Teなどを添加して得られる高分子材料、C、S
i、Ge、AlP、GaP、GaAs、InP、ZnS
eなどの半導体材料などが用いられる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態を図1ない
し図14に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0013】本実施の形態に係る記録再生方法におい
て、まず記録方法を説明すると、図2に示すように、例
えば、仕事関数変化を行わせるエネルギー手段2として
レーザ光が用いられると共に、記録媒体1としては、例
えば、Te、TeSe、TeSb、TeSbAs、Te
GeSbなどのTe系の合金、またはInSe、InS
eTlCoなどのIn系の合金などが用いられる。この
場合においては、一様な仕事関数を有する仕事関数基準
部14である結晶状態部に対して局所的に仕事関数変化
部15であるアモルファス状態部を形成することで記録
が行われる。即ち、記録媒体1の相変化に伴って仕事関
数が変化し、この仕事関数変化部15の分布パターンに
よって記録が行われることになる。
【0014】また、図3に示す記録方法においては、仕
事関数変化を行わせるエネルギー手段2として電子ビー
ムが用いられる。一方、記録媒体1としては、一様な仕
事関数を有する仕事関数基準部14である周期構造部若
しくは結晶状態部を持つものが用いられる。かかる記録
媒体1に対して上記の電子ビームにより局所的に仕事関
数変化部15である多数欠陥導入部、若しくはアモルフ
ァス状態部を形成する。即ち、上記の電子ビームによっ
て記録媒体1には局所的な構造変化が起こり、これによ
って局所的な仕事関数変化、若しくは、かかる仕事関数
変化と共にエネルギー状態密度分布の変化が生じて情報
の記録が行われることになる。電子ビームの加速エネル
ギーは、記録速度並びに記録密度などの観点から、数百
eVから数十KeVの範囲に設定するのが望ましいとい
える。
【0015】さらに、図4に示す記録方法においては、
仕事関数変化を行わせるエネルギー手段2として電子ビ
ーム若しくは他の粒子ビームが用いられる。一方、記録
媒体1としては、一様な仕事関数を有する仕事関数基準
部14であるアモルファス状態部若しくは短期的周期構
造部を持つものが用いられる。かかる記録媒体1に対し
て上記の電子ビームを照射して局所的な加熱を行い、上
記の電子ビームのエネルギーを徐々に降下させることに
よりアニールして、仕事関数変化部15である結晶構造
部若しくは規則的構造部を形成する。即ち、図2や図3
に示した記録方法とほぼ逆の関係で情報の記録を行う。
なお、かかる方法においては、上記の電子ビームの代わ
りに、前記のレーザ光を用いることも可能である。
【0016】以上説明した記録方法を組み合わせること
により、仕事関数基準部14と仕事関数変化部15との
間で行われる相変化や構造変化を可逆的に繰り返し行え
るので、記録媒体1に対し情報の再記録や消去を行うこ
とができる。
【0017】また、図3および図4に示した記録方法に
おいては、電子ビームの代わりに他の荷電粒子ビーム
(イオンビーム等)や中性粒子ビームを照射して記録媒
体1に欠陥導入等の構造変化を生じさせて記録を行うこ
とができる。ただ、この場合においては、記録媒体1の
材質と粒子ビームの元素との組み合わせ如何により、両
者の間で化学反応または記録媒体1への照射粒子の打ち
込みが起こり、前述した構造変化による仕事関数変化よ
りも、記録媒体1の組成変化による仕事関数変化の影響
が生じる場合がある。
【0018】ここで、上記の組成変化を利用する記録方
法としては、真空中で記録媒体に粒子ビームを照射し
て、この粒子ビームの粒子(元素)の打ち込みや付着を
行うことで組成変化を生じさせて記録を行う方法が知ら
れている(特開昭58−222453号公報参照)。勿
論、この組成変化は仕事関数変化を目的としたものでは
ない。
【0019】特開昭58−222453号公報の記録方
法において、その記録を消去するためには、電子ビー
ム、イオンビーム、或いは中性粒子ビームを照射して記
録媒体表面をエッチングするか、全面をスパッタエッチ
ングして元の組成状態に戻すか、若しくは、記録媒体を
加熱して表面に付着した元素を蒸発または媒体内部へ拡
散させてしまう必要があるため、記録と消去の繰り返し
によって記録媒体が劣化するという欠点がある。
【0020】以下に、かかる欠点を解消した実施の形態
を説明する。この実施の形態では、上記のイオンビーム
や中性粒子ビーム自体で直接的に組成変化させるのでは
なく、これらイオンビームや中性粒子ビームは、記録媒
体の加熱や化学的活性化を行うために、即ち、組成変化
を誘起させるために用いられる。勿論、光ビーム、電子
ビームを用いて記録媒体を加熱し、または化学的に活性
化させて組成変化を誘起させるようにしてもよい。
【0021】この場合における記録方法について、光ビ
ームによる具体例を説明すると、図5(a)に示すよう
に、記録媒体1を反応性ガス雰囲気B中にセットし、前
記のエネルギー手段2としてのレーザ光を集光して記録
媒体1の表面を局所的に加熱または活性化する。このと
き、雰囲気Bを形成する成分b…と記録媒体1を形成す
る成分A…との反応が局所的に誘起され、この反応によ
る成分b…の付着により組成変化が生じて情報の記録が
行われる。一方、情報を消去するためには、同図(b)
に示すように、記録媒体1を還元性雰囲気C中にセット
する。還元性雰囲気Cとしては、成分b…に対して強い
反応性を持つと共に、A…に対しては弱い反応性を持つ
ものが適用される。記録媒体1が還元性雰囲気C中にセ
ットされた状態でレーザ光を集光して記録媒体1の表面
を局所的に加熱または活性化する。このとき、記録媒体
1の表面上に付着している成分b…は還元性雰囲気Cの
成分c…と反応を起こし、この結果、成分b…は記録媒
体1から引き離されて記録内容の消去が行われる。これ
によれば、消去にエッチングなどを用いる場合のように
記録媒体1への浸食も生じないし、また記録に用いた異
元素(成分b…)が蓄積するといったことも生じない。
このため、記録・消去を繰り返しても、記録媒体1の劣
化は防止されることになる。
【0022】ここまでの説明において、図2ないし図4
では、主に記録媒体1における、周期的構造や結晶構造
と、非周期的構造やアモルファス構造との間での構造変
化を利用した記録方法について述べており、図5(a)
(b)では、記録媒体1上への異種成分b…の付着およ
び離脱による組成変化を利用した記録方法について述べ
たが、これらに限るものではない。例えば、記録媒体1
としてセラミックや高分子材料などを用い、大気中また
は、H2、N2、O2などの特定の反応性ガス雰囲気中、
或いは、不活性ガス雰囲気中、真空中において、レーザ
光、X線、紫外線などの電磁波、電子ビーム、イオンビ
ームなどの荷電粒子ビーム、或いは、中性粒子ビームを
記録媒体1表面に照射して記録媒体1の材料中の結合状
態の変化、構造の変化若しくは組成の変化を起こして記
録媒体1に局所的な仕事関数変化、或いはこの仕事関数
変化と共に局所的エネルギー状態密度変化を生ぜしめ
て、その変化パターンにより情報の記録を行う方法も可
能である。
【0023】なお、以上の記録方法において、その記録
中に記録を行っている部分からの電子の放出量、エネル
ギー分布、発熱による赤外線の発生状態などをモニター
して記録媒体の状態変化を検出して記録状態を良好に維
持するように制御することも可能である。
【0024】次に再生方法について説明すると、図1
(a)に示すように、電子3を放出させるためのエネル
ギー手段4としてのレーザ光を記録媒体1上に集光し、
このときに放出される電子3の量が仕事関数基準部14
と仕事関数変化部15とで相違するのを同図(b)に示
すように電流の強弱変化として検出することにより、仕
事関数変化部15の分布パターンを検出して情報の再生
を行う。エネルギー手段4としては、上記のレーザ光に
限らず、電子ビームやイオンビームなどの荷電粒子ビー
ムでもよい
【0025】ここで、仕事関数基準部14における仕事
関数をΦ14とし、仕事関数変化部15における仕事関数
をΦ15とする。一般に、仕事関数Φの物質表面にhν>
Φ(hプランク定数:νは振動数)なる光(エネルギ
ー)を与えると、この物質表面からエネルギーを得た電
子が外部へ放出される。また、hν<Φなる場合であっ
ても、微少な電流がトンネリング現象によって流れるこ
とが知られている。従って、Φ14=hν14<hνR<Φ
15=hν15なる参照光νRにて記録媒体1上を走査すれ
ば、仕事関数基準部14ではΦ14<hνRとなり、電子
が放出される一方、仕事関数変化部15ではhνR<Φ
15となるので、電子は殆ど放出されない。このときに放
出される電子3を検出し、その電流の大小を比較して記
録媒体1から情報を読み取ることができる。
【0026】また、前記の条件を充たす光が得られない
場合にあっては、Φ14<Φ15<hνR1なる参照光νR1
若しくは、Φ14>Φ15>hνR2なる参照光νR2を用いる
こともできる。この場合、仕事関数基準部14および仕
事関数変化部15の何れにおいても電子3が放出される
ことになるが、電子3の放出量に差がでるので、この差
によって仕事関数変化部15の分布パターンを検出して
情報の再生を行うことができる。
【0027】なお、放出される電子3の量は、電子の放
出源が金属などのように導電性の良い材料の場合には仕
事関数によって主に支配されるが、半導体のように電子
が特有のバンド構造を持っているものを記録媒体とした
場合には、記録媒体における電子の局所的状態密度の影
響も受けることになる。このような場合には、放出電子
のエネルギー分布に着目して情報の再生を行うことが可
能である。
【0028】図6および図7は再生用のエネルギー手段
4としてレーザ光等の電磁波を用いた例を示している。
レーザ光は対物レンズ5(回折格子やミラー等の光学手
段でもよい)により記録媒体1上に集光され、ここにエ
ネルギーが集中して電子3の放出が起こる。この放出さ
れた電子3のうち記録媒体1の上面から放出したものを
検出する場合には記録媒体1の上方に検出器6を配置す
る一方、記録媒体1の下面から放出したものを検出する
場合には記録媒体1の下方に検出器6を配置する。ここ
で、大気中での再生を想定した場合、検出器6の位置は
記録媒体1の読み出し部から10μm以下に近接されて
いることが望ましい。また、検出効率を上げるために、
検出器6を記録媒体1に対して正の電位に印加しておく
のが望ましく、特に記録媒体1が導電性の良い材質から
なる場合には、検出器6を記録媒体1に対して+10m
V〜+50V程度に印加しておくと、再生信号のノイズ
や再生信号の大きさの面で良い結果が得られる。また、
真空中や他の雰囲気中で再生を行う場合、および記録媒
体1の導電性が良くない場合などには、それぞれの状況
に応じて適切な条件設定を行えば検出効率を上げること
ができる。
【0029】なお、図7に示した再生方法においては、
レーザ光が照射される側と反対の側で電子3を検出する
ため、記録媒体1の厚みも電子3の検出効率に影響を与
える。この場合、記録媒体1の厚みは、その材質にもよ
るが、一般に、レーザ光の侵入深さと同程度かまたはそ
れ以下が望ましい。即ち、記録媒体1の厚みが厚いほ
ど、レーザ光は記録媒体1の下面側に到達し難くなり、
その光量が指数的に減少してしまう。一方、記録媒体1
の厚みが薄いと、レーザ光の大部分が電子を励起せずに
透過してしまい、また電子を放出できる領域が小さくな
り、却って検出できる電子3の量が減ることになるため
である。
【0030】また、このような場合において、記録媒体
1の両面に検出器6を設けて上下両方向に放出される電
子3を検出すれば、検出効率の一層の向上を図ることが
可能である。
【0031】図8および図9は再生用のエネルギー手段
4として、レーザ光等の代わりに、電子ビーム、イオン
ビームなどの荷電粒子ビームを照射することで電子3を
放出させる。この場合、荷電粒子ビームの入射エネルギ
ーを前記レーザ光のエネルギーhνと置き換えて考える
ことができる。大気中または特定のガス雰囲気中では、
照射する粒子ビームの使用できる距離は、その雰囲気の
持つ平均自由行程に大きく制約されることになる。粒子
ビームの発生源18と記録媒体1との距離は、上記の平
均自由行程を参考として決定するのが望ましい。例え
ば、大気中で電子ビームを用いて再生を行う場合、上記
の発生源18と記録媒体1との距離は0.001μmか
ら1μmの範囲とし、ビーム加速電圧を1V〜500V
に程度に設定するのが良いといえる。また、電子ビーム
を用いる場合には、記録媒体1を発生源18に対し正の
電位に印加するが、正の電荷を持つ粒子ビームの場合に
は、記録媒体1を負の電位に印加する。以上の場合も前
記レーザ光で再生する場合と同様、放出される電子3を
記録媒体1の上面または下面に設けられた検出器6、若
しくは上下両面に設けられた検出器6にて検出すること
ができる。また、電子3の検出効率を上げるために、検
出器6は記録媒体1に対して正の電位に印加すること、
並びに、検出器6の位置、印加電圧などの設定条件につ
いても同様である。
【0032】ただし、図8に示した例において、電子ビ
ームなどの負の荷電粒子ビームを用いた場合、検出器6
と発生源18とが記録媒体1に対して同じ側に位置して
おり、しかも、検出器6および記録媒体1が共に発生源
18に対して正の電位を持っているため、記録媒体1へ
照射される粒子ビームの一部は検出器6による電界の影
響を受けて正常に記録媒体1の表面に収束できず、ま
た、粒子ビームが検出器6へ入って雑音となることが考
えられる。従って、かかる場合には、記録媒体1を発生
源18に対して+1V〜100Vに印加する一方、検出
器6を上記印加電圧の1/10〜1/100、すなわち
0.01V〜10Vに設定し、記録媒体1と検出器6と
の印加電圧に差異を設ければよい。
【0033】以上に説明した図6〜図9の例において、
検出器6の配置の関係上、エネルギー手段4としての光
ビームや粒子ビームは記録媒体1の表面に対して所定の
角度を持たせて入射させることも可能である。しかし、
ビームを収束させたときのビームのスポット径が小さい
程、記録密度の向上が望めることから、ビームは記録媒
体1表面に対して垂直に入射させることが望ましい。ま
た、ビームとして長波長のレーザ光またはより低エネル
ギーの粒子ビームを当てて、記録媒体1の構造が変化し
ない程度に加熱を行い、このときに記録媒体1より熱励
起されて放出された電子3を検出することによっても同
様の原理で記録媒体1の仕事関数変化を読み取って情報
の再生を行うことができる。
【0034】次に、かかる記録再生方法において用いら
れる記録素子について説明する。図10に示すように、
記録素子10は、例えば、記録を行うための記録媒体1
と、記録内容を再生するときの再生信号を検出する検出
層7とを備えてなる。これにより、記録再生のために外
部に別個の検出器を必要とせず、再生信号を記録素子1
0からそのまま取り出すことができる。このような構造
をもった記録素子10をディスク、テープ、或いはカー
ドなどの形状にして提供することにより、従来からある
光ディスク再生装置等の構成を利用することが可能とな
る。また、記録素子10の変質防止、や特定雰囲気中で
の使用のために、全体に保護層を設ければ、記録素子1
0の保存や取り扱いが容易になる。
【0035】図11の記録素子11は、検出層7を構成
する元素の記録媒体1中への拡散、およびその逆の現象
による記録媒体1の性能劣化などを防止するために、記
録媒体1と検出層7との間に例えば絶縁層からなる中間
層8を形成したものである。この場合において、前記の
図7・図9の再生を行う場合、即ち、ビーム照射側と反
対側に検出器6を設ける場合を考えると、記録媒体1の
厚みは0.001μmから5μm、中間層(絶縁層)8
の厚みは0.001μmから0.1μm、検出層7の厚
みは0.1μm以上に設定するのがよい。また、記録媒
体1と検出層7にはそれぞれ電圧を印加できるように引
き出し電極19・19を取りつけることにより、ビーム
の収束性能を向上して検出効率を向上させることができ
る。一方、図6・図8の再生を行う場合には、ビームは
検出層7と中間層8とを透過して記録媒体1に到達する
必要があるので、検出層7の厚さを0.1μm以下に、
中間層8を0.001μmから0.01μm程度にする
ことが望ましい。
【0036】図12の記録素子12は、記録媒体1に対
し両面に検出層7・7と中間層8・8とを備えることに
より、検出効率を向上させたものである。なお、この場
合には、ビームの照射側と反対側について、図11で説
明した膜厚条件を充たすことが望まれる。
【0037】また、図11・図12に示した例で、ビー
ム照射により熱変化を起こして記録媒体1の仕事関数変
化を生ぜしめて記録を行う場合、中間層8・8に熱拡散
などによって記録媒体1や検出層7・7に悪影響を与え
ない材料、例えば、Si−O、Si−N、またはAl−
O、Al−Nなどの酸化物や窒化物を使用するのが望ま
しい。
【0038】図13の記録素子13は、レーザ光を用い
記録再生を行う場合のディスク、テープ、或いはカー
ド形状で提供される記録素子を示したものである。記録
素子13は、ビームの照射される側の第1層目に、外部
からの疵・埃を防ぐための保護層20、以後順に記録媒
体1、中間層8、検出層7を形成し、最下層に保護層を
兼ねるガラス基板21を設けている。なお、ガラス基板
21側からビームを入射して再生を行うことも可能であ
る。
【0039】図14(a)は図13の記録素子13を用
いて情報の記録、再生、または消去する場合を示してい
る。記録素子13が例えばディスク状である場合、これ
に対し記録、再生を行うには、エネルギー手段2・4お
よび記録素子13の何れか一方、もしくは双方を移動・
回転させて、前述の仕事関数基準部14と仕事関数変化
部15との列を同心円状、螺旋状に形成、または検出す
る。消去の場合には仕事関数基準部14を形成してい
く。記録素子13がテープ状若しくはカード状である場
合、エネルギー手段2・4および記録素子13の何れか
一方、もしくは双方を移動させて、仕事関数基準部14
と仕事関数変化部15との列を形成(記録)、または検
出(再生)、若しくは仕事関数基準部14を直線状に形
成(消去)していく。なお、この場合において、情報の
記録時には、記録情報に応じたパターンでエネルギー手
段2の出力が変調される一方、再生時には、同図(b)
に示すように、上記仕事関数基準部14と仕事関数変化
部15との分布パターンに応じた電流の強弱変化が検出
層7を通じて得られ、これを適当なしきい値で2値化サ
ンプリングすることにより、「1」と「0」で表される
データが得られる。
【0040】
【発明の効果】請求項1に記載の再生装置では、レーザ
光照射により放出される電子に基づき、記録媒体に記録
された情報を再生するため、高密度に記録された情報の
再生が可能となる。また、記録媒体から放出される電子
を直接電流信号として捉えることが可能なため、物理的
な信号変換時に生じがちな雑音の問題を解消することが
できる。さらに、記録媒体に対して正の電位に保たれた
検出器によって電子を検出するため、検出効率が高くな
る。
【0041】また、請求項2に記載の再生装置では、荷
電粒子の発生源に印加する電圧の1/10〜1/100
に検出器に印加する電圧を設定するため、荷電粒子ビー
ムの収束に悪影響を与えることを防止でき、且つ、検出
器に荷電粒子ビームが入ることによる雑音の発生を抑制
できる。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる再生原理を説明
する図である。
【図2】本発明の一実施の形態における記録原理を説明
する図である。
【図3】本発明の一実施の形態における記録原理の他の
例を説明する図である。
【図4】本発明の一実施の形態における記録原理の更に
他の例を説明する図である。
【図5】本発明の一実施の形態における、雰囲気成分の
記録媒体上への付着による記録原理を示す説明する図で
ある。
【図6】本発明の一実施の形態にかかる再生系を説明す
る図である。
【図7】本発明の一実施の形態にかかる再生系の他の例
を説明する図である。
【図8】本発明の一実施の形態にかかる再生系の更に他
の例を説明する図である。
【図9】本発明の一実施の形態にかかる再生系の更に他
の例を説明する図である。
【図10】本発明の一実施の形態における記録素子を示
す断面図である。
【図11】本発明の一実施の形態における他の記録素子
を示す断面図である。
【図12】本発明の一実施の形態におけるさらに他の記
録素子を示す断面図である。
【図13】本発明の一実施の形態におけるさらに他の記
録素子を示す断面図である。
【図14】図13の記録素子をレーザ光照射によって再
生する様子を説明する図である。
【符号の説明】
1 記録媒体 2 記録用のエネルギー手段 3 電子 4 再生用のエネルギー手段 6 検出器 7 検出層 8 中間層 10,11,12,13 記録素子 14 仕事関数基準部 15 仕事関数変化部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−119042(JP,A) 特開 昭58−222453(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 9/00 G11B 9/10 G11B 11/00 G11B 11/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報を記録した記録媒体に対して、レー
    ザ光を照射する照射手段と、 前記記録媒体に対して正の電位に保たれており、前記レ
    ーザ光の照射によって前記記録媒体から放出された電子
    を検出する検出手段と、を備えてなることを特徴とする
    再生装置。
  2. 【請求項2】 荷電粒子の発生源と情報を記録した記録
    媒体との間に第1の電位差を付与することで、前記記録
    媒体に荷電粒子ビームを照射する照射手段と、 前記記録媒体に対して第1の電位差の1/10〜1/1
    00の電位差を有するよう設定され、前記荷電粒子ビー
    ムの照射によって前記記録媒体から放出された電子を検
    出する検出手段と、を備えてなることを特徴とする再生
    装置。
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