JP2981272B2 - 末梢循環状態検出装置 - Google Patents

末梢循環状態検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、生体の末梢循環状態を検出する装置に関す
るものである。
従来の技術 生体の末梢循環状態は、患者の生理状態を表す重要な
指標の一つである。たとえば、手術中において患者の循
環器の動態を監視するための一つの手段として、患者の
四肢先端部の皮膚温度や色に基づいて末梢循環状態を把
握することが行われている。
発明が解決すべき課題 ところで、上記皮膚温度や色は室温などによって左右
されるため、かかる皮膚温度により末梢循環状態を確実
に把握することは困難であり、また、熟練を要するもの
であった。
本発明は以上の事情を背景として為されたものであ
り、その目的とするところは、末梢血管の血液循環状態
を確実に検出し得て循環動態を正確に監視できる末梢循
環状態検出装置を提供することにある。
課題を解決するための手段 かかる目的を達成するため、本発明者は種々検討を重
ねた結果、四肢から得られた加速度脈波と四肢の末端部
で得られた加速度脈波との差異が生体の抹消循環状態と
密接に関連することを見出した。本発明は、かかる知見
に基づいて為されたものである。
すなわち、本発明の要旨とするところは、生体の末梢
循環状態を検出するための装置であって、(a)前記生
体の四肢に巻回される圧迫手段と、その圧迫手段にて所
定の圧力にて圧迫させたときに心拍に同期して発生する
圧迫手段内の圧力振動である脈波を検出する第1脈波検
出手段とを備え、その脈波に2次微分を施すことにより
第1加速度脈波を発生させる第1加速度脈波発生手段
と、(b)前記生体の末梢部における血液容積の変化を
表す容積脈波を検出する第2脈波検出手段を備え、その
容積脈波に2次微分を施すことにより第2加速度脈波を
発生させる第2加速度脈波発生手段と、(c)前記第1
加速度脈波および第2加速度脈波の差に基づいて前記生
体の末梢循環状態を検出する末梢循環状態検出手段とを
含むことにある。
作用および発明の効果 このようにすれば、末梢循環状態検出手段において、
第1加速度脈波発生手段により発生させられた第1加速
度脈波と第2加速度脈波発生手段により発生させられた
第2加速度脈波との差に基づいて生体の末梢循環状態が
検出されるので、室温に影響されたり或いは熟練を要し
たりすることなく、末梢血管の血液循環状態を確実に検
出し得て循環動態を正確に監視できる。
実施例 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。
第1図において、生体の手足の基部、たとえば上腕部
に巻回されるカフ10は、カフ10内の圧力を検出して圧力
信号SPを発生させる圧力センサ12と、カフ10内の圧力を
制御する流量制御弁14と、カフ10内に圧力供給するポン
プ16と管路18を介して接続されている。
上記圧力センサ12から出力された圧力信号SPは、生体
の心拍に同期した圧力振動である脈波の周波数成分を通
過させるための帯域フィルタ20と、カフ10内の静圧成分
を通過させるためのローパスフィルタ22とに供給され
る。それら帯域フィルタ20により弁別された脈波信号SM
およびローパスフィルタ22により弁別されたカフ圧信号
SKは、A/D変換器24によりデジタル信号に変換された
後、CPU26に供給される。
指尖脈波センサ28から出力された容積脈波信号SYは、
その容積脈波の周波数成分を通過させる帯域フィルタ30
を通してA/D変換器32に供給され、そこでデジタル信号
に変換された後、前記CPU26に供給される。本実施例で
は、上記指尖脈波センサ28は、生体の末梢部の毛細血管
内の血液容積の変化を検出する容積脈波センサとして機
能するものであり、手または足の指先の容積脈波を赤外
線の通過光量或いは反射光量の変化やインピーダンスの
変化に基づいて検出するように構成されている。
上記CPU26は、ROM34、RAM36、および出力インターフ
ェース38などとともに所謂マイクロコンピュータから成
る電子制御装置を構成しており、RAM36の一時記憶機能
を利用しつつ予めROM34に記憶されたプログラムに従っ
て入力信号を処理し、流量制御弁14およびポンプ16を作
動させて血圧測定を実行し、血圧値を表示器40に表示さ
せる一方、第1および第2加速度脈波を算出して被測定
者の末梢循環状態を表示器40に表示させる。
第2図は、上記のように構成された末梢循環状態検出
装置の機能ブロック線図である。図において、前記帯域
フィルタ20に対応する第1脈波検出手段50では、カフ10
に対応する圧迫手段48にて所定の圧力にて圧迫させたと
きに心拍に同期して発生する圧迫手段48内の圧力振動で
ある脈波が検出され、第1加速度脈波発生手段52では、
その脈波に2次微分が施されて第1加速度脈波が発生さ
せられる。また、前記指尖脈波センサ28に対応する第2
脈波検出手段54では、生体の末梢部における血液容積の
変化を表す容積脈波が検出され、第2加速度脈波発生手
段56では、その容積脈波に2次微分を施すことにより第
2加速度脈波が発生させられる。そして、末梢循環状態
検出手段58では、上記第1加速度脈波および第2加速度
脈波の差に基づいて生体の末梢循環状態が検出される。
以下、本実施例の作動を第3図のフローチャートに従
って説明する。
第3図のステップS1の血圧値決定ルーチンでは、よく
知られた順序に従って流量制御弁14およびポンプ16が作
動させられることにより、カフ10の圧力が被測定者の最
高血圧値よりも高く昇圧させられた後に徐々に降圧させ
られ、この徐速降圧過程で前記脈波信号SMおよびカフ圧
信号SKが逐次読み込まれる。そして、オシロメトリック
法に従い、たとえば上記脈波信号SMの振幅値の増加過程
および減少過程においてその振幅の差分の最大点のカフ
圧が最高血圧値および最低血圧値として決定され、ま
た、上記脈波信号SMの振幅の最大点のカフ圧が平均血圧
値として決定される。
続くステップS2では、再びポンプ16を起動させてカフ
10を昇圧させることにより平均血圧値を上回る圧力と
し、次いで流量調節弁14を操作することにより、カフ10
内の圧力を上記のステップS1において決定された平均血
圧値と同じ値とし、そこで流量調節弁14を全閉状態とす
ることにより、カフ10内の圧力を平均血圧値に保持す
る。そして、このようにカフ10内の圧力が平均血圧値に
保持された状態で、ステップS3では、カフ10の圧力振動
である脈波信号SMが読み込まれるとともに、続く第1加
速度脈波発生手段52に対応するステップS4では、その脈
波信号SMに微分処理を2回施す2次微分が行われること
により第4図の上段に示す第1加速度脈波が発生させら
れる。
次いで、ステップS5では、前記容積脈波SYが読み込ま
れるとともに、第2加速度脈波発生手段56に対応するス
テップS6では、その容積脈波SYに2次微分が施されるこ
とにより、第4図の下段に示す第2加速度脈波が発生さ
せられる。そして、前記末梢循環状態検出手段58に対応
するステップS7では、上記第1加速度脈波および第2加
速度脈波との差異が求められ、それらの差異に基づいて
被測定者の末梢循環状態が検出され、そしてその末梢循
環状態が表示器40に表示される。
すなわち、上記第1加速度脈波は、上腕部における比
較的太い動脈内の血圧或いは血液容積の変化加速度を表
しており、末梢血管の流通抵抗の影響をそれほど受けな
い心拍出圧力或いは量に対応している。これに対し、第
2加速度脈波は、末梢血管内の容積変化加速度を表して
おり、末梢血管の流通抵抗や静脈側の圧力の影響を受け
ていると考えられる。このため、上記第1加速度脈波お
よび第2加速度脈波との差、たとえば各ピーク或いは特
定のピークにおける振幅差或いは位相差は、上記末梢血
管の流通抵抗や静脈側の圧力の影響を表すものであるか
ら、たとえば、前記ステップS7では、上記各ピークの振
幅差或いは位相差が求められ、それらが予め実験的に定
められた判断基準値を超えたことをもって末梢循環状態
が異常であると判断されるのである。
上述のように、本実施例によれば、ステップS7におい
て、ステップS4により発生させられた第1加速度脈波と
ステップS6により発生させられた第2加速度脈波との差
に基づいて生体の末梢循環状態が検出されるので、室温
に影響されたり或いは熟練を要したりすることなく、末
梢血管の血液循環状態を確実に検出し得て循環動態を正
確に監視できるのである。
また、本実施例の装置によれば、動脈硬化度、生理年
齢、性別などの固体差に影響されることなく末梢循環状
態が検出され得る利点がある。すなわち、前述のように
第2加速度脈波は末梢血管の状態の影響を受けるのであ
るから、その第2加速度脈波だけ解析することにより生
体の末梢循環状態を把握することが考えらえるが、その
第2加速度脈波の基礎となる容積脈波の形状は、動脈硬
化度、生理年齢、性別などの固体差に影響されるため、
上記の場合には、正確な判断が得られないのである。し
かし、本実施例によれば、末梢血管状態の影響を受け難
い比較的太い動脈から発生する第1加速度脈波をその生
体の基準として用い、その基準的な第1加速度脈波と末
梢部の容積脈波から得られた第2加速度脈波とを比較す
るので、正確な末梢循環状態が検出され得るのである。
以上、本発明の一実施例を示す図面に基づいて説明し
たが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例において、カフ10は上腕部に
巻回されていたが、足に巻回されてもよいのである。
また、前述の実施例では、手または足の指先から指尖
脈波を検出する指尖脈波センサ28が用いられていたが、
額或いは手足などの皮膚の上において反射光の変化に基
づいて末梢血管内の血液容積の変化である容積脈波を検
出するものであってもよいのである。
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であ
り、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変
更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例の構成を説明するブロック
線図である。第2図は、第1図の実施例の機能を説明す
る機能ブロック線図である。第3図は、第1図の装置の
作動を説明するフローチャートである。第4図は、第2
図の作動により得られる加速度脈波の例を示す図であ
る。 48:圧迫手段 50:第1脈波検出手段 52:第1印加度脈波発生手段 54:第2脈波検出手段 56:第2加速度脈波発生手段 58:末梢循環状態検出手段
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61B 5/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体の末梢循環状態を検出するための装置
    であって、 前記生体の四肢に巻回される圧迫手段と、該圧迫手段に
    て所定の圧力にて圧迫させたときに心拍に同期して発生
    する該圧迫手段内の圧力振動である脈波を検出する第1
    脈波検出手段とを備え、該脈波に2次微分を施すことに
    より第1加速度脈波を発生させる第1加速度脈波発生手
    段と、 前記生体の末梢部における血液容積の変化を表す容積脈
    波を検出する第2脈波検出手段を備え、該容積脈波に2
    次微分を施すことにより第2加速度脈波を発生させる第
    2加速度脈波発生手段と、 前記第1加速度脈波および第2加速度脈波の差に基づい
    て前記生体の末梢循環状態を検出する末梢循環状態検出
    手段と、 を含むことを特徴とする末梢循環状態検出装置。
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