JP2980461B2 - 極低温冷凍機 - Google Patents

極低温冷凍機

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JP2980461B2 JP4249696A JP24969692A JP2980461B2 JP 2980461 B2 JP2980461 B2 JP 2980461B2 JP 4249696 A JP4249696 A JP 4249696A JP 24969692 A JP24969692 A JP 24969692A JP 2980461 B2 JP2980461 B2 JP 2980461B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蓄冷材を内臓する極低
温冷凍機に係り、特にシリンダと蓄冷器を有するディス
プレーサとで形成された膨張室を備え、シリンダのヘッ
ド壁またはヘッド壁近傍の周壁を介して吸熱するように
した寒冷発生ユニットを1段または複数段接続してなる
極低温冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】極低温の冷凍機には種々のタイプがあ
る。これらの中にギフォード・マクマホン冷凍機(以
下、GM冷凍機と略称する。)で代表される蓄冷式の極
低温冷凍機がある。GM冷凍機は、シリンダと、このシ
リンダ内に往復動自在に配置されてシリンダとで膨張室
を構成するとともに内部に蓄冷器を有するディスプレー
サと、このディスプレーサとシリンダとの間に設けられ
たシール装置と、を備えてなる寒冷発生ユニットを有す
る。通常、このような寒冷発生ユニットは、1段設ける
か、または複数段が接続されている。寒冷発生ユニット
においては、ディスプレーサの往復動に関連させて高圧
のヘリウムガスを蓄冷器に通して冷却した後に膨張室に
導いて膨張させ、この膨張によって冷えたヘリウムガス
を蓄冷器に再び通して蓄冷する動作を繰り返すとともに
シリンダのヘッド壁またはヘッド壁近傍の周壁を介して
吸熱するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
極低温冷凍機は、寒冷発生ユニットの構造全体に対する
十分な配慮がなされていないため、理想冷凍能力から全
冷凍損失を差し引いた実冷凍能力がまだ低い。このた
め、幅広い分野で実用化されるまでには至らず、用途が
狭い範囲のみに制限されている。
【0004】また、従来の極低温冷凍機では、シリンダ
壁を介して蓄冷器に侵入する熱量を抑制するために、ス
テンレス鋼などの熱伝導率の低い金属材料を用いてシリ
ンダを形成している。さらに、シリンダの壁で吸熱に供
される部分の外周に銅などで形成された吸熱ステージを
ハンダ付けし、この吸熱ステージを介して吸熱するよう
にしている。このため、シリンダ内壁と吸熱ステージ外
周壁との間の熱抵抗が大きく、この熱抵抗によって両者
間に大きな温度差が生じ、これも実冷凍能力を低下させ
る一因となっている。本発明は、上記の事情に鑑みてな
されたものであって、実冷凍能力を大幅に向上すること
ができる極低温冷凍機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】発明者らは、冷
凍機の実冷凍能力を増大させるため、研究を重ねた結
果、次の知見を得た。
【0006】ディスプレーサとシリンダとの相互間隙に
は少量のガスが存在する。極低温域で運転を続けると、
この少量のガスが対流し、間隙のなかで動き回り、高温
側から低温側に熱が侵入する。この結果、全冷凍損失を
増大させる冷凍損失が生じ、実冷凍能力が不足する。
【0007】
【0008】
【0009】第1の極低温冷凍機では、ディスプレーサ
の外周に繊維体を巻き付け、ディスプレーサとシリンダ
との相互間隙に繊維体を存在させている。繊維体により
間隙内ガスの対流が阻止され、高温側から低温側へのヘ
リウムガスの流入が抑制される。
【0010】また、第2の極低温冷凍機では、ディスプ
レーサ高温側に配置されたシール装置のディスプレーサ
側の部分を銅・銅合金・アルミニウム・アルミニウム合
金の中から選ばれた一種又は二種で形成している。この
ため、摺動によりシール部分が発熱した場合に、シール
部分から熱が速やかに取り除かれる。
【0011】また、第3の極低温冷凍機では、シール装
置及びシリンダに工夫が施されている。すなわち、シー
ル装置のシリンダ側しゅう動部分をセラミックで形成
し、セラミック部の外側を銅・銅合金・アルミニウム・
アルミニウム合金の中から選ばれた一種又は二種で形成
している。このため、シール装置の摺動部分における摩
耗が減少し、シール性能が向上すると共に、シール部分
から熱が速やかに取り除かれる。
【0012】第4の極低温冷凍機では、ディスプレーサ
を構成する蓄冷器の外筒をステンレス鋼・チタン・チタ
ン合金の中から選ばれた一種又は二種以上の金属で形成
している。このため、蓄冷器内の温度分布をシリンダと
ディスプレーサの相互間隙に存在するヘリウムガスに伝
えることが可能となり、対流によって高温側から低温側
へのガスの流入が抑制される。
【0013】
【0014】
【0015】
【実施例】以下、添付の図面を参照しながら種々の実施
例について説明する。図1に本発明の一実施例に係る蓄
冷式の極低温冷凍機、ここには寒冷発生ユニットを2段
直列に接続したGM冷凍機を示す。
【0016】このGM冷凍機は、大きく別けて、コール
ドヘッド1と、このコールドヘッド1へ冷媒ガスを導入
したり、コールドヘッド1から冷媒ガスを排出したりす
る冷媒ガス導排出系2とで構成されている。
【0017】コールドヘッド1は、第1の寒冷発生ユニ
ット11と、第2の寒冷発生ユニット12と、駆動モー
タ13とで構成されている。第2の寒冷発生ユニット1
2は、第1の寒冷発生ユニット11に直列に接続されて
いる。また、モータ13の駆動軸は、第1および第2の
寒冷発生ユニット11,12の可動部を共通に往復動さ
せ得るように、スコッチヨーク38及び連結ロッド37
を介して第1ディスプレーサ23に連結されている。
【0018】第1の寒冷発生ユニット11は、シリンダ
21及び第1ディスプレーサ23を有する。シリンダ2
1は、薄いステンレス鋼などで形成されている。第1デ
ィスプレーサ23は、シリンダ21内に往復動自在に収
容されてシリンダ21とで膨張室22を構成している。
シール装置24が、第1ディスプレーサ23及びシリン
ダ21の相互間に設けられている。シール装置24は、
Oリングと押圧リングとを組み合わせてなり、相互間隙
を通ってヘリウムガスがバイパスリークしないようにす
るためのものである。
【0019】ディスプレーサ23は、フェノール樹脂な
どの断熱材で形成されたピストン25と、このピストン
25を軸方向に貫通する流体通路によって構成された蓄
冷器26と、この蓄冷器26内に充填された銅メッシュ
等からなる蓄冷材27とで構成されている。
【0020】一方、第2の寒冷発生ユニット12は、シ
リンダ29、第2ディスプレーサ32、上シール装置3
3a、並びに下シール装置33bを備えている。シリン
ダ29は、第1の寒冷発生ユニット11のシリンダ21
よりも小径であり、シリンダ21のヘッド壁28を介し
てシリンダ21に同軸的に接続されている。第2ディス
プレーサ32は、第1ディスプレーサ23の下端部に連
結機構30を介して連結され、シリンダ29内に往復動
自在に収容されてシリンダ29とで膨張室31を構成し
ている。上シール装置33aおよび下シール装置33b
のそれぞれは、Oリングと押圧リングとを組み合わせて
なる。各シール装置33a,33bのOリングは第2デ
ィスプレーサ32の外周溝の底面にそれぞれ当接し、各
押圧リングはシリンダ29の内周面にそれぞれ当接して
いる。なお、押圧リングは、Oリングを第2ディスプレ
ーサ32に押し付ける役割を有する。
【0021】第2ディスプレーサ32は、銅製の上部材
51および樹脂製の下部材34を連結してなる。上部材
51のなかにはガス通路50が形成されている。このガ
ス通路50は、下部材としてのピストン34内の蓄冷器
35に連通している。ピストン34は、フェノール樹脂
などの断熱材で形成されている。蓄冷器35は、ピスト
ン34を軸方向に貫通する流体通路であって、このなか
に多数の塊状・粒状の蓄冷材36が充填されている。蓄
冷材36は、鉛球または組成がEr3 Niなどの磁性体
の球体やブロック等である。
【0022】なお、第1ディスプレーサ23の上端は、
連結ロッド37、スコッチヨークあるいはクランク軸3
8を介してモータ13の回転軸に連結されている。した
がって、モータ13が回転すると、この回転に同期して
第1ディスプレーサ23及び第2ディスプレーサ32が
一体に図中実線矢印39で示す方向に往復動する。
【0023】シリンダ21の周壁で図中上部位置には冷
媒ガスの導入口40と排出口41とが設けられており、
これら導入口40と排出口41とは冷媒ガス導排出系2
に接続されている。
【0024】冷媒ガス導排出系2は、シリンダ21,2
9内を往復する経路でヘリウムガスを循環させる系を構
成するものである。排出口41は、低圧弁42、圧縮機
43および高圧弁44を介して導入口40に接続されて
いる。すなわち、この冷媒ガス導排出系2は、低圧(約
5atm)のヘリウムガスを圧縮機43で高圧(約18
atm)に圧縮してシリンダ21,29内に送り込む。
そして、低圧弁42,高圧弁44はディスプレーサ2
3,32の往復動との関連において後述する関係に開閉
制御される。
【0025】このGM冷凍機において寒冷を生じる部
分、つまり吸熱に供される部分は、第1の寒冷発生ユニ
ット11におけるシリンダ21のヘッド壁45およびそ
の近傍部分と、第2の寒冷発生ユニット12におけるシ
リンダ29のヘッド壁46とである。
【0026】ヘッド壁45は第1の被冷却物48に対し
て熱的に接続されている。一方、ヘッド壁46は、第2
の被冷却物49に対して熱的に接続されている。この場
合に目的に応じて、第2の寒冷発生ユニット12のヘッ
ド壁46のみを被冷却物に熱的に接続してもよい。
【0027】ここで、第2の寒冷発生ユニット12にお
ける上シール装置33aの構造について説明する。上シ
ール装置33a用の溝は、ディスプレーサ32の外周に
形成されている。ディスプレーサ32はフェノール樹脂
などの断熱材で形成されている。しかしながら、本実施
例では上シール装置33aの溝部分を含むディスプレー
サの上部材51(高温側)は銅で形成されているため、
シールによる発熱を第1の寒冷発生ユニット11に伝え
ることが可能となり、発熱分の第2の寒冷発生ユニット
11へ侵入を減らしている。
【0028】また、上シール装置33aのシリンダ側の
摺動面52はセラミックであるので、表面の仕上げ精度
を高めることによりシール部材の摩耗が低減される。さ
らに、セラミックは一般的に熱伝達係数の小さい材料で
あるからセラミック部分を極力薄くしてその外側に銅の
シリンダ53をかぶせている。この銅シリンダは53は
第1の寒冷発生ユニット11の吸熱部であるヘッド壁2
8を同時に構成する。上シール装置33aの摺動部で生
じた摩擦熱は、ヘッド壁28を介して第1の寒冷発生ユ
ニット11へ伝わるようになっている。次に、第2の寒
冷発生ユニット12についてさらに詳しく説明する。
【0029】蓄冷材36にEr3 Niなどの磁性体を用
いると、液体ヘリウム温度(4.2K)での冷凍が可能
となる。しかしながら、この温度領域では膨張室31に
おける温度振幅が寒冷の理想発生量を大幅に減少させる
傾向にある。これは、液体ヘリウム温度付近におけるヘ
リウムガスの非理想性と温度振幅が生じることにより等
温膨張が行われないことに起因している。
【0030】本実施例では、第2ディスプレーサ32の
低温端部に高熱容量容器55を設け、さらにヘッド壁4
6を容器化している。高熱容量容器55には磁性蓄冷材
Er3 Niが充填されている。また、ヘッド壁46の部
分56にも磁性蓄冷材Er3Niが充填されている。
【0031】ちなみに、従来の冷凍機においては、符号
55の部分はフェノール樹脂でつくられ、符号56の部
分は銅でつくられている。一方、本実施例の冷凍機で
は、符号55,56の部分にEr3 Niを用いているの
で、従来の冷凍機に比べて熱容量が100倍以上とな
る。このため、膨張室31での温度振幅を減少させるこ
とが可能となる。
【0032】図2は、横軸に時間をとり、縦軸に温度を
とって、本実施例と従来とを比較するために、第2の寒
冷発生ユニット12における温度の変動(温度振幅)に
ついてそれぞれ調べた結果を示すグラフ図である。図
中、曲線Pは本実施例の結果を、曲線Qは従来の結果を
示す。図から明らかなように、本実施例の冷凍機によれ
ば温度振幅が従来のそれの約半分になった。この結果、
従来の約1.9倍もの寒冷発生量を得ることができた。
【0033】なお、本実施例では示していないが、Er
3 Ni以外の蓄冷材、液体ヘリウム温度付近で比熱の高
い磁性蓄冷材を採用してもよいし、あるいは常温で予め
高圧のヘリウムガスを封入してもよい。
【0034】本実施例では極低温冷凍機を鉛直下向きに
配置し、高温部が上方に位置し、低温部が下方に位置し
ている。しかしながら、極低温冷凍機が使用される姿勢
は常にこの姿勢とは限らない。冷凍機を鉛直軸に対して
傾けて取り付ける場合もあり得る。
【0035】図3は、横軸に冷凍機の傾き角θをとり、
縦軸に4.2Kにおける冷凍能力をとって、従来の冷凍
機における両者の関係について調べた結果を示すグラフ
図である。いま、従来の極低温冷凍機を鉛直下向きから
角度θだけ傾けたとすると、図から明らかなように、傾
き角θが大きくなるに従って冷凍能力は急激に低下す
る。とくに、傾き角θが60度を越えると、冷凍能力の
低下が著しい。ちなみに、磁性蓄冷材を用いない冷凍機
を10K程度の温度で使用する場合には、このような冷
凍能力の低下現象は観察されない。
【0036】そこで、発明者らは、4.2Kの温度域で
用いる場合に冷凍機を傾けると、なぜ冷凍能力が低下す
るのか、その原因究明のために解析と実験を繰り返し行
った。その結果、ヘリウムガスがディスプレーサ32と
シリンダ29との相互間隙のなかで移動し、冷凍損失を
生じていることが判明した。このようなガスの移動は、
対流と重力の組み合わせに起因して起こる。すなわち、
冷凍機を傾けると、重力の影響により高温側のヘリウム
ガスがより下方に移動し、さらにガスの対流が活発にな
るので、高温側のヘリウムガスが低温側の膨張室31の
なかに流れ込みやすくなる。このような現象は、冷媒で
あるヘリウムの密度が大きく変わる液化温度付近で特に
顕著に起きることがわかった。
【0037】図4は、横軸に温度をとり、縦軸にヘリウ
ムの密度をとって、ヘリウム密度の温度依存性について
調べた結果を示すグラフ図である。図中、実線は20気
圧の条件で測定した結果を、破線は8気圧の条件で測定
した結果を示す。図から明らかなように、温度の低下と
ともにヘリウム密度が急激に増大する。
【0038】本実施例の冷凍機では、低温側にも下シー
ル装置33bを設けているので、冷凍機を傾けた場合で
あっても、下シール装置33bにより高温のヘリウムガ
スが遮断され、膨張室31のなかに流入しない。このた
め、冷凍機の設置姿勢による影響をなくすことが可能と
なった。
【0039】図5に示すように、ディスプレーサ32の
外壁に複数のテフロン樹脂製のライナー60を設けても
よい。これらライナー60によりディスプレーサ32と
シリンダ29の相互間隙に存在するヘリウムガスの移動
を防ぐことができる。
【0040】また、図6に示すように、フェルトなどの
繊維状の材料61をディスプレーサ32に巻き付けても
よい。繊維状の材料61により相互間隙内でのガスの移
動を阻止することができる。
【0041】さらに、図7に示すように、通常はフェノ
ール樹脂などの断熱材によって形成されている蓄冷器3
5の周壁をステンレス鋼製の円筒62で構成してもよ
い。なぜならば、蓄冷器35の内部の温度分布は冷凍機
の傾きの影響を受けないので、蓄冷器35内の温度分布
と同様の温度分布を相互間隙のヘリウムガスに形成する
ことが有効だからである。そのためには、フェノール樹
脂などの断熱材よりもステンレス鋼を用いることが効果
的である。また、ステンレス鋼の代わりに金属チタンや
チタン合金を用いてもよい。
【0042】なお、上記の方法を採用したとしても、冷
凍機の姿勢の影響はある程度は避けられない。そこで、
使用の最中に極低温冷凍機が置かれる姿勢が変化する
(例えばθ1〜θ2)場合に、予め極低温冷凍機の位置
は(θ1+θ2)/2の位置にセットしておくと、傾き
の角度が±(θ1−θ2)/2になり、姿勢の影響を小
さくすることができる。この方法は、宇宙電波望遠鏡に
搭載され宇宙からの微弱な電波の観測に使用されるSI
S受信機を構成する際に有効である。宇宙電波の観測の
場合、望遠鏡の角度は0度から70度ぐらいまで変化
し、それにつれてSIS受信機及び極低温冷凍機の傾き
も変化するからである。
【0043】第2の寒冷発生ユニット12は高温側が約
30K、低温側は4K程度まで冷却されている。そのよ
うな温度範囲で使用される蓄冷器35の内部の温度振幅
を測定したところ、ある断面では8Kから25K程度ま
で振幅していることがわかった。冷凍機の損失には互い
に温度勾配を持つディスプレーサ32とシリンダ29が
相対的に動くことによって生じるシャトル損失がある。
ここで蓄冷器35内部の温度振幅が大きいとシャトル損
失の増大を招いてしまう。シャトル損失を増大させない
ためには蓄冷器35内部の温度振幅をディスプレーサ3
2の表面に出さないことが必要である。そこで図8に示
したように蓄冷器35の外壁に真空部分63を設けるこ
とでシャトル損失が減少し冷凍能力の増加を生む。次
に、上記のように構成された冷凍機の動作を説明する。
【0044】モータ13が回転を開始すると、ディスプ
レーサ23,32が下死点と上死点との間を往復動す
る。ディスプレーサ23,32が下死点にあるとき、高
圧弁44が開いて高圧ヘリウムガスがコールドヘッダ1
内に流入する。次に、ディスプレーサ23,32が上死
点へと移動する。前述の如く、ディスプレーサ23の外
周面とシリンダ21の内周面との間およびディスプレー
サ32の外周面とシリンダ29の内周面との間にはそれ
ぞれシール装置24,33a,33bが装着されてい
る。このため、ディスプレーサ23,32が上死点へと
向かうと、高圧ヘリウムガスはディスプレーサ23に形
成された蓄冷室26およびディスプレーサ32に形成さ
れた蓄冷室35を通って、膨張室22および膨張室31
へと流れる。この流れに伴って、高圧ヘリウムガスは蓄
冷材27,36に接触して冷却される。最終的には、膨
張室22に流れ込んだ高圧ヘリウムガスは30Kレベル
に、また膨張室31に流れ込んだ高圧ヘリウムガスは4
Kレベルに冷却される。
【0045】ここで、高圧弁44が閉じ、低圧弁42が
開く。このように低圧弁42が開くと、膨張室22内お
よび膨張室31内の高圧ヘリウムガスが膨張して寒冷を
発生し、シリンダ21の部分45およびシリンダ29の
部分51において吸熱が行われる。そして、ディスプレ
ーサ23,32が再び下死点へ移動すると、これに伴っ
て膨張室22内および膨張室31内のヘリウムガスが排
除される。膨張したヘリウムガスは蓄冷室26,35内
を通る間に蓄冷材27,36を冷却し、常温となって排
出される。以下、上述したサイクルが繰返されて冷凍運
転が行なわれる。
【0046】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではない。すなわち、上述した実施例は本発明を
GM冷凍機に適用した例であるが、本発明は往復動する
ディスプレーサと蓄冷器を備えた蓄冷式の冷凍機全般に
適用できる。
【0047】図9は、図1に示した冷凍機を組み込んだ
超電導マグネット冷却装置を示す概要図である。従来、
超電導マグネットは液体ヘリウムを用いて冷却しなけれ
ばならなかったが、蓄冷材にEr3 Niを使用すること
で液体ヘリウム温度の冷凍が可能となり、本発明によっ
て冷凍能力の向上が図られたため、極低温冷凍機のみで
超電導マグネットを冷却・運転することが可能となっ
た。
【0048】同図において、符号1はGM冷凍機のコー
ルドヘッドを示し、符号11は第1の寒冷発生ユニット
を示し、符号12は第2の寒冷発生ユニットを示してい
る。これらは真空容器70内に配置されており、第2の
寒冷発生ユニット12には超電導マグネット71が熱的
に接触している。常温部と第1の冷却ユニット11は銅
で構成された電流リード72で接続されており、第1の
冷却ユニット11第2の冷却ユニット12の間は酸化物
超電導体73で構成された電流リードが接続されてい
る。両者はそれぞれ第1の冷却ユニット11及び第2の
冷却ユニット12において熱的に接続されており74・
75、電気的に絶縁されている。電気的な絶縁体には熱
伝導率の高い窒化アルミニウム76を使用している。
【0049】このように構成された超電導マグネット冷
却装置で最大5テスラの磁場を作ることに成功した。ま
た、液体ヘリウムを使用した冷却装置に比べ、大幅な小
型化を可能とし、液体ヘリウム注入などの煩雑な作業を
一切なくすことが可能となった。次に、図10〜図16
を参照しながら他の実施例について説明する。
【0050】図10に示すように、ディスプレーサ32
の蓄冷室のなかに2個のペレット状蓄冷材80を設けて
いる。ペレット状蓄冷材80は蓄冷室の両端部にそれぞ
れ配置され、この相互間に塊状Er3 Niの磁性蓄冷材
36が充填されている。ペレット状蓄冷材80はEr3
Niの粒同士を部分的に焼結結合させたものであり、円
柱ブロックとして一体に固められたものであって、Er
3 Niの粒が互いに離れないようになっている。
【0051】このようにすると、ディスプレーサ32の
蓄冷室に充填される蓄冷材の総量を従来よりも増加させ
ることができる。ちなみに、従来の冷凍機はフェルトや
メッシュを詰め込む分だけ蓄冷材の充填量が少ないもの
であった。
【0052】図11に示すように、ディスプレーサ32
の蓄冷室のなかをペレット状蓄冷材80ですべて満たし
てもよい。各ペレット状蓄冷材80の相互間には仕切り
82が設けられ、互いが断熱されている。仕切り82
は、ベークライト板、FRP板、フェルト、ステンレス
鋼メッシュなどの断熱材料でつくることが好ましい。な
お、仕切り82には複数のガス通気孔が形成されてい
る。このようにすると、従来よりも高温端から低温端に
向かっての熱侵入が有効に阻止され、実冷凍能力が向上
する。
【0053】図12に示すように、ディスプレーサ32
の蓄冷室のなかをペレット状蓄冷材80で満たす場合
に、高温端から低温端に向かってペレットの厚さを順に
厚くしていってもよい。
【0054】通常、蓄冷材で用いられる物質は、温度が
低くなるほど熱伝導率が小さくなる。このため、図11
に示すように厚さが等しいペレットを配列すると、断熱
効果が不均等になる。しかし、図12に示すように、熱
伝導率の大きい高温端側に薄いペレット状蓄冷材80を
配置し、熱伝導率の小さい低温端側に厚いペレット状蓄
冷材80を配置すると、断熱効果が均等になる。このた
め、従来よりも高温端から低温端に向かっての熱侵入が
有効に阻止され、実冷凍能力が向上する。
【0055】図13に示すように、ディスプレーサ32
の蓄冷室のなかに二種類のペレット状蓄冷材80a,8
0bを配列してもよい。第1のペレット状蓄冷材80a
は、Er3 Niの粒やEr0.9 Yb0.1 Niの粒を焼結
結合して得たものである。また、第2のペレット状蓄冷
材80bは、Pbの粒やEr3 Niの粒を焼結結合して
得たものである。このようにすると、異なる蓄冷材が互
いに混じり合うことがないので、冷凍能力の信頼性が向
上する。また、仕切りが不要になる。図14乃至図16
のそれぞれは、ディスプレーサの構成壁32aとペレッ
ト状蓄冷材80との相互間隙に種々のものを充填した例
を示す部分拡大図である。
【0056】図14に示すように、相互間隙にフェルト
などの繊維体84を充填してもよい。このようにする
と、ヘリウムガスが相互間隙で動き回らなくなり、実冷
凍能力が向上する。
【0057】図15に示すように、相互間隙にEr3
iの粒などの磁性蓄冷材36を充填してもよい。このよ
うにすると、ヘリウムガスが相互間隙で動き回らなくな
り、さらに実冷凍能力が向上する。
【0058】図16に示すように、相互間隙dが200
μm以下になるように、仕上げ加工してもよい。このよ
うにすると、ヘリウムガスが相互間隙で動き回らなくな
り、さらに実冷凍能力が向上する。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
冷凍機の設置姿勢が傾いたとしても、冷凍損失を実質的
に損なうことなく、使用することができる。このため、
実冷凍能力を高めることができ、冷凍機の用途を大幅に
拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るGM冷凍機の要部縦断面
図。
【図2】膨張室における温度振幅の様子を本発明と従来
例とを比較した図。
【図3】従来のGM冷凍機において、GM冷凍機を鉛直
下向きから角度θ傾けた際の4.2Kにおける冷凍能力
と角度θの関係を示す図。
【図4】ヘリウムガスの比熱の温度依存性を示す図。
【図5】本発明の実施例に係るディスプレーサの縦断面
図。
【図6】本発明の実施例に係るディスプレーサの縦断面
図。
【図7】本発明の実施例に係るディスプレーサの縦断面
図。
【図8】本発明の実施例に係るディスプレーサの縦断面
図。
【図9】本発明の実施例に係るGM冷凍機を組み込んだ
超電導マグネット冷却装置の概略構成図。
【図10】本発明の実施例に係るディスプレーサの縦断
面図。
【図11】本発明の実施例に係るディスプレーサの縦断
面図。
【図12】本発明の実施例に係るディスプレーサの縦断
面図。
【図13】本発明の実施例に係るディスプレーサの縦断
面図。
【図14】本発明の実施例に係るディスプレーサの蓄冷
室の一部を示す部分断面図。
【図15】本発明の実施例に係るディスプレーサの蓄冷
室の一部を示す部分断面図。
【図16】本発明の実施例に係るディスプレーサの蓄冷
室の一部を示す部分断面図。
【符号の説明】
1…コールドヘッド 2…冷媒ガス導排出系 11…第1の寒冷発生ユニット 12…第2の寒冷発生ユニット 21,29…シリンダ 22,31…膨張室 23,32…ディスプレーサ 24,33a,33b…シール装置 25,34…ピストン 26,35…蓄冷室 27,36…蓄冷材 45,46…吸熱に供される部分 48,49…被冷却物 52…シリンダしゅう動面 53…銅シリンダ 56…Er3 Ni 60…ライナー 61…フェルト 62…ステンレス外筒 63…真空槽 70…真空容器 71…超電導マグネット 72,73…電流リード 74,75…熱アンカー部 76…窒化アルミニウム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−49858(JP,A) 特開 平3−7856(JP,A) 特開 平2−298765(JP,A) 実開 平2−16954(JP,U) 実開 平2−134460(JP,U) 実開 昭62−115060(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F25B 9/14 510 F25B 9/14 530

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダと、このシリンダ内に往復動自
    在に配置されて前記シリンダとで膨張室を構成するとと
    もに内部に蓄冷器を有するディスプレーサと、このディ
    スプレーサと前記シリンダとの間に設けられたシール装
    置と、を備えてなる寒冷発生ユニットを少なくとも1段
    備え、前記ディスプレーサの往復動に関連させて高圧ガ
    スを前記蓄冷器に通して冷却した後に前記膨張室に導い
    て膨張させ、この膨張によって冷えたガスを上記蓄冷器
    に再び通して蓄冷する動作を繰り返すとともに前記シリ
    ンダのヘッド壁またはヘッド壁近傍の周壁を介して吸熱
    するようにした極低温冷凍機において、 繊維体が、前記ディスプレーサと前記シリンダとの相互
    間隙に充填されていることを特徴とする極低温冷凍機。
  2. 【請求項2】 シリンダと、このシリンダ内に往復動自
    在に配置されて前記シリンダとで膨張室を構成するとと
    もに内部に蓄冷器を有するディスプレーサと、このディ
    スプレーサと前記シリンダとの間に設けられたシール装
    置と、を備えてなる寒冷発生ユニットを少なくとも1段
    備え、前記ディスプレーサの往復動に関連させて高圧ガ
    スを前記蓄冷器に通して冷却した後に前記膨張室に導い
    て膨張させ、この膨張によって冷えたガスを上記蓄冷器
    に再び通して蓄冷する動作を繰り返すとともに前記シリ
    ンダのヘッド壁またはヘッド壁近傍の周壁を介して吸熱
    するようにした極低温冷凍機において、 前記ディスプレーサの内少なくとも前記シール装置の高
    温側シール装置が設けられる部分が銅・銅合金・アルミ
    ニウム・アルミニウム合金の中から選ばれた一種又は二
    種以上の金属で形成されていることを特徴とする極低温
    冷凍機。
  3. 【請求項3】 シリンダと、このシリンダ内に往復動自
    在に配置されて前記シリンダとで膨張室を構成するとと
    もに内部に蓄冷器を有するディスプレーサと、このディ
    スプレーサと前記シリンダとの間に設けられたシール装
    置と、を備えてなる寒冷発生ユニットを少なくとも1段
    備え、前記ディスプレーサの往復動に関連させて高圧ガ
    スを前記蓄冷器に通して冷却した後に前記膨張室に導い
    て膨張させ、この膨張によって冷えたガスを上記蓄冷器
    に再び通して蓄冷する動作を繰り返すとともに前記シリ
    ンダのヘッド壁またはヘッド壁近傍の周壁を介して吸熱
    するようにした極低温冷凍機において、 前記シリンダの内少なくとも前記シール装置の高温側シ
    ール装置が摺動する部分がセラミック製の摺動部材から
    なり、かつこの摺動部材の外側に設けられ銅・銅合金・
    アルミニウム・アルミニウム合金の中から選ばれた一種
    又は二種以上の金属で形成されていることを特徴とする
    極低温冷凍機。
  4. 【請求項4】 シリンダと、このシリンダ内に往復動自
    在に配置されて前記シリンダとで膨張室を構成するとと
    もに内部に蓄冷器を有するディスプレーサと、このディ
    スプレーサと前記シリンダとの間に設けられたシール装
    置と、を備えてなる寒冷発生ユニットを少なくとも1段
    備え、前記ディスプレーサの往復動に関連させて高圧ガ
    スを前記蓄冷器に通して冷却した後に前記膨張室に導い
    て膨張させ、この膨張によって冷えたガスを上記蓄冷器
    に再び通して蓄冷する動作を繰り返すとともに前記シリ
    ンダのヘッド壁またはヘッド壁近傍の周壁を介して吸熱
    するようにした極低温冷凍機において、 前記ディスプレーサの蓄冷器の外筒が、ステンレス鋼・
    チタン・チタン合金の中から選ばれた一種又は二種以上
    の金属で形成されていることを特徴とする極低温冷凍
    機。
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