JP2979742B2 - 熱線式流量計 - Google Patents

熱線式流量計

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JP2979742B2
JP2979742B2 JP3170162A JP17016291A JP2979742B2 JP 2979742 B2 JP2979742 B2 JP 2979742B2 JP 3170162 A JP3170162 A JP 3170162A JP 17016291 A JP17016291 A JP 17016291A JP 2979742 B2 JP2979742 B2 JP 2979742B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱線式流量計に関し、
例えば内燃機関の吸入空気量の計測に用いられるもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の熱線式流量計として、発熱する感
温抵抗体を流体流路中に設置し、この発熱する感温抵抗
体の温度を所定値に維持するように通電量を帰還制御す
ることで、その通電量により流体の流量を計測するよう
にしたものが知られている。また、ほとんど発熱しない
感温抵抗体を流体流路中に設け、上記の発熱する感温抵
抗体とともにブリッジ回路を構成させて、流体の温度変
化を補償するものも知られている。
【0003】例えば、特開平2−35315号公報に開
示される熱線式流量計が知られている。この従来技術で
は、発熱する感温抵抗体への通電量を制御する差動増幅
器と、温度補償用の感温抵抗体への通電量を制御する差
動増幅器との2つの差動増幅器を用いることで、安定し
た流量計測を可能にしている。また、この特開平2−3
5315号公報には、感温抵抗体を含む抵抗ブリッジ回
路を平衡ブリッジ回路として構成し、それにあわせて差
動増幅器の接続を変えることで、差動増幅器の内部オフ
セット電圧による影響を低減することが開示されてい
る。この公報の技術によると、差動増幅器の内部オフセ
ット電圧をVOS1、VOS2とした場合に、回路全体
で見た総合オフセット電圧をVOS1とVOS2との和
より小さくできる。そして、総合オフセット電圧を小さ
くできる結果、帰還制御回路の応答性を向上させること
ができる。
【0004】上記の公報に開示されるように帰還制御回
路の総合オフセット電圧を小さくすることは、回路の応
答性を改善する上で有効であるが、一方、回路を安定に
作動させる為には、0以上のオフセット電圧が必要であ
る。そのために、二つの差動増幅器の一方に意図的にオ
フセット電圧を付与するものが知られている。例えば、
特開平3−15722号公報のものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来から
オフセット電圧を適当な値に設定しようとする試みがな
されている。しかし、差動増幅器の内部オフセット電圧
は不可避のものであり、しかも、この内部オフセット電
圧は、差動増幅器ごとに異なり、さらに通常数μV/°
C〜10μV/°C程度の温度ドリフトを有している。
このため、差動増幅器の内部オフセット電圧を含む総合
オフセット電圧は、差動増幅器の内部オフセット電圧に
よって変化し、差動増幅器を使って組み立てられた回路
のオフセット電圧を設計どおりの値にすることは容易な
ことではなかった。
【0006】また、回路を構成した後にオフセット電圧
を計測し、所望の総合オフセット電圧が得られるよう
に、抵抗値を調節し、意図的に与えられるオフセット電
圧を調節することも考えられるが、その調節のためにコ
ストアップを招くという問題点があった。
【0007】本発明は上記のような従来の問題点に鑑
み、差動増幅器の内部オフセット電圧による影響を低減
した熱線式流量計を提供することを目的としてなされた
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、流体流路中に設置される第1感温抵抗体
と、前記第1感温抵抗体と直列に設けられ、電源からの
供給電力を調節する電力調節回路と、流体流路中に設置
される第2感温抵抗体と、前記第1感温抵抗体と前記第
2感温抵抗体との電圧を入力し、前記第1感温抵抗体の
温度を前記第2感温抵抗体の温度より所定温度高くする
ように前記電力調節回路を制御する第1差動増幅回路
と、前記第1感温抵抗体の両端電圧を分圧する分圧回路
と、前記分圧回路の分圧電圧に応じて前記第2感温抵抗
体への印加電圧を調節し、かつ、前記第1感温抵抗体へ
の供給電力を示す電圧に前記第1差動増幅回路の内部オ
フセット電圧とは逆の極性として現れる内部オフセット
電圧を有する第2差動増幅回路とを備えることを特徴と
する熱線式流量計という技術的手段を採用する。
【0009】
【作用】上記本発明の構成による作用を説明する。本発
明の構成では、第1差動増幅回路は、第1感温抵抗体の
温度が第2感温抵抗体の温度より所定温度高くなるよう
に第1感温抵抗体への供給電力を帰還制御する。これに
より、第1感温抵抗体は発熱し、その熱は流体に奪われ
るから、この第1感温抵抗体への供給電力を示す電圧を
出力電圧として検出することで流体の流量が計測され
る。また、第2差動増幅回路は、第2感温抵抗体への供
給電力を第1感温抵抗体の両端電圧を分圧した分圧電圧
に応じて制御する。これにより、第2感温抵抗体への供
給電力を安定化でき、第2感温抵抗体の誤差を少なくし
て、流体の温度変化による流量の測定誤差が高精度に補
償される。また、第2差動増幅回路の内部オフセット電
圧は、出力電圧に第1差動増幅器の内部オフセット電圧
とは逆の極性として現れる。このため、第1差動増幅器
の内部オフセット電圧と第2差動増幅器の内部オフセッ
ト電圧とが逆の極性となって作用するため、これらが互
いに相殺され、出力電圧への内部オフセット電圧の影響
が低減される。
【0010】
【実施例】以下本発明を適用した実施例を説明する。な
お、この明細書の中では、差動増幅回路とその出力回路
とを含む回路を演算増幅器あるいはオペアンプと称する
ものとする。
【0011】図1および図2は第1実施例の回路図であ
り、図1の左端A−A線から図2の右端A−A線に連な
る一連の回路図を示している。この第1実施例は、内燃
機関の吸気通路に設けられたバイパス通路に感温抵抗体
を設け、内燃機関の吸入空気量を測定するものである。
【0012】図1,図2において、1は車載バッテリ、
2はノイズ除去用コンデンサ、3は抵抗器である。4は
バッテリの端子が逆接続された時等に装置の電源ライン
がグランドに対し負電圧となった場合に後述する感温抵
抗体7の焼損を保護するための保護ダイオードである。
【0013】5は2段のパワートランジスタであり、エ
ミッタフォロク回路を構成している。6はパワートラン
ジスタ5のベースに設けられた抵抗器である。7,8は
感温抵抗体であり、空気の流路に配置される。また、感
温抵抗体7,8はセラミック等の絶縁体ボビンに白金線
を巻回した同一のものが用いられほぼ同一抵抗値であ
り、また熱容量,形状等はほぼ同じである。第1の固定
抵抗器9は、第1の感温抵抗体7に流れる電流を電圧に
変換して検出する。抵抗器10,11は第1の感温抵抗
体7の両端電圧を分圧するための分圧回路を構成する。
12は抵抗器13,14はノイズ除去用コンデンサ、1
5,16は抵抗器である。17は第2の固定抵抗器、1
8は第3の固定抵抗器である。19,20はノイズ除去
用コンデンサ、21は回路保護用抵抗器、22,23は
抵抗器、24,25は後述する基準電圧源104の出力
電圧Vrefを分圧するための分圧抵抗器である。
【0014】100はモノリシックIC化された範囲を
示し、101,102,103はバッテリー電圧の過電
圧に対してモノシリックIC100を保護するためのツ
ェナーダイオードである。104は基準電圧源であり、
バンドギャップ型基準電圧源回路である。105は演算
増幅器(以下オペアンプと称する)、106はトランジ
スタ、107〜110はダイオード、111,112は
抵抗器、113はダイオードであり、105〜113の
素子で、基準電圧源104の出力電圧Vrefを基準と
して定電圧電源回路を構成している。
【0015】200はオペアンプの範囲を示す。オペア
ンプ200は、抵抗器201,202,一対のPNPト
ランジスタ203,204、一対のNPNトランジスタ
205,206、定電流源207、一対のPNPトラン
ジスタ208,209、一対の定電流源210,21
1、電流源212、一対のトランジスタ213,21
4、位相補償用コンデンサ215、抵抗器216,21
7,218定電流源217,218、電圧反転増幅用の
NPNトランジスタ219、抵抗器220,221およ
びNPNトランジスタ222,223を備える。オペア
ンプ200は、オペアンブ200の出力端子であるトラ
ンジスタ223のエミッタを、抵抗201を介してトラ
ンジスタ203のベースに接続しており、ボルテージホ
ロワ回路となっている。また、前記電流源207,21
0,211,212,217,218は電源電圧(V
B)の変化に依存しない一定電流を供給し、PNPトラ
ンジスタを用いたカレントミラー回路で構成している。
【0016】300はオペアンプの範囲を示す。オペア
ンプ300は抵抗器301,302、一対のPNPトラ
ンジスタ303,304、抵抗器305,306、定電
流源307、一対のNPNトランジスタ308,30
9、一対のPNPトランジスタ310,311、一対の
定電流源312,313、定電流源314、一対のトラ
ンジスタ315,316、位相補償用のコンデンサ31
7、抵抗器318、定電流源319,320、電圧反転
増幅用のNPNトランジスタ321、PNPトランジス
タ322〜326、および定電流源327〜331を備
える。そして、抵抗器305と抵抗器306は基準電圧
源104の基準電圧Vrefを分圧し、トランジスタ3
08のエミッタに抵抗器305が設けられることで、オ
ペアンプ300にオフセット電圧を作用させている。前
記電流源312,313,314,319,320は電
源電圧(VB)の変化に依存しない一定電流を供給し、
具体的には、PNPトランジスタを用いたカレントミラ
ー回路で構成している。
【0017】400,500はオペアンプである。図1
に図示される回路のうち、オペアンプ200,300と
5〜19の素子で構成される回路がブリッジ回路及びそ
の制御回路である。そして、オペアンプ400,500
と20〜25の素子で構成される回路が、ブリッジ回路
から流量と相関を持った電圧として検出される電圧VM
を増幅し出力するための出力回路である。
【0018】次に上記の構成による回路各部の作動を説
明する。装置1にバッテリ1から電源が供給されると、
基準電圧源104は基準電圧Vrefを出力する。この
基準電圧はバンドギャップ型の回路で作られ、約1.2
Vの温度特性に優れた高精度な基準電圧である。このV
ref電圧を基準として、105〜113で構成される
定電圧電源回路で定電圧VCCを作り他の回路の電源と
して供給している。この定電圧回路において、VCCは
下記数式1で与えられる。
【0019】
【数1】
【0020】なお、この数式1において、R111,R
112は各々抵抗器111,112の抵抗値を示し、V
Fは直列接続されたダイオード107〜110,113
の順方向電圧降下を示す。
【0021】この順方向電圧降下VFは−2mV/℃程
度の温度依存があり、従って、上式からわかるようにV
CCには温度依存性が与えられている。次にブリッジ回
路の作動を説明する。
【0022】まず、装置に電源が供給されたときのブリ
ッジ回路の起動について説明する。装置に電源が供給さ
れると、定電圧Vccが供給される。この実施例では、
パワートランジスタ5を駆動するオペアンプ300の出
力部にトランジスタ322〜326によって構成される
エミッタホロワ回路を設け、トランジスタ321のコレ
クタの電圧よりトランジスタ326のエミッタの電圧を
高めている。このため、トランジスタ326のエミッタ
端子の電圧は、オペアンプ300の入力トランジスタ3
03、304のベースに加わる電圧に関係なく所定範囲
の電圧となる。このため、装置に電源が供給された直後
にも、トランジスタ326のエミッタ端子の電圧は、オ
ペアンプ300の入力に関係なく所定範囲の電圧とな
る。
【0023】このトランジスタ326のエミッタ端子の
電圧VEの最小値VE(MIN)と最大値VE(MA
X)とは、トランジスタ322〜326の各々のエミッ
タ−ベース間の順方向電圧降下をVBE1とすると、下
記の数式2、数式3で表される。
【0024】
【数2】VE(MIN)≒5×VBE1
【0025】
【数3】VE(MAX)≒5×VBE1+Vcc 上記のようにしてトランジスタ326のエミッタ端子に
電圧が発生すると、エミッタホロワ回路を構成するトラ
ンジスタ5が導通し、トランジスタ5のエミッタ電圧が
オペアンプ300の入力に関係なく所定範囲の電圧とな
る。
【0026】このトランジスタ5のエミッタ電圧VBR
の最小値VBR(MIN)と最大値VBR(MAX)と
は、下記の数式4、数式5で表される。
【0027】
【数4】 VBR(MIN)=5×VBE1−2×VBE2
【0028】
【数5】 VBR(MAX)=5×VBE1+VCC−2×VBE2 なお、この数式4では、2段のダーリントン接続からな
るトランジスタ5の各トランジスタのベース−エミッタ
間の順方向電圧降下をVBE2として、トランジスタ5
のベース−エミッタ間の順方向電圧降下を2×VBE2
としてある。
【0029】ここで、常温におけるVBE1とVBE2
とをほぼ0.7(V)とすると、VBRは2.1〜VC
C+2.1(V)の範囲の電圧となる。以上の作動によ
り、オペアンプ300の入力状態に関係なく所定範囲の
電圧が感温抵抗体7、8を含むブリッジ回路に印加さ
れ、オペアンプ300の入力となる電圧VMとVKとが
発生する。この時は電源の供給直後であるため、第1の
感温抵抗体7はまだ発熱していないから、VM>VKと
なる。このため、オペアンプ300の出力(トランジス
タ326のエミッタ電圧)はVCC+5×VBE1とな
り、トランジスタ5のエミッタ電圧は5×VBE1+V
CC−2×VBE2の最大電圧となる。この結果、感温
抵抗体7には最大の電流が通電され、感温抵抗体7が発
熱して抵抗値が上昇し、電圧VMが低下する。そして、
VM=VKとなるようにオペアンプ300がトランジス
タ5を制御する。
【0030】以上に説明したように、この実施例ではト
ランジスタ5のエミッタ端子の電圧がとりうる最大値が
制限されているから、バッテリの電源電圧VBが変動し
てもエミッタ端子の電圧VBRが過度に上昇することが
ない。例えば、バッテリの電圧が通常使用時の電圧より
はるかに高い電圧となったり、何らかの外乱ノイズによ
ってVM、VKが異常値をとるようなことがあっても、
電圧VBRが過度に上昇することがなく、感温抵抗体が
保護される。
【0031】また、トランジスタのベース−エミッタ間
の順方向電圧降下VBEは公知のように−2(mV/°
C)程度の温度特性を有している。このため、電圧VB
Rは、上記の数式4、数式5に示したように、およそ3
×VBEの温度特性を有している。そこでこの実施例で
は、定電圧電源回路にダイオード107〜110、11
3を使用することで、電圧VCCに+6(mV/°C)
程度の温度特性を与え、上記の3×VBEの温度特性に
よる電圧VBRの最大値の変化をキャンセルしている。
これにより、電圧VBRの最大値を温度、および電源電
圧VBに関係なくほぼ一定に維持することができる。
【0032】なお、電圧VBRの最大値は、検出対象の
最大流量時に必要な電圧よりいくらか高く、かつ、感温
抵抗体等のブリッジ回路を保護する程度の値に設定され
る。次にブリッジ回路起動後の作動について説明する。
ブリッジ回路を構成する主要な部品は、オペアンプ20
0,300,トランジスタ5,感温抵抗器7,8,固定
抵抗器9〜11,17,18である。以下、第1の感温
抵抗体7の抵抗値をRH、第2の感温抵抗体8の抵抗値
をRK、第1の固定抵抗器9の抵抗値をR9、第1の固
定抵抗器17の抵抗値をR17、第3の固定抵抗器18
の抵抗値をR18、固定抵抗器10,11の抵抗値をR
10,R11として表わす。また、図中のVBR,V
M,VKはその記号の付してある部分の電圧を表わすも
のである。
【0033】上記の起動時の作動によりブリッジ回路に
通電されると、オペアンプ200,300の入力電圧が
発生し、オペアンプ300の入力電圧には下記数式6の
条件が成立する。
【0034】
【数6】VM+VOS3=VK 一方、オペアンプ200の入力電圧には、下記数式7の
条件が成立する。
【0035】
【数7】
【0036】上記数式6に数式7を代入すると下記数式
8が導かれ、さらに下記数式9で表わされる電圧VBR
を代入して整理すると下記数式10が導かれる。この数
式10が、ブリッジ回路の平衡条件式である。なお、R
H≪R10+R11とする。
【0037】
【数8】
【0038】
【数9】
【0039】
【数10】
【0040】上式においてVOS3はオペアンプ300
のオフセット電圧である。この電圧VOS3は基準電圧
源104の出力である電圧Vrefを抵抗306,30
5からなる分圧回路で分圧したオフセット電圧ΔVとオ
ペアンプ300の内部回路で前記ΔV以外に発生する内
部オフセット電圧(VOS3Dとする)とで決まり下記
の数式11で表わされる。
【0041】
【数11】VOS3=ΔV+VOS3D 電圧VOS3Dは主にトランジスタ303と304,3
08と309,310と311のそれぞれのペア性の不
整合及び電流源312と313の不整合によって生じる
内部オフセット電圧である。電圧VOS2はオペアンプ
200の内部オフセット電圧であり、オペアンプ300
の内部オフセット電圧VOS3Dと同じ理由により生ず
る。
【0042】なお、以下の説明では作動説明を簡単にす
るために、VOS2,VOS3を0(V)として説明す
る。前述の数式10においてVOS2,VOS3を0
(V)として式を整理すると、ブリッジ平衡条件式は下
記数式12となる。
【0043】
【数12】
【0044】上式の右辺は空気流路に設置される第2の
感温抵抗体8の抵抗値RKと固定抵抗器の抵抗値R1
7,R18,R10,R11で決まる。ここで空気流路
に設置される感温抵抗体7,8はほぼ同一抵抗でかつ、
同一熱容量を持つ感温抵抗体であるが、第2の感温抵抗
体8は自己発熱しないようそこに加わる電圧が調節され
ている。この実施例では、抵抗10,11の分圧回路と
オペアンプ200によって、第2の感温抵抗体8の両端
に加わる電圧は、第1の感温抵抗体7の両端に加わる電
圧(VBR−VM)の1/10〜1/20程度となるよ
う設定している。従って、上記数式12の右辺は、第2
の感温抵抗体8の温度が空気流路を流れる空気温度にほ
ぼ等しくなることから、この空気温度によって決まる値
となる。
【0045】一方、数式12の左辺のRH/R9は、R
9が第1の固定抵抗であるから、第1の感温抵抗体7の
抵抗値RHによって決まる値となる。第1の感温抵抗体
7は空気流路に設置されており、そこに流れる電流をI
とすると、I2 RHの電力を消費し、発熱する。この発
熱電力I2 RHは空気流路を流れる空気に放熱されるの
で、この流路を流れる空気流量が多いか、少ないかによ
って空気に奪われる熱量が変わってくる。このため、空
気量に応じて温度が変化し、抵抗値RHも変化しようと
するが、第1の感温抵抗7の抵抗値RHが変わらないよ
うオペアンプ300がトランジスタ5からの通電量を制
御する。つまり、空気流量に応じて前記Iを変化させる
ことにより、I2 RHを変化させRHが常に所定抵抗値
になるよう制御される。
【0046】具体的には、回路図中のVBRを変化させ
ることにより、前述のIを変化させる。従って、この電
流Iは空気流量に相関を持った値である。そしてこの実
施例では、第1の固定抵抗9の電圧降下電圧(I×R
9)を検出することにより、空気流量に相関を持った電
圧を検出している。この電圧(VM)を後述する出力回
路にて増幅し、流量信号電圧として図示せぬ燃料噴射量
制御装置に出力する。
【0047】次に、第2の感温抵抗体8の役割について
詳細に説明する。前述のように第2の感温抵抗体8は、
ほぼ自己発熱させない(自己発熱は約1℃以下が望まし
い)ことが前提であり、この感温抵抗体8は空気流路を
流れる空気温度を計測しているものである。感温抵抗体
7,8の抵抗値は3800ppm/℃の温度依存性を有
している。この実施例では、この感温抵抗体8を有する
ことによって、流路を流れる空気温度変化を補償してお
り、流れる空気温度に関係することなく、流量に相関を
持った電圧(VM)を得ている。
【0048】具体的には、第2の感温抵抗体8の温度に
対し、第1の感温度抵抗体7の温度を常に一定温度高く
すれば良い。これは、数式12においてR17,R18
を未知数として、具体的温度の2点について連立方程式
を立て、解くことにより、R17,R18を設定すれば
容易に実現できる。また第1,第2の感温抵抗体の温度
差に空気流路を流れる空気温度に応じて温度依存性を与
えることも前述の抵抗値R17,R18の前提により容
易に温度依存性を与えることもできる。
【0049】次にVOS2,VOS3を含めて回路の作
動を説明する。上記の数式10に示されるブリッジ平衡
条件式を変形して、流量に相関を持った電圧VMを求め
ると、下記数式13となり、上述のVOS3=ΔV+V
OS3Dを代入すると数式14となる。
【0050】
【数13】
【0051】
【数14】
【0052】この数式14をオフセット電圧について整
理すると下記の数式15となる。
【0053】
【数15】
【0054】この数式15の右辺第2頁括弧内の式がこ
の実施例の回路構成における総合オフセット電圧VOS
である。数式15からわかるように、オペアンプ300
の内部オフセット電圧VOS3Dとオペアンプ200の
内部オフセット電圧は相殺するよう作用する。すなわ
ち、VOS3D及びVOS2は0(V)が理想である
が、現実的にはオペアンプ内のペア素子の不整合等によ
り必ずオフセット電圧が生じる。そこでこの実施例で
は、VOS3DとVOS2とを相殺させている。そのた
めにこの実施例ではモノリックIC100内つまり、1
チップ上にオペアンプ200,300を作り、オペアン
プ200,300のチップ上への配置,素子サイズの最
適化等により、VOS2≒VOS3Dとしている。これ
により、総合オフセット電圧VOSを理想のVOS=Δ
Vに近づけることができる。
【0055】また、このようにして作ったオペアンプの
内部オフセットの温度ドリフトもVOS2とVOS3D
でほぼ同じとなる。ここで、数式15の右辺第2頁のR
18/RK+R17+R18は、抵抗器10,11の分
圧比でほぼ決まるが、第2の感温抵抗体8の自己発熱が
ほとんど無視できる程度(自己発熱1℃以下)に抑えら
れると0.7〜0.9の値となる。
【0056】総合オフセット電圧VOSはブリッジ回路
を安定に作動させるために必要であり、正の電圧でなけ
ればならない。すなわちVOSが負の場合はオペアンプ
300の入力と出力の関係でみると正帰還がかかること
になり、不安定になり発振現象が発生する。以上の理由
によりVOSは正の電圧である必要があるが、この正の
VOSの大小によってブリッジ回路の応答性が左右され
る。具体的には空気流路を流れる空気量が急激に変化し
た場合の流量信号である電圧VMの応答が総合オフセッ
ト電圧VOSの値によって変わる。総合オフセット電圧
VOSが大きいとブリッジ回路の負帰還が強くなり応答
性は遅くなる。逆にVOSが小さいほど負帰還は弱くな
り応答性は早くなる。応答性を早くすると過渡時にリン
ギング等が発生し好ましくない。応答性が遅いと過渡時
の流量が計れないので問題となる。そこで総合オフセッ
ト電圧VOSの最適化が必要であり、通常このVOSは
数mVに設定する。以上の理由によりVOSはできる限
りバラツキの少ない所定電圧値であることが望ましい。
この実施例では、数式15に示す総合オフセット電圧の
誤差要素であるオペアンプ200のオフセット電圧VO
S2とオペアンプ300の内部オフセット電圧VOS3
Dが相殺するよう、作用するので総合オフセット電圧V
OSの誤差を最小限に抑えている。
【0057】また、この実施例では、第1の感温度抵抗
体7と抵抗器9,10,11に流す電流をトランジスタ
5を介して電源電圧VBから得ている。これにより、第
1の感温抵抗体7に流す電流を、抵抗器3を通して得る
場合より、最低作動電圧を下げることができる。
【0058】さらにこの実施例では、第2の感温抵抗体
8と抵抗器17,18との直列回路に流す電流もトラン
ジスタ5のエミッタから供給している。すなわち、オペ
アンプ200の出力トランジスタ223のコレクタは、
抵抗器15を介してトランジスタ5のエミッタに接続さ
れ、トランジスタ223のエミッタは第2の感温抵抗体
8に接続されている。
【0059】ここで、第2の感温抵抗体8に供給する電
流は数mA〜数十mAになり、この電流を定電圧源のV
CCから供給しようとすると、抵抗器3を流れる電流が
増加し、この抵抗器3における電圧降下が大きくなっ
て、回路が作動可能な最低作動電圧が高くなってしまう
という問題点が生じる。また、これを回避するために抵
抗器3の抵抗値を小さくすると、過電圧保護用のツェナ
ーダイオード101,102,103の容量を高める必
要が生じ、モノリシックIC100のチップサイズの大
型化,コストアップ等の問題点が生じる。
【0060】しかし、この実施例の上記構成によると、
第2の感温抵抗体8の電流をトランジスタ5を介して電
源電圧VBから得ているため、上述のごとき問題点を生
じることがない。
【0061】なお、抵抗器15はトランジスタ223の
消費電力を低減するための抵抗であり、これを取り除い
て回路を構成してもよい。前述の作動説明でわかるよう
に、第1の感温抵抗体7の消費電力は、抵抗器9〜1
8,オペアンプ200,300,トランジスタ5等によ
り構成される制御回路により、帰還制御される。この帰
還制御ループ内には以下に述べる電圧増幅回路が介在し
ている。
【0062】オペアンプ200内にはトランジスタ20
5,206,208,209で構成される差動増幅回路
があり、これは、トランジスタ203と204のそれぞ
れのベース端子電圧の差電圧を電圧増幅しており、トラ
ンジスタ209のコレクタ端子に増幅後の電圧が出力さ
れ通常60(dB)程度の増幅度を有している。また、
トランジスタ221では電圧反転増幅を行っている。こ
のトランジスタ2211個で通常60(dB)前後の電
圧増幅度を有している。これらの2つの増幅回路の電源
は定電圧電源の定電圧VCCから電流源210〜21
1,217を介して供給されている。オペアンプ200
内のその他のトランジスタ203,204,213,2
14,222,223はすべてエミッタフォロワ回路を
構成しており、電圧増幅作用はない(電圧増幅度は1
倍)。
【0063】次にオペアンプ300はオペアンプ200
と同様にトランジスタ308,309,310,311
で差動増幅回路を構成する。また、トランジスタ321
で電圧反転増幅回路を構成する。それらの電源は電流源
312〜314,320を介して定電圧電源の定電圧V
CCから供給されている。その他のトランジスタ30
3,304,315,316,322〜326はエミッ
タホロワ回路を構成しており、電圧増幅作用はない。
【0064】またパワートランジスタ5はエミッタホロ
ワ回路を構成しており、電圧増幅作用はない。従って帰
還ループ内に介在する電圧増幅回路の電源はすべて定電
圧電源の定電圧VCCより供給しているので装置の電源
の電圧VBが変動しても定電圧VCCに応じて制御され
る電圧VBRが変動することはない。
【0065】次にバッテリー1の電圧が低下した場合に
ついて説明する。つまり流量計測するために必要なVB
R電圧に対しバッテリー1の電圧VBは最低何(V)必
要かについて述べる。
【0066】抵抗器3における電圧降下電圧をV1,
抗器6における電圧降下電圧をV2 , ダーリントン型パ
ワートランジスタ5の後段トランジスタのベース,エミ
ッタ間の順方向電圧降下電圧をVBE1,前段トランジ
スタのベースエミッタ間の順方向電圧降下電圧をVBE
2,電流源331の電圧降下電圧の最小値をVCE(M
IN)とすると流量計測に必要な最低電圧値は下記の数
式16で表わされる。
【0067】
【数16】 VB(MIN)=VBR+VBE2+VBE1+V2 +VCE(MIN) +V1 なお、VCE(MIN)は電流源331の電圧降下の最
小値を示し、トランジスタ5を正常作動させるために必
要なベース電流を供給できる最低の電圧を示す。
【0068】ここで、定電流源の詳細な回路を図3に示
す。図3における327〜331のPNPトランジスタ
は、図1,図2の電流源327〜331の各々に相当す
る。図3の電流源回路は一般的なカレントミラー回路で
あり、基本電流T1 は下記の数式17で決まる。
【0069】
【数17】
【0070】なお、VEB350はトランジスタ350
のエミッタ−ベース間電圧降下電圧、VEB351はト
ランジスタ351のエミッタ−ベース間電圧降下電圧、
R352は抵抗352の抵抗値である。図3において、
電流I1 がトランジスタ350のコレクタ電流として流
れ、トランジスタ327〜331はそれぞれ基本電流I
1 をミラーして出力する。トランジスタ327〜331
の出力する電流値は、バイポーラICの同一チップ上で
回路を構成する場合において、トランジスタ350とト
ランジスタ327〜332に同一素子を用いれば各トラ
ンジスタの出力電流はほぼ基本電流I1 と同一電流とな
る。本実施例における電流源327〜330は同一電流
値の電流源とし、電流源331の電流源はパワートラン
ジスタ5のベース電流を供給するために他の電流源32
7〜330の電流に比べ、数十倍の電流値としている。
これはトランジスタ350の素子面積に対し、トランジ
スタ331の素子面積を大きくするか、あるいはトラン
ジスタ350と同一素子を並列に何個か接続することに
より容易に達成できる。
【0071】次に出力回路について説明する。出力回路
はオペアンプ400,500と抵抗21〜25,コンデ
ンサ20で構成されている。この出力回路はブリッジ回
路から流量に相関を持った電圧信号として電圧VMをオ
ペアンプ500の非反転入力端子に入力し、下記の数式
18で表わされる出力電圧Voutを出力するよう作用
する。なお、抵抗21〜25の抵抗値をR21〜R25
として表わし、電圧VRは下記の数式19で表わされ
る。
【0072】
【数18】
【0073】
【数19】
【0074】上記の数式18に示されるように、出力回
路は、電圧増幅作用を有する。また、数式18のVR及
びR22/R23を調整することにより、個々の製品に
固有のVM特性値の違いを同一特性値に合わせ込むこと
ができる。これにより、出力電圧VoutをA/D変換
するA/D変換器のA/D変換可能範囲にあわせた出力
電圧を出力することができ、A/D変換器のA/D変換
可能範囲をむだなく使って、A/D変換時のビット誤差
を小さくできる。また、出力電圧Voutの信号電圧
と、外部から重畳するノイズ電圧とのS/Nを大きくと
ることができ、ノイズに強くすることができる。
【0075】以上の様にパワートランジスタ5のベース
電流を定電流源331より供給することにより、流量を
計測できるバッテリー電圧VBの最低電圧値は、上記の
数式16で示される電圧になる。ところで、従来の装置
では、パワートランジスタのベース電流は、オペアンプ
の出力トランジスタから与えられるのが通常であった。
従来のオペアンプの出力トランジスタには、ダーリント
ン接続のトランジスタが用いられるのが一般的であっ
た。このため、流量を計測できる最低電圧には、オペア
ンプの出力トランジスタの電圧降下も含む必要があっ
た。下記の数式20は本実施例による最低電圧と、従来
装置の最低電圧との差を示している。この数式20で
は、すべてのトランジスタのベース−エミッタ間電圧降
下を等しくみなして、VBEとしている。
【0076】
【数20】
【0077】但し、V1 ,V2 ,VCE(MIN)
は従来装置と本実施例装置とで同じと仮定した。この数
式20において、左辺第1項は本実施例の最低電圧を示
す数式16に等しく、左辺第2項はダーリントン接続の
トランジスタからパワートランジスタにベース電流を供
給する従来技術の最低電圧を示す。そして、ダーリント
ン接続のトランジスタの電圧降下をVBE3,VBE4
としている。従って、本実施例装置は従来装置に比べ2
VBE(約1.4V)低いバッテリー電圧まで流量を計
測できる。
【0078】図4は第2実施例の回路図である。図4は
定電流源の回路構成を示す。上述の第1実施例では、図
3の定電流源回路を用いたが、図4の定電流源回路を用
いてもよい。図3の回路では基本電流I1 が電源の電圧
VB1によって変化するのに対し、図4基本電流i2
電源VB1の電圧に影響されない回路となっている。こ
の図4の回路では、抵抗器353,ダイオード347,
トランジスタ350により起動を構成している。そし
て、トランジスタ342,343,349,351,3
52,ダイオード346,抵抗器345,348からな
る回路により電源電圧VB1の変化を補償して基本電流
2を作っている。この図4の回路で作られる基本電流
2 は、VB1の電圧に依存せず、また抵抗348,3
45の抵抗値を選定することにより温度にもほとんど依
存しない基本電流とすることができる。
【0079】図5は、図1、図2の実施例の回路各部を
ブロック的に図示した回路図である。この図5では、図
1、図2と同じ構成には同じ符号を付す。図5の定電圧
回路120は、図1、図2の符号105から113まで
の素子を含む回路である。また、図5のオペアンプ23
0は、図1、図2の符号201から219までの素子を
含む回路であり、差動増幅回路とその出力回路とからな
る。また、図5のオペアンプ360は、図1、図2の符
号301から321までの素子を含む回路であり、差動
増幅回路とその出力回路、さらにオフセット電圧を設定
する抵抗器とからなる。
【0080】次に、比較例を示して実施例の作用効果を
再度説明する。図6は比較例の回路を示す回路図であ
る。この比較例では、発熱する感温抵抗体への電力を電
源から供給し、発熱しない温度補償用感温抵抗体への電
力を電源から電流制限用抵抗器と、過電圧保護用ダイオ
ードとを介して供給している。
【0081】図6において、車両の内燃機関の吸入空気
量を計測する熱線式流量計は、車両のバッテリ400を
電源として作動する。発熱する感温抵抗体402と抵抗
器404との直列回路には、パワートランジスタ406
を介して電源から電力が供給される。感温抵抗体402
の両端電圧は抵抗器408と抵抗器410との直列回路
で分圧される。抵抗器404の電圧VMは抵抗器412
を介してオペアンプ414の反転入力端子に入力され
る。オペアンプ414の反転入力端子には、抵抗器41
6を介して定電圧VRが印加され、抵抗器412におけ
る電圧降下がオペアンプ414のオフセット電圧として
入力される。オペアンプ414の非反転入力端子には抵
抗器418が接続され、オペアンプ414の出力端子と
非反転入力端子との間には、発熱しない感温抵抗体42
0と抵抗器422との直列回路が接続される。オペアン
プ424の反転入力端子には、感温抵抗体402の両端
電圧を抵抗器408と抵抗器410とで分圧した電圧V
Aが入力される。オペアンプ424の非反転入力端子に
はオペアンプ414の出力が入力される。そして、オペ
アンプ424の出力はパワートランジスタ406に入力
される。電源には、電流制限用抵抗器426が直列に設
けられ、さらに過電圧保護用ツェナーダイオード42
8、430、432が直列に設けられる。そして、これ
らの素子が電源回路434を構成して、オペアンプ41
4、424に電力が供給される。
【0082】図6の回路によると、感温抵抗体402の
温度が感温抵抗体420の温度より所定温度高くなるよ
うに感温抵抗体402への通電量が帰還制御され、この
通電量が流量に対応した信号として出力される。
【0083】上記の図6の回路によると、感温抵抗体4
20への電流がすべてオペアンプ414から供給されて
いるため、電源回路434からオペアンプ414に流れ
る電流を大きくする必要がある。しかし、この電流値が
大きくなると、抵抗器426における電圧降下が大きく
なり、この抵抗器426を介して電力を供給される回路
が作動するために必要な最低の電源電圧が高くなるとい
う問題が生じる。また、電流値を大きくして電圧降下を
小さくするには、抵抗器426の抵抗値を小さく設定す
る必要があるが、抵抗器426の抵抗値を小さく設定す
るとツェナーダイオード428、430、432として
電流容量の大きい素子を用いなければならない。このた
め、電源回路434の大型化を招くという問題点があ
る。
【0084】さらに、図6の回路では、オペアンプ41
4、424の内部オフセット電圧の影響を小さくしよう
とすると感温抵抗体420への電流が大きくなり、さら
に電源回路434を流れる電流が大きくなるという問題
点がある。
【0085】以下に、内部オフセット電圧の影響を少な
くするための構成について説明する。図6の回路におい
て、出力電圧VMは、下記の数式21で表される。な
お、感温抵抗体402の抵抗値をRH、感温抵抗体42
0の抵抗値をRKとし、各抵抗器の抵抗値を各抵抗器の
符号の下2桁を用いて表し、例えば抵抗器404の抵抗
値をR04として表す。また、VOS1がオペアンプ4
14の内部オフセット電圧、VOS2がオペアンプ42
4の内部オフセット電圧である。なお、RH<<R08
+R10とする。
【0086】
【数21】
【0087】上記の式において、右辺第3項と右辺第4
項とは、オペアンプの内部オフセット電圧による影響を
表している。そして、数式21からわかるように抵抗値
R08と抵抗値R10との比R08/108を変更する
と、右辺第3項、右辺第4項の値も変化する。すなわ
ち、R08/R10を小さくすると右辺第3項、右辺第
4項の値も小さくなり、オペアンプの内部オフセット電
圧による影響を少なくできる。
【0088】一方、図6に図示される電圧VBは下記の
数式22で表され、電流i1は下記の数式23で表され
る。この数式23からわかるように、R08/R10が
小さくなると電流i1が大きくなる。
【0089】
【数22】
【0090】
【数23】
【0091】従って、熱線式流量計として高精度な作動
を得るためには、オペアンプの内部オフセットの影響は
小さいほうがよい。しかし、内部オフセットの影響を少
なくするためにR08/R10を小さくすると、感温抵
抗体420に流れる電流i1が増加し、オペアンプ41
4に供給される電流が増加してしまうという新たな問題
点が発生する。なお、数式21における△Vに関連する
右辺第2項はブリッジ回路の帰還量を表しており、R0
8/R10を変更すると、右辺第2項の値も変化し、ブ
リッジ回路の帰還量が変化し、応答性が変化する。この
ため、△Vはブリッジ回路を安定動作させ、適度な応答
性が得られるように、抵抗器412と抵抗器416との
抵抗値を適宜変更して設定される。すなわち、所定の帰
還量を得るためには、R08/R10が大きければ△V
を小さくし、R08/R10が小さければ△Vを大きく
する。
【0092】上記のようにオペアンプの内部オフセット
電圧の影響を低減するためにオペアンプ414に供給さ
れる電流が増加すると、抵抗器426における電圧降下
が大きくなり、オペアンプ424がパワートランジスタ
406を導通させて流量を計測するために必要な最低の
電源電圧が高くなり、電源電圧が低いときの流量測定が
できなくなるという問題点が生じる。また、抵抗器42
6の電圧降下を小さくするためにその抵抗値を小さくす
ると、ツェナーダイオード428、430、432とし
て電流容量の大きい素子を用いなければならない。この
ため、電源回路434の大型化を招くという問題点があ
る。特に、高精度で品質の高い回路を低コストで構成す
るためにオペアンプ等の回路を1チップのモノリシック
ICで構成すると、電流容量の大きいツェナーダイオー
ドは素子面積が大きいため、チップサイズが大型化し、
コスト高となる。
【0093】また、図6の回路では、二つのオペアンプ
の内部オフセット電圧VOS1、VOS2が共に正の電
圧としてVMに現れるため、出力電圧VMは内部オフセ
ット電圧VOS1、VOS2の両方の影響を受けて変化
する。このため、出力電圧VMは、内部オフセット電圧
VOS1、VOS2の両方の温度ドリフトの影響を受け
て変動する。従って、感温抵抗体の温度を帰還制御する
制御回路全体での総合オフセット電圧は内部オフセット
電圧VOS1、VOS2の両方の影響を受けて変化し、
帰還制御回路の応答性等に影響を及ぼす。
【0094】しかし、上記の第1、第2実施例による
と、感温抵抗体8に流す電流はパワートランジスタ5の
エミッタから供給されている。このため、抵抗器10と
抵抗器11の抵抗値の比R10/R11は、抵抗器3で
の電圧降下の増加や、ツェナーダイオード101、10
2、103の容量の増加を考慮することなく、オペアン
プ200、300の内部オフセット電圧の影響を少なく
するように小さく設定することができる。さらに、上記
の第1、第2実施例によると、感温抵抗体8に流れる電
流をパワートランジスタ5のエミッタから供給している
ため、抵抗器3の抵抗値を図6の回路より大きく設定で
きる。このため、装置の最低作動電源電圧を下げてしま
うことなくツェナーダイオードの容量を小さくできる。
特に、回路をIC化する場合には、ツェナーダイオード
の素子面積を小さくでき、チップサイズを小さくして低
コストの熱線式流量計を提供できる。
【0095】また、上記の第1、第2実施例によると、
二つのオペアンプ200、300の内部オフセット電圧
VOS1、VOS2が、出力電圧において互いに逆の極
性の電圧として現れるため、これらが互いに相殺され
る。このため、出力電圧への内部オフセット電圧VOS
1、VOS2の影響が低減される。特に上記の実施例で
は、二つのオペアンプ200、300を共に1チップの
IC上に構成しているため、これらの内部オフセット電
圧およびその温度ドリフトがほぼ等しくなる。このた
め、これらの内部オフセット電圧が相殺される結果、総
合オフセット電圧を基準電圧と抵抗器305、306に
よるオフセット電圧△Vにほぼ一致させることができ
る。
【0096】なお、上記の実施例では、オフセット電圧
△Vをオペアンプ300の内部に設けられた一対のトラ
ンジスタ308、309の一方に作用させたが、このオ
フセット電圧はオペアンプ300の外部から、反転入力
端子あるいは非反転入力端子に作用させてもよい。ま
た、オフセット電圧はオペアンプ200の内部または外
部から作用させてもよい。
【0097】
【発明の効果】以上述べたように本発明によると、熱線
式流量計に設けられる二つの差動増幅回路の内部オフセ
ット電圧が、流量を示す出力電圧に互いに逆の極性の電
圧として現れ、相殺されるため、出力電圧への内部オフ
セット電圧の影響が少ない熱線式流量計を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1実施例の回路の一部を示
す回路図である。
【図2】本発明を適用した第1実施例の回路の一部を示
す回路図である。
【図3】定電流回路を示す回路図である。
【図4】第2実施例の定電流回路を示す回路図である。
【図5】本発明を適用した第1実施例の回路を示す回路
図である。
【図6】本発明を適用していない比較例の回路を示す回
路図である。
【符号の説明】
1 バッテリ 5 パワートランジスタ 7 第1の感温抵抗体 8 第2の感温抵抗体 100 モノリッシクICの範囲 200 演算増幅器(オペアンプ) 300 オペアンプ 400 オペアンプ 500 オペアンプ 230 オペアンプ 360 オペアンプ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−35315(JP,A) 特開 平3−279866(JP,A) 特開 平3−138533(JP,A) 特開 平3−15722(JP,A) 特開 平5−93733(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01F 1/68 G01P 5/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体流路中に設置される第1感温抵抗体
    と、 前記第1感温抵抗体と直列に設けられ、電源からの供給
    電力を調節する電力調節回路と、 流体流路中に設置される第2感温抵抗体と、 前記第1感温抵抗体と前記第2感温抵抗体との電圧を入
    力し、前記第1感温抵抗体の温度を前記第2感温抵抗体
    の温度より所定温度高くするように前記電力調節回路を
    制御する第1差動増幅回路と、 前記第1感温抵抗体の両端電圧を分圧する分圧回路と、 前記分圧回路の分圧電圧に応じて前記第2感温抵抗体へ
    の印加電圧を調節し、 かつ、前記第1感温抵抗体への供給電力を示す電圧に前
    記第1差動増幅回路の内部オフセット電圧とは逆の極性
    として現れる内部オフセット電圧を有する第2差動増幅
    回路と を備えることを特徴とする熱線式流量計。
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Cited By (2)

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JP2012513022A (ja) * 2008-12-19 2012-06-07 コミサリア ア レネルジィ アトミーク エ オ ゼネ ルジイ アルテアナティーフ ワイヤ風速計の制御装置
US8800379B2 (en) 2008-12-19 2014-08-12 Commissariat A L'energie Atomique Et Aux Energies Alternatives “X” wired anemometric probe and its manufacturing method

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