JP2979484B2 - 縫合糸への針の取付方法および針付縫合糸 - Google Patents
縫合糸への針の取付方法および針付縫合糸Info
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Description
付けるための方法および針付縫合糸に関するものであ
る。
成高分子からなる縫合糸が多用されている。また最近で
は。手術室での看護婦等の作業の削減を図るとともに縫
合時の組織の損傷をなるべく抑えるため、針と縫合糸の
直径差を少なくした状態で上記縫合糸の片端または両端
に予め針を取付けておき、このような針付き縫合糸を包
装後、滅菌した状態で販売することが行われている。
付けに関し、種々の提案がなされている。
トからなる縫合糸を枠に張って引張状態にするととも
に、この縫合糸の一部を樹脂で固めた後切断することに
より、先端部分をより細くして針孔への挿入を容易にす
るとともに、より硬くして針取付時のほぐれを防ぐよう
にした方法が開示されている。
ントからなる縫合糸を枠に張って引張状態とし、その後
上記枠を一旦緩めた状態で硬化剤を塗布し、次いで再度
縫合糸を引張ることにより、上記硬化剤を硬化させると
ともに、この硬化剤を縫合糸の内部まで浸透させてより
強く硬化させる方法が開示されている。
のマルチフィラメントからなる縫合糸において、その先
端の針取付部のみを加熱しながら引張り、この状態で表
面の50%以下を熱溶融させることにより、上記針取付部
を硬化させる方法および装置が開示されている。
て単回縫合または連続縫合に選択的に使用されるため、
これに応じて、針を糸に強固に取付けたものと、針を手
で容易に引抜くことができるように取付強度を調整した
ものの2種類が市販されるに至っている。このため、従
来、針の引抜き強度を調整する方法についても種々提案
されており、例えば特公昭58−39544号公報には、スェ
ージ加工した手術針と縫合糸との組合わせにおいて、上
記縫合糸の針取付部を上記特公昭58−340号公報に示さ
れる方法と同一の方法により樹脂で覆って他の部分より
も細くし、この部分の直径、針孔の直径、およびスェー
ジ加工の工程を適当に制御することにより、糸引抜き値
を3オンスから26オンスの間に調節するようにしたもの
が開示されている。
よび特開平1−158962号公報に示される方法では、縫合
糸の末端が樹脂で覆われているので、硬化によって針取
付けは容易になるが、不要な部分、すなわち針取付部の
末端よりも中央側の部分にまで数cmに亘って樹脂が付着
し、残存するため、縫合糸が組織等を傷付けるおそれが
ある。また、糸の直径は樹脂溶液の濃度や糸の材質等に
大きく影響を受けるので、所望の直径を安定して得るの
は難しい。一方、特開昭64−38266号公報に示される方
法では、縫合糸の末端を加熱溶融しているので、温度制
御が十分でないと硬化しにくく、また溶融によって縫合
糸が切断したり、強度劣化を引起こして針取付部が他の
部分よりも弱くなるおそれがある。
−39544号公報に示されるものと同様に、針引抜き値の
調整を容易に行えるようにすることも望まれる。
法および針付縫合糸を提供することを目的とする。
ことにより細くかつ高強度となることが知られている。
本発明はこの点に着目したものであり、熱可塑性フィラ
メントからなる縫合糸の一部を該フィラメントのガラス
転移温度以上でかつ融点よりも低い温度で加熱延伸する
ことにより加熱延伸していない他の部分よりも細くかつ
硬化し、この部分を切断し、これにより得られる末端を
針の装着穴へ挿入してかしめることにより、針を取付け
る方法である(請求項1)。
メントからなる縫合糸とを備え、この縫合糸の末端が上
記フィラメントのガラス転移温度以上で融点よりも低い
温度で加熱延伸されて他の部分よりも細くかつ硬化した
状態で針の装着穴へ挿入され、かしめて取付けられてい
る針付縫合糸である(請求項5)。
ノフィラメント等が適用可能である(請求項2,3,6,
7)。
調整によって針を引抜き可能とすることが可能である
(請求項4,9)。
れ針が取付けられているものでもよい(請求項8)。
により、この部分は熱溶融時のような強度劣化を生ずる
ことなく、細くかつ硬くなる。この末端の直径について
は、加熱温度および張力を調節することにより、他の部
分よりも極度に細くすることが可能であるが、針取付け
が容易となる充分な硬さおよび細さを確保し、かつ他の
部分と同程度の強度を維持させるには直径の収縮率は1
〜30%が適当であり、さらには5%〜30%であることが
より好ましい。
ている場合には、上記方法により得られる末端は他の部
分に比較し細くなっているため、従来のものよりも針取
付けが容易である。しかも、単位断面積当たりの強度は
向上するので、細くなっても他の部分と比較して強度劣
化は生じない。
いる場合には、加熱によって、この加熱部分で各フィラ
メントそのものが緩められるとともに編み組も緩められ
るため、一旦縫合糸は大きくなるが、延伸によって各フ
ィラメントが細くなるとともに上記編み組も縮まるた
め、加熱されていない他の部分よりも細く硬くなり、針
取付けが可能になる。しかも、この硬くなった延伸部は
手でほぐすと容易に元の状態に戻り、硬化のほとんどな
い状態になる。
径が安定しているので、かしめ具合の調節によって安定
した針引抜き強度が得られる。
例を示したものである。ここに示される縫合糸10は、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロ
ン、ポリグリコール酸、ポリグリコール酸共重合体等か
らなるモノフィラメントまたはマルチフィラメントで構
成され、その末端12が加熱延伸で細くかつ硬くなった状
態で針20の装着穴に挿入され、この部分がかしめられる
ことにより、上記末端12に針20が取付けられている。
の材質は問わず、加熱延伸によって細くなり、かつ針付
け加工が容易になる適度の硬さが得られる素材であれば
広く適用が可能である。また、針20の形状や材質も問わ
ず、種々のものが適用可能である。
縫合糸10を張力をかけずに枠に張り、所望の長さに設定
した後、その一部、具体的には1〜10cmほどの部分をフ
ィラメントの融点よりも低い温度まで加熱した後、張力
をかけて加熱部分のみを熱延伸させて硬くかつ細くし、
この硬化された部分を切断して上記末端12を得るものが
好適である。加熱時間は加熱温度および延伸倍率に応じ
て適宜選択できるが、約1〜10秒間が好ましく、さらに
は約3〜5秒間がより好ましい。
の実験結果を示す。
延伸時の温度は、ガラス転移温度から融点以下までの温
度であることが必要である。第1表は、PGA(ポリグコ
ール酸)、ポリプロピレン、ポリエステルを素材とする
各縫合糸3−0号について、使用可能な曲げ強さを維持
するように延伸する際の最高、最低、および最適温度を
示したものである。
換言すれば延伸倍率を変えることにより、この延伸部分
の硬さや直径に違いが生じる。
として曲げ試験がある。ここでは、第2図に示されるよ
うな引張試験機(オリエンテック社製、UTM−II型)の
可動部30に縫合糸10を挿通する一方、ひずみゲージをも
つ固定部40の中央に設けらたフック42を上記縫合糸10に
掛け、このフック42で縫合糸10を曲げようとする際の荷
重を測定する方法を採り、この方法により、各素材の縫
合糸3−0号を上記最適温度で5秒間加熱延伸したもの
について単位断面積当りの曲げ強度を測定した。その結
果を以下の第2〜4表に示す。なお、第2,4表中「回復
延伸部」とあるのは、硬化した延伸部を手でほぐした時
の延伸部を意味する。
れた部分は他の部分よりも曲げ強度が強くなり、しか
も、この曲げ強度は延伸倍率の増大に従って大きくな
る。例えば、延伸倍率を1.2倍とした場合では延伸部の
曲げ強度は約13倍以上大きくなる。
伸部を手でほぐすことにより、未延伸部に近い値まで曲
げ強度が下がり、柔かくなる。従って、針と縫合糸とを
接合した後は、上記ほぐしによって硬度を下げることに
より、縫合糸が組織等を傷付けるのをより効果的に抑制
することができる。これは、熱溶融により硬化部を固化
してしまう従来法では得られにくい効果である。
は、1.7倍の延伸を行うことにより、曲げ強度を約1.5倍
向上させることができる。
ラメント縫合糸は、例えば約1.1倍に熱延伸されること
により曲げ強度が2倍以上大きくなり、しかも、その後
に手でほぐすことにより元の柔らかさをとり戻すことが
できる。
分の直径をそれぞれ投影機で測定し、延伸に伴う直径収
縮率を求めるようにした。その結果を第5〜7表に示
す。
0号に100〜700gの荷重をかけ、その中央部の長さ10cm
の領域を190℃の温度で5秒間加熱した後、延伸した時
の実験結果を示したものであり、5回測定した時の平均
値を示している。
伸により得られる硬化部は、硬化前よりも15.8〜26.5%
細くなり、針の装着がより容易な状態となっている。
らなる縫合糸3−0号に100〜200gの荷重をかけ、その
中央部の長さ10cmの領域を140℃の温度で5秒間加熱し
た後、延伸した時の実験結果を示したものであり、5回
測定した時の平均値を示している。
により得られる硬化部は、硬化前よりも11.0〜25.0%細
くなり、上記PGA製マルチフィラメント縫合糸と同様、
針の装着がより容易な状態となっている。
テル製マルチフィラメント縫合糸同士の比較 次の第7表は、本発明方法および従来法(特開昭64−
83266号公報に示される方法)による縫合糸同士の比較
結果を示したものである。本発明方法としては、ポリエ
ステル製マルチフィラメントからなる縫合糸3−0号に
430gおよび600gの荷重をかけ、その中央部の長さ10cmの
領域を240℃の温度で5秒間加熱して延伸し、従来法と
しては、上記と同じポリエステル製マルチフィラメント
からなる縫合糸3−0号に50gおよび300gの荷重をか
け、260℃の温度で3秒間および2秒間のそれぞれで加
熱溶融し、固化させた。そして、それぞれの硬化部を切
断後、その末端の硬くなった部分と他の部分とにおける
直径を測定した、 この表に示されるように、ポリエステル縫合糸を本発
明のように熱延伸する場合には、その延伸倍率を変える
ことにより、直径を7.7%および11.3%細くすることが
可能であり、しかも、これらは前記第4表に示したよう
に針取付けが可能な硬さを有している。これに対し、熱
溶融により得られる縫合糸は、針取付けが可能な硬さを
有するものの、直径は2.6%しか収縮せず、その分取付
容易性は不利となる。また、この熱溶融で上記直径をよ
り収縮させるためには荷重、加熱温度、または加熱時間
をさらに上げる必要があるが、その調節は難しく、これ
らをあまり上げ過ぎると加熱部が溶融して切断するおそ
れがある。例えば、300gの荷重をかけ、260℃で3秒間
加熱溶融すると切断することが確認された。
合糸を不都合なく容易に細くかつ硬くすることが可能で
あるが、さらに、この方法によれば縫合糸の安定した直
径を得ることができるため、針のかしめ具合を調節する
ことによって、針を引抜く際に必要な荷重(針引抜き強
度)をより正確に設定することが可能であり、具体的に
は100g〜3kgまでの範囲で調節することができる。次に
その実験結果を示す。
8mmの縫合糸の末端を、直径が0.58mmで穴径が0.33mmの
装着穴をもつ針の装着穴に挿入し、かしめの度合をダイ
ヤルで調節しながらかしめ機(松谷製作所製MANI ATTA
CHING MACHINE)で針と糸とを接合し、その後引張試験
機(オリエンテック製、RTM−100型)により針を引抜く
際に要する荷重(針引抜き値)を測定した。その結果を
次の第8表に示す。
め強度の調整により、通常使用されている縫合糸、すな
わち末端が樹脂で覆われたものと同様に、針引抜き値が
2.131kgと非常に大きい強固な針取付けが可能であると
ともに、針引抜き強度が200g〜600gといった針引抜きが
容易な取付も行うことが可能である。
8mm、硬化部の直径が0.186mmのポリプロピレン製モノフ
ィラメント縫合糸に、直径が0.38mm、穴径が0.22mmの針
(通常は4−0号の縫合糸に使用される針)を取付けた
ところ、縫合糸の針の直径の下が0.13mmとほとんどなく
なった。この時の針の引抜き値を次の第9表に示す。
細くした縫合糸によれば、この縫合糸に通常は4−0号
に使用される針を取付けたにも拘らず針の引抜き値の平
均値は1.1kgとなり、通常の3−0号の縫合糸に使用さ
れる針(0.26×0.43)を取付けた場合の針引抜き値の平
均値(1.0kg)ととほとんど差のない値を得ることがで
きる。
る縫合糸の一部を該フィラメントのガラス転移温度以上
でかつ融点よりも低い温度で加熱延伸することにより加
熱延伸していない他の部分よりも細くかつ硬化し、これ
によってより細くかつ硬い末端が得られるようにしたも
のであるので、従来のように樹脂コーティングや熱溶融
を用いるものに比べ、より容易な工程で針の取付を確実
に行うことができる効果がある。
場合には、上記加熱延伸で硬化された部分を手でほぐす
ことにより、処理前とほとんど変わりのない柔らかさを
復元することができ、これによって、手術中での縫合糸
との接触による組織の損傷等をより効果的に抑制するこ
とができる。
末端直径を得ることができるので、かしめ度合の調節に
よって、所望の針引抜き強度をより正確に得ることがで
きる。
図、第2図は同縫合糸の特性に関する実験に用いられる
引張試験機の斜視図である。 10……縫合糸、12……縫合糸の末端、20……針。
Claims (9)
- 【請求項1】熱可塑性フィラメントからなる縫合糸の一
部を該フィラメントのガラス転移温度以上でかつ融点よ
りも低い温度で加熱延伸することにより加熱延伸してい
ない他の部分よりも細くかつ硬くし、この部分を切断
し、これにより得られる末端を針の装着穴へ挿入してか
しめることにより、針を取付けることを特徴とする縫合
糸への針の取付方法。 - 【請求項2】上記フィラメントがマルチフィラメントか
らなることを特徴とする請求項1記載の縫合糸への針の
取付方法。 - 【請求項3】上記フィラメントがモノフィラメントから
なることを特徴とする請求項1記載の縫合糸への針の取
付方法。 - 【請求項4】針が引抜き可能となるようにかしめ具合を
調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
載の縫合糸への針の取付方法。 - 【請求項5】装着穴を有する針と、熱可塑性フィラメン
トからなる縫合糸とを備え、この縫合糸の末端が上記フ
ィラメントのガラス転移温度以上でかつ融点よりも低い
温度で加熱延伸されて他の部分よりも細くかつ硬化した
状態で針の装着穴へ挿入され、かしめて取付けられてい
ることを特徴とする針付縫合糸。 - 【請求項6】上記フィラメントがマルチフィラメントか
らなることを特徴とする請求項5記載の針付縫合糸。 - 【請求項7】上記フィラメントがモノフィラメントから
なることを特徴とする請求項5記載の針付縫合糸。 - 【請求項8】上記縫合糸の両末端にそれぞれ針が取付け
られていることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに
記載の針付縫合糸。 - 【請求項9】針が引抜き可能となるようにかしめ具合が
調整されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれ
かに記載の針付縫合糸。
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Publication Number | Publication Date |
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JPH04105646A JPH04105646A (ja) | 1992-04-07 |
JP2979484B2 true JP2979484B2 (ja) | 1999-11-15 |
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---|---|---|---|---|
JP4801290B2 (ja) * | 2001-07-31 | 2011-10-26 | マニー株式会社 | 医療用針付きテープ及び医療用針付きテープの製造方法 |
JP2006061453A (ja) * | 2004-08-27 | 2006-03-09 | Manii Kk | 針付縫合糸 |
-
1990
- 1990-08-24 JP JP2223463A patent/JP2979484B2/ja not_active Expired - Fee Related
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