JP2979178B2 - 脱硫用生物触媒をコードする組換えdna - Google Patents

脱硫用生物触媒をコードする組換えdna

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Description

【発明の詳細な説明】 背景 化石燃料に含まれる硫黄汚染物質は、精留にコストが
かかることがあるという精製プロセスにおける問題を引
き起こすことがある。化石燃料に含まれる硫黄汚染物質
は以下の一般的クラス分けのいずれかに分類される。す
なわち、ミネラル化硫黄(たとえば黄鉄鉱硫黄などの無
機硫黄)と有機硫黄(炭素分子と共有結合した硫黄で、
有機硫黄化合物という)である。硫黄が含まれている
と、パイプラインやポンプ、精製装置を腐食させたり、
耐用年数以前に燃焼エンジンが使用不能になったりする
ことがある。硫黄は、化石燃料の精製に使われる多くの
触媒にも悪影響を及ぼす。さらに、二酸化硫黄などの硫
黄燃焼生成物が大気中に排出されると、酸性雨と呼ばれ
る酸降水が起きる。酸性雨は、水生生物や森林の生態系
に対して長期的な悪影響を及ぼすだけでなく、燃焼施設
の下流域にある農耕地にも同様の影響を及ぼす。モンテ
ィセロとフィンナーティー(Monticello,D.J.and W.R.F
innerty),Ann.Rev.Microbiol.39:371−389(1985)。
1964年大気汚染防止法(Clean Air Act of 1964)など
の規制は、実質的にすべての石炭系および石油系燃料か
ら燃焼前または燃焼後に硫黄を除去することを要求す
る。クリーンに燃焼する低硫黄石油埋蔵量の減少にとも
ないグレードの低い高硫黄含有率の化石燃料の利用の必
要性が高まっていることと、規制当局による硫黄排出量
削減の要求が強くなっていることから、このような法律
を遵守することがますます難しくなっている[モンティ
セロとキルベイン(Monticello,D.J.and J.J.Kilban
e),“Practical Considerations in Biodesulfurizat
ion of Petroleum",IGT's 3d Intl.Symp.on Gas,Oil,Co
al,and Env.Biotech.,(Dec.3−5,1990)New Orleans,
LA]。
石油などの液体化石燃料を燃焼させる前に有機硫黄を
除去する技術として現在使われているものの一つに、水
素化脱硫(HDS)がある。HDSは、硫黄汚染物質の総量に
対する有機硫黄化合物が顕著な比率、たとえば主要な割
合、を占める化石燃料の脱硫に適している。したがっ
て、HDSは原油または瀝青、石油蒸留画分または精製中
間体、自動車用液体燃料などを処理するのに有用であ
る。HDSについては、シャイら(Shin,S.S.et al.)によ
ってさらに具体的に記述されている。“Deep Desulfuri
zation of Distillate Components",Abstract No.264B
AIChE Chicago Annual Meeting,presented November 1
2,1990(請求に応じて、American Institute of Chemic
al Engineersから全文の入手可能);ゲイリーとハンド
ウエルク(Gary,J.H.and G.E.Handwerk),(1975)Pet
roleum Refining:Technology and Economics,Marcel De
kker,Inc.,New York,pp.114−120;シュパイト(Speigh
t,J.G.),(1981)The Desulfurization of Heavy Oil
s and Residue,Marcel Dekker,Inc,New York,pp.119−1
27。HDSの基礎は、金属触媒の存在下で有機硫黄を還元
的に硫化水素(H2S)に変換するものである。HDSは高温
高圧条件下で実施される。HDSの結果生成する硫化水素
は腐食性のガス状物質であり、公知技術によって化石燃
料から分離される。硫化水素の高レベルやレベルの持続
があると、HDS触媒に悪影響を及ぼし(不活性化)、硫
黄含有率の多い液体化石燃料の脱硫を複雑化する。
石炭系と石油系のいずれの化石燃料においても、有機
硫黄は多くの化合物として存在するが、脱硫が容易であ
るという点で不安定化合物と呼ばれるものもあれば、た
とえばHDSなど従来の脱硫処理に容易に反応しないとい
う点で抵抗性化合物と呼ばれるものもある。シャイら
(Shih,S.S.et al.)。そこで、HDS処理済みの化石燃料
ですら、煙道スクラバーなどの装置を用いて燃焼後に脱
硫しなければならないことが多い。煙道スクラバーは、
とくに小規模の燃焼施設にとっては設置費が高く、維持
が困難である。さらに、煙道スクラバーをHDSと組み合
わせて用いるのは、上記硫黄関連問題のなかでも、機械
の腐食や触媒の不活性化などの他の硫黄関連問題対策と
いうよりも環境への酸性降水の克服を目的とするもので
ある。
多くの研究者らはこれらをはじめとするHDSの問題点
に鑑み、微生物脱硫法(MDS)の開発を目指して研究し
てきた。一般に、MDSは適当な細菌の代謝プロセスを化
石燃料の脱流に利用することと定義される。したがっ
て、MDSは穏やかな条件(たとえば環境条件または生理
的条件)下で行なわれるのが普通で、HDSに求められる
ような高温や高圧は不要である。また、生物学的脱硫剤
は適当な条件下で自ら更新または再生しうるという点も
有利であると一般に考えられる。微生物脱硫法について
は、モンティセロとフィンナーティー(Monticello and
Finnerty)(1985),39 ANN.REV.MICROBIOL.371−38
9、およびバードラら(Bhadra et al.)(1987),5 BI
OTECH.ADV.1−27によって検討されている。また、ハー
ドデガンら(Hartdegan,et al.)(1984),5 CHEM.ENG.
PROGRESS 63−67、およびキルベイン(Kilbane)(198
9),7 TRENDS BIOTECHNOL.(No.4)97−101も、当該分
野における開発状況について述べている。
数名の研究者らは、天然細菌に突然変異を誘発するこ
とでジベンゾチオフェン(DBT)を分解即ち異化する能
力を獲得させた変異株の作成を報告している。ハートデ
ガンら(Hartdegan,F.J.et al.),(May 1984)Chem.E
ng.Progress 63−67。DBTは、HDSによる硫黄除去が最も
困難な化石燃料に含まれる有機硫黄分子種の代表的なも
のである。既報の変異微生物のほとんどのものは、炭素
−炭素結合を切断することによって非特異的にDBTに使
用することで、小型の有機分解生成物として硫黄を遊離
する。この微生物作用の一つの結果として、上記処理を
受けた化石燃料の燃料価が低下する。しかしながら、イ
スビスターとドイル(Isbister and Doyle)は、DBTか
ら選択的に硫黄を遊離する能力があり、それによって処
理済み化石燃料の燃料価を維持することができると思わ
れるシュウドモナスの変異株を得たことを報告している
(米国特許第4,562,156号)。
最近、キルベイン(Kilbane)は細菌混合培養物に突
然変異を誘発することで、酸化経路によってDBTから選
択的に硫黄を遊離する能力があると思われる細菌コンソ
ーシアムを作成したことを報告している[Resour.Cons.
Recycl.3:69−79(1990)]。続いて、ロドコッカス
ロドクロウス(Rhodococcus rhodocrous)の1株がこの
コンソーシアムから単離された。本株は、ブタペスト条
約の条項に従い、ATCC番号53968としてAmerican Type C
ulture Collectionに寄託されており、IGTS8とも呼ば
れ、本明細書に記載の生成触媒活性の由来元である。AT
CC番号53968株の微生物は、有機硫黄分子中の炭素−硫
黄結合を選択的かつ酸化的に切断することによって、DB
Tをはじめとする化石燃料に含まれていることが知られ
ている有機硫黄種から硫黄を遊離する。キルベイン(Ki
lbane)は、米国特許第5,104,801号中で本株の単離と特
徴を詳細に記載している。
発明の概要 本発明は、一面では、有機硫黄分子を含む化石燃料を
脱硫する生物触媒として単独でまたは互いに共同して作
用する、一種以上の酵素をコードする1個以上の遺伝子
を含むデオキシリボ核酸(DNA)に関する。本発明のDNA
分子は天然資源から精製・単離され得るし、あるいは、
例えばヒト以外の生物のゲノム中へ組み込まれる組換え
DNA分子の一断片または一部分であることもある。本発
明の遺伝子または遺伝子群は、例えば適当な生物触媒活
性を有するロドコッカス ロドクロウシュという微生物
の1株から得ることができる。即ち、本発明の遺伝子ま
たは遺伝子群は、ヒト以外の生物、例えば、単独でまた
は互いに共同して脱硫生物触媒として作用する1種以上
の酵素を発現する微生物から得ることができる。生物触
媒は、以下に一層詳細に述べるように、有機−硫黄化合
物中の炭素−硫黄結合の選択的な酸化的切断である。本
発明は、有機硫黄化合物を含む化石燃料、例えばDBTの
ようなものの脱硫に特に有用である。
本発明はさらに、有機硫黄化合物を含む化石燃料を脱
硫することができる生物触媒をコードする外来(組換
え、異種の)DNAを含む組換えDNAベクター、組換えDNA
プラスミドおよびヒト以外の生物に関する。このような
生物は、ここでは宿主生物と呼ぶ。
従って、ここで述べられる発明は、本発明の遺伝子ま
たは遺伝子群のリボ核酸(RNA)転写物を含み、同様に
本発明の遺伝子または遺伝子群のポリペプチド発現生成
物をも包含する。このようなポリペプチド発現生成物
は、必要なときは翻訳後のプロセッシングおよび/また
は折り畳みを受けた後、そして必要なときは補酵素、コ
ファクターもしくは補助反応物と共に、化石燃料中に見
いだされる有機硫黄化合物から硫黄の除去を単独でまた
は相互に協調して触媒(促進、指示もしくは容易化)す
る1種以上の蛋白質生物触媒(酵素)を形成する。これ
は、上記化合物中の炭素−硫黄結合の選択的、酸化的切
断により達成される。本発明の生物触媒は、ヒト以外の
宿主生物であることができ、それは本発明のDNAを含み
そしてその中にコードされている1種以上の酵素を発現
している生菌(例えば培養されたもの)もしくは非−生
菌(例えば加熱死菌)であってもよく、また、本発明の
生物触媒は、上記の生物に由来する無細胞調製物であっ
て、1種以上の生物触媒酵素を含むものであることもで
きる。
他の局面では、本発明は、上述のヒト以外の生物であ
って脱硫生物触媒を発現するものを用いて化石燃料を脱
硫する方法に関する。即ち、本発明は、上記生物から単
離された1種以上の酵素を含む生物触媒調製物を用いて
化石燃料を脱硫する方法に関うる。このプロセスは、
1)該生物またはそれから得られた生物触媒調製物を有
機硫黄を含む化石燃料と接触させ混合物を形成させる。
そして2)該生物により発現されもしくは該生物から調
製された生物触媒が化石燃料を脱硫するのに十分な時間
だけその混合物をインキュベートすることを含む。イン
キュベーション後に得られる生物触媒で処理した化石燃
料は対応する未処理の化石燃料標品に比べて有機硫黄化
合物のレベルが顕著に減少する。
もう一つ別の局面においては、この発明は本発明の組
換えDNAにハイブリダイズする核酸プローブに関する。
さらに他の局面では、本発明は、本発明の組換えDNA
を含み、その中にコードされている生物触媒を有利に発
現する新たなヒト以外の生物の生産に関する。この発明
の組換えDNAを利用することにより、化石燃料脱硫用の
生物触媒の生産および精製が著しく単純化されかつ容易
になる。生物触媒の精製に関する操作で費用と時間のか
かるものが減り、一種以上のヒト以外の生物から、その
中に自然に存在する生物触媒あるいは突然変異誘発によ
り作られる生物触媒を調製する必要がなくなる。より具
体的には、本発明の遺伝子または遺伝子群を高レベルで
発現するヒト以外の宿主生物が創られる。これに加え
て、ここに記述される発明は、脱硫生物触媒をコードす
る遺伝子の別のヒト以外の生物中における発見を促進す
る。この目的は、本発明の核酸プローブを用いて、生物
触媒機能が知られているまたは存在する可能性のある一
種以上の別のヒト以外の生物からDNAライブラリーを作
成し、これをスクリーニングすることにより達成でき
る。そのような生物中に存在しかつ脱硫生物触媒または
その成分をコードしている遺伝子は、ポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)のような既知の技術を用いて大量に複製す
ることができる。PCRは、目的のDANを大量に得るため
に、例えば培養等で、ヒト以外の生物を増殖させる必要
をなくすので有利である。
図面の簡単な説明 図1は、本発明の組換えDNAを単離するための段階的
操作を図示するフローダイアグラムである。
図2は、ロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus
rhodochrous)の複製適格およびクロラムフェニコール
耐性を有するベクターpRF29を図示したものである。こ
のベクターはロドコッカス ファシアス(Rhodococcus
fascians)由来のものである。
図3は、ロドコッカス ロドクロウスの複製適格およ
びクロラムフェニコール耐性を有するベクターpRR−6
を図示したものである。
図4は、炭素−硫黄結合を切断することができる生物
触媒をコードするDNAプラスミドpTOXI−1の制限酵素地
図を図示したものである。
図5は、プラスミドpTOXI−1由来のサブクローンpME
LV−1の制限酵素地図を図示したものである。
図6は、pMELV−1およびサブクローンpSMELV−1A、p
SMELV−2A、pSMELV−3A、およびpSMELV−4A中に挿入断
片として存在するそれらの断片の制限酵素地図を図示し
たものである。
図7は、Dsz+表現型の原因となるポリペプチド発現
生産物をコードする3個のほぼ隣接するオープンリーデ
ィングフレーム(ORFs;特に、ORF1、ORF2およびORF3)
のpTOXI−1の配列内における予想位置を図示したもの
である。
図8は、pTOXI−1およびサブクローンpENOK−1、pE
NOK−2、pENOK−3、pENOK−11、pENOK−13、pENOK−1
6、pENOK−18、pENOK−Nsi、pENOK−19およびpENOK−20
中に挿入断片として存在するその断片の制限酵素地図を
図示したものである。
図9は、pRR−12の制限酵素地図を図示しものであ
る。
図10は、ベクターpKAMIの制限酵素地図を図示したも
のである。図中において、pKAMI中に存在する工学的に
クローニングされた部位が詳細に示されている。
図11は、pSBG−2の制限酵素地図を図示したものであ
る。pSBG−2の中では、pTOXI−1からのプロモータを
有しないDsz遺伝子クラスターの発現がクロラムフェニ
コール耐性プロモータにより駆動される。
好ましい態様の詳細な説明 石油抽出精製技術においては、「有機硫黄」という用
語は、1個以上の硫黄原子(ヘテロ原子という)が共有
結合した炭化水素骨格を有する有機分子を指すものと一
般に解される。これらの硫黄原子は、たとえば1個以上
の炭素−硫黄結合によって炭化水素骨格に直接結合した
り、たとえばスルホニル基(炭素−酸素−硫黄共有結合
を有する)のように、分子の炭化水素骨格に結合した置
換基中に存在したりすることができる。1個以上の硫黄
ヘテロ原子を有する有機分子種一般を「有機硫黄化合
物」と呼ぶことがある。これらの化合物の炭化水素部分
は、脂肪族であってもよいし、芳香族であってもよい
し、一部が脂肪族で一部が芳香族であってもよい。
1個以上の硫黄ヘテロ原子が芳香族性炭素−硫黄結合
によって炭化水素骨格中の隣接炭素原子と結合している
環式または縮合多環式有機硫黄化合物は、「硫黄含有複
素環」と呼ばれる。多くのタイプの硫黄含有複素環に存
在する硫黄は、硫黄ヘテロ原子が存在する5員芳香族環
に鑑みて「チオフェン硫黄」と呼ばれる。上記硫黄含有
複素環として最も単純なものがチオフェンであり、C4H4
Sの組成を有する。
硫黄含有複素環はHDSなどの従来の脱硫処理に対して
安定であることが知られている。このため、硫黄含有複
素環はHDS処理に対して抵抗性または耐性であるといわ
れる。硫黄含有複素環は、比較的単純な化学構造を持つ
こともあれば、比較的複雑な化学構造を持つこともあ
る。複雑な複素環では、多縮合芳香族環が存在し、その
うちの1個以上のものが複素環でありうる。分子の構造
が複雑になればなるほど、脱硫が困難になる。シャイら
(Shin et al.)。すなわち、ジベンゾチオフェン(DB
T、C12H8S)などの複雑な硫黄含有複素環において抵抗
挙動が最も顕著である。
DBTは、5員チオフェン環が2個の6員ベンジル環に
よってフランキングされて(挟まれて)いる縮合多環式
芳香族環構造を有する硫黄含有複素環である。化石燃料
精製中間体および燃焼生成物中に残留するポストHDS有
機硫黄のほとんどのものはチオフェン性硫黄である。こ
の残留チオフェン性硫黄のほとんどのものは、DBT、お
よび1個または両方のフランキングベンジル環中に存在
する1個以上の炭素原子と結合した1個以上のアルキル
基またはアリル基を有するDBT誘導体の中に存在する。
そのようなDBT誘導体は、これらのラジカルで「修飾」
されているという。DBT自体は、チオフェン性硫黄が関
与する反応においてDBTおよびアルキルとアリルの両方
または一方で修飾されたDBT誘導体を含む化合物種の挙
動を説明するモデル化合物として当該分野で認められて
いる。モンティセロとフィンナーティー(Monticello a
nd finnerty),Microbial desulfurization of fossil
fuels,39 ANNUAL REVIEWS IN MICROBIOLOGY 371−389,
at 372−373(1985)。DBTおよびそのラジカル修飾誘導
体が、特定の原油、石炭、瀝青の総硫黄含有量に対して
かなりの比率を占めることがある。たとえば、これらの
硫黄含有複素環は、西テキサス産原油の総硫黄含有量の
70重量%、また一部中東産原油の総硫黄含有量の40重量
%という高い比率を占めることが報告されている。した
がって、DBTは、特定の地理的起源の原油、石炭、また
は瀝青などの化石燃料、およびそれらから製造される様
々な精製中間体や燃料製品に含まれるチオフェン性硫黄
種のモデル化合物としてとくに重要であると考えられる
[同上]。DBTおよびそのラジカル修飾誘導体のもう一
つの特徴は、環境中への化石燃料排出後にこれらの硫黄
含有複素環があまり生物分解を受けることなく長期間残
留するということである。グンドラックら(Gundlach e
t al.)(1983),221 SCIENCE 122−129。したがっ
て、最も大量に存在する天然微生物が硫黄含有複素環を
効果的に代謝分解することはない。
本発明の脱硫処理に適した化石燃料の一つとして、有
機硫黄を含有するものが挙げられる。このような化石燃
料を「基質化石燃料」と呼ぶ。チオフェン性硫黄を多く
含む基質化石燃料(総有機硫黄の相当の部分が、たとえ
ばDBTなどの硫黄含有複素環中に存在するチオフェン性
硫黄であるもの)は、本明細書で説明する方法による脱
硫にとくに適している。上記基質化石燃料の例として
は、セロネグロ(Cerro Negro)やオリノコ(Orinoco)
産の重量原油;アタバスカン(Athabascan)産タールお
よびその他のタイプの瀝青;軽質サイクル油、重質大気
ガス油、および1号ディーゼル油などの石油精製画分;
およびポカホンタス(Pocahontas)3号炭、ルイススト
ック(Lewis−Stock)炭、オーストラリアグレンコー
(Australian Glencoe)炭、ワイオダック(Wyodak)炭
などの原料から製造された石油由来液体製品などが挙げ
られる。
生物触媒脱硫法(バイオカタリシスまたはBDS)と
は、生物触媒によって硫黄含有複素環などの安定有機硫
黄化合物をはじめとする有機硫黄化合物の炭素−硫黄結
合を選択的に酸化切断することにより、該化合物から硫
黄を取り除くこと(遊離または除去)をいう。BDS処理
を行なうと、前者の安定有機硫黄化合物の脱硫済み燃焼
性炭化水素骨格ならびに分別蒸留や水抽出などの公知技
術によって容易に相互分離可能な物質である無機硫黄が
できる。たとえば、DBTをBDS処理に付すと、ヒドロキシ
ビフェニルやジヒドロキシビフェニルまたはそれらの混
合物に変換される。BDSは、単独でまたは互いに共同し
て硫黄含有複素環をはじめとする有機硫黄化合物の炭素
−硫黄結合を選択的に切断することにより該化合物から
の硫黄除去を進行させる1種以上の酵素を機能的に発現
する1種以上のヒト以外の生物(たとえば微生物)を含
有する生物触媒、上記微生物から得られる1種以上の酵
素、または上記微生物と酵素の混合物によって行なわれ
る。本明細書では、生物触媒活性を示す生物をCS+また
はDsz+といい、生物触媒活性を欠く生物をCS−またはD
sz−であるという。
以上まとめたように、本明細書で説明する発明は、一
つには、有機硫黄化合物を含有する化石燃料を脱硫する
能力のある生物触媒をコードする遺伝子または遺伝子群
を含有するDNA分子またはその断片に関する。本発明のD
NA分子またはその断片は、たとえば天然原料から得られ
る精製単離DNAであってもよいし、たとえばヒト以外の
宿主生物中に存在する組換え(ヘテロまたは外来)DNA
であってもよい。以下に、適当な生物触媒活性を発現す
ることが知られているロドコッカス ロドクロウスATCC
番号53968株由来の脱硫用生物触媒をコードするDNAの単
離について説明するが、この記述は本発明を限定するも
のではなく、単に説明を目的として例示するものであ
る。ロドコッカス ロドクロウスのこの好ましい株は米
国特許第5,104,801号(1992年特許付与)に開示されて
おり、その内容は引例により本明細書に含まれるものと
する。また、該文献中では、IGTS8と呼ばれている。IGT
S8は、イリノイ州シカゴのInstitute of Gas Technolog
yの研究者らによって開発されたものである。適当な生
物触媒活性を発現することから本発明のDNAの適当な入
手源と考えられるその他の生物としては、米国特許第5,
002,888号に記載されATCC番号53969としてAmerican Typ
e Culture Collectionに寄託されているバチルス スル
ファスポルタレ(Bacillus sulfasportare)の株やオオ
モリら(Omori et al.)によって記載されているコリネ
バクテリウム(Corynebacterium)株(1992),Desulfu
rization of dibenzothiophene by Corynebacterium s
p.strain SY1,58 APPL.ENV.MICROBIOL.(No.3)911−91
5などが挙げられる。ATCC番号53968の微生物からの本発
明のDNAの単離について、図1に概略を示すとともに以
下に説明する。
炭素−硫黄結合を切断する能力のないR.ロドクロウス
の変異株(CS−またはDsz−)は、生物触媒活性を示す
(すなわちCS+またはDsz+)たとえばATCC番号53968な
どのR.ロドクロウス株を、当該分野に習熟せる者にとっ
て公知または容易に確認できる適当な条件下で突然変異
原に曝露することによって製造される。適当な突然変異
原としては、たとえば紫外線照射などの照射、およびた
とえばN−メチル−N′−ニトロソグアニジン(NT
G)、ヒドロキシルアミン、エチルメタンスルホン酸塩
(EMS)、亜硝酸などの化学変異原などが挙げられる。
このようにして作成された突然変異体を適当な培地中で
生育させ、炭素−硫黄結合切断活性についてスクリーニ
ングする。炭素−硫黄結合切断活性を欠くと判定された
突然変異体をCS−という。炭素−硫黄結合切断活性を正
確に検出することのできるスクリーニング法であればい
ずれも、本発明の方法において適当である。この活性の
スクリーニング方法として適当なものとしては、異なる
突然変異体を炭素−硫黄結合を含む分子(たとえばDB
T)に曝露させ、炭素−硫黄結合切断を測定する方法な
どが挙げられる。好ましい態様においては、短波長紫外
線下で蛍光を発する分解生成物であるヒドロキシビフェ
ニル(HBP)が生成するように、突然変異体をDBTに曝露
する。HBPはギブス試薬との青色の反応生成物を利用す
る比色測定法によっても検出することができる。その他
の方法としては、ガスクロマトグラフィー、液体クロマ
トグラフィー、赤外線分光測定法、核磁気共鳴分光測定
法などが挙げられる[コダマら(Kodama et al.),App
lied and Environmental Microbiology,pages 911−915
(1992)およびキルベインとビエラガ(Kilbane and Bi
elaga),Final Report D.O.E.Contract No.DE−AC22−8
8PC8891(1991)参照]。CS−変異体が同定、単離され
ると、そのクローンを常法により増殖させ、さらに分析
に付す。
CS+生物であるR.ロドクロウスの上記培養物の突然変
異誘発と並行して、同じCS+の生物の第2の培養物
(1)の培養維持する。このR.ロドクロウス培養物から
CS+生物のDNA(3)を抽出する。様々なDNA抽出法がこ
の生物のDNAの単離に適している。適当な方法として
は、フェノールおよびクロロホルム抽出法などが挙げら
れる。マニアティスら(Maniatis et al.),Molecula
r Cloning,A Laboratory Manual,2d,Cold Spring Harbo
r Laboratory Press,page 16.54(1989)参照、本明細
書中では本文献をマニアティスらという。
DNAをR.ロドクロウス1から抽出したら、DNA(3)を
様々なキロベース長さの断片に切り出すが、これらの断
片が集合的にDNAライブラリー5を構成する。たとえば
酵素法や機械的方法など様々な方法を用いて、R.ロドク
ロウスのDNAの断片化を行なって本発明のDNAをはじめと
するDNAを精製することができる。TaqIやSau3Aなどいず
れの4塩基認識制限エンドヌクレアーゼもこのDNAの断
片化に適している。適当なDNA断片化方法はマニアティ
スらに示されている。
本発明の生物触媒をコードするDNAの断片を単離する
目的で、上記様々なDNA断片を数種類のR.ロドクロウス
(2)のCS−変異体クローンに挿入する。CS−であった
変異体菌体がCS+の形質転換菌体へと形質転換されたこ
とは、挿入されたDNA断片が生物触媒をコードすること
の証拠である。該断片の取り込みと発現が可能であれ
ば、R.ロドクロウスへDNAを挿入するいずれの方法も適
している。好ましい態様においては、エレクトロポーレ
ーションを用いてDNA断片をR.ロドクロウスに挿入す
る。マニアティスら参照。
形質転換CS+変異体R.ロドクロウス7を作成し同定し
たら、CS+生物触媒をコードするDNA断片9を同定、単
離することができる。次いで、公知かつ当該分野に習熟
せる者であれば容易に実施できる様々な方法において単
離DNAを用いて該コードされた生物触媒を製造すること
ができる。また、単離されたDNAはたとえばマニアティ
スらに記載の技術など公知技術によって配列決定と複製
が可能である。
すでに述べたように、本発明のDNAを単離するための
上記方法は、たとえばATCC番号53968株の生物などR.ロ
ドクロウス微生物以外のCS+生物に適用することができ
る。したがって、バチルス スルファスポルタレATCC番
号53969やコリネバクテリウム スピーシーズSY1を本発
明のDNAの入手源生物として使用することができる。さ
らに、本発明のDNAを単離したら、入手源生物のCS−変
異体と異なるヒト以外の宿主生物にトランスフェクトす
ることができる。したがって、本発明のDNAは、たとえ
ば大腸菌の適当な株にトランスフェクトすることができ
る。単細胞生物(たとえば酵母)や多細胞生物から培養
により樹立した細胞をはじめとするその他のタイプのヒ
ト以外の宿主生物も使用することができる。
本発明のDNAを単離するためのその他の方法として
は、すでに説明し図1に図示した原理の変法が含まれ
る。たとえば、R.ロドクロウスのCS+株のクローンにCS
−のDNAプラスミドをランダムに挿入することができる
であろう。次いで、CS+からCS−へと形質転換されたク
ローンを探すスクリーニングによって、CS+生物触媒を
コードするDNAを同定することができるであろう。
本発明の組換えDNA分子またはその断片は、炭素−硫
黄結合を選択的に切断する能力のある生物触媒をコード
する1個以上の遺伝子を化学的または生物学的手段によ
ってその鎖に挿入することで生じるいかなるDNAをも包
含するものであり、該遺伝子は元々その鎖の中に存在し
ていなかったものである。組換えDNAとしては、制限酵
素、核酸ハイブリダイゼーション、DNAクローニング、D
NA配列決定、またはこれらを組み合わせたものを用いる
手順によって作成されたあらゆるDNAを含むものであ
る。構築方法については、マニアティスらおよび当該分
野に習熟せる者にとって公知のその他の方法に示されて
いる。
従って、本発明のDNA分子として、配列番号2、3お
よび5いずれか記載のアミノ酸配列を有する、有機硫黄
分子を含む化石燃料を脱硫することができる酵素または
酵素群をコードするDNA分子、これらのアミノ酸配列に
おいて1以上のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加され
たアミノ酸配列からなり、かつ有機硫黄分子を含む化石
燃料を脱硫することができる酵素または酵素群をコード
するDNA分子、配列番号1または4記載の核酸配列を有
するDNA分子、該核酸配列とストリンジェントな条件下
でハイブリダイズする天然由来のDNA分子等が含まれ
る。アミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸
配列からなる酵素または酵素群をコードするDNA分子
は、例えばマニアティスらに記載の公知の方法により得
ることができる。
本発明のDNAプラスミドまたはベクターの構築の手順
としては、マニアティスらに記載の手順、および当該分
野に習熟せる者にとって公知のその他の方法などが挙げ
られる。適当なプラスミドベクターとしては、それぞれ
図2と図3に示したpRF−29とpRR−6などが挙げられ
る。「DNAプラスミド」および「ベクター」という用語
は、化学的または生物学的手段によって外来または外因
性DNAを挿入させることができ、続いて適当なヒト以外
の宿主生物にトランスフェクトされるとその外来または
外因性DNA挿入断片の生成物を発現(たとえば本発明の
生物触媒を発現)することができるものであれば、いず
れの複製能力を有するプラスミドまたはベクターも包含
するものである。また、このプラスミドまたはベクター
は、本発明の遺伝子または遺伝子群を含有するDNA分子
またはその断片の挿入を受けることができるものでなけ
ればならず、該遺伝子または遺伝子群は有機硫黄化合物
の炭素−硫黄結合を選択的に切断する生物触媒をコード
するものである。DNAプラスミドベクターの構築の手順
としては、マニアティスらに記載の手順、及び当該分野
に習熟せる者にとって公知のその他の手順などが挙げら
れる。
本発明のプラスミドとしては、有機硫黄化合物の炭素
−硫黄結合を選択的に切断する生物触媒をコードする遺
伝子または遺伝子群を含有するものであれば、いかなる
DNA断片であってもよい。「プラスミド」という用語
は、いかなるDNA断片をも包含するものである。DNA断片
は、形質転換またはコンジュゲーションによって宿主微
生物に転移可能なものでなければならない。DNAプラス
ミドの構築または抽出の手順としては、マニアティスら
に記載の手順、および当該分野に習熟せる者にとって公
知のその他の手順などが挙げられる。
本発明の形質転換されたヒト以外の宿主生物は、当該
分野に習熟せる者であれば様々な方法によって作成する
ことができる。たとえば、マニアティスらによって記載
されているエレクトロポーレーションによるトランスフ
ェクションを使用することができる。「ヒト以外の宿主
生物」という用語は、外来、外因性、または組換えDN
A、すなわち本来その生物の核物質の一部ではなかったD
NAの取り込みと発現の能力を有するヒト以外のいかなる
生物をも指すものとする。
本発明の化石燃料脱硫方法には2つの側面がある。ま
ず、宿主生物またはそれから得られた生物触媒調製物
を、脱硫しようとする化石燃料に接触させる。これは、
必要に応じて攪拌装置や混合装置を取付けた適当な容器
中で実施することができる。混合物をよく混ぜ合わせ、
有機硫黄化合物中のかなりの数の炭素−硫黄結合を切断
することができるのに充分な時間をかけてインキュベー
トし、脱硫された化石燃料の製造する。1つの態様にお
いては、該生物の水性培養物と化石燃料を混ぜて水性エ
マルジョンとし、その生物をエマルジョン中で増殖させ
るとともに発現された生物触媒で炭素−硫黄結合を切断
する。
温度、混合割合、脱硫速度などの変数は使用する生物
によって変わる。これらのパラメータは通常の実験法で
決定することができる。
脱硫の速度と程度の監視に適した数種の技術が公知で
あり、当該分野に習塾せる者であれば容易に実施するこ
とができる。ベースライン試料およびタイムコース試料
をインキュベーション混合物から採取し、化石燃料中の
残存有機硫黄の測定に使うことができる。生物触媒処理
に付されている試料中のDBTなどの有機硫黄化合物から
硫黄の消失は、たとえばX線蛍光分析(XRF)や原子発
光分光分析(フレーム分光分析)などを用いてモニター
することができる。まず、試料の分子成分をたとえばガ
スクロマトグラフィーによって分離するのが好ましい。
本発明の核酸プローブは、本発明のDNAの少なくとも
一部とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
能力を有するいかなる核酸物質をも包含する。「核酸プ
ローブ」という用語は、DNAとハイブリダイズする能力
を有するいかなる核酸物質をも包含する。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに説明す
るが、これらの実施例はいかなる意味でも本発明を限定
するものではない。
実施例1:脱硫活性生物触媒をコードするDNAの単離 本明細書でいう「Dsz+」という用語は、ある生物が
炭素−硫黄結合を選択的に切断することによりジベンゾ
チオフェン(DBT)などのチオフェン化合物を唯一の硫
黄源として利用することができる能力をいう。ロドコッ
カス ロドクロウスIGTS8株はDsz+の表現型を示す。
「Dsz−」という用語は、ある生物が炭素−硫黄結合を
選択的に切断することにより該チオフェン化合物を唯一
の硫黄源として利用する能力を欠いていることをいう。
材料 細菌株およびプラスミド Institute of Gas Technology(Chicago,IL)から入
手したロドコッカス ロドクロウスIGTS株(ATCC番号53
968)を、脱硫表現型を失った(Dsz−)変異体株の製造
のための親株として用いた。IGTS8株は、Dsz+変異体を
製造するため、該変異体を相補する能力のあるDNA断片
を単離することにも使用した。ロドコッカスベクターpR
F−29をInstitute of Gas Technologyから入手した。pR
F−29の構築については、デソマーら(Desomer,et a
l.)によって記載されている(1990),Transformation
of Rhodococcus fascians by High−Voltage Electrop
oration and Development of R.fascians Cloning Vect
ors,APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY 2818−2
825。pRF−29の構造を図2に概示した。
プラスミドpUC18とpUC19(Bethesda Research Labora
tories,Bethesda,MD)に由来するプラスミド構築物によ
る形質転換において大腸菌JM109株を宿主として用い
た。
酵素および試薬 制限エンドヌクレアーゼはBethesda Research Labora
tories(BRL)社とNew England Biolabs社(Beverly,M
A)から購入した。T4リガーゼと大腸菌DNAポリメラーゼ
Iのクレノウ断片はBRL社から購入した。HKTMホスファ
ターゼはEpicentre Technologies社(Madison,WI)から
購入した。すべての酵素は、製造メーカーの推奨事項に
従って使用した。酵素測定基質であるジベンゾチオフェ
ン(DBT)、ジベンゾチオフェン5−オキシド(DBTスル
ホキシド)、およびジベンゾチオフェンスルホン(DBT
スルホン)はAldrich社(Milwaukee,WI)から購入し
た。ギブス試薬である2,6−ジクロロキノン−4−クロ
ロイミドはSigma社(St.Louis,MO)から購入した。化学
変異原N−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニ
ジン(NTG)もSigma社から購入した。
生育培地および条件 大腸菌JM109をL−ブロス(Difco,Detroit,MI)中で
培養した。1.5%寒天を添加し125μg/mlのアンピシリン
を含有するL−プレート上で形質転換株を選択した。大
腸菌株は37℃で培養した。ロドコッカス株を1リットル
あたり8.0gのニュウトリエントブロス(Difco)、0.5g
の酵母抽出物、10.0gのブドウ糖から成るロドコッカス
培地(RM)上で維持した。ロドコッカス株の形質転換株
は、1.5%寒天を添加し25μg/mlのクロラムフェニコー
ルを含有するRMプレート上で選択した。Dsz+の表現型
を発現させるため、1リットルあたり2.44gのKH2PO4
5.57gのNa2HPO4、2.0gのNH4Cl、0.2gのMgCl2・6H2O、0.
001gのCaCl2・2H2O、0.001gのFeCl3・6H2O、0.004gのMn
Cl2・4H2O、6.4mlのグリセリンから成る基本塩培地(BS
M)中でロドコッカス株を培養した。BSMには必要に応じ
て5.0g/リットルのブドウ糖を加えることができる。ロ
ドコッカス株を30℃で培養した。
方法 硫黄生体利用性アッセイ 米国特許第5,104,801号に記載の硫黄生体利用性アッ
セイは、生育のための唯一の硫黄源として基質(たとえ
ばDBT、DBTスルホキシド、DBTスルホン)から有機的に
結合している硫黄を遊離する生物の能力について調べる
ものである。このアッセイでは、硫黄を含まないBSM
に、たとえばDBTなどの硫黄含有基質を1種類以上加え
る。生物がその基質から硫黄を遊離する能力は、適当な
インキュベーション条件下で生育する能力を600nmにお
ける光学密度によりモニターすることで測定する。
2−ヒドロキシビフェニルのギブズアッセイ IGTS8株とともにインキュベートされたDBT、DBTスル
ホキシド、及びDBTスルホンの酸化生成物が2−ヒドロ
キシビフェニル(2−HBP)である。ギブズアッセイ
は、DBTおよび上記酸化誘導体から生成した2−HBPの量
を比色測定法によって定量するものである。アッセイ
は、DBTとともにインキェベートした後で培養上清中の
生成した2−HBPを測定するものである。培地は、ギブ
ズ試薬の添加に先立ちpH8.0に調整しなければならな
い。ギブズ試薬の2,6−ジクロロキノン−4−クロロイ
ミド(10mg/mlエタノール)を1:100(v/v)の比率だ培
養上清に加える。室温で30分インキュベーションした後
で、610nmにおける吸光度として発色を測定する。
2−ヒドロキシビフェニルのHPLCアッセイ DBTとともにインキュベーションした2−HBP生成培養
物は、Waters,Millipore Corporation,Milford,MAから
入手できる装置を用いるHPLCによっても検出することが
できる。試薬アルコールを1:1(v/v)の比率で培養液に
加えて、すべての残存DBTと2−HBPを可溶化させる。試
料を220rpmで5分間攪拌する。抽出培養液試料を取り出
し、遠心分離にかけて菌体塊を除去する。次いで、透明
上清を以下の条件下でHPLCによって分析する。
カラム: ウォーターズ 4μ フェニル ノ
バパック 検出用 パラメーター: DBT 233nm,1.0 AUFS 2−HBP 248nm,0.2 AUFS 定量的 検出限界: DBT 10−250μM 2−HBP 6− 60μM 移動相: イソクラティック 70%アセトニト
リル 1.5ml/min 滞留時間: DBT 4.5分 2−HBP 2.9分 IGTS8突然変異誘発 DBTを代謝しないR.ロドクロウスの変異体株(Dsz−変
異体)を作成する目的で、生物触媒由来元株IGTS8(Dsz
+)を短波長UV線による突然変異誘発およびN−メチル
−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)によ
る化学的突然変異誘発に付した。UV曝露突然変異誘発で
は、99%を超える死滅率を目標とした。光学密度
(A660)0.3で連続攪拌しつつR.ロドクロウス菌体を、5
5〜65秒間にわたり10cmの距離を隔てたミネラライトラ
ンプモデルUVG−254(Ultra−Violet Products,Inc.,Sa
n Gabriel,CA)によるUV曝露に付し、この死滅率(97.9
〜99.9%)を得た。NTG突然変異誘発の場合は、菌体懸
濁液を30〜50%の死滅率が得られるように設定した期間
にわたり500μg/mlのNTGで処理した。NTGとUVの両方を
用いる組み合わせ突然変異誘発も行なった。これらの場
合、99.9%を超える全体死滅率を用いた。突然変異誘発
を生きのびたコロニーをRMプレート上で拾い、Dsz−の
表現型のスクリーニングを以下のようにして行なった。
スクリーニング例A:まず、DBT噴霧プレートスクリーン
を用いてDsz−変異体を選択した。変異体コロニーを、
硫黄を加えていない基礎塩培地(BSM)電気泳動用アガ
ロースプレートにレプリカ移植した。コロニーは30℃で
24時間生育させた。次いでプレートに均一な被膜ができ
るよう10%DBTのエーテル溶液を噴霧し、30℃で90分間
インキュベーションした。次いでプレートをきれいにふ
き取り、短波長UV線下で観察した。見られたDBT代謝最
終生成物である2−ヒドロキシビフェニル(2−HBP)
は短波長UV線下で蛍光を発する。このようにして、アガ
ロース上での蛍光スポットによって、2−HBPを産生す
るコロニーを同定した。2−HBP(Dsz−)を産生しない
コロニーは蛍光スポットを生じない。
スクリーニング例B:より単純な形のスクリーニング変法
は、生きのびた突然変異化コロニーを1.2ml/リットルの
DBT飽和エタノール溶液を添加したBSMアガロースプレー
トにレプリカ移植するものであった。24時間後、2−HB
Pの産生を上記のようにしてUV照射下で可視化すること
ができる。
上記スクリーニング法で2−HBPを産生しないと思わ
れる変異体について、DBTを唯一の硫黄源とする硫黄生
物利用性アッセイについて調べた。24穴プレート(Falc
on社)に分注したBSMプラスDBT培地における1.25ml液体
発酵において変異体である可能性のある株の生育を調べ
た。30℃で1日のインキュベーションを行なった後、2
−HBP産生をギブズ比色測定法によってモニターした。D
sz−表現型を示し続ける株をさらに大量のBSMプラスDBT
培地中でインキュベーションし、HPLC法によって2−HB
Pまたは中間体を分析した。BSMは限定的最少培地である
ため、有機硫黄を添加した複製対照培養を行って、真の
Dsz−変異体と栄養要求変異体とを区別した。対照培地
と実験培地のいずれにおいても生育しなかった変異体は
栄養要求変異体であると考えられた。
個別に分析した変異体である可能性のある1970株のう
ち、2株がDsz−と同定された。そのうちの1つの変異
体GPE−362はNTG突然変異誘発によって作られた。もう
1つの変異体CPE−648は、NTG/UV組み合わせ突然変異誘
発によって作られた。GPE−362とCPE−648はいずれも硫
黄生物利用性アッセイではゆっくりと生育した、おそら
くガラス器具上または培地成分中の微量の硫黄を栄養源
としているのであろう。しかし、DBTとともに6〜10日
の長期インキュベーションを行なった後でギブズアッセ
イまたはHPLC法によって測定したところ、検出可能量の
2−HBPはいずれかの変異体によっても産生されなかっ
た。したがって、独立に作られたR.ロドクロウスIGTS8
変異体であるGPE−362とCPE−648はいずれもDsz−の生
物であったことになる。
ベクターの構築 ベクター構築物をR.ロドクロウスから作成したが、こ
のベクタ構築物はクロラムフェニコール耐性を付与す
る。すべての構築物は大腸菌JM109株中で作成した。製
造メーカーの推奨事項に従いジーンパルサー(Bio−Rad
Laboratories,Richmond,CA)を用いて、JM109の形質転
換を行なった。JM109からのプラスミド単離は、常法に
従って行なった[バーンボイムとドリー(Birnboim and
Doly)(1979),A rapid alkaline extraction proce
dure for screening recombinant plasmid DNA,7 NUCLE
IC ACIDS RES.1513−1523;マニアティスら(Maniatis e
t al.(1982),MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUA
L(Cold Spring Harbor Laboratory Press]。正しいベ
クター構築物を含有する形質転換体を制御酵素分析によ
って同定した。
ベクター構築物A:pRR−6(図3)はロドコッカスの複
製起点とクロラムフェニコール耐性マーカー(CmR)を
含んでいる。oriとCmRは6.9kbのXho I/Xba(部分)断片
としてpRF−29から分離された。両端をクレノウ断片で
平滑化し、Sal I/Xba I切断片pKF39に連結した。pKF39
はSma II部位がBg III部位で置換されたpUC18である。p
RR−6中のクローニング用にユニークNar I部位が利用
可能である。Nar I末端は4塩基性認識エンドヌクレア
ーゼTaq Iと適合する。
ロドコッカス ロドクロウスの形質転換 IGTS8およびそのDsz−変異体の形質転換はエレクトロ
ポーレーションによって行なうことができる。ロドコッ
カス ロドクロウスのすべての形質転換で下記条件を用
いた。菌体をRM中で中期対数増殖期まで培養し、遠心分
離(5000xg)によって集菌した後、冷やした脱イオン蒸
留水で3回洗い、10%グリセリンで50倍に濃縮した。得
られた菌体濃縮物はそのままエレクトロポーレーション
に供してもよいし、−80℃で保存してもよい。
ジーンパルサー(Bio−Rad社)装置を用いてエレクト
ロポーレーションを行なった。2mmギャップ付き電気キ
ュベット(Bio−Rad社)中で100μlの菌体を形質転換D
NAと混合し、パルスコントローラー(25μFキャパシタ
ー、200Ω外部抵抗)により2.5kVのパルスを与えた。パ
ルスを与えた菌体を400μのRMと混合し、規則的に攪拌
しながら30℃で4時間インキュベートした。次いで、菌
体を適当な抗生物質を加えたRMプレートに移植した。
IGTS8をpRF−29で形質転換したところ、25μg/mlのク
ロラムフェニコールを含有するプレート上で105〜106
/μgDNAの頻度でクロラムフェニコール耐性コロニーが
明確に選択された。
R.ロドクロウスからの小規模プラスミド調製 ロドコッカス ロドクロウスの単一コロニーを用い
て、25μg/mlのクロラムフェニコールを含むRMの2〜7m
lに接種した。培養物を攪拌しながら。30℃で2日間イ
ンキュベートした。菌体を遠心分離によりペレット化
し、300μlのショ糖緩衝液(20%ショ糖、0.05トリ
ス−Cl、pH8.0、0.01 EDTA、0.05 NaCl、10mg/ml
リゾチーム)に再懸濁し、37℃で1時間インキュベート
した。300μlの酢酸カリウム−酢酸溶液、pH4.8(60ml
の5 KOAc、11.5mlの氷酢酸、28.5mldH2O)を加え、
混合物を静かに倒置混合した。混合物を氷上に5分間置
いた後、菌体残さを遠心分離によりペレット化した。50
0μlの上清を新しい試験管に移し、RNアーゼを0.05μg
/μlの濃度となるよう加え、37℃で20分間インキュベ
ートした。次いで、試料をフェノール:クロロホルムで
抽出し、水層を等量のイソプロパノールで−80℃で沈殿
させた。DNAを遠心分離によりペレット化し、0.3MのNaO
Ac、pH8.0に再懸濁した。DNAを等量のイソプロパノール
で−80℃で再び沈殿させた。DNAを遠心分離によりペレ
ット化し、0.3MのNaOAc(pH8.0)に再懸濁した。DNAを
2倍量の95%EtOHで−80℃で再び沈殿させた。ペレット
化したDNAを70%EtOHで洗い、50μlのTE(トリスEDT
A)に再懸濁した。
R.ロドクロウスIGTS8株からのゲノムDNAの単離 IGTS8のゲノムDNAを既報に従い単離した。20mlのRMに
IGTS8の単一コロニーを接種し、220rpmで攪拌しながら3
0℃で48時間インキュベートした。菌体を遠心分離(500
0xg)により集めた。菌体を100mgのリゾチームとともに
10mlのTE(10mMのトリス塩基、1mMのEDTA)に再懸濁
し、30℃で30分間インキュベートした。1mlの20%ドデ
シル硫酸ナトリウム(SDS)を加えることで菌体を溶解
した。10mlのTE飽和フェノールと1.5mlの5 NaClを
ただちに加え、混合物を室温で20分間穏やかに攪拌し
た。フェノールを遠心分離によって除去し、水層を等量
のクロロホルムで2回抽出した。水層に等量のイソプロ
パノールを加えてDNAを沈殿させた。DNAをパスツールピ
ペットにスプールし、TEに再溶解した。次いで、DNAを2
0μg/mlのRAアーゼにより37℃で1時間RNアーゼ処理し
た。試料の最終濃度を100mMのNaClと0.4%のSDSとし、1
00μg/mlのプロテアーゼKでプロテアーゼ処理した。次
いで、試料をフェノールとクロロホルムで抽出し、上記
のようにしてイソプロパノールで沈殿させた。本発明の
DNAを含む精製ゲノムDNAをTEに再懸濁した。
IGTS8のプラスミドライブラリーの構築 Dsz+の由来元生物(IGTS8)のゲノムDNAをTaq Iで切
断して、0.5〜23kbの長さの断片を作成した。切断したD
NAを0.8%低融点アガロースで電気泳動し、5kbを越える
長さのDNA断片を常法[マニアティスら(Maniatis et a
l.)(1982),MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL
(Cold Spring Harbor Laboratory Press)]に従い単
離、精製した。ベクターpRR−6をNar Iで完全に切断し
た。ベクター両端をHKTMホスファターゼで脱リン酸化し
て、ベクターの再連結を防止した。サイズにより分画し
たゲノムDNAを、切断後脱リン酸化したpRR−6に連結し
た。
Dsz−変異体株CPE−648の分子相補 プラスミドライブラリー結合(上記)を利用して、既
報に従いエレクトロポーレションによりDsz−変異体株C
PE−648を形質転換した。DNAを含まない(モック形質転
換)CPE−648陰性対照形質転換も行なった。RM中で4時
間インキュベーションした後、菌体を遠心分離により懸
濁液から沈殿させ、上清を除去した。菌体を硫黄を含ま
ないBSMに再懸濁した。これらの菌体を用いて、300μl
のDBT飽和エタノール溶液を加えた250mlのBSMを接種し
た。この手順により、Dsz−突然変異を相補する能力の
あるクローンを硫黄生体利用性アッセイによって選択す
ることができる。相補配列(すなわち本発明のDNA)を
含む株は、DBTから硫黄を奪って選択的に生育するはず
である。
30℃で6日間のインキュベーションを行なった後、HP
LCによって培養物中の2−HBPを測定した。2−HBPの蓄
積が実験培養物中に検出されたが、対照培養物中には2
−HBPの蓄積は検出されなかった。2−HBPを産生する培
養物を、クロラムフェニコールを加えたRMプレートに塗
布し、プラスミドを保持する単一コロニーを得た。これ
らのプレートを、1.2ml/リットルのDBT飽和エタノール
溶液を加えたBSMアガロースプレートにレプリカ移植し
た。30℃で24時間インキュベートした後、短波長UV照射
下で2−HBPが一部コロニーの周辺に検出された。これ
らのコロニーは、おそらく以前のDsz+の表現型を回復
することによってDsz−変異体を相補するプラスミドを
保持していたのであろう。
Dsz−変異体CPE−648を相補するクローンのキャラクタ
ライゼーション 上記のようにして、2つの独立したプラスミドライブ
ラリーが変異体CPE−648をDsz+にうまく相補した。2
つのライブラリーのそれぞれで形質転換した培養物から
BSMプラスDBTのプレート(上記)上で2−HBP産生を示
す単一のコロニーからプラスミドのDNAを単離した。こ
のプラスミドのDNAを用いて大腸菌JM109株の形質転換を
行なった。プラスミドDNAを単離し、制限エンドヌクレ
アーゼを用いて切断して、クローンの制限酵素地図を作
成した。この2つのライブラリーのそれぞれが単一の相
補クローンを生じた。制限パターンの類似性により、2
つのクローンは重複配列を有すると思われる。次いでこ
れらのクローンをそれぞれpTOXI−1(図4)およびpTO
XI−2と命名した。pTOXI−1は約6.6kbの挿入断片を有
する。pTOXI−2は約16.8kbの挿入断片を有する。
Dsz−変異体であるGPE−362の相補 Dsz−変異体GPE−362をプラスミドpTOXI−1とpTOXI
−2で形質転換した。対照として、GPE−362をベクター
pRR−6でも形質転換した。プラスミドDNAを含有する形
質転換体をRMプラスクロラムフェニコールのプレート上
で選択した、CmRコロニーをDBT添加BSMアガロースプレ
ートに移した。30℃で24時間のインキュベーションを行
った後、短波長UV照射下でpTOXI−1またはpTOXI−2を
含有するコロニーの周辺に2−HBPの産生が見られた。
ベクターpRR−6だけを含有するコロニーの周辺には2
−HBPは検出できなかった。
クローン化DNAの再導入によるDsz+形質の過剰発現 プラスミドpTOXI−1とpTOXI−2をDsz−変異体株CPE
−648に形質転換した。プラスミドDNAを含有する形質転
換体をRMプラスクロラムフェニコールのプレート上で選
択した。個々のクローンの比活性を以下の手順で調べ
た。
pTOXI−1またはpTOXI−2を含有するCPE−648の単一
コロニーを用いて、250mlフラスコ中の25μg/mlのクロ
ラムフェニコールを含む25mlのRMに接種した。陽性対照
として、親株IGTS8も25mlのRM中で培養した。225rpmで
攪拌しながら30℃で48時間生育させた後、2.5mlの培養
物を0.7mMのDMSOを加えた25mlのBSMに混合した。培養物
を30℃でさらに40時間インキュベートした。各培養物の
光学密度を適当なブランクに対して600nmで測定した。D
BTを最終濃度150μMとなるように加え、培養物を30℃
で3時間インキュベートした。次いで、等容量の試薬ア
ルコール(Baxter,McGaw Park,IL)を各培養物に加え
て、残存するDBTまたは2−HBPを可溶化した。1mlの試
料を取り、遠心分離によって菌体残さを除去した。上記
HPLCアッセイによって上清中の2−HBPを分析した。1
リットルあたりの2−HBPのmg数/インキュベーション
時間/OD600として比活性を計算した。上記アッセイの結
果を表1に示す。
実施例2: ジデオキシ法によるプラスミドpTOXI−1か
らの脱硫活性生物触媒のDNA配列決定 材料 菌株、プラスミド プラスミドpTOXI−1は、DNAシークエンシングのため
の原材料として使用された。大腸菌JM109株は、サブク
ローニングおよびプラスミドの維持のための宿主として
用いた。プラスミドpUC18およびpUC19は、Bethesda Res
earch Laboratories(Bethesda,MD)から購入した。
酵素、試薬 制限エンドヌクレアーゼは、Bethesda Research Labo
ratories(BRL)、New England Biolabs(Beverly,MA)
より購入した。T4リガーゼはBRLより購入した。Sequena
se Version2.0DNAシークエンシング・キットは、United
States Biochemical Corporation(Cleveland,OH)よ
り購入した。酵素、キットは総て、業者の使用書に従っ
て用いた。
培地および培養条件 プラスミドを保持する大腸菌JM109株は、L−broth
(Difco)にアンピシリン100μg/mLを添加して培養し
た。形質転換株の選択は、1.5%寒天とアンピシリン100
μg/mLを添加したL−プレート上において行なった。大
腸菌は37℃にて培養した。
方法 プラスミドDNAの大腸菌からの調製 プラスミドDNAは大腸菌をSDSで溶解することにより調
製した(マニアティスら)。このDNAは、シークエンシ
ング反応に使用する前にポリエチレングリコール沈殿に
よりさらに精製した。
プラスミド・サブクローニング 以下のpTOXI−1のサブクローンは標準的な手法によ
り作成し、DNAシークエンシングに供した。
a)pMELV−1(図5)pTOXI−1(図4に示す)をHind
III/Nde I処理して得られた6.7kbの断片をpUC−18のHi
nd III/Nde I切断部位に挿入し得られたものである。pM
ELV−1を保持するJM109細胞は、プラスミド単離、制限
エンドヌクレアーゼ解析により判別した(マニアティス
ら)。
b)pSMELV−1A(図6)は、pMELV−1のSph I/Xho I処
理して得られた1.6Kbの断片をpUC−18にサブクローニン
グしたものである。
c)pSMELV−2A(図6)は、pMELV−1のBamH I/Sac I
処理して得られた0.7Kbの断片をpUC−18にサブクローニ
ングしたものである。
d)pSMELV−3A(図6)は、pMELV−1のSac I/Xho I処
理して得られた3.5Kbの断片をpUC−18にサブクローニン
グしたものである。
e)pSMELV−4A(図6)は、pMELV−1のSph I/BamH I
処理して得られた1.5Kbの断片をpUC−18にサブクローニ
ングしたものである。
プラスミドDNAを用いたジデオキシ・シークエンシング a)ディネイチュレイション(変性)。シークエンシン
グ反応の前に、プラスミドDNAはNaOH処理により一本鎖
に変性させる必要がある。変性DNAは塩の添加、エタノ
ール沈殿により回収される。各シークエンシング反応ご
とに2〜5μgの変性DNAを用いるのが好ましい。Seque
nase Version2.0DNAシークエンシング・キットの取り扱
い説明書を見ればよい。(United States Biochemical
Corporation) b)ジデオキシ・シークエンシング。Sequenase2.0(U.
S.Biochemical Corporation)を用いて使用書にあると
おりに鎖伸張停止ジデオキシ・シークエンシングをし
た。クラスターのシークエンシングはサブクローンpMEL
V−1A,pMELV−2A,pMELV−3A,pMELV−4Aと“−40 Univer
sal Primer"とを混合することにより開始した。その
“−40 ユニヴァーサルプライマー”は5′−GTTTTCCC
AGTCACGAC−3′と規定されており、“リヴァースプラ
イマー”は5′−AACAGCTATGACCATG−3′とされてい
る。シークエンシングは前もって読んだシークエンスに
部分的に重なったオリゴヌクレオチドを結合させていく
ことにより伸長た。この過程には、Gene Assembler Plu
s(Pharmacia,Piscataway,NJ)を用いた。合成オリゴヌ
クレオチドはシークエンシング反応継続のためのプライ
マーとして用いた。プラスミドpMELV−1は残りの配列
総ての鋳型として用いた。DNAシークエンスは、適合性
を上げるために、プラスミド・クローンの両鎖を読ん
だ。
実施例3:脱硫活性生物触媒のコスミド・ライブラリーを
用いた相補的なクローニング;宿主生物R.ファシアンス
への生物触媒DNAのトランスフェクション 材料、方法 菌種、培地、および試薬 ロドコッカス スピーシーズ ロドコッカス ロドク
ロウスのIGTS8株をInstitute of Gas Technology(Chic
ago,IL)より入手して使用した。本文中のUV1はIGTS8の
変異株であり、DBTを脱硫することはできない。R.ファ
シアンスD188−5[デソマーら(Desomer,et al.),J.
Bacteriol.170:2401−2405,1988]と.R.ロドクロウス
ATCC13808(ATCCの標準株)はDBTの代謝能を有していな
い。大腸菌XL1−Blue(Stratagene Cloning System,La
Jolla,CA)は、recA1 lac thi endA1 gyrA96 hsdR17 su
pE44 relA1F′proAB lac Ig lacZΔM15 Tn10]で
ある。大腸菌CS109はW1485 thi supE F-である。大腸菌
S17−1は大腸菌294より誘導されたものであり、それは
recA thi pro hsdR-−res-−mod±[RP4−2Tc::Mu−K
m::Tn]である[サイモンら、(Simon et al.),Plas
mid vectors for the genetic analysis and manipulat
ion of rhizobia and other gram−negative bacteria,
p.640−659.In A.Weissbach,and H.Weissbach(eds.),
Methods in enzymology,vol 118,Academic Press,Inc.,
Orlando,1986]。
シュードモナス最小塩培地(PMS)は、ギウラードと
スネル(Giurard and Snell)の方法(Biochemical fac
tors in growth,p.79−111.In P.Gerhardt,R.G.E.Murra
y,R.N.Costilow,E.W.Nester,W.A.Wood,N.R.Krieg,and
G.B.Phillips(eds.),Manual of methods for general
bacteriology,American Society for Microbiology,Wa
shington,DC.,1981)に従って調製し、そこに0.2%グリ
セリン、40mMリン酸バッファー(pH6.8)、2%ハンタ
ーのミネラル・ベース、0.1%硫酸アンモニウムを添加
した。硫黄塩を欠くPMS培地は、硫酸塩を塩酸塩に置換
して調製した。ルリア・ブロース(LB)は、1%バクト
トリプトン、0.5%酵母抽出物、1%塩化ナトリウムよ
り成る。培養液のインキュベーションは総て、恒温水槽
の中で振盪しながら行った(New Brunswick Scientifi
c,Edison,NJ)。アンピシリン(50μg/mL)とテトラサ
イクリン(12.5μg/mL)は選択試薬として必要に応じて
培養液中に加えた。ジベンゾチオフェン(DBT)はFluka
Chemical Corporation of Ronkonkoma,NYより購入し
た。DBT−スルフォキシドはICN Biochemicals of Irvin
e,CAより、DBT−スルフォンはAldrich Chemical Compan
y of Milwaukee,WIより購入した。アガロースはBRLより
入手した。
プラスミド ベクター pLAFR5[キーンら(Keen,et al.),Gene 70:191−19
7,1988]とpRF29[デソマーら(Desomaer,et al.),198
8]はロドコッカスプラスミドの複製起点の原料として
用いた。
コスミドライブラリーの構築 高分子量DNAは、細胞の溶解をリゾチーム(5mg/mL)
とSDS(2%)を含むTE(10mM Tris−HCl,1mM EDTA,pH
8.0)溶液中で行ったことを除き、コンスベッジら(Con
sevage et al,)の方法(J.Bacteriol.,162:138−146,1
985)によりIGTS8から分離した。DNAはSau3A Iで部分的
に切断し、約20Kbの断片を塩化ナトリウム勾配遠心後に
分離した[フリッシャフら(Frischauf et al.),Dige
stion of DNA:size fractionation,p.183−189.In S.L.
Berage,and A.R.Kimmel(eds.),Methods in Enzymolog
y,vol 152,Academic Press,Inc,San Diego,Ca,1987]。
これらの断片は常法によりpLAFR5のBamH I切断部位を挿
入した。インビトロにおけるパッケージングはGigapack
Plus(Stratagene)を用いて行った。構成されたコス
ミドは大腸菌S17−1へ形質移入した。
DBTスプレープレート・アッセイ ジベンゾチオフェン(DBT)を変化させることができ
る細菌を選別するために、キヨハラら(Kiyohara et a
l,)の方法(Appl.Environ.Microbiol.,43:454−457,19
82)と修正法であるクラビーク(Krawiec)の方法(Bac
terial desulfurization of thiophenes:screening tec
hniques and some speculations regarding the bioche
mical and genetic bases,p.103−114.In G.E.Pierce
(ed.),Developments In industrial Microbiology,vo
l 31,Society for Industrial Microbiology,Columbus,
Ohio,1990)に準じてスプレープレート・アッセイを行
った。さらに、この方法を.R.ロドクロウスIGTS8に応用
する目的で、以下のように修正を加えた。IGTS8ロコニ
ーの細胞を個別にLBプレートに小断片(0.5cm)として
移して、30℃で24から36時間インキュベートした。次
に、この断片から大量の細胞をそれぞれ硫黄源を欠落さ
せてあるPMS−1%アガロース・プレート上に移した。
直ちにこれらプレート上に0.1%DBTエチルエーテル溶液
を噴霧した。PMS−DBTプレートを30℃で最低18時間イン
キュベートし、短波長(254nm)紫外線照射下、断片の
周囲の蛍光産物を検知した。
硫黄生体利用性アッセイ 30℃で24から48時間PMS培地中でIGTS8をインキュベー
トし、細胞を遠心分離処理でペレット化し、その後2
回、硫黄を含まないPMSで洗浄した。洗浄後細胞は、0.2
%濃度のDBT,DBT−スルフォキサイド、DBT−スルフォン
のいずれかを唯一の硫黄源として含む、PMSに接種し
た。種培養は600nmに於ける初期吸光度(A600)が0.02
になるように調整した。培養は30℃で行い、増殖をA600
で追跡した。DBTで培養した細胞については、上清につ
いて種々の時間間隔で、短波長紫外線下に蛍光物質の産
生の観察を行った。
プラスミドの単離とハイブリダイゼーション コスミドDNA(pLAFR5)は、大腸菌由来のものはイシ
ュ−ホロビッツとブルク(Ish−Horowicz and Burke)
の方法(Nucl.Acids Res.:2989−2998,1981)に準
じ、またロドコッカス由来のものはシンガーとフィネル
ティ(Singer and Finnerty)の方法(J.Bacteriol.,17
0:638−645,1988)に準じて単離した。大量のコスミド
の調製はビルンボイムとドーリー(Birnboin and Dol
y)(Nucl.Acids.Res.,:1413−1423,1979)に従って
行った。DNAハイブリダイゼーション実験は、サザン(S
outhern)の法(J.Molec.Biol.,98:503−517,1975)に
準じて行った。DNAは、ファインベルグとホーゲルスタ
イン(Feinberg and Vogelstein)(Anal.Biochem.13
7:266−267,1984)によるランダム・プライマー法を用
いて、32P−dCTP(アマシャム)でラベルした。
IGTS8の紫外線突然変異誘発 IGTS8はLB中30℃一晩でインキュベートし、約3000コ
ロニーフォーミングユニットを新しいLBプレート上に塗
布した。これらのプレートは直ちに3.5cmの距離で短波
長(254nm)紫外線を5〜20秒間照射した。プレートは
さらに30℃で48時間又はコロニーが形成するまでインキ
ュベートした。スプレー・プレート・アッセイにより、
50℃以上の細胞が死滅したプレート上のコロニーについ
て、DBTの代謝能あるいは脱硫能を試験した。
ロドコッカスのエレクトロトランスフォーメーション R.ロドクロウスIGTS8とUVI変異株は、エレクトロポー
レーション(Gene Pulser,Biorad Laboratories,Inc,He
rcules,CA)によって、プラスミドDNAで形質変換した。
これらの細菌はLB中30℃で24から48時間培養し、A600
0.15になるように新しいLBで希釈してさらに、4時間30
℃で培養した。細胞は遠心分離により回収し、4〜5回
0.3Mのシュークロースで洗浄した後、0.5Mのシュークロ
ースで5×109個/mL程度となるように再懸濁した。この
細菌溶液40μLを氷冷した0.2cmのエレクトロポーレー
ション・キュベット(Biorad)に分取した。細胞を800
オームでパルス・コントローラを用いて25μF、2.5kv
の条件でパルスした後直ちに0.5Mシュークロースを含む
LB1mlで希釈した。1時間30℃で細胞をインキュベート
した後、適当な抗生物質を含むLB寒天プレート上に広
げ、30℃でコロニーが形成するまで培養した。ロドコッ
カスプラスミドであるpRF29の複製起点をそのプラスミ
ドがもっている場合には48時間後にコロニーが識別でき
た。pRF29の起点をもっていない場合には4から5日間
後にコロニーが現れた。
R.ファシアンスD188−5も同様にエレクトロポーレー
ションにより形質転換したが、増殖率が低いのでA600
2程度になるまでLB中で一晩培養した。この細胞をシュ
ークロースの代わりに蒸留水で洗浄し、再懸濁した。パ
ルス・コントローラーを400オームにセットし、回復期
間をエレクトロポーレーション後4時間としてLB中で培
養し、選択培地上に展開した。大腸菌プラスミドを用い
たR.ファシアンスD188−5の形質転換を成功させるに
は、操作の前にDNAをCpGメチラーゼ、Sss I(New Engla
nd Biolabs,Inc.,Beverly,MA)を用いてインビトロでメ
チル化する必要があった。
ガス・クロマトグラフィー、マス・スペクトロスコピー LB中30℃で、細胞を一晩培養した後、50mlのPMS最小
培地に100μLを接種した。4日間30℃で培養し、硫黄
元素を含まないPMSで2回洗浄後、ペレット化した細胞
を、唯一硫黄源として0.1%のDBTを含む50mLのPMSに接
種した。この細胞を24時間30℃で培養し、上清は−20℃
で凍結保存した。R.ファシアンスD188−5のアッセイに
はインキュベーション時間を2から3倍にした。
サンプル調製と化学分析は、報告[オルソンら(Olso
n et al.),Energy & Fuels,投稿中,1993]のとお
り行った。簡単に述べると、サンプルの上清(50ml程
度)を融解し、残存不溶性物質は遠心処理により取り除
いた。透明な上清は、塩酸を用いてpH1.0に酸性化し、
ついで50mlの酢酸エチルで3回抽出した。遠心処理時の
不溶性物質もまた酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽
出液を合わせて無水塩化カルシウムで乾燥し、濾過後ロ
ータリー・エバポレーターで酢酸エチルを除去した。既
知量の内標準物質(オクタデカンのクロロホルム溶液)
をサンプルに加え、GC/FID(ガス・クロマトグラフィー
/フレーム・イオニゼイション・ディテクション)およ
びGC/FTIR/MS(ガス・クロマトグラフィー/赤外フーリ
エ変換/マス・スペクトロメトリー)を用いて分析し
た。ジアゾメタン・エーテル溶液で処理することによ
り、酢酸エチル抽出液中のまたは抽出後の水層中の酸性
成分のメチル化をいくつかのサンプルで行った。
分析は先に述べた連動GC/FTIR/MSシステム[ディール
ら(Diehl et al.),Spectros.Int.J.,:43−72,199
0,オルソンとディール(Olson and Diehl),Anal.Che
m.,59:443−448,1987]で行った。このシステムはAGCで
稼働するFinneganイオン・トラップ(ITD800)とNicole
t20SXBフーリエ変換赤外吸収計から成る。ガス・クロマ
トグラフィーは、30m×0.32mmのDB5ガラム(1.0μm層
厚)、330℃で計測した流速が2.0ml/分のヘリウム・キ
ャリアーを用いた。ニスルフォキサイドや、スルフォン
は熱に不安定で、分流、非分流インジェクター中で分解
するために、サンプルの注入はカラムに直接注入した
[ビグナーら(Vignier et al.),J.High Resol.Chro
matogr.& Chromatogr.Commun.:661−665,1983]。
オーブンの温度管理プログラムは以下に示す。注入時は
40℃、80℃までは20℃/分、200℃までは5℃/分さら
に330℃まで10℃/分の速度で温度を上昇させ、そして
5分間保持した。GC/FIDでの分析もHP5880Aを用いて同
様のカラムと同様の流速、オーブン温度プログラムで行
った。
結果 R.ロドクロウスIGTS8のDsz−変異株の単離 大腸菌に異種細菌由来遺伝子をクローニングする際、
すべての遺伝子が発現するとは限らず、またすべての蛋
白生成物が活性を保持しているものでもない。クローン
化脱硫遺伝子の宿主細胞での発現を確実にするために、
DBTの脱硫不可能なR.ロドクロウスIGTS8の変異体を単離
した。この変異株をクローニングの受要体として用いる
ことにより、細胞環境が遺伝子の発現と蛋白質の機能に
対して適当であることを保証し、これによってその相保
性によるクローン化脱硫遺伝子のスクリーニングが可能
となった。
R.ロドクロウスIGTS8を紫外線への曝露によって変異
させ、1000個の生存株についてDBTスプレー・プレート
・アッセイにより紫外蛍光産物の産生能をスクリーニン
グした。3個の脱硫活性を保持していない可能性のある
変異株を選び出し、硫黄生体利用性アッセイで再評価し
た。2個の変異株(UV1,UV23と呼ぶ)はDBTまたはDBT−
スルフォンを唯一硫黄源として利用できない株であった
ためDsz−のように思われた。DBTの存在下で培養したと
きでも変異株UV1は、GC/MS解析したところ、DBTを2−H
BPまたは他の中間体に代謝することができなかった。従
って、UV1株をDsz−とみなして、脱硫遺伝子を持つクロ
ーンを識別するための相補研究用の宿主として用いた。
脱硫遺伝子のコスミド・クローニング Dsz+由来元生物であるIGTS8のDNAを、コスミド・ベ
クター,pLAFR5におけるライブラー構築に利用した。こ
のライブラリーを大腸菌S17−1に移植し、約25,000の
コロニーからプラスミドを単離した。このコスミドをR.
ロドクロウスUV1にエレクトロポレーションすると、DNA
1μg当たり300程度の形質転換体が得られる効果でIGTS
8の変異種Dsz−が得られた。種々の数のUV1形質転換体
を保存し、30℃で18時間インキュベートした後、細胞を
硫黄フリーのPMSで2回洗浄し再懸濁した。約7×108
の保存細胞を唯一硫黄元源としてDBTを含むPMS100mlに
接種した。DBTの脱硫反応によって2−HBPが生成すると
考えられ、それは紫外線下で蛍光を発する。従ってバッ
チ毎に30℃で培養し、上清を蛍光判別に用いた。約3300
のUV1形質転換体が4バッチ中に見いだされた。1バッ
チ(約600の形質転換体に相当)中にその上清に紫外線
蛍光物質が見いだされてくるのは5日間培養してからで
あった。個々のコロニーを単離した。これらのうち12個
がDBTを添加すると蛍光物質を産生し続けた。
これらの単離株からコスミドDNAを回収する試みは失
敗した。そこでコスミドが既にUV1株の染色体中に組み
込まれているかどうかを決定するために、サザン・ハイ
ブリダイゼーションを行った。7個の形質変換株より単
離した染色体をEcoR Iで切断した。アガロース電気泳
動、ブロッティングの後、その断片をpLAFR5由来32P標
識プローブを用いてハイブリダイズした。テストした形
質転換株総てにおいて、pLAFR5プローブは、約20kbのDN
A断片にハイブリダイズされた。一方、対照IGTS8ゲノム
は、ベクター由来のプローブはハイブリダイズしなかっ
た。従って、脱硫陽性コスミドクローンはUV1株の染色
体中に組み込まれていることが明らかになった。
プラスミドが染色体に組み込まれていることから、プ
ラスミドのクローニング・サイトの一端と結合している
ゲノムDNAは、UV1株のDsz−変異を相補することができ
たR.ロドクロムIGTS8配列を表すに違いない。(組み込
み様式が相同組換えによるか異質組換えによるかにかか
わらず、これは正しい)。3種の脱硫陽性の形質転換体
から、挿入されたプラスミドの両端に位置する配列をEc
oR IまたはBamH Iでゲノム調製物を切断することによ
り、回収した、これら酵素はpLAFR5の挿入されたプラス
ミドポリリンカー領域1箇所のみを切断するので、IGTS
8由来近傍の染色体断片と結合した無傷のpLAFR5を得る
ことができた。切り出されたDNA断片を自己接合(約20n
g/μLの濃度)させ、大腸菌S17−1に形質転換させ
た。16個のテトラサイクリン耐性コロニーを、7株はBa
mH I切断により、9株はEcoR I切断により得た。制限酵
素解析によって、EcoR I−レスキュークローンはIGTS8D
NAの2.1kbの断片を、BamH Iレスキュークローンは、IGT
S8DNAの1.65kb断片を保持していた。
EcoR Iレスキュー実験により得た2.1kbのIGTS8DNA
は、標識DNAプローブ合成の鋳型として用いた。そのプ
ローブは、大腸菌中の元のインタクトなコスミド・ライ
ブラリーのコロニーにハイブリダイズした。5000個のコ
ロニーのうち17個がIGTS8プローブとハイブリダイズし
た。それぞれのクローンから単離したコスミドDNAは、U
V1株に形質転換された。17個のDNA調製物中の3個がDsz
−表現型を相補した。
EcoR IとHind IIIを用いることによりこの領域の制限
酵素地図を作成した。2.1kbのIGTS8DNAプローブは、4.5
kbのEcoR I断片とハイブリダイズした。Dsz+表現型を
付与した総てのコスミド・クローンは、4.5kbのEcoR I
断片と、4.5kbのEcoR I−Hind III断片の一部および、1
8kbのEcoR I断片の一部を持っていた。これらの結果よ
り、脱硫遺伝子は15kb領域中に存在していることが示さ
れた。
脱硫遺伝子のサブクローニング 4.5kbのEcoR I断片と、4.5kbのEcoR I−Hind III断片
をpLAFR5にサブクローニングしたが、いずれの断片もUV
1株のDsz−変異を相補しなかった。GE1−HのEcoR I9.0
kb断片、GE1−CのEcoR I−Hind III15.0kb断片とGE1−
KのEcoR I18kb断片をpLAFR5にサブクローニングした結
果、それぞれから、プラスミドpSAD60−28,pSAD48−12,
pSAD56−6が得られた。そこでUV1に形質転換すると、
制限酵素地図により決定されたDsz+表現型の位置と一
致して、これら3種全てがスプレー・プレート・アッセ
イにおけるDBT由来の蛍光物質を生成した。さらにこの
領域のサブクローニングを続けることにより、関連遺伝
子の位置をBstB I6.5kb断片に絞った。
UV1株に於ける変異の性質 IGTS8とUV1DNAのEcoR Iによる切断断片は、ゲノミッ
ク・ブロットにおいてIGTS8の2.1kbEcoR I−レスキュー
断片より得たプローブとハイブリダイズした。一方UV1D
NAに対してはハイブリダイズしなかったことより、この
UV1変異は単純なポイント・ミュウテーションではなく
て、ある一定領域の欠落によることが示された。
ロドコッカスプラスミド複製起点は、UV1の形質転換を
増大する pSAD48−12を用いるUV1のエレクトロポーレーション
の結果は、典型的な低い形質転換効率(550/μgDNA程
度)であり、形質転換体の約50%のみがDsz+表現型を
示した(恐らくクロモソームとの組換え中にDNAを欠損
したか、さらなる組換えによるものであろう。)形質転
換効率を改善するために、pSAD48−12のHind III切断部
位にpRF29のHind III4.5kb断片を導入し、pSAD74−12を
得た。この4.5kb断片はロドコッカスプラスミドの複製
起点を含んでおり、pSAD74−12がプラスミドとしてUV1
株中で複製することを可能にした。このクローンは、10
4形質転換体/μgDNA以上の効率でUV1を形質転換した。
これら形質転換株はほぼ100%、Dsz+表現型を示した。
UV1より直接プラスミドを調製するとその収率は期待に
反して極めて低く、微量標品DNAはアガロース・ゲル上
で認められなかった。しかしながら、UV1から単離され
たプラスミドは大腸菌S17−1の形質転換に使用でき、
それから大量のプラスミドが調製された。
Dsz+表現型は大腸菌S17−1において発現しない pSAD48−12で形質転換した大腸菌S17−1の脱硫活性
をスプレー・プレート・アッセイで測定した。陽性を示
すコロニーは認められなかった。その可能性として、IG
TS8DNAは大腸菌のlacプロモーターの制御下におかれて
いたために、大腸菌のポリメラーゼがpSAD48−12中に存
在するIGTS8のプロモーターを確認できなかったからで
はないかと考えられる。lacプロモーターに関して両方
の向きになるように、pSAD48−12由来のIGTS8のEcoR I
Hind III15kb断片をpBluescriptベクター、SK-とK
S-、にサブクローニングしたが、大腸菌XL1−Blueで、
どのクローンもDsz+表現型を発現していなかった。導
入した遺伝子の転写あるいは翻訳が非効率であることに
よるのか、または過剰に発現した蛋白質が大腸菌S17−
1において不活性であるのかは不明である。
Dsz+遺伝子や遺伝子群がR.ファシアンスにおいて発現
する クローニングされた遺伝子が大腸菌において発現しな
いか又は不活性蛋白質を産生していることから、他のロ
ドコッカス種でこの遺伝子の発現の努力を開始した。DB
Tスプレー・プレート・アッセイや、硫黄生体利用アッ
セイにおいて、R.ファシアンスD188−5は脱硫活性を全
く示さなかった。R.ファシアンスを脱硫陽性プラスミド
であるpSAD74−12で形質転換させる最初の試みは失敗に
終った。他のロドコッカス種は、Sal I様制限部位でDNA
を切断する内因性鋭制限系を保持していることが知られ
ている。pSAD74−12がSal I認識配列を複数固有してい
ることから、イン・ビトロで、CpGメチラーゼであるSss
Iを用いてpSAD74−12のメチル化を行った。メチル化さ
れたpSAD74−12DNAによって、R.ファシアンスD188−5
の形質転換株を7×103形質転換株/μgDNAの効率で得
た。これら形質転換株はスプレー・プレート・アッセイ
でDsz+表現型が観察され、そして液体培地上清のGC分
析によりDBTから2−HBPの生成が明らかにされた。
第2の種としてR.ロドクロウスATCC13808にpSAD74−1
2の形質転換を試みたが、非メチル化またはCpGメチル化
プラスミドの使用にもかかわらず効果はなかった。広範
囲の条件でテストしたにもかかわらず、ATCC13808に対
するエレクトロポーレーションの条件が不適当であった
ためではないかと考えられる。より可能性のあることと
して、ATCC13808にはCpGメチル化によっても阻害されな
い何らかの制限系が存在するのではないか。
2−HBPは主要な脱硫産物である R.ロドクロウスIGTS8によるDBTの主代謝物は2−HBP
であり、小量の2′−ヒドロキシビフェニル−2−スル
フィン酸(DBT−スルティン)と2′−ヒドロキシビフ
ェニル−2−スルフォン酸(DBT−スルトン)が存在す
ることがGC/MS分析により同定された[オルソンら(Ols
on et al.),Energy & Fuels印刷中,1993]。これら
の産物はこの実験においてIGTS8によっても産生された
(表2)。R.ファシアンスD188−5とR.ロドクロウスの
Dsz−変異株UV1は、DBTからこれらの産物を産生しなか
った。しかしながら、R.ファシアンスD188−5をプラス
ミドpSAD74−12で、R.ロドクロウスUV1変異株をプラス
ミドpSAD104−10で変質転換すると、これらの細菌はR.
ロドクロウスIGTS8で同定されたものと同一のDBT由来の
生産物を産生した(表2)。特に2−HBPが大量に得ら
れることから、IGTS8由来の導入遺伝子の産物により炭
素−硫黄結合に特異的な脱硫が媒介されていることが示
された。
サブクローンの一つpSAD90−11は恐らくpSAD104−10
中に導入されたものと同一の断片を保持していると考え
られるが、R.ロドコッカスUV1に導入するとこの二つの
プラスミドは異なる結果を産みだす。プレート・アッセ
イにおいて、pSAD104−10を含むコロニー付近からDBTの
被膜が消失し、澄み切った領域(clear zone)が現わ
れ、蛍光光輪がコロニーの周囲に現われる。反対に、pS
AD90−11を含む細胞については、蛍光物質は産生されて
なかったが、コロニーの周囲にはDBTの明瞭な領域が認
められた。GC/MS分析より、pSAD90−11を含む細胞は、
2−HBPを産生しないが、顕著なDBT−スルトンを蓄積す
ることが認められた(表2)。スルトンは親株であるUV
1では蓄積しない(データは示していない)。これらの
観察は、EcoR I9.0kb断片をpSAD90−11にサブクローニ
ングすることによりこのDNAが損傷し、スルトンを2−H
BPに変換する酵素をコードしている遺伝子群を不活性化
してしまうことを意味する。以上から、脱硫には少なく
とも2種の酵素がかかわっていること、スルトンはこの
経路の中間体であることが示唆される。この結果は、最
初の単離株であるR.ロドクロウスIGTS8中で検出された
代謝物の種類と一致している[オルソンら(Olson et a
l.),1993]。
a 生成物:DBT,ジベンゾチオフェン;DBTO,ジベンゾチ
オフェン5−オキシド(スルフォキシド);DBTO2ジベン
ゾチオフェン5,5−ジオキシド(スルフォン);DBT−ス
ルトン,2′−ヒドロキシビフェニル−2−スルフォン酸
(ジベンズ[c,e][1,2]−オキサチイン6,6−ジオキ
シドとして検出された);DBT−スルチン,2′−ヒドロキ
シビフェニル−2−スルフィン酸(ジベンズ[c,e]
[1,2]−オキサチイン6−オキシドとして検出され
た);ジベンゾチオフェン・スルフォン;2−HBP,2−ヒ
ドロキシビフェニル(Krawiec,pg.103−114.In G.E.Pie
rce(ed.),Developments in Industrial Microbiolog
y,vol 31,Society for Industrial Microbiology Colum
bus,Ohio,1990)。
b IGTS8由来のEcoR I9.0kbDNA断片をpLAFR5にサブク
ローニングし、さらに複製起点はpRF29由来。
c 変異させた、IGTS8由来のEcoR I DNA9.0kb断片をpL
AFR5にサブクローニングし、さらに複製起点はpRF29由
来。
d IGTS8由来のEcoR I−Hind III15.0kbDNA断片をpLAF
R5にサブクローニングし、さらに複製起点はpRF29由
来。
e 代謝物存在は、相対的な量を過剰量(+++++)
から極めて少量(+)、すなわち微量として表した。
IGTS8は硫黄源としてDBT−スルフォキシドを利用できな
い R.ロドクロウスIGTS8を以下3種のうちのどれかを唯
一硫黄源として含む最小培地中でインキュベートした。
その化合物は、DBT,DBT−スルフォキシド、あるいはDBT
−スルフォンである。IGTS8はDBT−スルフォキシドによ
り供給される硫黄を利用できなかったが、DBTまたはDBT
−スルフォンの存在下では盛んに増殖した。DBT−スル
フォキシドは、リッチ・メディウム(LB)中で成育させ
た細胞に対して無害であった。よって、IGTS8には、DBT
−スルフォキシドの輸送能や、利用能が欠損しているの
かまた別の要因としてDBT−スルフォキシドは脱硫経路
の真の中間体ではない可能性が考えられる。
実施例4:サンガーらの方法による、IGTS8の脱硫生物触
媒をコードする遺伝子または遺伝子群を含むECOR I−SA
U3A I9763ヌクレオチド断片のDNAシークエンシング Dsz+表現型をコードする遺伝子まは遺伝子群を含むE
coR I−Sau3A I9763ヌクレオチド断片は、IGTS8由来元
生物(IGTS8source organism)より単離された。サンガ
ーらのジデオキシ・チェーン−ターミネーター法(197
7)、チェーン−ターミネーション阻害剤によるDNAシー
クエンシング74 PROC.NATL.ACAD.SCI.USA 5463−5467、
修飾されたT7DNAポリメラーゼ(USB)および[α−
35S]−dCTP(Amersham)によってDNAの両鎖よりその断
片のDNA配列を決定した。DNAシークエンシングのための
欠失クローンは、pBluescript(Stratagene)中におい
て、エキソヌクレアーゼIIIとヘニコフ(Henikoff)の
方法(1984)、Unidirectional digestion with exonuc
lease III creates targeted breakpoints for DNA seq
uencing,28GENE 351−359、を用いて行った。
141種の個々の欠失クローンの配列を、9763ヌクレオ
チド断片の完全な再構築に用いた。コンピューター化シ
ークエンス・アッセンブリーはDNA Inspector II(Text
co,Hanover,NH)を用いて行った。DNA配列は、各々の鎖
について独立に決定したが、両鎖共に9763ヌクレオチド
断片の完全な配列決定はできなかった。一方のDNA鎖か
ら決定された配列は、9763ヌクレオチドのうち95%をカ
バーした。他方のDNA鎖からは、96%の配列が決定され
た。9763ヌクレオチド断片の全配列は、少なくとも2種
の独立した欠失クローンから決定された。
実施例5:PTOXI−1の塩基配列とそこにコードされたオ
ープンリーディングフレーム(ORFS)のさらなる解明;D
SZ+プロモーターの工学技術;異種の宿主微生物でのDS
Z+表現型の発現;脱硫遺伝子発現の産生のマキシセル
分析(MAXICELL ANALYSIS) 脱硫クラスターの構成 pTOXI−1の塩基配列決定から、これらは下の配列リ
ストに結果を示しているが、クローンの一つの鎖上に三
つのほとんど隣接するオープンリーディングフレーム
(ORFs)予想された(図7)。それぞれのORFの大きさ
は、ORF1については1359塩基(塩基対786−2144)、ORF
2については1095塩基(塩基対2144−3238)、ORF3につ
いては1251塩基(塩基対3252−4502)と予想された。以
下に述べられているサブクローン分析によって、ORF1,
2,3はDBTの2−HBPへの変換に必要であり、これらのORF
によってコードされたすべての遺伝子は一個のオペロン
として単一の転写産物に転写されることが明らかとなっ
た。以下に述べられているすべてのサブクローンは、大
腸菌−ロドコッカスのシャトルベクター(shuttle vect
or)pRR−6中に維持されている。それぞれのサブクロ
ーンの活性は、Dsz−株CPE−648の形質転換株を栄養物
豊富な培地(RM)で48時間成長させることによって測定
した。培養物1mlは、100μM以上の濃度のDBTまたはDBT
−スルフォンを補ったBSM25mlに接種するのに用いた。
培養物は48−120時間後に脱硫産物について分析した。
それぞれのサブクローン化された断片の一覧図は、図8
に示してある。
続く研究では、サブクローンはクロラムフェニコール
を含んだ栄養物豊富な培地中で培養し、それから100μ
MのDBTまたはDBT−スルフォンを補ったBSMに変更し
た。培養物は30℃で2−5日振盪し、HPLCで脱硫産物を
分析した。
A. pENOK−1:pTOXI−1の4.0kbのSph I断片を含むサブ
クローンを構築した。この断片はORF1と2にわたってい
るが、ORF3は途中で切れている。pENOK−1を含む形質
転換株の分析によって、DBTとインキュベートしたとき
に生産物の産生がないことが明らかとなった。しかしな
がら、これらの形質転換株はDBT−スルフォンから2−H
BPを産生できた。
B. pENOK−2:pTOXI−1の3.6kbのSac I断片を含むサブ
クローンが構築された。この断片はORF2と3を含んでい
るが、ORF1は途中で切れている。pENOK−2形質転換株
の分析によって、DBT又はDBT−スルフォンのどちらから
も、どの脱硫産物もつくられないことが明らかとなっ
た。ORF2又は3から検出可能な活性が全く欠損している
ことは、転写が単一の上流プロモーターによって媒介さ
れているオペロンとしてORFが配置されていることを示
唆している。推定できるように、このプロモーターはこ
のサブクローンでは除かれている。
C. pENOK−3:pTOXI−1の1.1kbのXho I欠失変異体を構
築した。ORF1と2の両方が切られている。ORF3は完全な
状態で残っている。pENOK−3を保持している形質転換
株は、DBTからDBT−スルフォンの産生を示す。DBTまた
はDBT−スルフォンのいずれからも、2−HBPの生成は検
出されなかった。また、ヌクレオチドレベルでは、この
型の欠失は中心的な変異とはならないことを注意すべき
である。塩基配列は、おそらく不活性な融合蛋白質を生
成するORF1と2のフレーム内のスプライシングを予想さ
せる。しかしながら、終止コドンを避けることによっ
て、推定的な単一のmRNA転写がリボゾームによって保護
されて残存し、ORF3の翻訳を可能としている。ORF−3
の産物の、DBTからDBT−スルフォンを生成する能力によ
って、DBT−スルフォンがIGTS8の炭素−硫黄結合に特異
的な生物触媒による脱硫経路における真の中間産物であ
ることが明らかとなる。
D. pENOK−11:pTOXI−1からの3.4kbのNco I断片が、p
RR−6の唯一のNco I部位へサブクローン化された。こ
の断片は、すべてのORF2と3を含むが、ORF1の5′末端
が切れている。pENOK−11を導入した形質転換株は、DBT
やDBT−スルフォンに対して脱硫に特異的な酵素活性を
示さなかった。これはコードされている必須の領域がこ
の断片に接していることを示している。これは全クラス
ターが、サブクローンpENOK−2で議論されたように単
一の転写産物上に発現しているという予測と一致する。
もう一度、遺伝子の転写のためのプロモーターはこのサ
ブクローンには存在しない。サブクローンpENOK−13
(下記)は、この予測を確証する。
E. pENOK−13:2.6kbのSph I−Xho I欠失のあるpTOXI−
1のサブクローンが構築された。このサブクローンは完
全なORF3のみを含んでいる。ORF1は完全に欠損してお
り、ORF2は途中で切られている。このサブクローンは、
DBTまたはDBT−スルフォンに対して脱硫特異的酵素活性
を全く示さなかった。この結果は、DBTからDBT−スルフ
ォンの生成を示したpENOK−3の表現型を比較すべきで
ある。pENOK−13はより小さなSph I/Xho I断片の欠失が
加わっているという点でpENOK−3とは異なっているの
で、このことは、遺伝子発現に必要なのは1.6kbのSph I
/Xho I断片の中の要素であることを示している。塩基配
列決定からのこの領域には重要なORFが含まれていない
ことが明らかとなったので、この領域にはロモーターエ
レメントが存在するかもしれないと仮定される。
F. pENOK−16:脱硫クラスターからほとんどすべての不
必要な配列を除去したpTOXI−1のサブクローンが設計
された。この構築物は、配列の上流の234塩基対に加えO
RF1,2,3のすべてを含む、おそらく完全な脱流のために
必要なすべての配列を含む4kbのBstB I−SnaB Iを含ん
でいる。3′SnaB I部位は、ORF3の終りを80塩基対越え
て存在する。このプラスミドを保存するCPE−648は、DB
TとDBT−スルフォンを2−HBPに変換する能力を持って
いた。pENOK−16は従って、完全な脱硫の表現型を示
す。今までのところ観察された最も少量のクラスターを
示している。
G. pENOK−18:このサブクローンは、pTOXI−1のNsi I
Bfa I断片を含んでいる。Nsi I部位はORF1の予想され
た開始部位の23塩基対下流に存在する。このサブクロー
ンを保持るCPE−648は、DBTとDBT−スルフォンの両方の
脱硫活性を欠損している。このサブクローンは、おそら
くプロモーター領域が除去されており、最初の構造遺伝
子が短く切られている。
H. pENOK−Nsi:ORF1の開始部位をより深く解明するこ
とを助けるため、ORF1の予想される開始部位の23塩基対
下流にある唯一のNsi I部位に4bpの欠失が導入されたサ
ブクローンがつくられた。この変異はNsi Iで切断し、T
4DNAポリメラーゼで両端を平滑化することによって作成
した。もしNsi I部位が最初の構造遺伝子の中にあるな
らば、このフレームシフトを伴う変異はORF1で早い終止
シグナルを起こすであろう。pENOK−Nsiの形質転換株は
DBTからDBT−スルフォンを産生することが可能であっ
た。しかしながら、2−HBPの生成は全く検出されず、
これは変異が必須の構造遺伝子を破壊したことを示して
いる。
続く研究においては、ORF−3にコードされたオキシ
ダーゼの明らかな発現により、このクローンではおそら
くORF−2の産生もまた発現していることが考えられ
た。従って、ORF−2単独ではDBT−スルフォンの更なる
代謝は不可能である。
I. pENOK−19:ORF2の前半部分にあるNot I部位からORF
3の後にあるSnaB I部位までの欠失を含むpTOXI−1のサ
ブクローンが構築された。このサブクローンはORF1の活
性のみを示すはずである。このサブクローンを保持する
CPE648形質転換株は、DBTやDBT−スルフォンに対して酵
素活性を全く示さなかった。
pENOK−NsiとpENOK−19の結果は、両方併せると、ORF
−IとORF−2の産物がDBT−スルフォンをさらに代謝す
るためには同時に発現していなければならないことを示
唆している。
J. pENOK−20:ORF1から分離してORF2と3の機能を評価
するために、ORF2と3に及ぶDNAをポリメラーゼ連鎖反
応(PCR)で増幅した。プライマーRAP−1(5′−GCGA
ATTCCGACCGCAGTACC−3′,2062−2082塩基対)とRAP−
2(5′−ATCCATATGCGCACTACGAATCC−3′,4908−4886
塩基対)は、Applied Biosystems 392 DNA/RNA Synthes
izerで合成した。太字のヌクレオチドは、サブクローニ
ングのための制限部位を作成するために鋳型の配列から
変更した。従ってプライマーRAP−1はEcoR I部位を含
んでおり、プライマーRAP−2はNde I部位を含んでい
る。増幅は、Taqポリメラーゼを用いるGeneAmp Kit(Pe
rkin Elmer Cetus)とPerkin Elmer Cetus 9600 Thermo
cyclerで行った。パラメーターは次の通りであった。
鋳型: pMELV−1プラスミドDNA 0.2又は2.0ng プライマー: PAR−1 0.5又は0.2μM PAR−2 0.5又は0.2μM サイクル: 1×@ 96℃ 2分 25×@ 96℃ 30秒 52℃ 30秒 72℃ 2分 増幅によって、予想された2846塩基対の断片が生じ
た。ORF2と3を持つ増幅された断片を発現させるため
に、ロドコッカス ファシアンスからクロラムフェニコ
ール耐性遺伝子のプロモーターのXba I/EcoR I断片へ連
結させ[デソマーら:Molecular Microbiology(1992)
6(16),2377−2385]、プラスミドpOTTO−1を得た。
最後に、工学技術でつくった制限部位を用いた連結は不
成功であったという事実のため、平滑末端連結を増幅し
た産物のサブクローニングに用いた。この融合体は、シ
ャトルベクターpRR−6に連結し、プラスミドpENOK−20
を作成した。pENOK−20のCPE648形質転換株は、プロモ
ーター誘導のためDBTの25μg/mLのクロラムフェニコー
ルの存在下で増殖させた。すべての形質転換株は、おそ
らくサブクローンpENOK−3で示されたように、ORF3の
活性により、DBTをDBT−スルフォンに変換した。ORF2の
存在下でDBT−スルフォンをさらに処理することができ
ないことは、ORF2の産物が単独ではDBT−スルフォンを
基質として用いることができないことを示唆している。
これはpENOK−Nsiから得られた結果と一致しており、OR
F−2単独ではDBT−スルフォンを基質として用いること
ができないことを示唆している。
ORF1,2,3の遺伝子産物の割当て 先のサブクローン分析に基づいて、pTOXI−1配列中
に存在するそれぞれのORFに対して機能が仮定的に割当
てられた。ORF3はDBTをDBT−スルフォンに変換させるこ
とが可能なオキシダーゼについて責任を持つと同定でき
る。サブクローンpENOK−3はこの活性を非常にはっき
りと示している。ORF1と2は、DBT−スルフォンの2−H
BPへの変換に責任があるようである。このアリルスルフ
ァターゼ活性は、サブクローンpENOK−1で照明され
る。しかしながら、サブクローンpENOK−19とpENOK−20
は、ORF1と2のどちらも単独では中間体DBT−スルフォ
ンを何等変換できないことを示している。これはORF1と
2の蛋白質産物が炭素−硫黄結合の両方を切断するのに
共同して働くことを示唆している。たぶん、これは蛋白
質のヘテロ二量体の配置を通じて、または一つの蛋白質
のもう一方の蛋白質への制御機能を通じて達成されてい
るのであろう。実施例3に示されている平行した研究の
結果は、ORF−1がDBT−スルフォンをDBT−スルトンに
変換する酵素をコードしていることを示唆している。pE
NOK−19(完全な本来のプロモーターとORF−1)を保持
するCPE−648の長時間のインキュベーションは、DBT−
スルフォンの消失も新しい産物の産生も全く示さなかっ
た。これは実施例3から導かれた示唆と矛盾する。
代替プロモーターのスクリーニング 脱硫の比活性を増加させることは、本明細書に述べら
れている研究の重要な目的である。この目標を達成する
方法の一つは、本来のプロモーターを脱硫遺伝子スクス
ターのより高い発現、構成的な発現を作り出すことので
きるものと置き換えることである。ロドコッカスのプロ
モーターで報告され特性が調べられたものはほとんどな
いため、ランダムなゲノムライブラリーを作成し、二つ
の系でプロモーター活性をスクリーニングにかけた。一
つでは、このレポーター(伝達するもの、reporter)は
上で議論されたプラスミド構築に用いられたクロラムフ
ェニコール耐性遺伝子である。他方では脱硫クラスター
それ自身がレポーターとして用いられている。
プロモータースクリーニング剤A. クロラムフェニコー
ル耐性レポーター 以下でも述べる通り、部分的に分解されたロドコッカ
スゲノムのDNAが、プロモーターを持たないクロラムフ
ェニコール耐性遺伝子の上流んいクローン化された。そ
の結果得られたライブラリーは、次いでロドコッカスに
導入して形質転換を起こさせ、クロラムフェニコール選
別にかけた。プラスミドは、おそらくベクターの不安定
性のため、これらの中の一つからのみ単離されたにもか
かわらず、四つの明らかなプロモーターエレメントがpR
HODOPRO−2によってレスキューされた。安定なプラス
ミドRP2−2Aは配列分析にかけた。技術的な問題が、こ
れらのベクターの中で用いられたNar Iのクローニング
部位の制限酵素による処理で認められた。不幸にもNar
I酵素は厳格な部位−選択性を示し、ベクターをあまり
分解しないようである。簡便さおよび唯一の制限部位と
いう条件を欠いたことがこれらの研究の進行を遅くした
にもかかわらず、新しいベクターがこの問題を解決する
ために構築された。ロドコッカスの複製起点に関する最
近の観察は、以下論議されているように、より効果的な
プロモーターのプローブを構築する助けとなるであろ
う。
近年、1.4kbのBgl II断片がpRR−6から除かれ、Bgl
II部位を含まないpRR−12(図9)を作るためにその両
端を平滑にして再連結させた。デソマーら(Molecular
Microbiology(1992)6(16),2377−2385)は、この
領域がプラスミドの複製に必要であると報告した。従っ
て、この構築物がCmrの形質転換株を産生することがで
きたことは驚きであり、このことは、本研究で用いた微
生物の株においては、この領域がプラスミドの複製には
必須でないことを示している。この結果は、ランダムな
ゲノムの断片をクローニングするための、合成されたBg
l II部位を利用するベクターを構築する場合の概念的な
基礎となる。Bgl IIは、IGTS8DNAの効果的で頻繁に用い
られる切断道具であるSau3Aによって分解されたDNAを受
け付ける。これらの構築物は、より良い、より代表的な
ランダムゲノムライブラリーの産生を可能とすることが
期待される。
プロモータースクリーニング剤B:脱硫クラスターのレポ
ーター 適当な代替プロモーターを見いだすために、ベクター
pKAMIが二番目に直接的な「ショットガン」の方法とし
て用いられた(図10図)。Nde Iとそれに適合性のある
4塩基対切断酵素Mse IとBfa Iによって分画されたラン
ダムなゲノムDNA(GPE−362,CPE−648,IGTS8株からのも
の)の挿入部位として機能させるため、Nde I部位をプ
ロモーターのないDszのクラスターの上流に工学技術で
作成した。はじめはこの連結物の混合物は直接GPE−362
細胞に導入して形質転換させ、それからDBTを含む250ml
BSMにその全体を接種した。これらの努力は、唯一の硫
黄源としてDBTを用いる能力のために優位にあるDsz+株
を増幅させるということを目標にして行われた。現在の
ところ、この種の形質転換が14回行われた。これらのう
ち、2回を除きのすべてでDsz+の培養物を産生した。1
1の個々のクローンが単離され特徴が調べられた。これ
らは低レベル(0.6〜1.0mg/L 2−HBP/0D600/hr)で脱硫
特性の構成的発現をすることが可能であった。これら11
のクローンから単離されたプラスミドを制限分析から、
一つ(KB4−3)以外のすべてではpKAMIのバックボーン
の単純な転位であることが明らかとなり、結果としてベ
クターが生んだプロモーターからの余計な発現を引き起
こした。多くのレスキューされたプラスミドは、別々の
連結から生じてきているにもかかわらず、同一の制限パ
ターンを示し、ベクターとして固有の不安定性を示し
た。それはまるで、この種の選別においては、ベクター
のプロモーター配列を利用するpKAMIの転位が強く選別
されているように思われる。
上で述べた選別操作は、このように、プラスミドの転
位を最小限にするために組み込まれたプロモータースク
リーニングの方法を提供した。この方法では、pKAMI/ゲ
ノムライブラリーが最初に大腸菌で増幅され、次いで個
々のJM109コンロニーが一緒にプールされる。プラスミ
ドが抽出され、Dsz−株GPE−362を形質転換させるのに
用いられる。ひとまとめに増やす方法を用いる代わり
に、プラスミドを含む細胞を選別するため、クロラムフ
ェニコールを含む栄養物豊富な培地にGPE362形質転換株
を培養する。結果として生じたコロニーはDBTを加えたB
SMアガロースのプレートにレプリカ培養し、次いで紫外
線による蛍光産生で脱硫活性を確認する。7,000を越え
るGPE−362形質転換株が、この方法でスクリーンされ
た。これらから、DBTを含むBSMプレート上で紫外線によ
る蛍光を産生するものが36個単離された。現在の努力
は、これら36個の形質転換株から工学技術的に作られた
プラスミドの同定と特性解明に焦点が絞られる。
代替プロモーターの工学技術 pTOXI−1の三つのORFの接近した物理的配置は、ORF2
と3のどちらに対してもプロモーターのために十分な空
間を与えない。この事実は、完全なORF2と3が全く活性
を示さないというサブクローン分析の結果と併せて(pE
NOK−2,pENOK−11,pENOK−13を参照)、遺伝子群のこの
クラスターが三つの遺伝子の発現のためのただ一つのプ
ロモーターしか持たないオペロンとして構成されている
ことを示唆している。IGTS8の脱硫特性が硫酸塩で抑制
されるとすれば[キルバンとビーラガ(Kilbane and Bi
elaga),Final Report D.O.E.Contract No.DE−AC22−8
8PC8891(1991)]、このオペロンプロモーターが硫黄
の量によりきつく制御されている可能性がある。脱硫ク
ラスターの分子配置の照明で、代替プロモーターは硫黄
による抑制を除去するために合理的に工学技術によって
作り出し、脱硫遺伝子の発現を上昇させ、そしてそれに
よってDsz+の特性の比活性を上昇させることが可能で
ある。
可能性のある代替プロモーターの例として、ロドコッ
カス ファシアンスからのクロラムフェニコール耐性遺
伝子のプロモーター[デソマーら:Molecular Microbiol
ogy(1992)6(16),2377−2385]、ロドコッカス ロ
ドクロウスからのニトリルヒドラターゼ遺伝子プロモー
ター[コバヤシら:Biochimaca et Biophysica Acta,112
9(1991)23−33]、または「ショットガン」プロモー
ター・プロービング(probing)によってロドコッカス
スピーシーズから単位される他の強いプロモーターと
いった、他の公知のおよび文献記載のプロモーターが含
まれる。他の可能性のある代替プロモーターとしては、
コリネバクテリウム、バチルス、ストレプトマイセスや
それに類似したものといった他のグラム陽性菌からのも
のを含む。
プロモーター工学技術例A:ロドコッカス ファシアンス
由来のクロラムフェニコール耐性遺伝子プロモーターか
らの発現 pSBG−2(図11)。プロモーターのない脱硫クラスタ
ーは、4.0kbのDra I/SnaB I断片としてpTOXI−1から単
離され、そいてpRR−6の唯一の平滑化されたAfl II部
位に連結した。この連結によって、クラスターはクロラ
ムフェニコール耐性遺伝子プロモーターの下流でその耐
性構造遺伝子の上流に挿入された。従って、メッセンジ
ャーRNA(mRNA)の転写は、Dsz遺伝子のクラスターを通
って進行し、耐性遺伝子へと進むはずである。しかしな
がら、形質転換株のロラムフェニコール上での最初の選
別では、形質転換株は生じず、転写のリードスルーが不
十分であったことを示唆している。プラスミドを保持す
るDsz+の形質転換株は、最初に硫黄生体利用性アッセ
イにより、そして第二番目にクロラムフェニコールを含
むプレート上で選別された。IGTS8とは違い、pSBG−2
の形質転換株は、20mM Na2SO4補ったBSM培地中でDBT−
を2−HBPへ変換させることが可能であり、それはプロ
モーターの置換によって硫酸塩による抑制が除かれたこ
とを示す。形質転換株の比活性は、25μg/mLのクロラム
フェニコールを補った栄養豊富な培地(RM)中で16時間
培養したものについて、0.9から1.7mg 2−HBP/L/OD600/
hrの間で測定した。
pSBG−3。ロドコッカスの複製起点は、4.0kbのXba I
断片の除去によってpSBG−2から除かれた。起点がない
ので、形質転換は組み込み(integration)によっての
み得られる。このプラスミドを持ったCPE−648形質転換
株は、クロラムフェニコールを含むRM上で選別され、DB
Tを含むBSMのプレート上でレプリカ培養された。30℃で
18時間インキュベートした後に蛍光で検出することによ
り、2−HBPを産生するコロニーが得られた。
それぞれのORFの個々の発現 最近、それぞれ代替プロモーターで工学技術によって
作られた三つのORFを別々に発現させるという研究が始
められた。これらの研究では、次のことを解明すること
が期待されている:まず、脱硫過程の中で、律速段階の
可能性のあるものはいずれも同定し、克服することであ
る。オペロンの発現の可能性のある極性(polarity)効
果、すなわち下流にあるORF2と3の発現が不十分である
ことが、このような律速の原因となっているかもしれな
い。また、ORF1と2の個々の機能の未解決の問題がある
ので、これらの研究はORF1と2の別々の発現によるDBT
−スルフォンから2−HBPへの変換の再構成を明らかに
することが期待されている。
すべてのORFはPCR増幅とそれに続くサブクローニング
により単離された。典型的なシャイン・ダルガルノ配列
と代替プロモーターの唯一のクローニング部位が、それ
ぞれのORFの上流に工学技術でつくられた。すべてのリ
ーディングフレームの中にある終止コドンは、リードス
ルーを防ぐためにそれぞれのORFの下流に工学技術でつ
くられた。それに加えて、プロモーター/ORF融合体の移
動のための、都合のよい隣接する制限部位が、それぞれ
のプライマーに加えられた。それぞれのORFの増幅に用
いられたプライマーを、下に挙げている。フレーム内の
終止コドンは、星印(*)で印を付けている。pTOXI−
I鋳型DNAと同一の配列は、太字で示している。
サイクリングパラメーターは:1×96℃ 2.0分 25×96℃ 30秒 50℃ 30秒 72℃ 1.0分 それぞれのORFはうまく増幅され、EcoR I断片としてp
UC−19のNde Iの中にサブクローンされた。代替プロモ
ーターは唯一のNde I部位に連結され、その融合体はロ
ドコッカス中での発現のためロドコッカス−大腸菌のシ
ャトルベクターpRR−6へ移される。
Dsz+特性の異種発現 プラスミドpTOXI−1がDsz+特性に必要な遺伝的材料
のすべてを含んでいるかどうかを決定するために、pTOX
I−1の異種発現が、DBTを代謝しない(Dsz−)関連微
生物であるロドコッカス ファシアンス中と、同様にDs
z−ではあるが関連のない微生物の大腸菌中で試みられ
た。
A. ロドコッカス ファシアンス(ATCC12974)、Dsz−
株は、pTXOI−1によって形質転換された。一つの形質
転換株は、DBTを含むBSMプレート上で紫外線による蛍光
を示し、HPLCにより更なる分析で、DBTが基質として供
給されているときに2−HBPの生成をはっきりと示し
た。このように、pTOXI−1には異種のDsz−株をDsz+
の表現型に変換するための十分な情報が含まれている。
B.大腸菌JM109株はまたpTOXI−1によって形質転換さ
れ、最小培地BSM)あるいは栄養豊富な培地(Luria Bro
th)の中で、DBTまたはDBT−スルフォンをそれぞれ基質
としてインキュベートした。どの場合でもHPLC分析で2
−HBPの生成が観察されなかった。グラム陽性遺伝子
は、プロモーターの置換なしには大腸菌中で普遍的発現
可能ではないので、大腸菌が脱硫遺伝子を発現させる能
力のないことは予期しないことではなかった。
脱硫クラスターのプロモーターを置換するために、pT
OXI−1から4.0kbのDra I/SnaB I断片が単離された。こ
の断片はすべての必要な構造遺伝子を含むが、プロモー
ター配列を欠損している。このプロモーターのない脱硫
クラスターは、BamH Iで切断しそしてクレノウで両端を
平滑化した大腸菌の発現ベクターpDR540(Pharmacia,Pi
scataway,NJ)に連結された。その構成は、tacプロモー
ターを脱硫クラスターに融合する。tacプロモーターは
ラクトースレプレッサーの制御下にあり、JM109のよう
laq Iq宿主の中で抑制されている。tacプロモーター
からの発現は、イソプロピルβ−D−チオガラクトピラ
ノシド(IPTG)の添加によって誘導可能である。30℃で
ルーブリアブロスで成長させた、pDRDszを保持するJM10
9の形質転換株は、DBTとインキュベートし、IPTGで誘導
するとDsz+の表現型を示す。1.69mg2HBP/l/OD600/hrも
の高さの比活性が、pDRDszで観察された。形質転換株を
37℃で成長させたときは、活性が非常に減少した。活性
の最高レベルは、誘導の1時間後に観察された。
以上で述べた、関連性を有する及び有さない異種宿主
の両方におけるDsz+特性の発現は、pTOXI−1がDBTの
2−HBPへの変換に必要なすべての遺伝情報を持ってい
ることを示している。
大腸菌での発現の成功により、脱硫クラスターによっ
てコードされる蛋白質の同定および特性解明を可能とす
る、実行可能な系が与えられたことになる。JM109のDsz
+細胞(pDRDsz)からのすべての蛋白質は、単離され、
変性アクリルアミドゲルで調べられた。クーマシー染色
では目新しいバンドは検出されなかった。蛋白質を原形
質膜(periplasmic)、細胞質、膜の成分に細胞分画し
たものもまた、クーマシーで染色されたゲルで分析し
た。ここでも、目新しいバンドは検出されなかった。精
製なしでは、新しく発現した蛋白質は、簡単に検出しバ
ックグラウンドから解明するには明らかに発現量が低す
ぎた。
pDRDszを持つ大腸菌のマキシセル分析 プラスミドDNA上の遺伝子にコードされる蛋白質は、
大腸菌の紫外線照射した細胞中で特異的に放射標識でき
る〔サンカーら(Sancar,et al.),Journal of Bacteri
ology.1979,p.692−693〕。この技術は、マキシセル分
析として知られている。簡単に言えば、プラスミドをも
つJM09等の大腸菌のrec A株を、2×108細胞/mLの密度
までM9CA培地(マニアティスら)中で増殖させた。次い
で、連続的に撹拌しなら細胞を、10cmの距離から0.5Jou
les・m-2・s-1の強さ(fluence rate)でミネラライト
ランプ(Mineralight Lamp)モデルUVG−254(Ultrovil
et Products,inc.,San Gabriel,CA)から紫外線照射に
さらした。細胞は、60,90,120秒間のいずれかでさらさ
れた。細胞はそれから37℃で16時間インキュベートさ
れ、その後M9緩衝液で洗浄し、硫酸塩を含まない最小培
地に懸濁した。37℃での1時間の飢餓の後、[35S]メ
チオニン(>1000Ci/mmol)(NEN Research Products,B
oston,MA)を最終的な濃度が5μCi/mlとなるように加
え、1時間インキュベーションを続けた。細胞は遠心分
離で回収し、蛋白質は細胞を沸騰させる方法(マニアテ
ィスら)で単離した。蛋白質はアクリルアミドゲルで分
離した。泳動後、ゲルを乾燥し、3日間オートラジオグ
ラフィーにかけた。
ベクターpDR540を持つJM109のマキシセルは、ベクタ
ーのマーカーであるガラクトキナーゼ蛋白質のみを示し
た。ベクターpDRDszをもつJM109のマキシセルは、オー
プンリーディングフレーム分析で予想されるように、Ds
z+特性に責任のある三つの蛋白質の予想された分子量
とよく相関する大きさの、三つの新しい蛋白質のバンド
の存在を示した(表3参照)。
マキシセル分析から得られたデータは、このようにpT
OXI−1の三つの予想されたオープンリーディングフレ
ームが脱硫の表現型を構成する三つの構造遺伝子をコー
ドすることを示唆した、 三つの新しいバンドの相対的な強度は、メチオニン残
基の数とそれぞれの蛋白質の転写レベルの両方を反映し
ている。明らかに、一つのメチオニンしか持たないORF
−2は最もかすかなバンドしか示さない。単一のメチオ
ニン残基のみの組み込みに加えて、大腸菌は単一の末端
のメチオニンをプロセシング(process)し、さらにラ
ベルされた蛋白質の量を減少させるかもしれない。従っ
て、ORF−2のバンドの強度が低いのは、おそらく蛋白
質の翻訳の低レベルを厳密に示唆している訳ではない。
興味あることに、プロモーターから最も遠いORF(ORF
−3)は、ORF−1と同程度のレベルで存在するようで
あり、大腸菌で発現させたときにはこのオペロンは極性
効果を示さない。蛋白質レベルに関するより重要な情報
が、プラスミドpTOXI−Iを含むロドコッカス スピー
シーズ宿主の同様なマキシセル分析から得られることが
期待される。それに加えて、上で仮定されたORF−1/ORF
−2ヘテロ二量体の存在は、変性しない条件下で観察で
きるかもしれない。
37 C.F.R.Section 1.821(f)で要求されているよう
に、出願人の代理人はこれによってこの論文形式の本明
細書の中の「配列表」の内容と、コンピューターで解読
可能な形式(ディスク)の「配列表」の内容が同一であ
ることを明言する。
均等物 当業者であれば、単に常識的実験手法を用いて、ここ
に述べた発明の具体的態様に対する多くの均等物を認識
し、また認識し得るであろう。これらの及びそのような
他のすべての均等物は下記のクレームの範疇に含まれる
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:01) (C12N 1/21 C12R 1:19) (72)発明者 コバセビッチ,ブライアン アール. アメリカ合衆国 ワシントン 98115 シアトル,ノースイースト セブンティ ーセカンド ストリート 316 (72)発明者 ヤング,ケビン ディー. アメリカ合衆国 ノースダコタ 58201 グランド フォークス,オーク スト リート 1102 (72)発明者 デノーム,シルビア エイ. アメリカ合衆国 ノースダコタ 58278 トンプソン,ボックス 76シー,アー ル アール ナンバー1 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/09 C12N 9/00 C12Q 1/68 C10G 32/00 C12N 1/21 CA/REGISTRY(STN) WPI/BIOSIS(DIALOG)

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の(a)又は(b)の酵素または酵素
    群をコードするDNA分子。 (a)配列番号2、3および5いずれか記載のアミノ酸
    配列を有する、有機硫黄分子を含む化石燃料を脱硫する
    ことができる酵素または酵素群 (b)配列番号2、3および5いずれか記載のアミノ酸
    配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換もしくは付
    加されたアミノ酸配列からなり、かつ有機硫黄分子を含
    む化石燃料を脱硫することができる酵素または酵素群
  2. 【請求項2】配列番号1または4記載の核酸配列を有す
    る請求項1記載のDNA分子。
  3. 【請求項3】化石燃料を脱硫することができる酵素また
    は酵素群をコードするDNA分子であって、請求項1また
    は2記載のDNA分子の核酸配列とストリンジェントな条
    件下でハイブリダイズする天然由来のDNA分子。
  4. 【請求項4】該化石燃料が石油である請求項1〜3いず
    れか記載のDNA分子。
  5. 【請求項5】ロドコッカス起源である、請求項1〜4い
    ずれか記載のDNA分子。
  6. 【請求項6】DNA分子が、ロドコッカス スピーシーズA
    TCC53968に由来するものである請求項5記載のDNA分
    子。
  7. 【請求項7】請求項1〜6いずれか記載のDNA分子を含
    む組換えDNAベクター。
  8. 【請求項8】DNAプラスミドベクターである、請求項7
    記載の組換えDNAベクター。
  9. 【請求項9】請求項7または8記載の組換えDNAベクタ
    ーを含有する形質転換微生物。
  10. 【請求項10】形質転換細菌である、請求項9記載の形
    質転換微生物。
  11. 【請求項11】下記工程からなる、請求項7または8記
    載の組換えDNAベクターを含有する細胞を用いて有機硫
    黄分子を含む化石燃料を脱硫する方法: a)化石燃料をその細胞と接触させる工程;および b)有機的な炭酸−硫黄結合を触媒的に切断するのに十
    分な条件下で化石燃料と細胞の混合物をインキュベート
    し、これにより化石燃料の有機硫黄含量を減少させる工
    程。
  12. 【請求項12】化石燃料が石油である請求項11記載の化
    石燃料を脱硫する方法。
  13. 【請求項13】請求項1〜6いずれか記載のDNA分子に
    ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが
    できる核酸プローブ。
  14. 【請求項14】配列番号2、3および5いずれか記載の
    アミノ酸配列を有する組換え蛋白質。
  15. 【請求項15】配列番号2、3および5いずれか記載の
    アミノ酸配列を有する、有機硫黄分子を含む化石燃料を
    脱硫することができる酵素群をコードするオペロンを含
    む組換えDNA分子。
  16. 【請求項16】配列番号2、3および5いずれか記載の
    アミノ酸配列を有する、ロドコッカス スピーシーズAT
    CC53968の脱硫経路の1以上の工程を触媒することがで
    きる酵素または酵素群をコードする組換えDNA分子。
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