JP4150763B2 - 脱硫酵素発現抑制遺伝子の特定方法、並びに脱硫酵素の発現抑制を解除された脱硫微生物及びその作出方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、チオフェン類を分解する酵素を生産する微生物において、硫酸塩などを硫黄源として生育させた場合に、硫酸イオンによる脱硫酵素の発現抑制を受けない微生物、及びその作出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油のような炭化水素燃料中には多種類にわたる硫黄化合物が存在しており、環境規制を考慮すると石油中の硫黄含量を低減させる脱硫操作が必要となる。脱硫方法としてはアルカリ洗浄や溶剤脱硫などの方法が知られているが、現在では水素化脱硫が主流となっている。水素化脱硫は、石油留分中の硫黄化合物を触媒の存在下で水素と反応させ、生成した硫化水素を除去することにより、炭化水素燃料中の低硫黄化をはかる方法である。触媒としては、アルミナを担体としたコバルト、モリブデン、ニッケル、タングステンなどの金属触媒が使用される。金属触媒は一般にその基質特異性が低く、多様な種類の硫黄化合物を脱硫し、化石燃料全体の硫黄含量を低下させる目的には適しているが、特定のグループの硫黄化合物に対してはその脱硫効果が不十分である。例えば、脱硫後の軽油中にはなおもアルキル化ベンゾチオフェン、アルキル化ジベンゾチオフェン、アルキルナフトチオフェン、アルキルシクロヘキシルヂベンゾチオフェンなどの種々の複素環式有機硫黄化合物(以下、チオフェン類という)が残存している。
【0003】
このような背景から、微生物を用いてチオフェン類を脱硫する方法について多数検討されている。微生物による脱硫方法は環分解(C-C結合切断)型反応とC-S結合切断型反応とに大別される。C-C結合切断型脱硫活性を有する細菌としては、例えば、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、ベイジリンキア・エスピー(Beijerinckia sp)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、ブレビバクテリウム・エスピー(Brevibacterium sp.)などが知られている(Kertesz, M.A., FEMS Microbiol. Rev. 24, 135-175(1999))。しかし、この反応タイプの場合、油中の他の芳香族分子が攻撃を受け、その結果かなりの炭化水素が液相に移動することになる(Hartdegen, F.J., Coburn. J.M. and Roberts, R.L. Chem. Eng. Progress, 80, 63-67 (1984))。この結果として石油の総熱量単位の低下を招くこととなり、工業的には非効率的な反応である。また、このタイプのジベンゾチオフェン(以下「DBT」という)酸化分解菌は、児玉らが報告しているように、酸化産物として水溶性のチオフェン化合物(主として3-ヒドロキシ-2-ホルミルベンゾチオフェン)を生成することになるが、これは液相から除去するのが困難な物質でもある。
【0004】
一方、C-S結合切断型脱硫反応は、硫黄化合物中のC-S結合を特異的に切断して、硫黄を硫酸塩の形で遊離する反応である。このタイプの脱硫活性を有する細菌としては、例えば、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)CB1株(Isbister, J.D. and Kobylinski, E.A. Microbial desulfurization of coal, Coal Science and Technology, Ser.9, p.627(1985))、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)IGTS8株 (ATCC53968) (Kilbane, J.J. Resources, Conservation and Recycling, 3, 69-70(1990))、ロドコッカス・エリスロポリスKA2-5-1株(Kobayashi, M., Onaka, T., Ishii, Y., Konishi, J., Takaki, M., Okada, H., Ohta, Y., Koizumi, K., Suzuki, M., FEMS Microbiol. Lett. 187, 123-126(2000))。コリネバクテリウム・エスピー(Corynebacterium sp.)SY-1株(Ohmori, T., Monna, L., Saiki, Y. and Kodama, T. Appl. Environ. Microbiol. 58, 911-915(1992))、ブレビバクテリウム・エスピー(Brevibacterium sp.)DO株(van Afferden, M., Schacht, S., Klein, J. and Truper, H.G., Arch. Microbiol. 153, 324-328(1990))や、アースロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)K3b株(Dahlberg, M.D. Third International Symposium on the Biological Processing of Coal, May 4-7, Clearwater Beach, FL, pp.1-10. Electric Power Research Institute, Palo Alto, CA.(1992))などが知られている。これらの中でロドコッカス・エリスロポリスIGTS8株とロドコッカス・エリスロポリスKA2-5-1株はよく調べられたDBT分解菌株であり、これらの菌株はいずれもDBT、すなわちチオフェン類を分解する酵素(脱硫酵素)をコードする遺伝子が同定されている。例えばロドコッカス・エリスロポリスIGTS8株は、DBTの硫黄原子に酸素原子を付加し、ジベンゾチオフェンスルホキシド(DBTO)からジベンゾチオフェンスルホン(DBTO2)を生成し、次いで2'-ヒドロキシビフェニル-2-スルフィン酸塩を経て2-ヒドロキシビフェニル(2-HBP)を生成する反応を行う。ロドコッカス・エリスロポリス IGTS8株によるDBT分解反応は、DBTからDBTOを経てDBTO2への変換を触媒するDszC、DBTO2から2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルフィン酸への変換を触媒するDszA、及び2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルフィン酸から2-HBPへの変換を触媒するDszBの3つの酵素により触媒される(Denome, S., Oldfield., C., Nash, L.J. and Young, K.D., J. Bacteriol., 176:6707-6716, 1994;Gray, K.A., Pogrebinshy, O.S., Mrachko, G.T., Xi, L. Monticello, D.J. and Squires, C.H., Nat Biotechnol., 14:1705-1709, 1996;Oldfield, C., Pogrebinsky, O., Simmonds, J., Olson, E.S. and Kulpa, C.F., Microbiology, 143:2961-2973, 1997)。上記それぞれの酵素をコードする遺伝子はdszC、dszA、及びdszBと呼ばれている。
【0005】
上記の菌株における脱硫酵素の発現調節に関しては、硫酸塩、例えば、硫酸ナトリウムや硫酸カリウムを単一の硫黄源とした培養菌体は脱硫活性が無いか又は微弱であり、DBT又はジメチルスルホキシドのいずれかを硫黄源として培養した菌体は、高活性の脱硫酵素を発現することが分かっている(Li, M.Z., Squires, C.H., Monticello, D.J. and Childs, J.D., J. Bacteriol. 178, 6409-6419 (1996))。しかし、DBT又はジメチルスルホキシドは高価であるため、より安価な硫酸塩を用いて脱硫微生物又は脱硫酵素を生産することができれば、バイオ脱硫の石油精製プロセスへの適用においてコストの低減につながるものと考えられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、脱硫酵素の発現抑制に関与する遺伝子を特定し、硫酸塩を唯一の硫黄源として培養した場合でも脱硫酵素を高発現する脱硫微生物を創製することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、硫酸イオンの存在下にて脱硫酵素の発現を抑制する遺伝子を特定し、該遺伝子の機能を失わせた新規な改変脱硫微生物の創製に成功した。また本発明者らは、この改変微生物が、硫酸塩、すなわち硫酸イオンを唯一の硫黄源として培養した場合でも、脱硫酵素を高レベルで発現できるという知見を得、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(5)を提供する。
(1)チオフェン類を分解する能力を有する微生物の遺伝子をランダムに破壊し、脱硫酵素発現抑制遺伝子が破壊された微生物を選択することを特徴とする脱硫酵素発現抑制遺伝子の特定方法。
上記チオフェン類を分解する能力を有する微生物は、脱硫酵素をコードする遺伝子を有する微生物であってもよいし、又は脱硫酵素をコードする遺伝子が導入された宿主微生物であってもよい。
【0009】
上記脱硫酵素をコードする遺伝子を有する微生物としては、ロドコッカス属、マイコバクテリウム属、ペニバチルス属、アグロバクテリウム属、スフィンゴモナス属、ゴルドナ属、バチルス属若しくはアルスロバクター属に属する微生物又はそれらの脱硫変異株を挙げることができる。ここで、ロドコッカス属に属する微生物としては、ロドコッカス・エリスロポリスKA2-5-1株、ロドコッカス・エリスロポリスIGTS8株、ロドコッカス・エリスロポリスD-1株、ロドコッカス・エリスロポリスH-2株、ロドコッカス・エリスロポリスN1-36株、ロドコッカス・エリスロポリスI-19株、ロドコッカス・エリスロポリスECRD-1株、ロドコッカス・エリスロポリスB1株、ロドコッカス・エリスロポリスSY-1株、ロドコッカス・エリスロポリスUM3株、ロドコッカス・エリスロポリスUM9株又はロドコッカス・エスピーT09株が挙げられる。また、マイコバクテリウム属に属する微生物としてはマイコバクテリウム・エスピーG3株又はマイコバウテリウム・フレイWU-F1株、ペニバチルス属に属する微生物としてはペニバチルス・エスピーA11-1株又はペニバチルス・エスピーA11-2株、アグロバクテリウム属に属する微生物としてはアグロバクテリウム・エスピーMC501株、スフィンゴモナス属に属する微生物としてはスフィンゴモナス・エスピーAD109株、ゴルドナ属に属する微生物としてはゴルドナ・エスピーCYKS1株、バチルス属に属する微生物としてはバチルス・ズブチリスWU-S2B株又はバチルス・リケニホルミスWU-GOR1株、そしてアルスロバクター属に属する微生物としてはアエスロバクター・エスピーDS71株が挙げられる。
【0010】
上記脱硫酵素をコードする遺伝子が導入された宿主微生物において、宿主微生物としては、エシェリキア属若しくはシュードモナス属に属する微生物又はそれらの宿主変異株を使用しうる。ここで、エシェリキア属に属する微生物としては、エシェリキア・コリJM109株、エシェリキア・コリBL21株、エシェリキア・コリDH5α株、エシェリキア・コリHB101株、エシェリキア・コリMV1184株、エシェリキア・コリTG1株又はエシェリキア・コリXL1-Blue株が挙げられる。また、シュードモナス属に属する微生物としては、シュードモナス・プチダATCC13696株、シュードモナス・エルギノサNCIMB9571株、シュードモナス・エルギノサATCC株、シュードモナス・エルギノサIFO3080株又はシュードモナス・フルオレセンスATCC13525株が挙げられる。
また、チオフェン類とは、ジベンゾチオフェン、ベンゾチオフェン、ナフトチオフェン、シクロヘキシルジベンゾチオフェン若しくはこれらの置換体、又はそれらの誘導体、あるいはこれらの任意の組み合わせでありうる。
【0011】
具体的な脱硫酵素発現抑制遺伝子としては、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードするものが挙げられる。
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列により表されるタンパク質
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ硫酸イオンの存在下にて脱硫酵素の発現を抑制する能力を有するタンパク質
また、以下の(c)又は(d)のDNAを含むものを例示することができる。
(c)配列番号1で示される塩基配列からなるDNA
(d)配列番号1で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ硫酸イオンの存在下にて脱硫酵素の発現を抑制する能力を有するタンパク質をコードするDNA
【0012】
(2)チオフェン類を分解する能力を有する微生物の脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を失わせたことを特徴とする改変微生物。
ここで、脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能は、例えば、該遺伝子の破壊により、該遺伝子の欠損若しくは置換により、又は該遺伝子の発現を阻害することにより失わせることができる。
チオフェン類を分解する能力を有する微生物、及びチオフェン類に関しては上述したとおりである。
【0013】
(3)チオフェン類を分解する能力を有する微生物の遺伝子をランダムに破壊して脱硫酵素発現抑制遺伝子が破壊された微生物を選択するか、チオフェン類を分解する能力を有する微生物の脱硫酵素発現抑制遺伝子の全部若しくは一部を破壊若しくは置換するか、又はチオフェン類を分解する能力を有する微生物の脱硫酵素発現抑制遺伝子の発現を阻害することを特徴とする、脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能が失われた改変微生物の作出方法。
上記作出方法において、微生物の遺伝子をランダムに破壊するには、例えばトランスポソームを用いることができる。また、脱硫酵素発現抑制遺伝子の全部又は一部を破壊又は置換するには、例えばトランスポソームを用いる方法、相同組換え法又は部位特異的突然変異誘発法を利用することができる。さらに、脱硫酵素発現抑制遺伝子の発現を阻害するには、例えばアンチセンス法を用いることができる。
【0014】
(4)上記(2)の改変微生物の休止菌体とチオフェン類とを接触させることを特徴とするチオフェン類の分解方法。
ここで分解しうるチオフェン類としては、上述したものが挙げられる。
【0015】
(5)脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を持たない微生物に脱硫酵素をコードする遺伝子を導入することを特徴とする、微生物に脱硫活性を付与する方法。
ここで、脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を持たない微生物は、脱硫酵素発現抑制遺伝子を有さない微生物であってもよいし、又は該遺伝子の機能を失わせた微生物であってもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明は、チオフェン類を分解する能力を有する微生物(以下、「脱硫微生物」という)を用いた脱硫プロセスにおいて、より低コストで脱硫を行うことを目的として完成されたものである。従来、脱硫プロセスにおいて使用されている脱硫微生物は、天然のもの又は人為的に作出されたものであっても、コストの高い硫黄源、例えばDBT等を含む培地で培養した場合にのみ高脱硫活性を示し、低コストである硫酸塩を用いて培養した場合には脱硫活性が低いものであった。本発明者らは、脱硫微生物の脱硫酵素の発現が硫酸塩、すなわち硫酸イオンにより抑制されていることに注目して研究を行った。それにより、硫酸イオンの存在下にて脱硫微生物の脱硫酵素の発現を抑制する遺伝子、すなわち脱硫酵素発現抑制遺伝子を特定し、当該遺伝子の機能を失わせることによって得られる改変微生物を作出することに成功した。本発明の改変微生物は、硫黄源として硫酸塩を用いた場合であっても、脱硫酵素を高発現することができる。「脱硫」とは、一般的には硫黄含有化合物を除去する操作を意味するが、本発明においてはチオフェン類を分解することを意味する。「脱硫酵素」とは、脱硫活性を有する酵素を意味する。また上記「硫酸塩」としては、例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどを例示することができる。
【0018】
本発明の概要は以下の通りである。
1.脱硫酵素発現抑制遺伝子
本発明では、まず、脱硫微生物における脱硫酵素の発現抑制に関与する遺伝子、すなわち脱硫酵素発現抑制遺伝子を特定する。本発明で使用しうる脱硫微生物としては、チオフェン類を分解する能力を有する微生物であれば特に限定されない。例えば、脱硫酵素をコードする遺伝子を含有する微生物としてロドコッカス属、マイコバクテリウム属、ペニバチルス属、アグロバクテリウム属、スフィンゴモナス属、ゴルドナ属、バチルス属又はアルスロバクター属に属する微生物などを使用しうる。ロドコッカス属に属する微生物としては、ロドコッカス・エリスロポリスKA2-5-1株、ロドコッカス・エリスロポリスIGTS8株、ロドコッカス・エリスロポリスD-1株(Ohshiro, T., Hine, Y. and Izumi, Y., FEMS Microbiol. Lett. 118, 341-344(1994))、ロドコッカス・エリスロポリスH-2株(Ohshiro.T.ら、FEMS Microbiol. Lett. 142, 65-70 (1996))、ロドコッカス・エリスロポリスN1-36株(Wang P.ら、Arch. Microbiol., 161, 266-271 (1994))、ロドコッカス・エリスロポリスI-19株(Folsom B.R.ら、Appl. Environ. Microbiol. 65, 4967-4972 (1999))、ロドコッカス・エリスロポリスECRD-1株(Grossman M.J.ら、Appl. Environ. Microbiol. 65, 181-188 (1999))、ロドコッカス・エリスロポリスB1株(Denis-Larose C.ら、Appl. Environ. Microbiol. 63, 2915-2919 (1997))、ロドコッカス・エリスロポリスSY-1株(Omori T.ら、Appl. Environ. Microbiol. 59, 1195-1198 (1995))、ロドコッカス・エリスロポリスUM3株若しくはUM9株(Purdy R.F Curr. Microbiol. 27, 219-222 (1993))、又はロドコッカス・エスピーT09株(Matsui T.ら、Biosci. Biotechnol. Biochem. 64, 596-599 (2000))が挙げられる。また、マイコバクテリウム属に属する微生物としてはマイコバクテリウム・エスピーG3株(Nekodzuka S.ら、Biocatalysis Biotransformation 15, 21-27 (1997))又はマイコバウテリウム・フレイWU-F1株(古屋ら、日本農芸化学会2001年度大会講演要旨集 75, 154(2001))、ペニバチルス属に属する微生物としてはペニバチルス・エスピーA11-1株若しくはA11-2株(特開平10-36859号公報)、アグロバクテリウム属に属する微生物としてはアグロバクテリウム・エスピーMC501株(Constanti M. Enzyme Microb. Technol. 19, 214-219 (1996))、スフィンゴモナス属に属する微生物としてはスフィンゴモナス・エスピーAD109株(WO98/45446号)、ゴルドナ属に属する微生物としてはゴルドナ・エスピーCYKS1株(Rhee S.ら、Appl. Environ. Microbiol. 64, 2327-2332 (1998))、バチルス属に属する微生物としてはバチルス・ズブチリスWU-S2B株(Kirimura K. J. Biosci. Bioeng. 91, 262-266 (2001))又はバチルス・リケニホルミスWU-GOR1株(寄託先:独立行政法人産業技術研究所 特許生物寄託センター、寄託番号FERM P-17899)、そしてアルスロバクター属に属する微生物としてはアエスロバクター・エスピーDS71株(Serbolisca L.ら、Appl. Microbiol, Biotechnol. 52, 122-126 (1999))が挙げられる。これらの菌株のうち、代表的な菌株の寄託番号は以下の通りである。
・ロドコッカス・エリスロポリスKA2-5-1株
寄託先:独立行政法人産業技術研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)、寄託番号FERM P-16277
・ロドコッカス・エリスロポリス IGTS8株
寄託先:ATCC、寄託番号53968
・スフィンゴモナス・エスピー AD109株
寄託先:ATCC、寄託番号55954
・ペニバチルス・エスピー A11-1株
寄託先:独立行政法人産業技術研究所 特許生物寄託センター、寄託番号FERM BP-6025
・ペニバチルス・エスピー A11-2株
寄託先:独立行政法人産業技術研究所 特許生物寄託センター、寄託番号FERM BP-6026
【0019】
また、上記の菌株の脱硫変異株を使用することもできる。「脱硫変異株」とは、脱硫微生物が天然に変異した又は脱硫微生物を人為的に変異させた株であるが、チオフェン類を分解する能力を有するものを意味する。
また、上記の菌株のほかに、本来、脱硫能力を持たない宿主微生物に本願の出願時に常用される遺伝子工学的手法を用いて脱硫酵素をコードする遺伝子を導入することによって創製されたものを使用してもよい。例えば、脱硫酵素をコードする遺伝子を含むベクターDNAを電気パルス法、接合伝達法又はコンピテントセル法などにより宿主微生物に組み込むことにより得ることができる。ここで、宿主として使用しうる微生物は、上記脱硫酵素をコードする遺伝子が導入されて、該遺伝子を発現することが可能な微生物であれば特に制限はない。例えば、エシェリキア属又はシュードモナス属に属する微生物を宿主として使用しうる。エシェリキア属に属する微生物としては、エシェリキア・コリJM109株、エシェリキア・コリBL21株、エシェリキア・コリDH5α株、エシェリキア・コリHB101株、エシェリキア・コリMV1184株、エシェリキア・コリTG1株又はエシェリキア・コリXL1-Blue株など、シュードモナス属に属する微生物としては、シュードモナス・プチダATCC13696株、シュードモナス・エルギノサNCIMB9571株、シュードモナス・エルギノサATCC株、シュードモナス・エルギノサIFO3080株又はシュードモナス・フルオレセンスATCC13525株などが挙げられる。
【0020】
また、上記の菌株の宿主変異株を使用することもできる。「宿主変異株」とは、宿主が天然に変異した又は宿主を人為的に変異させた株であるが、脱硫酵素をコードする遺伝子が導入された場合に、該遺伝子を発現することができるものを意味する。
【0021】
本発明では、上述したような脱硫微生物、すなわちチオフェン類を分解する能力を有する微生物を使用することができる。また、本発明において、「チオフェン類」とは、ジベンゾチオフェン、ベンゾチオフェン、ナフトチオフェン、シクロヘキシルジベンゾチオフェン若しくはこれらの置換体、又はそれらの誘導体、あるいはこれらの任意の組み合わせを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
(1)脱硫酵素発現抑制遺伝子が破壊された微生物の作製及び選択
脱硫酵素発現抑制遺伝子を特定するには、まず上記脱硫微生物の遺伝子をランダムに破壊し、脱硫酵素発現抑制遺伝子が破壊された微生物を選択する。
【0023】
上記脱硫微生物の遺伝子をランダムに破壊する方法としては、遺伝子レベルの変異を導入できるものであれば特に限定されない。本発明においては、例えば、トランスポソームを用いるのが好ましい。トランスポソームはトランスポゾンとトランスポゼースの複合体であり、多くの微生物に遺伝子レベルの変異を容易に導入できるものである(Hoffman, L.M., Jendrisak, J.J., Meis, R.J., Coryshin, I.Y. and Rezhikof, S.W. Genetica, 108, 19-24(2000))。例えば、トランスポソームを用いる方法として、EZ::TNTM<KAN-2>Tnp Transposome(EPICENTRE社製)などを用いる方法が知られている。トランスポゾンを用いる突然変異誘発法は遺伝子解析の強力なツールとして当技術分野で公知である。以下にこの方法について簡単に説明する。
【0024】
トランスポゾンを用いる突然変異誘発法は、宿主生物のゲノム内において新たな位置へ移動(転位)する独特な能力を有する別個のDNAセグメントである転位性遺伝因子を利用するものである。この転位過程は従来の生物の相同的組換系とは異なる。転位性遺伝因子のゲノム部位への挿入は、該因子の末端とその標的部位との間に広範なDNA相同性を必要としない。転位性遺伝因子は、多種の原核生物及び真核生物において発見されており、これらは、存在する遺伝子及びオペロンのコード領域又は調節配列中に挿入して、ヌル突然変異、染色体再構成、及び遺伝子発現の新たなパターンを生じさせることができる。
【0025】
原核生物の転位性遺伝因子は、おおまかに3種の異なるクラスに分けることができる。クラスIは、長さがおよそ800〜1,500bpである挿入配列(IS因子)のような簡単な因子からなる。IS因子は、通常は、トランスポゼースの基質の役割を果たす両末端の反復DNA配列に隣接された転位に必要な酵素(すなわちトランスポゼース)をコードする遺伝子を含む。IS因子は、最初は、腸内細菌のラクトース及びガラクトースを利用するオペロンにおいて同定され、これらの因子は、挿入時にしばしば不安定な極性突然変異を引き起こすことが判明した。
【0026】
クラスIIは、複合の転位性遺伝因子からなる。このクラスのメンバーは、トランスポゾン又はTn因子とも称される。原核生物のトランスポゾンは、複合転位性遺伝因子のクラスとして同定されており、それらの末端部分に直列反復配列又は逆方向反復配列として簡単なIS因子(又はそれらの一部)を含むことも多く、形式上IS因子のように挙動するが、抗生物質耐性遺伝子、重金属耐性遺伝子又は病原性決定遺伝子のような転位機能に関係のない別の遺伝子を保持している。この特定の遺伝子座又はレプリコン(ファージ)へのトランスポゾンの挿入は、例えば遺伝子名::Tn5又はλ::Tn5のように、ダブルコロンを用いて明示される。
【0027】
クラスIIIは、「転位性」バクテリオファージ、例えばMu及びその関連物などを含む。Muファージは、ウイルスでありトランスポゾンでもある。これを、宿主染色体の複数の部位に組込むことができ、その結果突然変異を生じる可能性があることは公知である。
【0028】
上述の転位性遺伝因子を用いるトランスポゾン突然変異誘発法は、以下の特徴を有することが知られている:(A)このような突然変異は、一般にその遺伝子の不活性化につながり、生じたヌル突然変異は比較的安定している。(B)トランスポゾンは、標的とする遺伝子座に新しい遺伝的かつ生理的マーカー、例えば抗生物質耐性遺伝子、新たな制限エンドヌクレアーゼ切断部位、及びDNA-DNAハイブリダイゼーション又は電子顕微鏡によるヘテロ2本鎖の分析のような遺伝学的方法により同定することができる独特なDNA配列などを導入する。これらの遺伝的マーカーは、突然変異した遺伝子座のマッピングに加え、突然変異体のスクリーニングにおいて有用である。(C)トランスポゾンは、例えば欠失、逆位、転位又は重複などの様々なゲノムの再構成を生じさせることができ、標的微生物に特定の遺伝子を導入するのに用いることができる。
【0029】
様々なトランスポゾンが、当技術分野において公知であり、例としてTn3、Tn5、Tn7、Tn9、Tn10、Muファージなどがある。これらの中でTn5は、ほとんど挿入特異性が無いことがわかっており、その大きさは比較的小さい。本発明の実施に際しランダム突然変異誘発での使用という目的のためには、Tn5が好ましい。
【0030】
トランスポゾンによるランダム突然変異誘発法は、プラスミド又はファージベクターを用いた、形質転換、形質導入、接合交配(conjugal mating)又は電気穿孔による、脱硫微生物細胞へのトランスポゾンの導入を含む。得られる突然変異体は、該トランスポゾンによって運搬されたマーカーを用いて、スクリーニングすることができる。受容微生物ゲノムへのトランスポゾンの転位は、使用したベクターを分離(segregation)することにより除去した後に検出することができる。
【0031】
上述のトランスポゾンを受け取った受容菌細胞は、例えば、特定の抗生物質に対する耐性マーカーなどによって選択することができる。Tn5がトランスポゾンとして使用される場合には、通常、Kmr又はNmrマーカーを使用することができる。Kmr又はNmrマーカーの他に、Ter、Gmr、Spr、Apr、Cmrなどの遺伝子マーカーを使用してもよい。lacZ、luxAB又はphoAによってコードされるものなどの、容易に可視化される遺伝子産物を運搬する他のトランスポゾンも使用することができる。
例えば、EZ::TNTM<KAN-2>Tnp Transposomeにより、トランスポゾンを導入したロドコッカス・エリスロポリスKA2-5-1株は、硫酸カナマイシンを約100 mg/l含む寒天LB培地で選択することが可能である。
【0032】
上述のようにして脱硫微生物の遺伝子をランダムに破壊した後に、脱硫酵素発現抑制遺伝子が破壊された微生物を選択するには、硫酸イオンの存在下にてチオフェン類からの脱硫産物であるフェノール化合物の生成能について調べることが好ましい。例えば、チオフェン類がDBTの場合には、その脱硫産物である2-ヒドロキシビフェニル(2-HBP)を特異的に検出することができるGibb's assay(Kayser K.J.ら、J. Gen. Microbiol. 139, 3123-3129 (1993))を利用して当該微生物を選択することができる。また、必要に応じてガスクロマトグラフィーを併せて利用することにより、脱硫産物を容易に検出してもよい。
【0033】
(2)脱硫酵素発現抑制遺伝子の特定
上述の通り、脱硫酵素発現抑制遺伝子が破壊された微生物を得た後に、脱硫酵素発現抑制遺伝子を特定する。上述のように選択した微生物は、脱硫酵素発現抑制遺伝子の同定、及びトランスポゾンで標識された領域のヌクレオチド配列決定に有用である。
【0034】
まず、上述で選択した微生物が実際にトランスポゾンを保持していることを確認するために、通常、プローブとして使用したトランスポゾンを含有する標識したDNA断片を用いてコロニー・ハイブリダイゼーション又はサザン・ハイブリダイゼーションを行う。
【0035】
トランスポゾンによって挿入されたDNA断片は、大腸菌クローニングベクター、好ましくはpUC18、pUC19、pBluescript IIなどのベクター及びトランスポゾンの両方の選択マーカーの表現型を示す微生物を選択することによって、クローニングすることができる。このトランスポゾンに隣接するヌクレオチド配列は、例えばチェーンターミネーション法(Sanger F.S. et al., Proc.Natl.Acad.Sci.,
USA、75:5463-5467(1977))によって決定することができる。
【0036】
一旦ヌクレオチド配列が決定されると、これらは、BLASTPサーチ(Lipman et al., J.Mol.Biol.、215:403-410(1990))のような遺伝子解析プログラムを用い、ヌクレオチド及び/又はタンパク質配列データベースを用いて相同性検索を行うことができる。相同な配列が見つかれば、それらのアミノ酸配列を整列させ、相同なタンパク質の間で保存されたコンセンサス配列を見出すことができる。これらのコンセンサス配列に従って、オリゴヌクレオチドプライマーを合成し、このプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、脱硫酵素発現抑制遺伝子の部分DNAを増幅することができる。
【0037】
PCRで得られた部分遺伝子をプローブとして使用し、サザン・ハイブリダイゼーション及びコロニー・ハイブリダイゼーションにより、全体の脱硫酵素発現抑制遺伝子を得ることができる。サザン・ハイブリダイゼーションにより、該標的遺伝子を含むDNA断片の大きさを明らかにし、目的とする大きさのDNA断片を含むミニ遺伝子ライブラリーを構築することができる。その後、コロニー・ハイブリダイゼーションによって、プローブとして該部分遺伝子を用いてこのミニライブラリーをスクリーニングし、脱硫酵素発現抑制遺伝子全体を得ることができる。続いて、脱硫酵素発現抑制遺伝子の完全なヌクレオチド配列を決定し、そのオープンリーディングフレームを決定することができる。
【0038】
上述のように特定された脱硫酵素の発現抑制に関与する具体的な遺伝子としては、限定するものではないが、(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列により表されるタンパク質、又は(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列により表されるタンパク質から1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ硫酸イオンの存在下にて脱硫酵素の発現を抑制する能力を有するタンパク質、をコードする遺伝子が挙げられる。
【0039】
上記(b)において、硫酸イオンの存在下にて脱硫酵素の発現を抑制する能力を確認するには、硫酸塩を硫黄源として培養した菌体の脱硫酵素活性の測定をOhshiro T.らの方法(Ohshiro T.ら、FEMS Microbiol. Lett. 118, 341-344 (1994))に従って行えばよい。
【0040】
また、脱硫酵素発現抑制に関与する遺伝子としては、(c)配列番号1で示される塩基配列からなるDNA、又は(d)配列番号1で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ硫酸イオンの存在下にて脱硫酵素の発現を抑制する能力を有するタンパク質をコードするDNAを含むものが挙げられる。ここで、「ストリンジェントな条件」とは、配列番号1で示される塩基配列からなるDNAが、DNAの塩基レベルにおいて同一性70%、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上の任意のDNAとハイブリダイゼーション可能な条件を意味する。従って、配列番号1で示される塩基配列に対して必ずしも完全に相補的な塩基配列である必要はない。
【0041】
上記(c)において、硫酸イオンの存在下にて脱硫酵素の発現を抑制する能力の確認には、上述と同様にして行うことができる。
具体的な脱硫酵素発現抑制遺伝子を記載したが、本発明は上記の遺伝子に限定されず、本発明の脱硫酵素発現抑制遺伝子を特定する方法に従って特定されうるあらゆる遺伝子を包含する。
【0042】
2.改変微生物の作出
本発明の改変微生物は、チオフェン類を分解する能力を有する微生物であって、該微生物の脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を失わせたことを特徴とする。脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能は、例えば、▲1▼該遺伝子の破壊により、▲2▼該遺伝子の全部若しくは一部を欠損若しくは置換することにより、又は、▲3▼該遺伝子の発現を阻害することにより失わせることができる。本発明の改変微生物を作出するには、上述のように、脱硫微生物の遺伝子をランダムに破壊して脱硫酵素発現抑制遺伝子が破壊された微生物を選択してもよいし、あるいは、一旦脱硫酵素発現抑制遺伝子が特定されたならば、脱硫微生物の脱硫酵素発現抑制遺伝子の全部又は一部を破壊することができる。また、本発明の改変微生物は、上記脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能が失われていればよく、該遺伝子を他の遺伝子又はDNAと置換したり、アンチセンス法などにより該遺伝子の発現を阻害することによっても作出することができる。
【0043】
脱硫微生物の脱硫酵素発現抑制遺伝子の全部又は一部を破壊又は置換するには、本願の出願時において常用される技術、例えば、トランスポソーム法、相同組換え法、部位特異的突然変異誘発法などを用いることができる。「遺伝子の一部」とは、その一部が破壊又は置換されることによって、当該遺伝子の機能が欠損する領域を指す。
【0044】
トランスポソーム法に関しては上述した通りである。相同組換え法は当業者に公知であり、種々のマニュアルに従って行うことができる。相同組換え法は、最初に、脱硫酵素発現抑制遺伝子の領域のみが適当な塩基配列に置き換えられており、その上流及び下流領域は脱硫酵素発現抑制遺伝子と相同的な塩基配列を有するベクターを作製し、続いてこのようにして作製されたベクターを、例えばエレクトロポレーション法などによって脱硫微生物の細胞に導入することによって行う。
部位特異的突然変異誘発法は、変異導入用キット(例えばMutan-K(TAKARA社製)やMutan-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて行うことができる。
【0045】
脱硫微生物の脱硫酵素発現抑制遺伝子の発現を阻害するには、例えばアンチセンス法などを用いることができる。アンチセンス法は、ターゲットとする脱硫酵素発現抑制遺伝子の配列にアンチセンス配列を特異的に結合させて、ターゲット遺伝子の発現を抑えるというものである。アンチセンス配列は、ターゲット配列の少なくとも一部分に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列である。アンチセンス配列は、細胞mRNA又はゲノムDNAに結合して翻訳又は転写をブロックし、ターゲット遺伝子の発現を阻害するものである。アンチセンス配列は、ターゲット遺伝子の翻訳又は転写をブロックする限り任意の核酸物質を使用することができる。例えば、DNA、RNA、又は任意の核酸擬似物が挙げられる。従って、上述のように特定された脱硫酵素発現抑制遺伝子の一部の配列に相補的となるようにアンチセンス核酸(オリゴヌクレオチド)配列を設計する。
【0046】
設計すべきアンチセンス核酸配列の長さは、脱硫酵素発現抑制遺伝子の発現を阻害し得る限り特に限定されるものではないが、例えば10〜50塩基、好ましくは15〜25塩基である。オリゴヌクレオチドは、公知手法により容易に化学合成することができる。
【0047】
本発明の目的のために、アンチセンスオリゴヌクレオチドの分子類似体も使用することができる。分子類似体は、高安定性、分布特異性などを有するものである。分子類似体には、化学的に反応性である基、例えば鉄結合エチレンジアミン四酢酸をアンチセンスオリゴヌクレオチドに結合させたものが挙げられる。
【0048】
アンチセンス配列を送達するために利用しうるベクターには、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、レトロウイルスなどのRNAウイルスが含まれるが、これらに限定されるものではない。
アンチセンス配列を送達するために使用しうる他の遺伝子送達機構には、コロイド分散系、リポソーム誘導系、人工ウイルスエンベロープなどが含まれる。例えば、送達系は巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、水中油型乳剤、ミセル、混合ミセル、リポソーム等を利用することができる。
【0049】
脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を失わせる方法について記載したが、これらの方法はいずれも当技術分野において周知であり、種々のプロトコールに従って行うことができる。また、本発明においては、上記方法以外にも遺伝子を破壊若しくは欠損、又はその遺伝子の発現を抑制するためのあらゆる方法を使用することができる。
【0050】
上述のようにして得られた本発明の改変微生物の培養は、微生物の通常の培養法に従って行われる。培養の形態は固体培養でも液体培養でもよいが、液体培養が好ましい。培地の炭素源としては利用可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコース、シュクロース、ラクトース、コハク酸、クエン酸などが使用される。窒素源としては利用可能な無機窒素化合物であればよく、例えば、塩化アンモニウムなどが使用される。硫黄源としては硫酸イオンを含む無機化合物、例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどが好ましい。そのほか、リン酸塩、炭酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、モリブデン、タングステン、銅、ビタミン類などが必要に応じて用いられる。培養は、微生物が生育可能である温度、pHで行われ、使用する微生物の最適培養条件で行うのが好ましい。一般的には、培地のpHを適当なpH、例えば、pH6〜8とし、適当な温度、例えば、約30℃にして、振盪又は通気条件下で好気的に行われる。本発明の改変微生物は、上記のように硫酸イオンを硫黄源として培養した場合であっても高い脱硫活性を有するものであり、石油の脱硫に利用することが出来る。
【0051】
3.改変微生物を用いた脱硫プロセス
本発明のチオフェン類の分解方法は、上記の改変微生物を利用して行うことを特徴とするもので、具体的には、上記改変微生物の休止菌体とチオフェン類とを接触させる方法である。この方法は、例えば以下のようにして行われる。
【0052】
まず、休止菌体を調製する。新鮮な培地に種菌を適当量、例えば1〜2容量%接種する。種菌としては、対数増殖期初期から定常期までのいずれかの状態の改変微生物を用いればよく、好ましくは対数増殖期後期のものを用いる。種菌の量は必要に応じて増減することができる。その後、pH6〜9、約30℃にて1〜2日間往復又は回転振盪培養する。また、本発明で使用する培地としてはA培地(Izumi Y.ら、Appl. Environ. Microbiol. 60, 223-226 (1994))を用いるのが好適である。次いで、菌体を分離集菌し、洗浄することにより休止菌体が得られる。休止菌体とは、分裂能力を保持するが、一時的に分裂しない状態にある菌体を指す。集菌は、培養菌体が対数増殖期初期から定常期までのいずれの状態にある時に行ってもよいが、対数増殖期中期から後期の状態にある時に行うのが好ましい。また、集菌は、遠心分離の他、濾過、沈降分離等のいかなる方法で行ってもよい。菌体の洗浄には、生理食塩水、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等のいかなる緩衝液を使用してもよく、また、水を用いて菌体を洗浄することもできる。
【0053】
休止菌体による分解は、休止菌体を適当な緩衝液に懸濁して調製した菌懸濁液に基質であるチオフェン類を添加して反応させることにより行う。緩衝液としては種々の緩衝液を使用できる。緩衝液のpHは特に限定されないが、pH6〜7が好適である。また、緩衝液の代わりに、水や培地等を使用することもできる。菌体懸濁液の濃度は、OD660が1〜10の間が好適であり、必要に応じて増減できる。基質の濃度は、1〜10,000ppm が好適であるが、必要に応じて増減できる。反応は30℃で行うのが好適であるが、そのほかの適当な温度でもよく、また反応時間は1〜2時間が好適であるが、必要に応じて増減できる。また、基質を添加する前に反応温度と同じ温度に反応液を予備加熱してもよい。
【0054】
また、休止菌体による反応は、n-テトラデカン等の有機溶媒を添加した油水2相系で行うこともできる。この場合、使用可能な有機溶媒としては、n-テトラデカンの他、C8〜C20のn-パラフィンやケロシン、軽油、重油などが挙げられる。また、必要に応じて反応液上方の気相を酸素で置換封入してもよい。
分解率の測定は、ガスクロマトグラフィー(GC)、ガスクロマトグラフィー/質量スペクトル分析(GC/MS)などを使用して行うことができる。また、必要に応じて他の分析方法を併せて利用してもよい。
【0055】
4.脱硫活性の付与方法
さらに本発明は、脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を持たない微生物に脱硫活性を付与するものである。すなわち、脱硫酵素発現抑制遺伝子を有さない微生物、又は該遺伝子の機能を失わせた微生物に脱硫酵素をコードする遺伝子を導入することを特徴とする、微生物に脱硫活性を付与する方法である。
【0056】
脱硫酵素発現抑制遺伝子を有さない微生物は、脱硫酵素をコードする遺伝子を導入し、上述したGibb's assayなどの脱硫産物生成能について確認する方法を用いて、硫酸イオンの存在下にて脱硫能力を有するか否かを判定する。硫酸イオンの存在下にて脱硫能力を有する微生物は脱硫酵素発現抑制遺伝子を有さないものとする。
【0057】
また、脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を失わせた微生物としては、本発明の改変微生物を例示することができる。本発明の微生物に脱硫活性を付与する方法において、脱硫酵素をコードする遺伝子を導入する微生物は、脱硫酵素をコードする遺伝子をもともと有するものであってもよいし、該遺伝子を有さないものであってもよい。
【0058】
脱硫酵素をコードする遺伝子の導入は、当技術分野で常用されるあらゆる遺伝子導入法を用いて行うことができる。
脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を持たない微生物に脱硫酵素をコードする遺伝子を導入することによって、該微生物は硫酸イオンの存在下においても脱硫酵素を高発現することができる。
【0059】
本発明を利用することにより、石油等の化石燃料中に含まれるチオフェン類及びこれらの置換体、又はそれらの誘導体中の硫黄を遊離させる際に、培地中に添加する硫黄源として硫酸塩を使用することが可能となり、脱硫プロセスのコスト低減に有用である。
【0060】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0061】
実施例中の遺伝子操作に関連した実験は、主にManiatisらの成書(Sambrook, J., Fritsch, E.F. and Maniatis, T. Molecular Cloning. A laboratory Manual. 2nd. Cold Spring Harbor Labolatory Press, Cold Spring Harbor, NY.(1989))に記述されている方法に従って行った。
【0062】
<実施例1> 硫酸イオンによる脱硫酵素発現の抑制を受けない脱硫微生物の取得
500 ml容三角フラスコに入った滅菌済みのLB培地100 mlにR.エリスロポリス(R. erythropolis)KA2-5-1株を植菌し、測定波長660 nmにおける菌体濁度が約1.0になるまで30℃で培養した。得られた培養液を4℃、8,000 rpmで10分間遠心分離し、沈殿を10%グリセロール水溶液にて2回洗浄し、測定波長660 nmでの濁度が40になるように10%グリセロール水溶液に懸濁した。
【0063】
上記の菌体懸濁液80μlにEPICENTRE社製EZ::TNTM<KAN-2>Tnp Transposomekitのトランスポソーム溶液(トランスポゾン5(以下「Tn5」とする)とトランスポゼースの複合体)1μlを添加し、BIO-RAD社製ジーンパルサーIIを用いて25μF、400Ω、1.5 kV/cmの条件で処理した。処理後にSOC培地0.42 mlを添加し、30℃にて3時間培養を行った。得られた培養液をカナマイシン硫酸塩100 mg/l及び寒天末15 g/lを含むLB培地に塗末し、30℃にて48時間培養した。出現した微生物のコロニーを、0.2 mMDBT及び5.0 mM硫酸ナトリウムを含むA培地を150μlずつ分注した96穴のマイクロプレートに植菌した。30℃で26時間培養した後、培養液に1 M重炭酸ナトリウム溶液30μl及びGibb's試薬(1 gの2, 6ジクロルキノンクロルイミドをエタノールに溶解したもの)20μlを添加し、混合した。約2,000個の変異株についてGibb's assay を用いて2HBPの生成能の有無を検討した結果、強い陽性反応を示す2株の変異株が得られ、これらをMS51株及びMS316株と命名した。
【0064】
MS51株及びMS316株を、0.2 mMDBTのみを硫黄源としたA培地5 ml又は硫黄源として0.2 mMDBT及び5.0 mM硫酸ナトリウムを含むA培地5 mlに植菌し、30℃で26時間培養した。培養液を酢酸エチルで抽出した。培地中の2HBP生成量をガスクロマトグラフィーにより測定したところ、DBTのみを硫黄源として生育させた場合には、野生株、MS51株及びMS316株間で生育及び2HBP生成に差は見られなかった。一方、硫黄源としてDBT及び硫酸ナトリウムを添加して培養した場合には、いずれの菌株においても生育(660 nmにおける吸光度)は2.55〜2.70と差はないものの、2HBPの生成量はMS51株及びMS316株が野生株の約2.5倍であった(図1)。
【0065】
<実施例2> 無細胞抽出液の脱硫活性測定
野生株、MS51株及びMS316株の脱硫酵素発現レベルをタンパク質レベルで比較するために、硫黄源として0.2 mM DBT又は5.0 mM硫酸ナトリウムを含むA培地にて培養した菌体から無細胞抽出液を調製し、脱硫酵素活性を測定した。菌体及び無細胞抽出液の調製は次のように行った。硫黄源として5.0 mM硫酸ナトリウムを含むA培地100 mlが入った500 ml容三角フラスコにて菌体を培養した。培養菌体は4℃、8,000 rpmにて10分間の遠心分離により集菌後、0.85%塩化ナトリウム溶液で1回洗浄し、1.0 mMのジチオトレイトールを含む50 mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)2.0 mlに懸濁し、超音波破砕機(KUBOTA社、INSONATOR 201M)により150 Wで15分間の処理をした。破砕後の菌体は4℃、15,000 rpm、15分間の条件で遠心分離し、上清を無細胞抽出液として用いた。
【0066】
Izumiらの方法(Ohshiro, T., Hine, Y. and Izumi, Y., FEMS Microbiol. Lett. 118, 341-344(1994))に従って、脱硫活性を測定したところ、DBTを硫黄源とした場合には野生株、MS51株又はMS316株のいずれにおいても同レベルの脱硫活性が確認された。一方、硫酸ナトリウムを硫黄源とした場合には、野生株の脱硫活性が0.06 units/mgであったのに対し、MS51株及びMS316株ではそれぞれ、0.42 units/mg及び0.45 units/mgであり、野生株よりも高い活性値が得られた(表1)。なお、この時の脱硫活性1 unitは1分間に1 nmolの2HBPを生成するのに必要な酵素量と定義した。
【0067】
【表1】
【0068】
<実施例3> ウェスタンブロット解析
実施例2で調製した無細胞抽出液を12.5%のポリアクリルアミドゲルを用いたSDS/PAGEにかけ、R.エリスロポリス(R. erythropolis)KA2-5-1株が産生する脱硫酵素であるDszA、DszB及びDsCの抗血清を用いたウェスタンブロット解析を行った。その結果、図2に示すように、DBTを硫黄源とした場合には野生株、MS51株及びMS316株においてDszA、DszB及びDszCの発現量に差は見られなかったが、硫酸ナトリウムを硫黄源とした場合にはMS51株及びMS316株の方が野生株よりもDszA、DszB及びDszCすべての酵素において発現量が高いことが確認された。
【0069】
<実施例4> 脱硫酵素発現抑制遺伝子の取得
MS51株とMS316株をLB培地で30℃にて24時間培養した後、菌体を回収した。得られた菌体からSambrook(前掲)に記載の方法に従って総DNAを抽出し、EcoRIにて完全消化した。消化したDNAはフェノール/クロロフォルム/イソアミルアルコール(24 : 1: 1)抽出、及びエタノール沈殿によって精製し、TaKaRa社DNA Ligation Kit ver. 1を用いてEcoRI消化したpBluescript II KS+(Stratagene社)とライゲーションした。得られたハイブリッドDNAを用いてE. coli DH5α株を形質転換した。形質転換したE. coli DH5α株は25 mg/lの硫酸カナマイシンと50 mg/lのアンピシリンナトリウムとを含む寒天LB培地に塗抹した。37℃で14時間培養した後、数コロニーの出現が確認された。MS51株及びMS316株において、Tn5によって破壊されている脱硫酵素発現抑制遺伝子にはTn5由来のカナマイシン耐性遺伝子が存在していることから、出現したコロニーにはMS51株又はMS316株の脱硫酵素発現抑制遺伝子とTn5とを含むプラスミドが含まれていることが推察される。このようにして得られたクローンはMS51由来のものをpBMS51、MS316由来のものをpBMS316と命名した。
【0070】
<実施例5> 脱硫酵素発現抑制遺伝子の解析
pBMS51及びpBMS316についてDye Termninator Cycle sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いてシーケンシング反応を行い、ABI PRISMTM 310 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)を用いてTn5以外の領域の塩基配列を決定した(配列番号1)。得られた塩基配列はGENETYX-MAC ver. 10(SDC社)にて解析した。
【0071】
pBMS51及びpBMS316のTn5挿入遺伝子近傍領域の解析の結果、MS51とMS316はいずれも、ミコバクテリウム・ツベクロシス(Mycobacterium tuberculosis)及びストレプトミセス・ベネゼエラ(Streptomyces venezuelae)のシスタチオニンβ-シンターゼと一次構造レベルでそれぞれ82%及び70%の相同性を示すオープンリーディングフレーム(ORF)が破壊されていることが明らかとなった。
【0072】
【発明の効果】
本発明により脱硫微生物の作出方法が提供される。本発明は、脱硫に関与する酵素及び微生物の生産における低コスト化に貢献できる。
【0073】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】変異株MS51株及びMS316株による培養系における2HBP生成量を示す。
【図2】硫酸ナトリウム培養菌体の無細胞抽出物のウエスタンブロット解析の結果を示す。レーン1:野生型、レーン2:MS51株、レーン3:MS316株、レーン4:野生型(DBTによる増殖)
Claims (6)
- チオフェン類を分解する能力を有する微生物の脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を失わせた改変微生物であって、該脱硫酵素発現抑制遺伝子が以下の(c)又は(d)のDNAを含むものである、上記改変微生物。
(c)配列番号1で示される塩基配列からなるDNA
(d)配列番号1で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なDNAであって(ただし、ストリンジェントな条件とは配列番号1の塩基配列からなるDNAと同一性90%以上のDNAがハイブリダイズする条件をいう。)、硫酸イオンの存在下にて脱硫酵素の発現を抑制する能力を有する DNA - チオフェン類を分解する能力を有する微生物が、脱硫酵素をコードする遺伝子を有する微生物、又は脱硫酵素をコードする遺伝子が導入された宿主微生物である、請求項1に記載の改変微生物。
- チオフェン類が、ジベンゾチオフェン、ベンゾチオフェン、ナフトチオフェン、又はシクロヘキシルジベンゾチオフェンあるいはこれらの任意の組み合わせである、請求項1又は2に記載の改変微生物。
- 脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を該遺伝子の破壊により失わせたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の改変微生物。
- 脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を該遺伝子の欠損又は置換により失わせたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の改変微生物。
- 脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を該遺伝子の発現を阻害することにより失わせたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の改変微生物。
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JP2003061669A (ja) | 2003-03-04 |
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