JP2003061669A - 脱硫酵素発現抑制遺伝子の特定方法、並びに脱硫酵素の発現抑制を解除された脱硫微生物及びその作出方法 - Google Patents

脱硫酵素発現抑制遺伝子の特定方法、並びに脱硫酵素の発現抑制を解除された脱硫微生物及びその作出方法

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JP2003061669A JP2001254269A JP2001254269A JP2003061669A JP 2003061669 A JP2003061669 A JP 2003061669A JP 2001254269 A JP2001254269 A JP 2001254269A JP 2001254269 A JP2001254269 A JP 2001254269A JP 2003061669 A JP2003061669 A JP 2003061669A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱硫酵素の発現抑制に関与する遺伝子を特定
し、硫酸塩を唯一の硫黄源として培養した場合でも脱硫
酵素を高発現する脱硫微生物を創製する。 【解決手段】 チオフェン類を分解する能力を有する微
生物の遺伝子をランダムに破壊し、脱硫酵素発現抑制遺
伝子が破壊された微生物を選択することを特徴とする脱
硫酵素発現抑制遺伝子の特定方法、並びに、チオフェン
類を分解する能力を有する微生物の脱硫酵素発現抑制遺
伝子の機能を失わせたことを特徴とする改変微生物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チオフェン類を分
解する酵素を生産する微生物において、硫酸塩などを硫
黄源として生育させた場合に、硫酸イオンによる脱硫酵
素の発現抑制を受けない微生物、及びその作出方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】石油のような炭化水素燃料中には多種類
にわたる硫黄化合物が存在しており、環境規制を考慮す
ると石油中の硫黄含量を低減させる脱硫操作が必要とな
る。脱硫方法としてはアルカリ洗浄や溶剤脱硫などの方
法が知られているが、現在では水素化脱硫が主流となっ
ている。水素化脱硫は、石油留分中の硫黄化合物を触媒
の存在下で水素と反応させ、生成した硫化水素を除去す
ることにより、炭化水素燃料中の低硫黄化をはかる方法
である。触媒としては、アルミナを担体としたコバル
ト、モリブデン、ニッケル、タングステンなどの金属触
媒が使用される。金属触媒は一般にその基質特異性が低
く、多様な種類の硫黄化合物を脱硫し、化石燃料全体の
硫黄含量を低下させる目的には適しているが、特定のグ
ループの硫黄化合物に対してはその脱硫効果が不十分で
ある。例えば、脱硫後の軽油中にはなおもアルキル化ベ
ンゾチオフェン、アルキル化ジベンゾチオフェン、アル
キルナフトチオフェン、アルキルシクロヘキシルヂベン
ゾチオフェンなどの種々の複素環式有機硫黄化合物(以
下、チオフェン類という)が残存している。
【0003】このような背景から、微生物を用いてチオ
フェン類を脱硫する方法について多数検討されている。
微生物による脱硫方法は環分解(C-C結合切断)型反応
とC-S結合切断型反応とに大別される。C-C結合切断型脱
硫活性を有する細菌としては、例えば、シュードモナス
・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、ベイジリ
ンキア・エスピー(Beijerinckia sp)、シュードモナ
ス・プチダ(Pseudomonas putida)、ブレビバクテリウ
ム・エスピー(Brevibacterium sp.)などが知られてい
る(Kertesz, M.A., FEMS Microbiol. Rev. 24, 135-17
5(1999))。しかし、この反応タイプの場合、油中の
他の芳香族分子が攻撃を受け、その結果かなりの炭化水
素が液相に移動することになる(Hartdegen, F.J., Cob
urn. J.M. and Roberts, R.L. Chem. Eng. Progress, 8
0, 63-67 (1984))。この結果として石油の総熱量単
位の低下を招くこととなり、工業的には非効率的な反応
である。また、このタイプのジベンゾチオフェン(以下
「DBT」という)酸化分解菌は、児玉らが報告している
ように、酸化産物として水溶性のチオフェン化合物(主
として3-ヒドロキシ-2-ホルミルベンゾチオフェン)を
生成することになるが、これは液相から除去するのが困
難な物質でもある。
【0004】一方、C-S結合切断型脱硫反応は、硫黄化
合物中のC-S結合を特異的に切断して、硫黄を硫酸塩の
形で遊離する反応である。このタイプの脱硫活性を有す
る細菌としては、例えば、シュードモナス・エスピー
(Pseudomonas sp.)CB1株(Isbister, J.D. and Kobyl
inski, E.A. Microbial desulfurization of coal, Coa
lScience and Technology, Ser.9, p.627(1985))、
ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythrop
olis)IGTS8株 (ATCC53968) (Kilbane, J.J. Resource
s, Conservation and Recycling, 3, 69-70(1990))、
ロドコッカス・エリスロポリスKA2-5-1株(Kobayashi,
M., Onaka, T., Ishii, Y., Konishi, J., Takaki, M.,
Okada, H., Ohta, Y., Koizumi, K., Suzuki, M., FEM
S Microbiol.Lett. 187, 123-126(2000))。コリネバ
クテリウム・エスピー(Corynebacterium sp.)SY-1株
(Ohmori, T., Monna, L., Saiki, Y. and Kodama, T.
Appl.Environ. Microbiol. 58, 911-915(1992))、ブ
レビバクテリウム・エスピー(Brevibacterium sp.)DO
株(van Afferden, M., Schacht, S., Klein, J. and
Truper, H.G., Arch. Microbiol. 153, 324-328(199
0))や、アースロバクター・エスピー(Arthrobacter
sp.)K3b株(Dahlberg, M.D. Third International Sym
posium on the Biological Processing of Coal, May 4
-7, ClearwaterBeach, FL, pp.1-10. Electric Power R
esearch Institute, Palo Alto, CA.(1992))などが
知られている。これらの中でロドコッカス・エリスロポ
リスIGTS8株とロドコッカス・エリスロポリスKA2-5-1株
はよく調べられたDBT分解菌株であり、これらの菌株は
いずれもDBT、すなわちチオフェン類を分解する酵素
(脱硫酵素)をコードする遺伝子が同定されている。例
えばロドコッカス・エリスロポリスIGTS8株は、DBTの硫
黄原子に酸素原子を付加し、ジベンゾチオフェンスルホ
キシド(DBTO)からジベンゾチオフェンスルホン(DBTO
2)を生成し、次いで2'-ヒドロキシビフェニル-2-スル
フィン酸塩を経て2-ヒドロキシビフェニル(2-HBP)を
生成する反応を行う。ロドコッカス・エリスロポリス I
GTS8株によるDBT分解反応は、DBTからDBTOを経てDBTO2
への変換を触媒するDszC、DBTO2から2-(2'-ヒドロキシ
フェニル)ベンゼンスルフィン酸への変換を触媒するDsz
A、及び2-(2'-ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルフィン
酸から2-HBPへの変換を触媒するDszBの3つの酵素によ
り触媒される(Denome, S., Oldfield., C., Nash, L.
J. andYoung, K.D., J. Bacteriol., 176:6707-6716, 1
994;Gray, K.A., Pogrebinshy, O.S., Mrachko, G.T.,
Xi, L. Monticello, D.J. and Squires, C.H., Nat Bi
otechnol., 14:1705-1709, 1996;Oldfield, C., Pogre
binsky, O., Simmonds,J., Olson, E.S. and Kulpa, C.
F., Microbiology, 143:2961-2973, 1997)。上記それ
ぞれの酵素をコードする遺伝子はdszC、dszA、及びdszB
と呼ばれている。
【0005】上記の菌株における脱硫酵素の発現調節に
関しては、硫酸塩、例えば、硫酸ナトリウムや硫酸カリ
ウムを単一の硫黄源とした培養菌体は脱硫活性が無いか
又は微弱であり、DBT又はジメチルスルホキシドのいず
れかを硫黄源として培養した菌体は、高活性の脱硫酵素
を発現することが分かっている(Li, M.Z., Squires,C.
H., Monticello, D.J. and Childs, J.D., J. Bacterio
l. 178, 6409-6419(1996))。しかし、DBT又はジメチ
ルスルホキシドは高価であるため、より安価な硫酸塩を
用いて脱硫微生物又は脱硫酵素を生産することができれ
ば、バイオ脱硫の石油精製プロセスへの適用においてコ
ストの低減につながるものと考えられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、脱硫
酵素の発現抑制に関与する遺伝子を特定し、硫酸塩を唯
一の硫黄源として培養した場合でも脱硫酵素を高発現す
る脱硫微生物を創製することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、硫酸イオンの
存在下にて脱硫酵素の発現を抑制する遺伝子を特定し、
該遺伝子の機能を失わせた新規な改変脱硫微生物の創製
に成功した。また本発明者らは、この改変微生物が、硫
酸塩、すなわち硫酸イオンを唯一の硫黄源として培養し
た場合でも、脱硫酵素を高レベルで発現できるという知
見を得、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は以下の(1)〜(5)
を提供する。 (1)チオフェン類を分解する能力を有する微生物の遺
伝子をランダムに破壊し、脱硫酵素発現抑制遺伝子が破
壊された微生物を選択することを特徴とする脱硫酵素発
現抑制遺伝子の特定方法。 上記チオフェン類を分解する能力を有する微生物は、脱
硫酵素をコードする遺伝子を有する微生物であってもよ
いし、又は脱硫酵素をコードする遺伝子が導入された宿
主微生物であってもよい。
【0009】上記脱硫酵素をコードする遺伝子を有する
微生物としては、ロドコッカス属、マイコバクテリウム
属、ペニバチルス属、アグロバクテリウム属、スフィン
ゴモナス属、ゴルドナ属、バチルス属若しくはアルスロ
バクター属に属する微生物又はそれらの脱硫変異株を挙
げることができる。ここで、ロドコッカス属に属する微
生物としては、ロドコッカス・エリスロポリスKA2-5-1
株、ロドコッカス・エリスロポリスIGTS8株、ロドコッ
カス・エリスロポリスD-1株、ロドコッカス・エリスロ
ポリスH-2株、ロドコッカス・エリスロポリスN1-36株、
ロドコッカス・エリスロポリスI-19株、ロドコッカス・
エリスロポリスECRD-1株、ロドコッカス・エリスロポリ
スB1株、ロドコッカス・エリスロポリスSY-1株、ロドコ
ッカス・エリスロポリスUM3株、ロドコッカス・エリス
ロポリスUM9株又はロドコッカス・エスピーT09株が挙げ
られる。また、マイコバクテリウム属に属する微生物と
してはマイコバクテリウム・エスピーG3株又はマイコバ
ウテリウム・フレイWU-F1株、ペニバチルス属に属する
微生物としてはペニバチルス・エスピーA11-1株又はペ
ニバチルス・エスピーA11-2株、アグロバクテリウム属
に属する微生物としてはアグロバクテリウム・エスピー
MC501株、スフィンゴモナス属に属する微生物としては
スフィンゴモナス・エスピーAD109株、ゴルドナ属に属
する微生物としてはゴルドナ・エスピーCYKS1株、バチ
ルス属に属する微生物としてはバチルス・ズブチリスWU
-S2B株又はバチルス・リケニホルミスWU-GOR1株、そし
てアルスロバクター属に属する微生物としてはアエスロ
バクター・エスピーDS71株が挙げられる。
【0010】上記脱硫酵素をコードする遺伝子が導入さ
れた宿主微生物において、宿主微生物としては、エシェ
リキア属若しくはシュードモナス属に属する微生物又は
それらの宿主変異株を使用しうる。ここで、エシェリキ
ア属に属する微生物としては、エシェリキア・コリJM10
9株、エシェリキア・コリBL21株、エシェリキア・コリD
H5α株、エシェリキア・コリHB101株、エシェリキア・
コリMV1184株、エシェリキア・コリTG1株又はエシェリ
キア・コリXL1-Blue株が挙げられる。また、シュードモ
ナス属に属する微生物としては、シュードモナス・プチ
ダATCC13696株、シュードモナス・エルギノサNCIMB9571
株、シュードモナス・エルギノサATCC株、シュードモナ
ス・エルギノサIFO3080株又はシュードモナス・フルオ
レセンスATCC13525株が挙げられる。また、チオフェン
類とは、ジベンゾチオフェン、ベンゾチオフェン、ナフ
トチオフェン、シクロヘキシルジベンゾチオフェン若し
くはこれらの置換体、又はそれらの誘導体、あるいはこ
れらの任意の組み合わせでありうる。
【0011】具体的な脱硫酵素発現抑制遺伝子として
は、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードするも
のが挙げられる。 (a)配列番号2で示されるアミノ酸配列により表され
るタンパク質 (b)配列番号2で示されるアミノ酸配列において1若し
くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列からなり、かつ硫酸イオンの存在下にて脱硫
酵素の発現を抑制する能力を有するタンパク質 また、以下の(c)又は(d)のDNAを含むものを例示す
ることができる。 (c)配列番号1で示される塩基配列からなるDNA (d)配列番号1で示される塩基配列からなるDNAとスト
リンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ硫酸イ
オンの存在下にて脱硫酵素の発現を抑制する能力を有す
るタンパク質をコードするDNA
【0012】(2)チオフェン類を分解する能力を有す
る微生物の脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を失わせたこ
とを特徴とする改変微生物。 ここで、脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能は、例えば、該
遺伝子の破壊により、該遺伝子の欠損若しくは置換によ
り、又は該遺伝子の発現を阻害することにより失わせる
ことができる。チオフェン類を分解する能力を有する微
生物、及びチオフェン類に関しては上述したとおりであ
る。
【0013】(3)チオフェン類を分解する能力を有す
る微生物の遺伝子をランダムに破壊して脱硫酵素発現抑
制遺伝子が破壊された微生物を選択するか、チオフェン
類を分解する能力を有する微生物の脱硫酵素発現抑制遺
伝子の全部若しくは一部を破壊若しくは置換するか、又
はチオフェン類を分解する能力を有する微生物の脱硫酵
素発現抑制遺伝子の発現を阻害することを特徴とする、
脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能が失われた改変微生物の
作出方法。 上記作出方法において、微生物の遺伝子をランダムに破
壊するには、例えばトランスポソームを用いることがで
きる。また、脱硫酵素発現抑制遺伝子の全部又は一部を
破壊又は置換するには、例えばトランスポソームを用い
る方法、相同組換え法又は部位特異的突然変異誘発法を
利用することができる。さらに、脱硫酵素発現抑制遺伝
子の発現を阻害するには、例えばアンチセンス法を用い
ることができる。
【0014】(4)上記(2)の改変微生物の休止菌体
とチオフェン類とを接触させることを特徴とするチオフ
ェン類の分解方法。 ここで分解しうるチオフェン類としては、上述したもの
が挙げられる。
【0015】(5)脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を持
たない微生物に脱硫酵素をコードする遺伝子を導入する
ことを特徴とする、微生物に脱硫活性を付与する方法。 ここで、脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を持たない微生
物は、脱硫酵素発現抑制遺伝子を有さない微生物であっ
てもよいし、又は該遺伝子の機能を失わせた微生物であ
ってもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明は、チオフェン類を分解する能力を
有する微生物(以下、「脱硫微生物」という)を用いた
脱硫プロセスにおいて、より低コストで脱硫を行うこと
を目的として完成されたものである。従来、脱硫プロセ
スにおいて使用されている脱硫微生物は、天然のもの又
は人為的に作出されたものであっても、コストの高い硫
黄源、例えばDBT等を含む培地で培養した場合にのみ高
脱硫活性を示し、低コストである硫酸塩を用いて培養し
た場合には脱硫活性が低いものであった。本発明者ら
は、脱硫微生物の脱硫酵素の発現が硫酸塩、すなわち硫
酸イオンにより抑制されていることに注目して研究を行
った。それにより、硫酸イオンの存在下にて脱硫微生物
の脱硫酵素の発現を抑制する遺伝子、すなわち脱硫酵素
発現抑制遺伝子を特定し、当該遺伝子の機能を失わせる
ことによって得られる改変微生物を作出することに成功
した。本発明の改変微生物は、硫黄源として硫酸塩を用
いた場合であっても、脱硫酵素を高発現することができ
る。「脱硫」とは、一般的には硫黄含有化合物を除去す
る操作を意味するが、本発明においてはチオフェン類を
分解することを意味する。「脱硫酵素」とは、脱硫活性
を有する酵素を意味する。また上記「硫酸塩」として
は、例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどを例示す
ることができる。
【0018】本発明の概要は以下の通りである。 1.脱硫酵素発現抑制遺伝子 本発明では、まず、脱硫微生物における脱硫酵素の発現
抑制に関与する遺伝子、すなわち脱硫酵素発現抑制遺伝
子を特定する。本発明で使用しうる脱硫微生物として
は、チオフェン類を分解する能力を有する微生物であれ
ば特に限定されない。例えば、脱硫酵素をコードする遺
伝子を含有する微生物としてロドコッカス属、マイコバ
クテリウム属、ペニバチルス属、アグロバクテリウム
属、スフィンゴモナス属、ゴルドナ属、バチルス属又は
アルスロバクター属に属する微生物などを使用しうる。
ロドコッカス属に属する微生物としては、ロドコッカス
・エリスロポリスKA2-5-1株、ロドコッカス・エリスロ
ポリスIGTS8株、ロドコッカス・エリスロポリスD-1株
(Ohshiro, T., Hine, Y. and Izumi, Y., FEMS Microb
iol. Lett. 118, 341-344(1994))、ロドコッカス・
エリスロポリスH-2株(Ohshiro.T.ら、FEMS Microbiol.
Lett. 142, 65-70 (1996))、ロドコッカス・エリスロ
ポリスN1-36株(Wang P.ら、Arch. Microbiol., 161, 2
66-271 (1994))、ロドコッカス・エリスロポリスI-19
株(Folsom B.R.ら、Appl. Environ. Microbiol. 65, 4
967-4972 (1999))、ロドコッカス・エリスロポリスECR
D-1株(Grossman M.J.ら、Appl. Environ. Microbiol.
65, 181-188 (1999))、ロドコッカス・エリスロポリス
B1株(Denis-Larose C.ら、Appl. Environ. Microbiol.
63, 2915-2919 (1997))、ロドコッカス・エリスロポ
リスSY-1株(Omori T.ら、Appl. Environ. Microbiol.
59, 1195-1198 (1995))、ロドコッカス・エリスロポリ
スUM3株若しくはUM9株(Purdy R.F Curr. Microbiol. 2
7, 219-222 (1993))、又はロドコッカス・エスピーT09
株(Matsui T.ら、Biosci. Biotechnol. Biochem. 64,
596-599 (2000))が挙げられる。また、マイコバクテリ
ウム属に属する微生物としてはマイコバクテリウム・エ
スピーG3株(Nekodzuka S.ら、BiocatalysisBiotransfo
rmation 15, 21-27 (1997))又はマイコバウテリウム・
フレイWU-F1株(古屋ら、日本農芸化学会2001年度大会
講演要旨集 75, 154(2001))、ペニバチルス属に属する
微生物としてはペニバチルス・エスピーA11-1株若しく
はA11-2株(特開平10-36859号公報)、アグロバクテリ
ウム属に属する微生物としてはアグロバクテリウム・エ
スピーMC501株(Constanti M. Enzyme Microb. Techno
l.19, 214-219 (1996))、スフィンゴモナス属に属する
微生物としてはスフィンゴモナス・エスピーAD109株(W
O98/45446号)、ゴルドナ属に属する微生物としてはゴ
ルドナ・エスピーCYKS1株(Rhee S.ら、Appl. Environ.
Microbiol. 64, 2327-2332 (1998))、バチルス属に属
する微生物としてはバチルス・ズブチリスWU-S2B株(Ki
rimura K. J. Biosci. Bioeng. 91, 262-266 (2001))
又はバチルス・リケニホルミスWU-GOR1株(寄託先:独
立行政法人産業技術研究所 特許生物寄託センター、寄
託番号FERM P-17899)、そしてアルスロバクター属に属
する微生物としてはアエスロバクター・エスピーDS71株
(Serbolisca L.ら、Appl. Microbiol, Biotechnol. 5
2, 122-126 (1999))が挙げられる。これらの菌株のう
ち、代表的な菌株の寄託番号は以下の通りである。 ・ロドコッカス・エリスロポリスKA2-5-1株 寄託先:独立行政法人産業技術研究所 特許生物寄託セ
ンター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第
6)、寄託番号FERM P-16277 ・ロドコッカス・エリスロポリス IGTS8株 寄託先:ATCC、寄託番号53968 ・スフィンゴモナス・エスピー AD109株 寄託先:ATCC、寄託番号55954 ・ペニバチルス・エスピー A11-1株 寄託先:独立行政法人産業技術研究所 特許生物寄託セ
ンター、寄託番号FERM BP-6025 ・ペニバチルス・エスピー A11-2株 寄託先:独立行政法人産業技術研究所 特許生物寄託セ
ンター、寄託番号FERM BP-6026
【0019】また、上記の菌株の脱硫変異株を使用する
こともできる。「脱硫変異株」とは、脱硫微生物が天然
に変異した又は脱硫微生物を人為的に変異させた株であ
るが、チオフェン類を分解する能力を有するものを意味
する。また、上記の菌株のほかに、本来、脱硫能力を持
たない宿主微生物に本願の出願時に常用される遺伝子工
学的手法を用いて脱硫酵素をコードする遺伝子を導入す
ることによって創製されたものを使用してもよい。例え
ば、脱硫酵素をコードする遺伝子を含むベクターDNAを
電気パルス法、接合伝達法又はコンピテントセル法など
により宿主微生物に組み込むことにより得ることができ
る。ここで、宿主として使用しうる微生物は、上記脱硫
酵素をコードする遺伝子が導入されて、該遺伝子を発現
することが可能な微生物であれば特に制限はない。例え
ば、エシェリキア属又はシュードモナス属に属する微生
物を宿主として使用しうる。エシェリキア属に属する微
生物としては、エシェリキア・コリJM109株、エシェリ
キア・コリBL21株、エシェリキア・コリDH5α株、エシ
ェリキア・コリHB101株、エシェリキア・コリMV1184
株、エシェリキア・コリTG1株又はエシェリキア・コリX
L1-Blue株など、シュードモナス属に属する微生物とし
ては、シュードモナス・プチダATCC13696株、シュード
モナス・エルギノサNCIMB9571株、シュードモナス・エ
ルギノサATCC株、シュードモナス・エルギノサIFO3080
株又はシュードモナス・フルオレセンスATCC13525株な
どが挙げられる。
【0020】また、上記の菌株の宿主変異株を使用する
こともできる。「宿主変異株」とは、宿主が天然に変異
した又は宿主を人為的に変異させた株であるが、脱硫酵
素をコードする遺伝子が導入された場合に、該遺伝子を
発現することができるものを意味する。
【0021】本発明では、上述したような脱硫微生物、
すなわちチオフェン類を分解する能力を有する微生物を
使用することができる。また、本発明において、「チオ
フェン類」とは、ジベンゾチオフェン、ベンゾチオフェ
ン、ナフトチオフェン、シクロヘキシルジベンゾチオフ
ェン若しくはこれらの置換体、又はそれらの誘導体、あ
るいはこれらの任意の組み合わせを例示することができ
るが、これらに限定されるものではない。
【0022】(1)脱硫酵素発現抑制遺伝子が破壊され
た微生物の作製及び選択 脱硫酵素発現抑制遺伝子を特定するには、まず上記脱硫
微生物の遺伝子をランダムに破壊し、脱硫酵素発現抑制
遺伝子が破壊された微生物を選択する。
【0023】上記脱硫微生物の遺伝子をランダムに破壊
する方法としては、遺伝子レベルの変異を導入できるも
のであれば特に限定されない。本発明においては、例え
ば、トランスポソームを用いるのが好ましい。トランス
ポソームはトランスポゾンとトランスポゼースの複合体
であり、多くの微生物に遺伝子レベルの変異を容易に導
入できるものである(Hoffman, L.M., Jendrisak, J.
J., Meis, R.J., Coryshin, I.Y. and Rezhikof, S.W.
Genetica, 108, 19-24(2000))。例えば、トランスポ
ソームを用いる方法として、EZ::TNTM<KAN-2>Tnp Trans
posome(EPICENTRE社製)などを用いる方法が知られて
いる。トランスポゾンを用いる突然変異誘発法は遺伝子
解析の強力なツールとして当技術分野で公知である。以
下にこの方法について簡単に説明する。
【0024】トランスポゾンを用いる突然変異誘発法
は、宿主生物のゲノム内において新たな位置へ移動(転
位)する独特な能力を有する別個のDNAセグメントであ
る転位性遺伝因子を利用するものである。この転位過程
は従来の生物の相同的組換系とは異なる。転位性遺伝因
子のゲノム部位への挿入は、該因子の末端とその標的部
位との間に広範なDNA相同性を必要としない。転位性遺
伝因子は、多種の原核生物及び真核生物において発見さ
れており、これらは、存在する遺伝子及びオペロンのコ
ード領域又は調節配列中に挿入して、ヌル突然変異、染
色体再構成、及び遺伝子発現の新たなパターンを生じさ
せることができる。
【0025】原核生物の転位性遺伝因子は、おおまかに
3種の異なるクラスに分けることができる。クラスIは、
長さがおよそ800〜1,500bpである挿入配列(IS因子)のよ
うな簡単な因子からなる。IS因子は、通常は、トランス
ポゼースの基質の役割を果たす両末端の反復DNA配列に
隣接された転位に必要な酵素(すなわちトランスポゼー
ス)をコードする遺伝子を含む。IS因子は、最初は、腸
内細菌のラクトース及びガラクトースを利用するオペロ
ンにおいて同定され、これらの因子は、挿入時にしばし
ば不安定な極性突然変異を引き起こすことが判明した。
【0026】クラスIIは、複合の転位性遺伝因子からな
る。このクラスのメンバーは、トランスポゾン又はTn因
子とも称される。原核生物のトランスポゾンは、複合転
位性遺伝因子のクラスとして同定されており、それらの
末端部分に直列反復配列又は逆方向反復配列として簡単
なIS因子(又はそれらの一部)を含むことも多く、形式
上IS因子のように挙動するが、抗生物質耐性遺伝子、重
金属耐性遺伝子又は病原性決定遺伝子のような転位機能
に関係のない別の遺伝子を保持している。この特定の遺
伝子座又はレプリコン(ファージ)へのトランスポゾン
の挿入は、例えば遺伝子名::Tn5又はλ::Tn5のように、
ダブルコロンを用いて明示される。
【0027】クラスIIIは、「転位性」バクテリオファ
ージ、例えばMu及びその関連物などを含む。Muファージ
は、ウイルスでありトランスポゾンでもある。これを、
宿主染色体の複数の部位に組込むことができ、その結果
突然変異を生じる可能性があることは公知である。
【0028】上述の転位性遺伝因子を用いるトランスポ
ゾン突然変異誘発法は、以下の特徴を有することが知ら
れている:(A)このような突然変異は、一般にその遺
伝子の不活性化につながり、生じたヌル突然変異は比較
的安定している。(B)トランスポゾンは、標的とする
遺伝子座に新しい遺伝的かつ生理的マーカー、例えば抗
生物質耐性遺伝子、新たな制限エンドヌクレアーゼ切断
部位、及びDNA-DNAハイブリダイゼーション又は電子顕
微鏡によるヘテロ2本鎖の分析のような遺伝学的方法に
より同定することができる独特なDNA配列などを導入す
る。これらの遺伝的マーカーは、突然変異した遺伝子座
のマッピングに加え、突然変異体のスクリーニングにお
いて有用である。(C)トランスポゾンは、例えば欠
失、逆位、転位又は重複などの様々なゲノムの再構成を
生じさせることができ、標的微生物に特定の遺伝子を導
入するのに用いることができる。
【0029】様々なトランスポゾンが、当技術分野にお
いて公知であり、例としてTn3、Tn5、Tn7、Tn9、Tn10、
Muファージなどがある。これらの中でTn5は、ほとんど
挿入特異性が無いことがわかっており、その大きさは比
較的小さい。本発明の実施に際しランダム突然変異誘発
での使用という目的のためには、Tn5が好ましい。
【0030】トランスポゾンによるランダム突然変異誘
発法は、プラスミド又はファージベクターを用いた、形
質転換、形質導入、接合交配(conjugal mating)又は電
気穿孔による、脱硫微生物細胞へのトランスポゾンの導
入を含む。得られる突然変異体は、該トランスポゾンに
よって運搬されたマーカーを用いて、スクリーニングす
ることができる。受容微生物ゲノムへのトランスポゾン
の転位は、使用したベクターを分離(segregation)する
ことにより除去した後に検出することができる。
【0031】上述のトランスポゾンを受け取った受容菌
細胞は、例えば、特定の抗生物質に対する耐性マーカー
などによって選択することができる。Tn5がトランスポ
ゾンとして使用される場合には、通常、Kmr又はNmrマー
カーを使用することができる。Kmr又はNmrマーカーの他
に、Ter、Gmr、Spr、Apr、Cmrなどの遺伝子マーカーを
使用してもよい。lacZ、luxAB又はphoAによってコード
されるものなどの、容易に可視化される遺伝子産物を運
搬する他のトランスポゾンも使用することができる。例
えば、EZ::TNTM<KAN-2>Tnp Transposomeにより、トラン
スポゾンを導入したロドコッカス・エリスロポリスKA2-
5-1株は、硫酸カナマイシンを約100 mg/l含む寒天LB培
地で選択することが可能である。
【0032】上述のようにして脱硫微生物の遺伝子をラ
ンダムに破壊した後に、脱硫酵素発現抑制遺伝子が破壊
された微生物を選択するには、硫酸イオンの存在下にて
チオフェン類からの脱硫産物であるフェノール化合物の
生成能について調べることが好ましい。例えば、チオフ
ェン類がDBTの場合には、その脱硫産物である2-ヒドロ
キシビフェニル(2-HBP)を特異的に検出することがで
きるGibb's assay(Kayser K.J.ら、J. Gen. Microbio
l. 139, 3123-3129 (1993))を利用して当該微生物を選
択することができる。また、必要に応じてガスクロマト
グラフィーを併せて利用することにより、脱硫産物を容
易に検出してもよい。
【0033】(2)脱硫酵素発現抑制遺伝子の特定 上述の通り、脱硫酵素発現抑制遺伝子が破壊された微生
物を得た後に、脱硫酵素発現抑制遺伝子を特定する。上
述のように選択した微生物は、脱硫酵素発現抑制遺伝子
の同定、及びトランスポゾンで標識された領域のヌクレ
オチド配列決定に有用である。
【0034】まず、上述で選択した微生物が実際にトラ
ンスポゾンを保持していることを確認するために、通
常、プローブとして使用したトランスポゾンを含有する
標識したDNA断片を用いてコロニー・ハイブリダイゼー
ション又はサザン・ハイブリダイゼーションを行う。
【0035】トランスポゾンによって挿入されたDNA断
片は、大腸菌クローニングベクター、好ましくはpUC1
8、pUC19、pBluescript IIなどのベクター及びトランス
ポゾンの両方の選択マーカーの表現型を示す微生物を選
択することによって、クローニングすることができる。
このトランスポゾンに隣接するヌクレオチド配列は、例
えばチェーンターミネーション法(Sanger F.S. et a
l., Proc.Natl.Acad.Sci.,USA、75:5463-5467(197
7))によって決定することができる。
【0036】一旦ヌクレオチド配列が決定されると、こ
れらは、BLASTPサーチ(Lipman etal., J.Mol.Biol.、2
15:403-410(1990))のような遺伝子解析プログラムを
用い、ヌクレオチド及び/又はタンパク質配列データベ
ースを用いて相同性検索を行うことができる。相同な配
列が見つかれば、それらのアミノ酸配列を整列させ、相
同なタンパク質の間で保存されたコンセンサス配列を見
出すことができる。これらのコンセンサス配列に従っ
て、オリゴヌクレオチドプライマーを合成し、このプラ
イマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、脱
硫酵素発現抑制遺伝子の部分DNAを増幅することができ
る。
【0037】PCRで得られた部分遺伝子をプローブとし
て使用し、サザン・ハイブリダイゼーション及びコロニ
ー・ハイブリダイゼーションにより、全体の脱硫酵素発
現抑制遺伝子を得ることができる。サザン・ハイブリダ
イゼーションにより、該標的遺伝子を含むDNA断片の大
きさを明らかにし、目的とする大きさのDNA断片を含む
ミニ遺伝子ライブラリーを構築することができる。その
後、コロニー・ハイブリダイゼーションによって、プロ
ーブとして該部分遺伝子を用いてこのミニライブラリー
をスクリーニングし、脱硫酵素発現抑制遺伝子全体を得
ることができる。続いて、脱硫酵素発現抑制遺伝子の完
全なヌクレオチド配列を決定し、そのオープンリーディ
ングフレームを決定することができる。
【0038】上述のように特定された脱硫酵素の発現抑
制に関与する具体的な遺伝子としては、限定するもので
はないが、(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列に
より表されるタンパク質、又は(b)配列番号2で示さ
れるアミノ酸配列により表されるタンパク質から1若し
くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
ミノ酸配列からなり、かつ硫酸イオンの存在下にて脱硫
酵素の発現を抑制する能力を有するタンパク質、をコー
ドする遺伝子が挙げられる。
【0039】上記(b)において、硫酸イオンの存在下
にて脱硫酵素の発現を抑制する能力を確認するには、硫
酸塩を硫黄源として培養した菌体の脱硫酵素活性の測定
をOhshiro T.らの方法(Ohshiro T.ら、FEMS Microbio
l. Lett. 118, 341-344 (1994))に従って行えばよい。
【0040】また、脱硫酵素発現抑制に関与する遺伝子
としては、(c)配列番号1で示される塩基配列からな
るDNA、又は(d)配列番号1で示される塩基配列からな
るDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
し、かつ硫酸イオンの存在下にて脱硫酵素の発現を抑制
する能力を有するタンパク質をコードするDNAを含むも
のが挙げられる。ここで、「ストリンジェントな条件」
とは、配列番号1で示される塩基配列からなるDNAが、D
NAの塩基レベルにおいて相同性70%、好ましくは80%以
上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95
%以上の任意のDNAとハイブリダイゼーション可能な条
件を意味する。従って、配列番号1で示される塩基配列
に対して必ずしも完全に相補的な塩基配列である必要は
ない。
【0041】上記(c)において、硫酸イオンの存在下
にて脱硫酵素の発現を抑制する能力の確認には、上述と
同様にして行うことができる。具体的な脱硫酵素発現抑
制遺伝子を記載したが、本発明は上記の遺伝子に限定さ
れず、本発明の脱硫酵素発現抑制遺伝子を特定する方法
に従って特定されうるあらゆる遺伝子を包含する。
【0042】2.改変微生物の作出 本発明の改変微生物は、チオフェン類を分解する能力を
有する微生物であって、該微生物の脱硫酵素発現抑制遺
伝子の機能を失わせたことを特徴とする。脱硫酵素発現
抑制遺伝子の機能は、例えば、該遺伝子の破壊によ
り、該遺伝子の全部若しくは一部を欠損若しくは置換
することにより、又は、該遺伝子の発現を阻害するこ
とにより失わせることができる。本発明の改変微生物を
作出するには、上述のように、脱硫微生物の遺伝子をラ
ンダムに破壊して脱硫酵素発現抑制遺伝子が破壊された
微生物を選択してもよいし、あるいは、一旦脱硫酵素発
現抑制遺伝子が特定されたならば、脱硫微生物の脱硫酵
素発現抑制遺伝子の全部又は一部を破壊することができ
る。また、本発明の改変微生物は、上記脱硫酵素発現抑
制遺伝子の機能が失われていればよく、該遺伝子を他の
遺伝子又はDNAと置換したり、アンチセンス法などによ
り該遺伝子の発現を阻害することによっても作出するこ
とができる。
【0043】脱硫微生物の脱硫酵素発現抑制遺伝子の全
部又は一部を破壊又は置換するには、本願の出願時にお
いて常用される技術、例えば、トランスポソーム法、相
同組換え法、部位特異的突然変異誘発法などを用いるこ
とができる。「遺伝子の一部」とは、その一部が破壊又
は置換されることによって、当該遺伝子の機能が欠損す
る領域を指す。
【0044】トランスポソーム法に関しては上述した通
りである。相同組換え法は当業者に公知であり、種々の
マニュアルに従って行うことができる。相同組換え法
は、最初に、脱硫酵素発現抑制遺伝子の領域のみが適当
な塩基配列に置き換えられており、その上流及び下流領
域は脱硫酵素発現抑制遺伝子と相同的な塩基配列を有す
るベクターを作製し、続いてこのようにして作製された
ベクターを、例えばエレクトロポレーション法などによ
って脱硫微生物の細胞に導入することによって行う。部
位特異的突然変異誘発法は、変異導入用キット(例えば
Mutan-K(TAKARA社製)やMutan-G(TAKARA社製))などを用
いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagene
sis シリーズキットを用いて行うことができる。
【0045】脱硫微生物の脱硫酵素発現抑制遺伝子の発
現を阻害するには、例えばアンチセンス法などを用いる
ことができる。アンチセンス法は、ターゲットとする脱
硫酵素発現抑制遺伝子の配列にアンチセンス配列を特異
的に結合させて、ターゲット遺伝子の発現を抑えるとい
うものである。アンチセンス配列は、ターゲット配列の
少なくとも一部分に特異的にハイブリダイズすることが
できる核酸配列である。アンチセンス配列は、細胞mRNA
又はゲノムDNAに結合して翻訳又は転写をブロックし、
ターゲット遺伝子の発現を阻害するものである。アンチ
センス配列は、ターゲット遺伝子の翻訳又は転写をブロ
ックする限り任意の核酸物質を使用することができる。
例えば、DNA、RNA、又は任意の核酸擬似物が挙げられ
る。従って、上述のように特定された脱硫酵素発現抑制
遺伝子の一部の配列に相補的となるようにアンチセンス
核酸(オリゴヌクレオチド)配列を設計する。
【0046】設計すべきアンチセンス核酸配列の長さ
は、脱硫酵素発現抑制遺伝子の発現を阻害し得る限り特
に限定されるものではないが、例えば10〜50塩基、好ま
しくは15〜25塩基である。オリゴヌクレオチドは、公知
手法により容易に化学合成することができる。
【0047】本発明の目的のために、アンチセンスオリ
ゴヌクレオチドの分子類似体も使用することができる。
分子類似体は、高安定性、分布特異性などを有するもの
である。分子類似体には、化学的に反応性である基、例
えば鉄結合エチレンジアミン四酢酸をアンチセンスオリ
ゴヌクレオチドに結合させたものが挙げられる。
【0048】アンチセンス配列を送達するために利用し
うるベクターには、アデノウイルス、ヘルペスウイル
ス、ワクシニアウイルス、レトロウイルスなどのRNAウ
イルスが含まれるが、これらに限定されるものではな
い。アンチセンス配列を送達するために使用しうる他の
遺伝子送達機構には、コロイド分散系、リポソーム誘導
系、人工ウイルスエンベロープなどが含まれる。例え
ば、送達系は巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロス
フェア、ビーズ、水中油型乳剤、ミセル、混合ミセル、
リポソーム等を利用することができる。
【0049】脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を失わせる
方法について記載したが、これらの方法はいずれも当技
術分野において周知であり、種々のプロトコールに従っ
て行うことができる。また、本発明においては、上記方
法以外にも遺伝子を破壊若しくは欠損、又はその遺伝子
の発現を抑制するためのあらゆる方法を使用することが
できる。
【0050】上述のようにして得られた本発明の改変微
生物の培養は、微生物の通常の培養法に従って行われ
る。培養の形態は固体培養でも液体培養でもよいが、液
体培養が好ましい。培地の炭素源としては利用可能な炭
素化合物であればよく、例えば、グルコース、シュクロ
ース、ラクトース、コハク酸、クエン酸などが使用され
る。窒素源としては利用可能な無機窒素化合物であれば
よく、例えば、塩化アンモニウムなどが使用される。硫
黄源としては硫酸イオンを含む無機化合物、例えば硫酸
ナトリウム、硫酸カリウムなどが好ましい。そのほか、
リン酸塩、炭酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウ
ム、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、モリブデン、タ
ングステン、銅、ビタミン類などが必要に応じて用いら
れる。培養は、微生物が生育可能である温度、pHで行わ
れ、使用する微生物の最適培養条件で行うのが好まし
い。一般的には、培地のpHを適当なpH、例えば、pH6〜8
とし、適当な温度、例えば、約30℃にして、振盪又は通
気条件下で好気的に行われる。本発明の改変微生物は、
上記のように硫酸イオンを硫黄源として培養した場合で
あっても高い脱硫活性を有するものであり、石油の脱硫
に利用することが出来る。
【0051】3.改変微生物を用いた脱硫プロセス 本発明のチオフェン類の分解方法は、上記の改変微生物
を利用して行うことを特徴とするもので、具体的には、
上記改変微生物の休止菌体とチオフェン類とを接触させ
る方法である。この方法は、例えば以下のようにして行
われる。
【0052】まず、休止菌体を調製する。新鮮な培地に
種菌を適当量、例えば1〜2容量%接種する。種菌とし
ては、対数増殖期初期から定常期までのいずれかの状態
の改変微生物を用いればよく、好ましくは対数増殖期後
期のものを用いる。種菌の量は必要に応じて増減するこ
とができる。その後、pH6〜9、約30℃にて1〜2日間
往復又は回転振盪培養する。また、本発明で使用する培
地としてはA培地(Izumi Y.ら、Appl. Environ. Microb
iol. 60, 223-226 (1994))を用いるのが好適である。
次いで、菌体を分離集菌し、洗浄することにより休止菌
体が得られる。休止菌体とは、分裂能力を保持するが、
一時的に分裂しない状態にある菌体を指す。集菌は、培
養菌体が対数増殖期初期から定常期までのいずれの状態
にある時に行ってもよいが、対数増殖期中期から後期の
状態にある時に行うのが好ましい。また、集菌は、遠心
分離の他、濾過、沈降分離等のいかなる方法で行っても
よい。菌体の洗浄には、生理食塩水、リン酸緩衝液、ト
リス緩衝液等のいかなる緩衝液を使用してもよく、ま
た、水を用いて菌体を洗浄することもできる。
【0053】休止菌体による分解は、休止菌体を適当な
緩衝液に懸濁して調製した菌懸濁液に基質であるチオフ
ェン類を添加して反応させることにより行う。緩衝液と
しては種々の緩衝液を使用できる。緩衝液のpHは特に限
定されないが、pH6〜7が好適である。また、緩衝液の
代わりに、水や培地等を使用することもできる。菌体懸
濁液の濃度は、OD660が1〜10の間が好適であり、必
要に応じて増減できる。基質の濃度は、1〜10,000ppm
が好適であるが、必要に応じて増減できる。反応は30℃
で行うのが好適であるが、そのほかの適当な温度でもよ
く、また反応時間は1〜2時間が好適であるが、必要に
応じて増減できる。また、基質を添加する前に反応温度
と同じ温度に反応液を予備加熱してもよい。
【0054】また、休止菌体による反応は、n-テトラデ
カン等の有機溶媒を添加した油水2相系で行うこともで
きる。この場合、使用可能な有機溶媒としては、n-テト
ラデカンの他、C8〜C20のn-パラフィンやケロシン、
軽油、重油などが挙げられる。また、必要に応じて反応
液上方の気相を酸素で置換封入してもよい。分解率の測
定は、ガスクロマトグラフィー(GC)、ガスクロマトグ
ラフィー/質量スペクトル分析(GC/MS)などを使用し
て行うことができる。また、必要に応じて他の分析方法
を併せて利用してもよい。
【0055】4.脱硫活性の付与方法 さらに本発明は、脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を持た
ない微生物に脱硫活性を付与するものである。すなわ
ち、脱硫酵素発現抑制遺伝子を有さない微生物、又は該
遺伝子の機能を失わせた微生物に脱硫酵素をコードする
遺伝子を導入することを特徴とする、微生物に脱硫活性
を付与する方法である。
【0056】脱硫酵素発現抑制遺伝子を有さない微生物
は、脱硫酵素をコードする遺伝子を導入し、上述したGi
bb's assayなどの脱硫産物生成能について確認する方法
を用いて、硫酸イオンの存在下にて脱硫能力を有するか
否かを判定する。硫酸イオンの存在下にて脱硫能力を有
する微生物は脱硫酵素発現抑制遺伝子を有さないものと
する。
【0057】また、脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を失
わせた微生物としては、本発明の改変微生物を例示する
ことができる。本発明の微生物に脱硫活性を付与する方
法において、脱硫酵素をコードする遺伝子を導入する微
生物は、脱硫酵素をコードする遺伝子をもともと有する
ものであってもよいし、該遺伝子を有さないものであっ
てもよい。
【0058】脱硫酵素をコードする遺伝子の導入は、当
技術分野で常用されるあらゆる遺伝子導入法を用いて行
うことができる。脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を持た
ない微生物に脱硫酵素をコードする遺伝子を導入するこ
とによって、該微生物は硫酸イオンの存在下においても
脱硫酵素を高発現することができる。
【0059】本発明を利用することにより、石油等の化
石燃料中に含まれるチオフェン類及びこれらの置換体、
又はそれらの誘導体中の硫黄を遊離させる際に、培地中
に添加する硫黄源として硫酸塩を使用することが可能と
なり、脱硫プロセスのコスト低減に有用である。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明の範囲はこれらの実施例の範囲に限定され
るものではない。
【0061】実施例中の遺伝子操作に関連した実験は、
主にManiatisらの成書(Sambrook,J., Fritsch, E.F. a
nd Maniatis, T. Molecular Cloning. A laboratory Ma
nual. 2nd. Cold Spring Harbor Labolatory Press, Co
ld Spring Harbor, NY.(1989))に記述されている方
法に従って行った。
【0062】<実施例1> 硫酸イオンによる脱硫酵素
発現の抑制を受けない脱硫微生物の取得 500 ml容三角フラスコに入った滅菌済みのLB培地100 ml
にR.エリスロポリス(R. erythropolis)KA2-5-1株を植
菌し、測定波長660 nmにおける菌体濁度が約1.0になる
まで30℃で培養した。得られた培養液を4℃、8,000 rpm
で10分間遠心分離し、沈殿を10%グリセロール水溶液に
て2回洗浄し、測定波長660 nmでの濁度が40になるよう
に10%グリセロール水溶液に懸濁した。
【0063】上記の菌体懸濁液80μlにEPICENTRE社製E
Z::TNTM<KAN-2>Tnp Transposomekitのトランスポソーム
溶液(トランスポゾン5(以下「Tn5」とする)とトラン
スポゼースの複合体)1μlを添加し、BIO-RAD社製ジー
ンパルサーIIを用いて25μF、400Ω、1.5 kV/cmの条件
で処理した。処理後にSOC培地0.42 mlを添加し、30℃に
て3時間培養を行った。得られた培養液をカナマイシン
硫酸塩100 mg/l及び寒天末15 g/lを含むLB培地に塗末
し、30℃にて48時間培養した。出現した微生物のコロニ
ーを、0.2 mMDBT及び5.0 mM硫酸ナトリウムを含むA培地
を150μlずつ分注した96穴のマイクロプレートに植菌し
た。30℃で26時間培養した後、培養液に1 M重炭酸ナト
リウム溶液30μl及びGibb's試薬(1 gの2, 6ジクロルキ
ノンクロルイミドをエタノールに溶解したもの)20μl
を添加し、混合した。約2,000個の変異株についてGibb'
s assay を用いて2HBPの生成能の有無を検討した結果、
強い陽性反応を示す2株の変異株が得られ、これらをMS5
1株及びMS316株と命名した。
【0064】MS51株及びMS316株を、0.2 mMDBTのみを硫
黄源としたA培地5 ml又は硫黄源として0.2 mMDBT及び5.
0 mM硫酸ナトリウムを含むA培地5 mlに植菌し、30℃で2
6時間培養した。培養液を酢酸エチルで抽出した。培地
中の2HBP生成量をガスクロマトグラフィーにより測定し
たところ、DBTのみを硫黄源として生育させた場合に
は、野生株、MS51株及びMS316株間で生育及び2HBP生成
に差は見られなかった。一方、硫黄源としてDBT及び硫
酸ナトリウムを添加して培養した場合には、いずれの菌
株においても生育(660 nmにおける吸光度)は2.55〜2.
70と差はないものの、2HBPの生成量はMS51株及びMS316
株が野生株の約2.5倍であった(図1)。
【0065】<実施例2> 無細胞抽出液の脱硫活性測
定 野生株、MS51株及びMS316株の脱硫酵素発現レベルをタ
ンパク質レベルで比較するために、硫黄源として0.2 mM
DBT又は5.0 mM硫酸ナトリウムを含むA培地にて培養し
た菌体から無細胞抽出液を調製し、脱硫酵素活性を測定
した。菌体及び無細胞抽出液の調製は次のように行っ
た。硫黄源として5.0 mM硫酸ナトリウムを含むA培地100
mlが入った500 ml容三角フラスコにて菌体を培養し
た。培養菌体は4℃、8,000 rpmにて10分間の遠心分離に
より集菌後、0.85%塩化ナトリウム溶液で1回洗浄し、1.
0 mMのジチオトレイトールを含む50 mMリン酸カリウム
緩衝液(pH 7.0)2.0 mlに懸濁し、超音波破砕機(KUBO
TA社、INSONATOR 201M)により150 Wで15分間の処理を
した。破砕後の菌体は4℃、15,000 rpm、15分間の条件
で遠心分離し、上清を無細胞抽出液として用いた。
【0066】Izumiらの方法(Ohshiro, T., Hine, Y. a
nd Izumi, Y., FEMS Microbiol. Lett. 118, 341-344
(1994))に従って、脱硫活性を測定したところ、DBT
を硫黄源とした場合には野生株、MS51株又はMS316株の
いずれにおいても同レベルの脱硫活性が確認された。一
方、硫酸ナトリウムを硫黄源とした場合には、野生株の
脱硫活性が0.06 units/mgであったのに対し、MS51株及
びMS316株ではそれぞれ、0.42 units/mg及び0.45 units
/mgであり、野生株よりも高い活性値が得られた(表
1)。なお、この時の脱硫活性1 unitは1分間に1 nmol
の2HBPを生成するのに必要な酵素量と定義した。
【0067】
【表1】
【0068】<実施例3> ウェスタンブロット解析 実施例2で調製した無細胞抽出液を12.5%のポリアクリ
ルアミドゲルを用いたSDS/PAGEにかけ、R.エリスロポリ
ス(R. erythropolis)KA2-5-1株が産生する脱硫酵素で
あるDszA、DszB及びDsCの抗血清を用いたウェスタンブ
ロット解析を行った。その結果、図2に示すように、DBT
を硫黄源とした場合には野生株、MS51株及びMS316株に
おいてDszA、DszB及びDszCの発現量に差は見られなかっ
たが、硫酸ナトリウムを硫黄源とした場合にはMS51株及
びMS316株の方が野生株よりもDszA、DszB及びDszCすべ
ての酵素において発現量が高いことが確認された。
【0069】<実施例4> 脱硫酵素発現抑制遺伝子の
取得 MS51株とMS316株をLB培地で30℃にて24時間培養した
後、菌体を回収した。得られた菌体からSambrook(前
掲)に記載の方法に従って総DNAを抽出し、EcoRIにて完
全消化した。消化したDNAはフェノール/クロロフォルム
/イソアミルアルコール(24 : 1: 1)抽出、及びエタノ
ール沈殿によって精製し、TaKaRa社DNA Ligation Kit v
er. 1を用いてEcoRI消化したpBluescript II KS+(Stra
tagene社)とライゲーションした。得られたハイブリッ
ドDNAを用いてE. coli DH5α株を形質転換した。形質転
換したE. coli DH5α株は25 mg/lの硫酸カナマイシンと
50 mg/lのアンピシリンナトリウムとを含む寒天LB培地
に塗抹した。37℃で14時間培養した後、数コロニーの出
現が確認された。MS51株及びMS316株において、Tn5によ
って破壊されている脱硫酵素発現抑制遺伝子にはTn5由
来のカナマイシン耐性遺伝子が存在していることから、
出現したコロニーにはMS51株又はMS316株の脱硫酵素発
現抑制遺伝子とTn5とを含むプラスミドが含まれている
ことが推察される。このようにして得られたクローンは
MS51由来のものをpBMS51、MS316由来のものをpBMS316と
命名した。
【0070】<実施例5> 脱硫酵素発現抑制遺伝子の
解析 pBMS51及びpBMS316についてDye Termninator Cycle seq
uencing Kit(AppliedBiosystems社製)を用いてシーケ
ンシング反応を行い、ABI PRISMTM 310 Genetic Analyz
er(Applied Biosystems社製)を用いてTn5以外の領域
の塩基配列を決定した(配列番号1)。得られた塩基配
列はGENETYX-MAC ver. 10(SDC社)にて解析した。
【0071】pBMS51及びpBMS316のTn5挿入遺伝子近傍領
域の解析の結果、MS51とMS316はいずれも、ミコバクテ
リウム・ツベクロシス(Mycobacterium tuberculosis)
及びストレプトミセス・ベネゼエラ(Streptomyces ven
ezuelae)のシスタチオニンβ-シンターゼと一次構造レ
ベルでそれぞれ82%及び70%の相同性を示すオープンリ
ーディングフレーム(ORF)が破壊されていることが明
らかとなった。
【0072】
【発明の効果】本発明により脱硫微生物の作出方法が提
供される。本発明は、脱硫に関与する酵素及び微生物の
生産における低コスト化に貢献できる。
【0073】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> JAPAN COOPERATION CENTER, PETROLEUM <120> A process for idetifying the genes coding for suppression of the e xpression of desulfurization genes <130> P01-0563 <140> <141> <160> 2 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 1386 <212> DNA <213> Rhodococcus erythropolis <220> <221> CDS <222> (1)..(1386) <400> 1 atg cgc atc gcg gaa cac gtc gtc gac ctc atc ggc aac acc cca ctc 48 Met Arg Ile Ala Glu His Val Val Asp Leu Ile Gly Asn Thr Pro Leu 1 5 10 15 gtc aag ctc acg tcc gtc acg ggc gaa aac ttc ggc acg gtg gca gcc 96 Val Lys Leu Thr Ser Val Thr Gly Glu Asn Phe Gly Thr Val Ala Ala 20 25 30 aag gtc gaa tac ctc aac cct ggc ggt agc tcc aag gac cgc atc gcc 144 Lys Val Glu Tyr Leu Asn Pro Gly Gly Ser Ser Lys Asp Arg Ile Ala 35 40 45 gtc aag atg atc gac gca gcc gag gct tcg ggt gaa ctg aag cct ggc 192 Val Lys Met Ile Asp Ala Ala Glu Ala Ser Gly Glu Leu Lys Pro Gly 50 55 60 ggc acc atc gtc gag ccg act tcg ggc aac acc gga atc ggc ttg gca 240 Gly Thr Ile Val Glu Pro Thr Ser Gly Asn Thr Gly Ile Gly Leu Ala 65 70 75 80 ctc gtg gcg caa aag cgt gga tac aag tgc gtt ttc gtc tgc cca gac 288 Leu Val Ala Gln Lys Arg Gly Tyr Lys Cys Val Phe Val Cys Pro Asp 85 90 95 aag gtc agc gaa gac aag cgc aac gtc ctg cgt gcc tac ggc gcc gag 336 Lys Val Ser Glu Asp Lys Arg Asn Val Leu Arg Ala Tyr Gly Ala Glu 100 105 110 gtg gtc gtg tgc ccc acg gcc gtc gca ccg gac aac ccg aac agc tac 384 Val Val Val Cys Pro Thr Ala Val Ala Pro Asp Asn Pro Asn Ser Tyr 115 120 125 tac agc gtc tcc gac cgc ctc acc cgt gag atc ccc ggc gcc tgg aag 432 Tyr Ser Val Ser Asp Arg Leu Thr Arg Glu Ile Pro Gly Ala Trp Lys 130 135 140 ccc aac cag tac tcc aac ccg ggc gga ccg gag agc cac tac gag acc 480 Pro Asn Gln Tyr Ser Asn Pro Gly Gly Pro Glu Ser His Tyr Glu Thr 145 150 155 160 acc ggt ccc gag atc tgg gcc gac acc gac ggc aag atc acg cac ttc 528 Thr Gly Pro Glu Ile Trp Ala Asp Thr Asp Gly Lys Ile Thr His Phe 165 170 175 gtc gcg ggc gtc ggc acc ggc ggc acc atc acc ggc acc ggc cgc tac 576 Val Ala Gly Val Gly Thr Gly Gly Thr Ile Thr Gly Thr Gly Arg Tyr 180 185 190 ctc aag gaa gtt tcg ggc ggc aag gtc aag gtc atc ggc gca gac ccc 624 Leu Lys Glu Val Ser Gly Gly Lys Val Lys Val Ile Gly Ala Asp Pro 195 200 205 gaa ggc tcc gtc tac tcc ggt ggc acc ggt cgc ccg tac ctg gtc gaa 672 Glu Gly Ser Val Tyr Ser Gly Gly Thr Gly Arg Pro Tyr Leu Val Glu 210 215 220 ggc gtc ggc gaa gac ttc tgg ccg tcg gca tac gac ccg tcc atc ccg 720 Gly Val Gly Glu Asp Phe Trp Pro Ser Ala Tyr Asp Pro Ser Ile Pro 225 230 235 240 gac gag atc atc gcc gtc tcg gat gcc gat tcc ttc gag atg acg cgt 768 Asp Glu Ile Ile Ala Val Ser Asp Ala Asp Ser Phe Glu Met Thr Arg 245 250 255 cgc ctc gcc cgc gaa gag gga ctg ctg gtc ggc ggt tcc tgc ggt atg 816 Arg Leu Ala Arg Glu Glu Gly Leu Leu Val Gly Gly Ser Cys Gly Met 260 265 270 gcc gtc gtc gct gcc ctc gaa gta gcc aag cgc gaa ggc ccc gac gct 864 Ala Val Val Ala Ala Leu Glu Val Ala Lys Arg Glu Gly Pro Asp Ala 275 280 285 ctg atc gtc gtc ctc ctc ccg gac ggc ggc cgc ggc tac ctg tcc aag 912 Leu Ile Val Val Leu Leu Pro Asp Gly Gly Arg Gly Tyr Leu Ser Lys 290 295 300 atc ttc aac gat cag tgg atg gcg tcg tac gga ttc ctg cgc acc cca 960 Ile Phe Asn Asp Gln Trp Met Ala Ser Tyr Gly Phe Leu Arg Thr Pro 305 310 315 320 ctc gac ggc aag acc aac gtc ccc acc gtc ggc gac gtc ctg cgc ggc 1008 Leu Asp Gly Lys Thr Asn Val Pro Thr Val Gly Asp Val Leu Arg Gly 325 330 335 aag tcg ggc gag ctg ccg gac ctc gtt cac act cac ccg tcg gag act 1056 Lys Ser Gly Glu Leu Pro Asp Leu Val His Thr His Pro Ser Glu Thr 340 345 350 ctg cgc gac gcg atc gag atc ctg cgc gag tac ggc gtg tcc cag atg 1104 Leu Arg Asp Ala Ile Glu Ile Leu Arg Glu Tyr Gly Val Ser Gln Met 355 360 365 ccc gtc gtc ggt gcg gaa ccg ccg gtc atg gca ggc gag gtc gcc gga 1152 Pro Val Val Gly Ala Glu Pro Pro Val Met Ala Gly Glu Val Ala Gly 370 375 380 agc gtg tcc gag cga gat ctg ctg agc gcg gta ttc gaa ggc cgt gcg 1200 Ser Val Ser Glu Arg Asp Leu Leu Ser Ala Val Phe Glu Gly Arg Ala 385 390 395 400 cac ctt gcg gat tcc gtc gag aag cac atg agc aag ccg ttc ccg ctc 1248 His Leu Ala Asp Ser Val Glu Lys His Met Ser Lys Pro Phe Pro Leu 405 410 415 atc ggt tcc ggc gag ccg gtc tcg gct gcc acg aag gcg ctc ggt gac 1296 Ile Gly Ser Gly Glu Pro Val Ser Ala Ala Thr Lys Ala Leu Gly Asp 420 425 430 acc gac gca ctc atg gtc gtc gac gac ggc aag ccg gtc ggt gtc atc 1344 Thr Asp Ala Leu Met Val Val Asp Asp Gly Lys Pro Val Gly Val Ile 435 440 445 acg cgc cac gat ctc ctg ggt ttc ctg agt tcg gat tcc tga 1386 Thr Arg His Asp Leu Leu Gly Phe Leu Ser Ser Asp Ser 450 455 460 <210> 2 <211> 461 <212> PRT <213> Rhodococcus erythropolis <400> 2 Met Arg Ile Ala Glu His Val Val Asp Leu Ile Gly Asn Thr Pro Leu 1 5 10 15 Val Lys Leu Thr Ser Val Thr Gly Glu Asn Phe Gly Thr Val Ala Ala 20 25 30 Lys Val Glu Tyr Leu Asn Pro Gly Gly Ser Ser Lys Asp Arg Ile Ala 35 40 45 Val Lys Met Ile Asp Ala Ala Glu Ala Ser Gly Glu Leu Lys Pro Gly 50 55 60 Gly Thr Ile Val Glu Pro Thr Ser Gly Asn Thr Gly Ile Gly Leu Ala 65 70 75 80 Leu Val Ala Gln Lys Arg Gly Tyr Lys Cys Val Phe Val Cys Pro Asp 85 90 95 Lys Val Ser Glu Asp Lys Arg Asn Val Leu Arg Ala Tyr Gly Ala Glu 100 105 110 Val Val Val Cys Pro Thr Ala Val Ala Pro Asp Asn Pro Asn Ser Tyr 115 120 125 Tyr Ser Val Ser Asp Arg Leu Thr Arg Glu Ile Pro Gly Ala Trp Lys 130 135 140 Pro Asn Gln Tyr Ser Asn Pro Gly Gly Pro Glu Ser His Tyr Glu Thr 145 150 155 160 Thr Gly Pro Glu Ile Trp Ala Asp Thr Asp Gly Lys Ile Thr His Phe 165 170 175 Val Ala Gly Val Gly Thr Gly Gly Thr Ile Thr Gly Thr Gly Arg Tyr 180 185 190 Leu Lys Glu Val Ser Gly Gly Lys Val Lys Val Ile Gly Ala Asp Pro 195 200 205 Glu Gly Ser Val Tyr Ser Gly Gly Thr Gly Arg Pro Tyr Leu Val Glu 210 215 220 Gly Val Gly Glu Asp Phe Trp Pro Ser Ala Tyr Asp Pro Ser Ile Pro 225 230 235 240 Asp Glu Ile Ile Ala Val Ser Asp Ala Asp Ser Phe Glu Met Thr Arg 245 250 255 Arg Leu Ala Arg Glu Glu Gly Leu Leu Val Gly Gly Ser Cys Gly Met 260 265 270 Ala Val Val Ala Ala Leu Glu Val Ala Lys Arg Glu Gly Pro Asp Ala 275 280 285 Leu Ile Val Val Leu Leu Pro Asp Gly Gly Arg Gly Tyr Leu Ser Lys 290 295 300 Ile Phe Asn Asp Gln Trp Met Ala Ser Tyr Gly Phe Leu Arg Thr Pro 305 310 315 320 Leu Asp Gly Lys Thr Asn Val Pro Thr Val Gly Asp Val Leu Arg Gly 325 330 335 Lys Ser Gly Glu Leu Pro Asp Leu Val His Thr His Pro Ser Glu Thr 340 345 350 Leu Arg Asp Ala Ile Glu Ile Leu Arg Glu Tyr Gly Val Ser Gln Met 355 360 365 Pro Val Val Gly Ala Glu Pro Pro Val Met Ala Gly Glu Val Ala Gly 370 375 380 Ser Val Ser Glu Arg Asp Leu Leu Ser Ala Val Phe Glu Gly Arg Ala 385 390 395 400 His Leu Ala Asp Ser Val Glu Lys His Met Ser Lys Pro Phe Pro Leu 405 410 415 Ile Gly Ser Gly Glu Pro Val Ser Ala Ala Thr Lys Ala Leu Gly Asp 420 425 430 Thr Asp Ala Leu Met Val Val Asp Asp Gly Lys Pro Val Gly Val Ile 435 440 445 Thr Arg His Asp Leu Leu Gly Phe Leu Ser Ser Asp Ser 450 455 460
【図面の簡単な説明】
【図1】変異株MS51株及びMS316株による培養系におけ
る2HBP生成量を示す。
【図2】硫酸ナトリウム培養菌体の無細胞抽出物のウエ
スタンブロット解析の結果を示す。レーン1:野生型、
レーン2:MS51株、レーン3:MS316株、レーン4:野
生型(DBTによる増殖)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12N 1/21 C12R 1:10 C12R 1:32) 1:06 (C12N 1/21 C12R 1:19 C12R 1:125) 1:40 (C12N 1/21 C12R 1:385 C12R 1:10) 1:39 (C12N 1/21 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:06) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 1/21 C12R 1:40) (C12N 1/21 C12R 1:385) (C12N 1/21 C12R 1:39) (72)発明者 田中 靖浩 茨城県つくば市春日2−30−12 グレイス タウンB−101 (72)発明者 丸橋 健司 静岡県清水市袖師町1900 Fターム(参考) 4B024 AA17 CA03 DA05 DA07 DA09 EA04 FA11 FA18 FA20 GA11 GA30 4B065 AA01X AA11X AA13X AA19X AA26X AA36X AA42X AA44X AB01 AB10 AC20 BA02 CA56

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チオフェン類を分解する能力を有する微
    生物の遺伝子をランダムに破壊し、脱硫酵素発現抑制遺
    伝子が破壊された微生物を選択することを特徴とする脱
    硫酵素発現抑制遺伝子の特定方法。
  2. 【請求項2】 脱硫酵素発現抑制遺伝子が以下の(a)
    又は(b)のタンパク質をコードするものである、請求
    項1記載の特定方法。 (a)配列番号2で示されるアミノ酸配列により表され
    るタンパク質 (b)配列番号2で示されるアミノ酸配列において1若し
    くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
    ミノ酸配列からなり、かつ硫酸イオンの存在下にて脱硫
    酵素の発現を抑制する能力を有するタンパク質
  3. 【請求項3】 脱硫酵素発現抑制遺伝子が以下の(c)
    又は(d)のDNAを含むものである、請求項1記載の特定
    方法。 (c)配列番号1で示される塩基配列からなるDNA (d)配列番号1で示される塩基配列からなるDNAとスト
    リンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ硫酸イ
    オンの存在下にて脱硫酵素の発現を抑制する能力を有す
    るタンパク質をコードするDNA
  4. 【請求項4】 チオフェン類を分解する能力を有する微
    生物の脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を失わせたことを
    特徴とする改変微生物。
  5. 【請求項5】 チオフェン類を分解する能力を有する微
    生物が、脱硫酵素をコードする遺伝子を有する微生物、
    又は脱硫酵素をコードする遺伝子が導入された宿主微生
    物である、請求項4記載の改変微生物。
  6. 【請求項6】 脱硫酵素をコードする遺伝子を有する微
    生物が、ロドコッカス属、マイコバクテリウム属、ペニ
    バチルス属、アグロバクテリウム属、スフィンゴモナス
    属、ゴルドナ属、バチルス属若しくはアルスロバクター
    属に属する微生物又はそれらの脱硫変異株である、請求
    項5記載の改変微生物。
  7. 【請求項7】 ロドコッカス属に属する微生物が、ロド
    コッカス・エリスロポリスKA2-5-1株、ロドコッカス・
    エリスロポリスIGTS8株、ロドコッカス・エリスロポリ
    スD-1株、ロドコッカス・エリスロポリスH-2株、ロドコ
    ッカス・エリスロポリスN1-36株、ロドコッカス・エリ
    スロポリスI-19株、ロドコッカス・エリスロポリスECRD
    -1株、ロドコッカス・エリスロポリスB1株、ロドコッカ
    ス・エリスロポリスSY-1株、ロドコッカス・エリスロポ
    リスUM3株、ロドコッカス・エリスロポリスUM9株又はロ
    ドコッカス・エスピーT09株である、請求項6記載の改
    変微生物。
  8. 【請求項8】 マイコバクテリウム属に属する微生物
    が、マイコバクテリウム・エスピーG3株又はマイコバウ
    テリウム・フレイWU-F1株である、請求項6記載の改変
    微生物。
  9. 【請求項9】 ペニバチルス属に属する微生物が、ペニ
    バチルス・エスピーA11-1株又はペニバチルス・エスピ
    ーA11-2株である、請求項6記載の改変微生物。
  10. 【請求項10】 アグロバクテリウム属に属する微生物
    がアグロバクテリウム・エスピーMC501株である、請求
    項6記載の改変微生物。
  11. 【請求項11】 スフィンゴモナス属に属する微生物が
    スフィンゴモナス・エスピーAD109株である、請求項6
    記載の改変微生物。
  12. 【請求項12】 ゴルドナ属に属する微生物がゴルドナ
    ・エスピーCYKS1株である、請求項6記載の改変微生
    物。
  13. 【請求項13】 バチルス属に属する微生物が、バチル
    ス・ズブチリスWU-S2B株又はバチルス・リケニホルミス
    WU-GOR1株である、請求項6記載の改変微生物。
  14. 【請求項14】 アルスロバクター属に属する微生物が
    アエスロバクター・エスピーDS71株である、請求項6記
    載の改変微生物。
  15. 【請求項15】 宿主微生物がエシェリキア属若しくは
    シュードモナス属に属する微生物又はそれらの宿主変異
    株である、請求項5記載の改変微生物。
  16. 【請求項16】 エシェリキア属に属する微生物が、エ
    シェリキア・コリJM109株、エシェリキア・コリBL21
    株、エシェリキア・コリDH5α株、エシェリキア・コリH
    B101株、エシェリキア・コリMV1184株、エシェリキア・
    コリTG1株又はエシェリキア・コリXL1-Blue株である、
    請求項15記載の改変微生物。
  17. 【請求項17】 シュードモナス属に属する微生物が、
    シュードモナス・プチダATCC13696株、シュードモナス
    ・エルギノサNCIMB9571株、シュードモナス・エルギノ
    サATCC株、シュードモナス・エルギノサIFO3080株又は
    シュードモナス・フルオレセンスATCC13525株である、
    請求項15記載の改変微生物。
  18. 【請求項18】 チオフェン類が、ジベンゾチオフェ
    ン、ベンゾチオフェン、ナフトチオフェン、シクロヘキ
    シルジベンゾチオフェン若しくはこれらの置換体、又は
    それらの誘導体、あるいはこれらの任意の組み合わせで
    ある、請求項4〜17のいずれか1項に記載の改変微生
    物。
  19. 【請求項19】 脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を該遺
    伝子の破壊により失わせたものである、請求項4〜18
    のいずれか1項に記載の改変微生物。
  20. 【請求項20】 脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を該遺
    伝子の欠損又は置換により失わせたものである、請求項
    4〜18のいずれか1項に記載の改変微生物。
  21. 【請求項21】 脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を該遺
    伝子の発現を阻害することにより失わせたものである、
    請求項4〜18のいずれか1項に記載の改変微生物。
  22. 【請求項22】 チオフェン類を分解する能力を有する
    微生物の遺伝子をランダムに破壊して脱硫酵素発現抑制
    遺伝子が破壊された微生物を選択するか、チオフェン類
    を分解する能力を有する微生物の脱硫酵素発現抑制遺伝
    子の全部若しくは一部を破壊若しくは置換するか、又は
    チオフェン類を分解する能力を有する微生物の脱硫酵素
    発現抑制遺伝子の発現を阻害することを特徴とする、脱
    硫酵素発現抑制遺伝子の機能が失われた改変微生物の作
    出方法。
  23. 【請求項23】 遺伝子をランダムに破壊する方法がト
    ランスポソームを用いる方法である、請求項22記載の
    作出方法。
  24. 【請求項24】 脱硫酵素発現抑制遺伝子の全部又は一
    部を破壊又は置換する方法が、トランスポソームを用い
    る方法、相同組換え法又は部位特異的突然変異誘発法で
    ある、請求項22記載の作出方法。
  25. 【請求項25】 脱硫酵素発現抑制遺伝子の発現を阻害
    する方法がアンチセンス法である、請求項22記載の作
    出方法。
  26. 【請求項26】 請求項4〜21のいずれか1項に記載
    の改変微生物の休止菌体とチオフェン類とを接触させる
    ことを特徴とするチオフェン類の分解方法。
  27. 【請求項27】 脱硫酵素発現抑制遺伝子の機能を持た
    ない微生物に脱硫酵素をコードする遺伝子を導入するこ
    とを特徴とする、微生物に脱硫活性を付与する方法。
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