JP2978729B2 - グローブボックス内装機器の撤去・更新方法 - Google Patents

グローブボックス内装機器の撤去・更新方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内部が放射性物質で汚
染されているグローブボックスに設置されている大型機
器を、パネルを取り外して撤去・更新し、グローブボッ
クス及びその付帯設備を再利用できるようにする方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、核燃料物質などを取り扱うグロー
ブボックス内に設置してある大きな機器は、主に老朽化
又は研究開発の終了に伴いグローブボックスごと一括撤
去し、新しい設備に更新されてきた。即ち、グローブボ
ックス全体をグリーンハウスで囲って放射性物質を閉じ
込めた状態とし、撤去すべき大型の機器などを、所定の
大きさに切断分離あるいは分解してグリーンハウスの排
出口を通して排出方法である。小さな器具や工具、試薬
などであれば、グローブボックスに設けられている物品
の搬入・搬出ポートを利用して搬入・搬出が行える。し
かし、搬入・搬出ポートを利用できる物品の大きさには
一定の限度があり、大きな機器は利用できず、そのため
上記のような方法が採られてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、グローブボッ
クスごと一括して撤去更新すると、まだ使用可能な設備
(グローブボックスやその付帯設備など)も撤去更新す
ることになり、設備更新にかかるコストが高くなるばか
りでなく、更新に要する工期も長くなる。更に、放射性
廃棄物についても、不燃性廃棄物の発生量が多くなる。
【0004】本発明の目的は、グローブボックス内装機
器の撤去・更新に要する工期の短縮化、コストの低減化
を図り、しかも不燃性廃棄物の発生量を大幅に減少でき
る方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、内部が放射性
物質で汚染されているグローブボックスの着脱可能なパ
ネルの周辺を養生すると共に、該パネルの外側にグリー
ンハウスを設置して前記パネルの周辺部で該グリーンハ
ウスをグローブボックスに気密的に接続し、前記パネル
を取り外して前記グローブボックスの内装機器を撤去あ
るいは更新した後、前記パネル取付部分のグローブボッ
クス内側に内蓋を取り付けてグローブボックス内を密封
し、グリーンハウス内を除染した後、新パネルをグロー
ブボックスの元の位置に外側から気密的に取り付け、グ
リーンハウスを撤去する方法である。そして、グリーン
ハウスを撤去した後、復旧した新パネルの取り付け部分
のリーク試験をガスリークテスト法により行い、リーク
の無いことを確認する。
【0006】
【作用】グローブボックス内に設置されている大型の機
器は、パネルを取り外すことで生じた開口部からグリー
ンハウスに搬出できる。機器が大きすぎる場合には、必
要に応じて機器を分解すればよい。また新しい機器は、
グリーンハウスから前記開口部を通ってグローブボック
ス内に搬入できる。機器の撤去・更新後、新パネルを取
り付けることで、使用可能な状態に戻る。
【0007】
【実施例】図1は本発明に係るグローブボックス内装機
器の撤去・更新方法の手順全体を示すフローチャートで
ある。また図2はパネル取り外し工程の説明図、図3は
新パネル取り付け工程の説明図である。この方法は、内
部が放射性物質で汚染されているグローブボックスに設
置されている対象設備(大型機器など…図示せず)のみ
を撤去・更新し、対象外設備(グローブボックス本体や
その付帯設備など)は再度そのままの状態で使用するも
のである。
【0008】パネル周辺の養生(図2のA参照) まずグローブボックス10の交換対象パネル12の周辺
部をビニルシート14で養生し、パネル取り外し時の汚
染を防止する。具体的には、ビニルシート14をビニル
テープ16等で固定する。交換対象パネル12は、ステ
ンレス鋼板からなり、一部にアクリル樹脂製のグローブ
ボックス内監視窓を有する構造である。その取り付け
は、通しボルトのナット固定である。なお、符号18は
遮蔽パネルを示している。 グリーンハウスの設置(図2のB参照) 次に、交換対象パネル12の外側にグリーンハウス20
を設置し、該交換対象パネル12の周辺部でグリーンハ
ウス20をグローブボックス10に気密的に接続する。
グローブボックス10のパネル12を取り外すと、放射
性物質の包蔵性が無くなるので、事前にそれに代わるも
の(グリーンハウス)を設置するのである。グリーンハ
ウス20内は、グローブボックス10内と同様、フィル
タ22を介して排気ブロワ24で排気することで、減圧
状態を保つ。 パネルの取り外し(図2のC参照) この状態でグローブボックス10の交換対象パネル12
を取り外す。
【0009】交換対象パネル12を取り外したことによ
り、グローブボックス10に開口部26が生じるので、
その開口部26を通して対象設備をグローブボックス1
0からグリーンハウス20に移送する。対象設備が大き
すぎる場合には、予めグローブボックス10内で適当な
大きさに分解しておけばよい。設備更新の場合には、グ
リーンハウス20から前記開口部26を通してグローブ
ボックス10内に新規設備を搬入し、設置する。
【0010】内蓋の取り付け(図3のA参照) その後、グローブボックス10の開口部にグローブボッ
クス内側から内蓋30を取り付け、グローブボックス1
0内を密封する。内蓋30は、廃棄処分が容易なよう
に、ここでは発泡スチロール樹脂製である。取り付け
は、取り外しを考慮し、両面粘着テープ32とビニルテ
ープ34とで行う。この内蓋30は、グリーンハウス2
0の除染に先立ち、グローブボックス10との縁切りを
するために、グローブボックス10とグリーンハウス2
0の境界に施す間仕切りである。このようにして内蓋3
0を取り付けた後、グリーンハウス20内の除染を行
い、汚染密度をコントロールする。 新パネルの取り付け(図3のB参照) 取り外したパネルではなく、新パネル36を製作して、
グローブボックス10の外側から元の位置に気密的に取
り付ける。新パネル36の取り付けは、パッキン38を
介して固定ボルト40とナットにより行う。 グリーンハウスの撤去(図3のC参照) グローブボックス10の放射性物質の包蔵性の回復に伴
い、不要となったグリーンハウスを撤去する。
【0011】グリーンハウスを撤去した後、復旧した新
パネル接続部分のリーク試験をガスリークテスト法によ
り行い、リークの無いことを確認する。なおリーク試験
に先立ち、取り付けられてある内蓋は作業の障害となる
ために取り外しておく。この内蓋の取り外しは、グロー
ブ作業によって行う。即ち、取り付け時に固定したビニ
ルテープを取り除き、内蓋をグローブボックス内へ取り
外す。
【0012】ガスリークテスト法の概念を図4に示し、
その詳細を図5に示す。グローブボックスのリークを測
定する方法には、漏れなし容器法とガスリークテスト法
の2種類があり、新設グローブボックスの場合は漏れな
し容器法で測定している。しかし、漏れなし容器法で
は、漏れ率測定のために排気系を切り離し、グローブボ
ックスを密閉にしなければならず、負圧が保たれないた
めに使用中(グローブボックス内部が汚染されている)
のグローブボックスの測定には適用できない。そこでパ
ネル交換後のリーク試験はガスリークテスト法によって
行う。
【0013】ガスリークテスト法では、グローブボック
ス10内を通常の負圧状態(−30mmH2 O)に保ちな
がら、グローブボックス10の新パネル36の外側をビ
ニルシート42で覆い、その中にフレオンガスボンベ4
4から供給したフレオンガスで充満する。そしてグロー
ブボックス10内のガスリークディテクタ感応部46を
新パネル36の接続部分に合わせて移動しながら漏れを
検出し、ガスリークディテクタ制御部48で制御し測定
する。このガスリーク測定には、市販されているハロゲ
ンリークディテクタが使用できる。
【0014】交換を行ったパネルは、寸法が1m×2m
であり、そのパネルで構成する容積は2.0m3 とな
る。ガスリーク試験の結果は、1×10-5 atm・cc/se
c 以下であった。これを漏れなし容器法のリーク率に換
算すると、使用したガスリークディテクタ感応部の吸引
ノズルは50mmをカバーするので、パネルの全周が6m
であるから、全周の漏れ率は2.2×10-4 Vol・%/
hrとなる。この値は、グローブボックスの漏れ率基準値
0.1 Vol・%/hrを十分満足する。
【0015】グローブボックスごと一括撤去する方法
(従来方法)とパネル取り外しによる方法(本発明方
法)について比較評価した結果を表1に示す。評価項目
は工期と廃棄物量である。また括弧内の数字は、不燃性
廃棄物の量を示している。この場合、工期を約25%短
縮でき、廃棄物量は約40%でき、特に不燃性廃棄物に
ついては約80%も大幅に減少できた。
【0016】
【表1】
【0017】
【発明の効果】本発明は上記のように、グローブボック
スのパネルを取り外して内装機器のみを撤去・更新する
方法であるので、従来のようにグローブボックスごと一
括撤去する場合に比べて、工期を短縮できコストを削減
できるばかりでなく、放射性廃棄物の発生量、特に不燃
性廃棄物の発生量を著しく低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の作業手順を示すフローチャート。
【図2】パネルの取り外し工程の説明図。
【図3】パネルの取り付け工程の説明図。
【図4】ガスリークテスト法の概念図。
【図5】ガスリーク試験の要部説明図。
【符号の説明】
10 グローブボックス 12 交換対象パネル 20 グリーンハウス 30 内蓋 36 新パネル 42 ビニルシート 44 フレオンガスボンベ 46 ガスリークディテクタ感応部 48 ガスリークディテクタ制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−58497(JP,A) 特開 昭56−27699(JP,A) 実開 昭58−160397(JP,U) 実開 昭64−48700(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21F 7/04 G21F 7/00 G21F 7/047 G21F 9/00 G21F 9/30 G21F 7/005

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部が放射性物質で汚染されているグロ
    ーブボックスの着脱可能なパネルの周辺を養生すると共
    に、該パネルの外側にグリーンハウスを設置して前記パ
    ネルの周辺部で該グリーンハウスをグローブボックスに
    気密的に接続し、前記パネルを取り外して前記グローブ
    ボックスの内装機器を撤去あるいは更新した後、前記パ
    ネル取付部分のグローブボックス内側に内蓋を取り付け
    てグローブボックス内を密封し、グリーンハウス内を除
    染した後、新パネルをグローブボックスの元の位置に外
    側から気密的に取り付け、グリーンハウスを撤去するこ
    とを特徴とするグローブボックス内装機器の撤去・更新
    方法。
  2. 【請求項2】 グリーンハウスを撤去した後、復旧した
    新パネルの取り付け部分のリーク試験をガスリークテス
    ト法により行い、リークの無いことを確認する請求項1
    記載の方法。
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