JP2977777B2 - コンクリート壁の吹付施工方法 - Google Patents

コンクリート壁の吹付施工方法

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JP2977777B2
JP2977777B2 JP9036429A JP3642997A JP2977777B2 JP 2977777 B2 JP2977777 B2 JP 2977777B2 JP 9036429 A JP9036429 A JP 9036429A JP 3642997 A JP3642997 A JP 3642997A JP 2977777 B2 JP2977777 B2 JP 2977777B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新設又は既設の山
岳や道水路等のトンネル、法面、橋梁上下部工等の土木
構造物及びビル等の建築物等のコンクリート壁を構築す
る際の吹付施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、トンネル工事に於いて
は、山からの流水や浸透水等によって掘削面が濡れてい
る場合が多く、かかる掘削面へコンクリート壁を構築す
ることは困難である。また、既存のコンクリート壁の補
修に於いては、当該壁面又はコンクリート壁を除去した
面が濡れている場合が多く、かかる補修面へ新たなコン
クリート壁を構築することは困難である。
【0003】そこで、特公平2−27299号、特公平
4−14229号等の公報に記載されているように、セ
メント及びアクリル酸塩又はメタクリル酸塩の水溶液の
何れかに酸化剤を含有した組成物を掘削面や補修面(以
下、「施工面」という)に吹付けてコンクリート壁を構
築する吹付施工方法が知られている。
【0004】この組成物を用いて吹付け施工すれば、施
工面に多量の水が付着していても接着性が良く、且つ3
0秒以下で硬化するので、施工面が濡れている所でコン
クリート壁を構築する際には特に好適なものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の施工方法にあっては、極めて短時間で相当の圧縮
・曲げ強度が得られるという利点があるが、脆性破壊
(「脆性破壊」とは、「材料が変形を生じないで破壊す
ること」をいう)を生じる虞があるという問題点があ
る。
【0006】即ち、従来の施工方法を用いたコンクリー
ト壁は、瞬間的に硬化して施工面に強力に接着し、且つ
圧縮強度等をも十分に得られる反面、長い年月の間にコ
ンクリートに引張力が加わることにより一気に破壊する
危険性があるという問題点を有しており、破壊前の兆候
が外見上もわからないのである。
【0007】さらに、1回の吹付けで30mm以上の厚塗り
をすることができず、数回に分けて吹付け作業を行なわ
なければならないという問題点があった。
【0008】また、従来の施工方法にあっては、施工面
から出る流水や浸透水等の処理がなされていないので、
施工後、構築されたコンクリート壁と施工面との間に水
が滞留したり、或いは、コンクリート壁から漏水を生ず
るという問題点があった。
【0009】本発明は、上記の如き従来の問題点に鑑み
てなされたもので、従来の施工方法の利点を保持しつ
つ、一回の吹付け作業で厚塗り可能で、且つ構築された
コンクリート壁の脆性破壊を防止でき、併せて、施工面
から出る水をコンクリート壁内部に滞留させないコンク
リート壁の吹付施工方法を提供すること課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたもので、その課題を解決するため
の手段は、施工面11に沿って防水塗膜を形成しうる樹脂
を吹付施工することにより防水層18を形成し、該防水層
18に沿って炭素繊維の網状体からなる補強材12を布設し
た後、セメントと炭素繊維からなる繊維片とが混合され
た主材と、アクリル酸塩又はメタクリル酸塩の水溶液
と、前記主材又は水溶液の少なくとも何れか一方に重合
触媒を加え、前記主材と水溶液とをノズル内部で混合し
て一体化しながら吹付けてコンクリート壁15を構築す
吹付施工方法にある
【0011】本発明の吹付施工方法によれば、アクリル
酸塩又はメタクリル酸塩の水溶液と、前記主材又は水溶
液の少なくとも何れか一方に重合触媒を加え、前記主材
と水溶液とをノズル内部で混合して一体化しながら吹付
け施工することにより、従来と同様に施工面11に水分が
付着していても施工面11に強力に接着し、且つ樹脂水溶
液と重合触媒とが瞬間的にセメントを硬化させてコンク
リート壁15が構築されることとなる。
【0012】さらに、本発明に於いては、セメントに繊
維片が混合されているので、セメント粒子間を繊維片が
補助的に連結することとなるから、垂れを起こし難く、
従って、30mm以下は勿論のこと、30mm以上(例えば、 1
00mm〜150m)の厚塗りも一回の吹付施工で構築すること
ができ、又、圧縮・曲げ強度が長期間安定的に持続す
る。特に、本発明に於いては、炭素繊維からなる繊維片
が用いられているので、引張強度に優れ、水の存在にっ
て生ずる錆等による劣化を起こし難い。
【0013】また、施工後、長い年月の間にコンクリー
ト壁の断面に小さな亀裂が生じても、コンクリート壁内
の繊維片が互いに亀裂断面を連結するから脆性破壊を起
こし難い。
【0014】加えて、炭素繊維からなる繊維片の連結に
よってその亀裂断面を生じた箇所は、ゆっくり破壊され
ることとなる。即ち、コンクリート壁に作用する力を構
造物が変形することによって耐久するから、破壊する前
に膨らみ、その後、破壊されるという靱性破壊性を有す
ることとなる。尚、前記繊維片は、請求項2記載のよう
に、セメントと骨材の混合物に対して1〜5%(体積百
分率)の範囲で混合するのが好ましい。
【0015】さらに、施工面11に沿って防水層18を形成
した後、アクリル酸塩又はメタクリル酸塩の水溶液と、
前記主材又は水溶液の少なくとも何れか一方に重合触媒
を加え、前記主材と水溶液とをノズル内部で混合して一
体化しながら吹付施工してコンクリート壁15を構築すれ
ば、施工後、施工面11から出る水は、防水シート16によ
ってコンクリート壁15内に浸透することはない。
【0016】かかる防水層18を形成する他の施工方法と
して、防水塗膜を形成しうる樹脂を吹付施工する手段が
用いられているので、前記補強材12を施工面11にアンカ
ーを介して止着する場合に於いて、予めアンカーを施工
面11に打設した後、樹脂吹付にて防水層18を形成するこ
ともでき、アンカーと防水層18との目地を埋める養生が
不要である。
【0017】また、前記補強材12は、炭素繊維の網状体
からなるので、錆び等の劣化がなく且つ強度もあるの
で、長期間コンクリート壁を補強する意味で好ましい。
【0018】さらに、請求項3記載の施工方法によれ
ば、施工面11と防水層18との間に親水層19が形成される
ので、施工面11から出る水は、親水層19によって吸収さ
れ、かかる水は、水の凝集力によって親水層19を伝いな
がら下方に流れることとなるので、内部で滞留すること
もない。
【0019】
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るコンクリート
壁の吹付施工方法及び該施工用の組成物の実施形態につ
いて説明する。
【0021】本発明に係るコンクリート壁の吹付施工用
の組成物は、セメントと繊維片とが混合された主材と、
アクリル酸塩又はメタクリル酸塩の水溶液とからなり、
前記主材又はアクリル酸塩若しくはメタクリル酸塩の水
溶液の少なくとも何れか一方に重合触媒が加えられてい
る。
【0022】セメントは、一般的に使用されているポル
トランドセメントを用いるが、高炉セメント等その他の
セメントを用いてもよく、その種類は特に問わない。ま
た、セメントには、砂利、砕石等の骨材が混入されて十
分に混ぜ合わされており、その他必要に応じて少量の混
和剤が混入されている。
【0023】繊維片は、炭素繊維を1〜2cm程度に裁
断したものを用いるが、その他の繊維、例えば、ガラス
繊維等の無機繊維、ビニロン繊維・アラミド繊維・その
他の人造繊維、麻・絹等の天然繊維、スチールウール等
の金属繊維等の繊維片を用いてもよい。尚、金属繊維を
用いる場合には、繊維片の長さを4〜5cmにする方が
好ましい。
【0024】また、炭素繊維からなる繊維片を用いる場
合には、セメントと骨材の混合物に対して1〜5%(体
積百分率)の範囲で混合する。中でも約3%程度混合し
た場合には、施工後靱性破壊を最も生じやすく、しか
も、圧縮・曲げ強度が最も大きくなるので好ましい。
【0025】但し、炭素繊維のみで繊維片を構成すると
材料費が嵩むので、施工コスト、靱性破壊性及びコンク
リート強度等を総合的に勘案すればガラス繊維と炭素繊
維の繊維片を混合して繊維片を構成することが、最も好
ましいと言える。
【0026】他の繊維についても概ねセメントに対して
1〜5%(体積百分率)の範囲で混合すればよいが、例
えば、麻等の天然繊維についてはこの範囲を越えるもの
もあり、種類によって適宜混合量は調整する。勿論、ガ
ラス繊維と炭素繊維の混合等のように異なる種類の前記
繊維を混ぜ合わせてセメントに混合してもよい。主材
は、セメント、骨材及び繊維片が略均一に分散した状態
になるまで十分に混合されている。
【0027】次に、アクリル酸塩又はメタクリル酸塩の
水溶液(以下、「アクリル酸塩等水溶液」という)は、
重合触媒によって重合してポリマーを形成する。塩とし
てはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が用いられ
る。重合触媒としては、例えば、酸化剤を用い、過酸化
水素又は過酸化水素を生成する水溶性の化合物を用い
る。過酸化水素を生成する水溶性の化合物としては、過
酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、過ほう酸ナトリウ
ム、過炭酸ナトリウム等、その他過硫酸ナトリウム等の
過硫酸塩を用いる。尚、アクリル酸塩等水溶液は従来の
公知のもの(特公平2−27299号、特公平4−14
229号等に記載されたアクリル酸塩等)を用いればよ
く、そのポリマーを形成させる重合触媒も公知のものを
用いればよい。
【0028】次に、本発明に係るコンクリート壁の吹付
施工方法について説明する。まず、吹付け施工する際に
使用される吹付施工装置は、図1及び図2に示すよう
に、2台のトラック1,2 に分けて設置されている。3
は、トラック1 の荷台に設置された主材ホッパーで、該
主材ホッパー3 に予め十分に混ぜ合わされた主材が投入
される。3aは、主材ホッパー3 の下方に設置されたコン
ベアを示し、5 は、トラック1 の後方に設けられ、主材
ホッパー3 に投入された主材を攪拌しながら搬送する攪
拌搬送機を示す。4 は、攪拌搬送機5 を吊り上げる吊り
機を示す。
【0029】6 は、主材等を吹付ノズルの主材噴射口に
射出する吹付機を示し、他方のトラック2 に設置されて
いる。7 は、トラック1,2 と独立して自走可能で、且つ
上下左右に動くアーム7aを具備する自走車を示し、例え
ば、バケットの取付けられていないバックホー等を用い
る。かかる自走車7 のアーム7aの先端側には、吹付ノズ
ル8 が取付けられており、該吹付ノズル8 は、ホース8a
を介してトラック2 の吹付機6 に接続されている。9
は、水タンクを示し、ポンプ9aによって水が吹付ノズル
8 に噴射される。
【0030】尚、吹付ノズル8 は、従来から知られてい
る構造のものであって、主材噴射口及び樹脂噴射口が、
ノズル内部に独立して対向位置に設けられてなり、ノズ
ル内部で主材と樹脂及び触媒水溶液が混ざって一体化
し、更に、ノズル後端に供給される水が、コンプレッサ
ーから供給されるエアーによってノズル内部に達して主
材とアクリル酸塩等水溶液等とに混ざりながらノズル先
端から噴射される。
【0031】従来の吹付施工装置は、主材ホッパー、攪
拌搬送機、吹付機、樹脂供給機、ポンプ等の各装置類を
別々に施工現場に搬入出し、そこで各装置類を組み合わ
せて吹付プラントを構成していたので、特別なプラント
ヤードが必要となり、しかも、施工準備期間や片付け期
間が必要であったが、各装置類をトラック1,2 に設置す
ることにより、コンパクトであり、装置の搬送、搬出が
極めて簡易となるという利点がある。例えば、供用中の
トンネル工事の補修補強に於いては、トラック1,2 をト
ンネル内の施工現場まで移動させることができ、従っ
て、長いノズルホースを準備する必要がなく、トンネル
入口から施工現場までの距離が遠い場合には特に有意義
なものとなる。
【0032】さらに、プラントヤードが近くにない場合
には、吹付プラントを構成することができず施工不可能
であったが、かかる問題点も解消されるに至った。ま
た、吹付ノズル8 は自走車7 のアーム7aに取付けられて
いるので、高い場所や足場の悪い場所等を簡易に吹付施
工することができるだけでなく、従来のように人間が吹
付ノズル8 を直接持つ必要がないので、吹付け圧力を上
げることができ、従って、高圧力による止水効果や緻密
性吹付コンクリートの製造が可能となった。加えて、自
走車7 を用いることにより、施工能率が向上し、施工期
間を短縮することができる。
【0033】次に、本発明に係るコンクリート壁の吹付
施工方法について説明する。 <第1実施形態>図3に示すように、先ず施工面11に沿
って炭素繊維の網状体からなる補強材12を布設する。こ
の際、アンカー14を介して補強材12を施工面11に止着す
るが、補強材12の止着は必ずしもアンカーを用いる手段
に限られない。炭素繊維の網状体は、図4に示すよう
に、炭素繊維に樹脂を含浸して格子状に形成されたもの
からなる。
【0034】かかる補強材12が布設された上から、ノズ
ルの先端から主材とアクリル酸塩等水溶液を水と同時に
吹き付けると、施工面11に水分が付着していてもアクリ
ル酸塩等水溶液と重合触媒とが瞬間的にセメントを硬化
させる施工面11に強力に接着する。
【0035】さらに、本発明に於いては、セメントに繊
維片が混合されているので、セメント粒子間を繊維片が
補助的に連結することとなるから、吹付能力の高い吹付
機を用いれば、一回の吹付けで 150mm位の厚さのコンク
リート壁15を構築することができる(従来の組成物を用
いて吹付けた場合には、吹付能力の高い吹付機を用いて
も一回で30mm程度しか吹付けすることができない)。
【0036】また、繊維片が混合されていることによ
り、施工後、長い年月の間にコンクリート壁に引張力が
加わり、ある断面に亀裂が生じた場合でも靱性破壊性を
示し、従来のように一気に破壊に至るという脆性破壊性
を示し難いという利点があり、又、圧縮・曲げ強度が長
期間安定的に持続するのである。
【0037】即ち、断面に小さな亀裂が生じても、コン
クリート壁内の繊維片が互いに亀裂断面を連結するから
脆性破壊を起こし難く、更に引張力が加わる等によって
その亀裂を生じた箇所は、破壊される前に膨らむので、
コンクリート壁の破壊前を外見上で見分けることも可能
となり、未然に事故を防止できるという大なる効果を得
ることができる。
【0038】特に、炭素繊維は、引張強度に優れ、しか
も錆等による劣化もないので繊維片として用いた場合
に、上記効果を確実に達成することができる。
【0039】尚、本実施形態に於いては、施工面11に布
設した補強材12は、炭素繊維からなる網状体を例示した
が、例えば、スチール製の網状体、ガラス繊維、アラミ
ド繊維、ナイロン繊維、又はビニロン繊維等からなる網
状体等であってもよい。但し、炭素繊維は、錆び等の劣
化がなく且つ強度もあるので、長期間コンクリート壁を
補強する意味で炭素繊維が最も好ましいといえる。
【0040】<第2実施形態>図5に示すように、先
ず、施工面11に沿って防水シート16を覆設し、その上か
ら補強材12を布設して主材とアクリル酸塩等水溶液を同
時に吹付けてコンクリート壁15を構築する。
【0041】防水シート16は、例えば、ポリエチレン等
の合成樹脂シートの面状シートを用いればよく、アンカ
ー14等を介して施工面11に止着する。補強材12は、上記
第1実施形態に例示したものを用いる。
【0042】このように防水シート16で覆うことにより
施工面11に防水層18が形成されるので、施工面11から出
る水はコンクリート壁15内に浸透することはない。従っ
て、コンクリート壁15からの漏水を防止でき、更には、
水分の存在によって劣化する素材、例えば、鉄等で補強
材12を構成した場合であっても錆による劣化がなく、結
果的にコンクリート壁15の耐久性を向上させることがで
きる。
【0043】また、予め面状に形成された防水シート16
を用いるので、防水シートを覆設施工する際に特別な機
械を必要としないという利点がある。
【0044】<第3実施形態>図6に示すように、施工
面11に沿って塗膜を形成すべく施工面11に溶液性樹脂を
吹付けて施工面11に防水層18を形成した後、その上から
補強材12を布設して主材とアクリル酸塩等水溶液を同時
に吹付けてコンクリート壁15を構築する。
【0045】防水性の塗膜を形成する溶液性樹脂は、常
温硬化型、熱硬化型、又は熱可塑性型の樹脂、例えば、
ウレタン、アクリル、メタクリル酸メチル、シリコン、
ポリエステル、ビニルエステル、酢酸ビニルエステル等
が該当し、溶液性樹脂を吹付けるに際しては、適宜プラ
イマーを塗布してもよい。
【0046】本実施形態に係る施工方法によれば、上述
の第1及び第2実施形態の作用効果を奏するのみなら
ず、補強材12を止着するアンカー14を予め施工面11に打
設し、溶液性樹脂を吹付けることができるので、防水層
18の養生が不要になり、施工作業が簡易となるという利
点がある。
【0047】つまり、第2実施形態のように防水シート
16で覆設し、且つ該防水シート16をアンカー14で止着す
る方法であれば、防水シート16とアンカー14との目地を
埋める作業をしなければならないが、溶液性樹脂を吹付
る施工方法であれば、そのような養生が不要になるので
ある。
【0048】<第4実施形態>図7に示すように、一面
側に親水性シート17(点線で示す)が設けられた防水シ
ート16を用い、該防水シート16の一面側を施工面11に向
けて覆設して防水層18を形成した後、その上から補強材
12を布設して主材とアクリル酸塩等水溶液を同時に吹付
けてコンクリート壁15を構築する。
【0049】親水性シート17は、例えば、ビニロン繊維
等の人造繊維、綿等の天然繊維等を用いればよく、又、
親水性シート17は、面状のものに限定されず、網状に形
成されたものを防水シート16に設けてもよく、又、帯状
に形成されたものを所定間隔を置いて防水シート16に設
けてもよい。
【0050】本実施形態のように、防水シート16に親水
性シート17が設けられている場合には、親水性シート17
によって施工面11と防水層18との間に親水層19が形成さ
れることとなるので、施工後、施工面11から出る水は、
防水シート16によってコンクリート壁15内に浸透するこ
とはなく、しかも、親水性シート17に吸収された水は、
水の凝集力によってその親水層19を伝いながら下方に流
れることとなるので、内部で滞留することもないという
利点がある。
【0051】さらに、施工面11に沿って親水性シート17
を布設した後、溶液性樹脂を吹付けて防水層18を形成し
ても、施工面11と防水層18との間に親水層19が形成され
ることとなるから上記と同様の作用効果を奏する。
【0052】また、親水層19を形成する手段は、親水性
シート17に限定されず、例えば、アクリル樹脂エマルジ
ョンに細骨材、繊維材料等を加えて施工面11に塗布又は
吹付けて親水層19を形成してもよい。かかる手段は、一
般に聚落塗りとも呼ばれており、親水層19に無数の孔が
できるため、その孔を通じて施工面11から出る水は流れ
落ちることとなり、又、施工面11の凹凸に関係なく親水
層19の形成でき、しかも仕上げ面も平坦にすることがで
きるので、次工程の防水層18の形成作業が容易になると
いう利点がある。要は、親水層19は、通水可能な構造に
すればよく、その手段は上記実施形態に限定されるもの
ではない。
【0053】さらに、図7(イ)に示すように、親水層
19の下方端部に通水性パイプ20を埋設し、且つ該適当な
位置にコンクリート壁15より外部の側溝21に連通する排
水通路22を設けておけば、親水層19を伝って流れてきた
水は、略完全に外部に排出されるという利点がある。
【0054】<第5実施形態>図8に示すように、上記
の各吹付施工方法で構築されたコンクリート壁15の表面
に、更に、補強材12を布設し、主材とアクリル酸塩等水
溶液を同時に吹付けてコンクリート壁15を構築する。
【0055】このように2度吹きで相当厚いコンクリー
ト壁15を構築することができるので、従来に比べて作業
手間が更に少なくて済み、又、例えば、一度目の吹付施
工の際に親水層19と防水層18を形成し、2度目の吹付け
の際に炭素繊維の網状体からなる補強材12を用いること
により、防水及び排水が行なえ、且つコンクリート壁の
補強を長期間行なえるという2つの利点を併せ持たすこ
とができる。
【0056】
【発明の効果】叙上のように、本発明に係るコンクリー
ト壁の吹付施工方法によれば、濡れた施工面でも瞬時に
接着し、硬化するという従来の利点を保持しつつ、セメ
ントに繊維片を混合するという手段によって、コンクリ
ート壁は靱性破壊性を有するという大なる効果を得るこ
とができ、従って、コンクリート壁は破壊される前に膨
らむことにより破壊しそうな箇所を外見で見分けること
も可能となり、未然に事故を防止できるのである。
【0057】さらに、炭素繊維を含む繊維片が混合され
ていることにより、1回の吹付施工によってコンクリー
ト壁を厚く構築することができるので、従来に比べて作
業回数を少なくすることができるという利点もある。ま
た、圧縮・曲げ強度を長期間安定的に持続させることが
できる。
【0058】さらに、施工面に沿って防水塗膜を形成し
うる樹脂を吹付施工することにより防水層を形成するの
で、施工後、施工面から出る水は、防水によって遮断
され、コンクリート壁内に浸透することはなく、コンク
リート壁の寿命を更に伸ばすと共に、漏水等も防止でき
るという利点がある。
【0059】また、かかる防水層は、防水塗膜を形成し
うる樹脂を吹付施工することにより形成するものである
ため、補強材の止着にアンカーを用いる場合に、予めア
ンカーを施工面に打設した後、樹脂を吹付けて防水層を
形成するだけでアンカーと防水層との目地も埋まること
となるので、防水層形成後に養生作業が不要である。
って、作業の簡素化を図ることができる。
【0060】さらに、補強材12は、炭素繊維の網状体か
らなるので、錆び等の劣化がなく且つ強度もあるので、
長期間コンクリート壁を補強できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吹付施工方法に使用される吹付施
工装置を示す一部省略参考図。
【図2】同吹付施工装置を示す一部省略参考図。
【図3】本発明に係る吹付施工方法の一実施形態によっ
て施工されたコンクリート壁を示す一部省略断面図。
【図4】補強材の一実施形態を示す一部省略斜視図。
【図5】本発明に係る吹付施工方法の他実施形態を示
し、防水シートによって防水層が形成されたコンクリー
ト壁を示す一部省略断面図。
【図6】本発明に係る吹付施工方法の他実施形態を示
し、溶液性樹脂吹付によって防水層が形成されたコンク
リート壁を示す一部省略断面図。
【図7】本発明に係る吹付施工方法の他実施形態を示
し、(イ)は、親水性シートを設けた防水層が形成され
たコンクリート壁を示す一部省略断面図で、(ロ)は、
(イ)の要部拡大断面図。
【図8】本発明に係る吹付施工方法の他実施形態によっ
て施工されたコンクリート壁を示す一部省略断面図。
【符号の説明】 11…施工面、12…補強材、15…コンクリート壁、16…防
水シート、17…親水性シート、18…防水層、19…親水層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04B 2/84 E21D 11/10 C04B 28/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 施工面(11)に沿って防水塗膜を形成しう
    る樹脂を吹付施工することにより防水層(18)を形成し、
    該防水層(18)に沿って炭素繊維の網状体からなる補強材
    (12)を布設した後、セメントと炭素繊維を含む繊維片と
    が混合された主材と、アクリル酸塩又はメタクリル酸塩
    の水溶液と、前記主材又は水溶液の少なくとも何れか一
    方に重合触媒を加え、前記主材と水溶液とをノズル内部
    で混合して一体化しながら吹付けてコンクリート壁(15)
    を構築することを特徴とするコンクリート壁の吹付施工
    方法。
  2. 【請求項2】 前記繊維片が、セメント及び骨材の混合
    物に対して体積百分率で1〜5%混合されている請求項
    1記載のコンクリート壁の吹付施工方法。
  3. 【請求項3】 施工面(11)に沿って親水層(19)を形成し
    た後に、前記防水層(18)を形成する請求項1又は2記載
    のコンクリート壁の吹付施工方法。
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