JP2974929B2 - 脱墨方法 - Google Patents

脱墨方法

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JP2974929B2
JP2974929B2 JP8040295A JP8040295A JP2974929B2 JP 2974929 B2 JP2974929 B2 JP 2974929B2 JP 8040295 A JP8040295 A JP 8040295A JP 8040295 A JP8040295 A JP 8040295A JP 2974929 B2 JP2974929 B2 JP 2974929B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新聞紙、チラシ、雑誌
等の古紙原料を脱インキして再利用するための脱墨方法
に関する。更に詳しくは、より白色度が高く残存インキ
数の少ない優れた脱墨パルプが得られる脱墨方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】古紙の再生は脱墨処理により原料古紙か
らインキを剥離し、再生パルプを得て、再生紙を製造す
ることにより行われるが、通常行なわれている一般的な
脱墨方法は、大きく分けて原料古紙からインキを剥離
する工程とインキを排出する工程からなる。より具体
的には、 (1) 古紙のパルピング(離解)工程 (2) 熟成工程 (3) フロテーション工程 (4) 洗浄工程 を主要な工程として含み、古紙繊維に結着したインキを
物理的、化学的(或いは生化学的)に剥離して紙繊維と
インキとを分離することにより再生パルプを得るもので
ある。
【0003】そして、このような脱墨方法には、古紙か
らインキを剥離する目的で、或いは剥離したインキを付
着させるための泡を発生させる目的で、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル、脂肪酸、その他の界面活性剤か
らなる脱墨剤が何れかの工程で添加されるのが一般的で
ある。
【0004】近年、美しく安定な印刷に対する需要の増
大や印刷技術の進展により、原料古紙となる紙の性状が
多様化し、またインキの紙への結合が緩やかなものから
強固なものまで多岐に亘ってきている。このような状況
において、更に、脱墨パルプの品質向上、歩留り(生産
性)の向上等が要求されているが、この目的を達成する
ために、脱墨工程、脱墨剤、或いは脱墨に用いる装置等
の各方面から種々の提案がなされている。
【0005】従来の脱墨方法においては、パルピング工
程、フロテーション工程のpHを9以上のアルカリ性で
行なうのが一般的であり、pH9以下で行なうものは極
めて少なく、わずかに特開昭54−23705号公報及
び特開昭59−53532号公報にそのような方法が記
載されている。そのうち、特開昭54−23705号公
報には、フロテーション前の古紙懸濁液に、アルミニウ
ム塩或いは白水を添加してpH4〜7に調整し、更に高
分子凝集剤を添加した後にフロテーション工程を行なう
方法が開示されている。また、特開昭59−53532
号公報では、pH感性のある特定のアルキルアミンポリ
エーテルが、パルピング工程、洗浄式脱インキ工程及び
フロテーション工程のそれぞれに要求される泡特性を発
現することが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
54−23705号公報に記載された方法では、起泡性
が著しく大きくなり、歩留りの低下、フロテーション工
程での泡のリジェクト(排出)量の増加が起こる。この
ような泡の過剰な発生はフロテーション工程では好まし
くなく、結果的に生産性の低下や品質の低下をもたら
す。また特開昭59−53532号公報のアルキルアミ
ンポリエーテルは、従来用いられているポリオキシエチ
レンアルキルエーテル型の脱墨剤に比べてインキ剥離性
が悪く、白色度の高いパルプが得られない。また、かか
るアルキルアミンポリエーテルにより剥離されたインキ
は非常に微細なものであり、フロテーション時に気泡に
吸着するインキとしては最適な大きさであるとはいえ
ず、充分なインキ除去ができない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記のよう
な現状に鑑み、脱墨方法の面から鋭意検討した結果、特
定の脱墨剤により充分なインキ剥離を行い、且つフロテ
ーション工程のpHを4〜9に調節し更にアルミニウム
イオン濃度を40ppm以下に調節することにより、白
色度が高く、残インキ数の少ない脱墨パルプが得られる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、少なくとも、原料古
紙からインキを剥離する工程と、剥離したインキをフロ
テーション法により除去する工程とを含む脱墨方法にお
いて、下記(A)〜(E)から選ばれる1種又は2種以
上の脱墨剤を用い、且つフロテーション時の系中のpH
を4〜9とし、フロテーション時の系中のアルミニウム
イオン濃度を40ppm以下とすることを特徴とする脱
墨方法を提供するものである。 (A)油脂と1価又は多価アルコールの混合物にアルキ
レンオキサイドを付加して得られる反応生成物 (B)下記式で表される化合物 RCOO(AO)mR’ 〔式中、Rは炭素数7〜23のアルキル基又はアルケニ
ル基、R’はH又は炭素数1〜22のアルキル基、アル
ケニル基もしくはアシル基、AOは炭素数2〜4のオキ
シアルキレン基、mは1以上の整数である。〕 (C)下記式で表される化合物 RO(AO)nH 〔式中、Rは炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニ
ル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは
1以上の整数である。〕 (D)炭素数8〜24の脂肪酸又はその塩 (E)多価カルボン酸もしくはその酸無水物にアルキレ
ンオキサイドを付加して得られる反応生成物、又は、多
価カルボン酸もしくはその酸無水物とアルコールとの混
合物にアルキレンオキサイドを付加して得られる反応生
成物 上記の脱墨剤において、アルキレンオキサイド付加型の
化合物ではアルキレンオキサイドの付加形態はブロック
又はランダムのいずれでも良く、ブロックとランダムの
混合でもよい。
【0009】前述のように特開昭54−23705号公
報の方法ではフロテーション時の起泡性の増大が認めら
れるが、本発明者らの検討の結果、これはフロテーショ
ン時の系中のアルミニウムイオン濃度が高いためである
ことが判明した。しかも同公報記載の方法では、フロテ
ーション工程においてポリアクリルアミド(PAM)の
ような非イオン性或いはアニオン性の高分子凝集剤が使
用されるため、これがアルミニウムイオン濃度が高い条
件下でより一層起泡性を増長することが認められた。こ
のような方法に対して、本発明の脱墨方法は、フロテー
ション時の系中のアルミニウムイオン濃度をより低い濃
度とし、しかも脱墨性能に優れ且つアルミニウムイオン
濃度の低いフロテーション工程でも良好な泡特性を発揮
できる特定の脱墨剤を使用することにより、高品質の脱
墨パルプを歩留り良く得られるという顕著な効果を奏す
るものである。
【0010】本発明の脱墨方法は、少なくともインキの
剥離工程とフロテーション工程とを含むものであり、そ
の際の脱墨剤として以下に記載された脱墨剤が使用され
る。
【0011】(A)油脂と1価又は多価アルコールの混
合物にアルキレンオキサイドを付加して得られる反応生
成物 脱墨剤(A)は、油脂と1価又は多価アルコールとの混
合物のアルキレンオキサイド付加物である。アルキレン
オキサイドは、混合物に対して平均5〜300モル、好
ましくは20〜150モル付加される。アルキレンオキ
サイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキ
サイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、単独でも混合
して用いてもよい。
【0012】また、油脂と1価又は多価アルコールの混
合割合は、天然油脂/アルコールのモル比で1/0.1
〜1/6であることが好ましい。特に好ましくは1/
0.3〜1/3である。このモル比を外れると、インキ
剥離性が劣り、見栄えの悪いパルプとなる。
【0013】脱墨剤(A)の原料となる油脂としては、
椰子油、パーム油、オリーブ油、大豆油、菜種油、アマ
ニ油等の植物油、豚脂、牛脂、骨油等の動物油、魚油、
及びこれらの硬化油、半硬化油、更にはこれら油脂の精
製工程で得られる回収油等が挙げられる。
【0014】また、脱墨剤(A)の原料となる1価アル
コールとしては、炭素数8〜24のアルキル基又はアルケ
ニル基を有するもの、或いは炭素数6〜14のアルキル基
を有するアルキルフェニル基を有するものが挙げられ
る。具体例としては、1−オクタノール、1−ノナノー
ル、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカ
ノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、
1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘ
プタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカ
ノール、1−エイコサノール、1−ヘンエイコサノー
ル、1−ドコサノール、1−トリコサノール、1−テト
ラコサノール、2−オクタノール、2−ノナノール、2
−デカノール、2−ウンデカノール、2−ドデカノー
ル、2−トリデカノール、2−テトラデカノール、2−
ペンタデカノール、2−ヘキサデカノール、2−ヘプタ
デカノール、2−オクタデカノール、2−ノナデカノー
ル、2−エイコサノール、2−オクテン−1−オール、
2−ドデセン−1−オール、2−ウンデセン−1−オー
ル、2−テトラデセン−1−オール、2−ペンタデセン
−1−オール、2−ヘキサデセン−1−オール、2−オ
クタデセン−1−オール、8−ノネン−1−オール、1
0−ウンデセン−1−オール、11−ドデセン−1−オ
ール、12−トリデセン−1−オール、15−ヘキサデ
セン−1−オール、オレイルアルコール、エライジルア
ルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコー
ル、エレオステアリルアルコール、リシノイルアルコー
ル、シクロノナノール、シクロデカノール、シクロウン
デカノール、シクロドデカノール、シクロトリデカノー
ル、シクロテトラデカノール、シクロペンタデカノー
ル、シクロヘキサデカノール、シクロヘプタデカノー
ル、シクロオクタデカノール、シクロノナデカノール、
シクロコサノール、オクチルフェノール、ノニルフェノ
ール等を挙げることができる。
【0015】また、脱墨剤(A)の原料となる多価アル
コールとしては、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、トリメチレングリコール、ブチレングリコー
ル、1,6−ヘキサングリコール、2−エチルブタン−
1,2,3−トリオール、グリセリン、トリメチロール
プロパン、トリメチロールエタン、1,2,4−ブタン
トリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,
1,1−トリメチロールヘキサン、テトラメチロールシ
クロヘキサノール、ジグリセリン、マンニタン、ペンタ
エリトリット、エリトリット、アラビット、ソルビッ
ト、D−グリセロ−D−ガラクトヘプトース、D−グリ
セロ−D−グルコヘプトース、D−グリセロ−D−マン
ノヘプトース、D−グリセロ−L−マンノヘプトース、
D−アルトロヘプツロース、D−マンノヘプツロース、
D−アルトロ−3−ヘプツロース、D−グリセロ−D−
ガラヘプチトール、D−エリスロ−D−ガラオクチトー
ル、D−グリセロ−D−マンノオクツロース、D−エリ
スロ−L−グロノヌロース、セロビオース、マルトー
ス、ラクトース、ゲンチアノース、セロトリオース、ス
タキオース等が挙げられる。
【0016】(B)下記式で表される化合物の1種又は
2種以上 RCOO(AO)mR’ 〔式中、Rは炭素数7〜23のアルキル基又はアルケニ
ル基、R’はH又は炭素数1〜22のアルキル基、アル
ケニル基もしくはアシル基、AOは炭素数2〜4のオキ
シアルキレン基、mは1以上の整数である。〕 脱墨剤(B)において、Rの炭素数が7より小さい場
合、インキ補集能が弱く高白色度の脱墨パルプを得る事
ができず、また、Rの炭素数が24を越えるとセルロース
からのインキ剥離性が小さくなるため未剥離インキの残
存量が多くなり、見栄えの悪い脱墨パルプしか得られな
い。
【0017】脱墨剤(B)は従来公知の方法で脂肪酸に
アルキレンオキサイドを付加して、必要に応じてエステ
ル化或いはアシル化されて製造されるものであり、アル
キレンオキサイドは、脂肪酸に対して平均5〜300モ
ル、好ましくは10〜150モル付加される。付加する
アルキレンオキサイドは前記脱墨剤(A)で例示したも
のを用いることができる。脱墨剤(B)では、エチレン
オキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)を
EO/PO=1/5〜5/1の割合で併用して付加する
のが好ましい。
【0018】脱墨剤(B)を製造するために用いられる
脂肪酸としては、R相当部分の炭素数が7〜23のもの
であり、具体例としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、
カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン
酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マ
ルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン
酸、リノール酸、リノレイン酸、ステアロール酸、リシ
ノール酸、リシノエライジン酸、ノナデカン酸、アラキ
ジン酸、ヘンエイコサン酸、ベヘン酸、ブラシジン酸、
エルカ酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、椰子油脂肪
酸、牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、トール油脂肪酸、な
たね油脂肪酸、魚油脂肪酸等を挙げることができる。脱
墨剤(B)としては、式中のRの炭素数が11〜23の
ものが好ましい。
【0019】(C)下記式で表される化合物の1種又は
2種以上 RO(AO)nH 〔式中、Rは炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニ
ル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは
1以上の整数である。〕 脱墨剤(C)のRの炭素数が8より小さいとインキ補集
能が弱く、高白色度の脱墨パルプを得る事ができず、ま
た、Rの炭素数が24を越えるとセルロースからのイン
キ剥離性が小さくなるため、未剥離インキの残存量が多
くなり、見栄えの悪い脱墨パルプしか得られない。
【0020】脱墨剤(C)は従来公知の方法で1価アル
コールにアルキレンオキサイドを付加して製造されるも
のであり、アルキレンオキサイドは、1価アルコールに
対して平均5〜300モル、好ましくは7〜150モル
付加される。EOとPOをモル比がEO/PO=1/5
〜5/1となるように付加したものである。
【0021】脱墨剤(C)を製造するための1価アルコ
ールは、前記脱墨剤(A)で例示した炭素数8〜24の
アルキル基又はアルケニル基を有するもの、或いは炭素
数6〜14のアルキル基を有するアルキルフェニル基を
有するものを使用でき、式中のRの炭素数が14〜24
であるものが好ましい。
【0022】(D)炭素数8〜24の脂肪酸又はその塩 脱墨剤(D)となる脂肪酸は脱墨剤(B)で例示したも
のが使用でき、特に好ましくは炭素数12〜24のもの
である。また脂肪酸の塩としては、ナトリウム塩、カリ
ウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0023】(E)多価カルボン酸もしくはその酸無水
物にアルキレンオキサイドを付加して得られる反応生成
物、又は、多価カルボン酸もしくはその酸無水物とアル
コールとの混合物にアルキレンオキサイドを付加して得
られる反応生成物 脱墨剤(E)の原料となる多価カルボン酸又はその酸無
水物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチル
コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、フタ
ル酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレ
イン化オレイン酸、クエン酸、過クエン酸、トリメリッ
ト酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、テト
ラデカンヘキサカルボン酸、無水マレイン酸、無水コハ
ク酸、無水シュウ酸、無水イタコン酸、無水グルタル
酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリ
ット酸、無水ステアリルコハク酸、更に炭素数14〜22の
高級脂肪酸のダイマー酸及び/又はポリマー酸も含まれ
る。ここで言うダイマー酸及び/又はポリマー酸は、モ
ノエン酸又はジエン酸、具体的にはオレイン酸、リノー
ル酸、リノレイン酸等の不飽和脂肪酸モノマーをディー
ルス・アルダー反応のような熱重合により反応させる方
法又はその他の反応方法によって合成できる。また、こ
こで言うポリマー酸とは、1分子内にカルボキシル基を
3個又はそれ以上有するポリカルボン酸であり、ダイマ
ー酸を含まない。生成したダイマー酸及び/又はポリマ
ー酸中に本発明の効果を損なわない範囲であれば未反応
のモノマー酸が残っていても構わない。
【0024】また、脱墨剤(E)の原料となるアルコー
ルとしては、1価或いは多価のアルコールが挙げられ、
脱墨剤(A)で例示した多価アルコール、脱墨剤(C)
で例示した1価アルコールを用いることができる。
【0025】脱墨剤(E)において、(I)多価カルボ
ン酸又はその酸無水物と(II)アルコールのモル比は、
(I)/(II)=1/0.02〜5、好ましくは1/
0.1〜3である。(I)/(II)のモル比がこの範囲
から外れると微細インキの凝集に効果がなくなり、フロ
テーション工程において、効率よくインキが除去されな
いため、脱墨パルプの白色度が低くなる。
【0026】これらの脱墨剤は、いずれの脱墨工程へ添
加してもよいが、パルピング工程に添加するのが一般的
である。また添加量は限定されない。これら以外の脱墨
剤では充分なインキ剥離が達成されない。
【0027】また、本発明の脱墨方法はフロテーション
時の系中のpHを4〜9、好ましくは6〜8に調節して
行なうものである。脱墨方法におけるフロテーション法
は、パルプ−水スラリーを物理的、化学的等の適当な手
段により発泡させて、浮上(フロート)した気泡にイン
キ粒子を付着させ、その気泡を排出することによりパル
プとインキを分離する方法である。本発明ではこのフロ
テーション時のパルプ−水スラリー系に適当な酸を添加
してpHを上記範囲に調節する。或いは、フロテーショ
ン系に注入される水に酸を添加しても、或いは酸の水溶
液を添加してもよく方法は限定しない。pHを調節する
ための酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸又はそ
の塩、或いは、酢酸、蟻酸、クエン酸等の有機酸を用い
ることができる。なお、酸によるpHの調整以外の方法
でもよい。フロテーション時のpHが9を越えると白色
度の低下や残インキ数の増加が認められ、またpHが4
未満の場合にはパルプ歩留りの低下がみられ又酸性度が
強すぎて装置やパルプ繊維自体に悪影響を及ぼす恐れが
ある。
【0028】また、本発明の脱墨方法においては、フロ
テーション工程における系中のアルミニウムイオン濃度
が40ppm以下、好ましくは25ppm以下となるよ
うに、フロテーション工程で用いる水の種類(例えば白
水の再利用、水道水)或いは量等を考慮する必要があ
る。フロテーション工程における系中のアルミニウムイ
オン濃度をこのように調整することにより、白色度の向
上、残インキの低減の両立が達成されると共に、パルプ
歩留りが向上する。アルミニウムイオン濃度は少なくと
もフロテーション工程で40ppm以下、好ましくは2
5ppm以下となっておれば良く、インキ剥離に影響を
及ばさなければ、パルピング工程等、フロテーション工
程以前でアルミニウムイオン濃度を調節してもよい。
【0029】更に、本発明の脱墨方法においては、フロ
テーション時の系中のカルシウムイオン濃度は限定され
ないが、より高品質のパルプを得るためには、フロテー
ション時に、カルシウムイオンを系中の濃度として好ま
しくは10〜400ppm、更に好ましくは100〜2
50ppmの範囲で存在させることにより、更にインキ
を選択的に凝集させることができ、インキをフロテーシ
ョンリジェクトにおける最適な大きさの凝集物として容
易に除去できるようになる。その結果、より白色度が高
く残インキの少ないパルプが得られる。カルシウムイオ
ンの調節は、塩化カルシウム、炭酸カルシウム等の無機
カルシウム塩、石灰等の鉱物を用いることができ、更に
動物の骨や貝殻等を酸と反応させてカルシウムイオンを
供給してもよい。なお、系中のカルシウムイオン濃度
は、少なくともフロテーション工程で好ましくは10〜
400ppm、更に好ましくは100〜250ppmと
なっておれば良いが、インキ剥離に影響を及ばさなけれ
ば、パルピング工程等、フロテーション工程以前でカル
シウムイオン濃度を調節してもよい。
【0030】本発明の脱墨方法には、上記(A)〜
(E)以外の公知の脱墨剤を併用することができる。
【0031】また、本発明の脱墨方法においては、フロ
テーション工程の系中にカチオン性化合物、アミン類、
両性化合物の1種又は2種以上を存在させることができ
る。これにより本発明の効果が更に促進される。具体的
には、ジ又はモノ長鎖アルキル型の第四級アンモニウム
塩、窒素原子に置換基を有するピリジニウム塩等のカチ
オン性化合物、1級アミン、2級アミン、3級アミン、
環状アミン、イミダゾール、イミダゾリン等のアミンも
しくはそれらの塩、ベタイン、アミンオキシド、リン脂
質、蛋白質等の両性化合物が挙げられ、その添加量は原
料古紙(絶乾)に対して0.001〜5.0重量%、好
ましくは0.01〜1.0重量%程度である。
【0032】カチオン性物質としては、特に下記 (a1)
〜 (e1)で表されるものが好ましい。
【0033】
【化1】
【0034】〔式中、 R1 ,R2 :炭素数10〜24のアルキル基、炭素数1
0〜24のアルケニル基又は炭素数10〜24のβ−ヒ
ドロキシアルキル基 R3,R4,R5 :炭素数1〜8のアルキル基もしくは炭素
数1〜8のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又は−
(AO)n−Z(ここで、AOは炭素数2〜4のオキシアル
キレン基、Zは水素又はアシル基、nは1〜50の整数
である) R6 :炭素数8〜36のアルキル基、炭素数8〜36の
アルケニル基又は炭素数8〜36のβ−ヒドロキシアル
キル基 X:対イオン Y:R6 ,R6COOCH2−,R6CONHCH2−又は
6OCH2− を意味する。〕 上記の各式において、R1 、R2 としては、例えば、ラ
ウリル、ミルシチル、パルミトイル、ステアリル、ベヘ
ニル、オレイル、リノレイル基等が挙げられる。また、
Zは水素又は炭素数1から24の脂肪酸から誘導される
アシル基、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニ
ル、ブチリル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイ
ル、ステアロイル、イソブチリル、オレオイル、メタク
リル、マロニル等である。R6 としては、例えば、オク
チル、ラウリル、ミルシチル、パルミトイル、ステアリ
ル、ベヘニル、ヘキサコニル、ヘキサトリアコンチル、
オレイル、リノレニル基等が挙げられる。Xは対イオン
であり、水酸基イオン或いはハロゲン、炭素数1〜3の
アルキル基を有するモノアルキル硫酸、無機酸又は有機
酸塩から誘導される基である。具体的には、塩素、臭
素、フッ素等のハロゲン、メチル硫酸、エチル硫酸等の
モノアルキル硫酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等の無機
酸塩、酢酸、クエン酸等の1価又は多価の有機酸から誘
導される対イオンである。
【0035】また、アミン又はアミン塩としては、特に
下記 (a2)〜 (h2)で表されるものが好ましい。
【0036】
【化2】
【0037】〔式中、 R1 :炭素数8〜36のアルキル基、炭素数8〜36の
アルケニル基又は炭素数8〜36のβ−ヒドロキシアル
キル基 R2,R3:炭素数1〜24のアルキル基又は水素 HA:無機酸又は有機酸 AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基 l,m:l+mが0超300以下となる整数 W1,W2,W3,W4:水素又は炭素数1〜24のアルキル
基 を意味する。〕 上記各式において、R2 、R3 としては、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ラウリ
ル、ミルシチル、パルミトイル、ステアリル、ベヘニ
ル、オレイル、リノレイル、イソプロピル、イソブチル
基等が挙げられ、R2 、R3 は同一でも異なっていても
よい。HAは無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、
リン酸等が挙げられる)又は、1価あるいは多価有機酸
(例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリン
酸、ステアリン酸、マロン酸、コハク酸、アクリル酸、
マレイン酸、フマル酸、クエン酸等が挙げられる)であ
る。l,mはl+mが0より大きく300以下となるよ
うな整数である。また、W1,W2,W3,W4 も同一でも異
なっていてもよい。
【0038】また、両性化合物としては、特に下記 (a
3)〜 (l3)で表されるものが好ましい。
【0039】
【化3】
【0040】〔式中、 R1,R2,R3:炭素数1〜24のアルキル基 R4:炭素数8〜36のアルキル基、炭素数8〜36の
アルケニル基又は炭素数8〜36のβ−ヒドロキシアル
キル基 Y1:R4NHCH2CH2− Y2:R4NHCH2CH2−又は水素 Z1:CH2COOM Z2:CH2COOM又は水素 M:水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモ
ニウム を意味する。〕 上記一般式において、R1 〜R3 の具体例としては、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチ
ル、ラウリル、ミルシチル、パルミトイル、ステアリ
ル、ベヘニル、オレイル、リノレニル、イソプロピル、
イソブチル基等が挙げられる。R4 の具体例としては、
例えば、オクチル、ラウリル、ミルシチル、パルミトイ
ル、ステアリル、ベヘニル、ヘキサコサニル、ヘキサト
リアコンチル、オレイル、リノレニル基等が挙げられ
る。また、リン脂質(k)としては、例えば、ホスファ
チジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフ
ィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、リゾレシチン
等が挙げられる。また蛋白質(l)としては、例えば大
豆タンパク、乳タンパク等の天然より分離したもの、あ
るいは、さらにこれらを部分加水分解、変性させたもの
が使用できる。蛋白質の分子量、構成原子の種類、変性
の度合い等は限定されない。
【0041】以上説明した本発明の脱墨方法は、脱墨剤
として上記(A)〜(E)のいずれか1種又は2種以上
を用いることと、フロテーション時の系中のpHを4〜
9に調節し且つフロテーション時の系中のアルミニウム
イオン濃度を40ppm以下に調節することを特徴と
し、少なくともインキの剥離工程とフロテーション工程
とを含むものであるが、その他の工程は従来公知の脱墨
方法に準じて行なうことができる。すなわち、例えば、
パルピング工程→熟成工程→(必要に応じてニーディン
グ工程)→フロテーション工程→洗浄工程を主体とし
て、必要に応じて別途工程が追加される。また、各工程
は複数回行なうこともでき、フロテーション系を循環さ
せて複数のフロテーション工程を行なう場合、少なくと
も一回のフロテーション工程はpHを4〜9とする必要
があり、望ましくは洗浄工程の直前のフロテーション工
程のpHを4〜9とする。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】実施例1 市中回収された原料古紙(新聞紙/チラシ=75/2
5)を2×5cmに細断後、その一定量を卓上離解機に
入れ、その中に温水および苛性ソーダ(対原料)1%、
珪酸ソーダ(対原料)3%、30%過酸化水素(対原
料)3%、脱墨剤としてステアリルアルコールのEO1
0モルPO10モルブロック付加物(平均付加モル数)
0.2%(対原料)を加え、パルプ濃度5%、40℃で
10分間離解した。得られたパルプスラリーを40℃に
て60分間熟成を行った後、フロテーション時の系中の
Alイオン濃度が表1の濃度となるように調整した温水
を加えてパルプ濃度を1%とし、フロテーション時のp
Hが表1に示す値となるように調整し、フロテーション
前のパルプスラリーをサンプリングした後、40℃にて
10分間フロテーション処理を施した。フロテーション
処理後、タッピシートマシンにてパルプシートを作製し
通風乾燥した。
【0044】本実施例ではフロテーション前後のパルプ
スラリーから得られたパルプシートの白色度及びフロテ
ーション後のパルプシートの残インキ面積率を測定し
た。即ち、予めサンプリングしておいたフロテーション
前のパルプスラリーとフロテーション後のパルプスラリ
ーへ硫酸バンド(硫酸アルミニウム)を添加してpHを
5に調整した後、抄紙してパルプシートを得た。得られ
たパルプシートの白色度を測色色差計にて測定し、画像
解析装置(×100)にて残インキ面積率を測定した。
なお、抄紙したパルプシートの白色度における1%の向
上、或いは残インキ面積率における0.1%の低下は、
目視において充分な効果として認識できる。また、フロ
テーション時のパルプ歩留りはフロテーション前のパル
プスラリー中の絶乾パルプ重量とリジェクト中のパルプ
スラリー中の絶乾パルプ重量の割合から求めた。これら
の結果を表1に示す。尚、本実施例では温水中のAlイ
オン濃度調整は抄紙時に発生した白水を適宜用いた。た
だし、試験番号11〜13では白水と硫酸アルミニウム
を用いた。また、フロテーション時のpH調整は塩酸、
必要に応じて苛性ソーダを用いた。
【0045】
【表1】
【0046】(注)表中のAlイオン濃度はフロテーシ
ョン時のものである。上記において試験番号1は従来の
実機操業条件を想定している。試験番号1に比べて、試
験番号2〜10(本発明の方法)のようにフロテーショ
ン工程でのpHを特定範囲に調整することにより、フロ
テーターでの選択的なインキの除去による白色度の向
上、残インキの低減と、さらにパルプ歩留りのアップが
期待できる。また、試験番号11〜13(比較例)のよ
うにAlイオン濃度が高くなると極端に歩留りが低下す
る。
【0047】実施例2 市中回収された原料古紙(新聞紙/チラシ=75/2
5)を2×5cmに細断後、その一定量を卓上解離機に
入れ、その中に温水および苛性ソーダ(対原料)1%、
珪酸ソーダ(対原料)3%、30%過酸化水素(対原
料)3%、脱墨剤としてステアリルアルコールのEO1
0モルPO10モルブロック付加物(平均付加モル数)
0.2%(対原料)を加え、パルプ濃度5%、40℃で
10分間離解した。得られたパルプスラリーを40℃に
て60分間熟成を行った後、フロテーション時の系中の
Alイオン濃度が表2の濃度となるように調整した温水
を加えてパルプ濃度を1%とし、更にフロテーション時
の系中のpHが表2に示す値となるように調整し、フロ
テーション前のパルプスラリーをサンプリングした後、
40℃にて10分間フロテーション処理を施し、実施例
1と同様に抄紙した。
【0048】このような脱墨方法における性能評価を実
施例1と同様に行なった。その結果を表2に示す。尚、
本実施例では温水中のAlイオン濃度調整は抄紙時に発
生した白水を適宜用いた。ただし、試験番号17,21
では白水と硫酸アルミニウムを用いた。また、フロテー
ション時のpH調整は硫酸、必要に応じて苛性ソーダを
用いた。
【0049】
【表2】
【0050】(注)表中のAlイオン濃度はフロテーシ
ョン時のものである。試験番号14〜17(比較例)と
比べ試験番号18〜20(本発明の方法)のように、フ
ロテーション時にスラリー中のAlイオン濃度を調整し
且つフロテーション時のpHを調整することにより、フ
ロテーターでの選択的なインキの除去による白色度の向
上、残インキの低減と、さらにパルプ歩留りのアップが
期待できる。また、試験番号21(比較例)のようにA
lイオン濃度が高くなると極端に歩留りが低下する。
【0051】実施例3 市中回収された原料古紙(新聞紙/チラシ=75/2
5)を2×5cmに細断後、その一定量を卓上離解機に
入れ、その中に温水および苛性ソーダ(対原料)1%、
珪酸ソーダ(対原料)3%、30%過酸化水素(対原
料)3%、脱墨剤としてステアリルアルコールのEO1
0モルPO10モルブロック付加物(平均付加モル数)
0.2%(対原料)を加え、パルプ濃度5%、40℃で
10分間離解した。得られたパルプスラリーを40℃に
て60分間熟成を行った後、フロテーション時の系中の
Alイオン濃度とCaイオン濃度が表3の濃度となるよ
うに調整した温水を加えてパルプ濃度を1%とし、フロ
テーション時の系中のpHが表3に示す値となるように
調整し、フロテーション前のパルプスラリーをサンプリ
ングした後、40℃にて10分間フロテーション処理を
施し、実施例1と同様に抄紙した。
【0052】このような脱墨方法における性能評価を実
施例1と同様に行なった。その結果を表3に示す。な
お、本実施例では温水中のCaイオン濃度調整はCaC
2 を用い、Alイオンを含有しない温水を用いた。ま
た、フロテーション時のpH調整は硫酸を用いた。
【0053】
【表3】
【0054】(注)表中のCaイオン濃度及びAlイオ
ン濃度はフロテーション時のものである。試験番号22
〜27(比較例)と比べて、試験番号28〜33(本発
明の方法)のようにフロテーション時にスラリー中のA
l濃度を40ppm以下とし、且つCaイオン濃度及び
pHの調整をすることにより、白色度の向上、残インキ
の低減と、さらにパルプ歩留りのアップが期待できる。
【0055】実施例4 市中回収された原料古紙(新聞紙/チラシ=75/2
5)を2×5cmに細断後、その一定量を高濃度離解機
に入れ、その中に温水及び苛性ソーダ(対原料)1%、
硅酸ソーダ(対原料)3%、30%過酸化水素水(対原
料)3%、表4記載の脱墨剤を表4の添加量で加え、パ
ルプ濃度15%、40℃で10分間離解した。得られた
パルプスラリーに温水を加え、パルプ濃度4%に希釈
し、40℃にて60分間熟成を行った後、フロテーショ
ン時の系中のAlイオン濃度とCaイオン濃度が表5の
濃度となるように調整した温水を加えてパルプ濃度を1
%とし、フロテーション時の系中のpHが表5に示す値
となるように調整し、フロテーション前パルプスラリー
をサンプリングした後、40℃にて10分間フロテーシ
ョン処理を施し、実施例1と同様に抄紙した。
【0056】このような脱墨方法における性能評価を実
施例1と同様に行なった。その結果を表5に示す。な
お、本実施例では温水中のCaイオン濃度調整はCaC
2 を用い、Alイオン濃度調整は抄紙時に発生した白
水を適宜用いた。ただし、試験番号43では白水と硫酸
アルミニウムを用いた。また、フロテーション時のpH
調整は塩酸、必要に応じて苛性ソーダを用いた。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】(注)表中のCaイオン濃度及びAlイオ
ン濃度はフロテーション時のものである。試験番号34
〜37(比較例)と比べて、試験番号38〜42(本発
明の方法)は各種脱墨剤を用いた場合にも、フロテーシ
ョン時のpH、Caイオン濃度、Alイオン濃度を調整
することにより、白色度の向上、残インキの低減と、さ
らにパルプ歩留りのアップが期待できる。また、試験番
号43(比較例)のようにAlイオン濃度が高いと、得
られた脱墨パルプの品質が悪く、しかも歩留りも低下す
る。
【0060】実施例5 市中回収された原料古紙(新聞紙/チラシ=75/2
5)を以下の脱墨方法にて処理し、性能評価を実施例1
と同様に行った。その結果を表6に示す。なお、本実施
例では温水中のCaイオン濃度調整はCaCl2 を用
い、Alイオン濃度調整は抄紙時に発生した白水を適宜
用いた。
【0061】●試験番号44,45 所定量の原料古紙に苛性ソーダ(対原料)1%、珪酸ソ
ーダ(対原料)3%、30%過酸化水素水(対原料)3
%、脱墨剤として下記式(I)で示されるアミンEO/
PO付加物0.2%(対原料)及び温水を加え、パルプ
濃度5%、40℃で10分間離解した。得られたパルプ
スラリーを40℃にて60分間熟成を行った後、フロテ
ーション時の系中のAlイオン濃度とCaイオン濃度が
表6の濃度となるように調整した温水を加えてパルプ濃
度を1%とし、塩酸にてフロテーション時の系中のpH
が表6に示す値となるように調整し、40℃にて10分
間フロテーション処理を施し、実施例1と同様に抄紙し
た。 (C49)3-C-NH-(EO)10(PO)10H (I)。
【0062】●試験番号46,47 所定量の原料古紙に苛性ソーダ(対原料)1%、珪酸ソ
ーダ(対原料)3%、30%過酸化水素(対原料)3%、
脱墨剤としてステアリルアルコールのEO10モルPO
10モルブロック付加物(平均付加モル数)0.2%
(対原料)及び温水を加え、パルプ濃度5%、40℃で
10分間離解した。得られたパルプスラリーを40℃に
て60分間熟成を行った後、フロテーション時の系中の
Alイオン濃度とCaイオン濃度が表6の濃度となるよ
うに調整した温水を加えてパルプ濃度を1%とし、塩酸
にてフロテーション時の系中のpHが表6に示す値とな
るように調整し、非イオン性ポリアクリルアミド(ダイ
ヤフロック(株)製NP800)0.05%(対原料)
を添加し、40℃にて10分間フロテーション処理を施
し、実施例1と同様に抄紙した。なお、試験番号46は
更にフロテーション時の系中に硫酸アルミニウムを添加
してAlイオン濃度を調整した。
【0063】●試験番号48所定量の原料古紙に苛性ソ
ーダ(対原料)1%、珪酸ソーダ(対原料)3%、30
%過酸化水素(対原料)3%、脱墨剤としてステアリルア
ルコールのEO10モルPO10モルブロック付加物
(平均付加モル数)0.2%(対原料)及び温水を加え
てパルプ濃度5%、40℃で10分間離解した。得られ
たパルプスラリーを40℃にて60分間熟成を行った
後、フロテーション時の系中のAlイオン濃度とCaイ
オン濃度が表6の濃度となるように調整した温水を加え
てパルプ濃度を1%とし、塩酸にてフロテーション時の
系中のpHが表6に示す値となるように調整し、40℃
にて10分間フロテーション処理を施し、実施例1と同
様に抄紙した。
【0064】
【表6】
【0065】(注)表中のAlイオン濃度及びCaイオ
ン濃度はフロテーション時のものである。試験番号4
4,45(比較例)は古紙離解にインキ剥離性が弱い脱
墨剤を使用したためフロテーションで除去できない未剥
離インキが多く存在しパルプ品質が低いことが認められ
た。試験番号46,47(比較例)は、硫酸アルミニウ
ムとポリアクリルアミドの添加でインキがセルロースへ
再付着しパルプ品質が低下した。またフロテーション時
の発泡性が非常に増加し、パルプ歩留りが悪いことが認
められた。これに対して試験番号48(本発明の方法)
では、Al濃度、Ca濃度およびpHの調整を行うこと
により白色度の向上、残インキの低減と、更にパルプ歩
留りのアップが認められた。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、原料古紙から、白色度
が向上し、且つ残インキが低減した脱墨パルプが得ら
れ、漂白薬品(苛性ソーダ、珪酸ソーダ、過酸化水素、
キレート剤等)の節約とパルプ歩留りのアップによる製
造コストの節約が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D21C 5/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、原料古紙からインキを剥離
    する工程と、剥離したインキをフロテーション法により
    除去する工程とを含む脱墨方法において、下記(A)〜
    (E)から選ばれる1種又は2種以上の脱墨剤を用い、
    且つフロテーション時の系中のpHを4〜9とし、フロ
    テーション時の系中のアルミニウムイオン濃度を40p
    pm以下とすることを特徴とする脱墨方法。 (A)油脂と1価又は多価アルコールの混合物にアルキ
    レンオキサイドを付加して得られる反応生成物 (B)下記式で表される化合物 RCOO(AO)mR’ 〔式中、Rは炭素数7〜23のアルキル基又はアルケニ
    ル基、R’はH又は炭素数1〜22のアルキル基、アル
    ケニル基もしくはアシル基、AOは炭素数2〜4のオキ
    シアルキレン基、mは1以上の整数である。〕 (C)下記式で表される化合物 RO(AO)nH 〔式中、Rは炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニ
    ル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは
    1以上の整数である。〕 (D)炭素数8〜24の脂肪酸又はその塩 (E)多価カルボン酸もしくはその酸無水物にアルキレ
    ンオキサイドを付加して得られる反応生成物、又は、多
    価カルボン酸もしくはその酸無水物とアルコールとの混
    合物にアルキレンオキサイドを付加して得られる反応生
    成物
  2. 【請求項2】 フロテーション時の系中のカルシウムイ
    オン濃度が、10〜400ppmである請求項1記載の
    脱墨方法。
  3. 【請求項3】 フロテーション時の系中のカルシウムイ
    オン濃度が、100〜250ppmである請求項1記載
    の脱墨方法。
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