JP2974464B2 - ビスフェノールaの製造方法 - Google Patents

ビスフェノールaの製造方法

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JP2974464B2 JP3205865A JP20586591A JP2974464B2 JP 2974464 B2 JP2974464 B2 JP 2974464B2 JP 3205865 A JP3205865 A JP 3205865A JP 20586591 A JP20586591 A JP 20586591A JP 2974464 B2 JP2974464 B2 JP 2974464B2
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェノールとアセトン
とを反応させビスフェノールAを得る際の反応条件およ
び送液条件の制御方法に関する。詳しくは、フェノール
とアセトンとを反応させるに際し、コンピュータを利用
して反応機内の反応混合物の組成、ビスフェノールAの
飽和溶解度またはビスフェノールAとフェノールとの付
加物のスラリーの濃度等をオンラインで推定する等して
反応条件を制御し、かつ、得られた反応混合物の次工程
への送液条件を制御して高純度のビスフェノールAを製
造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビスフェノールAは、ポリカーボネート
樹脂やエポキシ樹脂の他、近年ではエンジニアリングプ
ラスチック等の原料としての需要が増大している。これ
らの用途には無色で高純度のビスフェノールAが要求さ
れる。高純度のビスフェノールAを製造する方法として
は、例えば、酸触媒の存在下でフェノールとアセトンと
を反応させ、反応混合物から触媒、水および少量のフェ
ノールを除いた該液状混合物を冷却することによってビ
スフェノールAをフェノールとの付加物として晶出さ
せ、この結晶を母液から分離し、該付加物からフェノー
ルを除去してビスフェノールAを回収する方法がある。
特開平01−180843号公報には、フェノールとアセトンを
連続式反応機内で反応させ未反応のアセトンを含有する
反応混合物を、回分式反応機で未反応アセトンが実質ゼ
ロとなるように塩酸触媒の存在下で完全に反応させた
後、精製工程で処理する方法が開示されている。この方
法は、反応により生ずる副生物や不純物をできるだけ少
なくし、そのことによって、後処理工程をできるだけ簡
略化し、高純度のビスフェノールAを製造する方法であ
るが、該方法を実施するために必要なリアルタイムな解
析および制御方法に関しては開示されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】連続式と回分式の2段
階で反応を行う場合、重要でかつ困難な技術は、常時変
化する操作環境、外乱により影響を受ける反応系につい
て、どのようにして目標条件を保持するかにある。実際
の問題としては、例えば、1段目の連続式反応機で反応
率が目標値以上になった場合、該反応機の内部でビスフ
ェノールAとフェノールの付加物が晶出して2段目の回
分式反応機への反応液の移送を困難にする。また、この
場合に、反応熱の除熱を外部熱交換器を用いて行うと該
付加物の結晶が熱交換器の伝熱効率を著しく低下せし
め、反応温度が上昇する。その結果、副生物および不純
物の生成が著しく増加し、後処理工程におけるそれらの
分離コストを増加させ、かつ、製品ビスフェノールAの
純度を低下させる要因となる。最悪の場合には、製造工
程全体の運転を停止しなければならない。
【0004】上記の問題を避けるために、逆に一段目の
反応率の目標値を低く設定すると、二段目の回分式反応
機での反応時間が長くなり、該反応器の大型化が必要と
なり、製造効率を著しく低下させる。これらの問題を解
決するために、適切な目標値を定め、実際の運転条件と
目標値を常に一致させるように、反応率の迅速かつ適切
な管理が重要である。反応を適切に管理するためには、
刻々の反応率を短時間で知る必要がある。反応率は、原
料であるフェノールおよびアセトン、触媒である塩酸、
生成するビスフェノールAおよび水、副生物、不純物な
どによって影響される。また、これらが気液固3相の相
平衡を形成しているため、反応率を常に管理し、かつ、
制御することは極めて困難である。また、2段目の回分
式反応機における反応が終了した後、得られたスラリー
状の反応混合物を、該反応混合物から塩化水素と水を留
去するために脱塩酸塔へ連続的に移送する際に別の問題
が生じる。回分式反応機より連続後処理工程へスラリー
を送液する場合、通常、バッファタンクが用いられる。
回分式反応機からの反応混合物のバッファタンクへの排
出は、通常は一定間隔で、ある場合には異なる間隔で間
欠的に実施される。バッファタンク内の該反応混合物
は、連続的に脱塩酸塔に供給される。スラリー状の反応
混合物を脱塩酸塔に供給する際に、該スラリー状の反応
混合物の組成またはスラリー濃度を可能な限り一定にす
る必要がある。これらが変動した場合、脱塩酸塔内にお
ける高さ方向の濃度分布を乱し、さらに、留出量が変動
する。その結果、塔内圧力が変動し、スラリーの濃度分
布の変動が増幅されるため、缶出液中に残存する塩化水
素が増加し、次の分離精製工程の装置類に悪影響を及ぼ
し、製品ビスフェノールAの最も重要な特性値である色
相を著しく悪化させることになる。上記の問題を避ける
ために、逆に、送液ラインに供給するフェノールの量を
常時過剰にしたり、脱塩酸塔の留出量を過大にすると、
フェノールが塩化水素、水とともに過剰に留出すること
になり、系内を循環するフェノールの量が増加する。そ
の結果、用役コストが過大となり、さらに、系外へのフ
ェノールの排出を防止するための設備も過大となるな
ど、ビスフェノールAの生産性を著しく悪化せしめるこ
とになる。
【0005】反応混合物の組成またはビスフェノールA
とフェノールの付加物のスラリー濃度を一定に維持する
ためには、回分式反応機内およびバッファタンク内にお
ける反応による該組成の変化、回分式反応機を洗浄する
フェノールの量、液面計をパージするフェノールの量な
どを考慮した物質収支を短時間で把握する必要がある。
回分式反応機内およびバッファタンク内における反応率
は、反応開始時に該回分式反応機に供給される混合物の
組成および反応中に経時的に変化する反応温度、さら
に、該反応混合物が気液固3相の相平衡を形成している
ことを考慮して初めて推定される。そのため、それらを
常時、管理し、かつ、制御することは極めて困難であ
る。本発明の目的は、フェノールとアセトンとからビス
フェノールAを製造するに際し、上記の問題点を解決
し、安定した反応制御と反応液の送液制御とを行うこと
により、高純度のビスフェノールAを製造する方法を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討し、フェノールとアセトンを
連続式または回分式反応機内で反応させる際に、反応条
件下における反応混合物の組成およびビスフェノールA
の飽和溶解温度等をコンピュータによりオンラインで推
定し、反応条件および反応混合物の次工程への送液条件
を自動的に制御することにより、上記の目的が達成され
ることを見出し本発明を完成するに到った。
【0007】すなわち、本発明の方法は、酸触媒の存在
下でフェノールとアセトンとからビスフェノールAを製
造する方法において、より詳しくは、 (1)原料、触媒および循環液をそれぞれ供給するライ
ン、反応機の内部温度および反応機のジャケット温度を
操作する手段、ならびに反応混合物の抜き出しラインを
包含してなる連続流通式反応機、または原料、触媒お
よび循環液をそれぞれ供給するライン、反応機の内部温
度および反応機のジャケット温度を操作する手段、反応
混合物を反応機の外部に循環させて反応混合物を冷却す
るための外部循環ラインおよび熱交換手段ならびに反応
混合物の抜き出しラインを包含してなる連続流通式反応
機、
【0008】(2)該連続流通式反応機から抜き出され
た、フェノールとアセトンとの反応によるビスフェノー
ルAを含有する反応混合物の供給ライン、反応機の内部
温度および反応機液面計を操作する手段、液面計用パー
ジフェノール供給ラインおよび反応混合物の排出ライン
を包含してなる回分式反応機、該回分式反応機から排
出される反応混合物の供給ラインと洗浄用フェノール供
給ラインを備え、かつ液面計用パージフェノール供給ラ
インを包含するバッファタンク、さらに該バッファタ
ンクの反応混合物を移送・供給するラインで連結され、
かつ追加フエノールの供給ラインを備えた脱塩酸塔を含
んでなる製造システムにより、酸触媒の存在下でフェノ
ールとアセトンとからビスフェノールAを製造する方法
において、
【0009】(a)前記連続流通式反応機による製造シス
テムにおいて、この製造システムに設けられた検知器お
よび信号回路を通じて、連続流通式反応機に供給され
る原料、触媒および循環液の流量と該循環液の組成、
該反応機内で該反応機内の反応混合物の液面および温度
を含む操作条件をコンピュータに入力し、反応混合物
の組成、ビスフェノールAの飽和溶解度およびビスフェ
ノールAとフェノールとの付加物のスラリー濃度をコン
ピュータの計算機構で演算して推定し、これらの推定
値を予め定められた設定値と対比して該反応機内で該付
加物の結晶が析出しないように、もしくは該付加物のス
ラリーが所定の濃度以上にならないように、該反応機へ
の原料および触媒の供給速度および該反応機からの反応
混合物の抜き出し速度を制御することを特徴とするビス
フェノールAの製造方法、
【0010】(b)外部に反応混合物を循環し冷却するた
めの熱交換器を設けた連続流通式反応機による製造シス
テムにおいて、この製造システムに設けられた検知器お
よび信号回路を通じて、連続流通式反応機に供給され
る原料、触媒および循環液の流量と該循環液の組成、
該反応機内の反応混合物の液面および温度を含む操作条
件の他に、該熱交換器へフィードする冷却水の量およ
び温度、該熱交換器へ循環する反応混合物の循環量およ
び温度を含む操作条件をコンピュータに入力し、該反
応機内および該熱交換器内の反応混合物の組成、ビスフ
ェノールAの飽和溶解温度およびビスフェノールAとフ
ェノールとの付加物のスラリー濃度コンピューターの計
算機構で演算して推定し、これらの推定値を予め定め
られた設定値と対比して、該反応機内で該付加物の結晶
が析出しないように、もしくは該付加物のスラリーが所
定の濃度以上にならないように、該反応機への原料およ
び触媒の供給速度および該反応機からの反応混合物の抜
き出し速度を制御し、かつ該熱交換器における反応混合
物の被冷却表面温度がビスフェノールAの飽和溶解温度
または過飽和温度以下にならないように該熱交換器によ
る除熱量を制御することを特徴とするビスフェノールA
の製造方法、
【0011】(c)前記回分式反応機において、この製造
システムに設けられた検知器および信号回路を通じて、
該回分式反応機に供給される反応原料混合物の組成お
よび温度をコンピュータに入力し、該反応機内の反応
混合物の組成の経時的変化を数値積分により計算し、
反応終了時における反応混合物の組成およびビスフェノ
ールAとフェノールとの付加物のスラリー濃度を、コン
ピュータの計算機構で演算して推定し、これらの推定
値を目標値と対比して、反応工程より脱塩酸工程へ連続
的に供給される該反応混合物の組成または該スラリー濃
度が一定となるよう、追加するフエノールの量を制御し
て該スラリー濃度を調整することを特徴とするビスフェ
ノールAの製造方法、
【0012】(d) ならびに、上記(a)と(c)または(b)と
(c)を組み合わせて実施するビスフェノールAの製造方
法である。具体的には、前記の連続流通式反応機、回分
式反応機、バッファタンクおよび脱塩酸塔を包含してな
る製造システムにより、酸触媒の存在下でフェノールと
アセトンとからビスフェノールAを製造する方法におい
て、この製造システムに設けられた検知器および信号回
路を通じて、第1段階で連続流通式反応機に供給され
る原料、触媒および循環液の流量と該循環液の組成、
該反応機内の反応混合物の液面および温度、回分式反
応機内の反応混合物の温度を含む操作条件をコンピュー
タに入力し、連続流通式反応機の反応混合物の組成、
ビスフェノールAの飽和溶解度およびビスフェノールA
とフェノールとの付加物のスラリー濃度をコンピュータ
の計算機構で演算して推定し、これらの推定値を予め
定められた設定値と対比して、該反応機内で該付加物の
結晶が析出しないように、もしくは該付加物のスラリー
濃度が所定の濃度以上にならないように、該反応機への
原料および触媒の供給速度、該反応機からの反応混合物
の抜き出し速度を制御し、かつ、第2段階で該回分式
反応混合物の温度をコンピュータで入力し、該反応機
内の反応混合物の組成の経時的変化を数値積分により計
算し、該反応機での反応終了時における反応混合物の
組成およびビスフェノールAとフェノールとの付加物の
スラリー濃度を、コンピューターの計算機構で演算して
推定し、これらの推定値を目標値と対比して、反応工
程より脱塩酸工程へ連続的に供給される該反応混合物の
組成または該スラリー濃度が一定となるよう、追加する
フェノール量を制御して該スラリー濃度を調整すること
を特徴とするビスフェノールAの製造方法、
【0013】および、前記の外部循環ラインを有する連
続流通式反応機、回分式反応機、バッファタンクおよび
脱塩酸塔を包含してなる製造システムにより、酸触媒の
存在下でフェノールとアセトンとからビスフェノールA
を製造する方法において、この製造システムに設けられ
た検知器および信号回路を通じて、第1段階で連続流
通式反応機に供給される原料、触媒および循環液の流量
と該循環液の組成、該反応機内の反応混合物の液面お
よび温度を含む操作条件の他に、該熱交換器にフィー
ドする冷却水の量および温度、熱交換器へ循環する反応
混合物の循環量および温度を含む操作条件をコンピュー
ターに入力し、該反応機および該熱交換器内の反応混
合物の組成、ビスフェノールAの飽和溶解度およびビス
フェノールAとフェノールとの付加物のスラリー濃度を
コンピュータの計算機構で演算して推定し、これらの
推定値を予め定められた設定値と対比して、該反応機内
で該付加物の結晶が析出しないように、もしくは該付加
物のスラリー濃度が所定の濃度以上にならないように、
該反応機への原料および触媒の供給速度、該反応機から
の反応混合物の抜き出し速度を制御し、かつ、熱交換器
における反応混合物の被冷却温度がビスフェノールAの
飽和溶解度温度または過飽和溶解度温度以下にならない
ように該熱交換器による除熱量を制御し、さらに第2段
階で該回分式反応器内の反応混合物の温度をコンピュ
ータで入力し、該回分式反応機内の反応混合物の組成
の経時的変化を数値積分により計算し、反応終了時に
おける反応混合物の組成およびビスフェノールAとフェ
ノールとの付加物のスラリー濃度を、コンピューターの
計算機構で演算して推定し、これらの推定値を目標値
と対比して、反応工程より脱塩酸工程へ連続的に供給さ
れる該反応混合物の組成または該スラリー濃度が一定と
なるよう、追加するフェノール量を制御して該スラリー
濃度を調整することを特徴とするビスフェノールAの製
造方法である。
【0014】本発明の方法で使用する製造システムは、
酸触媒の存在下でフェノールとアセトンとからビスフェ
ノールAを製造する方法に係わるものである。すなわ
ち、原料、触媒および循環液をそれぞれ供給するライ
ン、反応機の内部温度および反応機のジャケット温度を
操作する手段、ならびに反応混合物の抜き出しラインを
包含してなる、またはさらに反応混合物を反応機の外部
に循環させて反応混合物を冷却するための外部循環ライ
ンおよび熱交換手段を包含してなる連続流通式反応機、
該連続流通式反応機から抜き出された、フェノールと
アセトンとの反応によるビスフェノールAを含有する反
応混合物の供給ライン、反応機の内部温度および反応機
液面計を操作する手段、液面計用パージフェノールライ
ンおよび反応混合物の排出ラインを包含してなる回分式
反応機、該回分式反応機から排出される反応混合物の
供給ラインと洗浄用フェノール供給ラインを備え、かつ
液面計用パージフェノールラインを包含するバッファタ
ンク、さらに該バッファタンクの反応混合物を移送・
供給するラインで連結され、かつ追加フエノールの供給
ラインを備えた脱塩酸塔、を含んでなる製造システムに
より、酸触媒の存在下でフェノールとアセトンとからビ
スフェノールAを製造する方法に係わるものである。
【0015】このシステムを具体的に示すプロセスフロ
ーダイアグラムは図1および図4に示される。この図1
において、連続流通式反応機5には、原料であるフェノ
ール、アセトンの混合液、触媒である塩化水素ガスがそ
れぞれライン11,12より連続的に供給される。また、後
処理工程から回収フェノール、生成水および塩化水素ガ
スなどの混合物が循環(回収)液として循環液フィード
ライン13により連続流通式反応機5へ回収される。一
方、反応混合物は、連続流通式反応機5内の液面を一定
に保持するよう反応混合物抜き出しライン14より抜き出
される。反応混合液の除熱は、反応機ジャケット4に循
環する冷却水の水量をバルブ25cにより調整することに
より行われる。また、より低温度に反応温度を保持する
場合は、反応混合物を反応混合物外部循環ライン15によ
り外部循環し外部熱交換器2により冷却してもよい。
【0016】また、図4において、連続流通式反応機52
より、未反応のアセトンを含む反応混合物が、反応混合
物移液ライン61および、液分配器53を経由して反応混合
物仕込みライン62などにより1乃至数基の回分式反応機
54に順次仕込まれる。所定の反応時間が経過した後、ア
セトン濃度が実質上ゼロとなった反応混合物が反応混合
物排出ライン63よりバッファタンク55に排出される。バ
ッファタンク55に排出された反応混合物は、ポンプ58に
より脱塩酸塔56に連続的に供給される。液面計用パージ
フエノールライン69から、液面計77へのスラリー付着防
止用に反応混合物存在時にパージ用フェノールが供給さ
れ、さらに、液面計用パージフエノールライン71からも
液面計78へのスラリー付着防止用に常時、パージ用フェ
ノールが供給されている。また、反応混合物のバッファ
タンク55への排出時に、排出ライン閉塞防止のため洗浄
用フェノールがライン70より供給される。パージ用フェ
ノールの量はそれぞれパージ用フェノール流量計73およ
び75により、また、洗浄用フェノールの量は洗浄用フェ
ノール流量計74により計測される。
【0017】これらの製造システムにおける本発明の制
御方法は、連続流通式反応機において、その一つが、コ
ンピユータ1を利用して、反応機に供給される原料、触
媒および循環液の流量と該循環液の組成、該反応機内の
反応混合物の液面および温度を含む操作条件から反応機
内のビスフェノールAの濃度をオンラインで推定し、反
応混合物の抜き出しバルブ14cおよび/または原料フィ
ードバルブ11c と触媒フィードバルブ12c の開度を操作
量とし、反応混合物の組成、特に、ビスフェノールAの
濃度を制御する方法であり、他の一つが、さらに上記操
作条件の他に、該熱交換器へフィードする冷却水の量お
よび温度、該熱交換器へ循環する反応混合物の循環量お
よび温度を含む操作条件から、反応混合物の組成および
ビスフェノールAの飽和溶解温度をオンラインで推定
し、反応混合物の抜き出しバルブ14c および/または原
料フィードバルブと触媒フィードバルブ12c の開度を操
作量とし、反応混合物の組成、特に、ビスフェノールA
の濃度を制御し、且つ、該熱交換器による除熱量を冷却
水バルブ16c の開度を操作量として制御する方法であ
る。
【0018】さらに、回分式反応機において、該反応機
に供給される反応混合物の組成および該反応機の温度か
ら該反応機内の反応混合物の組成の経時的変化を数値積
分により計算し、また洗浄用フェノールおよびパージ用
フェノールの量をコンピユータに入力し、反応終了時に
おける反応混合物の組成およびビスフェノールAとフェ
ノールとの付加物のスラリー濃度を、コンピュータによ
りオンラインで推定し、反応機からバッファタンクを経
て脱塩酸塔に送液される反応混合物の組成およびビスフ
ェノールAとフェノールとの付加物のスラリー濃度が目
標値となるように、追加フェノールライン66におけるバ
ルブ66cの開度を操作量とし、脱塩酸塔56に供給する反
応混合物の組成を制御する方法である。
【0019】このようなシステムを使用してなる本発明
の特徴は、ビスフェノールAを連続流通式反応機および
/または回分式反応機を用いて1段または2段階の反応
で製造する方法において、(1)1段目の連続流通式反応
機における反応を、反応機内のビスフェノールAの濃度
を推定し、ビスフェノールAとフェノールとの付加物が
晶出しない範囲に操作条件を保ち、より具体的には、反
応混合物中のビスフェノールAの濃度を10〜25重量%に
保ち、かつ、ビスフェノールAの飽和溶解温度−10〜該
飽和溶解温度+10℃の範囲内に反応温度を保つように操
作条件を管理および制御して実施し、また(2)、ビスフ
ェノールAの濃度を上記の推定値に保たれた反応混合物
を2段目の回分式反応機に供給し、所定時間反応させた
後、バッファタンクへ排出し、さらに、バッファタンク
から脱塩酸塔へ供給する過程における反応混合物の組成
およびビスフェノールAとフェノールとの付加物のスラ
リー濃度を推定し、バッファタンクから塩酸除去塔へ送
液する反応混合物の組成およびビスフェノールAとフェ
ノールとの付加物のスラリー濃度が目標値となるよう
に、供給するフェノールの量を制御することにある。本
発明において重要な点は反応条件と送液条件の制御であ
る。常時変化する環境、外乱により影響を受ける反応系
について、センサーなどにより直接計測できないプロセ
ス値を実時間、溶解度式等に基づくモデルによりオンラ
インで計算し推定することにある。
【0020】さらに、連続流通式反応機内における反応
混合物の除熱を行うための外部熱交換器が設置されてい
る場合には、温度が最低値となると推定される場所にお
ける操作条件を管理、制御することが必要である。該熱
交換器の出口付近の冷媒と接触する壁面近傍の温度を熱
伝導則に基づき実時間(リアルタイム)で推定し、該箇
所の温度が、ビスフェノールAとフェノールとの付加物
が晶出しない温度となるよう該熱交換器も含めた反応系
の操作条件を常時保つことで達成される。外部熱交換器
出口でビスフェノールAとフェノールとの付加物の結晶
が生成した場合、これが種晶となり反応機内部でビスフ
ェノールAを含む反応混合物が過飽和状態にあった場合
に、反応機内の反応混合物全体が結晶化してしまうこと
になるからである。通常、該結晶は過飽和状態となった
時に生じる。結晶の生成熱により反応温度が上昇すると
副生物および不純物の生成量が増加する。また、生じた
結晶を溶解させるために余分な熱エネルギーと時間、労
力を要する。さらに、反応系を大きく乱す要因となり生
産性を著しく悪化させる。その上、反応混合物を2段目
の回分式反応機へ移液する際の移液ラインの閉塞に繋が
り、生産性を著しく悪化させることになる。
【0021】回分式反応の終了時点において重要な点
は、脱塩酸塔へ供給する反応混合物の組成またはビスフ
ェノールAとフェノールとの付加物のスラリー濃度の制
御である。回分式反応機から間欠的にバッファタンクへ
毎回異なった組成、スラリー濃度を有する反応混合物が
排出されると、脱塩酸塔へ供給される反応混合物の組成
およびビスフェノールAとフェノールとの付加物のスラ
リー濃度が変動する。これらはセンサーなどにより直接
計測することが不可能なプロセス値である。本発明は、
このようなプロセス値を実時間、オンラインで溶解度式
等に基づくモデルにより計算し推定することを可能とし
た。
【0022】本発明の制御方法の一例を示す図2および
図5のブロックフロー図により具体的な制御方法を示
す。前記の連続流通式反応機を使用するシステムにおけ
る具体的な制御方法を示すブロックフローは図2の通り
であり、制御の方法としては2種類の制御ループがあ
る。その一つは、例えば、生産量を一定とする場合に
は、原料・触媒は一定流量に固定されるが、循環液量は
後の工程の変動の影響を受けるので、反応混合物の抜き
出しバルブ14cの開度を操作量とし、該反応機への原料
および触媒の供給速度、反応混合物の組成、特に、ビス
フェノールAの濃度を制御する方法である。また、他の
例として、生産量を変化させる場合には、原料フィード
バルブ11c、触媒フィードバルブ12cおよび反応混合物の
抜き出しバルブ14c の開度を操作量とし、反応混合物の
組成、特に、ビスフェノールAの濃度を制御する方法で
ある。
【0023】原料、触媒、循環液それぞれの流量を流量
計17、18および19の発信信号、連続流通式反応機5内の
反応混合物温度計24の発信信号をコンピュータ1にオン
ラインで入力する。また、連続流通式反応機への循環液
については同様にコンピュータ1に流量計19の発信信号
を入力する他、組成として別途コンピュータ1による後
処理工程に関する解析で推定した数値を採用する(図2
のステップ31、32、33)。以上の入力情報に基づき、反
応機まわりの物質収支を実時間で計算し反応混合物の組
成を推算することができる(図2のステップ34)。上記
に関しては、副反応も考慮したビスフェノールA生成反
応の動力学的知見および各成分についての溶解度、例え
ば、図3に示す溶解度曲線図などの相平衡に関する各種
実験データに基づき別途推算したものをコンピュータ1
にロジックとして組み込んで実施する。用いるビスフェ
ノールAの溶解度等の推算式は、触媒である塩化水素ガ
スの反応混合物中への溶解度や他の成分の存在も考慮し
たものとする。コンピュータ1により反応混合物の組成
を推算し、その時の反応条件下において、ビスフェノー
ルAの濃度が反応混合物に対する過飽和溶解度を考慮し
た飽和溶解度を越えないか、あるいは飽和溶解度よりや
や低い濃度となるうに、反応混合物の組成、ビスフェノ
ールAの飽和溶解度およびビスフェノールAとフェノー
ルとの付加物のスラリー濃度を設定する(図2のステッ
プ35) 。具体的制御法としては、ビスフェノールAの組
成が設定値を超えたとき、生成率を低くするため反応混
合物の平均滞留時間を下げるために、コンピュータ1に
より反応混合物の抜き出し量が多くなるよう、反応混合
物の抜き出しライン14のバルブ14cの開度を大きくす
る。設定値より低い場合はその逆の操作を行えば良い
(図2のステップ36)。同様にして、生産量を増加、あ
るいは減少させる場合には、原料フィードバルブ11cと
触媒フィードバルブ12c の開度を制御し、遅れて変動が
現われる循環液流量13に応じて反応混合物の抜き出しラ
イン14のバルブ14c の開度を制御すればよい。
【0024】他の方法は、外部熱交換器2を用いる場合
であり、外部熱交換器2へ冷却水ライン16よりフィード
する冷却水のバルブ16cの開度、もしくは、循環ポンプ
3による外部熱交換器2への反応混合物の外部循環量21
を操作量とし、外部熱交換器出口における反応混合物の
温度20、好ましくは該熱交換器の伝熱表面温度を制御す
ることが重要である。具体的には、連続流通式反応機5
内の反応混合物の組成は、上記方法により推算される
が、別途、外部熱交換器2へのフィード冷却水量22、同
温度23および外部熱交換器2への反応混合物の循環量2
1、同温度24をコンピュータ1にオンラインで入力し、
外部熱交換器伝熱面の熱移動速度を考慮した外部熱交換
器2まわりの熱収支を計算することにより、反応混合物
の温度が最も低温になる外部熱交換器2の反応混合物出
口部における伝熱面の温度を推定し(図2のステップ3
7)、別途コンピュータ1に組み込まれた推算式から算
出される反応混合物組成に対応する過飽和溶解温度、好
ましくは飽和溶解温度を設定値として推定し(図2のス
テップ38)、この設定値より上記伝熱面の温度が低くな
らないよう、外部熱交換器2へのフィード冷却水量バル
ブ16cの開度を調整する(図2のステップ39)ことで達
成される。
【0025】次に、回分式反応機を使用するシステムに
おける具体的な制御方法をを示すブロックフローは図5
の通りである。通常、プロセスの流れとして、連続的に
生産させることを目的として回分式反応機14は複数基が
使用される。回分式反応機内の反応混合物の組成および
スラリー濃度の経時的変化を計算するには、まず、連続
流通式反応機52からの反応混合物が、回分式反応機54に
仕込まれ始める状態をバルブ62cの状態より自動検知
し、これを初期値として(ステップ81)、反応混合物の
組成、温度を考慮した反応速度計算を含めた数値積分を
行うことによる(ステップ83)。反応終了後、反応混合
物が回分式反応機54より排出され液面計77の支持値がゼ
ロになる時点まで計算を行う。同様に、バッファタンク
55についても、常時数値積分手法により、反応混合物の
組成の経時的変化を推算する(ステップ85)。脱塩酸塔
供給ライン76中の反応混合物の組成あるいはスラリー濃
度を目標値に保持する方法は、バッファタンク55内の反
応混合物が脱塩酸塔56にフィードされる組成を、濃度調
整用の追加フェノールとの混合状態について計算し(ス
テップ86)、この濃度が常に目標値となるように、該追
加フェノール流量を計算し、これを設定値としバルブ66
cの開度を調整することで達成される(ステップ87,8
8)。上記計算に関しては、副反応も考慮したビスフェ
ノールA製造反応の動力学的知見および各成分について
の溶解度などの相平衡を、各種実験データに基づき別途
推算したものをコンピュータ51にロジックとして組み込
み実施する。
【0026】上記のそれぞれ説明した本願発明の製造シ
ステムおよび制御方法は、本願のシステムを組み合わせ
た本願のシステムにおいて有効であり、また本願のシス
テムを他のシステムと組み合わせても本願の特長を有効
に活用されたシステムを構築することが出来る。
【0027】
【作用および効果】本発明の方法にしたがって連続式反
応を行うことにより、反応混合物よりビスフェノールA
とフェノールとの付加物の結晶を生成させない範囲で最
大の反応率とすることができる。また、反応中に外部冷
却器を用いて反応混合物を冷却した場合でも、該冷却器
でビスフェノールAとフェノールとの付加物の結晶が生
成することがない。そのため、反応温度のバラツキを防
止でき、不純物の生成量がすくない。また、反応機から
の反応混合物の抜き出し操作が容易、かつ、安定して実
施でき、次工程の操作を乱すことがない。回分式反応を
行ない生成した反応混合物が間欠的にバッファタンクに
排出された場合でも、連続的に運転される脱塩酸塔に供
給する反応混合物の組成を目標値に制御することが可能
で、そのため、脱塩酸塔の操作条件を乱すことがなく、
高品質のビスフェノールAを製造することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明の方法をさらに具
体的に説明する。なお,%は特に断らない限り、重量%
を表す。 実施例1 原料であるフェノールとアセトンとをモル比6:1で混
合し、予め55℃に制御されている連続流通式反応機に連
続的に装入した。これに触媒である塩化水素を連続的に
吹き込んだ。反応機に供給される原料および触媒の質量
流量、反応機内の反応混合物の液面および温度はオンラ
インで10秒周期でコンピュータにより収集し、これらの
データよりビスフェノールAなど各成分の濃度および反
応温度における飽和溶解度を推定し、ビスフェノールA
の濃度が飽和溶解度+2%を保持する平均滞留時間とな
るよう、コンピュータの出力により反応混合物の抜き出
し流量を調整することにより反応機の液面を制御した。
連続的に抜き出される反応混合物の組成については、ア
セトン転化率が55%で、O,P'−異性体、ジアニン化合物
がビスフェノールAに対して各々、3.2%、0.3%
生成しており、ビスフェノールAとフェノールの付加物
の結晶の析出に伴う液の懸濁は認められなかった。
【0029】比較例1 実施例1において、手動で反応機内反応混合物の滞留時
間を制御したところ、フィード原料組成の変動により反
応機内反応混合物中にビスフェノールAとフェノールの
付加物の結晶が発生した。その結果、反応混合物の反応
機からの抜き出しが困難であり、かつ、抜き出し量を一
定に制御できず、次工程の操作が著しく不安定となっ
た。
【0030】実施例2 原料であるフェノールとアセトンとをモル比6:1で混
合し、予め55℃に制御されている外部熱交換器(冷却
器) 付きの反応機に連続的に装入した。これに触媒であ
る塩化水素を連続的に吹き込んだ。反応機に供給される
原料および触媒の質量流量、反応機内の反応混合物の液
面および温度はオンラインで10秒周期でコンピュータに
より収集し、これらのデータよりビスフェノールAなど
各成分の濃度および反応温度における飽和溶解度を推定
し、ビスフェノールAの濃度が飽和溶解度+2%を保持
する平均滞留時間となるよう、コンピュータの出力によ
り反応混合物の抜き出し流量を調整することにより反応
機の液面を制御した。同時に外部熱交換器の出口におけ
る伝熱管表面温度を推定し、反応混合物の組成に対する
ビスフェノールAの飽和溶解温度を推定し、該飽和溶解
温度より伝熱管表面温度が低くならないよう外部熱交換
器の冷却水流量を調整した。反応機より連続的に抜き出
される反応混合物の組成について、アセトン転化率が55
%で、O,P'−異性体、ジアニン化合物がビスフェノール
Aに対して各々、3.2%、0.3%生成しており、反
応混合物の結晶の析出に伴う液の懸濁は認められなかっ
た。
【0031】比較例2 実施例2において、手動で外部熱交換器の出口の温度を
制御したところ、外部熱交換器の出口付近で反応混合物
が結晶化し、それが種晶となり反応機内反応混合物にお
いても結晶が発生した。その結果、反応混合物の反応機
からの抜き出しが困難であり、かつ、抜き出し量を一定
に制御できず、次工程の操作が著しく不安定となった。
【0032】実施例3 フェノール(流量:564kg/h)とアセトン(流
量:58kg/h)を混合して、55℃に制御されてい
る連続流通式反応機に連続的に挿入した。同時に、これ
に塩化水素を連続的に吹き込んでフェノールとアセトン
を55℃において反応させた。連続流通式反応機に連続
的に供給される上記原料および触媒の流量、反応機内の
反応混合物の温度に関するデータはオンラインで10秒周
期でコンピュータにより収集し、これらのデータから、
反応機内の反応混合物の組成およびビスフェノールAの
飽和溶解度、または、ビスフェノールAとフェノールと
の付加物のスラリー濃度を推定した。上記の推定値に基
づいて、反応混合物の連続流通式反応機での平均滞留時
間が0.8時間となるよう該反応機から反応混合物を連
続的に抜き出した。その結果、ビスフェノールAとフェ
ノールとの付加物の結晶が該反応機内で析出することが
なかった。この条件におけるアセトンの転化率は25%
であった。次に、該反応混合物を内容積1.2m3 の回
分式反応機に1.2時間で仕込み、塩化水素ガスを吹き
込みながら攪拌下に9時間反応させた。反応終了後、反
応混合物を内容積1.5m3 のバッファタンクに排出し
た。さらに、バッファタンク中の反応混合物を約650
kg/hの流量で連続的に脱塩酸塔に供給した。この
時、回分式反応機およびバッファタンクまわりの流量、
温度、液面、移液用バルブ開閉信号のプロセス値をオン
ラインで10秒周期でコンピュータを用いて収集した。こ
れらのデータから、回分式反応機における反応終了時の
反応混合物の組成およびスラリーの濃度をオンラインで
計算した。その結果に基づいて、脱塩酸塔供給ラインに
おけるビスフェノールAの濃度が28重量%で一定とな
るように、追加フェノールの流量を調整した。追加フェ
ノールの平均流量は40kg/hrであった。また、1
0分毎にサンプリングして定量分析した結果、脱塩酸塔
缶出液中の塩化水素濃度は、3〜10ppmであった。
【0033】比較例3 実施例3において、脱塩酸塔供給ラインに混合させるフ
ェノールの流量を、ビスフェノールAの濃度が約28重
量%になるように、制御することなしに一定流量40k
g/hrの流量で連続的に供給した。10分毎にサンプ
リングし定量分析した結果、脱塩酸塔缶出液中の塩化水
素濃度は、5〜43ppmであり、実施例3と比較する
と、脱塩酸した反応混合物に赤茶色系の着色が認められ
た。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の連続流通反応機での実施態様を
示すプロセスフローダイアグラムである。
【図2】本発明の連続流通反応機での解析および制御方
法を示すブロックフロー図である。
【図3】反応混合物に対するビスフェノールAの溶解度
曲線図である。
【図4】本発明の方法の回分式反応機での実施態様を示
すプロセスフローダイアグラムである。
【図5】本発明の回分式反応機での解析および制御方法
を示すブロックフロー図である。
【符号の説明】
1−コンピュータ、 2−外部熱交換器、 3−反応混合物外部循環ポンプ、 4−反応機ジャケット 5−反応機、 11−原料フィードライン、 12−触媒フィードライン、 13−循環液フィードライン、 14−反応混合物抜き出しライン、 15−反応混合物外部循環ライン、 16−冷却水ライン、 17−フィード原料流量計、 18−フィード触媒流量計、 19−循環液流量計、 20−外部循環液温度計、 21−外部循環液流量計、 22−冷却水流量計、 23−冷却水温度計、 24−反応機温度計、 25−ジャケット冷却水ライン。 11c −原料フィードバルブ、 12c −触媒フィードバルブ、 14c −反応混合物抜き出しバルブ 16c −冷却水バルブ、 25c −ジャケット冷却水バルブ、 51−コンピュータ、 52−連続流通式反応機、 53−液分配器、 54−回分式反応機、 55−バッファタンク、 56−脱塩酸塔、 57,58−ポンプ、 61−反応混合物移液ライン、 62−反応混合物仕込みライン 63−反応混合物排出ライン、 64−反応混合物供給ライン、 66−追加フェノール供給ライン、 66C −追加フェノール制御バルブ、 67−脱塩酸塔留出ガスライン、 68−脱塩酸塔缶出液ライン、 69,71 −液面計用パージフェノールライン、 70−洗浄用フェノールライン、 72−反応混合物流量計、 73,75 −パージ用フェノール流量計、 74−洗浄用フェノール流量計、 76−脱塩酸塔供給ライン、 77−回分式反応機液面計、 78−バッファタンク液面計、 79−回分式反応機温度計、 62c −反応混合物仕込み制御バルブ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 祝部 敏夫 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (72)発明者 川村 継夫 東京都千代田区霞が関三丁目2番5号 三井東圧化学株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 37/20 C07C 39/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料、触媒および循環液をそれぞれ供給
    するライン、反応機の内部温度および反応機のジャケッ
    ト温度を操作する手段、ならびに反応混合物の抜き出し
    ラインを包含してなる連続流通式反応機による製造シス
    テムにより、酸触媒の存在下でフェノールとアセトンと
    からビスフェノールAを製造する方法において、この製
    造システムに設けられた検知器および信号回路を通じ
    て、連続流通式反応機に供給される原料、触媒および
    循環液の流量と該循環液の組成、該反応機内の反応混
    合物の液面および温度を含む操作条件をコンピュータに
    入力し、該反応器機内の反応混合物の組成、ビスフェ
    ノールAの飽和溶解度およびビスフェノールAとフェノ
    ールとの付加物のスラリー濃度をコンピュータの計算機
    構で演算して推定し、これらの推定値を予め定められ
    た設定値と対比して、該反応機内で該付加物の結晶が析
    出しないように、もしくは該付加物のスラリー濃度が所
    定の濃度以上にならないように、該反応機への原料およ
    び触媒の供給速度および該反応機からの反応混合物の抜
    き出し速度を制御することを特長とするビスフェノール
    Aの製造方法。
  2. 【請求項2】 原料、触媒および循環液をそれぞれ供給
    するライン、反応機の内部温度および反応機のジャケッ
    ト温度を操作する手段、反応混合物を反応機の外部に循
    環させて反応混合物を冷却するための外部循環ラインお
    よび熱交換手段、ならびに反応混合物の抜き出しライン
    を包含してなる連続流通式反応機による製造システムに
    より、酸触媒の存在下でフェノールとアセトンとからビ
    スフェノールAを製造する方法において、この製造シス
    テムに設けられた検知器および信号回路を通じて、連
    続流通式反応機に供給される原料、触媒および循環液の
    流量と該循環液の組成、該反応機内の反応混合物の液
    面および温度を含む操作条件の他に、該熱交換器へフ
    ィードする冷却水の量および温度、該熱交換器へ循環す
    る反応混合物の循環量および温度を含む操作条件をコン
    ピュータに入力し、該反応器機内および該熱交換器内
    の反応混合物の組成、ビスフェノールAの飽和溶解度お
    よびビスフェノールAとフェノールとの付加物のスラリ
    ー濃度をコンピュータの計算機構で演算して推定し、
    これらの推定値を予め定められた設定値と対比して、該
    反応機内で該付加物の結晶が析出しないように、もしく
    は該付加物のスラリー濃度が所定の濃度以上にならない
    ように、該反応機への原料および触媒の供給速度、該反
    応機からの反応混合物の抜き出し速度を制御し、かつ、
    熱交換器における反応混合物の被冷却温度がビスフェノ
    ールAの飽和溶解度温度以下にならないように熱交換器
    による除熱量を制御することを特徴とするビスフェノー
    ルAの製造方法。
  3. 【請求項3】 (1)連続流通式反応機から抜き出された
    フェノールとアセトンとの反応によるビスフェノールA
    を含有する反応混合物の供給ライン、反応機の内部温度
    および反応機液面計を操作する手段、液面計用パージフ
    ェノール供給ラインおよび反応混合物の排出ラインを包
    含してなる回分式反応機、(2)該回分式反応機から排出
    される反応混合物の供給ラインと洗浄用フェノール供給
    ラインを備え、かつ液面計用パージフェノール供給ライ
    ンを包含するバッファタンク、(3)該バッファタンク内
    の反応混合物を移送・供給するラインで連結され、かつ
    追加フエノールの供給ラインを備えた脱塩酸塔、を含ん
    でなる製造システムにより、酸触媒の存在下でフェノー
    ルとアセトンとからビスフェノールAを製造する方法に
    おいて、この製造システムに設けられた検知器および信
    号回路を通じて、該回分式反応機に供給される反応原
    料混合物の組成および温度をコンピュータに入力し、
    該反応機内の反応混合物の組成の経時的変化を数値積分
    により計算し、反応終了時における反応混合物の組成
    およびビスフェノールAとフェノールとの付加物のスラ
    リー濃度を、コンピュータの計算機構で演算して推定
    し、これらの推定値を目標値と対比して、反応工程よ
    り脱塩酸工程へ連続的に供給される該反応混合物の組成
    または該スラリー濃度が一定となるよう、追加するフエ
    ノールの量を制御して該スラリー濃度を調整することを
    特徴とするビスフェノールAの製造方法、
  4. 【請求項4】 (1)原料、触媒および循環液をそれぞれ
    供給するライン、反応機の内部温度および反応機のジャ
    ケット温度を操作する手段、ならびに反応混合物の抜き
    出しラインを包含してなる連続流通式反応機、(2)連続
    流通式反応機から抜き出されたフェノールとアセトンと
    の反応によるビスフェノールAを含有する反応混合物の
    供給ライン、反応機の内部温度および反応機液面計を操
    作する手段、液面計用パージフェノール供給ラインおよ
    び反応混合物の排出ラインを包含してなる回分式反応
    機、(3)該回分式反応機から排出される反応混合物の供
    給ラインと洗浄用フェノール供給ラインを備え、かつ液
    面計用パージフェノール供給ラインを包含するバッファ
    タンク、(4)該バッファタンク内の反応混合物を移液・
    供給するラインで連結され、かつ追加フェノール供給ラ
    インを備えた脱塩酸塔、包含してなる製造システムによ
    り、酸触媒の存在下でフェノールとアセトンとからビス
    フェノールAを製造する方法において、この製造システ
    ムに設けられた検知器および信号回路を通じて、 第1段階;連続流通式反応機に供給される原料、触媒
    および循環液の流量と該循環液の組成、該反応機内の
    反応混合物の液面および温度、回分式反応機内の反応
    混合物の温度を含む操作条件をコンピュータに入力し、
    連続流通式反応機の反応混合物の組成、ビスフェノー
    ルAの飽和溶解度およびビスフェノールAとフェノール
    との付加物のスラリー濃度をコンピュータの計算機構で
    演算して推定し、これらの推定値を予め定められた設
    定値と対比して、該反応機内で該付加物の結晶が析出し
    ないように、もしくは該付加物のスラリー濃度が所定の
    濃度以上にならないように、該反応機への原料および触
    媒の供給速度、該反応機からの反応混合物の抜き出し速
    度を制御し、かつ、 第2段階;該回分式反応混合物の温度をコンピュータ
    で入力し、該反応機内の反応混合物の組成の経時的変
    化を数値積分により計算し、該反応機での反応終了時
    における反応混合物の組成およびビスフェノールAとフ
    ェノールとの付加物のスラリー濃度を、コンピューター
    の計算機構で演算して推定し、これらの推定値を目標
    値と対比して、反応工程より脱塩酸工程へ連続的に供給
    される該反応混合物の組成または該スラリー濃度が一定
    となるよう、追加するフェノール量を制御して該スラリ
    ー濃度を調整することを特徴とするビスフェノールAの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 (1)原料、触媒および循環液をそれぞれ
    供給するライン、反応機の内部温度および反応機のジャ
    ケット温度を操作する手段、反応混合物を反応機の外部
    に循環させて反応混合物を冷却するための外部循環ライ
    ンおよび熱交換手段、ならびに反応混合物の抜き出しラ
    インを包含してなる連続流通式反応機、(2)連続流通式
    反応機から抜き出されたフェノールとアセトンとの反応
    によるビスフェノールAを含有する反応混合物の供給ラ
    イン、反応機の内部温度および反応機液面計を操作する
    手段、液面計用パージフェノール供給ラインおよび反応
    混合物の排出ラインを包含してなる回分式反応機、(3)
    該回分式反応機から排出される反応混合物の供給ライン
    と洗浄用フェノール供給ラインを備え、かつ液面計用パ
    ージフェノール供給ラインを包含するバッファタンク、
    (4)該バッファタンク内の反応混合物を移液・供給する
    ラインで連結され、かつ追加フェノール供給ラインを備
    えた脱塩酸塔、を包含してなる製造システムにより、酸
    触媒の存在下でフェノールとアセトンとからビスフェノ
    ールAを製造する方法において、この製造システムに設
    けられた検知器および信号回路を通じて、 第1段階;連続流通式反応機に供給される原料、触媒
    および循環液の流量と該循環液の組成、該反応機内の
    反応混合物の液面および温度を含む操作条件の他に、
    該熱交換器にフィードする冷却水の量および温度、熱交
    換器へ循環する反応混合物の循環量および温度を含む操
    作条件をコンピューターに入力し、該反応機および該
    熱交換器内の反応混合物の組成、ビスフェノールAの飽
    和溶解度およびビスフェノールAとフェノールとの付加
    物のスラリー濃度をコンピュータの計算機構で演算して
    推定し、これらの推定値を予め定められた設定値と対
    比して、該反応機内で該付加物の結晶が析出しないよう
    に、もしくは該付加物のスラリー濃度が所定の濃度以上
    にならないように、該反応機への原料および触媒の供給
    速度、該反応機からの反応混合物の抜き出し速度を制御
    し、かつ、熱交換器における反応混合物の被冷却温度が
    ビスフェノールAの飽和溶解度温度または過飽和溶解度
    温度以下にならないように該熱交換器による除熱量を制
    御し、さらに第2段階;該回分式反応器内の反応混合
    物の温度をコンピュータで入力し、該回分式反応機内
    の反応混合物の組成の経時的変化を数値積分により計算
    し、反応終了時における反応混合物の組成およびビス
    フェノールAとフェノールとの付加物のスラリー濃度
    を、コンピューターの計算機構で演算して推定し、こ
    れらの推定値を目標値と対比して、反応工程より脱塩酸
    工程へ連続的に供給される該反応混合物の組成または該
    スラリー濃度が一定となるよう、追加するフェノール量
    を制御して該スラリー濃度を調整することを特徴とする
    ビスフェノールAの製造方法。
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