JP2971778B2 - 除湿機再生制御式環境装置 - Google Patents

除湿機再生制御式環境装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、環境室内に被試験物、
被処理物等を入れ、環境室内の温湿度を維持又は変化さ
せて目的とする環境条件を作る環境試験装置、恒温・恒
湿装置、熱処理装置等の環境装置であって、乾式除湿機
により低湿度を実現できる環境装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、試験室内を低湿条件に維持する
ようにした従来の環境試験装置としては、試験室内の空
気の一部分を乾式除湿機に導入して除湿した後空調室に
戻すバイパス除湿系を設けると共に、空調室内に加湿器
を設け、加湿器の加湿量を制御することにより、除湿空
気と加湿空気との混合空気を適当な湿度のものにして試
験室に供給し、試験室内の湿度を目的とする湿度に維持
するようにした形式のものがある。この除湿機の最大除
湿能力は、試験室内を低い温湿度に維持するときを基準
として定められている。その結果、試験室の設定湿度が
高いときには、除湿機の除湿能力が過大になり、そのた
めに加湿器による再加湿量が多くなり、加湿のために無
駄なエネルギーを消費していた。又、加湿器の容量不足
を招くという問題もあった。
【0003】このような除湿機は、従来、入/切のマニ
ュアルスイッチで運転されたり、設定温湿度に対応して
運転ゾーンを定め、温湿度がその範囲内に設定されると
除湿機が運転されるというような方法が採られていた。
しかしながら、マニュアル運転では、運転条件を設定す
る度に運転者が取扱説明書を見てスイッチ操作をしなけ
ればならないため、操作が面倒であった。又ゾーン制御
では、ゾーンの境界を正確に定めるのが困難であるた
め、境界近くの運転領域において、除湿機を不必要に運
転して加湿エネルギーを浪費したり、反対に、除湿機を
運転しないため冷凍機による除湿が過大になり、それに
伴い冷却空気温度が低下し、再加熱のための加熱器の電
力が増大することになり、省エネ運転ができないという
問題があった。
【0004】又、冷水やブラインによる冷却器を備え、
その水量等を調整することにより冷却能力を調整できる
ようにした環境試験装置もある。この装置では、除湿機
の再生温度が高いために除湿機から空調室に持ち込まれ
る顕熱負荷が大きくなり、そのために冷却能力を大きく
しなければならないような運転状態が発生し、除湿機の
再生加熱に要する熱エネルギーが浪費されるという問題
があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術に於
ける上記問題を解決し、除湿機を含む湿度制御系におい
て省エネルギー化の図られた環境装置を提供することを
課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、請求項1の発明は、加湿器と、加熱手段で
加熱されて再生される除湿機とを備え、加湿信号の出力
値によって前記加湿器を制御して環境室の湿度を制御す
る環境装置において、前記加湿信号の出力値が大きい値
のときには前記加熱手段の加熱能力が小さい値になるよ
うに加湿信号の出力値に対応して加熱能力を定めるよう
に制御する制御手段を設けたことを特徴とする。
【0007】請求項2の発明は、加湿器と、冷却手段
と、加熱手段で加熱されて再生される除湿機とを備え、
加湿信号の出力値及び冷却信号の出力値によって前記加
湿器及び前記冷却手段を制御して環境室の湿度及び温度
を制御する環境装置において、前記加湿信号の出力値と
前記冷却信号の出力値とを比較して何れか小さい方を出
力値として選択する選択手段と、選択された出力値が大
きい値のときには前記加熱手段の加熱能力が小さい値に
なるように選択された出力値に対応して加熱能力を定め
るように制御する制御手段と、を設けたことを特徴とす
る。
【0008】除湿機の再生域を加熱する加熱手段として
は、例えば、送風機で外気を取り入れこれをヒータで加
熱して再生域に送る加熱空気供給装置が用いられる。冷
却手段としては、冷凍回路の蒸発器、冷水やブラインで
冷却されるクーラ等が用いられる。加湿信号の出力値又
は冷却信号の出力値(以下単に「加湿出力」又は「冷却
出力」という)は、設定温湿度及びこれらと実測値との
偏差等によって決定される。
【0009】
【作用】請求項1の発明によれば、加湿出力が大きい値
のときには加熱能力が小さい値になるように制御される
ので、加湿量が多いときには再生温度が低くなって除湿
能力が小さくなる。その結果、除湿機で多く除湿して加
湿手段で多く加湿するという無駄な運転が回避される。
一方、加湿出力が小さい値のときには加熱能力が大きい
値になるように制御されるので、再生温度が高くなって
除湿能力が大きくなる。その結果、低湿運転条件が満た
される。
【0010】請求項2の発明によれば、加湿出力による
上記のような制御の他に、冷却出力による制御が追加さ
れる。即ち、冷却出力が大きい値のときには加熱能力が
小さい値になるように制御されるので、冷却量が多いと
きには再生温度が低くなって除湿機から環境装置本体部
に持ち込まれる顕熱負荷が小さくなる。その結果、除湿
機の顕熱負荷を多く持ち込んで冷却手段で多く冷却する
という無駄な運転が回避される。一方、冷却出力が小さ
い値のときには加熱能力が大きい値になるように制御さ
れるので、再生温度が高くなって除湿能力が大きくなる
と共に持ち込まれる顕熱負荷も大きくなる。その結果、
高温運転条件が好都合に満たされる。但し、この制御だ
けでは環境室内を設定湿度又は温度に維持できない場合
が生ずるので、本発明では加湿出力又は冷却出力の何れ
か小さい方、従って加熱能力を大きくする方を選択す
る。これにより、無駄な除湿及び加熱が防止されると共
に、必要な除湿能力又は除湿機による加熱能力が確保さ
れる。
【0011】
【実施例】図1は、環境装置の一例である環境試験装置
の温湿度制御系を含めた全体構成を示す。環境試験装置
は、環境室としての試験室1と空調室2とを備え、空調
室2には、加湿器3と、冷凍機の冷媒が送られる蒸発器
4と、加熱器5と、両室間で空気を循環させる送風機6
とが設けられ、試験室1の入口部には、温度センサ7及
び湿度センサ8が設けられている。試験室1内の空気の
一部分は除湿機9に導入され、その中で除湿された空気
が空調室2内に戻され、除湿空気循環系が形成されてい
る。
【0012】温度及び湿度センサ7、8の検出信号は環
境試験装置の温湿度調節器10、11に導入され、これ
らから加湿器3及び加熱器5の加湿量及び加熱量を制御
するための加湿出力及び加熱出力が発信され、それぞれ
に与えられる電力が制御される。そして、試験室1へ送
られる空気の温湿度が制御される。加湿出力としては、
例えば、湿度調節器11において、湿度センサ8の測定
値と湿度調節器11で設定した設定湿度との偏差を算出
し、その値に対応して一定時間毎に0〜100%の出力
を発信する。
【0013】除湿機9は、図2に概略構造を示すよう
に、ロータ91が回転することにより、1回転中に略3
/4回転分の除湿域92及び略1/4回転分の再生域9
3を持ち、試験室1内の被除湿空気は除湿域92で除湿
される。再生域93には、除湿器を再生させる加熱手段
としての外気供給ファン94及び再生用ヒータ95で加
熱された再生用空気が通され、ロータ91の除湿域を通
過した部分が再生域93に入ると、その除湿能力が再生
される。この除湿能力の再生は、再生用空気の温度であ
る再生温度に対応していて、再生温度が高ければ除湿能
力が大きくなる。この再生温度は、温度センサ96で検
出される。
【0014】湿度調節器11から発生される加湿出力
は、図3のブロック図にも示すように、制御手段として
の再生温度決定部97及びこれを経由して再生温度調節
器98に入れられる。再生温度決定部97及び調節器9
8は、加湿出力が大きい値のときには再生用ヒータ95
の加熱能力が小さい値になるように加湿出力に対応して
加熱能力を定めるように制御する。
【0015】例えば図4に示す如く、0〜100%の加
湿出力に対して、140〜40°Cまで直線的に変化す
るように再生温度を設定し、再生温度決定部97は、こ
の設定に基づいて受信した加湿出力に対応する再生温度
を決定し、再生温度調節器98は、温度センサ96で検
出した温度が決定した再生温度になるように再生用ヒー
タ95の加熱能力即ち電力を制御する。なお、装置の特
性等によっては、加湿出力に対して再生温度を曲線状又
は階段状に変化させるようにしてもよい。
【0016】図5は他の実施例の環境試験装置を示す。
本例の装置では、冷水やブライン等で冷却される冷却器
12が設けられ、これが温度調節器13によって制御さ
れる。即ち、温度調節器13は、設定温度及び試験室1
の温度センサ7の検出温度信号によって冷却出力を発生
させ、この出力により、例えば冷却器12に流される冷
水等の流量を調整する。なお、冷却器12は、冷却能力
調整機能を備えた冷凍装置の蒸発器であってもよい。
【0017】この冷却出力は、図6のブロック図にも示
す如く、加湿出力と共に選択手段としての出力判定部9
9に入れられ、図7の出力判定フローに示すように冷却
出力又は加湿出力のうちの何れか小さい方が選択され、
再生温度決定部97に送られる。決定部97では、図8
に示す出力と再生温度との関係曲線に基づいて、0〜1
00%の範囲の加湿出力又は冷却出力のうちの何れか小
さい値に対して140°C〜40°Cの範囲の再生温度
が決定される。そして図1の装置の場合と同様に、再生
温度調節部98は、温度センサ96で検出した温度が設
定温度になるように制御する。
【0018】
【発明の効果】以上の如く本発明によれば、請求項1の
発明においては、加湿出力に対応して除湿機の加熱手段
の加熱能力を制御することにより、加湿量が多いときに
は再生温度を下げて除湿能力を小さくし、再生用加熱手
段及び加湿器の両方の加熱量を低減することができる。
その結果、環境装置の大幅な省エネルギー化を図ること
ができる。又、高湿運転条件時に除湿能力を低くするこ
とにより、加湿器の定格容量を小さくすることができ
る。なお、加湿量が少ないときには、加熱手段の加熱能
力が大きくなり、除湿機の再生能力が大きくなるので、
除湿能力を上げて低湿運転条件を満たすことができる。
【0019】請求項2の発明においては、加湿出力によ
る上記の制御に加えて、冷却出力による制御を行うの
で、冷却量が多いときには再生温度を下げ、除湿機から
環境装置本体側に持ち込まれる顕熱負荷を小さくするこ
とができる。その結果、加熱量を低減し、省エネを図る
と共に、冷却手段の容量を小さくすることができる。一
方、冷却出力が小さいときには再生温度が高くなるの
で、持ち込まれる顕熱負荷が大きくなり、高温運転を容
易にすることができる。そして、加湿出力との関係で
は、何れか小さい方、従って再生温度を大きくする方を
選択するので、必要な除湿能力又は除湿機による加熱能
力は確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の環境試験装置の概略構造を示す説明図
である。
【図2】上記装置の除湿機の概略構造を示す説明図であ
る。
【図3】上記装置の湿度制御部分のブロック図である。
【図4】上記装置の加湿出力と再生温度との関係を示す
曲線図である。
【図5】他の実施例の環境試験装置の概略構造を示す説
明図である。
【図6】上記装置の温度及び湿度制御部分のブロック図
である。
【図7】上記装置における加湿又は冷却出力の何れかを
選択する時のフローチャートである。
【図8】上記装置の加湿出力及び冷却出力と再生温度と
の関係を示す曲線図である。
【符号の説明】
1 試験室(環境室) 3 加湿器 9 除湿機 12 冷却器(冷却手段) 94 外気供給ファン(加熱手段) 95 再生用ヒータ(加熱手段) 97 再生温度決定部(制御手段) 98 再生温度調節器(制御手段) 99 出力判定部(選択手段)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加湿器と、加熱手段で加熱されて再生さ
    れる除湿機とを備え、加湿信号の出力値によって前記加
    湿器を制御して環境室の湿度を制御する環境装置におい
    て、 前記加湿信号の出力値が大きい値のときには前記加熱手
    段の加熱能力が小さい値になるように加湿信号の出力値
    に対応して加熱能力を定めるように制御する制御手段を
    設けたことを特徴とする環境装置。
  2. 【請求項2】 加湿器と、冷却手段と、加熱手段で加熱
    されて再生される除湿機とを備え、加湿信号の出力値及
    び冷却信号の出力値によって前記加湿器及び前記冷却手
    段を制御して環境室の湿度及び温度を制御する環境装置
    において、 前記加湿信号の出力値と前記冷却信号の出力値とを比較
    して何れか小さい方を出力値として選択する選択手段
    と、選択された出力値が大きい値のときには前記加熱手
    段の加熱能力が小さい値になるように選択された出力値
    に対応して加熱能力を定めるように制御する制御手段
    と、を設けたことを特徴とする環境装置。
JP7119112A 1995-04-19 1995-04-19 除湿機再生制御式環境装置 Expired - Lifetime JP2971778B2 (ja)

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