JP2971428B2 - アルキルビニルエーテルの回収方法 - Google Patents

アルキルビニルエーテルの回収方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気相反応で得られ
るアルキルビニルエーテルを回収する方法に関するもの
である。アルキルビニルエーテルは反応性に優れてお
り、合成樹脂、接着剤、粘着剤、グルタルアルデヒド等
の各種有機化合物、等の原料として広範囲に用いられる
工業的に有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】従来より、アルキルビニルエーテルは、
下記二種類の方法によって工業的に製造されている。即
ち、加圧下、液相でアルカリ触媒を用いてアセチレンに
アルコールを付加反応させるいわゆるレッペ法、並び
に、アセトアルデヒドとアルコールとを脱水縮合してな
るアセタールを、気相で熱分解することにより脱アルコ
ールさせるいわゆるアセタール法である。
【0003】ところが、レッペ法は、反応選択率は高い
ものの、上記の反応が熱を多量に発生する発熱反応で
あること;分解爆発の危険性を伴うアセチレンを加圧
下で取り扱わなければならないこと;反応選択率や反
応収率等の反応成績が、原料や触媒の濃度に極端に左右
されること;等から、安全面を含めた反応制御や製造管
理(運転管理)が複雑であるという問題点を有してい
る。また、アセタール法は、原料であるアセタールの
入手が難しく、かつ高価であること;アルキルビニル
エーテルに対して等モル副生するアルコールを、アセタ
ールを合成する際の原料として回収するために、該アル
キルビニルエーテルから分離・精製しなければならない
こと;等から、製造費用が嵩むという問題点を有してい
る。
【0004】そこで、上記の問題点を解決する方法とし
て、本願出願人は、グリコールエーテル類を触媒の存在
下、気相で分子内脱水反応させることによってアルキル
ビニルエーテルを製造する方法を以前に提案している
(特開平8−143497号公報)。上記のグリコール
エーテル類は、アルコールとエチレンオキシド(酸化エ
チレン)との反応によって製造されるので、入手が容易
であり、かつ安価である。該製造方法は、グリコールエ
ーテル類以外の原料を必要とせず、しかも、触媒の種類
や反応条件を適宜選択することにより、反応選択率を9
0モル%以上にすることができる。
【0005】上記の方法によって得られるガス状の反応
混合物(以下、反応ガスと記す)は、目的物であるアル
キルビニルエーテルの他に、副生成物である水、グリコ
ールエーテル類の分解生成物であるアセトアルデヒドお
よびアルコール、未反応のグリコールエーテル類等を含
んでいる。
【0006】アルキルビニルエーテルは、一般に、以下
に示すような性質を備えている。即ち、アルキルビニル
エーテルは、油性の化合物であり、水に溶解しない;
水と共沸する;該アルキルビニルエーテルが有する
アルキル基と同一構造のアルキル基を有するアルコール
(例えば副反応によって生じるアルコール)と共沸す
る;アルキルビニルエーテルが有するビニル基は反応
性が高いため、該ビニル基に、酸性の水素原子または塩
基性の水素原子を有する化合物が付加する付加反応が起
こり易く、従って変質し易い;等の性質を備えている。
また、原料であるグリコールエーテル類や、副反応によ
って生じるアルコールは、一般に、水と共沸する等の性
質を備えている。
【0007】従って、上記の方法によって得られる反応
ガスは、相互に複雑に関連する性質(物性)を備えた化
合物の混合物である。工業的にかつ効率的にアルキルビ
ニルエーテルを製造するためには、反応ガスからアルキ
ルビニルエーテルを効率的に液化して捕集し、さらに、
該アルキルビニルエーテルと原料であるグリコールエー
テル類とを精製・回収する必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公報に
は、反応ガスからアルキルビニルエーテルを効率的に捕
集し、精製・回収する方法について特に述べられていな
い。
【0009】反応ガスにおいては、アルキルビニルエー
テルの種類にもよるが、アルキルビニルエーテルと水と
の共沸組成物は、その共沸点がアセトアルデヒドの沸点
に次いで低い。つまり、アルキルビニルエーテルは液化
し難いので、反応ガスを単に液化してもアルキルビニル
エーテルを効率的に捕集することが難しい。従って、沸
点が比較的高い化合物を希釈剤として用いて反応ガスを
希釈することにより、アルキルビニルエーテルを捕集す
る必要がある。
【0010】また、捕集剤を用いて反応ガスを捕集する
場合に、該捕集剤として脂肪族炭化水素や芳香族炭化水
素、カルボン酸エステル、水等の汎用の液状化合物を用
いると、捕集後の溶液(以下、捕集液と記す)が油層と
水層とに相分離する。そして、アルキルビニルエーテル
は油層に選択的に溶解する一方、未反応のグリコールエ
ーテル類は所定の分配率で両層に分配されて溶解する。
従って、上記汎用の液状化合物を用いて反応ガスを捕集
すると、グリコールエーテル類を再利用するためには、
油層および水層の両層からグリコールエーテル類の回収
操作を行わなければならないので、回収工程が増加し、
アルキルビニルエーテルの生産性の低下を招く。尚、酸
性の水素原子または塩基性の水素原子を有する化合物
は、アルキルビニルエーテルと付加反応を起こすので、
捕集剤として用いることができない。
【0011】さらに、捕集液からアルキルビニルエーテ
ル並びにグリコールエーテル類を精製・回収するため
に、該捕集液の蒸留分離を単に行うと、各化合物は沸点
が低い順に留出する。つまり、捕集液を蒸留すると、ア
セトアルデヒド,アルキルビニルエーテルと水との共沸
組成物,アルコールと水との共沸組成物,グリコールエ
ーテル類と水との共沸組成物,グリコールエーテル類,
の順で各化合物が留出する。従って、捕集液の蒸留分離
を単に行うと、グリコールエーテル類が最後に留出する
ことになるので、蒸留工程が長く掛かり、アルキルビニ
ルエーテルの生産性の低下を招く。また、水と共に留出
したグリコールエーテル類は、水との分離が困難である
ので、回収して再利用することができない。このため、
グリコールエーテル類の回収率の低下を招き、結果的
に、アルキルビニルエーテルの収率並びに生産性の更な
る低下を招く。
【0012】従って、アルキルビニルエーテルの製造方
法を工業的に確立するために、目的物であるアルキルビ
ニルエーテル、並びに、未反応の原料であるグリコール
エーテル類を、反応ガスから効率的に捕集し、精製・回
収する方法が切望されている。
【0013】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、グリコールエーテル類を気
相で分子内脱水反応させることによって得られるガス状
の反応混合物から、アルキルビニルエーテルを効率的に
捕集し、精製・回収する方法を提供することにある。ま
た、本発明にかかる他の目的は、該反応混合物から、未
反応の原料であるグリコールエーテル類を効率的に捕集
し、精製・回収する方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、アルキ
ルビニルエーテルの回収方法を提供すべく鋭意検討し
た。その結果、グリコールエーテル類を気相で分子内脱
水反応させてなるアルキルビニルエーテルを含むガス状
の反応混合物を、原料であるグリコールエーテル類を捕
集剤として用いて、液化して捕集することにより、アル
キルビニルエーテルを効率的に捕集し、精製・回収する
ことができることを見い出した。また、該方法によっ
て、原料でありかつ捕集剤であるグリコールエーテル類
も効率的に捕集し、精製・回収することができることを
見い出して、本発明を完成させるに至った。
【0015】即ち、請求項1記載の発明のアルキルビニ
ルエーテルの回収方法は、上記の課題を解決するため
に、グリコールエーテル類を気相で分子内脱水反応させ
てなるアルキルビニルエーテルを含むガス状の反応混合
物を、原料であるグリコールエーテル類を捕集剤として
用いて、液化して捕集することを特徴としている。
【0016】請求項2記載の発明のアルキルビニルエー
テルの回収方法は、上記の課題を解決するために、請求
項1記載のアルキルビニルエーテルの回収方法におい
て、上記反応混合物が、実質的に濃度100%のグリコ
ールエーテル類を気相で分子内脱水反応させることによ
りなることを特徴としている。
【0017】また、請求項3記載の発明のアルキルビニ
ルエーテルの回収方法は、上記の課題を解決するため
に、請求項1または2記載のアルキルビニルエーテルの
回収方法において、反応混合物を捕集してなる捕集液を
第一の蒸留塔を用いて連続的に蒸留し、アルキルビニル
エーテルおよび水を含む留出液を留出させる一方、グリ
コールエーテル類を含む缶出液を缶出させることを特徴
としている。
【0018】請求項4記載の発明のアルキルビニルエー
テルの回収方法は、上記の課題を解決するために、請求
項3記載のアルキルビニルエーテルの回収方法におい
て、第一の蒸留塔の留出液を静置することにより、油層
と水層とに分離させることを特徴としている。
【0019】請求項5記載の発明のアルキルビニルエー
テルの回収方法は、上記の課題を解決するために、請求
項4記載のアルキルビニルエーテルの回収方法におい
て、上記油層の一部を第一の蒸留塔の塔頂部に還流させ
ることを特徴としている。
【0020】さらに、請求項6記載の発明のアルキルビ
ニルエーテルの回収方法は、上記の課題を解決するため
に、請求項3、4または5記載のアルキルビニルエーテ
ルの回収方法において、第一の蒸留塔の缶出液が水を含
む場合であって、該缶出液を、水と共沸組成物を形成す
る共沸剤と共に、第二の蒸留塔を用いて連続的に蒸留
し、該共沸組成物を含む留出液を留出させる一方、グリ
コールエーテル類を缶出させることを特徴としている。
【0021】請求項7記載の発明のアルキルビニルエー
テルの回収方法は、上記の課題を解決するために、請求
項6記載のアルキルビニルエーテルの回収方法におい
て、第二の蒸留塔の留出液を静置することにより、共沸
剤層と水層とに分離させることを特徴としている。
【0022】請求項8記載の発明のアルキルビニルエー
テルの回収方法は、上記の課題を解決するために、請求
項7記載のアルキルビニルエーテルの回収方法におい
て、上記共沸剤層の一部を第二の蒸留塔の塔頂部に還流
させることを特徴としている。
【0023】上記の方法によれば、ガス状の反応混合物
から、アルキルビニルエーテルを従来よりも少ない工程
で効率的に捕集し、精製・回収することができる。ま
た、上記の方法によれば、捕集、精製、回収する際にお
けるアルキルビニルエーテルの変質を抑制することがで
きる。さらに、上記の方法によれば、該反応混合物か
ら、原料でありかつ捕集剤であるグリコールエーテル類
を従来よりも少ない工程で効率的に捕集し、精製・回収
することができる。これにより、工業的にかつ効率的に
アルキルビニルエーテルを製造することができる。
【0024】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
かかるアルキルビニルエーテルの回収方法において、回
収すべきアルキルビニルエーテルは、グリコールエーテ
ル類を触媒の存在下、気相で分子内脱水反応させること
によって得られる。つまり、回収操作の対象となるガス
状の反応混合物(以下、反応ガスと記す)は、グリコー
ルエーテル類を触媒の存在下、気相で分子内脱水反応さ
せることによって製造される。
【0025】上記のグリコールエーテル類としては、具
体的には、例えば、2−メトキシエタノール、2−エト
キシエタノール、2−n−プロポキシエタノール、2−
イソプロポキシエタノール、2−n−ブトキシエタノー
ル、2−イソブトキシエタノール、2−t−ブトキシエ
タノール、2−アミルオキシエタノール、2−ヘキシル
オキシエタノール等が挙げられるが、特に限定されるも
のではない。上記例示の化合物のうち、2−メトキシエ
タノール、2−エトキシエタノール、2−n−プロポキ
シエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−n
−ブトキシエタノール、2−イソブトキシエタノール、
および、2−t−ブトキシエタノールが、本発明にかか
る回収方法を実施する際の原料として、特に好適であ
る。
【0026】上記の触媒としては、例えば、下記一般式 Ma Sib c d (式中、Mは、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金
属元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を
表し、Xは、Ti,Zr,V,Nb,Ta,Cr,M
o,W,B,Al,Ga,In,Tl,Ge,Sn,P
b,P,およびSbからなる群より選ばれる少なくとも
一種の元素を表し、a,b,c,dは原子比を表し、か
つ、a=1のとき、b=1〜500,c=0〜1であ
り、該a,b,cの値、並びに、M,Si,X,Oの結
合状態によってdが定まる)で表される酸化物が好適で
あるが、特に限定されるものではない。
【0027】触媒の調製方法としては、例えば、触媒
を構成すべき元素の酸化物および/または水酸化物を、
水やアルコール等の成型助剤と共に混練し、成型・乾燥
した後、焼成する方法;触媒を構成すべき元素の塩類
(例えば、硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、アンモニウ
ム塩、リン酸塩、硫酸塩等)および/またはハロゲン化
物の水溶液に塩基を添加し、析出した沈澱を濾過して成
型・乾燥した後、焼成する方法;触媒を構成すべき元
素の塩類および/またはハロゲン化物の水溶液に担体
(例えば、シリカゲル、アルミナ、シリコンカーバイド
等)を添加し、該担体に塩類を担持して乾燥した後、焼
成する方法;等が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。焼成温度は、300℃〜1,000℃の範囲内
が好ましく、400℃〜800℃の範囲内がより好まし
い。
【0028】また、前記一般式で表される触媒の調製方
法としては、例えば、MおよびX(必要に応じて)で
表される元素を含む元素源(以下、金属元素源と記す)
と、X(必要に応じて)で表される元素およびケイ素を
含む元素源(以下、ケイ素源と記す)とを水に溶解若し
くは懸濁させ、撹拌しながら加熱濃縮し、成型・乾燥し
た後、焼成する方法;金属元素源の水溶液に成型した
酸化ケイ素を浸漬して加熱乾固し、乾燥した後、焼成す
る方法;ケイ素源に金属元素源の水溶液を添加して成
型・乾燥した後、焼成する方法;ケイ素を含むモレキ
ュラシーブス(合成ゼオライト)に、MおよびX(必要
に応じて)で表される元素をイオン交換法によってドー
プして成型・乾燥した後、焼成する方法;等が挙げられ
るが、特に限定されるものではない。これら触媒は、必
要に応じて担体に担持してもよい。上記金属元素源とし
ては、例えば、該元素の酸化物や水酸化物、塩類(例え
ば、硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、アンモニウム塩、
リン酸塩、硫酸塩等)、ハロゲン化物、或いは金属単体
等が挙げられる。上記ケイ素源としては、例えば、酸化
ケイ素、ケイ酸、ケイ酸塩(例えば、アルカリ金属ケイ
酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩等)、モレキュラシー
ブス(例えば、アルミノシリケート、シリコアルミノホ
スフェート等)、ケイ酸エステル等が挙げられる。焼成
温度は、300℃〜1,000℃の範囲内が好ましく、
400℃〜800℃の範囲内がより好ましい。
【0029】ガス状のグリコールエーテル類を触媒に連
続的に接触させて分子内脱水反応させることにより、ア
ルキルビニルエーテルが製造される。該製造に好適な反
応装置の形式としては、連続式の反応装置、例えば、固
定床流動型、流動床型等が挙げられるが、特に限定され
るものではない。触媒は、反応装置に充填するか、若し
くは反応装置に連続的に供給すればよい。
【0030】反応温度は、300℃〜600℃の範囲内
が好ましく、350℃〜500℃の範囲内がより好まし
い。反応温度が300℃よりも低い場合には、グリコー
ルエーテル類の転化率が低下するので好ましくない。反
応温度が600℃よりも高い場合には、アルキルビニル
エーテルの選択率が低下するので好ましくない。反応圧
力、即ち反応系は、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れ
であってもよいが、グリコールエーテル類は、反応圧力
の操作や希釈剤による希釈等によって、ガス状態におけ
る分圧(反応分圧)が5mmHg〜600mmHgとな
るように調節した後、触媒に連続的に接触させる。グリ
コールエーテル類の気体時空間速度(GHSV)は、1
-1〜1,000h-1の範囲内が好ましく、10h-1
500h-1の範囲内がより好ましい。
【0031】上記の方法により、アルキルビニルエーテ
ルが、いわゆる1potで連続的に製造される。該アル
キルビニルエーテルの選択率は、90モル%以上であ
る。上記の方法により得られるアルキルビニルエーテル
としては、具体的には、例えば、メチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテ
ル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエ
ーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニル
エーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエー
テル等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記例示の化合物のうち、メチルビニルエーテル、エチ
ルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソ
プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、
イソブチルビニルエーテル、および、t−ブチルビニル
エーテルが、本発明にかかる回収方法を実施するのに特
に好適である。
【0032】上記の方法により、アルキルビニルエーテ
ルを含む反応ガス、即ち、回収操作の対象となる反応ガ
スが得られる。反応ガスは、目的物であるアルキルビニ
ルエーテルの他に、副生成物である水、副反応によって
生じるアセトアルデヒドおよびアルコール、未反応のグ
リコールエーテル類等を含んでいる。アセトアルデヒド
およびアルコールは、グリコールエーテル類がエーテル
結合部分で分解することによって生成する分解生成物で
ある。該アルコールは、アルキルビニルエーテルが有す
るアルキル基と同一構造のアルキル基を有している。
【0033】本発明にかかる回収方法において、原料で
あるグリコールエーテル類を捕集剤として用いて、反応
ガスを連続的に液化して捕集する方法としては、具体的
には、例えば、反応ガスを冷却することにより凝縮さ
せて液化し、アルキルビニルエーテル並びにグリコール
エーテル類を捕集する方法;反応ガスに、ガス状およ
び/または液状のグリコールエーテル類を混合した後、
該混合物を冷却することにより凝縮させて液化し、アル
キルビニルエーテル並びにグリコールエーテル類を捕集
する方法;反応ガスを、シャワー状若しくは霧状に噴
射したグリコールエーテル類に接触させて吸収させる
(或いは冷却して液化する)ことにより、アルキルビニ
ルエーテル並びにグリコールエーテル類を捕集する方
法;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
これら捕集方法は、組み合わせて実施してもよい。
【0034】上記の捕集方法では、未反応のグリコー
ルエーテル類が捕集剤としての働きを兼ねることにな
る。このため、前記製造方法においては、反応ガスを所
定の温度に冷却することによって、該反応ガスのほぼ全
量を液化することができるように、グリコールエーテル
類の転化率を調節して、即ち、反応条件を調節して反応
を実施すればよい。つまり、用いる触媒の活性に応じ
て、反応条件、並びに、得られる反応ガスの露点を調節
して、グリコールエーテル類を反応させた後、該反応ガ
スを所定の温度に冷却することにより液化して捕集すれ
ばよい。
【0035】上記・の捕集方法における捕集剤、即
ちグリコールエーテル類の使用量は、該グリコールエー
テル類並びにアルキルビニルエーテルの種類や反応ガス
の組成(反応ガスの露点)、捕集温度、捕集装置の機械
的な効率、等に応じて設定すればよく、特に限定される
ものではない。上記〜の捕集方法を採用することに
より、アルキルビニルエーテル並びにグリコールエーテ
ル類を効率的に捕集することができる。
【0036】そして、前記製造方法において、反応に供
するグリコールエーテル類が希釈剤で希釈されていない
場合、即ち、実質的に濃度100%のグリコールエーテ
ル類を反応装置にガス状で供給して分子内脱水反応させ
た場合には、得られるアルキルビニルエーテルの捕集効
率をより一層向上させることができるので、工業的によ
り好ましい。つまり、反応ガスが非凝縮性ガス(例えば
窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)等の希釈剤
で希釈されていないので、アルキルビニルエーテルが例
えば非凝縮性ガスに同伴して飛散することによる捕集効
率の低下を抑制することができると共に、捕集剤の使用
量をより一層低減することができる。また、捕集温度が
同一である場合には、アルキルビニルエーテルを最も高
濃度で捕集することができる。該方法は、アルキル基の
炭素数が2〜4のアルキルビニルエーテル、即ち、沸点
が比較的低く、揮発性が高いアルキルビニルエーテルの
捕集に対して、特に好適である。尚、実質的に濃度10
0%のガス状のグリコールエーテル類の反応分圧は、反
応系を減圧することによって5mmHg〜600mmH
gとなるように調節すればよい。
【0037】上記の各種捕集方法を採用して反応ガスを
捕集することによって得られる捕集液は、アルキルビニ
ルエーテル、水、アセトアルデヒド、アルコール、グリ
コールエーテル類等を含む混合液である。
【0038】本発明にかかる回収方法において、捕集液
からアルキルビニルエーテル並びにグリコールエーテル
類を、連続的に精製・回収する方法について、以下に説
明する。先ず、アルキルビニルエーテルの回収に好適に
用いられる蒸留装置の一例について、図1および図2を
参照しながら、説明する。
【0039】図1および図2に示すように、上記の蒸留
装置は、多段式の連続蒸留塔(第一の蒸留塔)2、分離
槽3、凝縮器4、多段式の連続蒸留塔(第二の蒸留塔)
10、分離槽11、および凝縮器12等から構成されて
いる。
【0040】図1に示すように、連続蒸留塔2は、アル
キルビニルエーテルを放散するいわゆる放散塔であり、
捕集液を連続的に蒸留する。連続蒸留塔2の中段部は、
配管1を介して捕集装置または捕集液供給装置(何れも
図示しない)と接続されており、塔頂部は、配管5およ
び凝縮器4を介して分離槽3と接続されている。また、
連続蒸留塔2の塔底部には、缶出液を連続的に抜き取っ
て連続蒸留塔10に供給する配管9が設けられている。
さらに、連続蒸留塔2の塔頂部近傍には、配管6が配設
されている。尚、上記「中段部」とは、蒸留塔における
最上段および最下段を除いた中間の段を示している。
【0041】連続蒸留塔2の中段部には、配管1を介し
て捕集装置または捕集液供給装置から捕集液が連続的に
供給される。そして、連続蒸留塔2は、アルキルビニル
エーテルと共に、アセトアルデヒド、アルコール、およ
び共沸した水を留出液として連続的に留出(放散)する
一方、少量のアルコールおよび操作条件等によっては水
を含むグリコールエーテル類を缶出液として連続的に缶
出する。また、連続蒸留塔2の塔頂部近傍には、分離槽
3から油層(後述する)の一部が連続的に還流される。
連続蒸留塔2の操作条件は、特に限定されるものではな
い。操作温度は、アルキルビニルエーテルやグリコール
エーテル類が変質しない温度範囲であればよい。操作圧
は、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れであってもよ
い。
【0042】凝縮器4は、配管5の所定位置に配設され
ており、連続蒸留塔2から留出するガス(留出液)を凝
縮(冷却)して液化する。
【0043】分離槽3は、いわゆるデカンターであり、
連続蒸留塔2の留出液を静置することにより、該留出液
を油層と水層とに分離する。分離槽3は、配管5および
凝縮器4を介して連続蒸留塔2の塔頂部と接続されてい
る。また、分離槽3における油層を抜き出せる位置に
は、配管6・8が設けられている。配管6は、連続蒸留
塔2の頂部近傍と接続されており、配管8は、アルキル
ビニルエーテル貯蔵タンク或いは精留塔(何れも図示し
ない)と接続されている。さらに、分離槽3の底部に
は、水層を抜き出して廃棄するための配管7が設けられ
ている。
【0044】分離槽3には、連続蒸留塔2の留出液が連
続的に供給される。そして、分離槽3は、油層をアルキ
ルビニルエーテル貯蔵タンク或いは精留塔に連続的に供
給する一方、該油層の一部を連続蒸留塔2の塔頂部近傍
に連続的に還流する。また、分離槽3の底部からは、水
層が適宜抜き出される。尚、上記の油層は、その成分の
殆どを目的物であるアルキルビニルエーテルが占めてい
る。従って、精製する必要が無い場合には、該油層は貯
蔵タンクに供給される。一方、油層に微量のアセトアル
デヒドやアルコール、水が含まれていて、更に精製する
必要がある場合には、該油層は、例えば水洗・抽出等の
公知の方法で精製することができる。また、上記の水層
には、アセトアルデヒドおよびアルコールが溶解してい
る。該水層には、アルキルビニルエーテルは殆ど含まれ
ていない。
【0045】図2に示すように、連続蒸留塔10は、グ
リコールエーテル類を回収するいわゆる回収塔であり、
共沸剤(後述する)を用いた蒸留操作を行うことによ
り、連続蒸留塔2の缶出液を連続的に蒸留する。連続蒸
留塔10の中段部は、配管9を介して連続蒸留塔2の塔
底部と接続されており、塔頂部は、配管13および凝縮
器12を介して分離槽11と接続されている。また、連
続蒸留塔10の塔底部には、缶出液を連続的に抜き取る
配管16が設けられている。配管16は、グリコールエ
ーテル類回収タンク或いは反応装置(何れも図示しな
い)と接続されている。さらに、連続蒸留塔10の塔頂
部近傍には、配管14が配設されている。尚、上記連続
蒸留塔10の缶出液は、その成分の殆どをグリコールエ
ーテル類が占めている。
【0046】連続蒸留塔10の中段部には、配管9を介
して連続蒸留塔2の缶出液が連続的に供給される。そし
て、連続蒸留塔10は、共沸組成物、つまり、共沸剤と
共にアルコールおよび水を留出液として連続的に留出す
る一方、グリコールエーテル類を缶出液として連続的に
缶出する。また、連続蒸留塔10の塔頂部近傍には、分
離槽11から共沸剤が連続的に供給(還流)される。連
続蒸留塔10の操作条件は、特に限定されるものではな
い。操作温度は、グリコールエーテル類が変質しない温
度範囲であればよい。操作圧は、常圧(大気圧)、減
圧、加圧の何れであってもよい。
【0047】凝縮器12は、配管13の所定位置に配設
されており、連続蒸留塔10から留出するガス(留出
液)を凝縮(冷却)して液化する。
【0048】分離槽11は、いわゆるデカンターであ
り、連続蒸留塔10の留出液を静置することにより、該
留出液を共沸剤層と水層とに分離する。分離槽11は、
配管13および凝縮器12を介して連続蒸留塔10の塔
頂部と接続されている。また、分離槽11における共沸
剤層を抜き出せる位置には、配管14が設けられてい
る。配管14は、連続蒸留塔10の頂部近傍と接続され
ている。さらに、分離槽11の底部には、水層を抜き出
して廃棄するための配管15が設けられている。また、
分離槽11には、共沸剤を補給するための配管17が設
けられている。配管17は、共沸剤供給タンク(図示し
ない)と接続されている。
【0049】分離槽11には、連続蒸留塔10の留出液
が連続的に供給される。そして、分離槽11は、共沸剤
層の少なくとも一部を連続蒸留塔10の塔頂部近傍に連
続的に供給(還流)する。また、分離槽11の底部から
は、水層が適宜抜き出される。尚、上記の水層には、ア
ルコールが溶解している。また、共沸剤の種類によって
は、該水層に共沸剤の一部が溶解する。従って、水等と
共に共沸剤の一部が廃棄されることによって分離槽11
内の共沸剤が不足するときには、配管17を介して共沸
剤供給タンクから不足分の共沸剤を分離槽11に供給す
る。これにより、連続蒸留塔10の蒸留操作をより一層
安定化させることができる。
【0050】尚、蒸留装置には、上記各種装置の他に、
例えば、熱交換器やポンプ、中間タンク(何れも図示し
ない)等、蒸留操作に必要な種々の装置がさらに設けら
れている。
【0051】上記の共沸剤は、その沸点がグリコールエ
ーテル類の沸点よりも低く、かつ、水との共沸組成物の
共沸点が該共沸剤の沸点よりも低く、しかも、共沸組成
物を静置することによって水と相分離する有機化合物で
あればよい。共沸剤の沸点がグリコールエーテル類の沸
点よりも高い場合には、共沸剤と水との共沸組成物の共
沸点よりも、グリコールエーテル類と水との共沸組成物
の共沸点の方が低くなってしまう。このため、グリコー
ルエーテル類が選択的に留出して、該グリコールエーテ
ル類の回収効率が低下する。また、水と相分離しない共
沸剤は、共沸剤のロスを避けるために、水と共沸剤とを
分離するための新たな分離・回収工程が必要となり、ア
ルキルビニルエーテルの生産性を低下(コストアップ)
させるので好ましくない。
【0052】共沸剤としては、具体的には、例えば、ヘ
キサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン
等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭
化水素;n−ブタノール、イソブタノール、ペンタノー
ル等の、炭素数が4以上のアルキルアルコール;酢酸エ
ステル、プロピオン酸エステル等のカルボン酸エステ
ル;ジブチルエーテル、ビニルエーテル等のエーテル化
合物;等が挙げられるが、限定されるものではない。特
に、アルキルビニルエーテルがエチルビニルエーテルで
ある場合には、つまり、回収すべきグリコールエーテル
類が2−エトキシエタノールである場合には、共沸剤と
して、炭素数が4のアルキルアルコールを用いることが
より好ましく、そのなかでも、n−ブタノールを用いる
ことがさらに好ましい。
【0053】次に、上記構成の蒸留装置を用いたアルキ
ルビニルエーテル並びにグリコールエーテル類の回収方
法の一例について説明する。
【0054】先ず、配管1を介して連続蒸留塔2の中段
部に捕集液を連続的に供給する。連続蒸留塔2に供給さ
れた捕集液は、連続的に蒸留され、アルキルビニルエー
テルと共に、アセトアルデヒド、アルコール、および共
沸した水が留出液として塔頂から留出される。また、少
量のアルコールおよび操作条件等によっては水を含むグ
リコールエーテル類が缶出液として塔底から缶出され
る。留出液の組成は、連続蒸留塔2での蒸留条件、例え
ば、塔頂の温度、塔底の温度、塔の段数、および分離槽
3から還流される油層の量等により決定される。
【0055】ここで、アルキルビニルエーテル並びにグ
リコールエーテル類の種類や、或いは、連続蒸留塔2で
の操作条件等にもよるが、例えば、連続蒸留塔2に還流
される油層が共沸剤としての働きを兼ねることができる
場合には、連続蒸留塔2における一工程の連続蒸留操作
で以て、アルキルビニルエーテル並びにグリコールエー
テル類を連続的に回収することができる。前記反応にお
けるアルキルビニルエーテルの選択率が80モル%以上
であり、かつ、連続蒸留塔2を常圧(大気圧)で操作す
る場合において、例えば、グリコールエーテル類が2−
エトキシエタノールであるとき(即ち、アルキルビニル
エーテルがエチルビニルエーテルであるとき)には、連
続蒸留塔2における還流比を20以上、より好ましくは
25〜45の範囲内に設定することによって、各々分離
槽3から連続蒸留塔2に還流される油層の量を操作すれ
ばよい。また、上記場合において、例えば、グリコール
エーテル類が2−n−ブトキシエタノールであるとき
(即ち、アルキルビニルエーテルがn−ブチルビニルエ
ーテルであるとき)には、連続蒸留塔2における還流比
を2.5以上、より好ましくは3〜10の範囲内に設定
することによって、各々分離槽3から連続蒸留塔2に還
流される油層の量を操作すればよい。これら操作によ
り、共沸剤を用いなくとも、水およびアルコールを含ま
ないグリコールエーテル類が缶出液として塔底から缶出
されるので、高純度のグリコールエーテル類を回収する
ことができる。尚、連続蒸留塔2における一工程の連続
蒸留操作で以て、アルキルビニルエーテル並びにグリコ
ールエーテル類を連続的に回収する具体的な方法は、還
流比を調節する方法にのみ限定されるものではない。
【0056】次に、連続蒸留塔2の留出液を分離槽3に
連続的に供給する。分離槽3内で静置された留出液は、
油層と水層とに分離する。そして、分離槽3から油層を
連続的に若しくは間欠的に抜き出すことにより、アルキ
ルビニルエーテルを回収する。さらに、油層の一部を連
続蒸留塔2の塔頂部近傍に連続的に還流する一方、水層
を該分離槽3の底部から抜き出す。このように、分離槽
3から連続蒸留塔2に油層の一部を還流することによ
り、連続蒸留塔2においては、通常の還流操作と同様の
効果を得ることができる。従って、連続蒸留塔2の留出
液にグリコールエーテル類が含まれることはない。ま
た、留出液のうち、水層を除いた油層のみを連続蒸留塔
2に還流するので、水が連続蒸留塔2に戻ることは実質
的に無い。つまり、配管6を介して分離槽3から油層の
一部を連続蒸留塔2の頂部近傍に還流することにより、
該油層が水の共沸剤として作用するので、捕集液からの
水の除去をより一層効率的に行うことができる。また、
連続蒸留塔2の缶出液が水を含む場合においては、連続
蒸留塔10において除去すべき水の量が低減されるの
で、該連続蒸留塔10においてグリコールエーテル類の
回収をより一層効率的に行うことができる。
【0057】続いて、連続蒸留塔2の缶出液を連続蒸留
塔10の中段部に連続的に供給すると共に、共沸剤層を
該連続蒸留塔10の塔頂部近傍に連続的に還流する。連
続蒸留塔10に供給された缶出液は、連続的に蒸留さ
れ、共沸剤と共にアルコールおよび水が留出液として塔
頂から留出される一方、グリコールエーテル類が缶出液
として塔底から缶出される。そして、配管14を介して
分離槽11から共沸剤層の少なくとも一部を連続蒸留塔
10の頂部近傍に還流するので、水の除去をより一層効
率的に行うことができる。これにより、アルキルビニル
エーテルの製造工程に再利用することができるグリコー
ルエーテル類の回収をより一層効率的に行うことができ
る。缶出液の組成は、連続蒸留塔10での蒸留条件、例
えば、塔頂の温度、塔底の温度、塔の段数、および分離
槽11から還流される共沸剤層の量等により決定され
る。
【0058】以上の蒸留操作を行うことにより、捕集液
からアルキルビニルエーテル並びにグリコールエーテル
類が連続的に回収される。回収されたグリコールエーテ
ル類は、例えばアルキルビニルエーテル製造装置等に戻
されて再利用(リサイクル)される。
【0059】尚、捕集液の組成(アルキルビニルエーテ
ルやグリコールエーテル類の種類)、連続蒸留塔2の操
作条件等によっては、連続蒸留塔2の缶出液として、水
や不純物を殆ど含まないグリコールエーテル類、つま
り、アルキルビニルエーテルの製造工程に再利用(リサ
イクル)することができるグリコールエーテル類を得る
ことができる。また、連続蒸留塔2の操作条件等によっ
ては、該連続蒸留塔2の留出液からアルキルビニルエー
テルを得ることができると共に、缶出液として、水や不
純物を殆ど含まないグリコールエーテル類を得ることが
できる。つまり、一工程の蒸留操作を行うだけで、アル
キルビニルエーテルを放散・回収することができ、しか
も、グリコールエーテル類を高純度でかつ効率的に回収
することができる。
【0060】以上のように、本発明にかかる回収方法に
よって、反応ガスからアルキルビニルエーテルを効率的
に捕集し、精製・回収することができると共に、原料で
ありかつ捕集剤であるグリコールエーテル類を効率的に
捕集し、精製・回収することができる。つまり、本発明
にかかる回収方法により、アルキルビニルエーテルを工
業的にかつ効率的に製造することができる。
【0061】尚、上記の説明においては、分離槽3の油
層の一部を、配管6を介して連続蒸留塔2の塔頂部近傍
に供給(還流)する構成としたが、油層の供給位置は、
特に限定されるものではない。例えば、図3に示すよう
に、配管6を分岐させてなる分岐管6aを連続蒸留塔2
の中段部、即ち、連続蒸留塔2における配管1が接続さ
れている段と、配管6が接続されている段との間の任意
の段に接続することにより、分離槽3の油層の一部を、
上記の配管6および分岐管6aを介して連続蒸留塔2の
塔頂部近傍および中段部に供給する構成としてもよい。
【0062】また、上記の説明においては、分離槽11
の共沸剤層の少なくとも一部を、配管14を介して連続
蒸留塔10の塔頂部近傍に供給(還流)する構成とした
が、共沸剤層の供給位置は、特に限定されるものではな
い。例えば、図4に示すように、配管14を分岐させて
なる分岐管14aを連続蒸留塔10の中段部、即ち、連
続蒸留塔10における配管9が接続されている段と、配
管14が接続されている段との間の任意の段に接続する
ことにより、分離槽11の共沸剤層の少なくとも一部
を、上記の配管14および分岐管14aを介して連続蒸
留塔10の塔頂部近傍および中段部に供給する構成とし
てもよい。さらに、蒸留装置は、図1ないし図4に示す
構成にのみ限定されるものではない。
【0063】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。尚、グリコールエーテル類の転化率、並び
に、アルキルビニルエーテルの選択率,単流収率および
捕集率は、次式、 グリコールエーテル類の転化率(モル%)=(消費され
たグリコールエーテル類のモル数/反応装置に供給した
グリコールエーテル類のモル数)×100 アルキルビニルエーテルの選択率(モル%)=(生成し
たアルキルビニルエーテルのモル数/消費されたグリコ
ールエーテル類のモル数)×100 アルキルビニルエーテルの単流収率(モル%)=(生成
したアルキルビニルエーテルのモル数/反応装置に供給
したグリコールエーテル類のモル数)×100 アルキルビニルエーテルの捕集率(モル%)=(捕集し
たアルキルビニルエーテルのモル数/生成したアルキル
ビニルエーテルのモル数)×100 の定義に従うこととする。
【0064】〔実施例1〕先ず、アルキルビニルエーテ
ルを製造するための触媒を調製した。即ち、水酸化セシ
ウム25gを水1,000gに溶解してなる水溶液に、
酸化ケイ素300gを加えた後、湯浴を用いて該溶液を
加熱混合しながら濃縮(乾固)した。得られた粉体を、
直径が約5mmの球状ペレットに成型した。次いで、該
ペレットを空気雰囲気下、120℃で充分に乾燥させた
後、空気雰囲気下、500℃で2時間、焼成することに
より、触媒を調製した。該触媒の、酸素を除いた原子比
は、Cs1 Si30であった。そして、この触媒を用いて
アルキルビニルエーテルを製造した。
【0065】反応装置として、真空ポンプが接続された
内径30mmのステンレス製反応管を用いた。また、捕
集装置としての外筒付き冷却器を上記反応管の出口部に
接続すると共に、該冷却器に受器を接続した。そして、
反応管に上記の触媒1Lを充填した後、反応管の内温を
370℃に昇温し、該温度を維持すると共に反応管内部
を減圧した。次いで、触媒層の出口での圧力(反応圧
力)が230mmHgとなるように維持しながら、グリ
コールエーテル類としての2−エトキシエタノールを気
体時空間速度100h-1(供給量402g/hr)で連
続的に供給して反応させた。また、この間、上記冷却器
内部並びに受器内部の圧力も、230mmHgとなるよ
うに維持した。
【0066】得られた反応ガス(反応混合物)をガスク
ロマトグラフィー(GC)を用いて分析した。その結
果、2−エトキシエタノールの転化率は21.4モル%
であり、アルキルビニルエーテルとしてのエチルビニル
エーテルの選択率は92.5モル%、単流収率は19.
8モル%であった。次いで、上記の反応ガスを捕集し
た。即ち、上記外筒内部に−5℃〜0℃に冷却された冷
媒を流通させると共に、冷却器内部に上記反応ガスを流
通させることにより、反応ガスを冷却・凝縮させて液化
した。そして、得られた液体を、5℃に冷却された受器
に集めることにより、捕集液を得た。
【0067】得られた捕集液をガスクロマトグラフィー
を用いて分析した。その結果、捕集液には、供給した2
−エトキシエタノールに対する収率が19.6モル%と
なるような割合でエチルビニルエーテルが含まれてい
た。従って、エチルビニルエーテルの捕集率は99.0
モル%であった。
【0068】〔実施例2〕実施例1における反応圧力を
230mmHgから500mmHgに変更した以外は、
同実施例の反応および操作等と同様の反応および操作等
を行った。その結果、2−エトキシエタノールの転化率
は20.4モル%であり、アルキルビニルエーテルとし
てのエチルビニルエーテルの選択率は90.8モル%、
単流収率は18.5モル%、捕集率は99.5モル%で
あった。
【0069】〔実施例3〕実施例1における2−エトキ
シエタノールの代わりにグリコールエーテル類としての
2−n−ブトキシエタノールを用いると共に、反応圧力
を230mmHgから70mmHgに変更した以外は、
同実施例の反応および操作等と同様の反応および操作等
を行った。その結果、2−n−ブトキシエタノールの転
化率は28.8モル%であり、アルキルビニルエーテル
としてのn−ブチルビニルエーテルの選択率は93.6
モル%、単流収率は27.0モル%、捕集率は99.3
モル%であった。
【0070】〔実施例4〕反応装置として、真空ポンプ
が接続された内径30mmのステンレス製反応管を用い
た。また、捕集装置としての外筒付き冷却器を上記反応
管の出口部に接続すると共に、該冷却器に受器を接続し
た。さらに、反応管の出口部と冷却器との間における所
定位置に、捕集剤を導入するための導入管を設けた。そ
して、反応管に、実施例1の操作等と同様の操作等を行
うことによって調製した触媒1Lを充填した後、反応管
の内温を370℃に昇温し、該温度を維持すると共に反
応管内部を減圧した。次いで、触媒層の出口での圧力が
230mmHgとなるように維持しながら、2−エトキ
シエタノールを気体時空間速度40h-1(供給量161
g/hr)で連続的に供給して反応させた。また、この
間、上記冷却器内部並びに受器内部の圧力も、230m
mHgとなるように維持した。
【0071】得られた反応ガスをガスクロマトグラフィ
ーを用いて分析した結果、2−エトキシエタノールの転
化率は48.9モル%であり、エチルビニルエーテルの
選択率は91.8モル%、単流収率は44.9モル%で
あった。次いで、上記の反応ガスを捕集した。即ち、上
記外筒内部に−5℃〜0℃に冷却された冷媒を流通させ
ると共に、冷却器内部に上記反応ガスを流通させた。さ
らに、該反応ガスに、上記の導入管を介して、捕集剤と
しての2−エトキシエタノールを添加量300g/hr
で連続的に添加した。これにより、反応ガスを冷却・凝
縮させて液化した。そして、得られた液体を、5℃に冷
却された受器に集めることにより、捕集液を得た。
【0072】得られた捕集液をガスクロマトグラフィー
を用いて分析した結果、捕集液には、反応装置に供給し
た2−エトキシエタノールに対する収率が43.8モル
%となるような割合でエチルビニルエーテルが含まれて
いた。従って、エチルビニルエーテルの捕集率は97.
6モル%であった。
【0073】〔実施例5〕先ず、アルキルビニルエーテ
ルを製造するための触媒を調製した。即ち、硝酸セシウ
ム97.5gおよびリン酸第二アンモニウム52.8g
を水1,000gに溶解してなる水溶液に、酸化ケイ素
300gを加えた後、湯浴を用いて該溶液を加熱混合し
ながら濃縮(乾固)した。得られた粉体を、直径が約5
mmの球状ペレットに成型した。次いで、該ペレットを
空気雰囲気下、120℃で充分に乾燥させた後、空気雰
囲気下、600℃で2時間、焼成することにより、触媒
を調製した。該触媒の、酸素を除いた原子比は、Cs1
Si100.8 であった。そして、この触媒を用いてアル
キルビニルエーテルを製造した。
【0074】反応装置として、真空ポンプが接続された
内径30mmのステンレス製反応管を用いた。また、捕
集装置としての外筒付き冷却器を上記反応管の出口部に
接続すると共に、該冷却器に受器を接続した。そして、
反応管に上記の触媒1Lを充填した後、反応管の内温を
450℃に昇温し、該温度を維持すると共に反応管内部
を減圧した。次いで、触媒層の出口での圧力(反応圧
力)が380mmHgとなるように維持しながら、グリ
コールエーテル類としての2−イソプロポキシエタノー
ルを気体時空間速度150h-1(供給量697g/h
r)で連続的に供給して反応させた。また、この間、上
記冷却器内部並びに受器内部の圧力も、380mmHg
となるように維持した。
【0075】得られた反応ガスをガスクロマトグラフィ
ーを用いて分析した結果、2−イソプロポキシエタノー
ルの転化率は25.3モル%であり、アルキルビニルエ
ーテルとしてのイソプロピルビニルエーテルの選択率は
93.3モル%、単流収率は23.6モル%であった。
次いで、上記の反応ガスを捕集した。即ち、上記外筒内
部に−5℃〜0℃に冷却された冷媒を流通させると共
に、冷却器内部に上記反応ガスを流通させることによ
り、反応ガスを冷却・凝縮させて液化した。そして、得
られた液体を、5℃に冷却された受器に集めることによ
り、捕集液を得た。
【0076】得られた捕集液をガスクロマトグラフィー
を用いて分析した結果、捕集液には、供給した2−イソ
プロポキシエタノールに対する収率が23.4モル%と
なるような割合でイソプロピルビニルエーテルが含まれ
ていた。従って、イソプロピルビニルエーテルの捕集率
は99.2モル%であった。
【0077】〔実施例6〕先ず、アルキルビニルエーテ
ルを製造するための触媒を調製した。即ち、硝酸ルビジ
ウム73.8gを水1,000gに溶解してなる水溶液
を90℃に加熱した。次いで、該水溶液に酸化ケイ素3
00gを加えた後、該溶液を加熱撹拌しながら濃縮(乾
固)した。得られた粉体を、直径が約5mmの球状ペレ
ットに成型した。次いで、該ペレットを空気雰囲気下、
120℃で充分に乾燥させた後、空気雰囲気下、500
℃で2時間、焼成することにより、触媒を調製した。該
触媒の、酸素を除いた原子比は、Rb1 Si10であっ
た。そして、この触媒を用いてアルキルビニルエーテル
を製造した。
【0078】反応装置として、真空ポンプが接続された
内径30mmのステンレス製反応管を用いた。また、捕
集装置としての外筒付き冷却器を上記反応管の出口部に
接続すると共に、該冷却器に受器を接続した。さらに、
反応管の出口部と冷却器との間における所定位置に、捕
集剤を導入するための導入管を設けた。そして、反応管
に、上記の触媒1Lを充填した後、反応管の内温を44
0℃に昇温し、該温度を維持すると共に反応管内部を減
圧した。次いで、触媒層の出口での圧力が200mmH
gとなるように維持しながら、2−エトキシエタノール
を気体時空間速度75h-1(供給量302g/hr)で
連続的に供給して反応させた。また、この間、上記冷却
器内部並びに受器内部の圧力も、200mmHgとなる
ように維持した。
【0079】得られた反応ガスをガスクロマトグラフィ
ーを用いて分析した結果、2−エトキシエタノールの転
化率は75.1モル%であり、エチルビニルエーテルの
選択率は87.8モル%、単流収率は65.9モル%で
あった。次いで、上記の反応ガスを捕集した。即ち、上
記外筒内部に−5℃〜0℃に冷却された冷媒を流通させ
ると共に、冷却器内部に上記反応ガスを流通させた。さ
らに、該反応ガスに、上記の導入管を介して、捕集剤と
しての2−エトキシエタノールを添加量2,000g/
hrで連続的に添加した。これにより、反応ガスを冷却
・凝縮させて液化した。そして、得られた液体を、5℃
に冷却された受器に集めることにより、捕集液を得た。
【0080】得られた捕集液をガスクロマトグラフィー
を用いて分析した結果、捕集液には、反応装置に供給し
た2−エトキシエタノールに対する収率が63.1モル
%となるような割合でエチルビニルエーテルが含まれて
いた。従って、エチルビニルエーテルの捕集率は95.
8モル%であった。
【0081】〔実施例7〕図1および図2に示す蒸留装
置を用いて、実施例1にて得られた捕集液から目的物で
あるエチルビニルエーテル、並びに、未反応の原料であ
る2−エトキシエタノールを連続的に回収した。連続蒸
留塔2・10として、それぞれ、内径30mmのオール
ダーショウ(Oldershaw) 蒸留塔を用い、濃縮部の段数を
10段、回収部の段数を10段とした。また、分離槽3
・11内の温度、即ち、静置すべき留出液の液温を10
℃に保った。共沸剤としてn−ブタノールを用いた。
【0082】そして、これら連続蒸留塔2・10を、常
圧で操作した。このとき、連続蒸留塔2における還流比
が5となるように、分離槽3から連続蒸留塔2に還流さ
れる油層の量を操作した。また、連続蒸留塔10におけ
る還流比が10となるように、分離槽11から連続蒸留
塔10に還流される共沸剤層の量を操作した。
【0083】連続蒸留塔2に供給した捕集液の単位時間
当たりの供給量(以下、供給速度と記す)、連続蒸留塔
2から留出した留出液の単位時間当たりの留出量(以
下、留出速度と記す)、連続蒸留塔2から缶出した缶出
液の単位時間当たりの缶出量(以下、缶出速度と記
す)、連続蒸留塔10に供給した上記缶出液の供給速
度、連続蒸留塔10から留出した留出液の留出速度、お
よび、連続蒸留塔10から缶出した缶出液の缶出速度
を、各液の組成と共に、表1に示す。但し、同表におい
ては、連続蒸留塔10における共沸剤の各速度・組成に
ついては、その記載を省略した。
【0084】
【表1】
【0085】表1に示した各数値から明らかなように、
連続蒸留塔2においては、捕集液中の全てのエチルビニ
ルエーテルがアセトアルデヒド、エタノールおよび水と
共に留出液として留出され、一方、全ての2−エトキシ
エタノールが残りの水等と共に缶出液として缶出された
ことがわかる。また、連続蒸留塔10においては、上記
缶出液中の全ての水分が共沸剤等と共に留出液として留
出され、一方、2−エトキシエタノールが缶出液として
缶出されたことがわかる。従って、上記の蒸留装置、即
ち、本実施例にかかる回収方法により、エチルビニルエ
ーテル並びに2−エトキシエタノールが連続的に回収さ
れることがわかる。
【0086】連続蒸留塔2に供給した捕集液中のエチル
ビニルエーテルの供給量に対する、連続蒸留塔2から留
出したエチルビニルエーテルの留出量の割合、つまり、
エチルビニルエーテルの回収率は99.2重量%であっ
た。
【0087】一方、連続蒸留塔2に供給した捕集液中の
2−エトキシエタノールの供給量に対する、連続蒸留塔
10から缶出した2−エトキシエタノールの缶出量の割
合、つまり、2−エトキシエタノールの回収率は99.
6重量%であった。そして、回収された2−エトキシエ
タノールの純度は99.7重量%であった。
【0088】尚、回収された2−エトキシエタノールに
含まれる主な不純物(表中、「その他」と記載)は、エ
チルビニルエーテルや2−エトキシエタノール等のごく
一部が蒸留操作中に何らかの原因によって変質して生じ
た高沸点物、並びに、共沸剤であるn−ブタノールであ
った。また、蒸留操作中にアセトアルデヒドが減少して
いる理由は、該アセトアルデヒドの沸点が低いので、そ
の一部が蒸留系外に飛散したためであると考えられる。
【0089】〔実施例8〕図1および図2に示す蒸留装
置を用いて、実施例5にて得られた捕集液から目的物で
あるイソプロピルビニルエーテル、並びに、未反応の原
料である2−イソプロポキシエタノールを連続的に回収
した。連続蒸留塔2・10として、それぞれ、実施例7
にて用いたオールダーショウ蒸留塔と同一構成のオール
ダーショウ蒸留塔を用いた。また、分離槽3・11内の
温度、即ち、静置すべき留出液の液温を10℃に保っ
た。共沸剤としてn−ブタノールを用いた。そして、こ
れら連続蒸留塔2・10を、実施例7の操作条件と同一
条件で以て操作した。
【0090】連続蒸留塔2に供給した捕集液の供給速
度、連続蒸留塔2から留出した留出液の留出速度、連続
蒸留塔2から缶出した缶出液の缶出速度、連続蒸留塔1
0に供給した上記缶出液の供給速度、連続蒸留塔10か
ら留出した留出液の留出速度、および、連続蒸留塔10
から缶出した缶出液の缶出速度を、各液の組成と共に、
表2に示す。但し、同表においては、連続蒸留塔10に
おける共沸剤の各速度・組成については、その記載を省
略した。
【0091】
【表2】
【0092】表2に示した各数値から明らかなように、
連続蒸留塔2においては、捕集液中の全てのイソプロピ
ルビニルエーテルがアセトアルデヒド、イソプロパノー
ルおよび水と共に留出液として留出され、一方、全ての
2−イソプロポキシエタノールが残りの水等と共に缶出
液として缶出されたことがわかる。また、連続蒸留塔1
0においては、上記缶出液中の全ての水分が共沸剤等と
共に留出液として留出され、一方、2−イソプロポキシ
エタノールが缶出液として缶出されたことがわかる。従
って、上記の蒸留装置、即ち、本実施例にかかる回収方
法により、イソプロピルビニルエーテル並びに2−イソ
プロポキシエタノールが連続的に回収されることがわか
る。
【0093】連続蒸留塔2に供給した捕集液中のイソプ
ロピルビニルエーテルの供給量に対する、連続蒸留塔2
から留出したイソプロピルビニルエーテルの留出量の割
合、つまり、イソプロピルビニルエーテルの回収率は9
9.0重量%であった。
【0094】一方、連続蒸留塔2に供給した捕集液中の
2−イソプロポキシエタノールの供給量に対する、連続
蒸留塔10から缶出した2−イソプロポキシエタノール
の缶出量の割合、つまり、2−イソプロポキシエタノー
ルの回収率は99.6重量%であった。そして、回収さ
れた2−イソプロポキシエタノールの純度は99.7重
量%であった。
【0095】尚、回収された2−イソプロポキシエタノ
ールに含まれる主な不純物は、イソプロピルビニルエー
テルや2−イソプロポキシエタノール等のごく一部が蒸
留操作中に何らかの原因によって変質して生じた高沸点
物、並びに、共沸剤であるn−ブタノールであった。ま
た、蒸留操作中にアセトアルデヒドが減少している理由
は、該アセトアルデヒドの沸点が低いので、その一部が
蒸留系外に飛散したためであると考えられる。
【0096】〔実施例9〕図1に示す蒸留装置を用い
て、実施例1にて得られた捕集液から目的物であるエチ
ルビニルエーテル、並びに、未反応の原料である2−エ
トキシエタノールを連続的に回収した。連続蒸留塔2と
して、内径50mmのオールダーショウ蒸留塔を用い、
濃縮部の段数を10段、回収部の段数を10段とした。
また、分離槽3内の温度、即ち、静置すべき留出液の液
温を10℃に保った。
【0097】そして、連続蒸留塔2を、常圧で操作し
た。このとき、連続蒸留塔2における還流比が40とな
るように、分離槽3から連続蒸留塔2に還流される油層
の量を操作した。上記の操作条件においては、連続蒸留
塔2に還流される油層が、共沸剤としての働きを兼ねる
ことになる。
【0098】連続蒸留塔2に供給した捕集液の供給速
度、連続蒸留塔2から留出した留出液の留出速度、およ
び、連続蒸留塔2から缶出した缶出液の缶出速度を、各
液の組成と共に、表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】表3に示した各数値から明らかなように、
連続蒸留塔2においては、捕集液中の全てのエチルビニ
ルエーテルが、全てのアセトアルデヒド、エタノールお
よび水と共に留出液として留出され、一方、全ての2−
エトキシエタノールが高純度の缶出液として缶出された
ことがわかる。従って、上記の蒸留装置、即ち、本実施
例にかかる回収方法により、エチルビニルエーテル並び
に2−エトキシエタノールが連続的に回収されることが
わかる。
【0101】即ち、上記の操作条件においては、連続蒸
留塔2における還流比は大きくなるものの、連続蒸留塔
2に還流される油層が共沸剤としての働きを兼ねること
になるので、共沸剤を用いる必要が無い。それゆえ、連
続蒸留塔2における一工程の連続蒸留操作で以て、エチ
ルビニルエーテル並びに2−エトキシエタノールを連続
的に回収することができる。
【0102】エチルビニルエーテルの回収率は97.5
重量%であった。一方、2−エトキシエタノールの回収
率は99.4重量%であった。そして、回収された2−
エトキシエタノールの純度は99.3重量%であった。
尚、回収された2−エトキシエタノールに含まれる主な
不純物は、エチルビニルエーテルや2−エトキシエタノ
ール等のごく一部が蒸留操作中に何らかの原因によって
変質して生じた高沸点物であった。
【0103】〔実施例10〕図1に示す蒸留装置を用い
て、実施例3にて得られた捕集液から目的物であるn−
ブチルビニルエーテル、並びに、未反応の原料である2
−n−ブトキシエタノールを連続的に回収した。連続蒸
留塔2として、内径30mmのオールダーショウ蒸留塔
を用い、濃縮部の段数を10段、回収部の段数を10段
とした。また、分離槽3内の温度、即ち、静置すべき留
出液の液温を10℃に保った。
【0104】そして、連続蒸留塔2を、常圧で操作し
た。このとき、連続蒸留塔2における還流比が7となる
ように、分離槽3から連続蒸留塔2に還流される油層の
量を操作した。上記の操作条件においては、連続蒸留塔
2に還流される油層が、共沸剤としての働きを兼ねるこ
とになる。
【0105】連続蒸留塔2に供給した捕集液の供給速
度、連続蒸留塔2から留出した留出液の留出速度、およ
び、連続蒸留塔2から缶出した缶出液の缶出速度を、各
液の組成と共に、表4に示す。
【0106】
【表4】
【0107】表4に示した各数値から明らかなように、
連続蒸留塔2においては、捕集液中の全てのn−ブチル
ビニルエーテルが、全てのアセトアルデヒド、n−ブタ
ノールおよび水と共に留出液として留出され、一方、全
ての2−n−ブトキシエタノールが高純度の缶出液とし
て缶出されたことがわかる。従って、上記の蒸留装置、
即ち、本実施例にかかる回収方法により、n−ブチルビ
ニルエーテル並びに2−n−ブトキシエタノールが連続
的に回収されることがわかる。
【0108】即ち、上記の操作条件においては、連続蒸
留塔2に還流される油層が共沸剤としての働きを兼ねる
ことになるので、共沸剤を用いる必要が無い。それゆ
え、連続蒸留塔2における一工程の連続蒸留操作で以
て、n−ブチルビニルエーテル並びに2−n−ブトキシ
エタノールを連続的に回収することができる。
【0109】n−ブチルビニルエーテルの回収率は9
9.6重量%であった。一方、2−n−ブトキシエタノ
ールの回収率は99.8重量%であった。そして、回収
された2−n−ブトキシエタノールの純度は99.7重
量%であった。尚、回収された2−n−ブトキシエタノ
ールに含まれる主な不純物は、n−ブチルビニルエーテ
ルや2−n−ブトキシエタノール等のごく一部が蒸留操
作中に何らかの原因によって変質して生じた高沸点物で
あった。
【0110】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のアルキルビニル
エーテルの回収方法は、以上のように、グリコールエー
テル類を気相で分子内脱水反応させてなるアルキルビニ
ルエーテルを含むガス状の反応混合物を、原料であるグ
リコールエーテル類を捕集剤として用いて、液化して捕
集する方法である。本発明の請求項2記載のアルキルビ
ニルエーテルの回収方法は、以上のように、上記反応混
合物が、実質的に濃度100%のグリコールエーテル類
を気相で分子内脱水反応させることによりなる方法であ
る。
【0111】また、本発明の請求項3記載のアルキルビ
ニルエーテルの回収方法は、以上のように、反応混合物
を捕集してなる捕集液を第一の蒸留塔を用いて連続的に
蒸留し、アルキルビニルエーテルおよび水を含む留出液
を留出させる一方、グリコールエーテル類を含む缶出液
を缶出させる方法である。本発明の請求項4記載のアル
キルビニルエーテルの回収方法は、以上のように、第一
の蒸留塔の留出液を静置することにより、油層と水層と
に分離させる方法である。本発明の請求項5記載のアル
キルビニルエーテルの回収方法は、以上のように、上記
油層の一部を第一の蒸留塔の塔頂部に還流させる方法で
ある。
【0112】さらに、本発明の請求項6記載のアルキル
ビニルエーテルの回収方法は、以上のように、第一の蒸
留塔の缶出液が水を含む場合であって、該缶出液を、水
と共沸組成物を形成する共沸剤と共に、第二の蒸留塔を
用いて連続的に蒸留し、該共沸組成物を含む留出液を留
出させる一方、グリコールエーテル類を缶出させる方法
である。本発明の請求項7記載のアルキルビニルエーテ
ルの回収方法は、以上のように、第二の蒸留塔の留出液
を静置することにより、共沸剤層と水層とに分離させる
方法である。本発明の請求項8記載のアルキルビニルエ
ーテルの回収方法は、以上のように、上記共沸剤層の一
部を第二の蒸留塔の塔頂部に還流させる方法である。
【0113】上記の方法によれば、ガス状の反応混合物
から、アルキルビニルエーテルを従来よりも少ない工程
で効率的に捕集し、精製・回収することができる。ま
た、上記の方法によれば、捕集、精製、回収する際にお
けるアルキルビニルエーテルの変質を抑制することがで
きる。さらに、上記の方法によれば、該反応混合物か
ら、原料でありかつ捕集剤であるグリコールエーテル類
を従来よりも少ない工程で効率的に捕集し、精製・回収
することができる。これにより、工業的にかつ効率的に
アルキルビニルエーテルを製造することができるという
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるアルキルビニル
エーテルの回収方法に好適に用いられる連続蒸留塔(第
一の蒸留塔)の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】上記回収方法に好適に用いられる連続蒸留塔
(第二の蒸留塔)の概略の構成を示すブロック図であ
る。
【図3】図1の連続蒸留塔の変形例を示すブロック図で
ある。
【図4】図2の連続蒸留塔の変形例を示すブロック図で
ある。
【符号の説明】
2 連続蒸留塔(第一の蒸留塔) 10 連続蒸留塔(第二の蒸留塔) 3・11 分離槽 4・12 凝縮器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−143497(JP,A) 特表 平9−501461(JP,A) 国際公開95/4762(WO,A2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 41/34 - 41/46 C07C 43/16 CA(STN) CAOLD(STN) CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グリコールエーテル類を気相で分子内脱水
    反応させてなるアルキルビニルエーテルを含むガス状の
    反応混合物を、原料であるグリコールエーテル類を捕集
    剤として用いて、液化して捕集することを特徴とするア
    ルキルビニルエーテルの回収方法。
  2. 【請求項2】上記反応混合物が、実質的に濃度100%
    のグリコールエーテル類を気相で分子内脱水反応させる
    ことによりなることを特徴とする請求項1記載のアルキ
    ルビニルエーテルの回収方法。
  3. 【請求項3】反応混合物を捕集してなる捕集液を第一の
    蒸留塔を用いて連続的に蒸留し、アルキルビニルエーテ
    ルおよび水を含む留出液を留出させる一方、グリコール
    エーテル類を含む缶出液を缶出させることを特徴とする
    請求項1または2記載のアルキルビニルエーテルの回収
    方法。
  4. 【請求項4】第一の蒸留塔の留出液を静置することによ
    り、油層と水層とに分離させることを特徴とする請求項
    3記載のアルキルビニルエーテルの回収方法。
  5. 【請求項5】上記油層の一部を第一の蒸留塔の塔頂部に
    還流させることを特徴とする請求項4記載のアルキルビ
    ニルエーテルの回収方法。
  6. 【請求項6】第一の蒸留塔の缶出液が水を含む場合であ
    って、該缶出液を、水と共沸組成物を形成する共沸剤と
    共に、第二の蒸留塔を用いて連続的に蒸留し、該共沸組
    成物を含む留出液を留出させる一方、グリコールエーテ
    ル類を缶出させることを特徴とする請求項3、4または
    5記載のアルキルビニルエーテルの回収方法。
  7. 【請求項7】第二の蒸留塔の留出液を静置することによ
    り、共沸剤層と水層とに分離させることを特徴とする請
    求項6記載のアルキルビニルエーテルの回収方法。
  8. 【請求項8】上記共沸剤層の一部を第二の蒸留塔の塔頂
    部に還流させることを特徴とする請求項7記載のアルキ
    ルビニルエーテルの回収方法。
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