JP2971298B2 - 保護継電装置 - Google Patents

保護継電装置

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JP2971298B2
JP2971298B2 JP5214120A JP21412093A JP2971298B2 JP 2971298 B2 JP2971298 B2 JP 2971298B2 JP 5214120 A JP5214120 A JP 5214120A JP 21412093 A JP21412093 A JP 21412093A JP 2971298 B2 JP2971298 B2 JP 2971298B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ディジタル計算機を
用いて電力系統の状態を判定し機器を保護する保護継電
器、特に複数系統からCTを介して取り込まれた各電流
量のスカラー加算量とベクトル加算量とを比較して電力
系統の事故を検出する保護継電器に関するものである
【0002】
【従来の技術】図8は、例えば特開昭55−23779
号公報に示された従来の比率差動保護継電器を示す原理
図であり、図において、21はCTを介して得られた系
統の電流量を整流し平滑する整流平滑要素、22は上記
CTを介して得られた系統の各電流量をベクトル加算す
るベクトル加算要素、23は上記整流平滑された各電流
量を加算するスカラー加算要素、24は上記ベクトル加
算要素22の出力、即ちベクトル加算量を整流平滑する
ベクトル加算量整流平滑要素、25は上記スカラー加算
要素23の出力と上記ベクトル加算量整流平滑要素24
の出力とを比較する、即ち上記ベクトル加算量(動作
量)とスカラー加算量(抑制量)とを比較判定する比較
判定要素、26はこの比較判定要素25での判定結果を
出力する出力要素である。
【0003】次に動作について説明する。図8の動作原
理を下記演算式(1)、(2)で示す。
【0004】
【数1】
【0005】次に図8の動作について説明する。即ち、
サンプリングされた電力系統の夫々の電流量 Ii t 整流
平滑要素21により、(2)式のように整流平滑されて
‖Iit ‖となり、これら整流平滑された各電流はスカラ
ー加算要素23によって加算されて、上記演算式(1)
のB項となる。一方、上記サンプリングされた電力系統
の夫々の電流量 Ii t ベクトル加算要素22によってベ
クトル加算され、さらにベクトル加算量整流平滑要素2
4で整流平滑されて上記演算式(1)のA項となる。比
較判定要素25では、通常、上記スカラー加算量23の
出力(上記演算式(1)のB項)に適当な定数が乗算さ
れ、上記ベクトル加算量整流平滑要素24の出力(上記
演算式(1)のA項)と共に(1)式の判定が行われ
る。その結果(1)式が成立すれば、動作信号が上記比
較判定要素25より出力される。出力要素26は、上記
の動作信号に適当な時限をもたせて最終的な動作信号と
して出力する。
【0006】なお、上記の演算式では、(1)式中のK0
を最小動作値、K1を比率として図9の一般的な差動保護
継電器の動作特性における実線(イ)で示された差動特
性を得ようとしているため、単に瞬時値を整流しただけ
では脈流となり、サンプリング位相により、動作特性に
ばらつきが発生するため、例えば、上記(2)式のよう
に整流平滑を行う必要がある。この(2)式の演算によ
り、4相整流の様な形になり、動作値誤差を小さく出
来、差動特性のサンプリング位相によるばらつきを少な
くしようとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の保護継電器で
は、上述のように構成されているので、外部事故時の上
記CTの飽和による誤動作を避けるため電流量の大きさ
により自動的に定数K0,K1を変更して差動特性の傾きを
大電流領域で大きく変えてやる等の対策を施している
が、完全ではなく、例えば1端子のCTが完全に飽和し
てCT2次電流が瞬間的に0になるようなケースでは誤
動作する可能性がある。この発明は、前述のような従来
の問題点を解決するためになされたものであり、CT飽
和時でも安定な保護継電器を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1及び請求項2の
発明に係る保護継電装置は、複数系統からCTを介して
取り込まれた各電流量のスカラー加算量とベクトル加算
量とを比較して電力系統の事故を検出する保護継電器に
おいて、負荷線のみの各電流量をベクトル加算するベク
トル加算要素、及びこのベクトル加算要素の出力により
上記CTの飽和を検出する判定要素を設け、この判定要
素の出力により継電器出力をロックするようにしたもの
である。
【0009】請求項3の発明に係る保護継電装置は、ベ
クトル加算要素の出力から上記負荷線だけの電流量の実
効値を導出する実効値演算要素、及び上記導出された実
効値のうちの現在の実効値と現在より前の実効値との比
較により上記CTの飽和を検出する判定要素を設け、こ
の判定要素の出力により継電器出力をロックするように
したものである。
【0010】請求項4の発明に係る保護継電装置は、実
効値演算要素で導出された実効値のうちの現在の実効値
と現在より前の実効値との比較により上記CTの飽和を
検出する第2の判定要素、上記導出された実効値が所定
値より大きいか小さいかを判定することにより上記CT
の飽和を検出する第3の判定要素、及び上記第2の判定
要素の出力と上記第3の判定要素の出力とを論理和する
論理和要素を設け、この論理和要素の出力により継電器
出力をロックするようにしたものである。
【0011】請求項5の発明に係る保護継電装置は、ベ
クトル加算要素の出力から上記負荷線だけの電流量の実
効値を導出する第1の実効値演算要素、この第1の実効
値演算要素で導出された実効値からCTの飽和を検出す
る第2の判定要素、上記ベクトル加算要素の出力から上
記負荷線のみの電流量の実効値を上記第1の実効値演算
要素とは異なるアルゴリズムで導出する第2の実効値演
算要素、この第2の実効値演算要素で導出された実効値
からCTの飽和を検出する第3の判定要素、及び上記第
2の判定要素の出力と上記第3の判定要素の出力とを論
理和する論理和要素を設け、この論理和要素の出力によ
り継電器出力をロックするようにしたものである。
【0012】請求項6の発明に係る保護継電装置は、ベ
クトル加算要素の実効値演算要素で導出された負荷線の
みの電流量の実効値から上記CTの飽和を検出する第2
の判定要素、この第2の判定要素とは異なる判定機能に
より上記実効値演算要素で導出された実効値から上記C
Tの飽和を検出する第3の判定要素、上記ベクトル加算
要素のベクトル加算量の出力のうちの現在の出力と現在
より前の出力との差の大きさを判定し判定結果に依存し
て上記第2及び第3の判定要素の出力をを制御する第4
の判定要素、及びこの第4の判定要素により制御される
上記第2及び第3の判定要素の各出力を入力する論理和
要素を設け、この論理和要素の出力により継電器出力を
ロックするようにしたものである。
【0013】
【作用】請求項1及び請求項2の発明に係る保護継電装
置においては、負荷線だけの各電流量をベクトル加算す
るベクトル加算要素の出力により上記CTの飽和を検出
する判定要素の出力によって継電器出力がロックされる
ので、外部事故時のCT飽和現象に対して確実に継電器
誤動作を防止でき、電力系統事故に対して高速度に正し
い応動が可能な保護性能を有した保護継電装置が得られ
る。
【0014】請求項3の発明に係る保護継電装置におい
ては、ベクトル加算要素の出力から上記負荷線だけの電
流量から導出された実効値のうちの、現在の実効値と、
現在より前の実効値との比較によりCTの飽和を検出す
る判定要素の出力によって、継電器出力がロックされる
ので、外部事故時のCT飽和現象が高感度に検出され
る。
【0015】請求項4の発明に係る保護継電装置におい
ては、実効値演算要素で導出された実効値のうちの現在
の実効値と現在より前の実効値との比較によりCTの飽
和を検出する第2の判定要素の出力と、上記導出された
実効値が所定値より大きいか小さいかを判定することに
より上記CTの飽和を検出する第3の判定要素の出力と
の論理和出力により継電器出力がロックされるので、即
ち2重化された互いに異なる検出機能の要素で、継電器
出力がロックされるので、CT飽和現象がより確実に検
出される。
【0016】請求項5の発明に係る保護継電装置におい
ては、負荷線だけの電流量の実効値を導出する第1の実
効値演算要素で導出された実効値から上記CTの飽和を
検出する第2の判定要素の出力と、上記負荷線だけの電
流量の実効値を上記第1の実効値演算要素とは異なるア
ルゴリズムで導出する第2の実効値演算要素で導出され
た実効値から上記CTの飽和を検出する第3の判定要素
の出力との、論理和出力により継電器出力がロックされ
るので、CT飽和現象をより精度よく検出できるように
することが可能となる。
【0017】請求項6の発明に係る保護継電装置におい
ては、負荷線だけの電流量の実効値から上記CTの飽和
を検出する第2の判定要素、この第2の判定要素とは異
なる判定機能により上記実効値から上記CTの飽和を検
出する第3の判定要素、及びベクトル加算要素のベクト
ル加算量の出力のうちの現在の出力と現在より前の出力
との差の大きさを判定し判定結果に依存して上記第2及
び第3の判定要素の出力をを制御する第4の判定要素を
設けられ、この第4の判定要素により制御される上記第
2及び第3の判定要素の各出力を入力する論理和要素の
出力により継電器出力がロックされるので、CT飽和角
が小さい場合でも事故時の継電器動作スピードが遅くな
らずに速くなる。
【0018】
【実施例】実施例1.以下この発明の実施例1を図に基
づいて説明する。図1において、1L,2L,1F,2
F,3F,4Fは保護継電器の入力端子で、これら入力
端子のうち、入力端子1L,2Lには電力系統の電源線
からCT(図示せず)を介して検出された電源線電流を
サンプリングして得られたサンプルド電源線電流(瞬時
値)が入力され、入力端子1F,2F,3F,4Fには
電力系統の負荷線からCT(図示せず)を介して検出さ
れた負荷線電流をサンプリングして得られたサンプルド
負荷線電流(瞬時値)が入力される。1は上記各入力端
子1L,2L,1F,2F,3F,4Fの各々に交流側
が接続された整流要素で、上記サンプリングされた系統
の電流量を整流するものである。2は上記整流された電
流の瞬時最大値を導出する最大値導出要素で、比率差動
継電器の抑制量を導出するものである。3は入力側が上
記入力端子1L,2L,1F,2F,3F,4Fの各々
に接続され上記サンプリングされた夫々の電流量(瞬時
値)をベクトル加算する第1のベクトル加算要素で、比
率差動継電器の差動量を導出するものである。4は上記
最大値導出要素2の出力と上記第1のベクトル加算要素
3の出力とを入力し上記抑制量と上記差動量との大小関
係を比較判定する第1の判定要素、5はこの第1の判定
要素4の出力を入力する第1の動作復帰照合要素で、上
記第1の判定要素4の動作出力が所定の時間(又は所定
の動作出力回数)以上になった際に動作信号を出力し、
その後、第1の判定要素4の出力が復帰してもすぐには
復帰せずに所定の時間(又は所定の回数)後に復帰する
第1の動作復帰照合要素である。Aは上述の整流要素
1,最大値導出要素2,第1のベクトル加算要素3,第
1の判定要素4,及び第1の動作復帰照合要素5による
保護継電器機能ルートである。
【0019】6は上記各入力端子1F,2F,3F,4
Fの各々に入力側が接続され上記サンプリングされた負
荷線の夫々の電流量(瞬時値)をベクトル加算する第2
のベクトル加算要素、7はこの第2のベクトル加算要素
6の出力を記憶する記憶要素、8は上記第2のベクトル
加算要素6のベクトル加算量出力(瞬時値)と上記記憶
要素7の出力とを入力し上記ベクトル加算要素6による
ベクトル加算量と上記記憶要素7で記憶された数サンプ
ル前のベクトル加算量(瞬時値)の2乗和をとって負荷
線の実効値を演算する実効値演算要素、9はこの実効値
演算要素8の出力を入力し上記の2乗和を基準値と比較
してその大小関係により判定出力する第2の判定要素、
10は上記第2の判定要素の動作出力が所定の時間(又
は所定の動作出力回数)以上になった際に動作信号を出
し、その後、第2の判定要素9の出力が復帰してもすぐ
には復帰せずに所定の時間(又は回数)後に復帰する第
2の動作復帰照合要素、11は上記第1の動作復帰照合
要素5の出力と上記第2の動作復帰照合要素10の出力
とを入力するインヒビット要素で、上記第1の動作復帰
照合要素5の出力を上記第2の動作復帰照合要素10の
出力でロックするものである。Bは上述の第2のベクト
ル加算要素6,記憶要素7,実効値演算要素8,第2の
判定要素9,及び第2の動作復帰照合要素10によるC
T飽和検出ルートである。
【0020】図1のブロック図をディジタル計算機を用
いてプログラムで実施すると、その機能のフローチャー
トは図2のようになる。以下図2により、図1と対応付
けながら実施例1の動作説明をする。
【0021】最初に、保護継電器機能ルートAから説明
する。先ず、第1の判定要素4(比率差動要素)の動作
側ルートについて述べる。ステップ1において、t時刻
に系統の電流量Ii t をサンプリングして量子化した該
電流量の各々の絶対値の最大値ER t ( 抑制量)を最大
値導出要素2で計算する。ステップ2で、前記夫々の電
気量Ii t 第1のベクトル加算要素3にかけて、全電源
線と全負荷線の電気量を加算し、EDLF t (差動量)を
計算する。ステップ3では、前記差動量EDLF t と上記
抑制量ER t との大小関係を第1の判定要素4で比較
し、前者が大きいか或いは等しい場合、即ち第1の判定
要素4(比率差動要素)が動作した場合はステップ4へ
進み、後者が大きい時はステップ9に進む。
【0022】ステップ4では、第1の判定要素4(比率
差動要素)の動作回数を第1の動作復帰照合要素5にて
カウントし、次いでステップ5に進む。ステップ5で、
比率差動要素の動作回数カウンターCNTD0に、上記第
1の動作復帰照合要素5のカウント値をセットし、ステ
ップ6に進む。ステップ6では、動作回数カウンターC
NTD0の上記セット値と所定の時間ND0(回数)との大
小関係を比較し、前者が大きいか或いは等しいときは、
ステップ7へ進み、後者が大きいときは、処理ルートか
ら抜ける。ステップ7では、比率差動要素の動作フラグ
をセットし、ステップ8に進む。これは、インヒビット
要素11の入力が論理「1」となったこと意味する。ス
テップ8では、上記第1の動作復帰照合要素5が上記第
1の判定要素4の出力復帰後にすぐに復帰せずに所定時
間(第1の判定要素4の動作回数)後に復帰するよう
に、所定の復帰照合回数、例えば、上記動作回数カウン
ターCNTD0の上記セット値を、復帰照合カウンターC
NTDRにセットして、ステップ42に進む。
【0023】次に、比率差動要素の復帰ルートについて
述べる。ステップ9では復帰照合カウンターCNTDR
値を0と比較し、等しければステップ11に進み、等し
くないのであればステップ10に進む。ステップ11で
は、比率差動要素(第1の判定要素4)が不動作である
ので、比率差動動作フラグをリセットし、ステップ12
に進む。ステップ12では、動作カウンターCNTD0
リセットし、ステップ42に進む。ステップ10では、
復帰照合カウンターCNTDRの復帰照合回数の値をデク
リメントし処理ルートから抜ける。
【0024】次に、CT飽和検出側ルートBについて述
べる。先ず、CT飽和動作側ルートについて述べる。ス
テップ31では、電気量Ii t を第2のベクトル加算要
素6で全負荷線だけの電気量を加算し、負荷線流出電流
のベクトル加算による合計EDF t を計算する。 ステッ
プ32では、第2のベクトル加算要素6の出力値と記憶
要素7の出力値とにより演算した実効値を、第2の判定
要素(過電流要素)9により、所定の電流量と比較し、
前者が大きいか或いは等しいときは、即ち、第2の判定
要素9が動作した場合は、ステップ33に進み、後者が
大きいときは、ステップ38に進む。
【0025】ステップ33では、第2の判定要素(過電
流要素)9の動作回数を第2の動作復帰照合要素10に
てカウントし、ステップ34に進む。ステップ34で
は、過電流要素の動作回数カウンター(動作照合カウン
ター)CNT0C0 に、上記第2の動作復帰照合要素10
のカウンター値をセットしステップ35に進む。
【0026】ステップ35では、動作照合カウンターC
NT0C0 の上記セット値と所定の時間N0C0 (回数)の
大小関係を比較し、前者が大きいか或いは等しいとき、
即ちCT飽和と判定した場合は、ステップ36に進み、
後者が大きいときは処理ルートから抜ける。ステップ3
6では、CT飽和検出要素の動作フラグをセットし、ス
テップ37に進む。これはインヒビット要素11のイン
ヒビット側入力が論理「1」となったことを意味する。
ステップ37では、上記第2の動作復帰照合要素10が
上記第2の判定要素9の出力復帰後にすぐに復帰せずに
所定時間(第2の判定要素9の動作回数)後に復帰する
ように、所定の復帰照合回数、例えば上記動作回数カウ
ンター(動作照合カウンター)CNT0C0の上記セット
値を、復帰照合カウンターCNT0CRにセットして、ス
テップ42に進む。
【0027】次にCT飽和不動作側ルートについて述べ
る。ステップ38では、復帰照合カウンタCNT0CR
値を0と比較し等しければステップ40に進み、等しく
ないのであればステップ39に進む。ステップ39で
は、復帰照合回数の値をデグリメントし、処理ルートか
ら抜ける。ステップ40では、CT飽和検出要素の動作
プラグをリセットし、ステップ41に進む。ステップ4
1では、CNT0C0 をリセットし、ステップ42に進
む。
【0028】ステップ42では、インヒビット11の判
定を行うもので、「比率差動要素動作かつCT飽和検出
要素不動作」の条件成立すれば、ステップ43に進み、
総合動作、即ち、インヒビット要素11から出力が出
て、内部事故を知らせる信号が出力されることになる。
又、「比率差動要素動作かつCT飽和検出要素不動作」
の条件以外であれば、ステップ44に進み、総合不動
作、即ち、インヒビット要素11からは出力されない。
【0029】実施例2.なお、上記実施例1では、第2
の判定要素9におけるCT飽和検出要素を過電流にて検
出する場合について述べたが、この実施例2は、図3に
示すように、第2の記憶要素12を設けて、実効値演算
要素8で算出したデータを蓄積し、180゜前の実効値
データと現時点の実効値データと比較する実効値変化幅
(増分)検出によって、CT飽和を検出するもので、特
有の効果としては、上述の実施例1に比し高感度にCT
飽和を検出することが可能となるものである。
【0030】以下、こ実施例2を図3に基づいて説明す
る。図3において、1〜8,10,11は実施例1と同
様なため省略する。12は実効値演算要素8の出力を入
力する第2の記憶要素で、上記実効値演算要素8で演算
された実効値を必要な時間(回数)蓄積するものであ
る。第2の判定要素9は、上記実効値演算要素8の出力
と第2の記憶要素12の出力とを入力し、上記実効値演
算要素8の出力である現在の実効値と、第2の記憶要素
12で記憶された数サンプル前の実効値との差をとり、
その差と所定の値とを比較して、それらの大小関係によ
り判定出力する。
【0031】つまり、上記第2の記憶要素12で蓄積さ
れた180゜前の実効値データと上記実効値演算要素8
による現時点の実効値データとを比較する実効値変化幅
(増分)検出によって、CT飽和を検出するので、高感
度にCT飽和を検出できる。なお,この実施例2の場合
も、ディジタル計算機を用いてプログラムで実現する場
合の機能フローチャートを図4に示してあるが、図2の
フローチャートとは、ステップ32、ステップ36、及
びステップ40において、「変化幅」と「過電流」との
違いがあるのみで他は同じであるので、その動作説明は
省略する。
【0032】実施例3.なお、上述の実施例1,2では
CT飽和検出要素を過電流、電流増分検出としたが、実
施例3は、図5に示すように実施例1,2の各CT飽和
検出要素をOR論理としたもので、特有の効果として
は、異なる検出機能を有する要素を2重化することで確
実にCT飽和を検出でき、外部事故時の継電器の誤動作
を確実に防止できるものである。以下、この実施例3を
図5に基づいて説明する。図5において、1〜12は実
施例1または2にて説明したので省略する。13は実効
値演算要素8の出力を入力する第3の判定要素で、上記
実効値演算要素8の実効値出力と所定の基準値とを比較
し、それらの大小関係により判定出力するものである。
14は上記第3の判定要素13の動作出力が所定の時間
(又は所定の動作回数)以上になった際に動作信号を出
し、その後、上記第3の判定要素13の出力が復帰して
もすぐには復帰せずに、所定の時間(又は回数)後に復
帰する第3の動作復帰照合要素、15は第2の動作復帰
照合要素10の出力と第3の動作復帰照合要素14の出
力とを入力する論理和要素で、その出力はインヒビット
要素のインヒビット側に入力され、異なる検出機能を有
する要素による2重化検出回路となり、確実にCT飽和
を検出でき、外部事故時の継電器の誤動作を確実に防止
できる。なお、動作・機能については、上述の実施例
1、実施例2の各動作・機能を併せ持ったものであるの
であるので、説明は省略する。
【0033】実施例4.なお、上記実施例3では、実効
値演算要素8の出力データにより、第2の判定要素9
(増分変化幅検出要素)または第3の判定要素13(過
電流要素)の基本演算を実施していたが、図6に示す実
施例4のように、第3の記憶要素16を設け、第2の実
効値演算要素17を別のアルゴリズムによる実効値演算
をさせるようにすれば、より精度のよいCT飽和検出回
路を構成出来るものである。
【0034】実施例5.なお、上記実施例3では、第2
の動作復帰照合要素10の動作復帰照合時間(回数)は
固定値であった。また実効値演算要素8にとってCT飽
和角が小さくなればなるほど速い演算アルゴリズムを使
用するため、実効値演算要素8の出力がオーバーシュー
トして大きくなることも考えられる。即ち、負荷潮流を
断(内部事故時)しただけにも拘らず、変化幅(増分)
検出要素(第2の判定要素9)および過電流要素(第3
の判定要素13)が動作して、比率差動要素(第1の判
定要素4)の出力をロックし、その間、上記比率差動要
素の出力は出されず、CT飽和検出要素が復帰して、初
めて上記比率差動要素の出力が有効となる。これは継電
器の動作スピードが遅れることを意味し電力系統にとっ
ては、問題である。よって図7に示すように、第3の記
憶要素16、差電流検出要素18、および第4の判定要
素19を設けて、負荷潮流断時及び母線内部事故時であ
ることを検出し、負荷潮流断時及び母線内部事故時に
は、第2の動作復帰照合要素10、及び第3の動作復帰
照合要素14が動作とならないような動作照合時間を自
動的に設定し、比率差動要素(第1の判定要素4)の出
力がロックされないようにしたものである。
【0035】以下、この実施例5を図7に基づいて説明
する。図7において、1〜16は上述の実施例1〜4と
同一のため省略する。18は第2のベクトル加算要素5
の出力と第3の記憶要素16の出力とを入力する差電流
検出要素で、上記第2のベクトル加算要素5の出力瞬時
値を或る期間蓄積した第3の記憶要素16の出力と、上
記第2のベクトル加算要素5の出力の現時刻の瞬時値と
の差動電流を計算することで、母線内部事故なのか母線
外部事故なのかを検出するためものである。 19は上
記差電流検出要素18の出力を入力する第4の判定回路
で、上記差電流検出要素18で計算された差動電流が増
化しているのか、減少しているのかを判定する所定の値
と差電流との大小の比較をするもので、比較の結果、負
荷潮流断或は母線内部事故と判定した場合は、第2の動
作復帰照合要素10、及び第3の動作復帰照合要素14
が動作とならないように、これらの動作復帰照合要素1
0、14の動作照合時間が自動的に設定され、比率差動
要素(第1の判定要素4)の出力をロックされることが
無くなる。その他については、実施例1〜4と同様であ
るため省略する。なお、上述の各図中、同一符号は同一
又は相当部分を示している。
【0036】
【発明の効果】以上のように、請求項1及び請求項2に
記載の発明は、複数系統からCTを介して取り込まれた
各電流量のスカラー加算量とベクトル加算量とを比較し
て電力系統の事故を検出する保護継電器において、負荷
線だけの各電流量をベクトル加算するベクトル加算要
素、及びこのベクトル加算要素の出力により上記CTの
飽和を検出する判定要素を設け、この判定要素の出力に
より継電器出力をロックするようにしたので、外部事故
時のCT飽和現象に対して確実に継電器誤動作を防止で
き、電力系統事故に対して高速度に正しい応動が可能な
保護性能を有した保護継電装置を得ることができる効果
がある。
【0037】又、請求項3に記載の発明は、ベクトル加
算要素の出力から上記負荷線だけの電流量の実効値を導
出する実効値演算要素、及び上記導出された実効値のう
ちの現在の実効値と現在より前の実効値との比較により
上記CTの飽和を検出する判定要素を設け、この判定要
素の出力により継電器出力をロックするようにしたの
で、外部事故時のCT飽和現象を高感度検出できるとい
う付加的効果がある。
【0038】又、請求項4に記載の発明は、実効値演算
要素で導出された実効値のうちの現在の実効値と現在よ
り前の実効値との比較により上記CTの飽和を検出する
第2の判定要素、上記導出された実効値が所定値より大
きいか小さいかを判定することにより上記CTの飽和を
検出する第3の判定要素、及び上記第2の判定要素の出
力と上記第3の判定要素の出力とを論理和する論理和要
素を設け、この論理和要素の出力により継電器出力をロ
ックするようにし、異なる検出機能を有する要素を2重
化したので、CT飽和現象をより確実に検出できるとい
う付加的効果がある。
【0039】又、請求項5に記載の発明は、ベクトル加
算要素の出力から上記負荷線だけの電流量の実効値を導
出する第1の実効値演算要素、この第1の実効値演算要
素で導出された実効値から上記CTの飽和を検出する第
2の判定要素、上記ベクトル加算要素の出力から上記負
荷線だけの電流量の実効値を上記第1の実効値演算要素
とは異なるアルゴリズムで導出する第2の実効値演算要
素、この第2の実効値演算要素で導出された実効値から
上記CTの飽和を検出する第3の判定要素、及び上記第
2の判定要素の出力と上記第3の判定要素の出力とを論
理和する論理和要素を設け、この論理和要素の出力によ
り継電器出力をロックするようにしたので、CT飽和現
象をより精度よく検出できるという付加的効果がある。
【0040】又、請求項6に記載の発明は、負荷線だけ
の各電流量をベクトル加算するベクトル加算要素、この
ベクトル加算要素の実効値演算要素で導出された負荷線
だけの電流量の実効値から上記CTの飽和を検出する第
2の判定要素、この第2の判定要素とは異なる判定機能
により上記実効値演算要素で導出された実効値から上記
CTの飽和を検出する第3の判定要素、上記ベクトル加
算要素のベクトル加算量の出力のうちの現在の出力と現
在より前の出力との差の大きさを判定し判定結果に依存
して上記第2及び第3の判定要素の出力をを制御する第
4の判定要素、及びこの第4の判定要素により制御され
る上記第2及び第3の判定要素の各出力を入力する論理
和要素を設け、この論理和要素の出力により継電器出力
をロックするようにしたので、事故時の継電器動作スピ
ードが速くなるという付加的効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1の原理を示すブロック図で
ある。
【図2】この発明の実施例1の動作フローを示すフロー
チャートである。
【図3】この発明の実施例2の原理図を示すブロック図
である。
【図4】この発明の実施例2の動作フローを示すフロー
チャートである。
【図5】この発明の実施例3の原理を示すブロック図で
ある。
【図6】この発明の実施例4の原理を示すブロック図で
ある。
【図7】この発明の実施例5の原理を示すブロック図で
ある。
【図8】従来の差動保護継電器の原理を示すブロック図
である。
【図9】一般的な差動保護継電器の動作特性図である。
【符号の説明】
1 整流要素 2 最大値導出要素 3 第1のベクトル加算要素 4 第1の判定要素 5 第1の動作復帰照合要素 6 第2のベクトル加算要素 7 記憶要素(第1の記憶要素) 8 実効値演算要素(第1の実効値演算要素) 9 第2の判定要素 10 第2の動作復帰照合要素 11 論理インヒビット要素 12 第2の記憶要素 13 第3の判定要素 14 第3の動作復帰照合要素 15 論理和要素 16 第3の記憶要素 17 第2の実効値演算要素 18 差電流検出要素 19 第4の判定要素

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数系統からCTを介して取り込まれた
    各電流量のスカラー加算量とベクトル加算量とを比較し
    て電力系統の事故を検出する保護継電器において、負荷
    線のみの各電流量をベクトル加算するベクトル加算要
    素、及びこのベクトル加算要素の出力により上記CTの
    飽和を検出する判定要素を設け、この判定要素の出力に
    より継電器出力をロックすることを特徴とする保護継電
    装置。
  2. 【請求項2】 複数系統からの電流量の瞬時値を取り込
    んでベクトル加算する第1のベクトル加算要素、上記複
    数系統の電流量の瞬時最大値を導出する最大値導出要
    素、上記第1のベクトル加算要素の出力と上記最大値導
    出要素の出力とを比較し何れの出力が大きいかを判定す
    る第1の判定要素、この第1の判定要素の出力継続時間
    又は出力回数をカウントし、所定のカウント値で出力す
    る第1の動作復帰照合要素、負荷線のみの電流量の瞬時
    値をベクトル加算する第2のベクトル加算要素、この第
    2のベクトル加算要素のベクトル加算量の瞬時値を記憶
    する記憶要素、上記第2のベクトル加算要素の出力と上
    記記憶要素の出力とから実効値を算出する実効値演算要
    素、この実効値演算要素の出力が所定値以上であるかど
    うかを判定する第2の判定要素、この第2の判定要素の
    出力継続時間又は出力回数をカウントし、所定のカウン
    ト値で出力する第2の動作復帰照合要素、及び上記第
    1、第2の動作復帰照合要素の出力を入力とし上記第1
    の動作復帰照合要素の出力のみが入力されたときに出力
    する論理要素を備えた保護継電装置。
  3. 【請求項3】 複数系統からCTを介して取り込まれた
    各電流量のスカラー加算量とベクトル加算量とを比較し
    て電力系統の事故を検出する保護継電器において、負荷
    線のみの各電流量をベクトル加算するベクトル加算要
    素、このベクトル加算要素の出力から上記負荷線のみの
    電流量の実効値を導出する実効値演算要素、及び上記導
    出された実効値のうちの現在の実効値と現在より前の実
    効値との比較により上記CTの飽和を検出する判定要素
    を設け、この判定要素の出力により継電器出力をロック
    することを特徴とする保護継電装置。
  4. 【請求項4】 複数系統からCTを介して取り込まれた
    各電流量のスカラー加算量とベクトル加算量とを第1の
    判定要素で比較して電力系統の事故を検出する保護継電
    器において、負荷線のみの各電流量をベクトル加算する
    ベクトル加算要素、このベクトル加算要素の出力から上
    記負荷線のみの電流量の実効値を導出する実効値演算要
    素、上記導出された実効値のうちの現在の実効値と現在
    より前の実効値との比較により上記CTの飽和を検出す
    る第2の判定要素、上記導出された実効値が所定値より
    大きいか小さいかを判定することにより上記CTの飽和
    を検出する第3の判定要素、及び上記第2の判定要素の
    出力と上記第3の判定要素の出力とを論理和する論理和
    要素を設け、この論理和要素の出力により継電器出力を
    ロックすることを特徴とする保護継電装置。
  5. 【請求項5】 複数系統からCTを介して取り込まれた
    各電流量のスカラー加算量とベクトル加算量とを第1の
    判定要素で比較して電力系統の事故を検出する保護継電
    器において、負荷線のみの各電流量をベクトル加算する
    ベクトル加算要素、このベクトル加算要素の出力から上
    記負荷線のみの電流量の実効値を導出する第1の実効値
    演算要素、この第1の実効値演算要素で導出された実効
    値から上記CTの飽和を検出する第2の判定要素、上記
    ベクトル加算要素の出力から上記負荷線のみの電流量の
    実効値を上記第1の実効値演算要素とは異なるアルゴリ
    ズムで導出する第2の実効値演算要素、この第2の実効
    値演算要素で導出された実効値から上記CTの飽和を検
    出する第3の判定要素、及び上記第2の判定要素の出力
    と上記第3の判定要素の出力とを論理和する論理和要素
    を設け、この論理和要素の出力により継電器出力をロッ
    クすることを特徴とする保護継電装置。
  6. 【請求項6】 複数系統からCTを介して取り込まれた
    各電流量のスカラー加算量とベクトル加算量とを第1の
    判定要素で比較して電力系統の事故を検出する保護継電
    器において、負荷線のみの各電流量をベクトル加算する
    ベクトル加算要素、このベクトル加算要素の出力から上
    記負荷線のみの電流量の実効値を導出する実効値演算要
    素、上記導出された実効値から上記CTの飽和を検出す
    る第2の判定要素、この第2の判定要素とは異なる判定
    機能により上記実効値演算要素で導出された実効値が所
    定値より大きいかどうかを判定することによって、上記
    CTの飽和を検出する第3の判定要素、上記ベクトル加
    算要素のベクトル加算量の出力のうちの現在の出力と現
    在より前の出力との差の大きさを判定し判定結果に依存
    して上記第2及び第3の判定要素の出力を制御する第4
    の判定要素、及びこの第4の判定要素により制御される
    上記第2及び第3の判定要素の各出力を入力する論理和
    要素を設け、この論理和要素の出力により継電器出力を
    ロックすることを特徴とする保護継電装置。
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