JP2971191B2 - 燃料噴射式2サイクルエンジンの燃焼室 - Google Patents
燃料噴射式2サイクルエンジンの燃焼室Info
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- JP2971191B2 JP2971191B2 JP3168943A JP16894391A JP2971191B2 JP 2971191 B2 JP2971191 B2 JP 2971191B2 JP 3168943 A JP3168943 A JP 3168943A JP 16894391 A JP16894391 A JP 16894391A JP 2971191 B2 JP2971191 B2 JP 2971191B2
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- fuel injection
- engine
- combustion chamber
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02B—INTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
- F02B75/00—Other engines
- F02B75/02—Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke
- F02B2075/022—Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke having less than six strokes per cycle
- F02B2075/025—Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke having less than six strokes per cycle two
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02B—INTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
- F02B75/00—Other engines
- F02B75/12—Other methods of operation
- F02B2075/125—Direct injection in the combustion chamber for spark ignition engines, i.e. not in pre-combustion chamber
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/10—Internal combustion engine [ICE] based vehicles
- Y02T10/12—Improving ICE efficiencies
Landscapes
- Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)
- Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
- Fuel-Injection Apparatus (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、燃料噴射式2サイク
ルエンジンの燃焼室に関する。
ルエンジンの燃焼室に関する。
【0002】
【従来の技術】ガソリンエンジンでは、不整燃焼を防止
し、高効率燃焼を実現するため、燃焼室の形状を種々工
夫することが行われおり、このためのものとして、従
来、次のように構成されたものがある。
し、高効率燃焼を実現するため、燃焼室の形状を種々工
夫することが行われおり、このためのものとして、従
来、次のように構成されたものがある。
【0003】即ち、エンジンのシリンダの軸心が縦向き
となるようこのエンジンを側面断面視したとき、上記シ
リンダの上面にシリンダヘッドが取り付けられると共
に、上 記シリンダに摺動自在にピストンが嵌入されてい
る。また、上記シリンダには、その内周面の一側部に開
口する掃気ポートが形成されると共に、上記内周面の他
側部に開口する排気ポートが形成されている。
となるようこのエンジンを側面断面視したとき、上記シ
リンダの上面にシリンダヘッドが取り付けられると共
に、上 記シリンダに摺動自在にピストンが嵌入されてい
る。また、上記シリンダには、その内周面の一側部に開
口する掃気ポートが形成されると共に、上記内周面の他
側部に開口する排気ポートが形成されている。
【0004】上記シリンダヘッドの下面が燃焼室の天井
面とされ、この天井面が山形となるよう形成されて、こ
の山形の二辺のうち一辺が急斜面とされる一方、他辺が
緩斜面とされている。燃料噴射弁の燃料噴射口が上記山
形の頂部に位置させられると共に、その噴射方向中心が
上記急斜面に沿って延びることとされ、上記急斜面に点
火プラグの放電部が臨んでおり、平面視で上記緩斜面は
シリンダの径方向外方に向って拡開させられている(例
えば、先行技術として特開平3‐33424号公報)。
面とされ、この天井面が山形となるよう形成されて、こ
の山形の二辺のうち一辺が急斜面とされる一方、他辺が
緩斜面とされている。燃料噴射弁の燃料噴射口が上記山
形の頂部に位置させられると共に、その噴射方向中心が
上記急斜面に沿って延びることとされ、上記急斜面に点
火プラグの放電部が臨んでおり、平面視で上記緩斜面は
シリンダの径方向外方に向って拡開させられている(例
えば、先行技術として特開平3‐33424号公報)。
【0005】そして、エンジンの作動時には、シリンダ
の外部から新気である空気が上記掃気ポートを通って燃
焼室に流入させられ、この空気は上昇するピストンによ
って押し上げられる。
の外部から新気である空気が上記掃気ポートを通って燃
焼室に流入させられ、この空気は上昇するピストンによ
って押し上げられる。
【0006】ここで、上記したように、燃焼室の天井面
は山形とされていて、これは急斜面と緩斜面とで構成さ
れているため、ピストンが上死点近くにまで上昇すると
きには、このピストンによって押し上げられた燃焼室内
の空気は、その一部が急斜面に沿って急傾斜流として上
昇し、他部は緩斜面に沿って緩傾斜流として上昇する。
は山形とされていて、これは急斜面と緩斜面とで構成さ
れているため、ピストンが上死点近くにまで上昇すると
きには、このピストンによって押し上げられた燃焼室内
の空気は、その一部が急斜面に沿って急傾斜流として上
昇し、他部は緩斜面に沿って緩傾斜流として上昇する。
【0007】一方、これと同時に、燃料噴射弁の燃料噴
射口から燃料を噴射させると、その噴射方向中心は上記
急斜面に沿って延びているため、前記したように急斜面
に沿って上昇する急傾斜流と、噴射されて下降する燃料
とは正面衝突するような状態となって、ここに濃度の濃
い混合気層が生じかつ滞留することとなる。
射口から燃料を噴射させると、その噴射方向中心は上記
急斜面に沿って延びているため、前記したように急斜面
に沿って上昇する急傾斜流と、噴射されて下降する燃料
とは正面衝突するような状態となって、ここに濃度の濃
い混合気層が生じかつ滞留することとなる。
【0008】そして、上記急斜面には点火プラグの放電
部が臨んでおり、このため、上記した濃い混合気層に対
し放電部が点火放電することとなって、この点火が確実
にか つ速やかに行われる。
部が臨んでおり、このため、上記した濃い混合気層に対
し放電部が点火放電することとなって、この点火が確実
にか つ速やかに行われる。
【0009】一方、前記ピストンの上昇により生じた前
記緩傾斜流は、燃料噴射弁による燃料の噴射位置から離
れたところを上昇するため、ここには濃度の薄い混合気
層が生じることとなる。しかも、上記緩斜面はシリンダ
の径方向外方に向って拡開させられているため、上記し
た薄い混合気層の容積はある程度大きく確保されること
となる。
記緩傾斜流は、燃料噴射弁による燃料の噴射位置から離
れたところを上昇するため、ここには濃度の薄い混合気
層が生じることとなる。しかも、上記緩斜面はシリンダ
の径方向外方に向って拡開させられているため、上記し
た薄い混合気層の容積はある程度大きく確保されること
となる。
【0010】そして、上記したように、緩斜面はシリン
ダの径方向に向って拡開しているため、前記点火後に
は、上記緩斜面の拡開方向に向って上記火炎伝播が速や
かに行われ、これによって、燃焼室内の燃焼が全体にわ
たり速やかに進行することとなる。
ダの径方向に向って拡開しているため、前記点火後に
は、上記緩斜面の拡開方向に向って上記火炎伝播が速や
かに行われ、これによって、燃焼室内の燃焼が全体にわ
たり速やかに進行することとなる。
【0011】そして、上記燃焼により生じた燃焼ガス
は、上記排気ポートを通してシリンダの外部に流出する
こととなる。
は、上記排気ポートを通してシリンダの外部に流出する
こととなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
技術によれば、次のような問題がある。
技術によれば、次のような問題がある。
【0013】即ち、上記エンジンの側面断面視の左右方
向で、上記シリンダとシリンダヘッドにおける上記掃気
ポート側の部分の温度は、この掃気ポートを通りシリン
ダの外部から温度の低い新しい空気が流入するため、低
くなりがちである一方、上記排気ポート側の部分の温度
は、この排気ポートを通り高温の燃焼ガスが流出するた
め、高くなりがちである(第1の温度差)。
向で、上記シリンダとシリンダヘッドにおける上記掃気
ポート側の部分の温度は、この掃気ポートを通りシリン
ダの外部から温度の低い新しい空気が流入するため、低
くなりがちである一方、上記排気ポート側の部分の温度
は、この排気ポートを通り高温の燃焼ガスが流出するた
め、高くなりがちである(第1の温度差)。
【0014】また、上記従来の技術では、上記エンジン
の側面断面視の左右方向で、点火プラグの放電部が臨む
上記急斜面は上記排気ポート側に配設される一方、上記
緩斜面は上記掃気ポート側に配設され、かつ、上記頂部
は上記シリンダのほぼ軸心上に配設されているため、上
記放電部による点火位置、つまり、この点火による燃 焼
の開始位置は、上記排気ポート側に位置することから、
上記シリンダとシリンダヘッドにおける上記排気ポート
側の部分が燃焼ガスに晒される期間は上記掃気ポート側
の部分よりも長くなり、その分、この掃気ポート側の部
分の温度よりも、上記排気ポート側の部分の方が高くな
りがちとなる(第2の温度差)。
の側面断面視の左右方向で、点火プラグの放電部が臨む
上記急斜面は上記排気ポート側に配設される一方、上記
緩斜面は上記掃気ポート側に配設され、かつ、上記頂部
は上記シリンダのほぼ軸心上に配設されているため、上
記放電部による点火位置、つまり、この点火による燃 焼
の開始位置は、上記排気ポート側に位置することから、
上記シリンダとシリンダヘッドにおける上記排気ポート
側の部分が燃焼ガスに晒される期間は上記掃気ポート側
の部分よりも長くなり、その分、この掃気ポート側の部
分の温度よりも、上記排気ポート側の部分の方が高くな
りがちとなる(第2の温度差)。
【0015】よって、上記シリンダとシリンダヘッドに
おける左右各側部の温度差は、上記した第1、第2温度
差の加算により更に大きくなるおそれがあり、このた
め、上記シリンダとシリンダヘッドとに大きい熱歪が生
じるおそれがあって好ましくない。
おける左右各側部の温度差は、上記した第1、第2温度
差の加算により更に大きくなるおそれがあり、このた
め、上記シリンダとシリンダヘッドとに大きい熱歪が生
じるおそれがあって好ましくない。
【0016】
【発明の目的】この発明は、上記のような事情に注目し
てなされたもので、エンジンにおいて、点火や火炎伝播
が確実にかつ速やかに行われるようにした場合に、シリ
ンダとシリンダヘッドにおける熱歪が小さく抑制される
ようにすることを目的とする。
てなされたもので、エンジンにおいて、点火や火炎伝播
が確実にかつ速やかに行われるようにした場合に、シリ
ンダとシリンダヘッドにおける熱歪が小さく抑制される
ようにすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
のこの発明の特徴とするところは、エンジン1のシリン
ダ2の軸心2aが縦向きとなるようこのエンジン1を側
面断面視したとき、上記シリンダ2の上面にシリンダヘ
ッド3を取り付けると共に、上記シリンダ2に摺動自在
にピストン4を嵌入し、上記シリンダ2に、その内周面
の一側部に開口する副掃気ポート(掃気ポート)32を
形成すると共に、上記内周面の他側部に開口する排気ポ
ート33を形成し、上記シリンダヘッド3の下面を燃焼
室8の天井面とし、この天井面が山形となるよう形成
し、この山形の二辺のうち一辺を急斜面9にする一方、
他辺を緩斜面10にし、燃料噴射弁15の燃料噴射口を
上記山形の頂部13に位置させると共に、その噴射方向
中心24が上記急斜面9に沿って延びるようにし、上記
急斜面9に点火プラグ27,28の放電部27a,28
aを臨ませ、平面視で上記緩斜面10をシリンダ2の径
方向外方に向って拡開させた燃料噴射式2サイクルエン
ジンの燃焼室において、
のこの発明の特徴とするところは、エンジン1のシリン
ダ2の軸心2aが縦向きとなるようこのエンジン1を側
面断面視したとき、上記シリンダ2の上面にシリンダヘ
ッド3を取り付けると共に、上記シリンダ2に摺動自在
にピストン4を嵌入し、上記シリンダ2に、その内周面
の一側部に開口する副掃気ポート(掃気ポート)32を
形成すると共に、上記内周面の他側部に開口する排気ポ
ート33を形成し、上記シリンダヘッド3の下面を燃焼
室8の天井面とし、この天井面が山形となるよう形成
し、この山形の二辺のうち一辺を急斜面9にする一方、
他辺を緩斜面10にし、燃料噴射弁15の燃料噴射口を
上記山形の頂部13に位置させると共に、その噴射方向
中心24が上記急斜面9に沿って延びるようにし、上記
急斜面9に点火プラグ27,28の放電部27a,28
aを臨ませ、平面視で上記緩斜面10をシリンダ2の径
方向外方に向って拡開させた燃料噴射式2サイクルエン
ジンの燃焼室において、
【0018】上記エンジン1の側面断面視の左右方向
で、上記急斜面9を上記副掃気ポート(掃気ポート)3
2側に配設する一方、上記緩斜面10を上記排気ポート
33側に配設し、かつ、上記頂部13をシリンダ2の軸
心2aよりも上記副掃気ポート(掃気ポート)32側に
配設した点にある。
で、上記急斜面9を上記副掃気ポート(掃気ポート)3
2側に配設する一方、上記緩斜面10を上記排気ポート
33側に配設し、かつ、上記頂部13をシリンダ2の軸
心2aよりも上記副掃気ポート(掃気ポート)32側に
配設した点にある。
【0019】
【作 用】上記構成による作用は次の如くである。
【0020】図1で示すように、エンジン1の側面断面
視の左右方向で、上記シリンダ2とシリンダヘッド3に
おける上記副掃気ポート(掃気ポート)32側の部分の
温度は、この副掃気ポート(掃気ポート)32を通りシ
リンダ2の外部から温度の低い新しい空気21が流入す
るため、低くなりがちである一方、上記排気ポート33
側の部分の温度は、この排気ポート33を通り高温の燃
焼ガスが流出するため、高くなりがちである(「第1の
温度差」)。
視の左右方向で、上記シリンダ2とシリンダヘッド3に
おける上記副掃気ポート(掃気ポート)32側の部分の
温度は、この副掃気ポート(掃気ポート)32を通りシ
リンダ2の外部から温度の低い新しい空気21が流入す
るため、低くなりがちである一方、上記排気ポート33
側の部分の温度は、この排気ポート33を通り高温の燃
焼ガスが流出するため、高くなりがちである(「第1の
温度差」)。
【0021】そこで、上記エンジン1の側面断面視の左
右方向で、上記急斜面9を上記副掃気ポート(掃気ポー
ト)32側に配設する一方、上記緩斜面10を上記排気
ポート33側に配設し、かつ、上記頂部13をシリンダ
2の軸心2aよりも上記副掃気ポート(掃気ポート)3
2側に配設してある。
右方向で、上記急斜面9を上記副掃気ポート(掃気ポー
ト)32側に配設する一方、上記緩斜面10を上記排気
ポート33側に配設し、かつ、上記頂部13をシリンダ
2の軸心2aよりも上記副掃気ポート(掃気ポート)3
2側に配設してある。
【0022】このため、上記急斜面9に臨まされた放電
部27a,28aによる点火位置、つまり、点火による
燃焼の開始位置は、上記副掃気ポート(掃気ポート)3
2側に位置することから、上記シリンダ2とシリンダヘ
ッド3における上記排気ポート33側の部分が燃焼ガス
に晒される期間は上記副掃気ポート(掃気ポート)32
側よりも短くなり、その分、この副掃気ポート(掃気ポ
ート)32側の部分の温度よりも、上記排気ポート33
側の部分の方が低くなりがちである( 「 第2の温度
差 」 )。
部27a,28aによる点火位置、つまり、点火による
燃焼の開始位置は、上記副掃気ポート(掃気ポート)3
2側に位置することから、上記シリンダ2とシリンダヘ
ッド3における上記排気ポート33側の部分が燃焼ガス
に晒される期間は上記副掃気ポート(掃気ポート)32
側よりも短くなり、その分、この副掃気ポート(掃気ポ
ート)32側の部分の温度よりも、上記排気ポート33
側の部分の方が低くなりがちである( 「 第2の温度
差 」 )。
【0023】よって、上記シリンダ2とシリンダヘッド
3における左右各側部の温度差は、 上記した「第1、第
2温度差」の加算により平均化されて小さく抑えられ
る。
3における左右各側部の温度差は、 上記した「第1、第
2温度差」の加算により平均化されて小さく抑えられ
る。
【0024】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面により説明す
る。
る。
【0025】(第1実施例)
【0026】図1から図3は第1実施例を示している。
【0027】図中符号1は予圧縮式の2サイクルエンジ
ンで、このエンジン1は、軸心2aが縦向きのシリンダ
2、このシリンダ2の上面に取り付けられたシリンダヘ
ッド3、同上シリンダ2内に上下摺動自在に嵌入された
ピストン4、および、このピストン4とクランク軸(図
示せず)とを結ぶ連接棒5を備えている。
ンで、このエンジン1は、軸心2aが縦向きのシリンダ
2、このシリンダ2の上面に取り付けられたシリンダヘ
ッド3、同上シリンダ2内に上下摺動自在に嵌入された
ピストン4、および、このピストン4とクランク軸(図
示せず)とを結ぶ連接棒5を備えている。
【0028】上記シリンダヘッド3の下面にはキャビテ
ィ7が形成され、このキャビティ7を含み上記シリンダ
2、シリンダヘッド3、およびピストン4により囲まれ
た空間が燃焼室8となっている。
ィ7が形成され、このキャビティ7を含み上記シリンダ
2、シリンダヘッド3、およびピストン4により囲まれ
た空間が燃焼室8となっている。
【0029】図1において、上記エンジン1を側面断面
視したとき、上記シリンダヘッド3の下面が上記燃焼室
8の天井面とされ、この天井面は山形となるよう形成さ
れている。そして、この山形の左辺(図1に向っての方
向をいい、以下同じとする)は右辺に比べて急斜面9と
され、つまり、右辺は上記急斜面9よりも傾斜の緩い緩
斜面10とされている。
視したとき、上記シリンダヘッド3の下面が上記燃焼室
8の天井面とされ、この天井面は山形となるよう形成さ
れている。そして、この山形の左辺(図1に向っての方
向をいい、以下同じとする)は右辺に比べて急斜面9と
され、つまり、右辺は上記急斜面9よりも傾斜の緩い緩
斜面10とされている。
【0030】また、この緩斜面10は、図3で示すよう
にシリンダ2の径方向外方に向って拡開させられてい
る。また、同上天井面のうち前、後面は図2で示すよう
に上記急斜面9と緩斜面10の中間の傾きを有する中斜
面11,12となっている。
にシリンダ2の径方向外方に向って拡開させられてい
る。また、同上天井面のうち前、後面は図2で示すよう
に上記急斜面9と緩斜面10の中間の傾きを有する中斜
面11,12となっている。
【0031】上記燃焼室8に燃料を噴射供給する燃料噴
射弁15が設けられる。この燃料噴射弁15は円柱状の
弁本体16を有し、この弁本体16はシリンダ2の軸心
2aと平行でシリンダヘッド3に取り付けられ、その下
端は前記頂部13に位置している。上記弁本体16には
その軸心上に延びる圧縮空気通路18が形成されると共
に、この圧縮空気通路18と同軸上で断面円環状の燃料
通路19が形成されている。そして、上記圧縮空気通路
18には圧縮空気21が供給され、燃料通路19には加
圧燃料22が供給されるようになっている。
射弁15が設けられる。この燃料噴射弁15は円柱状の
弁本体16を有し、この弁本体16はシリンダ2の軸心
2aと平行でシリンダヘッド3に取り付けられ、その下
端は前記頂部13に位置している。上記弁本体16には
その軸心上に延びる圧縮空気通路18が形成されると共
に、この圧縮空気通路18と同軸上で断面円環状の燃料
通路19が形成されている。そして、上記圧縮空気通路
18には圧縮空気21が供給され、燃料通路19には加
圧燃料22が供給されるようになっている。
【0032】上記圧縮空気通路18の下端は弁本体16
の下面に開口してこれが空気噴射口となっている。ま
た、燃料通路19の下端も上記弁本体16の下面に開口
してこれが燃料噴射口となっている。そして、これら両
開口を開閉自在に閉じる弁体23が設けられている。そ
して、この燃料噴射弁15では、予め圧縮空気通路18
に圧縮空気21を溜めておき、弁体23を開いてこの圧
縮空気21を噴射させるとき、これと同時に、燃料22
を噴射させるようになっており、これによって、これら
空気21と燃料22の混合体が噴射されることとなって
いる。
の下面に開口してこれが空気噴射口となっている。ま
た、燃料通路19の下端も上記弁本体16の下面に開口
してこれが燃料噴射口となっている。そして、これら両
開口を開閉自在に閉じる弁体23が設けられている。そ
して、この燃料噴射弁15では、予め圧縮空気通路18
に圧縮空気21を溜めておき、弁体23を開いてこの圧
縮空気21を噴射させるとき、これと同時に、燃料22
を噴射させるようになっており、これによって、これら
空気21と燃料22の混合体が噴射されることとなって
いる。
【0033】上記燃焼室8に燃料22を供給する場合に
は、上記弁体23を開弁動作させ、上記空気21と燃料
22との混合体を燃焼室8内に噴射させる。この噴射は
円錐状で下方に向って拡開するよう行われ、その噴射方
向中心24はシリンダ2の軸心2aと平行であり、か
つ、急斜面9に沿って延び、この場合、上記噴射方向中
心24は噴射方向前方に進むに従い、急斜面9から少し
だけ離れるように延びている。
は、上記弁体23を開弁動作させ、上記空気21と燃料
22との混合体を燃焼室8内に噴射させる。この噴射は
円錐状で下方に向って拡開するよう行われ、その噴射方
向中心24はシリンダ2の軸心2aと平行であり、か
つ、急斜面9に沿って延び、この場合、上記噴射方向中
心24は噴射方向前方に進むに従い、急斜面9から少し
だけ離れるように延びている。
【0034】符号27,28は前後一対の点火プラグ
で、この各点火プラグ27,28の放電部27a,28
aは前記急斜面9の下部に臨んでいる。また、これら両
放電部27a,28aは上下にわずかに偏位して設けら
れている。
で、この各点火プラグ27,28の放電部27a,28
aは前記急斜面9の下部に臨んでいる。また、これら両
放電部27a,28aは上下にわずかに偏位して設けら
れている。
【0035】図1で示すようにピストン4が上死点に達
したとき、シリンダヘッド3の下面とピストン4の上面
との間に形成される薄い空間がスキッシュエリア29で
ある。このスキッシュエリア29は急斜面9寄りの前、
後部が他部に比べて大きい面積となっている。
したとき、シリンダヘッド3の下面とピストン4の上面
との間に形成される薄い空間がスキッシュエリア29で
ある。このスキッシュエリア29は急斜面9寄りの前、
後部が他部に比べて大きい面積となっている。
【0036】前記シリンダ2には、その内周面の前、後
面に開口する前後一対の主掃気ポート31,31が形成
され、また、上記エンジン1の側面断面視で、上記シリ
ンダ2には、その内周面の一側部(左側部)に開口する
副掃気ポート32が形成されると共に、上記内周面の他
側部(右側部)に開口する排気ポート33が形成されて
いる。
面に開口する前後一対の主掃気ポート31,31が形成
され、また、上記エンジン1の側面断面視で、上記シリ
ンダ2には、その内周面の一側部(左側部)に開口する
副掃気ポート32が形成されると共に、上記内周面の他
側部(右側部)に開口する排気ポート33が形成されて
いる。
【0037】上記エンジン1の側面断面視の左右方向
で、上記急斜面9は上記副掃気ポート32側に配設され
る一方、上記緩斜面10は上記排気ポート33側に配設
され、かつ、上記頂部13はシリンダ2の軸心2aより
も上記副掃気ポート32側に配設されている。
で、上記急斜面9は上記副掃気ポート32側に配設され
る一方、上記緩斜面10は上記排気ポート33側に配設
され、かつ、上記頂部13はシリンダ2の軸心2aより
も上記副掃気ポート32側に配設されている。
【0038】図1において、エンジン1の作動時、ピス
トン4が図中実線図示の状態から下降するときには、ク
ランク室で予圧縮された空気が主掃気ポート31と副掃
気ポート32とを通って燃焼室8内に押し込まれ(図中
矢印A)、これと入れ替わりにそれ以前の燃焼により生
じた燃焼ガスが排気ポート33を通してシリンダ2の外
部に流出する(図中矢印B)。
トン4が図中実線図示の状態から下降するときには、ク
ランク室で予圧縮された空気が主掃気ポート31と副掃
気ポート32とを通って燃焼室8内に押し込まれ(図中
矢印A)、これと入れ替わりにそれ以前の燃焼により生
じた燃焼ガスが排気ポート33を通してシリンダ2の外
部に流出する(図中矢印B)。
【0039】次に、上記ピストン4が上昇し、図中実線
で示すように主掃気ポート31、副掃気ポート32、お
よび排気ポート33を閉じて上死点近くにまで上昇した
ときには、スキッシュエリア29によって生じたスキッ
シュ流が燃焼室8内に流入する。
で示すように主掃気ポート31、副掃気ポート32、お
よび排気ポート33を閉じて上死点近くにまで上昇した
ときには、スキッシュエリア29によって生じたスキッ
シュ流が燃焼室8内に流入する。
【0040】また、この場合、上昇するピストン4によ
って押し上げられた燃焼室8内の空気は、その一部が急
斜面9に沿って急傾斜流35として上昇し、他部は緩斜
面10に沿って緩傾斜流36として上昇する。
って押し上げられた燃焼室8内の空気は、その一部が急
斜面9に沿って急傾斜流35として上昇し、他部は緩斜
面10に沿って緩傾斜流36として上昇する。
【0041】ところで、エンジン1が低速回転中の場合
には、ピストン4が上昇して主掃気ポート31、副掃気
ポート32、および排気ポート33を閉じたときから、
燃料噴射弁15によって空気21と燃料22との混合体
が噴射されるようになっている。
には、ピストン4が上昇して主掃気ポート31、副掃気
ポート32、および排気ポート33を閉じたときから、
燃料噴射弁15によって空気21と燃料22との混合体
が噴射されるようになっている。
【0042】そして、この噴射が行われると、その噴射
方向中心24は急斜面9に沿って延びているため、上記
急斜面9に沿って上昇する急傾斜流35と、噴射されて
下降する燃料22とは正面衝突するような状態となっ
て、急斜面9の近傍に濃度の濃い混合気層が生じかつ滞
留することとなる。
方向中心24は急斜面9に沿って延びているため、上記
急斜面9に沿って上昇する急傾斜流35と、噴射されて
下降する燃料22とは正面衝突するような状態となっ
て、急斜面9の近傍に濃度の濃い混合気層が生じかつ滞
留することとなる。
【0043】一方、上記急斜面9には点火プラグ27,
28の放電部27a,28aが臨んでおり、このため、
上記したように生じた濃い混合気層に対し放電部27
a,28aが点火放電することとなって、この点火が確
実にかつ速やかに行われる。なお、この点火は上死点の
直前にて行われる。
28の放電部27a,28aが臨んでおり、このため、
上記したように生じた濃い混合気層に対し放電部27
a,28aが点火放電することとなって、この点火が確
実にかつ速やかに行われる。なお、この点火は上死点の
直前にて行われる。
【0044】上記の場合、エンジン1の回転数によっ
て、前記した濃い混合気層の生じる位置は多少上下にず
れることになるが、上下に偏位させて点火プラグ27,
28を設けてあるため、いずれにずれても上記点火は速
やかに行われる。つまり、広い回転域で安定した点火性
能が得られるようになっている。
て、前記した濃い混合気層の生じる位置は多少上下にず
れることになるが、上下に偏位させて点火プラグ27,
28を設けてあるため、いずれにずれても上記点火は速
やかに行われる。つまり、広い回転域で安定した点火性
能が得られるようになっている。
【0045】また、前記したように各点火プラグ27,
28の放電部27a,28aは急斜面9の下部に位置さ
せられているが、これは、燃料噴射弁15から噴射され
た燃料22がある程度霧化されたところで点火が行われ
るようにするためである。
28の放電部27a,28aは急斜面9の下部に位置さ
せられているが、これは、燃料噴射弁15から噴射され
た燃料22がある程度霧化されたところで点火が行われ
るようにするためである。
【0046】一方、前記ピストン4の上昇により生じた
前記緩傾斜流36は、燃料噴射弁15による燃料22の
噴射位置から離れたところを上昇するため、ここには濃
度の薄い混合気層が生じることとなる。しかも、上記緩
斜面10はシリンダ2の径方向外方に向って拡開させら
れているため、上記した薄い混合気層の容積はある程度
大きく確保されることとなる。
前記緩傾斜流36は、燃料噴射弁15による燃料22の
噴射位置から離れたところを上昇するため、ここには濃
度の薄い混合気層が生じることとなる。しかも、上記緩
斜面10はシリンダ2の径方向外方に向って拡開させら
れているため、上記した薄い混合気層の容積はある程度
大きく確保されることとなる。
【0047】そして、上記したように、緩斜面10はシ
リンダ2の径方向に向って拡開しているため、前記点火
後には、上記緩斜面10の拡開方向に向って上記火炎伝
播が速やかに行われ、これによって、燃焼室8内の燃焼
が全体にわたり速やかに進行する。
リンダ2の径方向に向って拡開しているため、前記点火
後には、上記緩斜面10の拡開方向に向って上記火炎伝
播が速やかに行われ、これによって、燃焼室8内の燃焼
が全体にわたり速やかに進行する。
【0048】また、上記の場合、点火は上死点の直前に
おいて行われるため、この点火後におけるピストン4の
上死点までの上昇によって、点火した部分の火炎が一旦
押し上げられ、つまり、この火炎が燃焼室8の上部に速
やかに伝播され、次いで、上記したように緩斜面10の
拡開方向に向って伝播される。
おいて行われるため、この点火後におけるピストン4の
上死点までの上昇によって、点火した部分の火炎が一旦
押し上げられ、つまり、この火炎が燃焼室8の上部に速
やかに伝播され、次いで、上記したように緩斜面10の
拡開方向に向って伝播される。
【0049】即ち、前記した濃い混合気層と薄い混合気
層を燃焼室8に生じさせることにより、点火と火炎伝播
とが速やかに行われ、いわゆる層状燃焼が達成されて、
高効率燃焼が得られることとなる。
層を燃焼室8に生じさせることにより、点火と火炎伝播
とが速やかに行われ、いわゆる層状燃焼が達成されて、
高効率燃焼が得られることとなる。
【0050】一方、エンジン1が高速回転中の場合に
は、燃料噴射弁15による燃料22の噴射は、上記と異
なり、ピストン4が主掃気ポート31、副掃気ポート3
2、および排気ポート33を開いている間中、燃料22
を噴射するようになされ、上死点の直前で点火プラグ2
7,28による点火が行われるようになっている。
は、燃料噴射弁15による燃料22の噴射は、上記と異
なり、ピストン4が主掃気ポート31、副掃気ポート3
2、および排気ポート33を開いている間中、燃料22
を噴射するようになされ、上死点の直前で点火プラグ2
7,28による点火が行われるようになっている。
【0051】そして、この場合は、空気21と燃料22
による混合体が燃焼室8内にほぼ均一に分布して、点火
後の火炎は緩斜面10に沿って急速に伝播し、この場合
にも高効率燃焼が得られることとなる。
による混合体が燃焼室8内にほぼ均一に分布して、点火
後の火炎は緩斜面10に沿って急速に伝播し、この場合
にも高効率燃焼が得られることとなる。
【0052】なお、上記シリンダ2の軸心2aに対する
急斜面9の角度は0〜15°、緩斜面10の角度は40
〜60°が好ましく、また、噴射方向中心24は同上軸
心2aに対し、いずれの方向に10°以内程度で傾けて
もよい。そして、このような範囲であれば、前記した作
用効果がより効果的に得られる。
急斜面9の角度は0〜15°、緩斜面10の角度は40
〜60°が好ましく、また、噴射方向中心24は同上軸
心2aに対し、いずれの方向に10°以内程度で傾けて
もよい。そして、このような範囲であれば、前記した作
用効果がより効果的に得られる。
【0053】また、前記燃料噴射弁15内にチャンバを
形成しておき、ここに予め空気21と燃料22とを混合
状態で溜めておき、弁体23の開弁動作でこれら混合体
を噴射させるようにしてもよく、また、上記の圧縮空気
21はなくてもよい。また、点火プラグ27,28は一
つであってもよい。更に、エンジン1はそのシリンダ2
の軸心2aが傾斜、もしくは水平にて用いられるもので
あってもよい。
形成しておき、ここに予め空気21と燃料22とを混合
状態で溜めておき、弁体23の開弁動作でこれら混合体
を噴射させるようにしてもよく、また、上記の圧縮空気
21はなくてもよい。また、点火プラグ27,28は一
つであってもよい。更に、エンジン1はそのシリンダ2
の軸心2aが傾斜、もしくは水平にて用いられるもので
あってもよい。
【0054】以下の各図は他の実施例を示している。
【0055】なお、これら各実施例が前記第1実施例と
重複する構成については図面に共通の符号を付してその
構成と、これに関する作用の説明を省略し、異なる点に
ついて主に説明する。
重複する構成については図面に共通の符号を付してその
構成と、これに関する作用の説明を省略し、異なる点に
ついて主に説明する。
【0056】(第2実施例)
【0057】図4と図5は第2実施例を示している。
【0058】この実施例におけるエンジン1は自動車の
走行駆動用のもので、エンジンルームに設けられ、その
上方はフード38で覆われている。なお、自動車の進行
方向前方は図4に向って左方である。シリンダ2の軸心
2aはフード38に対しわずかに前傾している。
走行駆動用のもので、エンジンルームに設けられ、その
上方はフード38で覆われている。なお、自動車の進行
方向前方は図4に向って左方である。シリンダ2の軸心
2aはフード38に対しわずかに前傾している。
【0059】噴射方向中心24は急斜面9に沿って延
び、この場合、この噴射方向中心24は噴射方向前方に
進むに従い、急斜面9に少しだけ近づくように延び、か
つ、点火プラグ27,28の各放電部27a,28a近
傍に向って延びている。即ち、シリンダ2の軸心2aに
対する急斜面9の角度が10°なのに対し、噴射方向中
心は20°となっている。
び、この場合、この噴射方向中心24は噴射方向前方に
進むに従い、急斜面9に少しだけ近づくように延び、か
つ、点火プラグ27,28の各放電部27a,28a近
傍に向って延びている。即ち、シリンダ2の軸心2aに
対する急斜面9の角度が10°なのに対し、噴射方向中
心は20°となっている。
【0060】アイドリング時に、ピストン4が上死点の
近くにまで上昇すると(図4中仮想線4aで示す位
置)、弁体23が開弁して燃料噴射弁15による燃料噴
射が開始される。
近くにまで上昇すると(図4中仮想線4aで示す位
置)、弁体23が開弁して燃料噴射弁15による燃料噴
射が開始される。
【0061】上記状態から、更にピストン4が上昇して
上死点に極めて近くまで上昇すると(図4中実線図
示)、上記噴射が停止するようになっている。
上死点に極めて近くまで上昇すると(図4中実線図
示)、上記噴射が停止するようになっている。
【0062】一方、高速高負荷時には燃料噴射弁15の
燃料噴射量は最大となり、その噴射の開始時は、ピスト
ン4が上死点から下死点に向う下降途中であって、上死
点と下死点の中央よりもわずかに下死点寄りになったと
きである(図4中仮想線4bで示す位置)。
燃料噴射量は最大となり、その噴射の開始時は、ピスト
ン4が上死点から下死点に向う下降途中であって、上死
点と下死点の中央よりもわずかに下死点寄りになったと
きである(図4中仮想線4bで示す位置)。
【0063】そして、上記状態からピストン4が下降
し、次に、同上下死点を通り過ぎた直後に(図4中仮想
線4cで示す位置)、上記噴射が停止させられるように
なっている。
し、次に、同上下死点を通り過ぎた直後に(図4中仮想
線4cで示す位置)、上記噴射が停止させられるように
なっている。
【0064】ところで、図5で示すように、シリンダ2
の軸心2aに沿った方向からみたとき、燃焼室8は各放
電部27a,28aに近づくに従って狭くなっている。
このため、上記したアイドリング時にピストン4が上死
点近くにまで上昇してきたとき、このピストン4の頂面
と、各放電部27a,28a周りの燃焼室8の壁面たる
急斜面9との間の空間が幅狭部となる。そして、このと
き前記したように燃料噴射が行なわれるため、この噴射
された噴霧燃料は拡散することが抑制され、放電部27
a,28a周りに滞留し易くなる。よって、放電部27
a,28aの点火放電による着火が確実に得られて、失
火が防止される。
の軸心2aに沿った方向からみたとき、燃焼室8は各放
電部27a,28aに近づくに従って狭くなっている。
このため、上記したアイドリング時にピストン4が上死
点近くにまで上昇してきたとき、このピストン4の頂面
と、各放電部27a,28a周りの燃焼室8の壁面たる
急斜面9との間の空間が幅狭部となる。そして、このと
き前記したように燃料噴射が行なわれるため、この噴射
された噴霧燃料は拡散することが抑制され、放電部27
a,28a周りに滞留し易くなる。よって、放電部27
a,28aの点火放電による着火が確実に得られて、失
火が防止される。
【0065】(第3実施例)
【0066】図6と図7は第3実施例を示している。
【0067】これによれば、シリンダ2の軸心2aに沿
った方向からみて、ピストン4の頂面にはキャビティ7
とほぼ同形状の浅い凹部39が形成され、この凹部39
は急斜面9に対応する幅狭部40と、緩斜面10に対応
する幅広部41とで構成されている。
った方向からみて、ピストン4の頂面にはキャビティ7
とほぼ同形状の浅い凹部39が形成され、この凹部39
は急斜面9に対応する幅狭部40と、緩斜面10に対応
する幅広部41とで構成されている。
【0068】この実施例によれば、ピストン4の頂面に
凹部39を形成したため、燃料噴射弁15から噴射され
た燃料がピストン4の頂面に衝突した後に拡散するのを
防止でき、点火プラグ27,28による着火を一層確実
に行える。
凹部39を形成したため、燃料噴射弁15から噴射され
た燃料がピストン4の頂面に衝突した後に拡散するのを
防止でき、点火プラグ27,28による着火を一層確実
に行える。
【0069】(第4実施例)
【0070】図8は第4実施例を示している。
【0071】これによれば、シリンダ2の軸心2aに沿
った方向からみて、ピストン4の頂面には上記軸心2a
上に円形の浅い凹部42が形成されており、これによる
作用、効果は、前記第3実施例と同様である。
った方向からみて、ピストン4の頂面には上記軸心2a
上に円形の浅い凹部42が形成されており、これによる
作用、効果は、前記第3実施例と同様である。
【0072】
【発明の効果】この発明によれば、エンジンのシリンダ
の軸心が縦向きとなるようこのエンジンを側面断面視し
たとき、上記シリンダの上面にシリンダヘッドを取り付
けると共に、上記シリンダに摺動自在にピストンを嵌入
し、上記シリンダに、その内周面の一側部に開口する掃
気ポートを形成すると共に、上記内周面の他側部に開口
する排気ポートを形成し、上記シリンダヘッドの下面を
燃焼室の天井面とし、この天井面が山形となるよう形成
し、この山形の二辺のうち一辺を急斜面にする一方、他
辺を緩斜面にし、燃料噴射弁の燃料噴射口を上記山形の
頂部に位置させると共に、その噴射方向中心が上記急斜
面に沿って延びるようにし、上記急斜面に点火プラグの
放電部を臨ませ、平面視で上記緩斜面をシリンダの径方
向外方に向って拡開させたことを前提条件としている。
の軸心が縦向きとなるようこのエンジンを側面断面視し
たとき、上記シリンダの上面にシリンダヘッドを取り付
けると共に、上記シリンダに摺動自在にピストンを嵌入
し、上記シリンダに、その内周面の一側部に開口する掃
気ポートを形成すると共に、上記内周面の他側部に開口
する排気ポートを形成し、上記シリンダヘッドの下面を
燃焼室の天井面とし、この天井面が山形となるよう形成
し、この山形の二辺のうち一辺を急斜面にする一方、他
辺を緩斜面にし、燃料噴射弁の燃料噴射口を上記山形の
頂部に位置させると共に、その噴射方向中心が上記急斜
面に沿って延びるようにし、上記急斜面に点火プラグの
放電部を臨ませ、平面視で上記緩斜面をシリンダの径方
向外方に向って拡開させたことを前提条件としている。
【0073】そして、上記前提条件によれば、燃焼室の
天井面が山形とされて、これが急斜面と緩斜面とで構成
されているため、ピストンが上死点近くにまで上昇する
ときには、このピストンによって押し上げられた燃焼室
内の空気は、その一部が急斜面に沿って急傾斜流として
上昇し、他部は緩斜面に沿って緩傾斜流として上昇す
る。
天井面が山形とされて、これが急斜面と緩斜面とで構成
されているため、ピストンが上死点近くにまで上昇する
ときには、このピストンによって押し上げられた燃焼室
内の空気は、その一部が急斜面に沿って急傾斜流として
上昇し、他部は緩斜面に沿って緩傾斜流として上昇す
る。
【0074】一方、これと同時に、燃料噴射弁の燃料噴
射口から燃料を噴射させると、この噴射方向中心は上記
急斜面に沿って延びているため、前記したように急斜面
に沿って上昇する急傾斜流と、下方に向って噴射された
燃料とは正面衝突するような状態となって、ここに濃度
の濃い混合気層が生じかつ滞留する。
射口から燃料を噴射させると、この噴射方向中心は上記
急斜面に沿って延びているため、前記したように急斜面
に沿って上昇する急傾斜流と、下方に向って噴射された
燃料とは正面衝突するような状態となって、ここに濃度
の濃い混合気層が生じかつ滞留する。
【0075】そして、上記急斜面には点火プラグの放電
部が臨んでいるため、上記したように生じた濃い混合気
層に対し放電部が点火放電することとなって、この点火
が確実にかつ速やかに行われる。
部が臨んでいるため、上記したように生じた濃い混合気
層に対し放電部が点火放電することとなって、この点火
が確実にかつ速やかに行われる。
【0076】一方、前記緩傾斜流は、燃料噴射弁による
燃料の噴射位置から離れたところを上昇するため、ここ
には濃度の薄い混合気層が生じることとなる。しかも、
上記緩斜面はシリンダの径方向外方に向って拡開させら
れているため、上記した薄い混合気層の容積はある程度
大きく確保される。
燃料の噴射位置から離れたところを上昇するため、ここ
には濃度の薄い混合気層が生じることとなる。しかも、
上記緩斜面はシリンダの径方向外方に向って拡開させら
れているため、上記した薄い混合気層の容積はある程度
大きく確保される。
【0077】そして、上記のように、緩斜面はシリンダ
の径方向に向って拡開しているため、前記点火後には、
上記緩斜面の拡開方向に向って上記火炎伝播が速やかに
行われ、これによって、燃焼室内の燃焼が全体にわたり
速やかに進行する。
の径方向に向って拡開しているため、前記点火後には、
上記緩斜面の拡開方向に向って上記火炎伝播が速やかに
行われ、これによって、燃焼室内の燃焼が全体にわたり
速やかに進行する。
【0078】即ち、前記した濃い混合気層と薄い混合気
層を燃焼室に生じさせることにより、低負荷時など燃料
噴射量の少ない領域であっても、点火と火炎伝播とが確
実にかつ速やかに行われ、いわゆる層状燃焼が達成され
て、高効率燃焼が得られることとなる。
層を燃焼室に生じさせることにより、低負荷時など燃料
噴射量の少ない領域であっても、点火と火炎伝播とが確
実にかつ速やかに行われ、いわゆる層状燃焼が達成され
て、高効率燃焼が得られることとなる。
【0079】また、上記前提条件によれば、エンジンの
側面断面視の左右方向で、上記シリンダとシリンダヘッ
ドにおける上記掃気ポート側の部分の温度は、この掃気
ポートを通りシリンダの外部から温度の低い新しい空気
が流入するため、低くなりが ちである一方、上記排気ポ
ート側の部分の温度は、この排気ポートを通り高温の燃
焼ガスが流出するため、高くなりがちである(「第1の
温度差」)。
側面断面視の左右方向で、上記シリンダとシリンダヘッ
ドにおける上記掃気ポート側の部分の温度は、この掃気
ポートを通りシリンダの外部から温度の低い新しい空気
が流入するため、低くなりが ちである一方、上記排気ポ
ート側の部分の温度は、この排気ポートを通り高温の燃
焼ガスが流出するため、高くなりがちである(「第1の
温度差」)。
【0080】そこで、上記エンジンの側面断面視の左右
方向で、上記急斜面を上記掃気ポート側に配設する一
方、上記緩斜面を上記排気ポート側に配設し、かつ、上
記頂部をシリンダの軸心よりも上記掃気ポート側に配設
してある。
方向で、上記急斜面を上記掃気ポート側に配設する一
方、上記緩斜面を上記排気ポート側に配設し、かつ、上
記頂部をシリンダの軸心よりも上記掃気ポート側に配設
してある。
【0081】このため、上記急斜面に臨まされた放電部
による点火位置、つまり、点火による燃焼の開始位置
は、上記掃気ポート側に位置することから、上記シリン
ダとシリンダヘッドにおける上記排気ポート側の部分が
燃焼ガスに晒される期間は上記掃気ポート側よりも短く
なり、その分、この掃気ポート側の部分の温度よりも、
上記排気ポート側の部分の方が低くなりがちである
( 「 第2の温度差 」 )。
による点火位置、つまり、点火による燃焼の開始位置
は、上記掃気ポート側に位置することから、上記シリン
ダとシリンダヘッドにおける上記排気ポート側の部分が
燃焼ガスに晒される期間は上記掃気ポート側よりも短く
なり、その分、この掃気ポート側の部分の温度よりも、
上記排気ポート側の部分の方が低くなりがちである
( 「 第2の温度差 」 )。
【0082】よって、上記シリンダとシリンダヘッドに
おける左右各側部の温度差は、上記した「第1、第2温
度差」の加算により平均化されて小さく抑えられ、この
ため、上記シリンダとシリンダヘッドとに熱歪の生じる
ことが抑制される。
おける左右各側部の温度差は、上記した「第1、第2温
度差」の加算により平均化されて小さく抑えられ、この
ため、上記シリンダとシリンダヘッドとに熱歪の生じる
ことが抑制される。
【図1】第1実施例でエンジンの側面断面図である。
【図2】第1実施例で図1の2‐2線矢視断面図であ
る。
る。
【図3】第1実施例で図1の3‐3線矢視断面図であ
る。
る。
【図4】第2実施例で図1に相当する図である。
【図5】第2実施例で図3に相当する図である。
【図6】第3実施例でピストンの上部側面図である。
【図7】第3実施例でピストンの平面図である。
【図8】第4実施例でピストンの平面図である。
1 エンジン 2 シリンダ 2a 軸心 4 ピストン 8 燃焼室 9 急斜面 10 緩斜面 13 頂部 15 燃料噴射弁 21 空気 22 燃料 24 噴射方向中心 27 点火プラグ 27a 放電部 28 点火プラグ 28a 放電部32 副掃気ポート(掃気ポート) 33 排気ポート 35 急傾斜流 36 緩傾斜流
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02B 23/10 F02B 17/00 F02M 61/14 F02P 13/00
Claims (1)
- 【請求項1】 エンジンのシリンダの軸心が縦向きとな
るようこのエンジンを側面断面視したとき、上記シリン
ダの上面にシリンダヘッドを取り付けると共に、上記シ
リンダに摺動自在にピストンを嵌入し、上記シリンダ
に、その内周面の一側部に開口する掃気ポートを形成す
ると共に、上記内周面の他側部に開口する排気ポートを
形成し、上記シリンダヘッドの下面を燃焼室の天井面と
し、この天井面が山形となるよう形成し、この山形の二
辺のうち一辺を急斜面にする一方、他辺を緩斜面にし、
燃料噴射弁の燃料噴射口を上記山形の頂部に位置させる
と共に、その噴射方向中心が上記急斜面に沿って延びる
ようにし、上記急斜面に点火プラグの放電部を臨ませ、
平面視で上記緩斜面をシリンダの径方向外方に向って拡
開させた燃料噴射式2サイクルエンジンの燃焼室におい
て、 上記エンジンの側面断面視の左右方向で、上記急斜面を
上記掃気ポート側に配設する一方、上記緩斜面を上記排
気ポート側に配設し、かつ、上記頂部をシリンダの軸心
よりも上記掃気ポート側に配設した 燃料噴射式2サイク
ルエンジンの燃焼室。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3168943A JP2971191B2 (ja) | 1990-06-13 | 1991-06-12 | 燃料噴射式2サイクルエンジンの燃焼室 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15651790 | 1990-06-13 | ||
JP2-156517 | 1990-06-13 | ||
JP3168943A JP2971191B2 (ja) | 1990-06-13 | 1991-06-12 | 燃料噴射式2サイクルエンジンの燃焼室 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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