JP2967966B2 - 電子レンズ及び電子顕微鏡 - Google Patents
電子レンズ及び電子顕微鏡Info
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- cooling plate
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子顕微鏡に関し、特に
電子顕微鏡に使用する磁界形電子レンズに関する。
電子顕微鏡に使用する磁界形電子レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】電子顕微鏡に使用する電子レンズには磁
界形と静電形とがあるが、高倍率が得られ易いこと、レ
ンズ収差が小さいこと等の理由で磁界形レンズを使用す
ることが多い。磁界形レンズは、電磁石のヨークの一部
を切断したエアーギャプに発生する磁場を電子レンズと
して活用するものである。
界形と静電形とがあるが、高倍率が得られ易いこと、レ
ンズ収差が小さいこと等の理由で磁界形レンズを使用す
ることが多い。磁界形レンズは、電磁石のヨークの一部
を切断したエアーギャプに発生する磁場を電子レンズと
して活用するものである。
【0003】図5に、一般的な電子顕微鏡の構成を示
す。電子銃及び加速管1からの電子ビーム2はコンデン
サーレンズ3で所望のビームスポットに形成され、観察
対象の試料4に照射される。試料4を透過した電子ビー
ム2は、対物レンズ5で焦点合わせされ、中間レンズ6
と投射レンズ7で拡大されて、蛍光板8上に試料透過像
9、すなわち電顕像として結像される。
す。電子銃及び加速管1からの電子ビーム2はコンデン
サーレンズ3で所望のビームスポットに形成され、観察
対象の試料4に照射される。試料4を透過した電子ビー
ム2は、対物レンズ5で焦点合わせされ、中間レンズ6
と投射レンズ7で拡大されて、蛍光板8上に試料透過像
9、すなわち電顕像として結像される。
【0004】図6に、代表的な電子レンズの構造断面図
を示す。図示されているように、電子レンズは磁性体の
ヨーク10、コイル11、冷却部12とポールピース部
13等から構成される。図7は、ポールピース部13の
拡大断面図である。ヨーク10に上ピース14と下ピー
ス15とが磁気的に接続され、上下ピースはスペーサ1
6によって機械的なエアーギャップ17を正確に形成し
ている。実際に電子レンズとして機能するのは、このエ
アーギャップ17に発生する磁束密度ベクトルの半径方
向成分と軸方向成分の強度である。この磁束密度ベクト
ルで凸レンズを構成し、コイルに流す電流を制御するこ
とで焦点位置を可変できる。
を示す。図示されているように、電子レンズは磁性体の
ヨーク10、コイル11、冷却部12とポールピース部
13等から構成される。図7は、ポールピース部13の
拡大断面図である。ヨーク10に上ピース14と下ピー
ス15とが磁気的に接続され、上下ピースはスペーサ1
6によって機械的なエアーギャップ17を正確に形成し
ている。実際に電子レンズとして機能するのは、このエ
アーギャップ17に発生する磁束密度ベクトルの半径方
向成分と軸方向成分の強度である。この磁束密度ベクト
ルで凸レンズを構成し、コイルに流す電流を制御するこ
とで焦点位置を可変できる。
【0005】図8に、コイル11と冷却部12の構造を
示す。コイル11に電流を流すと、コイル11の電気抵
抗と電流の2乗の積に比例したジュール熱が発生し、コ
イル11を含む周辺部分の温度上昇を引き起こす。この
コイル11の発熱を効率よく吸収するため、冷却部12
を構成する上部冷却板18及び下部冷却板19として熱
伝導率の高い金属、通常は銅のブロック材を使用し、コ
イル11と上部冷却板18、下部冷却板19の間に極め
て薄い電気絶縁物20を介在してボルト21で密着接合
する。上下の冷却板18,19には冷却管(図示せず)
が埋設されており、冷却水を流すことによって水冷され
ている。
示す。コイル11に電流を流すと、コイル11の電気抵
抗と電流の2乗の積に比例したジュール熱が発生し、コ
イル11を含む周辺部分の温度上昇を引き起こす。この
コイル11の発熱を効率よく吸収するため、冷却部12
を構成する上部冷却板18及び下部冷却板19として熱
伝導率の高い金属、通常は銅のブロック材を使用し、コ
イル11と上部冷却板18、下部冷却板19の間に極め
て薄い電気絶縁物20を介在してボルト21で密着接合
する。上下の冷却板18,19には冷却管(図示せず)
が埋設されており、冷却水を流すことによって水冷され
ている。
【0006】電顕像の焦点合わせを行う対物レンズにお
いては、操作の安定化のため強磁界レンズを使い、コイ
ルに大電流を流す。その結果コイル自身の抵抗によるジ
ュール熱の発生が大きく、コイルの温度上昇、ひいては
電子レンズや電子顕微鏡装置自身の温度上昇を引き起こ
す。この温度上昇を放置すれば、電子レンズ等にミクロ
的な寸法変化もたらし、装置性能の安定を保つことがむ
ずかしい。そこで、温度上昇の激しい電子レンズの場
合、前述のように電子レンズを構成するコイルに冷却板
を密着させ、温度を一定にした冷却水で冷却板の熱を吸
収し電子レンズの温度安定化を図っている。
いては、操作の安定化のため強磁界レンズを使い、コイ
ルに大電流を流す。その結果コイル自身の抵抗によるジ
ュール熱の発生が大きく、コイルの温度上昇、ひいては
電子レンズや電子顕微鏡装置自身の温度上昇を引き起こ
す。この温度上昇を放置すれば、電子レンズ等にミクロ
的な寸法変化もたらし、装置性能の安定を保つことがむ
ずかしい。そこで、温度上昇の激しい電子レンズの場
合、前述のように電子レンズを構成するコイルに冷却板
を密着させ、温度を一定にした冷却水で冷却板の熱を吸
収し電子レンズの温度安定化を図っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、超高圧電子顕微
鏡の開発が進み、電子ビームの加速電圧の上昇と共に電
子レンズも強磁場を発生できるものを使用するようにな
っている。強磁場を発生するために電子レンズのコイル
に大きな電流を流すと、必然的にコイルからの発熱量も
増大し、それを冷却するための冷却板も大型化するた
め、電子レンズ全体の体積も大きなものとなる。
鏡の開発が進み、電子ビームの加速電圧の上昇と共に電
子レンズも強磁場を発生できるものを使用するようにな
っている。強磁場を発生するために電子レンズのコイル
に大きな電流を流すと、必然的にコイルからの発熱量も
増大し、それを冷却するための冷却板も大型化するた
め、電子レンズ全体の体積も大きなものとなる。
【0008】ところで、このような従来型の電子レンズ
を単に大型化した構造の電子レンズ使用して超高圧電子
顕微鏡を構成すると、応答特性が従来の電子顕微鏡に比
較して著しく低下することが明らかになった。例えば、
焦点調整をするために対物レンズのコイルに流す電流を
変化させるとき、焦点が安定するまでに1秒以上もかか
る場合があり、電子顕微鏡の操作性が極めて悪くなる。
本発明は、超高圧電子顕微鏡に使用するような大型の電
子レンズの応答特性を改善することを目的とする。
を単に大型化した構造の電子レンズ使用して超高圧電子
顕微鏡を構成すると、応答特性が従来の電子顕微鏡に比
較して著しく低下することが明らかになった。例えば、
焦点調整をするために対物レンズのコイルに流す電流を
変化させるとき、焦点が安定するまでに1秒以上もかか
る場合があり、電子顕微鏡の操作性が極めて悪くなる。
本発明は、超高圧電子顕微鏡に使用するような大型の電
子レンズの応答特性を改善することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電子レン
ズの応答特性がこのように低下する原因について研究し
た結果、従来の電子レンズは、電子レンズを構成するコ
イル以外に、当該コイルに発生する熱を吸収する冷却板
及び磁束を通す磁気回路等周辺部位に幾つかの電気的な
閉ループ電気回路が作られ、この各々の電気的な閉ルー
プ回路は、電子レンズのコイルと電磁誘導結合をなし、
当該コイルの発生する磁束密度の変化を妨げる作用をす
ると共に当該コイルの負荷となっていることを見出し
た。
ズの応答特性がこのように低下する原因について研究し
た結果、従来の電子レンズは、電子レンズを構成するコ
イル以外に、当該コイルに発生する熱を吸収する冷却板
及び磁束を通す磁気回路等周辺部位に幾つかの電気的な
閉ループ電気回路が作られ、この各々の電気的な閉ルー
プ回路は、電子レンズのコイルと電磁誘導結合をなし、
当該コイルの発生する磁束密度の変化を妨げる作用をす
ると共に当該コイルの負荷となっていることを見出し
た。
【0010】すなわち、一般に熱伝導率の高い素材は電
気電導度も大きく、熱伝導率の高い材料でコイル冷却板
を製作すると、電気的な閉ループ回路を構成する。その
上、大型の電子レンズではコイルの発熱量が多く、コイ
ルを冷却する冷却板は体積が大きくなるため抵抗は極め
て小さく、回路時定数(L/R)は極めて大きくなる。
その結果、コイル冷却板に大きな誘導電流が流れ、か
つ、その消滅する時間は長く、装置の応答特性を著しく
低下させる。同時に、電子レンズの磁気回路に使用する
磁性材料も、電気抵抗は良導体に比較し大きいが、体積
が極めて大きいため磁路を構成する電気抵抗は小さく、
回路時定数は冷却板同様に大きく、装置の応答特性を低
下させる要因になっている。
気電導度も大きく、熱伝導率の高い材料でコイル冷却板
を製作すると、電気的な閉ループ回路を構成する。その
上、大型の電子レンズではコイルの発熱量が多く、コイ
ルを冷却する冷却板は体積が大きくなるため抵抗は極め
て小さく、回路時定数(L/R)は極めて大きくなる。
その結果、コイル冷却板に大きな誘導電流が流れ、か
つ、その消滅する時間は長く、装置の応答特性を著しく
低下させる。同時に、電子レンズの磁気回路に使用する
磁性材料も、電気抵抗は良導体に比較し大きいが、体積
が極めて大きいため磁路を構成する電気抵抗は小さく、
回路時定数は冷却板同様に大きく、装置の応答特性を低
下させる要因になっている。
【0011】従来の電子レンズのコイルと冷却部の構造
を示す図8によって説明すると、コイル11と上下冷却
板18、19の構造は電磁誘導結合が強く、コイル11
の作る磁束を妨げる方向の誘導電流22は上下冷却板1
8、19の抵抗が極めて小さいことからも大きく、その
上、回路時定数は極めて大きいため、レンズ電流の変化
時における磁束密度の応答速度を極めて緩慢なものとす
る。
を示す図8によって説明すると、コイル11と上下冷却
板18、19の構造は電磁誘導結合が強く、コイル11
の作る磁束を妨げる方向の誘導電流22は上下冷却板1
8、19の抵抗が極めて小さいことからも大きく、その
上、回路時定数は極めて大きいため、レンズ電流の変化
時における磁束密度の応答速度を極めて緩慢なものとす
る。
【0012】本発明においては、以上のような考察に基
づき、電子レンズのコイル周辺の電気的な閉ループ回路
を極力減らし、またコイルと電気的な閉ループ回路の電
磁誘導結合を弱くし、誘導電流を極力小さくすると共
に、回路の電気抵抗を大きくし、かつ時定数を小さくし
て誘導電流の消滅時間を短縮し、また渦電流の発生を抑
制することにより前記目的を達成する。
づき、電子レンズのコイル周辺の電気的な閉ループ回路
を極力減らし、またコイルと電気的な閉ループ回路の電
磁誘導結合を弱くし、誘導電流を極力小さくすると共
に、回路の電気抵抗を大きくし、かつ時定数を小さくし
て誘導電流の消滅時間を短縮し、また渦電流の発生を抑
制することにより前記目的を達成する。
【0013】
【作用】コイルの負荷となる電気的な閉ループ回路によ
る誘導電流を極力小さくすると同時に回路の時定数を小
さくすることによって電子レンズの応答特性が改善され
る。誘導電流は、上記種々の電気的な閉ループ回路を切
断することによって遮断される。また、コイル冷却板の
回路時定数は、インダクタンス、電気抵抗及び浮遊容量
を主とするコンデンサー容量等で決まるが、この場合の
主たる要因は電気抵抗が小さいことであるため、高抵抗
の素材で冷却板を製作することで時定数の低下を図るこ
とができる。
る誘導電流を極力小さくすると同時に回路の時定数を小
さくすることによって電子レンズの応答特性が改善され
る。誘導電流は、上記種々の電気的な閉ループ回路を切
断することによって遮断される。また、コイル冷却板の
回路時定数は、インダクタンス、電気抵抗及び浮遊容量
を主とするコンデンサー容量等で決まるが、この場合の
主たる要因は電気抵抗が小さいことであるため、高抵抗
の素材で冷却板を製作することで時定数の低下を図るこ
とができる。
【0014】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。 〔実施例1〕図1に、本発明の一実施例によるコイルと
冷却板の構造を示す。上部冷却板23及び下部冷却板2
4は、一般に熱伝導率の高い金属性材料を使用してコイ
ル11の発熱を吸収するが、これらの冷却板23,24
に切断部25を作り、図8に示されている誘導電流22
を遮断する。上部冷却板23及び下部冷却板24には冷
却管(図示せず)を埋設し、冷却水を流して水冷する。
切断部25を電気絶縁物で構成しても同様な効果が得ら
れる。
冷却板の構造を示す。上部冷却板23及び下部冷却板2
4は、一般に熱伝導率の高い金属性材料を使用してコイ
ル11の発熱を吸収するが、これらの冷却板23,24
に切断部25を作り、図8に示されている誘導電流22
を遮断する。上部冷却板23及び下部冷却板24には冷
却管(図示せず)を埋設し、冷却水を流して水冷する。
切断部25を電気絶縁物で構成しても同様な効果が得ら
れる。
【0015】上部冷却板23と下部冷却板24は、コイ
ル11との密着度を強化しコイル11の発熱を効率良く
吸収するために、薄い電気絶縁物20を間に介在してボ
ルト21で接合する。この時、上下の冷却板23、24
がボルト21により電気的な閉ループ回路を構成しない
様に、ボルト21と上部冷却板23の間に絶縁物スペー
サ26を介在させて導通を絶つ。この絶縁は、下部冷却
板24のボルト用タップ部を絶縁物で構成しても可能で
ある。さらに、図8に示した上部冷却板はL字形断面を
有し、上部冷却板18のコイルの内周部分と接するリン
グ状冷却板の部位は、誘導電流を遮断するという点で
は、そのままの状態で切断部25を作り込めば同等の効
果が得られる。しかし、この部位は冷却効果にそれほど
寄与しないうえ、コイル11に隣接するために渦電流が
発生するので、本実施例のように削除することで応答特
性の向上がさらに期待できる。
ル11との密着度を強化しコイル11の発熱を効率良く
吸収するために、薄い電気絶縁物20を間に介在してボ
ルト21で接合する。この時、上下の冷却板23、24
がボルト21により電気的な閉ループ回路を構成しない
様に、ボルト21と上部冷却板23の間に絶縁物スペー
サ26を介在させて導通を絶つ。この絶縁は、下部冷却
板24のボルト用タップ部を絶縁物で構成しても可能で
ある。さらに、図8に示した上部冷却板はL字形断面を
有し、上部冷却板18のコイルの内周部分と接するリン
グ状冷却板の部位は、誘導電流を遮断するという点で
は、そのままの状態で切断部25を作り込めば同等の効
果が得られる。しかし、この部位は冷却効果にそれほど
寄与しないうえ、コイル11に隣接するために渦電流が
発生するので、本実施例のように削除することで応答特
性の向上がさらに期待できる。
【0016】〔実施例2〕図2に、上下の冷却板の接合
手段をボルトから支え板に変更した図1の変形例を示
す。本実施例は、図1に示すように、切断部25を作り
込んだ上下の冷却板27を電気的な絶縁物である支え板
28で押さえ、締め付けボルト29とナット30でコイ
ル11と上下冷却板27を締め付け密着接合をする。ま
た、支え板28を金属製の素材で形成し、支え板28も
しくは締め付けボルト29を冷却板27との間に電気的
な絶縁物を挾み込んでも同等の結果が得られる。
手段をボルトから支え板に変更した図1の変形例を示
す。本実施例は、図1に示すように、切断部25を作り
込んだ上下の冷却板27を電気的な絶縁物である支え板
28で押さえ、締め付けボルト29とナット30でコイ
ル11と上下冷却板27を締め付け密着接合をする。ま
た、支え板28を金属製の素材で形成し、支え板28も
しくは締め付けボルト29を冷却板27との間に電気的
な絶縁物を挾み込んでも同等の結果が得られる。
【0017】〔実施例3〕図3に、電子レンズの構成例
を示す。この例でもコイル11とヨーク10とで電磁誘
導結合をなすため、ヨーク10に切断部を形成し、誘導
電流を遮断する。切断部を電気的な絶縁物で構成するこ
とでも同様の効果が得られる。 〔実施例4〕図4に、電子レンズの中枢であるポールピ
ースの構成例を示す。ポールピース14、15もコイル
11と電磁誘導結合をなすため、ポールピース14、1
5に切断部25を形成し、誘導電流22を遮断する。ポ
ールピースのギャップ17を決めるスペーサ16にも同
様に切断部25を形成するか、もしくは非磁性体でかつ
電気抵抗の大きい素材でスペーサ16を構成することに
よって誘導電流を遮断する。
を示す。この例でもコイル11とヨーク10とで電磁誘
導結合をなすため、ヨーク10に切断部を形成し、誘導
電流を遮断する。切断部を電気的な絶縁物で構成するこ
とでも同様の効果が得られる。 〔実施例4〕図4に、電子レンズの中枢であるポールピ
ースの構成例を示す。ポールピース14、15もコイル
11と電磁誘導結合をなすため、ポールピース14、1
5に切断部25を形成し、誘導電流22を遮断する。ポ
ールピースのギャップ17を決めるスペーサ16にも同
様に切断部25を形成するか、もしくは非磁性体でかつ
電気抵抗の大きい素材でスペーサ16を構成することに
よって誘導電流を遮断する。
【0018】以上、コイル周辺の電気的な閉ループ回路
に切断部を作り、誘導電流を遮断する方法について主に
説明したが、誘導電流を低減することができれば同等の
作用効果を達成できるのであり、電気的な閉ループを形
成する部材を抵抗の高い素材で製作するようにしてもよ
い。
に切断部を作り、誘導電流を遮断する方法について主に
説明したが、誘導電流を低減することができれば同等の
作用効果を達成できるのであり、電気的な閉ループを形
成する部材を抵抗の高い素材で製作するようにしてもよ
い。
【0019】
【発明の効果】電子レンズのコイル周辺部の閉ループ回
路の誘導電流を極小化し、当該回路の時定数を小さくし
短時間で誘導電流を消滅させたことにより、電子レンズ
の磁束密度の変化時における応答特性は著しく改善さ
れ、誘導電流についての考慮を払わない場合に比較して
応答速度が1桁以上速くなる。
路の誘導電流を極小化し、当該回路の時定数を小さくし
短時間で誘導電流を消滅させたことにより、電子レンズ
の磁束密度の変化時における応答特性は著しく改善さ
れ、誘導電流についての考慮を払わない場合に比較して
応答速度が1桁以上速くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による電子レンズのコイル冷
却板の構造を説明する一部切欠き図。
却板の構造を説明する一部切欠き図。
【図2】図1の変形例を示す部分断面図。
【図3】本発明の一実施例による電子レンズの構造を説
明する一部切欠き図。
明する一部切欠き図。
【図4】本発明の一実施例によるポールピースの構造を
示す一部切欠き図。
示す一部切欠き図。
【図5】一般的な電子顕微鏡の構成を説明する図。
【図6】従来装置の電子レンズの構造を示す図。
【図7】従来装置の電子レンズのポールピース部の構造
を示す一部断面拡大図。
を示す一部断面拡大図。
【図8】従来装置の電子レンズのコイル冷却板の構造を
示す一部切欠き図。
示す一部切欠き図。
1…電子銃及び加速管、2…電子ビーム、3…コンデン
サーレンズ、4…試料、5…対物レンズ、6…中間レン
ズ、7…投影レンズ、8…蛍光板、9…試料透過像、1
0…ヨーク、11…コイル、12…コイル冷却部、13
…ポールピース部、14…上部ポールピース、15…下
部ポールピース、16…スペーサ、17…エアーギャッ
プ、18…上部冷却板、19…下部冷却板、20…電気
絶縁物、21…ボルト、22…誘導電流、23…上部冷
却板、24…下部冷却板、25…切断部、26…絶縁ス
ペーサ、27…上下冷却板、28…支え板、29…締め
付けボルト、30…ナット
サーレンズ、4…試料、5…対物レンズ、6…中間レン
ズ、7…投影レンズ、8…蛍光板、9…試料透過像、1
0…ヨーク、11…コイル、12…コイル冷却部、13
…ポールピース部、14…上部ポールピース、15…下
部ポールピース、16…スペーサ、17…エアーギャッ
プ、18…上部冷却板、19…下部冷却板、20…電気
絶縁物、21…ボルト、22…誘導電流、23…上部冷
却板、24…下部冷却板、25…切断部、26…絶縁ス
ペーサ、27…上下冷却板、28…支え板、29…締め
付けボルト、30…ナット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−75766(JP,A) 特開 昭64−22073(JP,A) 実開 昭60−192358(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 37/141 H01J 37/16 H01J 37/28
Claims (9)
- 【請求項1】コイルと、熱伝導率の高い材料で形成され
前記コイルと熱的に密接して配置されたコイル冷却板
と、前記コイルと磁気的に結合されたヨークと、前記ヨ
ークに接続されたポールピースとを含む電子レンズにお
いて、 前記コイル冷却板に前記コイルと電磁誘導結合する電気
的な閉ループ回路を形成しないように切断部を設けたこ
とを特徴とする電子レンズ。 - 【請求項2】前記ヨーク、前記ポールピース及び前記ポ
ールピースを固定する非磁性体スペーサの少なくとも1
つに、前記コイルと電磁誘導結合する電気的な閉ループ
回路を形成しないように切断部を設けたことを特徴とす
る請求項1記載の電子レンズ。 - 【請求項3】前記切断部を電気絶縁物で構成したことを
特徴とする請求項1又は2記載の電子レンズ。 - 【請求項4】前記ヨーク、前記ポールピース及び前記ポ
ールピースを固定する非磁性体スペーサの少なくとも1
つを、前記コイルと電磁誘導結合する電気的な閉ループ
回路の回路時定数を低減し、該閉ループ回路に流れる誘
導電流を低減するために電気抵抗が比較的高い素材で構
成したことを特徴とする請求項1記載の電子レンズ。 - 【請求項5】コイルと、熱伝導率の高い材料で形成され
前記コイルと熱的に密接して配置されたコイル冷却板
と、前記コイルと磁気誘導結合されたヨークと、前記ヨ
ークに接続されたポールピースとを含む電子レンズにお
いて、 前記コイル冷却板によって形成される電気的な閉ループ
回路の回路時定数を低減し、該閉ループ回路に流れる誘
導電流を低減するために、前記コイル冷却板を熱伝導率
が高く、かつ電気抵抗が比較的高い素材で構成したこと
を特徴とする電子レンズ。 - 【請求項6】前記ヨーク、前記ポールピース及び前記ポ
ールピースを固定する非磁性体スペーサの少なくとも1
つを、前記コイルと電磁誘導結合する電気的な閉ループ
回路の回路時定数を低減し、該閉ループ回路に流れる誘
導電流を低減するために電気抵抗が比較的高い素材で構
成したことを特徴とする請求項5記載の電子レンズ。 - 【請求項7】前記ヨーク、前記ポールピース及び前記ポ
ールピースを固定する非磁性体スペーサの少なくとも1
つに、前記コイルと電磁誘導結合する電気的な閉ループ
回路を形成しないように切断部を設けたことを特徴とす
る請求項5記載の電子レンズ。 - 【請求項8】前記切断部を電気絶縁物で構成したことを
特徴とする請求項7記載の電子レンズ。 - 【請求項9】請求項1〜8のいずれか1項記載の電子レ
ンズを備えることを特徴とする電子顕微鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5216365A JP2967966B2 (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 電子レンズ及び電子顕微鏡 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5216365A JP2967966B2 (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 電子レンズ及び電子顕微鏡 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0773836A JPH0773836A (ja) | 1995-03-17 |
JP2967966B2 true JP2967966B2 (ja) | 1999-10-25 |
Family
ID=16687436
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5216365A Expired - Lifetime JP2967966B2 (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 電子レンズ及び電子顕微鏡 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2967966B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009123542A (ja) * | 2007-11-15 | 2009-06-04 | Institute Of Physical & Chemical Research | 電磁コイル |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7345287B2 (en) * | 2005-09-30 | 2008-03-18 | Applied Materials, Inc. | Cooling module for charged particle beam column elements |
CN102386047B (zh) * | 2011-11-08 | 2013-09-18 | 北京航空航天大学 | 一种透射电子显微镜的物镜线圈 |
-
1993
- 1993-08-31 JP JP5216365A patent/JP2967966B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009123542A (ja) * | 2007-11-15 | 2009-06-04 | Institute Of Physical & Chemical Research | 電磁コイル |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0773836A (ja) | 1995-03-17 |
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