JP2966186B2 - 内燃機関の過給圧制御方法 - Google Patents

内燃機関の過給圧制御方法

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JP2966186B2
JP2966186B2 JP4066278A JP6627892A JP2966186B2 JP 2966186 B2 JP2966186 B2 JP 2966186B2 JP 4066278 A JP4066278 A JP 4066278A JP 6627892 A JP6627892 A JP 6627892A JP 2966186 B2 JP2966186 B2 JP 2966186B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関に過給する
可変容量ターボチャージャの過給圧制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】可変容量ターボチャージャ等、エンジン
の運転状態により最適ブースト圧にブースト圧を保つこ
とができる過給機において、エンジン回転とエンジン負
荷からなる目標ブースト圧に基づいてターボチャージャ
をフィードバック制御する技術は知られている(実開平
1ー139033号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、車両の発進、
加速時等のように目標ブースト圧が急激に変化した際
に、ターボチャージャの回転の上昇に追従してブースト
圧が急激に増加するものの、アクチュエータにより駆動
される可変ベーンの応答遅れや排気エネルギの慣性によ
って、瞬間的にターボチャージャの過回転が発生し、こ
れによりブースト圧が目標値よりも高くなってしまい、
筒内圧力の上昇およびポンピングロスの増加を招くとい
う問題がある。
【0004】この発明は、このような問題点を解決する
ことを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、内燃機関に
過給する可変容量ターボチャージャの過給制御方法にお
いて、運転条件に基づくブースト圧マップの目標ブース
ト圧Psolに実ブースト圧Pistを近づけるように
可変ベーンの開度を制御すると共に、目標ブースト圧P
solと実ブースト圧Pistとの差△Pが一定値△P
1よりも大きく、かつ実ブースト圧の増加率dP/dt
が一定値Pd1よりも大きく、かつ機関回転数の増加率
dN/dtが一定値N1よりも大きい運転状態を判定す
ると、その時点から目標ブースト圧Psolと実ブース
ト圧Pistとの差△Pが所定値△P2よりも小さくな
ったときに前記可変ベーンの制御を中断して全開状態に
固定すると共に、少なくとも実ブースト圧の増加率dP
/dtが所定値Pd2よりも小さく、かつ目標ブースト
圧Psolと実ブースト圧Pistとの差△Pがさらに
小さい所定値△P3よりも小さくなったら、前記可変ベ
ーンの固定制御を解除してもとの制御に復帰させること
を特徴とする
【0006】
【作用】車両の発進時や加速時などにおいては、ブース
ト圧力マップの目標ブースト圧Psolが急激に立ち上
がるが、実ブースト圧Pistは応答よく追従せず、遅
れて急激に立ち上がってくる。このとき、通常の制御
(運転条件に基づくブースト圧マップの目標ブースト圧
Psolに実ブースト圧Pistを近づけるようにター
ボチャージャのアクチュエータを制御する)のままだ
と、ブースト圧がオーバシュートしやすくなる。この発
明においては、目標ブースト圧Psolと実ブースト圧
Pistとの差△Pが一定値△P1よりも大きく、かつ
実ブースト圧の増加率dP/dtが一定値Pd1よりも
大きく、かつ機関回転数の増加率dN/dt、が一定値
N1よりも大きい場合、ブースト圧がオーバシュートし
そうな運転状態を判定すると、その時点から実ブースト
圧Pistと目標ブースト圧Psolとの差△Pが所定
値△P2よりも小さくなったときに通常の制御を中断し
て可変ベーンを全開状態に固定する。これにより、目標
ブースト圧へと上昇する実ブースト圧の増加率dP/d
tが減少する。そして、少なくともこの増加率dP/d
tが所定値Pd2よりも小さく、かつ目標ブースト圧P
solと実ブースト圧Pistとの差△Pがさらに小さ
い所定値△P3よりも小さくなったら、可変ベーンの固
定制御を解除してもとの制御に復帰させるので、ブース
ト圧のオーバシュートを適確に防止することができる
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0008】図1において、可変容量型ターボチャージ
ャ1には、図示しない可変ノズルのベーンをエクスター
ナル・クランク2を介して揺動するアクチュエータ3が
設けられている。
【0009】アクチュエータ3のダイヤフラム室はバキ
ューム回路によりPCMバルブ4に連結され、PCMバ
ルブ4はバキューム回路によりジェネレータ5に直結さ
れたバキュームポンプ6に連結されている。
【0010】そして、図示しないインテークマニホール
ドに回路7により連結されたブーストセンサ8からのブ
ースト信号と、エンジンからの水温信号、回転信号、負
荷を示すラック信号とが、電気回路によりコントロール
ユニット9に入力するよう接続されている。
【0011】また、コントロールユニット9は、電気回
路によりPCMバルブ4およびクラスメータ10の複数
のウォーニングランプのうちターボチャージャ1の制御
に関するランプ10aに接続されている。
【0012】なお、バキュームポンプ6の回路Aは潤滑
油を供給し、同じく回路Bはエアとオイルを排出する回
路を示している。
【0013】次に、作用について説明する。
【0014】エンジンが車両の普通の走行条件で運転さ
れている場合は、可変容量型ターボチャージャ1は公知
技術によりフィードバック制御されている。例えば、エ
ンジン回転数とエンジン負荷とから目標ブースト圧マッ
プに基づきコントロールユニット9で随時、目標ブース
ト圧(以下、Psolという)が演算され、ブーストセ
ンサ8から入力される現在のブースト圧(以下、Pis
tという)との差ΔP(ΔP=Psol−Pist)か
ら早く目標ブースト圧に近付けるよう、ターボチャージ
ャ1のベーンアクチュエータ3にバキュームポンプ6か
らの作動負圧を供給するPCMバルブ4に必要な出力
(以下、Dutyという)がコントロールユニット9に
よって出力され、制御されている。
【0015】ここで、目標ブースト圧Psolが急激に
変化する車両の発進時等には、ターボチャージャ1の回
転上昇に伴って、図2のように実ブースト圧Pistが
急激に増加(所定のタイムラグ後)するものの、前述の
フィードバック制御では、的確な制御を得られない。こ
のため、このときは図3のフローチャートに示すよう
に、そのフィードバック制御を中断し、以下の制御を実
施する。
【0016】即ち、実ブースト圧Pistの増加率dp
/dtが予め定めた一定値Pd1以上、かつエンジン回
転数の増加率dN/dtが予め定めた一定値N1以上、
かつ目標ブースト圧Psolと実ブースト圧Pistと
の差ΔPが予め定めた一定値ΔP1以上か否かを判断す
る(ステップS1)。
【0017】この場合、実ブースト圧Pistの増加率
dp/dt、エンジン回転数の増加率dN/dtならび
に目標ブースト圧Psolと実ブースト圧Pistとの
差ΔPから車両の発進時等を的確に判断できる。
【0018】YESであれば、目標ブースト圧Psol
と実ブースト圧Pistとの差ΔPが予め定めた一定値
ΔP2(<ΔP1)以下になったか、つまり実ブースト
圧Pistが目標ブースト圧Psolに一定値まで近付
いたか否かを判断する(ステップS2)。
【0019】そして、これがYESのとき、ターボチャ
ージャ1のアクチュエータ3のPCMバルブ4に固定値
Dを出力する(ステップS3)。
【0020】この場合、固定値Dを可変ベーンの開側に
設定、例えばD=0%にして、PCMバルブ4を閉じ、
可変ベーンを全開する。
【0021】なお、NOの場合は戻る。
【0022】次いで、実ブースト圧Pistの増加率d
p/dtが予め定めた一定値Pd2(<Pd1)より小
さく、かつ目標ブースト圧Psolと実ブースト圧Pi
stの差ΔPが予め定めた一定値ΔP3(<ΔP2)よ
り小さくなったか否かを判断する(ステップS4)。
【0023】NOの場合は、固定値Dの出力を続け、Y
ESのときは、リセットつまり固定値制御を終え、通常
のフィードバック制御に戻る(ステップS5)。
【0024】したがって、図2のように通常のフィード
バック制御だと、実ブースト圧が大きくオーバーシュー
トしてしまうが、このように実ブースト圧Pistの増
加率dp/dt、エンジン回転数の増加率dN/dtな
らびに目標ブースト圧Psolと実ブースト圧Pist
との差ΔPから、ブースト圧の増加が急激な車両の発進
時等を判断すると共に、その差ΔPが一定値に近付いた
ときに、アクチュエータ3の制御を固定つまりPCMバ
ルブ4に固定値Dを出力(例えば、可変ベーンを全開)
することで、オーバーシュートを防止でき、ほぼ目標ブ
ースト圧を得ることができる。
【0025】この場合、実車の発進において、ターボチ
ャージャの回転数が最大116000rpmだったもの
が、本制御により最大10400rpmに抑えられ、ブ
ースト圧が最大1100mmHgだったものが、最大1
000mmHgに抑えられることが確認されている。
【0026】また、実ブースト圧Pistの増加率dp
/dtおよび目標ブースト圧Psolと実ブースト圧P
istの差ΔPが一定値以下になったときに、通常のフ
ィードバック制御に戻すことで、目標ブースト圧にスム
ーズに収束する。
【0027】このようにして、筒内圧力、ポンピングロ
スを適正に保つことができ、最適過給を確保できる。
【0028】なお、各設定値は、ギヤ位置に応じて定め
ることができる。
【0029】
【発明の効果】以上のようにこの発明は、内燃機関に過
給する可変容量ターボチャージャの過給制御方法におい
て、運転条件に基づくブースト圧マップの目標ブースト
圧Psolに実ブースト圧Pistを近づけるように可
変ベーンの開度を制御すると共に、目標ブースト圧Ps
olと実ブースト圧Pistとの差△Pが一定値△P1
よりも大きく、かつ実ブースト圧の増加率dP/dtが
一定値Pd1よりも大きく、かつ機関回転数の増加率d
N/dtが一定値N1よりも大きい運転状態を判定する
と、その時点から目標ブースト圧Psolと実ブースト
圧Pistとの差△Pが所定値△P2よりも小さくなっ
たときに前記可変ベーンの制御を中断して全開状態に固
定すると共に、少なくとも実ブースト圧の増加率dP/
dtが所定値Pd2よりも小さく、かつ目標ブースト圧
Psolと実ブースト圧Pistとの差△Pがさらに小
さい所定値△P3よりも小さくなったら、前記可変ベー
ンの固定制御を解除してもとの制御に復帰させるので、
車両の発進時や加速時などブースト圧のオーバシュート
を生じやすい運転状態においても、ターボチャージャの
過回転を適確に防止できる
【図面の簡単な説明】
【図1】制御系の構成図である。
【図2】作動特性図である。
【図3】オーバーブーストの防止制御のフローチャート
である。
【符号の説明】
1 可変容量ターボチャージャ 3 アクチュエータ 4 PCMバルブ 6 バキュームポンプ 8 ブーストセンサ 9 コントロールユニット

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関に過給する可変容量ターボチャー
    ジャの過給制御方法において、運転条件に基づくブース
    ト圧マップの目標ブースト圧Psolに実ブースト圧P
    istを近づけるように可変ベーンの開度を制御すると
    共に、目標ブースト圧Psolと実ブースト圧Pist
    との差△Pが一定値△P1よりも大きく、かつ実ブース
    ト圧の増加率dP/dtが一定値Pd1よりも大きく、
    かつ機関回転数の増加率dN/dtが一定値N1よりも
    大きい運転状態を判定すると、その時点から目標ブース
    ト圧Psolと実ブースト圧Pistとの差△Pが所定
    値△P2よりも小さくなったときに前記可変ベーンの制
    御を中断して全開状態に固定すると共に、少なくとも実
    ブースト圧の増加率dP/dtが所定値Pd2よりも小
    さく、かつ目標ブースト圧Psolと実ブースト圧Pi
    stとの差△Pがさらに小さい所定値△P3よりも小さ
    くなったら、前記可変ベーンの固定制御を解除してもと
    の制御に復帰させることを特徴とするターボチャージャ
    の過給制御方法。
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