JP2965989B2 - ボイラ運転支援装置 - Google Patents

ボイラ運転支援装置

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JP2965989B2 JP25600188A JP25600188A JP2965989B2 JP 2965989 B2 JP2965989 B2 JP 2965989B2 JP 25600188 A JP25600188 A JP 25600188A JP 25600188 A JP25600188 A JP 25600188A JP 2965989 B2 JP2965989 B2 JP 2965989B2
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  • Control Of Steam Boilers And Waste-Gas Boilers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は火力発電設備に係わり、特に頻繁な起動運用
をするに好適なボイラ運転支援装置に関する。
〔従来の技術〕
第5図は本発明の対象たる火力発電設備と、従来技術
によるボイラ制御装置の一例である。以下、装置の動作
を概説する。
ボイラ給水はポンプ51から吐出され、流調弁52を経て
蒸発器54で蒸気となる。蒸気はさらに加熱器56を経て加
熱された後、その流量を調節するタービン加減弁59を経
て、蒸気供給先のタービン60へ流入する。タービン60は
回転軸を発電機62に結ばれており、タービン加減弁59は
発電機60出力を制御するよう駆動される。ボイラが供給
する蒸気の温度及び圧力は、いわゆる蒸気条件として一
般に加熱器56出口の値で規定され、当該圧力は弁52によ
る給水流量操作,当該温度は燃料流調弁67によるバーナ
69への燃料供給量操作でそれぞれ制御される。さらに、
バーナ69の燃料量による蒸気温度制御は応答が遅いた
め、加熱器減温器55により定常的に注水を行ない、過度
的な蒸気温度変動には、加熱器注水弁64により当該注水
量を操作して対処する。
以上に述べたボイラ装置に適用する従来技術の制御装
置の構成は第5図の上段に示す通りであつて、その目的
は前述のボイラ蒸気条件を規定値に維持しつつ、負荷指
令信号1(IDU)に従つて発電機62より電気出力を行な
わせることである。
負荷指令信号1は、変化率制限器2により負荷変化率
制限信号3で設定される変化率以内に抑えられる。すな
わち負荷指令信号1が急激に変化しても、負荷変化率制
限信号3が例えば3%/分を与えれば、3%/分の勾配
で負荷変化率制限信号3は、負荷指令信号1の変化後の
値に向けて変化し、また、負荷変化率制限信号3が0%
/分の設定であれば、負荷指令信号4(MWD)は現在値
を維持する。従つて負荷指令信号4(MWD)は、発電設
備として追従可能性を考慮した負荷指令であり、タービ
ン加減弁駆動信号8は比例・積分動作により、発電量検
出器63より出力される発電機出力信号5を、負荷指令信
号4と一致させるように補正されながら出力される。
ボイラへの給水は負荷指令信号4に対応し負荷/水比
関数要素9で基本値を与え、給水量とタービン加減弁59
による蒸気抜き出し量のバランスは、ただちに蒸気圧力
検出器58による主蒸気圧力信号10に反映するため、主蒸
気圧力設定信号12との偏差を比例・積分要素14に直して
得た負荷水比補正信号15を加えボイラ入力指令信号17を
得る。ボイラ入力指令信号17はボイラの総給水量指令値
に相当するため、ボイラ給水量検出器53,加熱器注水量
検出器65より得た信号を加えボイラ総給水量信号21を得
た後、ボイラ入力指令信号17との偏差を比例・積分要素
23に通した給水流調弁駆動信号24でボイラ給水流調弁52
を操作する。これは、加熱器注水弁64は後述するように
蒸気温度制御の目的で制御され、ボイラ入力信号17によ
る指令とは無関係に動くため、加熱器注水管70の通過流
量変動分も合わせてボイラ給水流調弁52の操作で吸収す
るためである。
ボイラへの燃料投入量はボイラ総給水量に対応するボ
イラ入力指令信号17に対応して水/燃比関数要素25で基
本値を与え、燃料と給水のアンバランスは蒸気温度検出
器57による主蒸気温度信号26に反映するため、主蒸気温
度設定信号28との偏差を比例・積分要素31に通して得た
水燃比補正信号47を加え合わせて燃料指令信号33とす
る。燃料流調弁駆動信号37は比例積分動作で、燃料流量
検出器68で実測した燃料供給量信号34を燃料指令信号33
と一致させるように補正されながら出力される。また、
加熱器注水弁操作信号42は前述のように、応答の遅い燃
料量による蒸気温度制御を補完するために、定常的な注
水量を与える関数要素38の出力を蒸気温度偏差信号30の
比例動作で得た加熱器注水比補正信号40を加えた加熱器
注水弁駆動信号42で操作される。
タービン熱応力監視装置44(例えば、天日,外:ロー
タ熱応力によるタービン自動制御装置:火力原子力発電
vol29NO.5 pp437〜482,昭55−6)は直接状態量を計測
できないタービンロータについて、タービン蒸気温度検
出器61で得るローター周辺の蒸気温度信号43を用い、熱
伝達特性からローター表面温度を、熱伝導特性からロー
ター内温度分布を算出し、これにより熱応力値信号45を
出力する。この信号45が規定値を超えると関数要素46は
変化率制限信号3を0とし、第5図の設備はいわゆる負
荷定値制御の状態となる。
以上に述べた従来技術は貫流ボイラ(第5図の下段に
示した系統が典型的)の制御系統して定着しており、ベ
ンソンボイラの還流運転域にも同一の回路で対応でき
る。ドラムボイラ及びベンソンボイラの再循環運転域の
制御回路は第5図の上段と多少異なるが、少なくともタ
ービン加減弁59及び加熱器注水弁64に関する制御法は第
5図と同一であり以下の議論は同様に適用できる。
なお、図中の6は信号減算要素、7は比例積分要素、
11は信号設定要素、13は信号減算要素、16は信号加算要
素、18はボイラ給水量信号、19は加熱器注水量信号、20
は信号加算要素、22は信号減算要素、27は信号設定要
素、29は信号減算要素、32は信号加算要素、35は信号減
算要素、36は比例積分要素、39は比例要素、41は信号加
算要素、66は燃料ポンプである。
〔発明が解決しようとする課題〕
前述したように第5図の設備の負荷制御はタービン加
減弁59による蒸気抜き出し量調節によつて実施するが、
その際弁59によつて圧力降下と温度降下が生じる。前者
の圧力降下自体はタービン60へ流入する蒸気量を調節す
るための必然で、それ自体問題ないが、副次的に生じる
蒸気温度降下は以下述べる理由でタービン60に熱応力を
発生させる原因になり問題である。
蒸気温度降下はタービン加減弁59出入口で蒸気の持つ
エンタルピ(含熱量)はほとんど変化しなくても、圧力
が変われば温度が変化することによる。言いかえれば圧
力降下に伴つて蒸気が膨張する際、蒸気の行なつた仕事
分だけ内部エネルギが低下して温度が下がると考えれば
良い。しかしながら温度の降下幅はタービン加減弁59の
絞り込みが大きい領域では100℃程度に達する場合があ
り、これは機械学会発行の蒸気表等で、等エンタルピで
圧力降下した場合を参照すれば容易に確かめることがで
きる。
第5図の制御回路において、加熱器56出口蒸気温度,
圧力はいわゆる蒸気条件として制御され、従来技術にお
いて、5%/分程度の高負荷変化率下で、蒸気圧力偏差
±5kg/cm2程度を実現することは困難ではない。しかし
ながら負荷変化に伴うタービン加減弁59の開度変化によ
り、弁59通過後のタービン60入口の蒸気温度は軽く数10
℃のオーダーで変動し、タービンロータに深刻な熱応力
を発生させるのである。
タービン熱応力監視装置44は、上述の観点からタービ
ンロータの信頼性を確保するために設置されているが、
負荷変化中しばしば熱応力値45が大となり、加減弁59の
開度変化を抑えるため、関数要素46及び変化率制限要素
2による負荷変化率制限または負荷定値機能が作動し、
負荷変化所要時間が延長され、発電設備の運用性能が阻
害される問題があつた。
さらに、火力発電設備の起動時においては、同様のメ
カニズムにより深刻な事態が発生する。すなわち、起動
過程においては加熱器56出口蒸気温度を起動完了時点で
所定の目標値に到達するように昇温させるとともに、加
減弁59開度を絞り込んだ状態から増大させて負荷上昇を
行うが、この状態はタービン加減弁59の入口蒸気温度自
体の上昇とタービン加減弁59による蒸気温度降下幅が10
0℃程度もある状態から、急速に減少するため、タービ
ン60入口蒸気温度が急激に上昇する場合にあたる。従つ
て、起動過程は前述の負荷定値機能が最も作動しやす
く、しばしば予定時間内に所定負荷に到達できない事態
(起動時間延長)をもたらしていた。
上述したような熱応力高による起動時間の延長は電力
系統の運用計画に予期せぬ混乱をもたらすため、従来技
術では熱応力高による負荷定値機能を作動させないこと
を主眼に、いたずらに緩慢な昇温率で加熱器56出口蒸気
温度を制御する事例も多々見られ、本来のプラント起動
運用性能を発揮できない原因となつていた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の目的は上述した従来技術の問題点を解決し、
タービン60の熱応力値過大を避けつつ、十分なプラント
起動運用性能を引き出す装置を提供するにある。
要するに本発明は、従来技術の制御装置がいわゆる蒸
気条件として加熱器56出口の温度,圧力にのみ着目して
調節を行ない、その結果としてタービン60の熱応力高に
よるトラブルをもたらしたことをふまえ、タービン60の
寿命消費に本質的に寄与するタービン60の入口蒸気温度
変化率を管理することにより達成される。さらに一回の
起動におけるタービン60の寿命消費を計画値に維持する
には、タービン60の発生熱応力ピーク値を制限する必要
があり、その観点からタービン60入口蒸気温度変化率管
理の目安を決定することとする。
本発明はタービン60の入口蒸気温度変化率を上述の管
理の観点で調節するため、当該変化率がタービン加減弁
59開度及び回度変化率による蒸気温度変化を考慮して、
ボイラ出口昇温率制御に帰着させる手段を中心として構
成される。
〔作用〕
一般に弁による圧力損失は弁開度によつて決まる一般
に弁による圧力損失は弁容量を表す流量係数(CV値)と
通過流体の流量及び物性値(比容積,粘性係数等)によ
り決定される。タービン加減弁59の場合、通過流量に関
しては後流側のタービン60と一体に扱えるが、この種の
プラントの設計条件では弁59入口圧力とタービン60排気
圧力の差は十分に大きく、いわゆる臨界差圧条件を超え
ており、かかる通過流量はタービン60の排気条件によら
ず弁59の開度及び入口蒸気圧力,物性値(ことに比容
積)により支配される。
ここで蒸気物性値は、蒸気温度,圧力により一意に決
まる(例えば機械学会発行蒸気表を参照すれば求められ
る)ことに着目すれば、上述の関係により、弁59の通過
流量は蒸気温度,圧力,弁開度の関数であり、同様に弁
59の圧力損失及び弁59出口圧力もまた、この三者の関数
となる。
弁59及びタービン60へ至る管路の熱容量により若干の
遅れは伴うが、タービン60入口蒸気温度は弁59入口蒸気
と等エンタルピ(等含熱量)で、弁59出口圧力に対応す
る温度値となる。この場合も蒸気温度,圧力,エンタル
ピの相互関係は蒸気表等により容易に求めることがで
き、結局、タービン60入口蒸気温度も同様に弁59の開
度,入口蒸気圧力,温度の関数となる。さらに、良好に
蒸気条件を制御されたボイラ装置では、弁59入口蒸気圧
力は定数とみなせる場合もあり、少なくとも弁59開度と
弁59入口蒸気温度を取り込めればタービン60入口蒸気温
度が求められる。
以上の方法は単に、タービン60入口蒸気温度を直接測
定する必要がないということに加え、タービン60入口蒸
気温度を例えば熱電対で計測した場合のような、検出端
(サーモウエル等を含む)の熱容量により本質的に検出
遅れを伴う問題が回避できるし、前述の弁59及びタービ
ン60へ至る管路の熱容量による遅れの影響も含めて、当
該温度が収束する値をただちに知ることができる長所が
ある。
本発明では、かかるタービン60入口蒸気温度推定値の
変動を抑制するように蒸気温度制御を行うが、制御技術
上、種々の遅れの影響を受けた直接測定値よりも、対象
の収束値を予め知つて制御する手法(予見制御)が非常
に有効であることは明らかである。
本発明において蒸気温度変化率と熱応力極大値の関
係、熱応力極大値と一熱サイクルにおける寿命消費値の
関係の把握がポイントとなるが、前者は流体温度の変動
があつた後、熱応力が極大に達するまでに熱容量,熱伝
導等に起因する大きな遅れがあるし、後者は、本質的に
一熱サイクルが完結してその履歴を考慮しないと求めら
れない。従つてこれらの両関係式を物理的法則に基づい
て連立微分方程式等で記述する(物理モデル)方式で取
り扱うことは、非常に繁雑かつ困難である。
一方で、これらの関係式を応用する立場で考えると、
プラントの起動はその耐用期間中に千回のオーダーに達
するのが通例であるから、かかる両関係式は平均として
正確であればよく、個々のケースの不確定な要因による
誤差の影響は、回を重ねる毎に打ち消し合つていく性質
のものであれば問題にしなくて良い。このような立場の
応用には実績データの蓄積から関係式を求める(統計モ
デル)方式が最適である。
統計モデルとしては種々の手法があるが、線形回帰モ
デル方式が簡単で有力な方法であり、その考え方を以下
簡単に述べる。なお、統計モデルに関しては、奥野ほか
「多変量解析法」日科技連出版1971年,赤池ほか「ダイ
ナミツクシステムの統計的解析と制御愛サイエンス社19
72年等に詳しく述べられていることを付記する。
時点i(i=1…N)において変数の組(xi,yi)が
得られた場合、xとyとの関係式を下式の形に仮定する
と、以下の手順で式中のパラメータb0,b1を決定でき
る。
y=b0eb1X ……(1) (1)式の両辺の対数をとつて線形化すると下式を得
る。
log y=log b0+b1x ……(2) (2)式に各時点のxiを代入し、対応するlog yiとの
差をεとして次式で定義する。
ε=log b0+b1x1−log yi ……(3) 上式のεは関係式(1)の推定誤差に相当する。
各自点のεi 2の総和Sを下式で定義する。
本発明の目的には、(4)式のSの値を最小とするよ
うにb0,b1を決定すればよい。従つて、(4)式をlog b
0,b1で偏微分して0とおいた次の2方程式を満たすb0,b
1を決定することに帰着する。
連立方程式(5),(6)は容易に解けて次の結果を
得る。
以上の方法に従つてb0,b1を決定するとき、xとyと
の性質上、相関性が強い場合は(4)式のSを十分小さ
な値にすることが可能となつて(1)式の仮定が有効と
なる。本発明への応用については昇温率と熱応力極大
値,熱応力極大値と寿命消費量の関係双方について強い
相関性が知られており、この手法の適用は妥当である。
以上の議論を裏付けるため、昇温率と熱応力極大値,
熱応力極大値と寿命消費量の関係の物理的メカニズムに
ついて簡単に説明する。
タービンの発生熱応力は、突起部等の応力集中の発生
する部位で問題となるが、かかる部位の熱応力値はター
ビン内の蒸気と接する無限平板を仮定し、その蒸気と接
する表面の発生熱応力値に応力集中係数を乗じて評価す
れば良いことが知られている。また当該表面の熱応力は
次式で示される表面に平行な各方向に一様な成分が、表
面に垂直な成分が通常大であるので、熱応力管理の主旨
から、これに着目する必要がある。
ここに、 δ :表面に平行方向の熱応力成分 E :ヤング率 α :線棒張係数 ν :ポアソン比 Tau:無限平板平均メタル温度 Ti :無限平板表面メタル温度 a :比例定数 無限平板内の熱移動は伝導により、基本的にフーリエ
の方程式を満たす。無限平板では表面と垂直方向の熱移
動のみを考えればよいから、現象は次式で記述できる。
ここに k:熱伝導率 c:比熱 w:半径方向距離 T:メタル温度 無限平板を厚さ方向に層状に分割し、各層毎に集中定
数化し、その表面から第j番目のセクシヨンについて
(10)式から下式が導かれる。
ここに、 Δr:分割された層の厚さ ここで、代表的な例として、無限平板が温度平衡の状
態にあり、無限平板表面の流体から温度変化が伝わるケ
ースを考える。この場合はTi+1,Tiが等しい状態でTi-1
から温度変化が伝播するので(11)式には次式に変化す
る。
(12)式は一次遅れ特性を示す微分方程式であり、そ
の遅れ時定数τは下式に示される。
ラプラス変換により(12)式は下式に変換できる。
ここに、 S:ラプラスの演算子(時間微分演算を示す) また変数の肩記号*はラプラス変換した値であること
を示す。
(14)式の関係を用いれば、メタル厚肉部内の第Nセ
クシヨンの温度TNは表面温度T0を用いて下式で表され
る。
(9)式より無限平板の発生熱応力は、内部と表面の
温度差で評価できることは前述のとおりであるが、その
温度差をΔTとすると(15)式より下式の性質が導け
る。
(16)式の分子Sの高次の項は内面温度T0の高次微分
を与えるが、物理的性質上T0の変化はなめらかであるの
で高次微分係数は0とみなせ、2次以下の項は無視でき
る。従つて(16)式は次式に帰着する。
(17)式の意味するところは、熱応力値を支配するメ
タル温度差は表面メタル温度変化率の高次遅れ特性を持
つということであつて、メタル温度差の漸近値は流体温
度変化率に比例することが証明された。(17)式による
メタル温度差が最も漸近値に近づいて最大となる条件こ
そ熱応力極大であり、(17)式は熱応力極大値を蒸気温
度変化率との関係で整理することの妥当性を裏付けてい
る。
同様に、熱応力極大値より寿命評価を行う手法は、既
に本出願人が提案した「ボイラ負荷制御装置」(特願昭
58−116201号)の明細書中に詳述してあるので、ここで
は省略するが、要するに、寿命消費の原因である疲労と
クリープについて、前者は一熱サイクル(一回の起動ま
たは負荷変化における動翼に発生する熱応力サイクル)
における主応力差(応力の三軸方向の成分のそれぞれ二
つを選び差をとつたもの)の正負両方向の極大の幅(ピ
ーク対ピーク)により支配され、後者は高温領域におけ
る応力絶対値(相当応力)の極大に支配されるため、熱
応力の極大値と寿命消費の間には当然強い相関関係があ
り、両者を統計的関係式で整理することの妥当性が裏付
けられる。
〔発明の実施例〕
第1図は本発明の一実施例であり、第5図の従来技術
実施例と同一部分は本発明と直接関係ある範囲以外は省
略して示した。
第2の演算手段502は主蒸気温度信号26,主蒸気圧力信
号10及び,タービン加減弁駆動信号8を入力して加減弁
59出口蒸気温度信号510及び加減弁出口蒸気温度変化率
信号511を演算する。
第3の演算手段503は加減弁59の出口蒸気温度信号510
または蒸気温度変化率信号511を入力して動翼発生熱応
力信号512を算出する。ここで熱応力値を支配するメタ
ル温度差は表面メタル温度変化率の高次遅れ特性を持っ
ており、メタル温度差の漸近値は流体温度変化率に比例
することから、蒸気温度変化信号511によっても動翼発
生熱応力信号512を算出することができる。第6の演算
手段506は熱応力信号512を受けて一熱サイクルにおける
動翼寿命消費率信号513を算出する。
第5の演算手段505は1回の起動または負荷変化に対
する動翼寿命消費率割当信号514を入力し、前述の熱応
力信号512と寿命消費率信号513により与えられるデータ
の組を保存した第2の記憶装置508の内容を参照して動
翼熱応力制限信号515を算出する。ここで寿命消費率割
当信号514は、プラント設計段階で決定される固定値を
与えて設定の手間を省くこともできる、プラントの実績
寿命消費状況や、当該起動,負荷変化を急速に行う必要
性に応じて逐一設定しても良い。
第4の演算手段504は熱応力制限信号515を入力し、前
述の蒸気温度変化率信号511と熱応力信号512により与え
られるデータの組を保存した第1の記憶装置507の内容
を参照して、タービン翼列入口蒸気温度変化率制限信号
516を算出する。ここで熱応力制限信号515は本例のよう
に第5の演算手段により与えても良いが、プラント設計
段階で決定される固定値や経験上知り得る値を設定する
ことにより、第5の演算手段等を不要とすることもでき
る。
第1の演算手段501は翼列入口蒸気温度変化率制限信
号516及び現時点における主蒸気温度信号26,主蒸気圧力
信号10,及びタービン加減弁駆動信号8を入力してボイ
ラ昇温率指令信号517を出力する。ここで翼列入口蒸気
温度変化率制限信号516は本例のように第4の演算手段
により与えても良いが、プラント設計段階で決定される
固定値や経験上知り得る値を設定することにより、第4
の演算手段等を不要とすることもできる。
ボイラ昇温率制御手段509は指令信号517を入力してボ
イラの操作端を駆動する。
第2の演算手段502は第2図に示すとり、蒸気表参照
要素111を用いて加減弁95入口における比容積112とエン
タルピ113を算出し、弁特性関数要素114で、当該弁開
度,入口圧力,比容積における弁の圧力損失115を求め
る。蒸気表参照要素118は、弁入口圧力10から圧損115を
引いて求めた弁出口圧力117に対応する弁入口と等エン
タルピの温度を求める。当該等エンタルピ変化により求
めた蒸気温度が前述したように加減弁出口蒸気温度信号
510,及びこれを微分した変化率信号511となる。
なお、116は信号減圧要素、119は信号微分器である。
第3の演算手段503は従来より実用化されている熱応
力監視装置であつて、その演算の概略は(9)式〜(1
3)式に示した通りである。
第6の演算手段506は従来より実用化されている熱応
力極大値より寿命評価を行う手法を用い、その詳細は前
述の特願昭58−116201号に紹介した通りである。
第4の演算手段504及び第5の演算手段505は、それぞ
れ第1の記憶装置507及び第2の記憶装置508に保存され
たデータに(1)式〜(8)式に示した統計的手法を適
用している。
第1の演算手段501は本発明の中心であるので、その
作用について詳細に説明する。加減弁による蒸気温度降
下は前述のように等エンタルピ変化であつて、そのメカ
ニズムは第2図に示した第2の演算手段502に係る記述
にても説明したが、これらを関係式に示すと以下の通り
となる。
θ=h(P0,Hi) ……(18) P0=Pi−g(Pi,A,μ) ……(19) μ=fμ(Pi) ……(20) Hi=fH(Pi) ……(21) ここに各記号は以下の通りである。
θi :加減弁59入口蒸気温度 θ0 :加減弁59出口蒸気温度 A :加減弁59開度 Hi :加減弁59入口蒸気エンタルピ Pi :加減弁59入口蒸気圧力 P0 :加減弁59出口蒸気圧力 fμ:蒸気圧力,温度より比容積を求める蒸気表 fH :蒸気圧力,温度よりエンタルピを求める蒸気表 g :蒸気圧力,比容積,弁開度から差圧を与える弁 h :蒸気圧力,エンタルピより温度を与える蒸気表 μi :加減弁59入口蒸気比容積 (19)〜(21)式を(18)式に代入し、時間tで微分
して加減弁59出口蒸気温度θの変化率に関する式を得
る。
本発明の目的には、与えられたPi,Aの変化率の下、θ
の変化率を所定の値とするためのθを求めればよ
い。従つて(22)をθの変化率について解いて次式を
得る。
以上の式中において各偏微分係数は現時点における
Pi,A,θが与えられれば、ただちに求めることができ
る。具体的には第1の演算手段は第3図に示す構成とな
る。第3図において昇温率指令信号152は(23)式によ
り求められたθの変化率である。
なお、図中の120,121は信号微分要素、122,130は偏微
分係数発生要素、131は定数発生要素、132は信号設定要
素、133,144は信号減算要素、134は信号定数倍要素、13
5,137,141,145,146,148は信号乗算要素、136,147は信号
減算要素、142,143,149は信号加算要素、150は信号除算
要素、151は信号低選択要素、152,153は昇温率指令信号
である。
第3図の実施例特有の効果は、現時点における主蒸気
温度26と信号設定要素132で与えられる主蒸気温度の偏
差から昇温率指令信号153を得て、該信号と前述の信号1
52の低選択で求める昇温率指令信号517を得ることによ
りもたらされる。すなわち主蒸気温度26が設定値に等し
いか、これを上回つた場合、信号153は0または負とな
り、信号153が選択されて設定値以上の昇温が停止さ
れ、かつ主蒸気温度26が設定値を越えた場合は設定値に
引き戻す方向に負の昇温率指令信号517が得られる。
ボイラ昇温率制御手段の動作は「ボイラ起動制御装
置」(特願昭59−145932号)の明細書中に述べた通りで
あつて、プラントの状態に応じて信号517により与えら
れた昇温率による起動を燃料投入量最低の条件で弁開度
等のプラント操作量(最適操作量)を算出することによ
つて起動操作を行う。
また昇温率制御手段として、「ボイラ起動制御装置」
(特願昭61−076801号)を適用すれば、カルマンフイル
タ,最適レギユレータ理論の適用が可能な構成となり、
上述の最適操作量が評価関数を最小にするという形で明
確に与えられる長所がある。
ボイラ昇温率制御手段として、従来技術の第5図の構
成に対し最小限の改造で対処したい場合は、昇温率指令
値517を積分して温度指令値とし、第5図中の信号設定
要素27が与える主蒸気温度設定信号28の代わりに、該積
分値を信号減算要素29に与えればよい。
〔発明の他の実施例〕
本発明の他の実施例としては、翼列入口の実昇温率信
号511と該昇温率制限信号516との偏差で従来技術による
第5図の制御装置中の主蒸気温度制定信号をカスケード
制御する方法があり、当該実施例を第4図に示す。この
方法は最も簡単に本発明を実施できる長所がある。
なお、図中の154は信号減算要素、155は比例積分要
素、156は信号加算要素である。
〔発明の効果〕
本発明は、以下の効果がある。
1.加減弁通過に伴う蒸気温度変化を考慮して、タービン
翼列入口蒸気温度変化が規定値以下となるように制御で
きる。
2.タービン翼列入口蒸気温度変化率制御にあたり、該温
度変化率の収束値を予見した応答性の速い制御ができ
る。
3.タービン翼列の発生熱応力極大値を規定値以下とした
タービン翼列入口蒸気温度変化率制御ができる。
4.タービン翼列の寿命消費量を設定通りとさせるタービ
ン翼列入口蒸気温度制御ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図,第2図,第3図ならびに第4図は本発明の実施
例に係る系統図、第5図は従来例の系統図である。 60……蒸気タービン、501……第1の演算手段、502……
第2の演算手段、503……第3の演算手段、504……第4
の演算手段、505……第5の演算手段、506……第6の演
算手段、507……第1の記憶装置、508……第2の記憶装
置、509……ボイラ昇温率制御手段。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蒸気温度変化率制御手段を有するボイラ装
    置の蒸気取り出し口に蒸気流量調節弁を介して蒸気ター
    ビン装置を接続したものにおいて、 少なくとも前記蒸気流量調節弁入口の蒸気温度信号,蒸
    気圧力信号,該蒸気流量調節弁の開度信号及び,前記蒸
    気タービン装置の翼列入口の蒸気温度変化率制限値を入
    力して、 少なくとも前記ボイラ装置のボイラ昇温率指令信号を算
    出する第1の演算手段を有することを特徴とするボイラ
    運転支援装置。
  2. 【請求項2】蒸気温度変化率制御手段を有するボイラ装
    置の蒸気取り出し口に蒸気流量調節弁を介して蒸気ター
    ビン装置を接続したものにおいて、 蒸気流量調節弁入口の蒸気温度信号,蒸気圧力信号,該
    蒸気流量調節弁の開度信号を入力して、前記蒸気流量調
    節弁出口の蒸気温度信号及び蒸気温度変化率信号を算出
    する第2の演算手段を有することを特徴とするボイラ運
    転支援装置。
  3. 【請求項3】請求項(2)記載において、前記第2の演
    算手段で求めた蒸気温度または蒸気温度変化率を用い
    て、前記タービン動翼の熱応力を算出する第3の演算手
    段と、前記第2の演算手段で求めた蒸気温度変化率と前
    記第3の演算手段で求めたタービン動翼の熱応力の数値
    の組を格納する第1の記憶装置と、予め設定もしくはそ
    の都度指令される前記タービン動翼の熱応力制限信号を
    入力し、前記第1の記憶装置に格納したタービン動翼の
    熱応力の数値の組を用いて前記第1の演算手段へ与える
    前記タービン装置の翼列入口の蒸気温度変化率制限値を
    算出する第4の演算手段を有することを特徴とするボイ
    ラ運転支援装置。
  4. 【請求項4】請求項(3)記載において、前記第3の演
    算手段で求めた前記タービン動翼の熱応力値を入力し、
    前記タービン動翼の寿命消費量を算出する第6の演算手
    段と、前記第3の演算手段で求めた熱応力ピーク値と前
    記第6の演算手段で求めた寿命消費量の数値の組を格納
    する第2の記憶装置と、前記タービン動翼の一回の起
    動、停止または負荷変化に際して許容する寿命消費量設
    定値を入力し、前記第4の演算手段へ与える前記タービ
    ン動翼の熱応力ピーク制限値を算出する第5の演算手段
    を有することを特徴とするボイラ運転支援装置。
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