JP2964964B2 - 液晶表示装置の製造方法 - Google Patents

液晶表示装置の製造方法

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JP2964964B2 JP29654796A JP29654796A JP2964964B2 JP 2964964 B2 JP2964964 B2 JP 2964964B2 JP 29654796 A JP29654796 A JP 29654796A JP 29654796 A JP29654796 A JP 29654796A JP 2964964 B2 JP2964964 B2 JP 2964964B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電層・絶縁層・
導電層構造の非線形抵抗素子である、2端子素子(MI
M)を用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在液晶ディスプレイの画像表示方法に
は大別して単純マトリクス方式とアクティブマトリック
ス方式がある。単純マトリックス方式は互いにその方向
が直角をなすように設けられた2組の帯状電極群間に液
晶をはさんだもので、これらの帯状電極にそれぞれ駆動
回路が接続される。この方式は構造が簡単なため低価格
のシステムが実現できるがクロストークによりコントラ
ストが低いという問題がある。これに比較してアクティ
ブマトリックス方式は各画素ごとにスイッチを設け電圧
を保持するもので時分割駆動しても選択時の電圧を維持
できるので表示容量を増やせ、コントラストなど画質に
関する特性が良い半面、構造が複雑で製造コストが高い
ことが欠点である。たとえばTFT(Thin Film Transi
stor)は5枚以上のフォトマスクを使って5〜6層の薄
膜を重ねるため、歩留りを上げることが難しい。そこ
で、アクティブ素子のなかでも歩留りが上げられる、低
製造コストの2端子素子が注目されている。代表的な2
端子素子はMIM(メタル・インシュレーター・メタ
ル)である。その一般的な材料、構造を図2、図3に示
す。それぞれ素子上面図、素子断面図である。従来、素
子絶縁膜には下電極を陽極酸化したTaOxを用いてい
たが、その比誘電率が30程度であるため、一般的な素
子大きさ5μm×4μm、陽極酸化膜厚が600Åの条
件では素子キャパシタンスが0.1pFにもなってしま
い、1画素分の液晶キャパシタンスの1/2以上と大き
なものとなっていた。
【0003】しかし、これでは液晶パネルに電圧を印加
した際、液晶と素子の容量比が2以下(通常1.6程
度)であるためMIM素子に十分に電圧がかからず、ス
イッチング特性が悪くなるという問題点を有していた。
この問題点を解決する検討も以下のように実施されてき
た。
【0004】素子の更なる微細化検討:例えば3μm
×3μm素子の検討。
【0005】絶縁膜厚の増大検討:例えば陽極酸化絶
縁膜を1000Åとする検討。
【0006】しかし、については、素子基板の製造歩
留りが極端に低下してしまった。また、は、素子容量
を低下させることはできたが素子の電流−電圧特性(I
−V特性)の非直線係数(β値)が悪くなり効果として
は小さかった。
【0007】また、従来、素子のI−V特性の非直線係
数(β値)は常温のβでも3.4以下であり、60℃と
もなれば2.5程度にまで減少してしまう。かつ低電圧
域でのMIM素子抵抗は低く、常温でR(3V)が1×
1011Ω程度、60℃では5×109Ω程度と小さかっ
た。
【0008】更に、ごく最近はTFTも画素分割等の冗
長設計をする様になり、製造歩留りが上がってきた。し
かし、MIMは前述した素子キャパシタンスの理由によ
り画素分割はできずにいる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上の様に素子静電容
量、β値、低電圧域での素子抵抗、それらの温度特性に
より、現在まで依然MIMパネルの表示品質はTFTパ
ネルより劣るという課題を有している。更に、冗長設計
により製造歩留りの上がってきたTFTパネルと製造コ
ストが変わらなくなってきたという課題も有する。
【0010】そこで本発明はこのような課題を解決する
ものであって、その目的とするところは、アクティブマ
トリックス方式の中での2端子素子本来の特徴である低
コスト、高製造歩留りに付け加えてTFT並み、もしく
はそれ以上の画質を得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置の
製造方法は、基板上に、複数の電極と、マトリックス状
に形成された画素電極と、前記電極及び前記画素電極に
電気的に接続された第1導電層−絶縁層−第2導電層構
造の非線形抵抗素子とが形成されてなる液晶表示装置の
製造方法において、基板上に、第1の不純物が添加され
た下地絶縁膜を形成する第1の工程と、前記下地絶縁膜
上に、第2の不純物が添加された導電性材料により前記
第1導電層を形成する第2の工程と、前記第1導電層の
表面を酸化することにより前記絶縁層を形成する第3の
工程と、前記絶縁層上に前記第2導電層を形成する第4
の工程と、を有することを特徴とする。また、本発明に
おいては、前記第2の工程は、前記第2の不純物の濃度
が調整された混合ガスをスパッタチャンバー内に導入し
ながら前記基板上に前記導電性材料をスパッタする工程
と、前記基板上にスパッタされた前記第2の不純物が添
加された前記導電性材料からなる層をフォトエッチング
して前記第1導電層を形成する工程と、を有することを
特徴とする。さらに、本発明においては、前記基板にR
Fバイアスを印加しながら前記導電性材料をスパッタす
ることを特徴とする。さらには、本発明においては、前
記第2の工程は、前記第2の不純物が添加された前記導
電性材料のターゲットを用いてスパッタを行う工程と、
前記基板上にスパッタされた前記第2の不純物が添加さ
れた前記導電性材料からなる層をフォトエッチングして
前記第1導電層を形成する工程と、を有することを特徴
とする。また、本発明において、前記ターゲット中の前
記第2の不純物の濃度が5〜50at%であることを特
徴とする。さらに、上記の本発明においては、前記基板
にRFバイアスを印加しながら前記スパッタを行うこと
を特徴とする。
【0012】
【0013】素子インシュレーター(絶縁層)に添加す
る他元素(不純物)はインシュレーターの比誘電率を下
げ、β値、β値の温度特性、R(3V)等の素子特性を
改善できるものであればなんでも良い。ただし、特にそ
の効果の大きいBe,B,C,N,Mg,Al,Si,
S,Ca,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,
Zn,Sr,Y,Cd,Sn,Ba,Pb,La,C
e,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Luが好ましい。特に、現在、下電極は、C
4+O2のケミカルドライエッチングにてパターニング
することができるため、同時にエッチングできるBe,
C,N,Mg,Al,Si,Crが特に好ましい。
【0014】インシュレーターに添加する酸化物、チッ
化物、酸チッ化物は、インシュレーターの比誘電率を下
げ、β値、β値の温度特性、R(3V)等の素子特性を
改善するものであれば何でも良い。ただし、特に、その
効果の大きいBe,Mg,Al,Si,Cr,Mn,F
e,Co,Ni,Cu,Sr,Y,Sn,Ba,La,
Ce,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Luの酸化物、チッ化物、酸チッ化物が好ま
しい。その中でも、特に、同時にケミカルドライエッチ
ングできるBe,Mg,Al,Si,Crの酸化物、チ
ッ化物、酸チッ化物が好ましい。
【0015】
【0016】下地絶縁膜(図1(b))2は素子の基板
への密着度を向上させ、素子の絶縁破壊電圧を上昇させ
るために用いられる。また、素子インシュレーターに他
元素を添加する場合には、下電極のドライエッチング時
に基板を露出させない効果も重要となる。すなわち、基
板がドライエッチングされるとマイクロクラックが発生
し、水分の吸着が増大し、その結果、素子特性の異常を
ひきおこしやすくなるためである。よって、そのような
効果のある材料であれば何でも良いが、特に効果の大き
いBe,Mg,Sc,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,
Ni,Cu,Sr,Y,Zn,Mo,Sn,Hf,T
a,W,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,
Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luの酸化物、チッ化
物、酸チッ化物が好ましい。更に、素子上電極形成時、
素子端面部の上電極に切れが生ずることがある。これは
素子端面のテーパーが適当でないためで、下地絶縁膜が
下電極エッチング時にエッチングされなかったり、逆に
エッチングされすぎたりすると同じ現象が生ずる。よっ
て、適度にCF4+O2でエッチングされるBe,Mg,
Al,Si,Cr,Taの酸化物、チッ化物、酸チッ化
物が好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】ポジ表示用及びネガ表示用の代表
的なパネル構造をそれぞれ図8、図9に示す。図9の構
成では、液晶に電圧を印加する際、カラーフィルター層
のために電圧降下を起こし、かつカラーフィルター層の
静電容量のため見かけの液晶の静電容量が下がってしま
い、容量比がとれなくなる恐れがある。この理由によ
り、ポジ表示より比較的低電圧駆動で、40程度のコン
トラストを得られるネガ表示を選択することになる。ネ
ガ表示にすれば、パネル構造は簡単であるものの、ポジ
表示に比較してコントラストが低く、色調が悪いという
欠点を持つ。
【0018】一方、ポジ表示は、一般に色調が良く、コ
ントラストも高いが、高いコントラストを得るためには
ネガ表示よりも高い駆動電圧が必要となる。しかし、現
在は、図9の様な効率の悪いパネル構造でポジ表示でき
るようなICが無く、図8の様な電極上付けカラーフィ
ルターを有するパネル構造にせざるを得ない。また、上
記のカラーフィルターを用いてポジ表示を行った場合、
常温においては高い画質が得られるものの、長時間駆動
させると、バックライト等の熱により高温の状態にさら
され、大幅にコントラストが低下するという問題も有し
ていた。しかし、CCF×CLC/〔(CCF+CLC)×C
MIM〕>2、かつインシュレーターの比誘電率εをTa
xの比誘電率未満とすることにより、ポジ表示でも、
低温から高温にかけて高いコントラストを得ることがで
きる様になった。また、ネガ表示でも、コントラストの
向上、温度特性の向上の効果が認められている。
【0019】以下、本発明をより具体的に説明するため
に、実施例を示す。
【0020】(実施例1) 本発明のMIM素子の基本製造工程を図1を用いて説明
する。図1(a)は、加工工程を示すフローチャートで
あり、図1(b)〜(i)は、フローチャートに対応し
たMIM素子の断面図を示している。図1(b)におい
て、基板1の上に下地絶縁膜2を形成する。基板1には
Baホウケイ酸ガラスを用い、下地絶縁膜2としては、
Nが添加されたTaを400Åスパッタした。これを熱
酸化して透明TaOx膜とすることにより下地絶縁膜は
完成する。次に(c)において、下地絶縁膜2の上に、
Nが添加されたTa膜3を3500Åスパッタし、
(d)に示すように、レジスト(図示せず)を所定パタ
ーンに塗布形成した後、CF4+O2ガス中でケミカルド
ライエッチングして下電極の形状3にパターニングす
る。次に、このレジストを除去し、(e)に示すように
クエン酸水溶液中にて陽極酸化し、600Åの絶縁膜、
すなわちインシュレーター4としてTaOxを形成す
る。
【0021】この上に、(f)で示すようにCr5をス
パッタし、(g)で示すようにレジスト(図示せず)を
所定の形に形成した後、エッチングして上電極5を形成
する。そして、レジストを除去することによりMIM素
子は完成する。
【0022】次に、(h)に示すように、ITO6をス
パッタし、(i)に示すように、(g)と同様な加工を
した後エッチングしてCrに接続する画素電極を形成す
る。図2は、図1で示した工程で加工されたMIM素子
の一例を示した平面図であり、図3はそのA−A’断面図
である。
【0023】このようにして作成されたMIM素子を用
いたポジ表示MIMパネルの常温コントラストと素子容
量と画素液晶容量との比の関係を、図4に示す。容量比
は素子面積、インシュレーター膜厚を一定にし、インシ
ュレーターの比誘電率εを下電極Taに添加するN量を
変えて変化させた。
【0024】通常、TaOxの比誘電率εは30程度で
あるが、容量比がとれていないため(前述したように
1.6程度)、コントラストは50〜60程度と低い。
しかし、比誘電率εが低下するに従い、コントラストは
向上し、飽和する。
【0025】ここで、比誘電率εを減少させる手法の安
定性を、図10、図11に示す。図10(1)は、下電
極Taをスパッタする際、任意の濃度に調整されたAr
−N2混合ボンベよりガスをスパッタチャンバー中に導
入してスパッタした場合を示している。図10(3)
は、混合ボンベを用いずArとN2を別々にマスフロー
メーターで流量をコントロールしながらスパッタチャン
バー内に導入、混合してスパッタしている点で(1)と
異なっている。(2)はスパッタガスをArのみとして
いるが、Nが添加されたTaターゲットを使用してい
る。図10よりわかる様に、マスフローメーターによる
スパッタN2濃度の微妙なコントロールは雑しく、再現
性がない。しかし、混合ボンベとN−Taターゲットに
よる方法は係数による補正で比誘電率εの減少度合いが
全く一致し、優れた方法であることがわかる。
【0026】また、Nが添加されていない通常の陽極酸
化TaOxを形成した後、Nプラズマ処理を行うことに
より、NをTaOx中に添加する方法も検討したが、素
子I−V特性の極性差が大きくなってしまうという問題
があった。しかし比誘電率εは下がり、β値も大幅に向
上し、また電極Taの低抗も増大しないという利点もあ
るため、MIM素子を2つ直列に接続するTa/N−T
aOx/Cr/Ta/N−TaOx/Crにより極性差を
キャンセルさせれば特性の良い素子を得られる。
【0027】また、図11におけるSi添加は、Taタ
ーゲット上にSiチップを置くチップオンターゲット法
にてSi添加Taをスパッタし、その後陽極酸化してい
るが、特性は安定している。コントラストが向上する際
の素子特性はβ値に関しては図6、図7より常温でβ+
≧4.0、β-≧3.2(β+は下電極Taをプラスに電
圧印加した場合のβ、β-は下電極Taをマイナスに電
圧印加した場合のβ)、60℃でβ+≧3.5、β-
2.7、R(3V)に関しては、常温で3×1011Ω以
上、60℃で1010Ω以上であった。また、その際の電
極Ta中のN濃度はオージェとエスカで分析したとこ
ろ、5〜45at%、インシュレーターのN濃度は5〜
25at%であり、N濃度がそれ以上である場合には、
更なる画質の改善はあるが、素子特性の不安定性が増大
する。この条件に入れるための前述N添加Taターゲッ
トのN濃度は5〜50at%であった。また、その際の
下電極Taの結晶構造はα−Ta、もしくはα−Ta+
Ta2Nであった。比抵抗は300μΩcm以下であっ
た。更に、インシュレーターの構造にTaOxyの酸チ
ッ化物を有することも、ESCA分析より判明した。N
添加量の少ない領域では、TaOxyも少なく、TaO
が多いが、N添加量が適正で、β値、β値温度特性、R
(3V)の特性が良い領域では、TaOxyのみとな
る。これは、通常の陽極酸化膜中には酸素不足のため可
動のTaイオンが多数存在する(前述TaOがその存在
を示している)が、Nが導入されることで、TaOxy
となり、可動イオンが固着、β値、R(3V)等が改善
されるためと考えられる。
【0028】また、素子I−V特性の極性差が|Log
(I/V)-−Log(I/V)+|≦2でないとフリッ
カが生じたが、素子形成後の熱処理(250℃)により
調整可能であった。
【0029】更に、N添加、Si添加のTaスパッタの
際、基板にRFバイアスを印加すると、基板面内の膜質
(添加量含む)のバラツキが大幅に改善されることが判
明した。バイアスを印加しない時は基板回転中心にN,
Siの添加量が多く、これは、プラズマ密度が基板中心
に高いためであるが、RFバイアスを印加することによ
り基板周辺部のプラズマ密度が上昇するため、面内のバ
ラツキが少なくなると考えられる。
【0030】また、本実施例では、陽極酸化によりイン
シュレーターを形成したが、これは膜質、膜厚の安定性
が良いためである。特に、本実施例の様に異種元素を添
加している場合には、その安定性が生産歩留りに大きく
寄与する。しかし、インシュレーターを、熱酸化、もし
くはリアクティブスパッタにより形成すれば、完全ドラ
イ製造プロセスが可能となり、インライン化による大幅
な製造スループット向上が期待できる。
【0031】また、本実施例では、Nのプラズマ処理を
除き、下電極Taにも異元素が添加されてしまい、配線
抵抗の増大をひきおこす。そこで、インシュレーターに
なる部分以外を成膜する際、微量のNをスパッタ雰囲気
中に添加してスパッタすることにより、α−Taとする
ことで抵抗を下げる手法を検討したところ、20インチ
以上の大型化が可能になった。
【0032】また、本実施例ではポジ表示を用いたがこ
れはカラーフィルター層をSi変成ポリイミドで平担化
し、その上にITO透明導電膜を形成した電極上付けカ
ラーフィルターを採用することで可能になっている。た
だし、基板上にITO配線し、その上にミセル電解法に
て顔料を成膜する手法を用いれば、顔料は比誘電率εが
低く、顔料間のスキ間の存在により液晶印加電圧の低下
も大きくないため、容易な電極下付け構成で、ポジ表示
が可能となる。コントラストは電極上付けカラーフィル
ターと全く同様であった。
【0033】またポジ表示でなくてもコントラスト及び
コントラストの温度特性の改良はされることが判明して
いる。
【0034】(実施例2) インシュレーターにNが添加されているMIM素子は、
下地のTaOx膜Nが添加されていないか、添加量が少
ない時、図13(2)に示す様に、異常なI−V特性を
示す。しかし、ある程度以上のNを下地に添加すると、
図12に示す様に、素子I−V特性が正常(図13
(1))にもどる。また、リアクティブ下地膜(図13
(1))より、熱酸化下地膜(図13(2))の方が、
少量のN添加で正常な素子を得られることより、エッチ
ングレートが大きいと下電極Taをドライエッチングす
る際に基板までエッチングしてしまい、基板にマイクロ
クラックを発生せしめ、前述インシュレーターの凹凸部
に加え、水分の吸着を増大させ、素子特性を異常にする
と考えられる。更に、N添加のインシュレーター表面も
凹凸が増大し、水分の吸着が増えていると考えられる。
よって、より多くの水分の吸着を防ぐため、下地がエッ
チング除去され基板が露出しない様なドライエッチング
技術が重要であり、かつ、パネルセル内の水分量管理も
大切である。セル内水分量とN添加MIM素子特性の関
係を、図14に示す。この図によれば、セル内水分が1
00ppm以下であれば素子特性が安定化することがわ
かる。また、前述したAl,Si,Cr,Be,Mgの
酸化物、チッ化物、酸チッ化物の下地絶縁膜も、適量の
Nが添加されたTaOx下地絶縁膜と同様、良好であっ
た。
【0035】更に、素子インシュレーターTaOx中の
N濃度は、エリプソメーターによる屈折率、分光光度計
による反射率評価により絶対量を知ることができる。こ
の様子を図15に示す。これにより製造条件の変動を即
座にスパッタにフィードバックでき、製造歩留り向上に
大いに役立つ。また、TaOxへのN添加だけでなく、
他の絶縁膜中の他元素濃度も同じ方法で管理できる. (実施例3) 本発明の第3実施例を図16に示す。下電極Taをスパ
ッタする際、通常Arの雰囲気を用いるが、それにN2
を12%混合させると、陽極酸化した素子絶縁膜の比誘
電率が、これを混合しないものと比較して半減する。こ
れは、TaOx膜にNが導入されてTaOxyが増加、
もしくはTaOxyのみとなったためであると考えられ
る。
【0036】次に、12%N2−Ar雰囲気を用いてT
aをスパッタしたNドープMIM素子を、図16の様に
作成した。素子キャパシタンスが従来の素子の1/2で
あるため、画素を2分割し、冗長性を持たせている。こ
のMIM基板を用いてネガ表示液晶パネルを組み、光学
特性を調べたところ、従来よりパネルコントラストが2
〜3割増加していた。これは、Nドープによる素子キャ
パシタンスの減少に加えて、素子I−V特性の非直線性
を示すβ値(I∝Vexp(β√V))も20%ほど増
加しているためと思われる。また、パネル点灯時、点欠
陥を調査したところ、その存在は認められるが実用上問
題のないレベルであり、100パネル中の歩留りは98
%であった。これは分割された画素が両方とも欠陥にな
ることが確率的に非常に小さいためであり、片側が欠陥
となっても、もう片側が正常であれば欠陥として認識し
づらいためである。また、素子へのNドープ量を増や
し、素子キャパシタンスを更に下げて画素分割数を4以
上にすることも可能であり、そのようにすれば欠陥は全
く認められなくなった。
【0037】次に、N添加の代わりにTaターゲット上
に必要数Siチップを置いて、素子キャパシタンスを1
/2にしたMIM素子を図16の様に作成した。素子キ
ャパシタンスが従来の素子の1/2であるため、画素も
2分割して冗長性を持たせている。このMIM基板を用
いてネガ表示液晶パネルを組み、光学特性を調べたとこ
ろ、従来の画素分割しない通常のMIMパネルとコント
ラストは全く同じであった。これは、素子と液晶の容量
比が一定に保たれており、かつSi添加による素子I−
V特性の変化もないためと考えられる。また、パネル点
灯時に点欠陥を調査したところ、存在は認められるが実
用上問題のないレベルであり、100パネル中の歩留り
は98%であった。これは、分割された画素が両方とも
欠陥になることが確率的に非常に小さいためであり、片
側が欠陥となっても、もう片側が正常であれば、欠陥と
して認識しづらいためである。ただ、素子へのSi添加
量を増やし、素子キャパシタンスを更に下げて、画素分
割数を4以上にすることも可能であり、そのようにすれ
ば欠陥は全く認められなくなった. (実施例4) 本発明第4の実施例の基本製造プロセスを第1図を用い
て説明する。Baホウケイ酸ガラス基板上にTa膜をチ
ッ素を含む雰囲気中で400Åリアクティブスパッタし
たのち、前記Ta膜を500℃大気中で熱酸化して、下
地絶縁膜を形成した。
【0038】次に、前記下地絶縁膜上にTa膜をチッ素
を含む寡囲気中で3500Åリアクティブスパッタして
形成されたTa膜を、CF4+O2ケミカルドライエッチ
ングでパターンエッチングして下電極とした。
【0039】次に、パターンエッチングしたTa膜を1
%クエン酸溶液中で陽極酸化して、600Åの絶縁膜
(インシュレーター)を形成した後、形成された絶縁膜
上にCrを1500Å成膜、パターンエッチングして上
電極とし、MIM素子を形成した。
【0040】次に、ITOを成膜し、前記ITOをエッ
ツチングして画素電極とした。この時、下電極Taに添
加するN量を、スパッタ雰囲気中のN2濃度を変えるこ
とにより変化させ、MIM素子インシュレーターの比誘
電率を30以下で変動させた。
【0041】次に、このMIM素子基板と電極上付けカ
ラーフィルター基板とを組み合わせ、ポジ表示用のパネ
ルを作成した。そのパネルコントラストとMIM素子と
画素液晶との容量比との関係を図4に示す。この時の下
電極Taの結晶構造、比抵抗もあわせて示している。
又、図5には比誘電率εを変えた時のコントラストの温
度特性、図6には比誘電率εを変えた時のβ値の温度特
性、図7には比誘電率εを変えた時のR(3V)(3V
印加時の素子低抗)の温度特性を示している。
【0042】図5よりわかる様に、比誘電率εが22以
下であると、600℃でもコントラスト85を確保でき
る。TFTパネルのコントラストは、一般に100以上
であるが、人間の目では70〜80以上のコントラスト
は明確に識別できないため、22以下であればTFT並
みのコントラストを得ることができる。また、比誘電率
ε=26について、β値、R(3V)は良い値であるの
に、60℃のパネルコントラストが悪いのは、容量比が
1.9と小さいためであると考えられる。ただ、比誘電
率ε=23でもコントラストが非常に良くなっており、
これはR(3V)、β値の温度特性が良いためと考えら
れるが、徳田製作所50Bスパッタ装置でスパッタした
際のみのデータであり、同社4ES、日電アネルバ53
0Hでは、比誘電率ε≦22がTFT並みのコントラス
トを得る条件であった。
【0043】以上より、比誘電率ε≦22、かつ容量比
が2より大きい時に、TFT並みのコントラストが得ら
れると考えられる。しかし、それを満足しなくても(例
えば22<ε<εTaOx)、コントラスト向上の効果は十
分にある。比誘電率ε≦10であれば、画素2分割の冗
長設計が可能になる。その上、分割画素と素子との容量
比を2より大きく確保できるため、TFT並みのコント
ラストも得られる。又は、従来のMIMパネル並みのコ
ントラストであれば、50000画素の1インチパネル
が得られ、ビューファインダー等の従来不可能であった
応用も可能である。
【0044】(実施例5) ガラス基板(コーニング社製7059Baホウケイ酸ガ
ラス)を洗浄し、次にTaをN2を含む雰囲気中でスパ
ッタした。次に熱酸化して下地絶縁膜とした。その下地
絶縁膜として、更にTaを成膜した。そのスパッタ条件
は、ガス圧1.5×10-2Torr、パワー1.5kW
で実施した。この時のスパッタガスは、Ar+N2とし
た。N2、Arのガス分圧は、それぞれ3%、及び、9
7%とした。この時の膜厚は2500Åとした。さらに
同一チャンバー内でN2ガス分圧を10%、Arガス分
圧を90%とし、連続的にTa膜を500Åスパッタし
た。次に、Taを所定の寸法にフォトリソグラフィー・
エッチング技術を用い、パターニングした。エッチング
特性は特に変化せず、CF460%+O240%の混合ガ
スで何ら問題なくエッチングが可能であった。
【0045】次に、1%クエン酸を用い、陽極酸化法に
て酸化膜を形成した。正確に表現すれば、Taスパッタ
膜の表面500Åは、Taチッ化膜が存在しているた
め、酸チッ化膜の複合絶縁膜となっていると思われる。
【0046】次に、Crをスパッタリングした。Ar圧
は2×10-2Torr、パワーは2kWとした。厚みは
1500Åとした。周知のフォトリソグラフィー技術を
用い、エッチングによりCrを所定の寸法にパターニン
グした。さらに、画素電極として、ITOをスパッタリ
ングで形成し、フォトリソグラフィーで所定の寸法にパ
ターニングした。厚みは1000Åとした。
【0047】電極の比低抗を測定したところ1.0×1
-4Ω・cmであり、通常のものと比較して50%〜1
0%程度抵抗が低くなっていることが分る。
【0048】以上のようにして作成したMIM基板を用
いてパネルを組み立て、画質を確認したところ、画像に
いわゆるシミ・ムラがなく鮮明な画質となった。またT
a電極がTaNとなっているパネルは、外部電源の接続
端子からの距離が近いところと遠いところとでの画質の
差があり、ムラになっていたことと比較して、本実施例
の有効性が確認出来る。
【0049】また、Ta電極がどの様な結晶構造になっ
ているか、上述のスパッタ条件でスパッタし、結晶構造
をX線回折にて確認した。X線回折のピークは、α−T
aのピークだけであった。
【0050】(実施例6) コーニング社製7059Baホウケイ酸ガラスに、スパ
ッタ装置を用いて下電極用Ta膜を成膜した。
【0051】スパッタガスはAr(アルゴン)とN
2(窒素)ガスを用いた。トータルのガス圧は2×10
-2Torrとし、N2ガスをそれぞれ分圧で0%、2
%、5%、10%、15%、20%、25%、28%と
した。加熱は180℃一定とした。スパッタ膜厚は、全
て2800Åになる様に時間でコントロールした。ま
た、スパッタパワーは1.5kWとした。
【0052】次に、Taを既知のフォトリソグラフィ
ー、エッチング技術を用い、所定寸法にパターニングし
た。エッチングはケミカルドライエッチング装置を用
い、CF460%+O240%の混合ガスで行なったが、
何ら問題なくエッチングが可能であった。
【0053】次に、1%クエン酸を用い、陽極酸化法に
て酸化膜を形成した。これが、MIM素子のインシュレ
ーターである絶縁膜となる。この絶縁膜は、正確にはN
を含む膜であるため、酸チッ化膜となっている。この酸
チッ化膜のチッ素をイオンマイクロアナライザー(IM
A)、光電子分析装置(XPS)、オージェ分析装置
(AES)で分析したところ、表1に示す含有量となっ
ていた。
【0054】
【表1】
【0055】また、この酸チッ化膜は600Åとした。
次にCrをスパッタリングした。Ar圧は2×10-2
orr、パワーは2kWとした。厚みは1500Åとし
た。周知のフォトリソグラフィーを用い、エッチングで
Crを所定の寸法にパターニングした。さらに画素電極
として、ITO(Indium Tin Oxide)をスパックリング
で形成し、フォトリソグラフィーで所定の寸法にパター
ニングした。厚みは1000Åとした。なお、MIM素
子の寸法は、5μm×4μmとした。
【0056】表1にそれぞれのキャパシタンス、電圧1
0Vの時のMIM素子の抵抗を示す。キャパシタンスは
10kHzの時の値であり、LCRメーターを用いて測
定した。さらに、このMIM基板を用いて、ネガ表示パ
ネルを組み立て、コントラスト比を測定した結果も表1
に示す。
【0057】表1に示す通り、N2量が5at%よりも
低いMIMパネルは、コントラスト比が十分でない。ま
た、Nが25at%以上のMIMパネルは素子の抵抗が
高く、N添加Taの比抵抗が300μΩ・cm以上ある
ためと思われるが、コントラストが十分でない。駆動電
圧を上げれば、コントラストは高くなるが、特別なIC
の製造や駆動回路の変更等、問題がある。
【0058】表1から明らかな様に、N2量が5at%
〜25at%含有したMIMパネルはコントラストが高
くなったことが分る。
【0059】(実施例7) コーニング社製7059Baホウケイ酸ガラスにNをそ
れぞれ0at%、3at%、5at%、10at%、2
0at%、30at%、40at%、50at%、55
at%、60at%を含有するTaターゲットを用い、
スパッタリングした。Arガス圧は2×10-2Tor
r、基板加熱は180℃、スパッタパワーは1.5kW
で実施した。この下電極になるTa膜をX線回析により
結晶構造を調査した。
【0060】その結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】表2に示す如く、Taターゲット中のNが
10at%〜50at%の場合には結晶構造が安定して
いることが分る。
【0063】次に、該Ta膜を従来から知られているフ
ォトリソグラフィー・エッチングにより所定の寸法に形
成し、1%クエン酸溶液で陽極酸化した。これらは0a
t%NのTaターゲットから作成したものを除き、XP
S分析により、インシュレーターがTaの酸チッ化物を
含んでいることを確認した。厚さはIMAでエッチング
しながら0のピークを追っていき、約600Åであるこ
とを確認した。
【0064】次に、従来と同様、Crをスパッタし、フ
ォトリソグラフィー・エッチングにより所定の寸法に形
成し、さらに画素電極としてITOを形成した。そし
て、キャパシタンスをLCRメータを用いて測定した。
また、上述のTa膜の比抵抗を四端子測定法にて測定し
た結果を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】この時のMIM素子寸法は5μm×4μ
m、インシュレーター厚さは600Åである。
【0067】本基板を用い、液晶パネル完成体とした。
比較として、マスフローにてN2とArの分圧をコント
ロールしたAr+N2雰囲気中でTaをスパッタし、陽
極酸化して得たMIMパネルの画質を調べた。
【0068】まず、Nが0〜3at%のパネルは、コン
トラスト比が1:30であり、Nが5at%〜50at
%を含有するTaターゲットを用いたものは、それぞれ
1:50、1:70、1:75、1:80、1:90、
1:95であった。Nを55at%、60at%含有す
るTaターゲットを用いたものは、コントラストが1:
80、及び、1:50であった。さらに、Ar+N2
でのTaスパッタのパネルは、コントラストが1:10
0であったが、画面全体ではムラ・シミが生じていた。
つまり、素子特性のバラツキがあり、一様な素子状態に
なっていなかったものと推測される。
【0069】また、Nを55at%、60at%含有し
たTaターゲットを用いたパネルは、外部電源の接続端
子からの距離が近いところと遠いところでの画質の差が
あり、ムラを生じていた。これは、比抵抗30μΩ・c
m以上と高く、遠いところの画素には電圧降下により充
分な電圧がかからなかったためであると推測される。 (実施例8) コーニング社製7059Baホウケイ酸ガラスを80℃
の熱硫酸で洗浄し、さらに水洗した。この基板(数量8
0枚)にスパッタリング装置を用い、Arガス圧1.8
×10-2Torr+N2ガス圧2×10-3TorrでT
a膜スパッタした。厚みは500Åとした。X線回析で
確認したところ、TaN,Ta2N等が確認された。
【0070】次に、430℃×4時間、大気中にて熱酸
化した。炉より取り出したガラス基板は透明になってお
り、透過率は90%であり、全く問題ない透明度を有し
ている。光電子分析装置(XPS)で分析したところ、
O,N,Taが検出され、Taの酸チッ化膜が形成され
たことを確認した。
【0071】次に、下電極用のTaをN2を含む雰囲気
中でスパッタリングし、フォトリソグラフィー・エッチ
ングで所定の寸法に加工する。エッチングは徳田製作所
のCDE装置(ドライエッチング装置)を用い、CF4
60%+O240%の分圧にしたガスを、流量350S
CCMにコントロールし、実施した。
【0072】エッチングした基板を上述のXPSで面内
のN及びTaの分布を確認したところ、一様に下地膜形
成時と同様のN,Taが確認され、下地膜のTa酸チッ
化膜が全て残っていることが分った。Nが添加されない
Ta酸化膜の下地膜では、Taが一様には確認されな
く、下地の残っている箇所と下地がなくなっている箇所
が存在していた。
【0073】次に、パターニングしたTaを1%クエン
酸を用い、陽極酸化法によるMIMのインシュレータで
ある絶縁膜を作成した。酸化膜の厚みはエリプソメータ
ーで測定したところ約500Åであった。
【0074】次に、従来と同様にCr膜をスパッタし
た。厚みは1500Åとした。このCrを所定の寸法に
レジストでバターニングし、諸星インク製MPM−E3
0を用いてエッチングした。次に、画素電極のITOを
スパックタリングで形成し、フォトリソグラフィーを用
いて硝酸20%、塩酸20%の水溶液で所定の寸法にエ
ッチングした。
【0075】本実施例のMIM素子部の電流−電圧特性
を測定したところ、β値(6V〜8V間での電流値の傾
き)は基板間で4.2〜4.5のバラツキ内におさまっ
ていた。
【0076】また、Crのテーパー部での切れ断線は、
一箇所もなく、Cr切れでの歩留り落ちはなかった。
【0077】(実施例9) コーニング社製7059Baホウケイ酸ガラスを80℃
の熱硫酸で洗浄した。この基板をスパッタリング装置を
使用して、15%N2−Ar雰囲気中でTa膜をスパッ
タ形成した。このTa膜をX線回折したところ、Ta
(α構造)、及び、Ta2Nからなっていた。通常のT
a膜はβ構造のTaである。比抵抗を測定したところ、
本発明による下電極は2.2×10-4Ω・cm、β構造
の下部電極は2.1×10-4Ω・cmであった。本発明
の比低抗は、Nが添加されないものとほぼ同一であるこ
とが分る。
【0078】次に、Taを所定の寸法にフォトリソグラ
フィー・エッチング技術を使いパターニングした。Nが
添加されたTaは、CF460%+O240%の混合ガス
で何ら問題なくエッチングすることが可能であった。
【0079】次に、1%クエン酸を用い、陽極酸化法に
て酸化膜(インシュレーター)を形成した。この酸化膜
は、正確にはNが存在しているため、TaのN添加酸化
膜である。アモルファス状態のため、X線回折では構造
が確認出来なかったが、XPS分析により、酸チッ化物
を示すBinding Energy ピークを確認した。その他に、
TaO、及び、TaNのピークも存在していた。
【0080】次に、Crをスパッタリングした。厚みは
1500Åとした。周知のフォトリソグラフィーを用
い、エッチングでCrを所定の寸法にパターニングし
た。さらに、画素電極としてITOをスパッタリングで
形成し、フォトリソグラフィーで所定の寸法にパターニ
ングした。厚みは1000Åとした。
【0081】本実施例のMIM素子のキャパシタンスを
任意の箇所の100点を、LCRメータを用いて測定し
た。この時の素子の面積は、5μm×4μmである。T
a酸チッツ化物の厚みは、エリプソメーターにより60
0Åであることを確認した。その結果、キャパシタンス
は2.7nF/mm2となっており、従来のMIMは
3.8nF/mm2であることから、約2/3に減少し
ていることが分る。
【0082】本パネルを用い、ポジ表示パネルを組み立
てて画質を確認した。コントラスト比を確認したとこ
ろ、1:100となっており、従来の1:60より格段
にコントラストが向上していた。更に、下電極へのN添
加量を変えたところ、インシュレーターの構造がTa酸
チッ化物のみとなり、その時の素子特性βは5と非常に
高く、かつパネルコントラストも150:1であった。
【0083】また、下電極がTaチッ化物(Ta2N)
のみのパネルも作成し、画質を調べた。このパネルは、
外部電源の接続端子からの距離が近いところと遠いとこ
ろでの画質の差があり、ムラが生じていた。
【0084】(実施例10) コーニング社製7059Baホウケイ酸ガラスを80℃
の熱硫酸で洗浄した。この基板上に、スパッタリング装
置を使用してArガス圧1.5×10-2Torr、パワ
ー1.5kWでTa膜を280Å形成した。
【0085】次に、Taを所定の寸法に周知のフォトリ
ソグラフィ・エッチング技術を使いてパターニングし
た。素子部の寸法は5μmとした。
【0086】次に、1%クエン酸を用い、陽極酸化法に
て酸化膜を形成した。初期電圧は32Vとした。この酸
化膜の厚みはエリプソメータで確認したところ500Å
のであった。
【0087】次に、このようにして陽極酸化を施した基
板を、プラズマエッチング装置(日電アネルバ製DEM
451)に装入し、N2ガスを2×10-2Torrのガ
ス圧でプラズマ処理を実施した。パワーはRFで500
Wとした。該基板を光電子分析装置を用いて分析したと
ころ、TaO、及び、TaNのピークとTa酸チッ化物
のピークが確認され、この膜がN添加Ta酸化膜となっ
ていることが証明された。
【0088】次に、Crをスパッタリングした。Ar圧
は2×10-2Torr、パワーは2kWとした。厚みは
1500Åとした。周知のフォトリソグラフィーを用
い、エッチングでCrを所定の寸法(MIMの箇所の寸
法は4μm)にパターニングした。さらに、画素電極と
して、ITOをスパッタリングで形成し、フォトリソグ
ラフィーで所定の寸法にパターニングした。厚みは10
00Åとした。
【0089】このMIM素子基板の任意の100箇所の
電流−電圧特性を確認したところ、電圧10Vの印加電
圧で流れる電流は2×10-10Aから3.5×10-10
となっていた。通常のTaをマスフローメーターにてそ
れぞれ流量管理したArガス+N2ガス中でスパッタリ
ングし、陽極酸化法にて作成した素子の電流−電圧特性
が5×10-9Aから1×10-11Aとばらついていたの
と比較し、本実施例の素子のばらつきは非常に小さいこ
とが分る。更に、β値が非常に高く良好であった(β=
9)。ただ、I−V特性の極性差が存在していたため2
つのMIM素子を直列に接続し、極性差をキャンセルさ
せた。
【0090】また、素子のキャパシタンスも2.5〜
2.7nF/mm2となっており、マスフロー管理のA
r+N2ガスを用い、陽極酸化法にて得た酸チッ化物の
キャパシタンスが1.7〜3.7nF/mm2のバラツ
キを持っていることを考えると、素子特性が安定してい
ることが分る。
【0091】該パネルを用い、パネルを組み立て、画質
を確認したところ、いわゆる画質のシミ、ムラがなく、
鮮明な画質となった。また、下電極をArとN2ガスで
スパッタしたパネルは、外部電源の接続端子からの距離
が近いところと遠いところでの画質の差があり、ムラに
なっていたことと比較して、本実施例の有効性が確認で
きる。ただ、大型基板(たとえば300mm2)ではプ
ラズマ密度のバラツキによるものと思われる素子特性の
バラツキが発生した。
【0092】
【発明の効果】以上述べた様に、本発明の製造方法によ
れば、従来TFT液晶ディスプレイより劣っていたMI
Mディスプレイの画質を大幅にアップさせ、TFTと同
等、もしくはそれ以上にまでさせることができた。ま
た、画素分割の冗長設計で製造歩留りを大幅にアップさ
せ、最近TFTと製造コストに大差なかったのを再び拡
大させ、2端子素子本来の製造歩留りを達成することが
できた。また、従来不可能とされていた1インチ程度の
小型ディスプレイの製造をも可能となった。更に、下電
極の結晶構造を制御することにより、60μΩ・cmの
低抵抗を実現し、20インチ以上の大型ディスプレイの
可能性を拡大させた。本来、MIMは大型ディスプレイ
に適していると考えられていたが、冗長設計や配線の抵
抗化、インシュレーターの膜質のタイムリーなスパッタ
条件へのフィードバック等の達成により初めて可能とな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本製造プロセスを示すプロセス
図、及び、それに対応した基板断面図。
【図2】 MIM素子の上面図。
【図3】 図2のA−A’断面図。
【図4】 液晶静電容量と素子容量の比とパネルコント
ラストとの関係図、及び、容量比に対応した下電極Ta
の結晶構造と比抵抗を示す図。
【図5】 インシュレーターの比誘電率εとコントラス
トの温度特性との関係を示す図。
【図6】 素子β値の温度特性とインシュレーターの比
誘電率εとの関係を示す図。
【図7】 3V印加時の素子抵抗の温度特性とインシュ
レーターの比誘電率εとの関係を示す図。
【図8】 電極上付けカラーフィルターを用いたパネル
構造図。
【図9】 電極下付けカラーフィルターを用いたパネル
構成図。
【図10】 各種インシュレーターヘのN添加方法と比
誘電率εの安定性との関係を示す図であり、(1)は任
意の濃度に調整されたAr−N2混合ガスを使用したも
の、(2)はN添加Taターゲットを使用したもの、
(3)はマスフローメーターにてArとN2とを別々に
スパッタチャンバー内に導入したものである。
【図11】 インシュレーターヘのSi添加量と比誘電
率εとの関係を示す図。
【図12】 下地絶縁膜TaOxへのN添加量と下地絶
縁膜のエッチングレート、及び、素子特性を示す図であ
り、(1)はリアクティブスパッタにより形成した下
地、(2)は熱酸化により形成した下地を示す。
【図13】 安定した素子特性と不安定な素子特性を示
す図。
【図14】 液晶パネルセル内の水分濃度と素子のI−
V特性を示す図。
【図15】 TaOx膜中のN濃度とTaOx膜屈折率、
TaOx膜反射率の関係を示す図。
【図16】 素子容量を通常素子の1/2とし、画素分
割の冗長設計を行なった例を示すMIM上面図。
【符号の説明】
1 ・・・ 基板 2 ・・・ 下地絶縁膜 3 ・・・ 下電極 4 ・・・ インシュレーター 5 ・・・ 上電極 6 ・・・ 画素電極 6’・・・ 従来の画素電極形状 6”・・・ 分割画素 7 ・・・ MIM素子 8 ・・・ カラーフィルター層 9 ・・・ 平坦化用中間膜 10・・・ ITO透明電極 11・・・ 液晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平1−100685 (32)優先日 平1(1989)4月20日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1−103719 (32)優先日 平1(1989)4月24日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1−105043 (32)優先日 平1(1989)4月25日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1−105044 (32)優先日 平1(1989)4月25日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1−105045 (32)優先日 平1(1989)4月25日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1−105046 (32)優先日 平1(1989)4月25日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1−106428 (32)優先日 平1(1989)4月26日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平1−115572 (32)優先日 平1(1989)5月9日 (33)優先権主張国 日本(JP) 前置審査 (56)参考文献 特開 昭57−118601(JP,A) 特開 昭58−34428(JP,A) 特開 昭61−151682(JP,A) 特開 昭64−40929(JP,A) 特開 昭61−90192(JP,A) 特開 昭61−174510(JP,A) 特開 昭61−174589(JP,A) 特開 昭61−174590(JP,A) 特開 平2−93433(JP,A) 特開 昭63−241164(JP,A) 特開 昭63−175304(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/136 510

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、複数の電極と、マトリックス
    状に形成された画素電極と、前記電極及び前記画素電極
    に電気的に接続された第1導電層−絶縁層−第2導電層
    構造の非線形抵抗素子とが形成されてなる液晶表示装置
    の製造方法において、 基板上に、第1の不純物が添加された下地絶縁膜を形成
    する第1の工程と、 前記下地絶縁膜上に、第2の不純物が添加された導電性
    材料により前記第1導電層を形成する第2の工程と、 前記第1導電層の表面を酸化することにより前記絶縁層
    を形成する第3の工程と、 前記絶縁層上に前記第2導電層を形成する第4の工程
    と、を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記第2の工程は、前記第2の不純物の濃度が調整され
    た混合ガスをスパッタチャンバー内に導入しながら前記
    基板上に前記導電性材料をスパッタする工程と、 前記基板上にスパッタされた前記第2の不純物が添加さ
    れた前記導電性材料からなる層をフォトエッチングして
    前記第1導電層を形成する工程と、を有することを特徴
    とする液晶表示装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 前記基板にRFバイアスを印加しながら前記導電性材料
    をスパッタすることを特徴とする液晶表示装置の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 前記第2の工程は、前記第2の不純物が添加された前記
    導電性材料のターゲットを用いてスパッタを行う工程
    と、 前記基板上にスパッタされた前記第2の不純物が添加さ
    れた前記導電性材料からなる層をフォトエッチングして
    前記第1導電層を形成する工程と、を有することを特徴
    とする液晶表示装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4において、 前記ターゲット中の前記第2の不純物の濃度が5〜50
    at%であることを特徴とする液晶表示装置の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項4または5において、 前記基板にRFバイアスを印加しながら前記スパッタを
    行うことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
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