JP2964352B2 - 抗hiv剤 - Google Patents

抗hiv剤

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JP2964352B2
JP2964352B2 JP2503019A JP50301990A JP2964352B2 JP 2964352 B2 JP2964352 B2 JP 2964352B2 JP 2503019 A JP2503019 A JP 2503019A JP 50301990 A JP50301990 A JP 50301990A JP 2964352 B2 JP2964352 B2 JP 2964352B2
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洪郎 星野
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、ヒト免疫不全症ウィルス(本明細書におい
て「HIV」という)に効力を示す新規な抗HIV剤に関す
る。
背景技術 後天性免疫不全症候群〔Acquired Immune Deficiency
Syndrome;AIDS〕はHIV〔Human Immunodeficiency Viru
s;Nature,321,10(1986)〕の感染によって引き起こさ
れる重篤な免疫不全症であり、その死亡率が非常に高い
ことから、かかるHIV感染及びAIDSに対する対策は大き
な社会課題とさえなっている。
現在臨床的に効果があると認められている抗HIV剤と
しては、逆転写酵素の阻害作用を有するアジドチミジン
(AZT)が知られている。
しかし、抗HIV剤として使用されているアジドチミジ
ン(AZT)の臨床的効果は決して満足できるものでな
く、更に、これによる副作用、例えば骨髄(造血組織)
の障害や頭痛、痙攣等の神経症状等の副作用が強いとい
う問題を抱えている。特に、HIVは、その遺伝子がプロ
ウィルスとなって感染した細胞の染色体に潜り込み遺伝
病のような状態になっていることから必然的に薬剤の長
期投与が要求されており、AZTの有するかかる副作用
は、これを抗HIV剤として用いる場合の大きな障害とな
っている。
かかる現状からHIV感染及びAIDSに対して奏効する副
作用が少なく、且つ長期投与できる新しい医薬製剤の開
発が待ち望まれている。
発明の開示 本発明者は、HIVに対して優れた作用を有する化合物
を開発すべく鋭意研究した結果、ナマコ由来の硫酸化多
糖及び/又はその薬学的に許容される塩がHIVに対し優
れた抗HIV作用を有し、同時に長期間、患者に投与して
も安全であることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、ナマコ由来の硫酸化多糖及び/又はそ
の薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗HI
V剤を提供するものである。
本発明で用いられるナマコ由来の硫酸化多糖は無脊椎
動物ナマコ(Holothurian)の体壁から抽出された硫酸
化多糖〔以下、「FGAG」と称する〕及びそのFGAGに化学
的変換を施した類縁体である。
FGAGはコンドロイチン硫酸の一種であり、下記物理化
学的特性を有する。
性状:白色不定形強吸湿性粉末。
分子量:約15000〜80000(高速GPC法又はポリアクリ
ルアミド電気泳動法)。
組成分析:重量組成は次の通り。
ガラクトサミン 13〜20重量%、 グルクロン酸 11〜19重量%、 フコース 10〜27重量%、 硫酸基 27〜38.5重量%。
ガラクトサミン(以下、GalNという)、グルクロン酸
(以下、GAという)、フコース(以下、Fucという)及
び硫酸基の分析は、下記方法を採用した。
・GalN ホワイト(White)法(カルボハイドレート リサー
チ(Carbohydrate Research)114:586,201)。
・GA ビッター・ミュアー(Bitter・Muir)法(アナリティ
カル バイオケミストリー(Anal.Biochem.)4:330,196
2)。
・Fuc ディッシュ(Dische)法(ジャーナル オブ バイオ
ロジカル ケミストリー(J.Biol.Chem.)175:595,194
8)。
・硫酸基 ドッジソン&プライス(Dodgson & Price)法(バイ
オケミカル ジャーナル(Biochem,J.)84:106,196
2)。
FGAGは公知物質であり、例えば葯学学報1980,15
(5),263−270、中葯通報、1982,7(4),27−29、葯
学学報 1983,18(3),203−208、特開昭63−10601号
公報及び特開昭63−128001号公報にそれぞれ記載されて
おり、これらに記載された方法により容易に製造でき
る。
具体的には、無脊椎動物ナマコ(Holothurian)の体
壁をアルカリ分解し、更にパンクレアチン等の酵素によ
り分解抽出し、その抽出物から分離精製することにより
製造される。製造の際使用されるナマコとしては、一般
的には マナマコ〔Stichopus japonicus Selenka〕、 シカクナマコ〔Stichopus chloronoyus Brandt〕、 Stichopus variegatus Semper、 トラフナマコ〔Holothuria pervicax Selenka〕、 クロナマコ〔Holothuria atra〕、 ジヤノメナマコ〔Holothuria argus〕、 アカミシキリ〔Holothuria edulis〕、 ハネジナマコ〔Holothuria scabra〕、 オキナマコ〔Parastichopus nigripunctatus〕、 バイカナマコ〔Thelenota ananas〕、 フジナマコ〔Holothuria monacaria Lesson〕、 ニセクロナマコ〔Holothuria leucospilota Brandt〕、 イシコ〔Cucumaria chronhjelmi〕、 グミ〔Cucumaria echinata〕、 キンコ〔Cucumaria frondosa Japonica〕、 ゴカクキンコ〔Pentacta australis〕、 シロナマコ〔Paracaudina chilensis ransonneti〕、 シリブトイモナマコ〔Molpadia musculus〕、 ホソイカリナマコ〔Leptosynapta inhaerens〕、 ムラサキクルマナマコ〔Polycheira rufescens〕、 オオイカリナマコ〔Synapta maculata〕、 Halodeima cinerascens(Brandt)、 Actinopyga lacanora(Jaeger)、 Actinopyga echinites(Jaeger)、 Microthele nobilis(Selenka)等が使用される。原料
となるナマコとしては生ナマコ或は乾燥したナマコであ
つても良い。上記ナマコの中ではマナマコが原料として
最も好ましい。
FGAGに化学的変換をほどこした類縁体としては、FGAG
を解重合した物質D−HGが特に好ましい。
D−HGはFGAG又はその塩を水に溶解し、解重合反応に
付することにより製造される。解重合反応は、ヘパリン
等の高分子硫酸化多糖を低分子硫酸化多糖に変換する反
応であり、通常解重合剤を使用することによりなされ
る。解重合剤としては、過酸化水素、次亜塩素酸、次亜
臭素酸、次亜塩素酸ナトリウム等の次亜ハロゲノ酸及び
その塩類、過沃素酸、過沃素酸ナトリウム等の過沃素酸
類及びその塩類等が使用でき、更に反応促進剤としてア
スコルビン酸、第一鉄イオン等が使用できる。また、解
重合剤を使用せず超音波、紫外線、γ線等の放射線等を
単独で用いるか、又は前記解重合剤と共に併用すること
によっても、解重合反応に導くことができる。最も好ま
しい解重合方法としては、過酸化水素を解重合剤として
使用するものである。過酸化水素の反応量は過酸化水素
濃度として1〜31重量%、好ましくは1〜16重量%であ
る。反応時間は通常1〜60時間、好ましくは3〜40時間
であり、反応温度は室温〜80℃、好ましくは40〜60℃前
後である。過酸化水素を反応させる際のpHは1〜8、好
ましくは3〜7の酸性及び中性領域である。pHを一定に
保つ目的で、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液
等の緩衝液中で反応させてもよいし、又反応の際希水酸
化ナトリウム等を使用したpHコントローラーを用いても
よい。反応終了後、pHを中性に戻し分離精製を行なう。
分離精製法としては、エタノール、アセトン等の有機溶
媒による分別沈殿、酢酸カリウム、酢酸バリウム、酢酸
カルシウム、酢酸アンモニウム等の酢酸塩による分別沈
殿、セチルトリメチルアンモニウム塩等の4級アンモニ
ウム塩を用いる分別沈殿、DEAE−セルロース(シグマ社
製)、DEAE−トヨパール(東ソー社製)、DEAE−セルロ
ファイン(チッソ社製)、Dowex−1(ダウケミカルズ
社製)等の樹脂によるイオン交換クロマトグラフィー、
Sephadex G−50(ファルマシア−LKB社製)、Sephade
x G−200(ファルマシア−LKB社製)等の樹脂による
ゲル過クロマトグラフィー、スペクトラ/ポア(スペ
クトラム メディカル インダストリーズ社製)等を用
いた透析、更には限外過等を単独或は適宜組み合わせ
て用いる方法が例示できる。
かくして製造されたD−HGは、下記物理化学的特性を
有する。
物質の性状:白色不定形強吸湿性粉末。
分子量:3000〜42000(高速GPC法)。
組成分析 D−HGは、GalN、GA及びFucを構成糖とし、硫酸基を
有しており、その組成モル比は、 GalN:GA:Fuc:硫酸基=1:0.80±0.20:0.85±0.15:3.4±
0.90である。
溶解性:水に可溶、エタノール、アセトン等の有機溶
媒に不溶。
比旋光度:▲〔α〕20 D▼=−55〜−73゜(C=1
%)。
呈色反応:次の通り。
エルソン−モルガン(Elson−Morgan)反応 + カルバゾール硫酸反応 + システイン硫酸反応 + オルシノール塩酸反応 + アズレAメタクロマジア(Azure A metachromasia)
反応 + また、上記D−HGの分子量は、4000〜15000程度(高
速GPC法)であるのが好ましい。
尚、塩を形成しない形態、即ち、遊離形態の各構成糖
等の重量組成は次の通りである。
GalN 18〜24重量%、 GA 14〜21重量%、 Fuc 13〜20重量%、 硫酸基 31〜44重量%。
FGAG及びその類縁体は上記分析結果の通り硫酸基及び
カルボキシル基を分子中に有しており、該基は種々の塩
基と反応し塩を形成する。これらの硫酸化多糖は塩にな
った状態が安定であり、通常ナトリウム及び/又はカリ
ウム等の塩の形態で単離される。これらの硫酸化多糖の
塩はダウエックス50W等の陽イオン交換樹脂等で処理す
ることにより遊離の硫酸化多糖に導くことも可能であ
る。又、これらは、更に必要に応じ公知慣用の塩交換を
行い、所望の種々の塩に変換することができる。硫酸化
多糖の塩としては、薬学的に許容される塩が用いられ、
例えばカリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カルシ
ウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、
ピリジニウム等の有機塩基等があげられる。後記、参考
例にFGAG及びその類縁体の製造方法について詳述する。
ナマコ由来の硫酸化多糖及び/又はその薬学的に許容
される塩は、HIV治療を目的とした種々の薬理組成物に
使用できる。即ち、本発明の抗HIV剤は、HIV治療の種々
の態様に応じて、本発明有効成分に薬学的に許容される
種々の担体を加えた各種の投与形態を採用できる。該形
態としては例えば錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細
粒剤、液剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤、注射剤、坐剤、
軟膏剤、硬膏剤等の非経口剤のいずれでも良く、これら
投与形態はそれぞれ、当業者に公知慣用の製剤方法によ
り製造できる。経口用固型製剤を調製する場合、本発明
の有効成分に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑
沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法によ
り錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤等を製造す
ることができる。注射剤を調製する場合は、本発明の有
効成分にpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所
麻酔剤等を添加し、常法により静脈内、筋肉内、皮下、
皮内並びに腹腔内用注射剤を製造できる。坐剤を調製す
る場合には、本発明の有効成分に基剤、更に必要に応じ
て界面活性剤等を加えた後、常法により、坐剤を製造す
ることができる。
経口用固型製剤を製造する際に用いられる賦形剤とし
ては、例えば乳糖、蔗糖、デンプン、タルク、ステアリ
ン酸マグネシウム、結晶セルロース、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、グリセリン、アルギ
ン酸ナトリウム、アラビアゴム等が、結合剤としてはポ
リビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセル
ロース、アラビアゴム、シェラック、白糖等が、滑沢剤
としてはステアリン酸マグネシウム、タルク等が、その
他、着色剤、崩壊剤等は通常公知のものを用いることが
できる。尚、錠剤は周知の方法によりコーティングして
もよい。
坐剤を製造する際の基剤としては、例えばマクロゴー
ル、ラノリン、カカオ油、脂肪酸トリグリセライド、ウ
ィテップゾール(ダイナマイト ノーベルズ社製登録商
標)等の油性基剤を用いることができる。
上記の各投与単位形態中に配合されるべき本発明有効
成分の量は、これを適用すべき患者の症状により或はそ
の剤型等により一定でないが、一般に、投与単位形態当
り経口剤では10〜200mg、注射剤では1〜100mg、坐剤で
は10〜100mgとするのが好ましい。本発明有効成分の臨
床投与量は、患者の年齢、性別、症状によってそれぞれ
異なる為一概に決定できないが、1日当り通常10〜1000
mg、好ましくは50〜200mg程度であり、1日1〜4回に
分割して投与することもできる。
本発明の抗HIV剤は、HIV感染の予防及びAIDS並びにそ
の関連症候群ARC(AIDS related complex;R.R.Redfiel
d & D.S.Burke,サイエンス,18,74〜87,1988)の発症
予防並びに治療に有効であり、又その有効成分であるナ
マコ由来硫酸化多糖の細胞毒性が低いことから、長期の
投与にも好適に使用しえる物である。
従って、本発明の抗HIV剤は、健常人のかかるHIV感染
の予防、無症候感染者(キャリア)の発症予防並びに治
療等に有効であり、発症したAIDS並びにARC患者の治療
に極めて有効である。
発明を実施するための最良の形態 以下、参考例、実施例及び薬理試験を挙げて、本発明
を更に具体的に説明する。尚、参考例及び実施例におけ
る%は重量%を意味する。
(1)FGAGの製造 参考例1 マナマコからのFGAGの製造 乾燥したマナマコ(Stichopus japonicus)1kgを10
の温水につけて一晩膨潤させた後、筋肉組織を除去し、
ホモジナイズした。1.0規定となるように水酸化カリウ
ムを加え、60℃の温度で100分間処理した後、pHを8.5に
調整し、パンクレアチン50gを加え、50℃で3時間撹拌
した。
遠心分離して不純物を除去した後に、4.3のエタノ
ールを加え、4℃で放置し、生じた沈殿物を集めた。80
%エタノール、無水エタノール、アセトンで順に洗浄、
減圧乾燥して、粗生成物50gを得た。この粗製物50gを水
3.5に溶解し、遠心分離し、不溶性物質を除去した。
この上澄液に5%塩化ナトリウム、40%エタノール沈殿
処理を行い、生じた沈殿物を遠心分離により、収集し
た。この沈殿物を2.5の水に溶解し、PHを10.5に調整
した後、30%の過酸化水素水を滴下し、50℃の水浴中で
加温(約3時間)して脱色した。冷却後、遠心分離によ
り不溶性物質を除去し、上澄液に、酢酸カリウム約490g
を加えて4℃で冷蔵して一晩放置した。翌日、生じた沈
殿物を2の水に溶解し、0℃に冷却し、pHを2.8に調
整し、冷却遠心分離により、不溶性物質を除去した。上
澄液を中和後、196gの酢酸カリウムを加えて4℃で放置
後、生じた沈殿を遠心分離により収集した。沈澱物を再
び水に溶解し、酢酸カリウム濃度を0.5Mとし、4℃で1
夜放置した。遠心分離により、沈澱物を収集し、40%メ
タノールで洗浄後、水1に溶解し、5%塩化ナトリウ
ム、40%エタノール沈殿を行い、生じた沈殿物を遠心分
離により収集した。沈殿物を80%メタノール、無水エタ
ノール、アセトンで順次洗浄し、減圧乾燥を行い、FGAG
ナトリウム・カリウム塩を17g得た。その物理化学的恒
数は、次の通りであった。
分子量:55000(高速GPC法)。
組成分析:次の通り。
GalN :20.0%、 GA :18.6%、 Fuc :17.2%、 硫酸基:36.6%、 Na : 6.2%、 K : 7.4%。
参考例2 ニセクロナマコからのFGAGの製造 ニセクロナマコを用いて参考例1と同様の操作でニセ
クロナマコ由来のFGAGを得た。
分子量:45000〜55000(ポリアクリルアミド電気泳動
法)。
組成分析:次の通り。
GalN :16.0%、 GA :16.3%、 Fuc :12.3%、 硫酸基:31.0%。
参考例3 キンコからのFGAGの製造 キンコを用いて参考例1と同様の操作でキンコ由来の
FGAGを得た。
分子量:60000〜70000(ポリアクリルアミド電気泳動
法)。
組成分析:次の通り。
GalN :18.0%、 GA :11.1%、 Fuc :13.7%、 硫酸基:32.0%。
(2)D−HGの製造 参考例4 参考例1で得られたFGAGナトリウム・カリウム塩10g
を水75mに溶かし、30%過酸化水素水25mを加え、pH
コントローラーを用い希水酸化ナトリウム溶液でpHを7
付近に維持しながら、60℃で12時間加温した。冷却後、
2%塩化ナトリウム、40%エタノール沈殿処理を行い、
生じた沈殿物を遠心分離により集めた。沈殿物を80%エ
タノール、無水エタノール、アセトンで順次洗浄後、減
圧乾燥を行い、D−HGナトリウム・カリウム塩を7.15g
得た。
参考例5 過酸化水素の処理時間を24時間とした他は参考例4と
同様の操作で、D−HGナトリウム・カリウム塩を製造し
た。収量6.95g。
参考例6 希アルカリ溶液を用いてpH4付近を維持しながら反応
させた他は参考例4と同様の操作で、D−HGナトリウム
・カリウム塩を製造した。収量6.4g。
参考例7 参考例1で得られたFGAGナトリウム・カリウム塩10g
を0.2M燐酸緩衝液(pH7.0)83.3mに溶かし、30%過酸
化水素水16.7mを加え、60℃で12時間処理した。冷却
後、2%塩化ナトリウム、40%エタノール沈殿処理を行
い、生じた沈殿物を遠心分離により集めた。沈殿物を80
%エタノール、無水エタノール、アセトンで順次洗浄
後、減圧乾燥を行い、D−HGナトリウム・カリウム塩を
7.18g得た。
参考例8 0.2M酢酸緩衝液(pH3.5)を用いて反応させた他は参
考例7と同様の操作でD−HGナトリウム・カリウム塩を
製造した。収量7.05g。
参考例9〜10 参考例1で得られたFGAGナトリウム・カリウム塩2gを
水15mに溶かし、30%過酸化水素水5mを加え、60℃
で14時間(参考例9)及び40時間(参考例10)処理し
た。冷却後、pHを7〜8とし、それぞれ、水に対して十
分透析(スペクトラ/ポア3を使用)してから、凍結乾
燥、減圧乾燥してD−HGナトリウム・カリウム塩をそれ
ぞれ1.62g、1.76g得た。
参考例11 参考例1で得られたFGAGナトリウム・カリウム塩2.0g
を水16.7mに溶かし、30%過酸化水素水3.3mを加
え、45℃で24時間処理した。冷却後、pHを7付近に戻
し、2%塩化ナトリウム、40%エタノール沈殿処理を行
ない、生じた沈殿物を遠心分離により集めた。沈殿物を
80%エタノール、無水エタノール、アセトンで順次洗浄
後、減圧乾燥を行ない、D−HGナトリウム・カリウム塩
を1.41g得た。
参考例12〜15 参考例1で得られたFGAGナトリウム・カリウム塩2.0g
ずつを水15mに溶かし、30%過酸化水素水5mを加
え、60℃でそれぞれ4、8、12、24時間処理した。冷却
後、pHを7〜8とし、それぞれ、水に対して十分透析
(スペクトラ/ポア3を使用)してから、以下、参考例
11と同様の方法で処理し、D−HGナトリウム・カリウム
塩をそれぞれ1.42g、1.35g、1.35g、1.2g得た。
参考例16〜17 参考例1で得られたFGAGナトリウム・カリウム塩2.0g
を水14.7mに溶かし、30%過酸化水素水5.3mを加
え、45℃でそれぞれ14時間又は40時間処理した。冷却
後、pHを7付近に戻し、2%塩化ナトリウム、40%エタ
ノール沈殿処理を行ない、その後、参考例9〜11と同様
に処理し、D−HGナトリウム・カリウム塩を1.64g、1.6
2g得た。
参考例18 参考例1で得られたFGAGナトリウム・カリウム塩2.0g
を水30mに溶かし、参考例11の方法で12時間処理し、
得られたものを、塩化ナトリウム溶液を用いてセファデ
ックスG−50T(ファルマシア−LKB社製)カラムで分画
を行なった。ウロン酸について検出し、ピークを3分割
し、最も遅れて溶出する部分を集め、水に対して十分透
析を行ない凍結乾燥した。減圧乾燥してD−HGナトリウ
ム塩を0.2g得た。
参考例19 参考例11で得られたD−HGナトリウム・カリウム塩0.
5gについて参考例18と同様に分画を行ない、D−HGナト
リウム塩を0.18g得た。
このものの赤外吸収スペクトル(KBr錠で測定)を第
1図に、及びプロトン核磁気共鳴スペクトル(D2O中、9
0MHz、70℃で測定)を第2図に、夫々示す。
参考例20 参考例1で得られたFGAGナトリウム・カリウム塩2gを
水16.7mに溶かし、30%過酸化水素水3.3mを加え、4
5℃で5時間処理し、冷却後、pHを7付近に戻し、2%
塩化ナトリウム、40%エタノール沈殿処理を行い、生じ
た沈殿物を遠心分離により集めた。沈殿物を80%エタノ
ール、無水エタノール、アセトンで順次洗浄後、減圧乾
燥を行ない、D−HGナトリウム・カリウム塩を得た。収
量1.60g。
参考例21 参考例1で得られたFGAGナトリウム・カリウム塩2.0g
を参考例20と同様の方法で9時間処理し、D−HGナトリ
ウム・カリウム塩を1.54g得た。
参考例22 参考例1で得られたFGAGナトリウム・カリウム塩2.0g
を参考例20と同様の方法で12時間処理し、D−HGナトリ
ウム・カリウム塩を1.52g得た。
参考例23 参考例1で得られたFGAGナトリウム・カリウム塩1.0g
を0.2M燐酸緩衝液(pH7.0)8.7mに溶かし、30%過酸
化水素水1.3mを加え、60℃、3時間処理した。冷却
後、5%塩化ナトリウム、66%エタノール沈殿処理を行
い、生じた沈殿を遠心分離により集めた。沈殿物を80%
エタノール、無水エタノール、ジエチルエーテルで順次
洗浄後、減圧乾燥を行い、D−HGナトリウム・カリウム
塩を得た。これを、20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)1
0mに溶かし、同緩衝液で十分に平衡化したDEAE−トヨ
パール(東ソー社製)に添加した。溶出法は、同緩衝液
中、塩化ナトリウムの直線的濃度勾配(0→1M)を用い
た。ウロン酸について検出を行い、ピーク部分を集め、
2倍量のエタノールを加え、沈殿処理を行った。得られ
た沈殿を遠心分離により集めた。沈殿物を80%エタノー
ル、無水エタノール、ジエチルエーテルで順次洗浄後、
減圧乾燥を行い、D−HGナトリウム塩を得た。収量0.39
g。
参考例4〜23で得たD−HGの理化学的特性を第1表に
示す。
上記参考例1〜23で得られた各硫酸化多糖は、電気泳
動(Dietrich.C.P.,J.Chromatogr.,130,299(1977))
において、いずれも単一スポットを示した。
抗HIV剤の製造 実施例1 注射剤 参考例1で製造したFGAGナトリウム・カリウム塩を注
射用蒸留水に溶解し5%水溶液とした。この溶液を凍結
乾燥用バイアル瓶1バイアル中にナマコ由来硫酸化多糖
として50mg充填し、凍結乾燥を行なった。別に溶解液と
して生理食塩水2mを添付した。
実施例2 注射剤 下記処方に従い注射剤を調製した。
FGAGナトリウム・カリウム塩(参考例1) 40mg 生理食塩水 適量 1アンプル当り 2m 実施例3 錠剤 下記処方に従い錠剤を調製した。
D−HGナトリウム塩(参考例19) 10mg コーンスターチ 65mg カルボキシメチルセルロース 20mg ポリビニルピロリドン 3mg ステアリン酸マグネシウム 2mg 1錠当り 100mg 実施例4 坐剤 下記処方に従い坐剤を調製した。
D−HGナトリウム・カリウム塩(参考例17) 50mg ウィテップゾール W−35 (ダイナマイトノーベル社製) 950mg 1個当り 1000mg 薬理試験 (1)抗HIV活性 MT−4細胞〔Miyoshi I.等,Gann Monogr.,28,219−22
8(1982)〕を2×105cells/m培地(RPMI−1640+10
%FCS)となるよう調製し、その500μに種々の濃度の
参考例1、参考例19及び参考例23で得られたナマコ由来
硫酸化多糖溶液50μを添加し、2時間後に5×103Pfu
/wellの割合でHIVを感染させた。4日後、MT−4細胞の
スミア(smear)を作り、HIV抗原陽性細胞を蛍光抗体法
〔Harada S.等,Science,229,563−566(1985);Takeuch
i,Y等Jpn.J.Cancer Res.(Gann),78,11−15(1987)〕
により調べた。
ウィルス感染細胞(HIV抗原陽性細胞)の百分率
(%)を下記第2表、第3表及び第4表に示す。
上記結果により、本発明の抗HIV剤は有効にHIVウィル
ス感染を防止することがわかる。
(2)細胞毒性 ナマコ由来硫酸化多糖の細胞毒性を上記(1)に準じ
て試験した。即ち1×105cells/mに調製したMT−4細
胞を種々濃度の参考例1及び参考例19のナマコ由来硫酸
化多糖の存在下に、4日間培養後、その細胞数をカウン
トし、対照の細胞数を100とした時の各濃度における各
指数を算出し、細胞毒性を評価した。結果を下記第5表
及び第6表に示す。
上記結果により、本発明の抗HIV剤には著名な細胞毒
性がないことが明らかである。
(3)急性毒性 参考例1で得られたFGAGナトリウム・カリウム塩のマ
ウスにおける急性毒性試験を行ったところ、LD50値は33
7.9mg/Kg(i.p)、335.2mg/Kg(i.v)であり、安全性の
高い物質であることが明らかである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ナマコ由来の硫酸化多糖及び/又はその薬
    学的に許容される塩を有効成分として含有する抗HIV
    剤。
  2. 【請求項2】ナマコの体壁から抽出された硫酸化多糖、
    その薬学的に許容される塩、当該硫酸化多糖又はその塩
    を解重合して得られる硫酸化多糖及びその薬学的に許容
    される塩からなる群より選ばれた少なくとも1種を有効
    成分として含有する請求項1記載の抗HIV剤。
  3. 【請求項3】硫酸化多糖が、下記物理化学的特性を有す
    る請求項1記載の抗HIV剤。 性状:白色不定形強吸湿性粉末。 分子量:約15000〜80000(高速GPC法又はポリアクリル
    アミド電気泳動法)。 重量組成: ガラクトサミン 13〜20重量% グルクロン酸 11〜19重量% フコース 10〜27重量% 硫酸基 27〜38.5重量%。
  4. 【請求項4】硫酸化多糖が、下記物理化学的特性を有す
    る請求項1記載の抗HIV剤。 性状:白色不定形強吸湿性粉末。 分子量:3000〜42000(高速GPC法)。 組成モル比:ガラクトサミン/グルクロン酸/フコース
    /硫酸基=1/0.80±0.20/0.85±0.15/3.4±0.90。 溶解性:水に可溶、エタノール、アセトン等の有機溶媒
    に不溶。 比旋光度:▲〔α〕20 D▼=−55〜−73゜(C=1
    %)。 呈色反応: エルソン−モルガン(Elson−Morgan)反応 + カルバゾール硫酸反応 + システイン硫酸反応 + オルシノール塩酸反応+ アズレAメタクロマジア(Az
    ure A metachromasia)反応 +。
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